翔のあぶない冒険!


8 vs.女子大生たちの逆ナンパ

 今日は学校が休みだ。

 ベッドの中で背伸びをする。筋肉痛のような極度の疲労感はあっという間に吹き飛んだ。体がギチギチいってなかなか動けなかったのが、程なくして回復している。思い切って起き上がってみると、頭がふらふらした。眠気とは違う、精神的な疲れのようなものがあった。

 が、脳は夢の中の出来事を忘れている。おそらくはあの淫夢の最後に与えられた苦痛を引きずっているのだろうが、その記憶がないためか、疲労感だけが残っていて、心が折れたりおかしくなっている節はない。

 ベッドから抜け出し、シャワーを浴びて着替える。現在11時30分。こんな時間に起きたのは本当に久しぶりだ。

 家の中にいると、ものすごい勢いで体が回復していくのが分かる。ぐんぐん力がわいてきて、ぼーっとしていた頭もすっきりしてくる。

 僕はテレビをつけた。画面に映し出されていたのはごくありふれたバラエティー番組だ。

 女子アナを始め、ゲストの美女たちが大胆な格好をしている。薄着でミニスカートで、細い生足を露出していたし、惜しげもなく脇の下やおへそを見せまくっている。…まぁ、こういうのは以前からもあった気がするな。気になるのは休日の昼間にやるようなものかどうかということだが、僕はそれほど気にはとめなかった。

 この間の戦いで、僕はもう相当の種を放出してしまっている。世界全体に少なからず影響は出始めているのだろう。とりわけ人間の欲望をかきたてなければならないテレビの業界で、半ば露骨に肌を出したり話題を性欲に持って行ったりするのも当然ではあった。なぜかこの変化に対して、僕は何も心を動かさなかった。危機感もない。

 もっともっと…強い違和感が番組の中にあるのだ。

 初めのうち、その違和感がなんなのか気がつかなかった。女性たちの大胆な格好…ミニスカートで生足をくんで椅子に座る高飛車そうなアイドルたち…バラエティなら普通にそんな連中はごろごろしている。若い女性ばかりが後ろに座って司会者がおしゃべりでまくし立てていて、その女たちの恋愛話を自慢げに放送しているのも…まぁいつものことと思えてしまう。「続きはCMのあと」って視聴者の心理を巧みに突く“技術”によって内容がカバーされているのもいつも通りだ。CS専門チャンネルなどの台頭に対して危機感を持たない大物芸人のトークも相変わらず。

 内容は確かに、昼間放送できる範囲での性的なものではあるが、違和感はそこではなかった。

 「…!」やっと違和感の正体に気づいた。なぜすぐ気づかなかったのか不思議なくらい、あまりにも大きな変化がテレビに映し出されていた。その事実に気づいたとき、僕は大きく震えた。

 司会者の芸人を始め、出演している男性全員の股間が大きくふくらんでいるのだ! 明らかに全員が勃起していいる!

 「ばかな…」あまりにも不思議だった。男たちがペニスを隆起させ、ズボンがふくらんでいるのに、本人たちは恥ずかしがるそぶりはまったく見せず、まるで勃起し続けて外を歩いたり仕事をするのが普通のことであるみたいに、何事もないように話が進んでいくのだ。女たちもこれに何も感じることなく、当たり前のように進んでいく。

 こんな状況を放映して、どうして問題にならないのだろう。見ている人たちは抗議しないのだろうか。もしそれが当然のことのようになっていて、誰もクレームを言わないとしたら、それはあまりにも大きすぎる世界の変化ではないか!

 だが、そのような変化が実際に起こっていそうであることに、僕は戦慄を覚え、震えが止まらなくなったのだ。なぜなら、そんな変化に、僕はしばらく気がつかなかったからだ。男たちのズボンがテントを張り続けているのに、それをずっと見ているのに、しばらく気がつかなかった。むしろ当たり前と言うことで過ごしてしまった時間がある。

 僕以外であれば、きっと誰も気づかないし、気づいたとしても当然のことのように見てしまうだけなのだろう。種を蒔いた本人でさえこれだけ気づくのに遅れたのだから、影響を受けた世界の人々は永遠に気がつかないのだ。それがあまりにも恐ろしい。

 チャンネルを回した。「うぅ…」どの番組でも、政治番組でさえ、男たちは隆起していた。にもかかわらず、何事もないようにまじめな話をしている。相当のお年を召した評論家だけが勃起していなかったが、そんなことも含めてその異様な光景に誰も違和感を持たないのだ。

 「ポッティ!」そう言えばポッティの姿が見あたらない。家中を探したが、ポッティはいなかった。どこへ行ったのだろう。

 テレビ番組でさえ男たちが勃起しても誰も何も言わないのなら、町の中はどうなっているのだろう。僕は窓から外を覗いてみた。人通りが少ない家の前では、状況を確認することができない。

 ポッティがいない以上、自分の目で確かめるしかないのだろうか。しかし、休日に闇雲に外を出歩くのは危険だ。ポッティもいないのに、またどこかで夢幻時空に飲み込まれでもしたら、大変なことに…

 「!」股間の奥が急にくすぐったくなった。夢幻時空のことを考え始めたとたん、高野からかおり先生まで、今までの戦いが一気にフラッシュバックしてきて、その上、どこで夢幻時空に飲み込まれ、どんな女性と交わることになるのかも分からないと考えたとたん、体の奥から強烈な性欲がこみ上げてきたのだ。

 ペニスはあっという間に僕のズボンにテントを張った。ずっとオナニーを我慢していたときみたいな性欲のくすぐったい疼きを感じる。このまま自分の股間を触って抜いてしまいたい気分になる。

 「その気になれば誰とでもやれる。」ふとテレビからそんな声が聞こえた。振り返ってみると、何の変哲もないペットボトルのCMだった。聞き間違い、か?

 その気になれば誰とでも…

 ま、まさか…!!

 ますます自分の目で確かめなければならない。男たちが勃起し続けているのは、ごくわずかな性的思考だけでぐっと性欲が増すからではないのか。そしてそういう肉体構造になっているのが『はじめからそうだった』みたいに違和感なく受け入れられている。そして、人類始まって以来、仮に男性の生殖機能がそういうものだったとすれば、女性の方にも変化があって当然だ。

 それがどんな変化なのか、自分で確かめたい。でも…外に出れば夢幻時空の危険が待っている。

 「ぐぅぅ…」性欲の疼きが強くなる。だめだ、考える前に、まずは自分の部屋で一回抜いておこう。

 いや…どうせ抜くなら、女の人に抜かれた方がいいな。僕の想像が正しければ、文明社会である以上表だってセックスというわけにはいかないが、生殖機能として四六時中勃起しっぱなしということは、何らかの方法で精子を白昼出し続けなければならないってことになる。

 理性的に勃起は押さえられるものだし、もちろん肉体的にも立ち続けるのは難しい…それが僕の世界だった。が、今は違う。立ち続けているということは、精子の生産がこれまでのスピードを遙かに超えているということだ。数倍以上にはなっているだろう。小水などと同様、一日数回は余剰精液を放出しなければならなくなるはずだ。

 もし、そういう生殖機能であることを前提に文明が作られているのであれば、必ず男性の性欲処理の機能を備えた制度が存在しているはずだ。それは風俗のようなものではなく、もっと機械的なものになっているだろう。

 機械的に射精する機構があるなら、そこで抜いてしまえばいい。外に出て性欲を処理しつつ、世界の状態を確認することもできる。一石二鳥だ。

 ああ、それ以上は何も考えられない。まずは状況を確かめるために外に出てみよう。

 僕は薄いTシャツとぴっちりした半ズボンの格好で外に出た。やわらかい半ズボンなので、勃起しても苦しくはない。立ったまま外を歩いて恥ずかしい思いもあったが、みんなが同じならそれほど心配はいらないかもしれない。

 少し歩くと町の中心部に出た。やはり、数人の男性とすれ違ったが、通り過ぎる男性は皆ギンギンに勃起している。しかし誰も違和感を感じることはなく、普通に歩いている。前屈みになっているわけでも、もてあましている風もなかった。勃起しうる年齢であれば誰もが隆起していた。僕ぐらいの子なら当然みんなが立っている。昔の世界なら、大変な騒ぎになっていたりいじめの対象になっているところだが…

 「う…」自分の性欲も限界に来ている。勃起したまま歩き回る不自然さが手伝って爆発はしないが、先端がズボンをこするたびに火のような快感が押し寄せ、性欲がますます高まっていく。

 「あぅ…」ちょうど町の中で、店が建ち並ぶ中、一人の若い男が前屈みになった。彼も僕と同じように、あふれんばかりの性欲を抱えて耐えきれなくなっているのだろう。これからいったい彼はどうするのだろう? 僕は様子を見ることにした。

 すると、そこへ一人の若い女学生が近づいていった。「お兄さん…どうですか?」「あ、ああ…」「じゃあ、決まりだね♪」女学生は制服のまま、若い男性の腕にしがみついた。そして腕を組んだまま、二人は裏路地の方に入っていった。僕は見つからないようにこっそり後をつけた。

 「はあっ、はあっ…」その場所は人目につきにくい、公衆トイレの裏側の一角だった。男性はズボンをおろし、少女に背を向けて前屈みになった。女の子は彼の背中に制服ごと抱きつき、手を前に回した。

 しゅっしゅっしゅっしゅ…「ああ〜…いいよ…すごい…」「くすくす。学校で習ったとおりにしてるだけですからね。でも16歳の若い娘の柔らかい手で、お兄さんのおちんちんも悦んでますよ?」女の子は男性のペニスを、後ろから両手でつかみ、リズミカルにしごき続けている。女の子は男性の背中に貼りついたまま、一心不乱に手を動かし続けた。

 「おああ〜っ…」ため息のような悩ましい声を上げると、若い男性は白濁液を草むらにぶちまけた。ぶるっと全身が震えている。あっという間に彼は射精してしまっていた。

 彼のペニスは収まっていない。脈打ちが終わったのに勃起したままだ。女学生は彼のペニスを握りしめたまま、しごく手を止めなかった。さっきよりも素早くしなやかな手がペニスをさすり、こすりあげ、揉みたてている。

 彼女の左手が玉袋に添えられ、優しくさすっている。右手は亀頭を中心にものすごいスピードでペニスをしごいていた。男性は感極まって腰をくねらせ、ため息ともつかない声を上げていた。「私の手、気持ちいいですか?」「あ、ああ…最高だよ…」「ふふふ…また出しそうですね。いいですよ、いーっぱい出してください、私のきれいな手で。」「ああっ!」男性は再び射精した。

 次の瞬間、彼のペニスが萎えた。「あ…」「ごめ…ん」「そう…ですか…」「悪いね、二回までは抜いてもらえたけど、それ以上は体が…」「い、いいんです…でも…若い子は嫌いですか?」「嫌いじゃあないよ。でも相性が合わないんじゃあ、どうしようもない。」「そう、ですよね。」「他を当たってくれ。」若い男性が急に冷たくなったように感じた。彼はいそいそとズボンをはくと、その場を立ち去った。少女は悲しそうな顔をしながら、別の方向に歩いていった。

 いったい、何が起こったというのだろう。

 さらによく見てみると、あちこちの物陰で男の悩ましい声が聞こえるのに気づいた。見つからないように覗いてみると、若い男から初老の男性まで、何人もの男が女性に性欲処理してもらっているみたいだった。みんな手でペニスをしごいてもらっている。一人の美女が後ろに貼りつき、中学生くらいの少年のペニスを両手でしごいていた。その奥の男には4人の女性が群がって、ペニスに手を伸ばしている。

 目を外に向けると、誰もがその光景に気づきながらも、何事もなかったように通り過ぎていく。もちろん、表だってこんなことをしているわけではなく、あくまで人目につかないようにして背徳的な行為に及んでいるのだ。

 「あら。二回抜いたのに萎えないね。」「…。」少年は顔を真っ赤にしてうつむいている。「体の相性はばっちりなのかしら?」ぴっちりしたミニスカワンピースに身を包んだ妖艶な女性は、少年の前に回り込んでひざまづいた。そしてペニスを口にくわえると、一気に首を動かし、唇でペニスをしごきまくった。おそらく内部では柔らかい舌が暴力的に舐めまくっているのだろう。

 「んっんっんっんっんっんっ!」のどを鳴らしながら美女が少年のペニスを暴舌にさらしている。少年の方は甲高い声でうめきながら腰を引いて、全身を震わせていた。リズミカルに首を動かしながら上目遣いに少年の様子をうかがい、左手指先で小さな玉袋をころころと転がした。

 「んあっ!」少年が大きく震える。おそらく彼女の口の中で射精したのだろう。お姉さんは少年から口を離すと、精液を飲み込んでしまった。「ふふ…体の相性はばっちりね。キミはもう逃げられないわよ?」「うぅ…」さすがに3回連続で抜いただろう、ペニスは小さく萎えきってしまっていた。

 「さ、行きましょ。私の家は結構広いわよ?」「はい…」少年はお姉さんに連れられて一緒に歩いていった。

 「えー! もう立たないの?」「4人がかりなのに!」「誰かは当たると思ったんだけどなあ!」「あー! 残念!」奥の方で一人の男性に4人がかりで集中攻撃している美女たちは、いらだたしそうに叫んだ。どうやらこれ以上抜くことができないらしい。「しょうがない、次行こう!」女の人たちは去っていった。男性も、何事もなかったようにズボンをはいて別方向へ。

 町の様子を見て、思った以上に異様な光景が広がっているのが分かった。《変わる前の世界》を知っているだけに、強いショックで、強い性欲が静まってしまうほどだった。

 町のあちこちで女性たちが男性をナンパしている。小売店でもスーパーでもコンビニでも道路脇でも、ギンギンに勃起した男性に女性たちが声をかけている。僕よりも年下っぽい少女から、相当こなれた感じの美女まで、大勢の女性が男たちに声をかけている。

 「ねえ、私はどう?」「いや…その…」「じゃあ、ボクならいいよね?」「うーん…」男性は美女二人に囲まれて困惑している。髪の長いお姉さんタイプと、ショートカットのボーイッシュなボク娘が、一人の男性ナンパを仕掛けているのだ。「だめ?」「ごめん…」「じゃあいいわ。次がんばる。」女性たちはその男から離れた。

 すると別の女性が彼に声をかけた。「46歳で、そろそろ受胎も限界なの。あなたの子種をちょうだい!」そう言っている美女は、貫禄はあるものの、どう見ても20代後半くらいにしか見えなかった。

 そうだ、普通の町並みなのに、いわゆるオバサンがいないのだ。町を歩いているのは、初老までの男性と、20代後半くらいまでの若い美女だけなのである。その女性たちが、町の男性に次々声をかけている。

 さらによく見ると、男女の比率が大きく変わっていることに気づいた。町外れに数人の男性を見かけ、この大通りでも何人かの男性はいるが、それに比べて女性は数十人はいる。だから一人の男性は次々声をかけられるし、場合によっては複数の女性が取り囲んで誘っているのだった。

 抜いたばかりであろう萎えている男性が来たが、女たちは彼には見向きもしない。あくまで勃起している男性に声をかけているみたいだ。今僕は萎えているから、誰も声をかけては来ないが、同じくらいの少年にも年上の美女が声をかけているから、いつ僕が誘われても不思議ではない。

 観察していて、いくつかのことに気がついた。女の人からどんどんナンパして、男の側がその相手(または相手集団)を気に入れば、ナンパに応じる。そして彼女たちと一緒に人目につかないところに行き、我慢できないほどにたまった精子を抜いてもらうのだ。

 はじめは必ず手コキである。一人の場合は男の背中に貼りついて両手でしごく。集団の場合、背中に貼りつく以外に周囲に群がって集団でかわいがる。そうやって、優しく、ときには素早く手を動かし、しなやかな女手の感触をペニスに刻みつける。もともとたまっていたので、あっという間に放出してしまう。

 それでもペニスは萎えないから、女たちは引き続き手でしごきたてる。これで内部にたまっている精液をすべて吐ききってしまうのだ。

 勝負はここからのようだ。見ていると、そこで萎えてしまうケースと、まだびんびんなケースに分かれる。勃起が収まらない場合、どうやら《体の相性》がとてもよい可能性があるということらしい。体の相性が悪いと、どんなに高度なテクニックであっても、ペニスは自動的に萎えてしまう。もっとも、数時間もあれば精子生産のピッチが異様に速いためにギンギンに復活するみたいだけど。

 3回目は女たちも相当に気合いが入る。フェラチオ、パイズリ、尻ズリ、脇の下、足コキなど、様々な自慢のテクニックでペニスを高めていく。集団が相手の場合はこちらも苛烈な責めになる。

 体の相性が合いそうで、2発抜かれたのにペニスが立っていても、3回目のフェラ攻撃や太もも攻撃が下手だったり、その間に男性側が飽きてしまうと、抜かれていなくても中でペニスが萎えてしまうことがある。そうすると結局相性が合わなかったということになり、ゲームオーバーだ。それだからこそ、3回目はなんとしてでも萎えさせまい、射精させようと、女たちは躍起になる。

 そうして、3回目も無事に射精させると、今度は男性の意向はまったくお構いなしに、女たちは自分の家やアパートにその男性を連れ込むことになる。おそらくは、そこで交尾本番が行われるのだろう。

 この世界では、男女の比率が5〜10分の1になってしまっていて、男性が極端に少なくなっており、女たちが逆ナンパで男を誘い続けているのだ。そして体の相性が合った場合のみ、子孫を妊娠することができる。その確率はきわめて低く、多くの場合2発抜いたところで相性が合わないことが分かり、交尾を断念することになる。

 女性たちの間であまりに苛烈な競争が起こっており、子孫存続という生物としての使命…究極の欲望と言ってもいいかもしれない…を果たすべく、日々奮闘している。人によってはグループで行動し、集団で男を誘う女性たちも増えている。こうすると、グループの中の一人でも相性が合えば住処に連れ込むことができ、グループ全員が子種の恩恵にあずかれるというわけだ。

 こうした競争の結果、女性たちはますます美しくなり、その肢体は魅力的になっていく。50近くなっても、20代の若々しさを保つように遺伝子がプログラムされているみたいだ。そうしなければ競争に勝ち残ることができないからだ。

 以前の世界に比べて、交尾の機会は減ったのかもしれない。しかしそれでも人類が生物として繁栄できるのは、オスの生殖機能が極端に高く、一日に何度も我慢できなくなるほど《たまる》おかげだろうか。

 たった一晩で、これほどまでに世界が変わり果ててしまった。しかし、この世界の住民たちは、まるでこの状況が人類誕生以前からずっと続いてきた《当然のこと》であるように考えている。

 しかし、こうした状況は、生物の闘争という観点からすれば、そう珍しいことでもないのかもしれない。もっぱら闘争の憂き目にあうのはオスに限られるが。その性別が逆転しただけで、猫や蛙の競争、いや、人間の生殖闘争とも変わらないとさえいえようか。ただ、これまでオスがその闘争の渦の中に投げ込まれていたものが、単にメスがその役割を担うように変わっただけである。珍しいことでは、ない。

 観察し、男たちが女手で抜かれているシーンを何度も目にして、僕は再び自分の体に性欲がぶり返してくるのを感じた。このまま勃起してしまえば、怒濤の逆ナンパ攻勢に巻き込まれることになる。一刻も早くこの場を立ち去った方がいいかもしれない。

 僕は立ちそうになるのを前屈みになって押さえながら、急いで家路についた。だんだん早足になり、そのうち駆け足になった。ペニスは自制が利かなくなり、走りながらムクムクと膨らんでズボンにテントを張った。

 ざっ。「!!」いきなり僕の前に3人の女性が立ちはだかった。一人はショートカットに丸い眼鏡、薄いキャミソールにぴっちりした短パンをはいている童顔の女性。その右隣にいるのが、ポニーテールで夏祭りのときのような浴衣を着ている背の高めな女性、左隣は肩を露出したドレスのような上着にタイトスカートという大人っぽい格好をし、髪にウェーブをかけた妖艶な美女だった。

 「ねえ、そんなに急いでどこに行くの?」「私たちと遊びませんかぁ?」「いっぱい抜いてあげる。遊んでよ。」彼女たちは、勃起した少年の姿を見つけると道の曲がり角で息を潜めて待ち、いきなり飛び出してきたのだった。

 股間が異様なまでにくすぐったい。まるで、イキそうになって直前で寸止めされてから誘惑されているみたいだ。断ることはできなかった。いや、僕はきっと3回連続で抜かれたりはしない。他の男みたいに急ピッチで精子が生産されているとは思えない。実際、何度もエッチなシーンを目の当たりにしても、ここへ来てやっと性欲がぶり返した程度じゃないか。

 それなら、ここで一回だけ抜いておいて、萎えて冷静になったところで抜け出し、家に戻ってこれからのことを考えよう。ポッティのアドバイスも聞きたいしね。僕は彼女たちと一緒に物陰へと歩いていった。一回だけ、一回だけだから。

 連れて行かれたのは、アパートの裏側の細長い道だった。道というより、建物の隙間といった方が良さそうなくらい、人一人通るのがやっとな幅のあぜ道だった。ここで体の相性を確かめるというわけか。

 ドォォーーーン!

 突然周囲が薄暗くなった。次の瞬間、ピンクがかったモノクロの風景になる。記憶に新しい、淫靡な香りが漂い始めた。

 しまった、ここで夢幻時空か! それも、これまでのようなセピア色ではなく、もっといやらしい桃色の風景になっている。それだけ淫気も濃くなり、《終末》が近づいていることを物語っている。

 「くすくす…どうかしら、《過渡期》の世界は堪能した?」「か、過渡期…!?」「そう…男の数が減り、同時に男女ともに快楽を増したすばらしい世界…その途中に突入しているのよ。」「男の生殖能力が格段に高まると同時にその数を極限まで減少させる。すると男たちはいつでもどこでも、誰にだって抜いてもらうことができる。好きなように性欲を解消できるのよ。」「たったそれだけの変更をしただけなのに、これだけ世界が変わるものなのね。くすくす…」

 「そんな…でも…女性の競争は厳しくなってるじゃないか。本当に、よくなっているのか。やっぱり絶対悪化しているんだ。」「それは誤解よ。今は過渡期。だから女性の競争は厳しいものになっているに過ぎない。その厳しさは女を美しく生まれ変わらせている。年をとらず性的な魅力が格段に増した。すばらしい進化よ。」「しかし…」「過渡期を過ぎれば、さらに変化が訪れる。もはや女たちは競争をする必要がなくなるのよ。」

 「競争をする必要がなくなる?」「そう。変革が進めば進むほど男性の数は減少し、ついには…あなた一人になるのよ。そうなったとき、競争はむなしくなり、あなたを王とした共有が始まる。時間は永遠となり、死も苦痛もなくなる。そうなれば、世界に男があなたしかいなくなっても、女たちはいつまででも待つことができる。受胎の必要もなくなり、競って妊娠しようとする義務に隷従する必要もなくなる。そうなれば、あとは快楽だけを求めて永遠を過ごすことができるのよ。」

 「あと少しだよ。それで世界は完全に変わる。さあ、私たちと一緒に天国を作りましょう。」美女たちはアパートの裏からさらに僕の手を引いて、表へと連れ出した。夢幻時空に入った以上、もはや体の相性は関係ない。いかに多くの精を僕から引き出すかだけが問題となる。僕は3人に手を引かれ、アパートに無理矢理引きずり込まれるのだった。

 「ぽ、ポッティ! いったいどこに…」僕は必死で抵抗しながら、ポッティの名を呼んだ。が、ポッティからの返答は一切ない。

 「くす…いよいよね。」「翔さま…あなたにはもう…奴の姿が見えないのですね。」「淫夢によってあなたの心が汚れ、もはや奴の声も姿も届かない…」「なっ…」「ポッティは、さっきからずっと、翔さまのそばにいて何かをわめいているようです。もっとも、今のあなたには見栄もしない死聞こえもしませんけどね。くすくす…」

 な…なんてことだ! ポッティは、僕が目覚めてからずっと、僕のそばに居続けたというのか。僕は彼の姿を見いだせない。それはつまり…それだけ僕の心が汚れているということなのか。

 確かに、ポッティは言っていた。僕の心が悪や欲に染まれば染まるほど、淫欲の虜になればなるほど、ポッティの姿が見えにくくなると。あの夢の、ハーレムラビリンスで、そしてこれまでの淫らすぎる戦いによって、僕はかなりの程度性欲の虜になっていたらしい。今日起きたときにはもはや、唯一神の姿が見えないくらいに汚れてしまっていた。

 考えてみれば、僕がテレビを見ながら外へ出ようとしたことや、彼女たちの逆ナンパにあっさり応じてしまったことなど、以前の僕からすると考えられないような選択をしていた。まるで自分の中に悪魔が巣くってしまっているみたいだ。淫欲の内なる声に抵抗せず、いとも簡単に性欲を解消しようとしてしまっていた。

 その結果、ポッティに会えなくなったばかりでなく、女性3人に捕まり、彼女たちのアパートに引きずり込まれようとしているのだった。

 そのアパートは、半ば寮のような感じで運営されているらしかった。町内にある女子大の学生しか住めないアパートだった。小さな学校で、そこに住んでいるのはこの3人の女子大生だけのようだ。そうでなければ他の学生も襲いかかってくるはずだから。

 僕は畳の部屋に連れ込まれた。即座に女たちが行動を開始する。僕の後ろから、一番背の低い短パン娘が抱きついてきた。彼女の生足が僕の足にこすりつけられる。「半ズボン同士、仲良く遊ぼう?」きめの細かい太ももの肌触りが僕を狂わせた。

 短パン娘は僕の半ズボンをあっさりとおろしてしまった。半ズボンは足かせのように僕の足首を包み、簡単には逃げられないようになっている。

 スベスベの手が優しくペニスをさすり始める。短パン娘が後ろから手を伸ばし、右手で優しくペニスをこすっているのだ。僕は思わず前屈みになった。玉袋から裏筋、カリに至るまで、すべすべと生手がペニス全体をさすりあげる。股間に広がるくすぐったさで、僕は腰をくねらせて悶えた。彼女の足は相変わらず僕の細い足にこすりつけられている。

 右手と左手のひらが交互に、ペニスを後ろからさすりあげてくれる。小さな玉袋ごと滑る女手の感触は、えもいわれぬ心地よさだった。彼女の手の動きはだんだん速くなり、さする手つきもなめらかになっていく。ペニスよりも大きな女子大生の手で次々と撫でられると、しごきたてられるのとはひと味違った安心感と心地よさに包まれてしまう。

 ショートカットの女子大生は、右手の親指と人差し指で亀頭を包み込んだ。そして残りの指と手のひらでペニス全体をつかむと、左手を小さな玉袋に添えてさすりながらもにゅもにゅと揉みしだいてきた。「うああ!」急に電撃のように快感が走り抜ける。すでに体内に大量の精液がため込まれ、今すぐにでも出したくなっていたため、僕はあっという間に高められ、こみ上げてしまう。

 女子大生の手の中で、ペニスは精液を噴き出した。精液はあっという間に消えてなくなり、さらに世界を深刻な方向へと変革していく。

 後ろにはりついていた童顔女子大生は、僕に抱きついたままゆっくりと後ろに倒れた。年上の女性の力にはかなわず、また快楽に酔いしれて脱力していたため、僕はあっさりと仰向けに倒されてしまった。

 僕が倒れたところはちょうどよく敷き布団が敷かれてあった。「いつも私が寝ている布団だよ。女の布団って、何か興奮するでしょ?」そういって浴衣ポニーテールの女子大生はいたずらっぽい笑みを浮かべたまま、僕に近づいてきた。この部屋は彼女の部屋らしい。

 「あっ、だめっ!」ショートカットの女子大生は、仰向けに寝ている僕の頭上位置に座り、僕の手をつかむとぐいっと自分の太ももの間に挟み込んだ。彼女の両手はしっかりと僕の手首を握りしめ、手のひらに生足の感触を刻みつけている。僕はバンザイの格好をさせられたまま、同時に両腕を拘束された格好になる。

 そんな僕の足下に、一番大人っぽいセクシーな女子大生がしゃがみ込んだ。露出された肩がとてもスベスベでみずみずしい。彼女は僕の小さなペニスを片手指先でつまむと、不敵にして優しい微笑みを浮かべたまま顔を近づけていった。「なめちゃうぞー…」

 くちゅ。亀頭がぷるんとした唇に包まれた。同時になめらかな舌先が亀頭全体を素早くなめ回す。「ひゃうっ!」火のような快感が股間から全身へと駆け抜ける。彼女は唇を離すと、亀頭とカリの敏感なところを素早くなめ回し始めた。ピチャピチャといやらしい音が部屋に響き渡る。

 ペニスはあっという間に反応した。夢幻時空の中では、射精直後でも関係なく、すぐに性欲がぶり返すし、いくらでも射精ができる。もちろん、出せば出すほど、世界はカリギューラよりになっていくのだ。

 右足首を半ズボンの美少女に捕まれ、左足首はセクシー女子大生の体に押さえつけられている。両手は、僕の上半身を少し起こしてペニスを丸見えにさせているポニーテールの股の間だ。こうして僕は四肢を固定され、ペニスをセクシー女子大生のいいようにもてあそばれるのだった。

 彼女は小さなペニスを丸呑みにすると巧みに舌を暴れさせながら激しく唇でしごき始めた。僕が快感に包まれるのを見計らった彼女は一気に精を抜きにかかった。「あうう!」急激に性感がこみ上げ、僕は身をよじってぶるぶる震えた。次の瞬間、白濁液が彼女の口に放出されてしまう。ペニスの前で妖しくほほえむ彼女の胸元は、今にもはち切れそうなばかりに膨らんでいる。

 セクシーな女子大生は、前屈みのまま僕を優しく見つめた。重力で引っ張られた胸元は、肩まで露出された服のせいでしっかり谷間を僕に見せつけ、もはや半分以上見せているといっても言い過ぎではない。

 彼女はペニスを舌先でも手足簿ながら、左手で自分の胸元のボタンを外した。もともときつく閉めていた胸元が、一つボタンを外しただけで、膨らんだ肉の弾力によって一気に広がり、他のボタンも一気に外れる。あっという間に、彼女の乳房があらわになった。

 次の瞬間、ペニスが彼女の大きな乳房に包み込まれてしまった。「さあ、ドクドクと噴き出してみなさいよ!」「ふぅああっ!」感じやすくなっているペニスがおっぱいの肉に翻弄され、ピクピクともがいている。子供の僕のペニスが小さすぎるのか、逆に女子大生の胸が大きすぎるのか、ペニスは完全に谷間に埋没して見ることができない。しかし、僕の股間で激しく上下する柔らかい固まりの蠢きは、確実に性感神経を直撃し続けていた。

 むぎゅうう! 女子大生は左右から強く乳房を圧迫してきた。「くっそ…」僕は渾身の力を込めて腰を踏ん張り、射精しないようにがんばり続けた。しかし、夢幻時空で弱体化させられ、しかも大人の若い女性が3人も相手していて、我慢しきれるものでもなかった。女子大生はおっぱいを左右交互に激しくしごき始める。

 「うぐっ!」僕は胸の谷間から白い液体をこぼしてしまった。ペニスは脈打ちながらも、止まらない乳房の攻撃にさらされ続けている。「このまま押さえつけて射精させ続けてあげる。」そ、それだけはなんとしても避けなければ。僕は体をよじって彼女たちから逃れようと抵抗したが、存外に強い大人の女性の力をふりほどけるはずもなかった。

 こちょこちょこちょ…「ひゃっ!」突然体の力が抜けた。ポニーテールの女子大生が両手指先で僕の乳首をくすぐってきたのだ。抵抗力を奪われ、仰向けにぐったりしてしまった。そこへ怒濤のパイズリが一気に押し寄せる。玉袋ごと柔らかくしごかれ、クスクス笑う色っぽい女子大生の餌食になって、僕はまた射精してしまった。

 僕はポニーテールの女子大生に上半身を起こされた。セクシーな女子大生はペニスを乳房から離す。僕は膝を突いて布団の上に起こされた。

 そこへ一気に女子大生たちの舌が襲いかかる。セクシー女子大生が僕の乳首を舌先と指先でかわいがり、上半身全体を撫でさすってくる。半ズボンの眼鏡娘は首を激しく振りながらペニスを唇でしごきまくった。根本や玉袋に容赦なく柔らかい手のひらや指先を這わせながら、手と唇で暴をしごき続ける。

 ポニーテールの娘の攻撃が強烈だった。足を開いた僕の股の下に潜り込み、両手で僕の小さなお尻を左右にかき分けると、突然顔を押しつけてきた。そして素早く蠢く舌先でアナル周辺を丹念になめ回し始めたのだ!

 チロチロと滑り這い回る女子大生の舌は、お尻の穴周辺から会陰にいたるまでなめらかに動き回り、くすぐったい刺激を送り込み続けてくる。半ズボンと協力して、玉袋も会陰も容赦なく細い指先の餌食となった。

 僕は前屈みになって快感に悶えた。しかし、半ズボンのかわいらしい女の子は深く深く僕の股間に貼りつき、執拗にフェラチオし続けている。そしてますます奥深くへと、後ろからの舌先がアナルを刺激するのだ。

 程なくして僕はまた射精してしまった。しかし彼女たちは責める手を休めない。それどころか、半ズボンの首がますますひねりが加わり、アナルをかわいがる舌先が力づよく、なおカススピーディに動きまくるのだ。

 「どお? 私たちの秘密のバイトの成果だよ。」そう言ってセクシーな女子大生は乳房をあらわにしたまま僕の唇を奪った。

 唾液がふんだんに混じったいやらしい舌の音ばかりが部屋中にこだまする。ときおり僕のうめき声が混じるが、それは僕の精が彼女たちに奪われたことを意味する。彼女たちは交代しながら、必ず誰かがフェラチオ、別の人がアナルをかき回した。残る一人が手や舌やおっぱいで僕の全身をまんべんなくかわいがった。僕は耳の穴まで舐められながら、誰かの口に精液を提供するしかない。アナルをとらえられて力が入らず、逃げることさえできなかった。

 そろそろ膝が痛くなってきた頃、僕は再び仰向けに寝かされた。今度は足を大きく広げられ、ペニスが3人の前に無様にさらけ出される格好となった。彼女たちは次々と服を脱ぎ、ついに全員が全裸になってしまった。

 うつぶせに寝転がったセクシー女子大生がアナル担当。指先で絶妙にいじくりながら舌先を素早くねじ入れ、激しくなぶりたててくる。

 ペニスは残り二人の手や舌の餌食となった。激しくしごかれながら、ピチャピチャと素早く亀頭周りがまめまくられる。噴出した体液は空中で消え、世界を変革してゆく。

 僕は若々しい女子大生たちに逆レイプされているのと同時に、絶妙な風俗テクニシャンたちにも徹底的に責めまくられているのだ。世界の最後にいたる種を絞り尽くすにはちょうどよい相手だったかもしれない。

 「まだまだよ。」半ズボンのところだけ雪のように白く、生足部分がほんのり日焼けしている女子大生は、眼鏡を外してもかわいらしかった。童顔の丸顔が、肉付きのいい肉体が、僕を興奮させ続ける。

 彼女は僕の腰にまたがり、ペニスを両足で挟み込むと、股の間に大量にローションを垂らした。悩ましいため息を漏らしながら、彼女はゆっくりと腰を上下させ始めた。

 ぬめぬめと絡みつくオンナ表面と、容赦なく締めつける太ももの感触が一気に襲いかかった。彼女は体をひねって、僕に対して横向きになり、手を後ろについて腰だけを激しく上下させてきた。

 その間もセクシー女子大生がアナルナメや玉袋いじりをやめることがない。素股女子大生は体を右に向けたり左に向けたりしながら、執拗にペニスを太ももでしごきつづける。

 射精しても彼女のむっちりした太ももはしつこくしつこく棒をしごきあげ続けた。その様子はもはや見ることができない。ポニーテールのお姉さんが自分の乳房にローションを塗り込み、その体で僕の上半身に覆い被さってぬめぬめとこすりつけてきているからだ。僕は上半身や顔面に大人の女性のおっぱいの感触を刻みつけられながら、身もだえし続ける他はなかった。

 ふと女子大生たちが離れた。それは交代のためだった。セクシー系なお姉さんがペニスをおなか方面にそらしながら、僕の腰にまたがってきた。その様子がよく見えるように、ポニーテールも手のひらで上半身をさする攻撃に移っていた。

 セクシー女子大生は、背中をこちらに向けて、おなかにそらされているペニスの上に軽く乗ってきた。ペニスは彼女のお尻の肉にむっちり圧迫されている。「ほら…見てごらん。大人のお尻ってこんなに膨らんでるのよ?」

 その通りだった。形のいいヒップは僕の華奢な体をはみ出すくらいに大きく、腰からしっかりと突き出ている。どこまでもめり込んでしまいそうな肉付きの良さは、彼女の乳房と同様の柔らかさと弾力だった。

 ペニスは彼女の臀部に圧迫され、棒部分はしっかりと割れ目の付け根からオンナ表面までに挟み込まれている。彼女は前後になまめかしく動き、反り返ったペニスをお尻でしごき始めた。

 なめらかな腰の動きが徐々に速くなると、お尻ならではの柔らかさと弾力がペニスをしごきあげた。むにむにと柔らかくつぶれる臀部が、僕の腰の上で様々に形を変えていやらしい。ときおり前後だけでなく左右や回転やひねりなども加わり、いきり立ったペニスをこれでもかと翻弄した。

 結局彼女にも数発抜かれてしまう。

 「じゃあ次は私ね。」ポニーテールの女子大生が腰にまたがった。彼女は正面を向き、騎乗位の格好でペニスをオンナ表面の割れ目で挟み込んだ。

 ポニーテールの美女は右手でペニスをしごきながら、ゆっくりなまめかしく腰を前後させ、手とオンナ表面で棒をしごき続けた。

 だんだん体の動きがリズミカルになる。腰の前後運動に勢いがついて、ポニーテールの全身が激しく上下する。彼女の指先が亀頭を執拗にしごき、それ以外の部分はぬるぬるした性器がこすりあげている。

 精子は止めどなく女子大生の股から発射されている。それでも彼女は腰の動きを止めることがなかった。

 そろそろ…ピンチになっているはずなのだ。しかし、指先に神通力は宿らない。ポッティが見えなくなっていては、この力は発動されないというのか。

 あの淫夢以来、僕の心は汚れてしまった。セックスの快楽を心のどこかで受け入れ、望んでもいた。そのために自分自身にいいわけをするようになっていた。その結果、純真な者にしか見ることのできないポッティの姿が見えなくなり、ポッティが与えてくれた指先の魔力が使えなくなった。このままでは、本当に世界がカリギューラの手に落ちてしまう。

 「さあ…ほんばんはここからだよ…」ゆっくりとかんで含めるように、丸顔の女子大生が妖しい声でささやく。そうだ、彼女たちはまだ、挿入すらしていないのだ。すっかり興奮してしまった女子大生たちのオンナからは、淫乱な甘い香りを漂わせながらしっとりと女の体液をしたたらせている。いつ挿入されてもおかしくはない。

 夢幻時空で戦っている女性のアソコは、一種の化け物になる。かおり先生がそうだったように、膣内が名器化するはもちろん、内部に無数の触手が出て、ペニスを締めつけながら同時に感じやすいところを的確に刺激し続けるんだ。こんな膣に、しかも3人も入れてしまっては、今度こそ世界は助からない。

 「例の力が使えない今、私たちで一気にハメて、最後の一滴まで搾り取ってあげる。その先こそ、真実のパラダイス! いかなる苦悩や苦痛もなく、争いも不運もない世界! 快楽に満ちあふれたすばらしい世界を!」

 「だ、だめ…そんなの…すばらしい世界なんかじゃあないんだ。」「…アンタには分からないだろうね。大人になったときに、ツキというものがどれほど大きく影響するか。生まれ持った外見、就職するときにたまたま引き起こされた世界不況、性別によって就職難となる現実。…努力や実力が一切吹き飛ぶ《運・不運》のあまりの残酷な力!」

 「がんばっても報われない、逆にがんばればがんばるほど裏目に出る。それも、思わぬイレギュラーや不可抗力によって、いわば運の悪さによって引き起こされる不幸。」「それでも一切合切を自分のせいにされる大人の世界の厳しさ。」「カリギューラさまの新世界は、そんなもののすべてを破壊し尽くしてくださる。運も不運もない。一切が自由であるが故に《悪》という概念がなくなり、同時に資源が無限大に手に入るために経済というものも存在しなくなる。すべてを争わずして手に入れることができる新世界!」「それのどこが間違っているというの!? 人の苦労も知らないくせに。」「うぅ…」

 「いいえ、就職だの、運だの、そんな小さな話ではないわ。生きることのすべてが快楽のみで構成され、老いることも、病気になることもない。もちろん、死ぬこともなければ生きる退屈も存在し得ない世界。嗚呼、われらは、すべての人間は、そんな世界をこそ渇望する! それを与えぬ神はただのクソヤローなんだよ!」

 違…う。どこかが違っている。カリギューラの新世界は、確かに人間にとって魅力的に映るのかもしれない。そして、幸せ一辺倒の新世界を与えなかったポッティは、カリギューラにとっても人間たちにとっても、クソヤローにしか映らないのかもしれない。しかしそれでも…何かが違っている気がする。それがなんなのか、うまく言えないだけなのだ。

 「ああっ、ポッティ!」僕は心の底から叫んだ。何かを払拭しなければならないその一心で、僕はポッティの名を呼んだ。

 すると、僕の目の前に小さな白いてるてる坊主が現れた。「ぽっ…」「…やっと、再会することができたね、翔君。もっとも、私はずっと君のそばにいたのだが。」「ああっ…」

 僕は強い安心感に包まれた。それは、彼女たちとの淫らな宴によって毒された、くすぐったい体の疼きや性的な興奮を一気に静めてくれる者でさえあった。

 「詳しい話はあとだ。翔君、今はこの夢幻時空を乗り越えることが先だ。」「おのれ、絶対にこの理想郷を実現させるのだ!」女子大生たちが息巻いた。

 「だまりなさい!」ポッティが今までにない強い調子で一括した。「カリギューラよ、聞いているだろう。今一度言う。おぬしは間違っているのだ。すべてを快楽で満たす世界は真実のパラダイスではない。それは…お主たちがいる地獄や魔界とさして変わらないだろう。地獄は人間が行き着くところ、魔界が魔族の行き着くところなら、おぬしの言う新世界は地獄そのものである。」

 「なにを…ポッティ、まだそんなごたくを言うのか。お前は人間を苦しめて楽しむサディストに過ぎない。それが唯一神の本質だ。まったくお笑いぐさだね。」女子大生たちの口を借りたカリギューラが皮肉な笑いを付け加えた。「以前にも言ったことだが…もっとも、数千年以上も昔なので忘れておるのだろう。快楽と歓喜は違うのだよ。本当に価値があるのは歓喜である。生きていてよかったと心の底から思える喜びである。それは、快楽によってももたらされるが、快楽だけで十分に味わえるものではないのだよ。まだそれが分からないのか。」

 「ふん。分からんな。苦痛が歓喜になるだと? そんなことはあり得ない。そんなごたくは所詮、《勝った者》に快楽を与えることを正当化しているだけだろう。」「…では聞くが、魔界は快適かね? 文字通り快楽しかない世界は。」「ああ! 快適だね!」「何千年も生きてきて、そこに喜びはあるかね?」「ああ! 魔界は喜ばしいね。この私がこの数千年、貴様への復讐に燃えることができて、歓喜にあふれているぞよ。」「それは魔界によって与えられた快楽ではなく、自らの目標のために全力で努力し、計画のために魔力・労力を費やすことの苦痛を受け入れて醸成された歓喜ではないのか。方向性は間違っていたが、おぬしの数千年は快楽一辺倒ではなかったはずだ。」「う…うぬ…」

 「私があの時、お主たちのように人間に快楽を与えようとする派閥に対して、断固反対し、唯一神の権限によってその派閥全員を魔族として魔界に送り込んだのは、実際に快楽一辺倒の世界で過ごしてもらって、自らの過ちに気づいてほしかったからなのだが…お主たちは魔界で退屈しながらなおも反省しないとは。」

 「言ってることがわからんなあ。魔界がすばらしいと思うから、人間の世界も同じような快楽に満たしてやろうというのだ。くっくくく…その計画もあと少しで完成する。私の勝ちだポッティ!」「…カリギューラよ、今のお主は輝いておるなあ。喜んでおるなあ。そんな気分、快楽のみで満たされたら誰も味わうことができないのだがね。不運や不幸、資源の乏しさや苦悩があるから、努力があるから、生は楽しいのに。」

 「もういい! お前との口論にはこっちはとっくに飽き飽きしてるんだよ! 今こそとどめだ! さあお前たち、翔をその肉壺で悦ばせてやるのだ!」そう言うとカリギューラの声色が消えた。意識も女子大生たちに戻ったみたいだ。

 「くすくす…」三人の女子大生たちが完全に僕を取り囲んだ。色っぽい女子大生が再び僕の頭を膝に乗せ、僕の上体を半ば起こしてくれた。ポニーテールのお姉さんは、しきりに玉袋をさわさわとさすったりくすぐったりわきわきと揉んだりしながら、左手でしなやかに会陰やアナルをこねくり回している。

 そして…足の太めなショートカットの美女が、僕にまたがってきた。隆起したペニスを片手で軽くつまみながら、優しくしごいてくれている。先端にオンナ表面が近づいてくる。彼女がゆっくりと腰を落としてきているんだ。前かがみになって位置をたしかめながら、じらすように挿入を楽しんでいるふうだった。

 上半身を無理矢理起こされているために、ペニスが入っていくシーンを目の前に見せつけられ、いやらしい光景があらわになっていく。そうしている間も、僕の手首はひねられ、がっしり掴まれて、あの指先の力が発揮できないようになっている。

 もともと心に悪が宿り始めてから、神通力が使えなくなっている。今もそれは変わらない。しかし、ポッティが見えるようになったのだし、もっと心が澄んでくれば、あの危険な指技も使えるようになるかも知れない。だが、これを見越したカリギューラと女子大生たちは、先手を打って、僕の手首を固めてしまっていた。これでは、仮に力が戻ったとしても、彼女たちの肉体を突くことができない。このままでは敗北は確実であった。

 ちゅるん! 亀頭がわずかにオンナに飲み込まれたかと思うと、次の瞬間にはペニス全体がすっぽりと吸い上げられ、魔性の膣に完全に収まっていた。もはや淫魔と化した女子大生の女性器は、人間のものではなかった。内部が触手で満たされ、あっという間にペニスに絡みついて、自ら膣奥へと吸い上げてしまったのだ。その直後、ショートカットのお姉さんの体重を腰に感じた。

 「うわああっ!」

 入れた瞬間、ペニスから股間全体に、鋭い快感が走った。三浦さんと闘った時と同じような、あるいはそれ以上の感触だった。

 三浦さんの、どちらかというと単調な締まりや蠕動とはあきらかに違う、複雑かついやらしい動き方であった。内部では四方八方から触手がペニスにまんべんなく絡みつき、細かくうねりながら性感神経をこれでもかと刺激してくる。全体も大きく蠕動し、ペニスをやわらかく揉みしだいている。

 小学生とはあきらかに異なる、おとなのレディの成熟した感触だった。

 僕の小さなペニスをすっぽり包み込み、大人の圧力でぎゅうっと海綿体を圧縮する。それでいて僕の腰全体をやわらかく包み込む優しい色気に満ちあふれているのだ。

 お姉さんは僕が悶える様子をよく見ようと、再びメガネをかけた。するとこちらからは、よけいに彼女の目がぱっちりするように見え、彼女の魅力が上がった。

 「ほら…足を開いて。」僕の足下にはりつくポニーテールが、両足をぐいっと押し広げた。これで僕の下半身は、女子大生たちに対して完全に無防備となった。彼女は僕の膝をがっしり掴んで両足を開かせたまま、結合部に顔を近づけ、再び玉袋のあちこちを舐め続けた。

 「あぐ…!」ガマンなどできるはずもなかった。僕は一気に高められてしまう。だめだ…これ以上出してしまっては、世界がますますおかしくなっちゃう。股間のしびれるような感覚の中で、いつ爆発してもおかしくなかったが、これ以上世界を歪ませてなるものかという強い思いが、すんでのところで射精をふみとどまらせた。

 「へえ。私の中なのにがんばるんだね。」お姉さんはふとももをスリスリと僕の体にこすりつけながら、優しい手つきで上半身を撫で回してくる。負けるものか…ペニスにひっきりなしに送りつけられる快感に身もだえしながら、僕は女子大生たちと闘っていた。「クスクス、あとどれくらい耐えられるかしらね。」

 ポニーテールのお姉さんが、指を下にして僕の小さな玉袋を手のひらで包み、やわやわと揉みながらスベスベと全体をさすり始めた。

 僕は呼吸を整えながら、イキそうになっては止め、またこみ上げてくる射精直前の感覚と戦っては抑え…波を必死に耐えた。

 「…こんなのはどお?」オンナからちゅくちゅくといういやらしい音が大きく響いた。「ひああああっ!!」「コレすごいでしょう? 私の伸びたヒダがぜぇんぶキミの亀頭だけをくすぐっているんだよ?」

 さっきとはあきらかに刺激が変わっていた。彼女たちは膣内の触手を自分の意志で自在に操ることもできたのだ。

 オンナ内部のすべての触手が、ペニス先端に集まってきていた。一本一本がそれぞれ別の動きで、それでいて一本一本が的確に性感部位をくすぐりながら、全体で強烈な快感攻撃をくり出しているのだ。

 まるで舌みたいに、亀頭全体を触手が這い回る。無数の触手はカリを中心に先っぽばかりを舐め回し、一番感じやすいところだけを執拗にねぶり、こねくり回し、こすりあげていた。

 「あっ! あっ! ああっ!!」僕は先端のくすぐったい感覚が股間の奥に伝わっていくのを感じた。ピンポイントへのしつこい攻撃で、これまで寸前で踏みとどまっていたものが一気に崩れた。

 全身が脈打つ。僕はガクガク震えながら、体の奥にたまっていた体液を一気に放出した。強烈すぎる快感が全身をかけめぐる。射精は1分以上続いた。

 「じゃあ、今度は動くよ?」女子大生は結合を解かぬまま、全身を上下に激しくゆり動かし始めた。「うあー!」僕は上半身をのけぞらせたが、その動きさえもセクシーな女子大生の膝枕の上では、やわらかい肉に余計にめり込むばかりであった。

 ペニスがオンナに激しくしごかれ続けた。さっきまでの動きに加えて、全体がすばやくペニスをこすりあげている! 女子大生の小刻みな上下運動は、小さなペニスを大きく激しくしごきたてるのに十分な動きだった。

 出したばかりだというのに、僕はまた高められてしまった。僕はなんとか射精しまいとふんばったが、内股を優しくさするポニーテールの手の動きに脱力した一瞬、オンナの快楽が一気にダイレクトに下腹に伝わり、あっという間に絶頂を許してしまった。

 萎える気配を一向に見せない。疲れも痛みもない。このまま女子大生たちに最後の一滴まで搾り取られ、世界は終わってしまうのだろうか。

 「じゃあ、次は私の番ね。」ポニーテールの美女が起き上がり、四つんばいになってお尻をこちらに向けた。僕の体は無理矢理起こされ、いやがる僕を力づくで導くと、彼女のやわらかくて大きなお尻に、僕の腰を押しつけた。

 すると、彼女の膣から無数の触手が伸び、ペニスにがっちり絡みつくと、一気に吸い上げてきた。あっという間に、僕はバックの体勢でポニーテールのオンナに結合させられてしまった。髪にウェーブをかけた美女が腰をかがめ気味にして、僕の背中にぴったりとはりついた。ポニーテール女子大生がぐぐっと体重をかけてくると、僕の上半身は彼女の背中にぴったりくっついてしまう。

 「動くよ?」ポニーテールはお尻だけを上下左右に色っぽくくねらせ始めた。ランダムな動きでありながら、オンナ内部はしっかりと、ペニスが最高に悦べる状態を作り出していた。

 前方にはポニーテール娘のしなやかな背中が密着し、後方にはウェーブ嬢の胸やおなかが密着している。ムニムニと前方から挟んでくるやわらかい感触は、いやがおうにも僕を安心させ、かつ興奮させ続けた。大人の女の柔肌の感触が、僕の体の前後にすきまなく刻みつけられる。

 女たちの若い肌触り、そして彼女たちのなまめかしい動きと、ペニスを容赦なくむさぼり続ける膣の動きは、まったく別個、独立したものだった。

 ペニスを引っ張るような触手の動きが激しく棒をしごきたてながら、女子大生のいやらしいお尻の動きで全体が優しく揉みしだかれている。こうした基本的な動きに加えて、触手の一つ一つがうねうねと蠕動しつつ、ぶるぶると機械的に振動し続ける。

 「あふぅ…」僕はお姉さんの背中に上半身をもたれかけて半ば彼女に体重を預けたまま、彼女のオンナと腰に酔いしれ、脱力していた。スベスベと僕の細い腰をすべる大きなお尻がこすりつけられ、何とも心地よい。

 「ほらほら。キミも動きなよ。」メガネをかけた全裸娘が、ガシッと僕の腰を掴み、前後に激しくゆり動かし始めた。それに併せて後ろの女子大生も自分の下腹部を前後させ、僕の腰を無理矢理突き動かしてくる。

 「あああっ!」僕は一気に強い快感に包まれた。ごぽぷっ! 次の瞬間には、考える暇もなく精液が女子大生のオンナに注がれた。

 彼女はペニスを抜くどころか、ますます強くお尻をぐいぐい押しつけてきた。体重を預けていた軽い僕は、あっさりと彼女のお尻に持ち上げられ、左右2人のお姉さんも手伝って、結合したまま簡単に壁際に追いやられてしまった。

 大人の女のやわらかいお尻と、硬い壁の間に挟まれてしまった。すかさず僕の両側に2人の女子大生がはりつく。これで、背後は固められ、前と左右はお姉さんたちのやわらかい肉体によって包まれ塞がれてしまった。

 彼女たちはそのまま動かない。「ふふっ…今度は吸ってあげる。」ポニーテールのお姉さんがぐいっと腰を持ち上げると、かろうじてつま先で床についていたのに、完全に体が浮いてしまう。これで100%、結合しながら全体重を彼女にかけてしまうことになる。僕の重みは容赦なくお姉さんの臀部を押しつぶし、ムニっとやわらかく歪めていく。その代わり女体の弾力もじかに僕の腰に刻みつけられるわけだ。

 「!」

 不思議な感触が股間を包んだ。内部の触手がペニスに絡みつくのをやめ、奥に引っ込んだかと思うと、一体何をしているのか、オンナが変質し始めたのだ。

 もともと密着はしていたが、ペニス先端のさらに奥が引き締まり、ぐいぐいペニスを引っ張っている。まるで子宮が真空になり、ペニスを吸引しているみたいだ。小さな棒は引きちぎられるかと思えるほど強く奥へ奥へと引っ張られ続けている。

 それに伴って、オンナの締まり具合が格段に強く甘くなった。掃除機のような強い吸引によって、膣壁も急速に収縮しているのだ。まるでオンナ内部でペニスが真空パックされているみたいだ。

 「あぅ…はぅあぁっ!」僕はお姉さんのスベスベの背中に抱きつきながら、あまりの心地よい感覚に脱力し、にぶいうめきと深いため息を漏らさずにはいられなかった。完全に空気を抜いて圧迫されるペニスの感覚は、体の奥からじわじわと鈍い快楽を呼び起こしている。文字通りペニスを吸われ続け、内部に急ピッチでため込まれた精子も吸い出されてしまいそうだ。

 さっきまでの、直接ペニス表面がくすぐられるのとは明らかに違う感覚だった。尿道の奥が犯されている。ペニスよりも体の奥の方がずっとくすぐったい。

 何日も射精せずに性欲が疼いてお尻の奥がくすぐったくなるのと同じような全身の感覚が、ずっと強まって僕の体内を駆けめぐっている感じだ。

 僕の上半身は完全にポニーテールの背中に乗せられてしまっていた。右側にはりついていた美女が、さらに僕の背中に覆い被さり、やわらかい胸を押しつけてくる。それでいて、下の女性の負担にならないよう、体重を過度にかけてくるようなことはしてこなかった。

 それでも、上下に密着される心地よさは変わらなかった。左右からも容赦なく女体が密着してくる。

 彼女たちはそうやって僕の全身を包み込んだまま、微動だにしなくなった。お姉さんたちの体内の呼吸音が伝わってくる。ただひたすら、ペニスが奥へと吸われるばかりである。

 「あが…。」僕は悶絶一歩手前にまで追いつめられた。体の奥のくすぐったい疼きは限界にまで強くなり、もう少しでイキそうになっている。だが、その「もう少し」がなかなか訪れないのだ。

 彼女たちが動かない限り、ペニスが直接刺激されることはない。包まれる快楽は存分に味わえるのに、それ以上しごくことも揉むこともないので、射精に至るわずかな刺激、とどめの一手がない状態なのだ。

 射精直前の、あの多幸感がこみ上げてくる。腰がとろけてしまいそうな、脱力を強要する強烈な快感が、じわじわとこみ上げてきては全身をくすぐったく苛む。いつもなら、この1秒後には脈打ちが始まり、精液が勢いよく噴き出すのだが、そこに至らずに止められてしまっている。

 「うぅ…」腰を突いてオンナでペニスをしごきたいと思っても、前方のお尻と後方の壁に完全に挟み込まれ、前後に動かすことはできない。体が浮いている上、背中もおなかも女体にサンドイッチされているので、上下にも動かせず、ましてや、左右にはお姉さんたちのおなかや腰や生足が迫るように密着していて動かせない。

 ペニスが激しく吸われているので、小刻みな動き程度では(ほとんどそれさえもできないのだが)、ペニスに刺激を与えることはできない。つまり僕は、ずっとイク寸前の気持ちよさを味わい続け、身動きが取れないまま至高の快楽をたたき込まれっぱなしになっているのだ。これが、彼女たちの言う「吸う」攻撃であり、逃れられない快感地獄なのである。

 この体勢のまま、脱力して、僕はうめきながら、じわじわ迫る快感の波に酔いしれていた。だが、どうしても、直前の快楽から逃れることができず、射精することができない。寸前まで迫ってきているにもかかわらず、あと一歩のところで、律動に至らず終わってしまう。ペニスに与えられるじわじわした快感の波は衰えることなく僕を悦ばせているというのに、いつまで経っても終わりがないのだ。

 「クスクス。イキたい?」「い…イキたい…!」「じゃあ、ポッティのことなんか忘れて、快感一色に心の底から染まりなさい。そうしたら動いてあげる。ここまで寸止めされて、ぎゅうぎゅうに溜め込まれた精子を一気に吐き出すんだから、これまでに味わったことのない気持ちよさよ。」「あうう…」

 そう、だ。ポッティ。ここで僕が快楽に屈してしまえば、この世界は快楽の闇に包まれてしまう。悪魔への隷従は、確かに今の僕が味わっているように、幸福そのものなのだろう。だが…何かを奪った上での幸福でしかないのなら、それが何か大切なものの犠牲の上にのみ成り立っているのなら、その快楽は偽物だ。

 「僕は負けない。負けたくない。でも…逃れる術が、分からないんだ!」「そう…あなたはもう逃げられない。そして、逃げる必要もない。くっくくく…」

 「やむをえない…翔君、ここから先はキミの試練となる。カリギューラを完全に退けるまで、君は四六時中戦わなくてはならないだろう。その道を選ぶか、さもなくば、ここであきらめるかだ。私は…一度君にゆだねてある。決めるのだ。」ポッティが叫ぶ。答えは決まっている。

 「絶対に、負けるものか! あきらめたら終わりだ。あきらめさえしなければ、必ず先がある!」「分かった。力を解放しよう!」

 そのとたん、僕の体全体が光った。「な、何ッ!?」「これは…」「まさか!」次の瞬間、僕を取り巻いていた女たちの全身が充血した。「ああ!」「ひゃあああ!」「これ…は…すごっ…あふう!」彼女たちに電流のような快感が流れる。それは、レディたちを一瞬にして絶頂に導くに十分なパワーだった。

 あまりにもあっけなく、女子大生たちは崩れ落ち、気を失った。そして、セピア色の異空間も姿を消したのだった。ポッティの力で、僕たちはアパートを瞬時に脱出し、自分の部屋に帰った。

 「ポッティ…これは…」「最後の最後…本当なら使うべきではない力の解放だよ、翔君。指先にのみ許されていた、女体を刺激する力を、全身にまで広げたのだ。」「なっ…」「パワーも格段にアップしている。ほとんどの女は、君に触れただけで絶頂してしまうだろう。あまりにも危険すぎる力だ。」

 僕は自分の部屋の中で、あまりにも強大すぎる力に恐れおののいた。「分かっていると思うが、これだけの力を“攻撃”に費やしたのだから、その分防御の方はほとんど機能していないと思ってくれ。」「…。」「つまり、カリギューラによる精神攻撃は、君を四六時中直撃し続けるということだ。君の性欲は格段に増してしまっている。わずかでも刺激を受ければ、延々と射精し続けることになるだろう。」

 「そんな…いくら無敵の攻撃力を手に入れたって…」「無論だ。そこで君が性欲に負け、射精し続ければ、世界はカリギューラの手に落ちる。君はこれから先、寝ても覚めても、性欲に打ち勝ち続けなければならない。歯止めがきかなくなれば、それこそその絶大な力を使って世界中の女たちを手込めにしながら、一気に世界を闇に傾けてしまうことになるだろう。」

 「…いったい…」「…」「一体、あと何年、こんな思いをしなくちゃいけないんだ。」僕は泣きそうになった。あれだけ射精したのに、気を失いそうにさえならない。股間はじわじわとうずき始め、少しでも女のことを考えればそれだけでイッてしまいそうになった。押さえつけるには、セックスのことから完全に遠ざかり、心の中ではねつけ続けなければならない。

 「君の選んだ道はそういう道だ。女子大生たちのピンチは脱出できたが、その分さらなる試練を受けなければならないのだ。」「…。」確かにこれは、僕の選んだ道だった。もしこれを選ばなかったとしたら、僕はあのとき根負けして、女子大生たちに屈服させられていただろう。単に試練を先送りしただけなのかも知れない。

 「安心してくれ。ガマンするのは、あと一日だ。」「一日!」「こちらはこちらで、何もしていなかったわけではない。カリギューラの力をこの地球から切り離し、世界を元に戻すために、色々と準備していたのだ。ただ、それを完成させるのにずいぶん時間がかかってしまった。だが、カリギューラに対抗する装置はすでに完成した。あとはこれに私の力を注入するだけでいい。一日あれば、すべてが完成する。」

 「あるんだ…カリギューラに対抗する装置が。」「ほとんどその場しのぎに近いものではある。本来、あれだけの大悪魔をはねのける機能を備えた施設を作るには数百年を要する。だが、地球にも、日本にも、私が作らずともすでに十分な機能を備える設備があったのだ。詳しくは完成してから伝えるが、装置が完成したからといってカリギューラを追い払えるわけではない。翔君、君の最後の協力が必要なのだよ。それまでにどうか、耐え抜いてくれ。」

 「いちにち…か…」「今は何も言ってくれるな。明後日、完成した時に必要なことすべてを話す。それまで、カリギューラの甘い罠を、精神力ではねのけ続けるんだ。」「うん。がんばるよ。」「想像がついていると思うが、ここから先はカリギューラも最終決戦を仕掛けてくるだろう。もはや人間の女を送り込んでくることはあるまい。そんなことをしても、触れた瞬間絶頂してしまうのでは意味がないからな。やるとするなら、上位の悪魔を送り込むか、精神攻撃にひた走るかだ。」「…。」

 「上級の悪魔を直接君のところに送るのは難しい。力のあるものが世界を飛び越えること自体が困難であり、さらに勝手にそれをやる者がいれば、他世界から厳格に処罰されることもあり得るからな。さらに私も翔君のそばにずっといて離れないから、悪魔が来たらその場で処罰を発動させよう。」「えっ…どこかにエネルギーを送るのでは?」「あぁ。遠くからでもエネルギーを送ることができるから、私は君のそばを離れずに一日かけて注入するのだよ。」「なるほど。」

 「そうなれば、カリギューラが打ってくる手はひとつしかない。君の性欲を跳ね上げ、女のことしか考えられなくし、全身の性感神経も超敏感になってしまうだろう。下手をすると風が吹いただけで射精などということにもなりかねない。その上で、さまざまな幻覚攻撃も打ってくるはずだ。すべては、翔君の精神力次第だ。誘惑をはねのければいい。」「…。」

 「今日はもう寝よう。」「そうだな…それがいいだろう。」「僕はどのくらい寝ていればいい?」「たぶん13時間40分後に目覚めることになるだろう。その間中、夢の中をさまよっているとは限らないが、眠っている時間は相当に長いはずだ。」「…だろうね。僕が寝ている間こそ、カリギューラが狙ってくるチャンスだからね。」

 「確認だが、夢の中でならいくら射精しても、世界に影響はないだろう。だが、そこで誘惑に屈した分だけ、起きてからがひどいことになる。君は夢で誘惑に負けた分だけ性欲のとりことなり、起きてから自分で抜き続けるか、そばにいた女性に襲いかかるようになる。もちろん女を近づけるつもりはないから、君は自分で射精し続けることになるんだ。起きてからのオナニーでも世界を闇に傾ける。カリギューラが狙うのはそこだ。」

 「それなら…ポッティ、僕が眠り始めたら、手足を縛ればいいんじゃないか?」「…いいのか?」「自分を見失うことが万一あった時の、防衛策だよ。僕がどんなに泣いて頼んで半狂乱になっても、その縄は絶対ほどかないでほしい。それで僕が壊れてしまうなら、それで負けとしようじゃあないか。」「…分かった。エネルギー注入が完成するのは、あと一日、正確には16時間ほどだ。それまでには何とかして完成させて見せよう。私も戦う。」「ッてことは、起きてから2,3時間耐えれば、何とか糸口が見つかるわけだ。」「…。縛るのは、君が起き始める頃合いだ。睡眠を妨げては何にもならんからな。」

 「じゃあポッティ、お休みなさい。」「…がんばってくれ。」「…うん。ポッティこそ。」「ああ。」顔のないてるてる坊主が、また笑った気がした。

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