部屋と言うよりダンボール置き場と化している自室の隅に置かれたベッドの上に早坂を横たえ、その上に自分が覆い被さると早坂が突然クスリと笑った。
「そう言えば、エッチするのって久し振りだよね。最後にしたの何時だったかな…」
「確か冬休みじゃなかったっけ。ホントはクリスマスにヤりたかったんだけど、丁度お互いの家族が全員集合しちまってヤる隙が無かったんだよな…。で、それから数日後にコッソリお前とヤッたのが最後。………だから」
  “だから”を強めながら下にいる早坂を抱き締めた望月はほんのりと顔を赤くして言った。
「……その…溜まってるみたい…。正月からはずーっと勉強しててヤる暇なんか全然無かったし、大学受かっても引越しやら何やらで忙しかったし……」
「溜まってる、かぁ。何か欲望任せに抱いて来そうで怖いなぁ」
「そ、そ、そんな事はしねぇよ!! マジで!! 折角の初夜を滅茶苦茶にしてたまるか!」
「初夜ぁっ!?」
「っ!あ…その、いや……」
  つい口から出た単語に目を丸くする早坂を見た瞬間に頭がカーッと熱くなり、何とかその場を取り繕うとするが既に手遅れ。結局、何も言えなくなって黙りこくってしまった望月を早坂はじっと見詰めていたが、やがてその目が細められ肩が小さく震え始めた。
「…っく…く…」
「…りょ、良ちゃん?」
「ククッ…アハハハハハッ!! そうか、初夜かぁ! 駿君、新婚さん気分なんだね」
「な、何だよ。そんなに笑う事ねぇだろ!?」
  腹を抱えて爆笑する早坂に子供扱いされた気がして不服そうに唇を尖らせると、早坂はゴメンゴメンと謝りながら瞳に滲んだ涙を拭った。
「あぁおかしい。まさか僕と同じような事考えてるとは思わなかったから…」
「えっ…?」
「だから、そのまんま。僕も君にベッドまで連れて行って貰う時に“あぁ…何か新婚さんみたいだなぁ。新婚さんだったら今夜は初夜になるんだよね”って思ってたんだ」
  また込み上げて来たらしいクスクス笑いをした後、両手をゆっくりと上に伸ばして相手の頬を包む。駿君。小さく開いた早坂の唇が親友であり想い人でもある少年の名を紡いだ。
「…僕を…抱いてくれる?」
「あ、あぁ…」
  さっきまでとは一転して艶めかしさを見せる早坂にドギマギしつつも何とか返事をして手を伸ばし、相手の服のボタンに手をかける。ボタンを一つ一つ外す度に露わになって来る相手の肌に自然と頬が紅潮する。その紅潮の原因が興奮なのか、それとも緊張なのかは分からないけれど。
「……ぅんっ………」
  服を左右に広げる事で視界に入った小さな突起の片方に舌先を付けて細かく舐ると、舌の先にあるそれは小さく膨らんでより硬度を増し、快楽を受け止めている証を見せ付ける。自分と同じように興奮しているのか、それとも緊張しているのか、シーツをキュッ…と握って頬を染める早坂に望月はこの上ない愛おしさを感じた。
「良ちゃん、かーわいー♪」
  愛しくて。愛しくてたまらないから力の限りに抱き締めて。でも、片手はすぐに動き出して下の方へと向かって。ゆるゆると動いた手が向かった先は未だ着衣に隠されている秘められた場所。邪魔な着衣の中に手を押し込んで、既にうっすらと硬くなっているそれを軽く握ると早坂の頬の紅が一層濃くなり、瞳が固く閉じられた。
「……怖い?」
  耳元で優しく囁きながらも蹂躙の手は休めない望月に無言で首を横に振っていた(その首振りは自分の問いかけへの答えだったのか、行為への拒絶なのかは望月には少し分からなかった)早坂だったが、一度大きく息を吐くと駄目…と小さく言った。
「……僕ばっかり気持ち良かったら駄目だよ…僕も、駿君の……」
「…良ちゃん?」
  思わず動きを止めた望月からゆっくりと離れて身を起こし、真正面から向かい合う。未だ状況が理解出来ていない呆け面を見せている相手に早坂は小さく微笑みかけ、視線を下に向けて微かな戸惑いの表情を浮かべて息を飲み、そのまま意を決したかのように身体を横に倒して頭を望月の膝元に近付けた。
「…っ!!ぁ……」
  友の名前すら紡げずに口を小さく開ける事しか出来ない望月の視線の先で早坂が望月の服を軽く引き下ろし、零れ出た本体を数度手で扱いて屹立させた後に、先端からゆっくりと口に含んで行く。まだ不慣れなのか含む際にギュッと目を閉じた早坂に望月は思わず首を振った。
「い、い、良いって!! まだ慣れてないんだろ? 無理すんなって!」
  彼とは今まで何度か身体を重ねては来たが、奉仕行為を教えたのはつい最近の事。無理させないで、少しずつ覚えさせれば良い。初めてそれを教えた時に、口にそれが触れただけで涙ぐんでしまった彼を見てそう思ったのだが、今目の前にいる彼は自分に快楽を与えようと必死になって不慣れな行為を続けている。無理すんな。改めて叫ぶと早坂は上目使いで自分の顔を窺って来た。
「気持ち、良くない?」
「い、いや、気持ち良いけど……さ、良ちゃん嫌だろ? 俺、無理強いはさせたくないから…その……」
気持ち良いけど。その言葉を聞いた瞬間、早坂の顔が嬉しそうに砕けた。
「良かった。気持ち良くないから止めろって言ってるのかと思った。…僕、嫌じゃないよ? 駿君のだから。僕、君の事好きなんだもん」
「…良ちゃん」
「駿君、凄いね。僕が口に入れた途端に、急に大きくなっちゃった。そんなに気持ち良かった?」
「あ、あぁ……。良ちゃんが平気なら続けて欲しい位…」
「うん、良いよ」
  頷く自分の答えに再度嬉しそうに笑顔を見せて、顔を両足の間に埋めて来る。生温かく濡れた心地良い感触が本体を優しく包み込んだ。丁寧にしてくれているのかゆっくりと動いている早坂の黒髪を優しく撫でながらも心の中の自分は呆気に取られたような嬉しいような…とにかく複雑な表情で呟いていた。正直言って慣れてないとは思えない。コイツ、才能あるのかも…。考え事をしている間も早坂の舌が動き、先端や側面を満遍なく濡らして来る。その快感によって先端から先走りが滲み出たのを感じた瞬間、早坂が小さく呻いて肩を強張らせた。
「…わ、悪い! 大丈夫か?」
「……げほっ…! …に、苦いんだね…コレって…」
「あ、そうなんだ。そう言やエロ本か何かでそう言うの読んだ事あるような…。ちょっと良いか?」
  咳き込む早坂の口元に自分の唇を近付けて優しく触れ合わせた後に舌を早坂の口内へと送ると、味わった事の無い苦味が舌の上に広がるのを感じた。
「うえっ…コレまじぃなぁ。俺、こんなの良ちゃんの口の中で出したわけ?」
  ゴメン。早坂の口の端から漏れ出ている細い唾液の線を指で拭いつつ謝罪を口にする望月に早坂は首を軽く振った。
「謝らなくて良いよ。さっき言ったじゃないか。駿君のだから嫌じゃないって」
  無垢な笑顔を見せてくれる早坂の言葉の一つ一つが胸に響き、その響きは鼓動に変わって望月を昂ぶらせる。相変わらず先端を濡らしている本体が目の前の友を求めて微かに震えた。

「…りょ、良ちゃん…俺…」
  気を抜けば吹き飛びそうな理性を何とか繋ぎ止め、相手の名を呼びながら手を伸ばす。己が侵入する静かな口に指先が触れると、触れられた方の身体がぴくんっと動いた。
「…ぅん……あっ…」
  身を微かに縮めて震える声を漏らす早坂の反応を密かに楽しみながら指を丁寧に動かしていた望月だったが、指先が待ち侘びたように中に侵入しようとした瞬間、急に小さく首を傾げた。
「うん? 何か前ヤッた時に比べて硬くなってんな」
「……あ、…はぁっ…ぁ…だって……何ヶ月もしてなかったんだよ…? その間…ずっと弄ってなかったし…」
「え? 一人でする時に指入れたりしねぇの?」
「なっ…!す、する訳無いじゃないか!そんな恥ずかしい事…」
  真っ赤になった顔を激しく横に振って否定する早坂に妙なおかしさを感じた望月はニヤリと歯を見せて、例の箇所を軽く突付いた。
「恥ずかしい事、か。でも俺が指突っ込むのは抵抗感じないんだなお前」
「そ、それは……その…もー馬鹿! 意地悪っ!!」
「ハハッ。良ちゃん真っ赤! でも、嬉しいんだぜ? その“恥ずかしい事”を俺には許してくれてるってのがさ」
「だ、だって、それは…」
「“君の事が好きだから”だろ?」
「……うん」
  自分の台詞を奪われてしまい、薄く目を閉じて小さく頷く早坂を優しく抱き寄せ、額に唇を当てながら指先をそっと侵入させる。久方振りの感触に早坂の息が微かに詰まった。ゆっくり慣らすから。小さな呻きを聞き逃さなかった望月が耳元にそっと囁きながら指を抜き、そのまま周りを丁寧に撫でていると、耳に入って来る早坂の吐息に熱と震えが加わって来た。
「…ぁあっ……はぁ………んっ…」
  慎重に指を入れ、軽く中で動かし、ゆっくり引き抜き、丁寧に周りを解す。そのサイクルを繰り返す毎に早坂の声が艶っぽくなり、震える足が少しずつ開いて来る。自然と男を迎える準備を着々と進めている肢体を見た望月は己の情欲が身体の中心をキュッと強く締め付けるのを感じた。
「も、もう大丈夫そうだな。……挿入れるぞ?」
  相手の返事を待たずに足を掴んで開き、その間に自分の腰を埋めて行く。早坂を求め続けたそれが微かに震えながら近付き、蜜にまみれた先端が接触する。その感触に理性が消え失せてしまい、本能のままに突き入れようと腰を僅かに前進させると早坂の身体がビクンッと一瞬跳ねた。
「痛いっ!!」
「!」
  耳をつんざく早坂の悲鳴に理性が一瞬にして帰還し、反射的に腰を引き離す。心臓が早鐘のように鳴るのを感じながら、望月は目に涙を浮かべている早坂の頬を撫でた。
「わ、悪ぃ。痛かったか?」
「あっ…。ぼ、僕の方こそゴメンね、大きな声出したりして…。久し振りだから感覚忘れてたみたい。で、でも…もう大丈夫だから入れて良いよ?」
「…震えてるじゃねぇかよ。無理すんなって」
  相手を気遣う言葉を口にしつつも、ひたすらに相手との繋がりを求めている身体の熱は治まりそうに無い。暫く自分の身体と相手の不安げな顔を交互に見ていた望月だったが、急に溜め息を吐いて寝台を離れた。
「……っ! しゅ、駿君っ!?」
  予想だにしなかった行動に慌てて身を起こす早坂の裏返った声を背中で感じながら部屋の隅にあるダンボール箱のガムテープを剥がしていると、寝台から飛び降りた早坂が駆け寄って自分の腕を掴んで来た。
「ど、どうしたの? 僕があんな反応したから冷めちゃった? 僕、また君に迷惑かけちゃった!?」
  目に涙を溜めつつ必死な声を出す早坂に思わずクッ…と笑ってしまい、箱を掻き回していた手を休めて黒髪を撫でると潤んだ瞳がきょとんと丸くなった。
「何慌ててんだよ。別に冷めちゃいねぇって! 良いからベッドで待ってろよ。確かこの箱に入れたと思うんだけど…」
「……? 何を探してるの?」
「秘密♪ ほら、戻った戻った!」
「??」
  首を傾げつつも促されるままに寝台に戻って横になり、ダンボールに上体を突っ込んでいる相手の後姿を観察していると箱の中に入っていた上半身が急に飛び出して何かを持っている右手を突き上げた。ニコニコと笑いながらベッドに戻り、“何か”を目の前に突き出して来る。
「あー良かった! あったあった! ほら、見つかったぞ。良ちゃんが痛がらなくなる魔法の薬♪」
「……ただのベビーオイルじゃないか」
「それ言うなって。…ヘヘッ、初めてヤッた時の事思い出すだろ。あの時も慣れてなくて痛がってたもんな」
  蓋を開けて手の平に“魔法の薬”を垂らし、そのままそれを熱い本体に塗り立てて行く。ぬらぬらと光るそれが再度早坂との接合を求めて蕾に触れた時、早坂は小さく息を飲みつつ相手の名を呼んだ。
「……しゅ、駿君…ゴメンね…」
「え? 何だよ急に謝ったりして……」
「僕がオーバーに痛がったりするから、色々と面倒な事させちゃって…」
「なぁんだ、そんな事か! 良いんだよ。無理矢理入れて良ちゃん泣かすのも嫌だし。…やっぱりさ、優しくしてやりてぇじゃん。な?」
「駿君…」
  有難う。嬉しそうに微笑む口元が小さく、だがハッキリとその言葉を紡ぎ、腕を伸ばして望月の襟元に絡め、顔を近付けて唇を合わせて来る。望月はそんな相手の頭を抱き寄せて柔らかい唇を楽しみながらも片方の手で油に濡れた自分自身を支えて早坂の門を捉え、互いが触れ合うと同時にゆっくりと挿し入れて行った。
「んぅ……ううぅっ…!」
  触れ合ったままの唇から微かな呻きを漏らす早坂を心配そうに見るが、一度入り始めたそれを止める事は出来ず、熱く狭まった早坂の奥を目指して突き進んで行く。自分を包み込んで来る相手の熱に翻弄されるがままに勢い良く突き入れると早坂は天を仰ぎ、離れてしまった唇を開いた。
「あ……あぁぁああっ…!!!」
  大きく開いた口から飛び出す声さえも既に早坂の身体に溺れかけている望月の全てを刺激し、はぁっ…と望月の口からも息を吐き出させた。
「ふぁ……あぁっ……しゅ、駿くんっの…熱っ……熱いよぉ…ぉ…っ!!」
「な、何だよっ…良ちゃんの…中だって……すっげぇ熱いじゃねぇか………うぁっ…あ…!」
  互いの情欲が具現化したような接合物の熱に互いが弄ばれ、裏返った嬌声の合唱が始まる。壊される。早坂が微かな恐怖を感じて身を縮め、それがそのまま熱い口の収縮へと繋がった。溶かされる。望月が早坂の熱に踊らされ、相手の密かな思惑通りに腰を限界まで突き出した。
「ひああぁっ!! …やっ……ぼ、僕のっ…壊れちゃうぅ…っ……!!」
  感じた恐怖そのままの悲鳴をあげ、無制御に涙を流す瞼に口付けをすると微かな塩味が舌に乗る。舌に乗ったそれを口の中で転がして早坂の味を密かに堪能した望月は額をコツンと相手の額に重ねた。
「…壊れちまおうぜ一緒に。もう何が何だか分からなくなる位に……」
「しゅっ、駿、く…駿…くぅん…!」
  望月の声と体温に安心でもしたのか力の限りに抱き付き、甘えた声を漏らし始めた早坂の両足が望月の腰に全てを委ねるように絡み付いて淫らに揺れ、快楽に繋がる振動を望月に与えて来た。
「は、はっ、あっ…あぁんっ…!!あ、あっ、あっあ…!!」
  与えて来る振動と同じリズムで小刻みに吐き出す裏返った嬌声が、細かく息を吐く度に自分から全てを搾り取るかのように強く締め付ける其処が望月の腰の中心に熱い小波を呼び寄せる。身体の中で落ち着き無く渦巻く淫欲と言う名の波も少しずつ己の先端に集結し、長い間溜め続けていたそれは早坂の中で派手に弾けようとしていた。
「はぁっ…はぁ……りょ、良ちゃんっ……もう、俺、出ちゃいそっ………出して、いい?良ちゃんの中に、出して…いい…!?」
「ぅん…ぁ…出し…て………僕の中に…駿君の……ぜん、ぶ…出してぇ………っ!!ああぁあーーーっ!!!」
  荒い息遣いで途切れ途切れに言っている内に達してしまったらしい早坂の叫び声が部屋中に響き、望月の胸元に熱がピチピチと飛び付いて来る。その熱が早坂の精だと認識した瞬間、そして熱が散る時に早坂の中が自分を食い千切らんばかりに強く締め付けた瞬間。望月は口を大きく開けて大量の息を飲み込み、そのまま喉の奥から声を絞り出した。
「…うぅ……っうあ…!!良ちゃんの…スゲッ…食い付いて…離れねっ…うわあああぁぁっ!!」
  一瞬、間抜けに舌を出した後に髪を振り乱して虚空を見詰め、早坂の最奥を蹂躙していた本体を腰と一緒に小刻みに痙攣させると溜まっていた欲が自分でも信じられない量の体液となって早坂の奥に叩き付けられるのを感じた。
「………はぁっ…はっ、…はぁっ……」
  荒い呼吸を繰り返している内に強い脱力感を感じて早坂の上にそのまま倒れこむと、下から腕がゆっくりと伸びて自分の身体を丁寧に包み込んで来る。暫く瞳を閉じて互いの体温を感じ合っていた2人だったが、やがてどちらからともなく瞼を開き、互いの瞳を見詰めあい、汗まみれの顔を近付けて口付けを交わし、改めて腕を絡めて互いの身体を抱き締めた。

 枕元に置いた時計の針の規則正しい音のみが響く部屋の中で暫く黙り込んで抱き締め合っていた二人だったが、望月が良ちゃん、と相手の名を呼んだ。
「もう少しだけ…良ちゃんの中にいて良いか?良ちゃんの中…さ、温かくて何か落ち着くんだ」
「うん…」
  良いよ。口の中で答えて目を閉じ、少し体勢を整えようと身体を揺するとまだ自分の中に入りっぱなしの望月の本体の感触を覚え、反射的に頬が熱くなった。嫌か? 赤くなったそれを見たのだろう彼の不安げな声が上から聞こえる。
「うぅん、大丈夫」
  今度は否定の返事をして首を横に振ると相手は小さく安堵の溜め息を吐き、照れを隠すように早坂の肩に顔を埋めておどけた声を出した。
「なぁなぁ、良ちゃん。このまま入れっぱなしで寝たら、やっぱりお互いヤッてる夢とか見れるのかな? まさに“寝ても覚めてもヤリまくり”なーんて♪」
「も、もうっ……! 相変わらず馬鹿な事ばっかり言って…」
「えへへっ、どうせ馬鹿ですよーっだ!」
  赤い早坂の顔を見て子供のように無邪気に舌を出して笑いながらギュッと力強く抱き締める。嬉しくて楽しくて仕方が無い。そんな感情が全面から滲み出ていた。
「あーマジ幸せ! こんな感じでずーっと良ちゃんが近くにいるんだなぁ」
「うん…そうだね…」
興奮した様子で目を輝かせてペチャクチャと喋る望月に対し、目を細めた早坂がゆっくりと答える。
「良ちゃんはどう? 俺と一緒で嬉しい? 少しは寂しさまぎれたか?」
「…うん……」
「そっかーっ! 良かったぁ! なぁなぁ久し振りだったけど、俺上手かった?」
「………うん…」
「マジでマジで!? 久し振りだったから、ちょっとばかし自信無かったんだけどな」
「……………うん………」
「……良ちゃん?」
「………………………う、ん…」
  相手の返事のタイミングが重くなっている事に漸く気が付いた望月が目をパチクリさせながら改めて早坂の顔を見ると、細められていた目は殆ど上下の瞼が接触寸前になっており、頭も居眠り特有の不安定な揺れを起こしていた。
「……良ちゃん、眠たいのか?」
「…うん……」
「………眠くないのか?」
「………うん…」
「良ちゃん、明日のご飯何が良い?」
「…………うん……」
「…………。新婚旅行、何処行こうか?」
「………………う…ん…」
  殆ど夢の世界に行ってしまっているのだろう早坂の曖昧な返事に思わず吹き出す望月の頭の中にふとある質問が浮かぶ。寝惚けている彼にするには少し意地悪な、でも答えによっては本気で落ち込みそうな質問。早くも落ち着きが無くなって来た胸を押さえながら、望月は唇を舌で濡らして質問を口にした。
「…良ちゃん」
「……………うん……」
「…俺の事、嫌い?」
「うぅん……」
  今までの質問には億劫そうに答えていたが“意地悪な質問”に対してはハッキリと否定の答えをし、既に枕に埋めていた頭を何度も横に振る。見事に意地悪をクリアしてくれた早坂の反応に望月は眩しい光に包まれながら羽を生やし、周りでは巨大な鐘がけたたましく祝福の音を鳴らし、天使達がラッパを鳴らしながら望月を取り囲んだ。
「……やっべぇ、マジで嬉しい………」
  想像以上の感激を覚え、じーんと心と身体を震わせて光に包まれた脳内世界を飛び回る望月を無視して、完全に力尽きた早坂は夢の世界へと旅立ってしまい、穏やかな寝息を立ててすやすやと眠っている。その整った寝顔に引き寄せられるように顔を近付けた望月は頬にそっと唇を当てた。
「………お休み、良ちゃん。また朝に会おうな」
眠る早坂にニコッと笑いかけ、守るように抱き寄せながら布団に入って目を閉じる。早坂の心地良い体温を感じながら、望月もまた早坂と同じように夢の世界へと旅に出た。

<To Be Continued......?>

 

 

 

 

 

 

 

 

 


<後書き…と言うか言い訳>

皆さん、じんましんの薬は用意しましたか?

「こんなの甘々の内に入らねぇよ!!」と言う方もいると思われますが
幸せラブラブ甘々を余り書いた事が無い私にとっては尻が痒くなりそうな内容になってしまいました。
普段、受けキャラを徹底的に不幸にして強姦・輪姦当たり前な鬼畜系
(↑何かコレだけだと人格疑われそうな表現)
ばかり書いている私には何気に難しいです、ラブラブ。

実は和姦シーン書くのも一苦労だったり…(汗)
同じHシーンでも、やっぱり大分違って来ますね。強姦と和姦←当たり前。
何かHに慣れていなくて初々しい早坂に違和感が。
基本的に私の妄想内の早坂ってH慣れしてて隠れ淫乱で
何かやたら強姦されるんだけど、その内に調教されちゃって
御奉仕も普通にこなせるようになる…みたいな子なので
今回は「まだHするのは怖いけど、駿君の事好きだから頑張る!」と言った
やっぱり何処となく違和感感じる(←…)健気な?早坂でやってみたんですけど、いかがだったでしょうか。
まぁ、どんなに健気モードでも1回入れてしまえば脳内妄想通りの淫乱な早坂に(削除)

望月に関しても少しながら違和感感じました。
大抵は欲望任せに早坂を抱いてしまって、時には相手を泣かせてしまうんですけど
今回はラブラブという事で「相手を気遣う望月」に挑戦してみたかったんです。
だから今回も相手を痛がらせない為にベビーオイル使用。
ウチの望月はローション代わりにベビーオイル使う奴。何ベビーオイル連呼してるんだ。
あ。ちなみにウチの望月は結構妄想癖があります。
事あるごとに妄想して一人で暴走するタイプ。

なお、不慣れで苦労したけど書いてて楽しかったのは
「早坂の前ではお兄ちゃんな望月」です。
何だかんだで望月は弟がいるから、いざと言う時は頼りになる「お兄ちゃん」になるのも良いかな〜っと。
お兄ちゃんな望月と末っ子(脳内設定)な早坂。
だから末っ子特有な所をついつい見せてしまう早坂を見てると、
子供っぽい性格から「俺が何とかしなくちゃ!」と言うお兄ちゃん的性格に変身………
…すみません、上手く表現出来ません。
ただ単に早坂が甘ったれだから、必然的に相手である望月が大人っぽくなってしまっただけかもしれませんが。
↑元も子もない。

話は変わりますが、実は望月×早坂(と言うか早坂受け)書いてて
何時も不安になるのが「早坂の性格について」です。
何と言うか、子供っぽい(女の子っぽい?)性格(口調)じゃないですか。
昔(初登場時)はもっと男らしさがある口調だったのに…。皮肉屋という設定もどこか消えかけてるし。
「コレ読んで早坂好きな方が怒ったらどうしよう」と言うのは何時も思っている事です。
でも、個人的に好きな受けのタイプに仕立て上げてる結果だから改善は難しい。
もしも「こんなの早坂じゃねぇよっ!!」と思っても、どうか大目に見て下さいね。
こう言う風な性格にしてしまった奴もいると言う事で(弱気)

あ、この同棲シリーズのタイトル(セキララ同棲生活)は
バレバレっぽいけど、けらえいこ先生の「セキララ結婚生活」をもじっただけです。
同棲妄想をスタートさせた頃から(去年の秋ぐらいから…←待て)
「小説化する時は、このタイトルにしよう!」と決めていました。
小説化決定する前からタイトル決める辺りがナニでアレ。まぁ、いつもの事です。

色々と不慣れ続きでお見苦しい点も多々ある小説になってしまいましたが
最後まで読んで下さって有難う御座いました!
この同棲シリーズは今後もこのようなノリで続けて行く予定です。基本はラブラブ。
回数を重ねるごとに甘々話も書き慣れて行けたら良いなと思っております。

ついでにコンビニのお兄さんは今後もボチボチっと出る予定。
望月と早坂の仲を引き裂くような設定にはしませんのでご心配なく。当たり前か。