だから、そんなんじゃないんだ
そう、多分熱の所為だ
前々からの微熱が、今日になって悪化したんだ
きっと・・・・・・・・・僕も
『微熱』
目の前に彼が居る。
武術・兵法・知略・治世・・・全てにおいて完璧な、我が国の至宝。
暴君と言えないまでもけしてよき君主とは言えない若様を支え、最前線でこの国の命運を背負う男。
そして同時に、男だてらに整いすぎた相貌と芸術品のような肉体を併せ持つ男。
・・・僕の憧れの人。
無謀ともいえる豪雪中の行軍を成功させ、この城を落としたのはつい数日前。未だ補給も情報も整理しきれていない、雑然とした城内。
それなのに。
「無茶です! こんな身体で何が出来るって言うんですか!」
「それでも行かねばならんのだ。」
「しかし・・・うあッ!」
起き上がろうとした肩を押さえつけて、どうにか寝台に括りつけようとする。が、相手も相手。受け流されて逆に自分がマットの上へと沈む。
ぼす、と羽毛の掛け布に突っ込んで、顔を上げるともう隣で身支度を整えている。さっき胸元まで開けたボタンを留めなおし、髪を束ね・・・。
「ダメですッ! 今日は安静にしておけって言われたじゃないですかッ!」
「こんなものすぐに治る。大丈夫だ。」
背中側から取り付いた手を払いのける。やっぱりまだじんじんする。
軽くこちらを見る瞳。耳朶。首筋・・・。その全部がほんのりピンク色で、どう見たって大丈夫じゃない。
気がついたのは朝の訓練のときだ。
何時に無く・・・と言うか、何時も聞いていないと分からないぐらいの差でしかなかったけれど、声が、誰よりも凛として張りのある声がかすれていた。息があがるのも早かったから、それとなく近づいたら・・・すぐ分かった。
「こんなものって・・・もっと悪くなったらどうするんですかッ!」
「・・・心配するな。お前も早く仕事に戻れ。」
息を吐いて、視線をドアの向こうへと向ける。襟をただし、サイドボードのベルトに手を伸ばす・・・けれど、
ワンテンポ早くそれを引っ張り上げる。小さく声を上げてこちらを振り向く。
鍛えぬかれたしなやかな手足も張りを失って、シーツの上に投げ出されたまま力なく振れる。肩の揺れる左右は・・・朦朧。
薄紅がじんわりと頬と形のいい鼻頭を、耳を、染めて、見開かれた瞳も軽く潤んでいる。唇もいつも以上に紅差され、荒い呼吸を静かに繰り返しながら、乱れた髪も汗に張り付いて綺麗な顔をことさら・・・・・・
頭を振る。
・・・ダメだ。誰がどう見てもダメだ。こんな状態じゃ戦どころか外にも出せない。
「心配ですよッ! だって全然熱下がってないじゃないですかッ!」
「ベルトを返してくれ」
「イヤです。」
「返せ、ココット・・・っ!」
語尾が粗くなると同時に深く咳き込む。身を折り曲げてまでむせて肩で息をする。
急逝した叔父の後を継ぎ、登用されてはや数ヶ月。その内ほとんどを彼に付いてすごしてきたが、ここまで尋常じゃないのは見たことが無い。無論、噂に聞き知る範囲でも。
理由は簡単。日々の激務、この寒さ。その上での強制行軍・・・全て若様の命。
「やっぱりダメです。出撃させるわけには」
「・・・お前の決めることじゃない。」
「若様が決めても僕は反対です! 行かせません!」
ようやく顔を上げかけた前でベルトを背の後ろに廻し、隠してしまう。それに手を伸ばし、
右へ、左へ。
届きそうで届かない位置へ手を延ばしても、絶対に掴ませない。紅色の表情が歪む。
「ふざけるな、ココット」
「ふざけてません!」
「なら返せ! 私は」
健気なまでの忠義の言葉と言い争ううちに、その一端が軽く手の中に触れる。
しまった、とも考えきらないうちに、力がずしりと手にかかる。もとより腕力で適う相手ではない。
・・・けれど、
「! 何をす」
急に張力を緩ませて、ただですら不安定な彼の身体を揺らがす。そのまま一気に引いてベッドに倒す。
その手をつかんだベルトごと引っ張り上げて・・・重ねて。
「離せ、どういうつもりだッ!」
手すりに縛り付ける。元々はここの君主のものだったのだろう。鋳鉄に鍍金した、酷く重い、酷く複雑な透かし彫りにベルトを結わきつける。自分でも解き方が分からなくなるぐらい無茶苦茶に結んで、暴れる腕に乗り上げる。
「くううッ!」
両腕を不恰好に組んだまま、着衣を乱して彼が仰向けになる。暴れる膝がシーツの上を空滑りして上がり下がりする。
腹上を逆さに覗き込むように、僕。
「これで逃げられないでしょう?」
「何を・・・ッ!」
薄桃色の・・・潤んだ瞳がぎっとこちらを見据える。こんななりでも背筋を冷たいものが走る・・・でも。
「今のまま出たら負けます、確実に! 死にたいんですかッ!」
「・・・・・・・・・」
少し、視線を反らす。もとより頭のいい彼のことだ。それを分かっていないはずが無い。
身体をどけて、ぎしり、とベルトが軋んでも、彼はそのまま動かなかった。ベッドから降りてドアの方へと向かう。
「熱さまし、探してきます。補給品の中にあるかもしれないし」
「・・・・・・ココット」
低く息を吐いて、両腕を縛り上げられたまま・・・それはある意味、頭の上で手を組みリラックスしているようにも見えて・・・呟く。
「・・・心配をかけ」
咳き込む。戻って、足元でぐしゃぐしゃになったシーツをかけ直そうとして・・・途中で止める。
喘いで上下する胸のボタンをまた外してやると、しっとりと濡れた桜色の肌が顔を出す。玉のように身体のくぼみに沿って流れ落ちる汗が光って、ふっと彼の香りが立ち上って・・・・・・
踵を返す。 「探してきます!」
慌てて部屋を飛び出して、それから・・・彼があんな格好のままだった事を思い出して。
近くに居られるようになってからまだ日は浅いけれど、それでも彼の凄さは重々身をもって感じられる。
町の噂で、ニュースで、周囲の話で聞いていたから、ある程度は覚悟していたつもりが・・・いつもそうだ。驚嘆して、圧倒されて、一日が終わる。
あっという間に僕は彼の虜になった。いや、ほれ込んだ、と言うべきか・・・人間的魅力にひきつけられたというか・・・。
そんなんじゃない。
何時だって言い聞かす。彼が誉めてくれる時、呼んでくれる時、微笑みかけてくれる時・・・・・・。
だから、城内を探し回って、挙句の果てにこれを見つけたときは、ひたすら自分の発想を呪ったというか後悔したというかなんと言うか、
事故だ。これは事故なんだ。
・・・そう思いながら。
「ゼウスさん」
後ろ手にドアを閉め、鍵をかける。やや不機嫌そうに天井を見上げていた彼も少し身を起こして、
「有ったか?」
「有りました。熱さまし。でも」
一瞬明るくなった顔が訝しげに変わるのを見つつ、右手の箱から銀色のパックを取り出す。ずるずる連なって引き出される小袋。
その一つ一つに人差し指と中指を合わせたほどの膨らみが見て取れて、
「座薬なんです。」
彼が眼を見張る。
「厩舎に持ってきてたんです。解熱鎮痛の座薬・・・馬用の。」
固唾を飲み込む。僕もそうする。そろそろと近づいて、見せて。
「・・・馬か。」
「馬です。」
「・・・効くのか?」
「前使った事があるんですけど、効きました、凄く・・・・・・馬にですけど。」
パッケージの上から中身を触らせる。めんどくさい事する前にさっさと解け、と言いたい所だが差し出された限りは確かめずには居られないようで。
縛られたままの両手がごしょごしょと蠢く何とも奇妙な光景。それがしばし続いて、
ため息をつく。
「・・・凄いな。」
ぴくり、と僕の耳が反応する。
怪訝に見上げる彼と目が合ってしまい、引きつった笑み・・・いや、笑みなのかもよく分からない複雑な表情を返す。
こういう気まずい時のための顔をどうして神様は用意してくれなかったのか。あるいは理解を超えすぎたことには・・・笑うしかないように出来ているのか。
・・・ともあれ、
「・・・どうします?」
まずはほんの軽く聞くことにした。当たり前だ。いくらなんでも常軌を逸しすぎているから。
だが彼にとってはどうか。
・・・残酷な問いかけだ、と後で気付く。口元を歪めたまましばし、目を瞑り黙りこくって、沈黙。
また固唾を飲み込む・・・僕だけが。
何でこんなに緊張しているのだろう。いや、それよりむしろ・・・いやいやそんなんじゃない。断じて。絶対。
でも、
「・・・仕方が無い。それに賭けよう。」
「え・・・」
「この際手段は選べぬ。だから腕を」
「本当に・・・」
何故か上ずった声を不思議そうに見上げられる。はっとして、
「いえ、あ、その・・・まず、量のほうを確認しないと」
こんな格好の彼をよそに・・・逆に意識から遠ざけようとして、僕は封を切る。結果として、彼の目の前で。
錠剤の白い頭がにゅるん、と顔を出す。僕の親指の太さを優に越えるそれが、流れ出さないよう薄いオブラードに包まれたまま固められている。
大きい、と改めて思う・・・馬の時は何も感じなかったのに。
それは『当事者』である彼もそのようで、
「・・・大きいな・・・」
何かが頭をよぎる。ひとりでに単語が右から左に駆け抜けて、僕の視線が泳ぐ。そんなんじゃない! そんな意味じゃないはずだ・・・決して。
それでもずるずると引きずり出すと、ちょっとしたソーセージ並みの全貌が僕らの前に晒される事となる。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
言葉は無い。当たり前だ。
こんな物を・・・いや、量を見せられて何を語れというのか。
じっと見つめたまま石化しているようにも見える彼を直視できないまま、息を飲んで、吸って、吐いて、整えて、それから
「・・・あの」
「・・・何だ」
「本気で、入れるつもりですか・・・これを」
改めて問う。やはり残酷な問いかけだ。彼にとって・・・彼だからこそ、その答えは一つしかないというのに。
相変わらずの姿勢のまま、沈痛そうに眉根は寄せつつ、奥歯を噛み締め直して、
息を吐く。
その沈黙を破ったのは逆に僕だった。
「何で・・・出る必要があるって言うんですか?」
こちらを向く彼の真っ直ぐな視線。淡く透明な宝石は、熱に浮かされて・・・少し曇って。
「だってそうですよ! こんな・・・こんなことしてまで出て行くことなんて無いです! そうでしょ!?」
自然と声が大きくなる。何故か内側がやけに昂ぶってきて、反論したい衝動が収まらない。
いや、そうしないわけにもいかないのだ。彼のために・・・自分のためにも。
それでも彼の声色は一切変わらず、
「・・・上意だ。戦略に遅れを生じさせるわけには」
「でも・・・・・・ゼウスさん・・・そんな・・・」
低く息を吐く。小さな咳。苦しげに喘いで頭を揺らす。さらり、と髪・・・濃紺色が窓辺の雪に反射して流れ落ちる。儚げに輝くその光が・・・。
僕の背中にぞくぞくっと寒気が走り、肩が、手元が震える。
・・・もちろん、そんなんじゃない。あえて言うなら何故、何故こんな所まで忠義を尽くそうとするのか、と。ああ、でも、でも・・・。
事故なんだ。
これは、事故だから。事故なんだって・・・。
寄る辺なく見回した先、映ってしまった見つめる彼の、薄桃色に濡れた瞳と赤らんだ頬・・・きっとそれは熱の所為だけではなく・・・・・・。
「ココット、だから・・・」
目の前で見た、乾ききった唇を潤す彼の、赤く充血した舌。
・・・射抜かれて。
「・・・だから、早くこれを外してくれ。早くせねば間に合わ」
「いや、そんな必要無いです。」
反射的に声が出た。彼の疑問符が上の空に僕の頭の上を通り過ぎて、
「使い方にコツがあるんです・・・殻外したりとか・・・僕がやります。任せてください。」
「おい、待て、ちょっ」
自分でも何を言っているか分からないまま、僕は寝台の上へと乗り上げていた。言いかけの言葉を枕の中へ突っ込んで、彼の身体をひっくり返す。
ぎしり、とベルトが軋んで食い込む音。 「・・・うあっ!」
びくん、とまた背筋を何かが走る。
マットに肘を突いて肩を起こそうとするが、長さが足りなくてそこに這いつくばる。
「・・・ココット、何をッ」
「早く済ませないといけないんですよね。だったら」
「待て、ちょっと待てッ! お前が・・・」
がさがさと上着を捲り上げると、腰の後ろに手を突っ込む。外まで探し回った所為で冷え切った僕の手が触れて、上体が跳ね上がる。
「・・・やめ」
ず、と一度に下ろす。結び合わされた前紐の綴じ目がタイトなのか、腿までの曲線の中ほどで止まる。
「くううッ!」
彼が仰け反る。当たり前だ。細い腰分の戒めが一度に締め上げてきたのだ・・・前を。
体の下に手を入れて腰を持ち上げる。そうして膝を立たせると、上では腕が金メッキの寝台にしがみ付く。
突き出した姿勢の太股に近づき、覆い被さるように・・・前の紐を探る。そこにある・・・引き伸ばされた下着と・・・茂み。
・・・震えている? 無理も無い。姿勢からして第一無理がある。
視界の先に髪が揺れる。濃紺色の見事な長髪。それもからげた所から乱れていろいろな所にかかる。肩、腕。
立てられた爪。食い込んだベルト。・・・くらくらしてきた。
日焼けして色づいてもまだ繊細な腕にそこだけ紅色の痕を刻み込む、拘束。爪先。僕の・・・・・・。
「ココット・・・ッ!」
呼ばれてびくっとする。でも指先は迷わず組み紐を解く。腰を支えたまま横へ抜き取ると、もとよりゆったりしたズボンは苦もなく落ちる。
膝まで下げて、最後にそこを包む薄い布きれ。
眼下では低い呼吸が繰り返される。粗く、早く、シーツの海にたたきつけるように。
何かが体の中で暴れまわっているようだ。でも悪い感じじゃない。いや、本当は悪いのかもしれない。
もう何度も頭を振って言い聞かす。振り払う。そのために帰って来たんじゃないのか?
「ゼウスさん」
これは事故だ。
そして、上意なんだ。そうだ。
「一気に入れた方がいいと思います・・・大丈夫、鍵かけましたから」
「ココ・・・・・・何を言っているんだッ! 離せッ!」
ぐっと力をこめる。鍛え上げられて絞まった、太股と太股の開合部の谷間が僅かに覗く。そこに指をかけて、
膝が震える。力の篭りすぎだ。バランスの悪い斜辺を僕の膝で開かす。そのまま、
引き下ろす。
「・・・っう・・・・・・」
小さく声が漏れて、握りこんだ手が寝台の彫刻に喰らいつく。ここから見える濃紺の中の・・・真っ赤な耳の裏。
見事な半円を描いた曲線の中、流れるように造形された麓と、頂き。
指先が震える。
笑窪のような筋肉のくぼみにドキドキする指を沿わせ、そっ、とそこを広げる。
「・・・くうっ・・・・・・」
指先に跳ね返る心地よい弾力と・・・吸い付いてくるほど滑らかな肌。
びくん、びくんと呼吸のたび、膝が、指先が無用な力に揺れるたび、ひくり、ひくりとささやかな反応を示す・・・彼のそこ。きゅっと締められた入り口。
見てしまった。
その後になって、見ちゃいけないところなんだ、と思うとなおさら目がいってしまう。少し褐色で、その奥が、すぼまりの中心が・・・ほんのり紅色で。
「ココット・・・」
声がしたような気がした。顔を上げると・・・こちらを僅かに振り向く、彼。
背中まで滑り落ちた上着の向こうで、振り乱された髪のブラインド越しに僕を見やる、赤い目。潤んだ眼。染まりきった頬。
切なげに視線を反らし、声を噛み殺すそこに浮かぶ感情・・・・・・羞恥。
・・・そんなんじゃない! これは・・・・・・
すぐさま錠剤のオブラードを剥いた。
僕の手の熱で融けた座薬の油が、濁ったまま手の上を滑り落ちる。それを見ながら、
・・・これは・・・僕の『忠誠心』だから!
貫く。先っちょでめりめりと押し広げると、そのまま滑るに任せて中に送り込む。
「うあ、あ、あ、あ、あッ・・・あああッッ!!」
同時に大きく反った身体が、支えを失ってシーツに倒れ臥す。
量調節を忘れた塊が締め上げられたのか、ぷちゅん!と入り口で弾ける雫。次いで湿った肉の音・・・あの場所から。
ぞくり、と服の下を怖いものが這い上がる。
その場所を突き出したまま、横に転がったその開合部からもう間もなく・・・だらだら流れ落ちる白い液体。
おそらく、いや、確実に座薬が融けているのだろうが、入れ方が甘かったのか・・・中の体温が予想外に高かったのか。
固唾を飲み込む。
あまりに・・・あまりな光景に、僕の心臓が叫びを上げる。
「ゼウ・・・スさ・・・」
体に触れる。肩に、いや、手は剥き出しの腿を擦り上がる。
ぬるり、と感触。
曲線の上を、選び抜いたかのように指先が、僕の怯えと・・・期待を現したようにちびちびと触れる。
「!」
またびくん、と脈動する。ちょっとでもかすっただけでたらり、たらりとまた滴る液・・・引き離すとねとりと糸を引いて。
期せずして行なっていた・・・愛撫。
・・・頭が火を吹いた気がする。
「ダメです、ゼウスさん・・・ッ! 出しちゃ・・・我慢しないと・・・」
見えない糸に操られるように手を伸ばす。右手、左手・・・彼の足を押し分けて、左右の柔らかな・・・いい筋肉は柔らかいって言うけど本当にそうだ・・・丘陵に分け入る。
真っ赤に染まった彼の閉ざされた場所。内側の紅が外まで侵食して、そこに咲いた・・・『菊』。本当にそう見える。
そしてその中心、花の奥から溢れてくる・・・白い液体。ぬるぬるして・・・熱くて・・・彼の中でどろどろになって・・・。
「ダメです・・・」 口の中に溢れたものを飲み干す。 「出しちゃ、ダメ・・・」
太股と、臀部の膨らみとの上を滴る液を震える指先で擦り取って、人差し指で、中指で、薬指で、彼の中心へと運ぶ。もっと足を開いて、もっと雫をいっぱい,かき集めて。
不意に視界に入るもの。髪と同じ色をした柔らかそうな若草・・・。
そんなんじゃない!
そんなんじゃないんだ。そう、これ以上零れないように、溢れないように、今度こそ・・・じっくりと固い入り口に・・・擦り込んで・・・。
「・・・ココ・・・ットっ・・・触るな・・・ッ・・・・・・やめ・・・っ!」
びくんびくんと指先から感じる脈は、彼のもの・・・それとも僕? 彼の声だけ、彼の呼吸だけ、彼の仕草の全てを全身で受け止めて。
頭がガンガンする。膝がガクガクする。
そうして擡げながらほんの僅か、いとおしげにうめいて緩んだ所に、ちゅ、と押し込んで・・・みる。
「・・・・・・ぁああッ!!」
刹那、びくびくっ、とうめいて、どっと液が排出される。拒絶反応でも起こしたかののように、白濁した薬液がシーツまで汚して僕の手を・・・彼の綺麗な足をどろどろにする。
指先から爪先まで上気して桜色の・・・紅色の頬をした彼が、身体を震わせながら、どっどっ、どっどっ・・・止まらない。彼の中身、熱くて、とても熱くて・・・・・・。
玉の汗が彼の下腹部を滴る。
僕の服の中もじっとりと、濡れる。
「・・・ゼウスさん」
自分のものでないかのような声。やけに・・・とろんとした、夢でも見ているかのような。
彼を見下ろす。無様に・・・いや、眼に毒なほど僕に、さらけ出したその姿を見せつける。ひたすら・・・僕の、僕の憧れに違わないほど・・・。
でも物足りない・・・そう感じた瞬間、熱を帯びたどろどろが急速に僕の中を駆け上がっていって、
・・・そんなんじゃ、無いのに。
「ゼウスさん」
横に転げた腰をまた立たせて、腕の中に抱え込む。むっ、と汗の香りと、解けた座薬の香りと・・・彼の匂いがする。僕の真ん前で。
びくり、びくりと戦慄する(そしてまだ残りの異物を吐き出そうとする)聞き分けの無い赤い花を、ずるり、と撫で上げる。
「・・・あっ!」
くん、と彼の背が反る。肘がつけないまま、腕にベルトを食い込ませて背中が急な斜辺を描く。
捲れあがったシャツと背中の中心麓の洞窟を、奥へ向かって透明な清水が流れ落ちていく。
頬寄せる。
「ココット、お前・・・っ」
いい匂いがする。
鼻先をもっと近づけて彼の足の間に入る。くっつきそうなぐらい花に近づいて・・・茂みも見える。ここから・・・濃紺色の・・・。
下がる雄々しい茎はほんの僅か、予想通りの香りを先っちょにしとらせて。
「・・・凄い。」
小さく呟いて頬を預ける・・・唯一体重を支える張り詰めた太股と・・・内側と、濡れた双球に擦り寄う。ぬるぬるする液体が顔に・・・吹き上げて髪にかかっても気にしない。
「止めろっ・・・止めるんだ! 正気かココットッ!」
彼の肌は最高級の絹みたくきめ細やかでやっぱり・・・気持ちいい。目の前でどんどん桜色に染め上げられ、じっとりと熱を帯びながら。
・・・冷まさなきゃ。
「まだ・・・下がってないみたいですね・・・」
「・・・ココ・・・・・・何を・・・っ! ・・・・・・止めろ、離せ・・・ッ!」
手だけシーツの上へと伸びる。箱を手繰り寄せ、封を切って。
「・・・ぁ!」
切なげに彼の後ろ髪が揺れる。
一度使って分かった。要するに馬の時と同じだ。収まるべき所まで収めてしまえばいい。
「・・・ぅあッ! あッ! あッ! ああぁッ!」
指を添えて入り口を広げると、一気に踏み込む。
少しだけ前の残りがほとばしって、僕の顔に弾ける・・・今爪立てたところから飛んだ赤いのは何?
「・・・ゼウスさん・・・」
「はあッ! ああっ!・・・はッ・・・・・・あッ・・・・・・」
全部入ったことを確認し・・・少し待つ。薬が・・・彼が落ち着くまで。少しずつ、少しずつ。
だからそれまでは軟い半球を撫でて・・・慈しんで。
「分かります? ゼウスさん・・・融けてきてるのが・・・ここが・・・きゅっとしてくるのが・・・」
「ココッ・・・・・・お前まさか・・・ッ・・・くううっ!」
徐々に狭まっていく花弁の中心で、真っ赤な菊がずぷずぷと錠剤を飲み込んでいく。
そうだ、飲まなきゃ。出撃できなくなるから。
優しく応援してやると、ぴくんぴくん震えて・・・涎をたらす。飲み込み損ねた白い・・・桃色の液体・・・でも、さっきよりはずっと少ない。
きっと彼も必死なんだ。必死で慣れようとしてる・・・馬並みの薬に。
何時もそうだ。恐ろしいぐらいの忠義の心を、如何なる時も僕に見せてくれる。僕の目の前に立って、耐えて、歯を食いしばって、何度も。
「溢しちゃ、ダメですから・・・」
「・・・っぐうッ!」
くちゅ、と音がする。栓でもするかのように人差し指が、絞まりかけた入り口近くに捻じ込まれる。先に噴出した油のおかげか、あとは苦もなく中へと導かれる。
思ったとおり中は熱い。ぞくぞくするほど・・・柔らかく、襞の一つ一つが指に絡んできて、
・・・気持ちいい・・・
僕の身体も熱くなる。指を少しだけ曲げて、入り口近くをじっくりと味わう。ぷるぷるの紅色が、僕を誘って・・・釘付けにして・・・。
「ココットッ! 止めろ・・・ッ! ・・・そんな所・・・あ・・・っ! はあっ!」
彼の呼吸が飛ぶ。
しゃくりあげるような早い喘ぎが、僕の指先にしたがって止んだり、スピードを変えたりする。
・・・僕に応えているんだ。
丁寧にそういう場所を探り、何度も、何度も弄くってやる。反応はすごぶるいい・・・ちょっと擦るとたまらない声で鳴く。
その瞬間、僕の指が柔肉にきゅ、っと締め上げられる。にゅるにゅるの内壁がどんどん擦りつけられて、指を奥へと引きずり込もうとする・・・薬じゃないのに。
いじればいじるほど彼のそこは熱を帯びて蕩けて・・・もしかしたら、よく年上の人たちが言っているあの中はこういう感じなのだろうか。
あの人の、あの金色の髪が綺麗な彼女の足の間も・・・こんなに・・・。
「・・・ココット・・・ッ・・・ぅ・・・」
声が聞こえたような気がした。囃し立てるような呼吸の中に、彼の・・・何時になく張りのない、か細い声が。
濃紺色の流れの中こちらを向く宝石。シーツの上に頬を埋めたまま、こちらを見る。
完璧すぎるほど整った顔を何処もかしこも紅色に染め、力強い腕も封じられ、艶かしく・・・腰だけこちらに突き出して。
十分に潤んだそこから光が落ちる。
「もぅ・・・止せ・・・止めてくれ・・・っ・・・私を・・・これ以上・・・ッ!」
何かが弾け飛んだ。
言葉が終わる前に、僕は彼の腰を一層深く抱え込む。
「・・・まだですよ、ゼウスさん。」
「・・・ッ!」
「せっかくの薬・・・また出ないように入れないと・・・」
ずぶ、と深く指を貫き入れる。声にならない声が飛ぶ。もう一つの口もくねらせてやるだけでちゅ、ちゅと鳴く。探るようにずるりとまわすと、彼の背中に鳥肌が立つ。
見つけた・・・座薬があった・・・こんな所まで飲み込んで。さっきは吐き出したのに・・・頑張ったんだね、本当に・・・。
そう。早くしないと間に合わないから・・・待ってる。部下たちが・・・皆が・・・・・・若様が。
もっと奥に押し込んでやると、融けかけの冷たい錠剤の尻が、彼の熱い中を無慈悲に進む。
彼の肉が心地よい。
彼の熱が気持ちいい。
自分よりはるかに高いところにある彼の身体が、僕の思うがままに乱されて、突き動かされて、悶え苦しんでいる。
・・・これは事故だ。あの熱の所為だ。
熱に浮かされて彼は正気を失っているんだ。
・・・そして、僕も。
人差し指じゃ届かなくなって、中指も入れて薬を弄る。
「ぐあっ! くうっ! ・・・ううっ・・・うあッ! ・・・はぁ、ああッ!」
溶け出してきた薬と彼の内側とでぐちゃぐちゃになった中を、ぐるぐる指を捻じ合わせて攪拌する。
奥から手前をいっぱいさするといいみたいだ。出したり、入れたり、その度に彼の花から蜜が飛ぶ。僕をどうにかさせる湿った音が、にっちゃぺっちゃと頭を揺るがす。
・・・やっぱり彼は最高の人だ。強くて、賢くて、綺麗で、聞き分けが無くて、健気で・・・こんなに可愛くて。
うん、僕も頑張るよ。思う存分薬が行き渡るように。この熱が下がるように。
だから・・・。
「うあ、あっ、あ、ああ、は、ああっ・・・・・・―――――ぁああああッッッ!!!」
うっすらと目を開けて、
同じベッドの上に折り重なって転がっていることに気がついて、慌ててそこから2.3歩下がった。
そうするともう後が無くて、そのまま後ろへ転げ落ちる。回転、そして閃光、暗転。
したたか打った頭をさすりながら立ち上がると・・・彼が居る。
僕の憧れの人。
王国一の将軍で・・・王国一、僕の尊敬している人。
括られた腕を投げ出したまま、剥き出しの下半身も・・・そのままに。
さああ、と血の気が引く。
必死で記憶を探る。探って、床に転がる例の箱を見つけて、やっぱり、やっぱり・・・・・・。
「う・・・・・・ぁ、はッ・・・」
小さく声があがる。身を起こそうと蠢くと、その声もすぐ艶っぽく濡れた。
・・・何処に目をやったらいいんだろう。
眼前にくず折れる彼の逞しく繊細な肉体。しなやかな四肢とその・・・・・・付け根と。何処もかしこも僕の目を、意識の全てを惹きつけて止まない。
そのうち背を丸め屈んだ間から白く・・・仄かに桃色に濁った液体が染み出す。無理も無い。ただですら量の多いのが無理やり押し込んであるんだから。
「ゼウスさ・・・・・・ゼ・・・」
声をかけようとして、息が止まる。
押し殺された声と、紅差して歪む端正な顔に見とれてしまう。眉間と口元にしわ寄せながら、奥歯を噛み締めて、腕を突っ張って・・・そうするとまた脱力して。
固唾を飲む。もちろん、そんなんじゃない。恥を被っても義を貫こうとする姿に感動して、そうだ。
でもその恥じらう姿も・・・凄く・・・・・・。
「・・・ゼウスさん」
呼んで、顔を近づける。括られた長い髪が息に震えて、瞼が引きつりながら開く。
「熱、下がってきてます。効いてきたんですね・・・。」
額にかかる前髪を、乱れ落ちた後ろ髪をかきあげながら、額と形のいい鼻を静かに撫でる。
頬は残渣が流れだしてからまた真っ赤に染まって、その上に残された白い痕跡。
操られる僕の身体。
濃紺色の瞳。赤く濡れた唇・・・物言いたげに虚ろに開くが、聞こえない。
ドアの向こうの騒ぎも、外の声も全て消し去って、耳に届くのは荒くかき乱された彼の熱っぽい吐息だけしかなくて。
「僕、本当に心配してたんですよ。」
「・・・・・・・・・」
耳朶の紅も、また湿りだした輝きも、もう熱の所為ではない・・・いや、何処まで熱の所為だったのか。
・・・いや、これも事故だ。
熱に溺れてしまったんだ・・・・・・僕の。
両腕を戒めるベルトを・・・解けないからナイフで切って、下の入り口へと沿える。指先が少しだけ震えて・・・すぐに、隠そうと這い上がっていくのを見て、
気がついた。
せめてもの理性で掛けてあげようとしたシーツが、手から滑り落ちて。
彼を見下ろす。
「あ・・・・・・でもダメだ・・・またこんなに零れてる・・・」
「・・・・・・・・・ぇ」
シーツの上、膝頭までべっとり汚して、そこにぶちまけられた白い液体。指先で拭うと、ねとりと濃く纏わりつく。
指先から薫る・・・分かってる・・・彼の・・・・・・。
後ろで封を空ける。気付いて、ようやく開放された身を捩る・・・出口を求めて。
刹那、花は蜜を吐く。また寝台に伏して、中途半端に身を強張らせたまま、かわいそうな彼はただ苛まれて。
もはや成す術もない彼の腰を持ち上げる。めいっぱい注がれたから・・・少し動かすだけでもうねっとり甘い・・・彼の羞恥心・・・忠誠心。
「言いましたよね、溢しちゃダメだって。だから」
がちり、とベルトが膝まで落ちる。全部剥いて、もう融け出した液が・・・掴んだ手まで滴る。
こちらを向く、丸く見開かれた宝石の中、人差し指と中指よりも太い先端があてがわれていくのが映って、また潤んで、
「・・・・・・もう一本入れなきゃ」
零れ落ちる光。
・・・それが、たまらなく綺麗だったから。
だから、そんなんじゃないんだ
そう、多分熱の所為だ
前々からの微熱が、今日になって悪化したんだ
僕も――彼も、きっと・・・・・・・・・
<END>
さよこ様に寄贈して頂いた半熟英雄小説です!
しかもゼウス受け!!トドメに座薬プレイ!!しかもビッグサイズ
読みながら激しく悶えさせて頂きました…!
攻略本の中年ココットの甥にあたる青年(少年?)ココットが愛らしいです。
そして、そのココットが持って来た座薬の所為で
あられもない姿を曝け出す羽目になったゼウス将軍に一人で興奮。
余りの萌えに不整脈起こしそうです。
滅多に見れない(?)半熟英雄の裏小説寄贈、本当に有難う御座いました!
他の方のゼウス受け作品が読めて幸せ…。
…掲載が遅れて本当に申し訳御座いませんでしたm(_
_)m