海軍局地戦闘機 J2M 「雷電」


    海軍局地戦闘機 J2M 「雷電」


 昭和14年、日本海軍は三菱に対し航続距離よりも高高度での運動性を重視した局地防衛用の戦闘機(インターセプター)の開発を命じました。この要求に対し、三菱は零戦を開発した堀越二郎技師を中心としたスタッフでこの新型機の開発に取り組みました。設計の第一目的であるスピード・上昇力を実現させるため、当時最強であった火星エンジンを選択しました。

 しかし、このエンジンは戦闘機用に開発されたエンジンでなく長距離爆撃機用のエンジンであったため普通に取り付けては必然的に機体の胴が太くなるという結果になります。そこで空気抵抗を減らせるようエンジンに延長軸を取り付け機首を細く絞り込めるよう工夫しました。この結果、写真に見るような独特の紡錘型の機体になりました。しかし延長軸を採用したこの設計は後にプロペラやエンジンの異常振動の原因となり量産に移ってもこの問題は最後まで解決されることはありませんでした。

 昭和18年、雷電は制式採用された後、先行量産機が慣熟運転を兼ねてインドネシアなどの石油基地防衛に配備されましたが、着陸速度が零戦の1.3倍ほどあり、歴戦のベテランパイロットにしても手足のごとく使いこなすのは難しかったようです。また戦闘機の形状にしても零戦や隼のシルエットに慣れたパイロットには敵機と誤認してしまうケースがあり、同士討ちが発生したという記録も残っています。

 各地のパイロットに敬遠されましたが、上昇力・スピード・高高度での運動性に関してはトップクラスの性能を有しており、B29迎撃を中心にした本土防空戦に活躍しました。




性能諸元 (二一型)

 全長; 9.69m
 全幅; 10.85m
 全高; 3.8m
 正規全備重量; 3210kg
 エンジン; 「火星」23型甲 (離床出力 1800馬力)
 最大速度; 616km/h 
 航続距離; 1898km 
 武装; 20o機銃×4
      爆弾30か60キロ×2
               
     


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