幸せな夢

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「ミカエルってさ…。」
「うん…。」
「よく寝るよね…。」
ここは天界、雲の上。ぽかぽかとした日なたで、天使長ミカエルは猫を抱っこしたまま寝こけていた。ああ、よだれ…。誰よりもよく騒ぎ、騒ぎの後は誰よりもよく寝る天使長である。ウリエルは無邪気に眠るミカエルを見下ろし、ぽつりと言った。
「私はミカエル様がお寝みになっているお姿は好きです。」
「へえ、愛のある発言だね。」
「お寝みになっていれば、終末のラッパを吹かれることもありませんから。」
ラファエルは頭を押さえた。仕事熱心なウリエルにとって、輝かしい存在であるはずの天使長ミカエルは、何かとラッパを吹こうとする迷惑な生き物に過ぎないのだろうか。ガブリエルがにこにこして言った。
「でもミカエルなら寝惚けてラッパとか吹きそうだよねえ。」
「ええ。何度かお止めしたことがあります。」
「寝てる時もミカエルと一緒に居なくちゃいけないんだ。ウリエル大変だね!」
話が変な方に進みそうでラファエルが冷や汗をかいていると、ミカエルの金色の睫毛がふわりと瞬き、碧い瞳が現れた。そしてしなやかに伸びをする。ミカエルに抱っこされていた白い猫が「にゃあ」と一声鳴いて走り去った。
「ミカエル様、お目覚めですか。」
「うん、夢を見てたよ。ウリエルとラファエルとガブリエルがね、なんか集まって話してるの。」
ガブリエルは声を立てて笑った。
「それ、夢じゃないよ。今みんなで集まってミカエルのこと話してたんだから。」
ラファエルも苦笑した。
「変な夢見せちゃったねえ。」
ミカエルは目をぱちくりとした。
「なんで?」
そして幸せそうに微笑むと、もう一度ふわりと伸びをした。
「ウリエルが居てラファエルが居てガブリエルが居て、みんながお喋りしてるなら、それは私にとってすごくいい夢だよ。」

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