「んあ……歯」
兄さんが突然起きあがったもんだから抱きしめて寝ていた僕は軽く布団の上で転がってしまった。何?は?はってなんだ?寝ぼけてるからよく分からない。
とりあえず人間湯たんぽがいなくなってしまって寒い。上半身だけ起こした兄さんにすり寄って、腰にしがみつく。うん、あったかい。なんか寒いなあ、そういえば裸か。僕も兄さんも。
「どうしたの」
「歯……磨いてない」
なにかと思ったら、はって歯か。言葉がおぼつかないから、多分まだ半分寝てるんだ。普段不器用なくせにこういう時だけ器用なんだから。
「いいじゃない……寝てようよ」
「だって、歯ぁーねちゃってする」
「それ僕の精液だよだからいいじゃない」
「んー……」
かくん、と頭が落ちるのを腰から感じる。納得したらしい、ダメ元だったけど。
お風呂から出て、エッチして、そのまま二人で寝ちゃったから、僕も歯を磨いてない。でもいいじゃないか、気持ちよく寝てたんだし。精液じゃ虫歯にならないよ、多分。
「にーさんっ」
「わ……ふ」
ちょっと力を入れて引き倒せば、力の抜けた身体なんて簡単に倒れる。説得もめんどくさい、このまま抱き込んで寝てしまおう。そしたら兄さんも諦めてくれるよね。
二人分の体温にあたたまった布団と、お互いの裸のあったかさが気持ちいい。エッチの後の精液の匂いがするシーツだって、悪くない。
僕より華奢で細くて白い身体をさんざん愛した後は、さんざんくっついていたいんだ。
「んー、歯みがくっ」
「もう、抵抗するなーっ」
「あっ」
自分だって眠いくせにまだ抵抗するから、目の前にある乳首に噛みついてやった。ごくやわく、噛むというより食む強さで。
そのままくにくにと、乳輪ごと胸の肉を刺激する。
「ん、もぁあっばかーっ」
はじめはちょっと抵抗をなくしてやる位の気持ちだったのに、兄さんの声聞いてたら興奮してきた。この兄は、僕の欲情スイッチを簡単にオンにしてしまう。
舌で舐めれば、こりっとしているのが分かる。もう立ってる、いやらしいなあ。
「ゆ、雪男ぉ、あ、んんっ歯磨きってばー」
まだ言ってる、これはもう目的じゃなくて意地だな。だったら聞いてあげる必要はない。このまま一回いかせれば、ぐったりして動けなくなるだろう。そしたらまた抱き込んで、二人でぬくぬく眠りにつける。
「歯磨きとエッチ、どっちがいい?」
「……」
ちょっと頬を赤くして、眠そうに気持ちよさそうに目尻を下げて。乳首にされただけで、
かわいい声とかあげちゃって。
そんな兄は、くやしそうに唇を尖らせて僕におねだりした。
「きもちーの、しろ」
仰せのままに。
結局そのままもう一回最後までしたもんだから、翌朝はお互い少し寝不足だった。
20120228
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