男同士だってコンドームをするのが、パートナーを思いやるセックスだと火神は言っていた。男同士でセックスする場合の話なんて一体どこで聞いたんだといらっとはしたが、それは確かにそうなんだろう。俺が気持ちいいからって中出しばっかりするから、業を煮やした火神が部屋に置いてるコンドームは、遅々として減らない。
「っ火神、中で出すぞっ……」
「や、だ、だめだっ!だめぇっ……!」
ぐっと火神の腕を引っ張り、性器を奥まで押し込む。俺が中で出すって言うと火神が決まってぎゅうっと締め付けるのがとんでもなく良い。これで出すなという方が無理だ。
「ぐ、う……精液、絞り取られるっ、くあっ」
「あ、あーっ」
精液を吐き出すリズムに合わせて、火神の腰がびくびく痙攣する。俺の射精を全て受け止める姿にたまらず羽交い絞めにすると、火神の腹にぬるっとしたものがついていて、こいつもいったのか、と思った。長い射精が終わるまで、性器で蓋をしながら中の温度と上気した肌に身を委ねた。
こいつ、マジで最高。火神自身が好きなのは勿論だが、俺はもうこの身体以上に相性の合うセックスはできないと心から思うのだ。
全て吐きだしてから性器を引き抜くと、火神が小さく唸りながら後孔からこぷっと精液をこぼす。それがまたエロくてもう一度性器で栓をしてやろうかと思うがガマンだ。
風呂に運ぶ前にベッドから下ろして座らせて、後孔にティッシュを宛がう。尻を下にしたことで落ちてくる精液をまずふき取る。
「はー良かった」
「また中出ししやがったな!だめだって言ったのに!」
「だってお前だめだって言いながら締めるじゃねえか」
あれたまんねえんだよ、と言うと、セックスの後で血行のよくなった頬がまた赤く染まった。
「し、締めてねえし!」
「はぁ?お前あれ無意識か、俺はてっきりイヤイヤ言いながらされんのがいいのかと」
「ふざけんな!んな訳ねーだろ!」
「まあいいじゃねえか、なんだかんだ言ってお前もイってっし」
火神の腹の上の精液を掬って見せつけると、ぐっと押し黙る。強情の眉毛を釣り上げて怒って、目をそらして照れて、顔を近づけると、困ったような顔をするのがまたいい。つか、かわいい。
「最高のセックスだぜ、俺はお前以外もう考えらんねえよ」
「……う」
火神がもじもじと脚をすり合わせる。
火神とはもう何度もセックスをした。だから分かる。またこいつの身体が、俺を欲しいと疼いているのだ。俺の性器を突っ込んで、擦って、中で射精してほしいと、繋がりたいと強請っている。火神だって、俺とのセックスが気持ち良くてたまらないんだ。身体も心も欲張りな俺達は、凹凸のようにぴったりと当てはまってしまう。まるで、男と女の身体みたいに。
「皮肉か」
「え?」
「いーや。もっかいやんぞ」
火神が何か言う前に、脚を抱え上げて後孔に性器を押し込んでいく。一度した後だからかすげーやわらかくて、それなのに締め付けは弱らない。ほんっとこいつの穴どうなってんだ。
「ひ、はっ……」
はくはくと口を動かす火神を抱きしめて、腰を動かす。さっきのセックスではがっついちまったから、今度は焦れる位ゆっくりと出し入れする。火神の中に俺がいるって事を示すみたいに。ある程度ぬるついた中を進む性器に、柔肉はぬくぬくと絡み、迎え入れるように受け止めてくれる。この穴を満たすのは、たまらなく満たされる。
「はあ、たまにはじっくり……すんのも、いいな」
「ふぁあっ……あおみ、ねっ」
「なあ、火神」
こちらを見た火神を確認して、亀頭を前立腺に押しつける。ぐっぐっと肉を押し上げるようにすれば、火神がひっ、ひっ、と泣きながら顔をどんどん快感にとろかせる。早く思い切り擦ってほしくてたまらないんだろう、小さく震えはじめた。
「お前も俺とのセックス、気持ちいいか?」
「ひっく、お前っあ、あぁっ」
「なあ、ここ、もっとゴリゴリ擦ってほしいだろ?なら教えてくれよ」
さあ言えよ。俺とのセックスが最高だって、気持ちいいって言え。お前の身体はもう俺に前立腺を刺激してほしくてたまらないはずだ。俺に犯してほしいと叫んでいるはずだ。お前の口から、俺が欲しいって言えよ。
そしたら俺達、もっとやべえ関係になれると思うんだ。
「いいっ!俺、もっ」
「ん?」
「俺も……青峰とのセックス、気持ちいいっ!」
火神の告白に油断していた俺を、後孔がかつてない強さでぎゅうっと締め付けた。危ない、危うく出してしまう所だった。というか、ちょっと出してしまった。今ので出してたら俺がこいつの告白に感動して出たみたいじゃないか。腹いせに、大きくなった性器で火神のイイトコロをガツガツと攻める。やっぱりこいつ計算で締めてんじゃねえのか?!
「おらぁ!望み通りゴリゴリ擦ってやるよ!」
「ひは、あっ!あうっ、あ、おみねえっ」
「俺に勝とうなんて百年早いんだよ!」
「ふぁっ?んっ!い、いい、あっ」
ぐぷぐぷと前のセックスで出した精液が泡立つほどに掻きまわしながら、ぴんと立った乳首に吸い付く。対面座位は同時に色んな所を触れるから好きだ。腰を揺らしながらしつこく乳首を舐め、もう片方はひっぱってやると、ぶるぶるっと身体を震わせて火神が射精する。前立腺ばかりを刺激したせいか、トロトロと勢いがない。
「ああ、あっ、あーっ……」
「えっろい顔しやがって……また中で出してやるよ」
「ひ、や、いやだぁっ」
例に漏れず引き留めるように締め付ける後孔の一番奥めがけて、射精した。
「やっぱりお前の穴は俺に中出ししてほしがってると思うんだよな」
「穴がとかそういう話は聞きたくねー!」
正直に言うと火神が耳まで真っ赤にしてフーッと猫みたいに噛みついてきた。そんなに恥ずかしい事かよ。一緒に風呂も入り、後始末も済ませて二人でベッドの中にいると、やっぱりさっきのセックスの話になっていく。男ってのはエロい話がやっぱり好きなんだよな。する方がもちろん好きだけど。
「じゃあなんであんなにぎゅうぎゅうもご」
「も、もう言うな!!それはっ……」
俺の口を押さえて言葉を遮った火神が、言葉に詰まる。一息吸って、まるで蚊のなくような小さな声で、言った。
「俺が、お前の事……好きだからじゃねえの」
「……」
「で、でもゴムはやっぱりしろ!」
ああ、やっぱりこいつを離せない。身体の相性だって、心の相性だって、きっと俺らは最高だ。だからお前と一生一緒に居るために、次はちゃんとゴムを付けてやろう、と思った。
20130611
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