Erasure 後編






立ち上がって男をベッドに押し倒して、その上に跨る。
支えなくとも天を突く一物に手を添えて、京一は自身の後穴へとそれを導いた。




「俺が支えなくていいのかい?」
「……黙ってろ。オレのやりてェようにすんだよ」




動くなと命令する京一に、男はヘイヘイ、と従った。


秘孔の入り口に触れた雄は、ドクドクと脈打ち、締め付けるものを今か今かと待ち侘びている。
ゆっくりと腰を落としていけば、案の定、それはこれでもかと言う程に大きくて、京一は息を詰めた。




「……ッか……は…ぁ……ッ!」
「デケェだろ。俺の自慢だ」
「…ん、うぅ……ッッ…!」




男の下らない台詞に、聞いてないと一蹴する事も出来ない。




「ふぁ…ッ……ひ…っは……!」




呼吸する事を意識して、出来るだけ楽にしようとするが、簡単には行かない。
リードを選んだ為に騎乗位と言う体勢になり、支えも拒否した為に、京一の身体の体重を支えるのは自身の両足のみ。
しかし体重を支えることに終始していれば穴が閉まり、益々苦しくなってしまう。

あれだけ解したのに、ちっとも足りていないような気がする。


抜こうにも抜けない。
一からやり直す羽目になるのも御免だ。

息を吐きながら挿入を続け、結局、根元まで含むには至らなかった。




「……っは…はぁッ……う…ッん……」
「確かにいい具合だな。で、辛かねェか?」
「……るせェッ……っく、っは……」




親切心よりも明らかに下心丸出しの台詞。

京一は睨みつけて、腰を揺らし始めた。
ぬぷ、ぬぷ、と僅かではあるが唾液が潤滑油の役目を果たし、肉壁を滑らせる。




「…ん、ッっは…んぁ……ッ」




男の割れた腹に手をついて、京一は腰を振る。
秘孔を出入りする雄が内壁を擦れば、湧き上がる快感。




「で、お前がイったら終わりなのか?」




京一を見上げながら、男が問う。




「っは…ん、バァ、カ……あッ…!」
「へぇ、俺がイったら終わりか?」
「オレ、の…っは……気が済んだら、だッ……」




始まりも終わりも、行為の形も、京一が決める。
男が何度果てようと、京一が絶頂を迎えようと、京一の気が済むまで行為は続けられる。


過去、早漏な上に体力のない男もいて、そういう輩はとにかく搾り取って苛めてやった。
ヒィヒィ言いながら、挿入する側でありながら喘ぐ様が、妙に可笑しくて面白かった。

年配の連中は遅い者がいたが、体力的には京一の方が上だった。
回数も相手の方が少なくて、出ない出ないと喚くの顔は面白かった。
結構自分はSらしい、とその時思った。



今回でも同じことだ。
京一の気が済めば、男が満足していようといまいと、情事は終わる。

それでも続けたいと言う者もいるが、それに応えるか否かも京一の気分次第である。
無理やりでも犯そうとすれば、武の本領発揮となる。
結果、京一に行為を押し通せた相手はいない。




「そうか」
「あッ! …んく…ぅ……ッ」




男が腰を浮かして、京一の動きに合わせて奥を突いた。
ぞくりとしたものが背中を駆け抜けて、京一の躯がぶるりと震える。




「んぁ、あっ、はッ…! っく…動く、な、テメェッ…!」
「ああ、悪い。暇だったんだ」




いけしゃあしゃあと告げる男。
京一は置いていた手で、腹の皮膚を力一杯抓り上げた。




「オレ、の…ッん……好きに、する…ッあ!」
「判ったよ。続けてくれ」




のんびりと言って、男は両腕を頭の後に組んだ。
何もしないと判り易く意思表示する男に、京一は口角を上げ、また腰を揺らす。




「あ、あ…んぁッ! は、…っく……ぅうんッ…」
「しかし、こりゃ良いな。眺めも締まりも最高だ」
「だっ…たら……ッく…ちったぁ、色、つけろ、よッ…んんッ!」




判ってるよ、と男は笑った。



ずぷ、じゅぷ、と卑猥な水音が響く。
京一の中で、男の一物は更に膨れ上がり、先走りを漏らし始めていた。

そして京一の肉棒も、一度も触れていないのにも関わらず、勃ち上がり始めている。




「…ふ、くッ…キツッ……あ……、あ、あ…!」




息がまた詰まってきて、京一は自らで己の雄を扱いた。
熱の篭った呼吸が漏れて、内壁の締まりがほんの少し緩和したような気がする。


強気の瞳に艶が灯り始め、快感を追う様は何処か妖艶だ。

男がゴクリと喉を鳴らし、また少し腰を浮かす。
ビクンと京一の躯が跳ねて仰け反ったが、もう何も言わなかった。
ただ一心に、若い躯は高まる熱の解放を求めて、腰を揺らす。




「…んぁ、あ、ああッ…! は、ぅ……ッ!」




腹の上で艶やかに踊る少年に、男は嘗てないほどに興奮していた。
男は男色の気のない趣好であると自身を思っていたが、どうもこの少年に関してだけは別のようだ。

少年の肉壁に擦られる男根は、もう気が抜けば熱を吐き出しそうだ。
その瞬間を考えるだけで、また股間に血が集まる。
そうして質量を増した雄を咥えた少年は、また艶かしく踊るのだ。


やがて京一の方も限界が近付いた。
自身の手で雄を扱き、先端を親指でグリグリと刺激する。






「あッ、あッ! んぁああッ、ひ、うぅぅううッッ!!」






射精と同時に秘孔がぎゅうと締まり、男の一物を強く強く締め付けた。
男の我慢もそれが限界で、京一の内部へと熱を叩き込む。


開放感と、続く内部の刺激に、京一の目は愉悦に染まる。
快感に飲まれた瞳は虚ろに彷徨い、夢心地のようにも見えた。




──────男の我慢は、それが限界で。






「んぁあッ!!」






自身の射精が収まるや否や、男は京一の尻を掴み、自分の股間に落とした。
開放感に油断していた京一は、支えのバランスを崩して男の雄を咥えたまま、深く沈む。

自分でこれが限界だと思っていた以上に、太いそれが京一の体内に侵入する。
未だ硬度を失わず、怒張したままを保った雄は、京一の内壁を更に押し広げた。




「あ、うぁ……ああ、あ……!!」
「悪ィなあ」




痛みと圧迫感にはくはくと口を動かすだけしか出来ない京一。
そんな京一を見て、男は全く悪びれた様子なく言った。

今まで一度も刺激されていなかった胸の頂を、男の指が摘む。
コリコリと爪の先で刺激されて、京一の肩が震えた。




「されるのも悪くなかったが、やっぱ鮪ってェのは俺は好かんのだわ」
「ん、う、うぁ…ッ! て、めェッ……!」
「料金はずんでおくからよ」
「ひぅッ!」




ズンッ、と奥を突き上げられる。


平らな胸を無骨な手が撫で、太い指が胸の尖りを刺激する。
拒否しようと浮かした手に力は入らず、殴るどころか、押しのけることさえ出来ない。



こんな事は初めてだった。
行為の真っ最中にリードを奪おうとする奴はいたが、挿入されたままで好きに扱われるなんて。

男の力が京一の思っていた以上に強かった事が、今回の誤算だった。
京一は大抵の男と対等に渡り合えるつもりで、それだけの力はあった筈。
────しかし、この男は京一の想像の上を行っていた。

挙句、暴れれば太い巨根が下肢を苛み、まともに躯に力を入れることが出来ない。
何をするにも踏ん張る為に腹に力を入れれば、下肢がそれを支えるのが躯の反射で、それが今は仇となった。
上半身だけの力では、この男を負かせることが出来ない。




「うぁッ、は…や…やめッ……!」
「なんだ、攻められてもイイ顔すんじゃねえか」
「んんッ!」




硬く尖った乳首を摘まれ、引っ張られる。
痛いだけだった。

それでも男は反応が返るのが満足に繋がるようで、尚も秘孔を攻め立てながら、胸の果実を弄る。




「て、めェ…ッあ! んく、ぶ、ころ……すぅッ!」
「そう怒りなさんな。ヨくしてやるよ」




にやりと凶暴な笑みを浮かべ、男は起き上がった。
男が動いた所為で内部の雄も蠢いて、京一の喉からまた声が上がる。




「よッ、と」
「ひぃ、うんッ!」




ぐるりと視界が反転し、雄が京一の内部の全体を擦った。


どうにか目を開けて見れば、目の前にあったのはシーツの波。







「バックからってのは、嫌いか?」







振ってきた声に首を巡らせれば、天井と男の顔があって。
自分が四つん這いになり、腰を高く上げ、尻を突き出した格好をしている事を知る。
しかも秘孔は、未だ質量を失わぬ男根を咥えたままで。

完全にリードを奪われた格好。


嫌だ、と言おうとして、それは男の律動によって掻き消された。





「んぁッ! あ、あぅ、ん、ッあ!」





ズン、ズン、と入り口から最奥まで、何度も何度も突き上げてくる凶器。
締まる肉壁がまざまざとその感触を味わい、男の形に合わせようと壁が蠢く。




「や、あ、うぁッ! っは、いぅッ…!」
「よく締まるぜ。最高だ」
「ひ、ふッ…! んぐぅッ…!」




無意識に躯が逃げを打てば、腕を捕まえられて、それを妨げられた。
片腕の自由を失って、京一は最早されるがままとなっていた。

シーツに顔を埋めて、突き上げられるリズムに合わせて喘ぐ。
辛うじて自由である片腕も、それだけで何が出来る訳でもなく、ただシーツを掴むだけ。
足は既に力を失い、突き上げられる衝撃の所為で体勢を維持しているに過ぎない。




「いいなァ。これでフリーってのも勿体ねェ」
「っは、あッ、あッ…! ん、あぁッ!」




がんがんと突き上げながら、男が言う。




「そこそこ慣れてて、けど使い過ぎちゃいねェ。躯も鍛えてあるから、よく締まる」
「ふ、うぅんッ…! や、ぁ、ああ、んぁッ!」
「ちょいと生意気だが、そりゃご愛嬌って奴だな。快楽には素直なようだし」
「ひぃ、あッ! やめッ……ん、う…あッ!」




京一の雄がまた勃起し、蜜を零してシーツを汚していた。
反り返ったそれは京一の腹に付きそうな程だ。

それが男が“快楽に素直”と言った要因なのだろう。


好き勝手にされるのは嫌なのに、それでも若い躯は、確かに快楽に従順だった。
足掻こうにも足掻けずに、ただ喘ぐしか出来ず、それ所か相手の突き上げに合わせて腰を揺らして。




………吐き気がする。
どの所為かは判らない。

ただ、理由が何であっても、自業自得である事だけは確かなのだろう。


快楽の虜になって頭が莫迦になった訳ではない。
だけれど、麻薬のようにじんわりと、この快楽に染められていく自分がいるのは間違いなくて。
いつかの幼い日のように、あの人達の下に戻れなくなって行くのは間違いなくて。




「あ、うぁ…ん…うぅ…! っふ、うぐッ……!」
「泣くことねェぜ。意外と可愛いもんなんだな」
「るせ…んぁッ! あ、あ、や、ひぃあッ…!」




反抗の意を示す京一を、男は更に攻め立てた。

奥まった場所にあったシコリを狙って、突き上げる。
ビクビクと京一の躯が跳ねて、喘ぎっぱなしで締まりのなくなった口から、呑み込めなかった唾液が零れた。




「ふぁ、あ、やめッ…や、あぁッ!」
「どうだ、ウチの組に来ねェか? これだけ具合が良けりゃ、うちの親父も文句は言うめェ」
「ん、ぐ…うッ……?」
「面もいいしな。良い待遇してやるぜ」




腕を引かれて、京一は起き上がった。
力の入らない躯では体勢の維持など出来ずに、ベッドに座した男の膝上に乗る形になる。
また深く繋がることになって、京一は甘い声を上げた。


腕の中に収まった少年を、男はいやらしい笑みで見下ろす。
尖った胸の果実を弄り、腰を進めて京一を攻め立てる。




「んぅッ! あ、やッ…! んッ……!」
「どうだ? 道端で相手選んでるより、よっぽど良い暮らしになるぜ」




耳に舌を這わしながら、男は甘蜜を注ぐように囁いた。
バリトンのあるその声は、快楽に塗れた京一を更に煽り立てるものであった────けれど。








「…や、な……こった……ッ……」









熱に埋もれたとばかり思っていた眼光が、閃いて。
肩越しに睨む目に、男は何を言っても曲がりそうにない事を察する。




「そりゃ残念だ」
「あッ……!!」




言って、男は京一の膝裏に手を入れて、大きく足を開かせた。
視線を落とせば、勃起しきった自分自身と、雄を咥え込む様が確認できる。

体躯にものを言わせて、男は京一の体を持ち上げ、自分の思う様に揺さぶった。




「んぁッ! あッ! やめッ! や、あひ、深ッ…ああッ!」
「いい躯なのになァ」
「ィあッ、あッあん、ふぐッ、うぅうッ…!!」




ガンガンと突き上げてくる太い雄に、京一は頭の中がぼうっとしてくるのを感じた。
しかし襲い来る快感の波は留まるところも、弱まる事も知らず、京一を攻め限界へと近付けていく。

達するまいと耐えるように歯を食いしばれば、下肢にも力が入る。
締め付けが強くなるのを感じ、男は京一の限界を知った。




「いいぜ、イけよ。俺も出すからよ」
「やッ…! ふぁッ! ん、あぁあッ!」




更に激しくなった突き上げに、京一の目が見開かれる。

弱い箇所ばかり攻める男根。
湧き上がってくる劣情に、これ以上逆らう事など出来ず。






「や、あ、うぁああッ! んあぁああッ!!」






ドクドクと吐き出される熱と、注がれる熱と。
ただ受け止めるしかない欲望は、まだ始まりでしかなかった。

































リードを奪われてからは完全に男のペースで、京一はされるがままだった。
それが一番腹立たしい。


しかし男は、言うなれば紳士的と呼ぶべきだろうか。
数時間にも及ぶ情交で、足腰の立たなくなった京一をシャワールームに運ぶと、注いだ熱を全て掻き出した。
……女でもないのに随分丁寧に扱われて、はっきり言って気持ち悪かったと思う。

京一が寝ている間は特に何もせず、目覚めた時にはご丁寧にも洗い終わっていた制服を畳んでいた。
そして京一が目を覚ました事を確認すると、ルームサービスまで頼んだ。
それも全て自分持ちで良いと言って。



行為は散々なものだったが、その後の状態としては快適だった。

ゆっくり眠れて、腹も膨れて、薄汚れていた制服も綺麗になった。
備え付けのテレビとゲームで遊んでいても、男は特に何も言わず、京一の好きにさせていた。
天気予報を見れば、今日からしばらく雨続きとなると聞いて、傘持ってねェなと言ったら、折り畳み傘を放られた。
欲しいなんて言ってないと言っても、男は構わずに返却を受け取らなかった。


ただし、合間合間にウチに来ないかと誘われることは鬱陶しかった。




今もそうだ。




「なァ、どうだ」
「しつけェな」




何度行かないと言ったか判らないのに、男はしつこく誘ってくる。
情事の間にもどうにか頷かせられないかと、あれこれ仕掛けて来た程だ。

こうまでしつこかったら、もう頷いてしまおうかと思わないでもないが、自分が折れるのは京一のプライドが赦さなかった。
此処まで断り続けているのだから、もう絶対に縦に振らない心積もりになっていた。


男は煙草を吹かしながら、至極残念そうに眉根を寄せる。




「勿体ねェ。“歌舞伎町の用心棒”の腕も買ってんのに」
「組だなんだってのは興味ねェ。っつーか、嫌いだ」




ゲーム画面を見たまま、振り返りもせずにきっぱりと言い切る京一。




「学生だって事気にしてんなら、待ってやるぜ。中坊だろ? 行かなくたって卒業出来るしな」
「…ンな事ァどうでもいいけどな。嫌だっつったら嫌なんだ」




学生である事は、京一にとって大して意味を持っていない。
確かに、あちこち規制はあるが、それもまた一部はあってないようなものだ。


男が述べる想像の理由は、京一にとってどれも当て嵌まらない。
単純に、何処にも属する気がないのである。

縛るものがないだけに、こういう手合いは首に縄をつけるのが難しい。
男はそれをよく理解しており、ああ勿体ないと思いながら、終ぞ諦めるしかなかった。




「なら、気が向いた時にでも此処に連絡しな」




メモ帳を破って走り書きした番号をテーブルに置く。
京一はそちらをちらりとも見なかった。




「俺通して親父にも話つけてやる。いつでも幹部待遇で待ってるぜ」
「そいつはどーも」




興味ないですと言わんばかりの京一の態度に、男はもう何も言わない。




「俺は帰らなきゃならんが、お前は好きにしてな」
「んー」
「金も此処に置いておくぞ」
「ん」





やはりゲーム画面から目を逸らさず、京一は生返事。
コンピューター相手にムキになっている姿は、此処がラブホテルの一室である事を忘れさせた。
行為の最中の挑発的な顔とも、艶のある色とも違う、普通の中学生の姿だった。

今更になって自分がどうも犯罪者染みているような気がした男だったが、もう遅い話だ。




男が部屋を出て行くのを、京一は見送らなかった。

扉の閉まる音がして、オートロックがかかる。
それから数十分の間ゲームを進めて、区切りの良い所で電源を落とした。



静かになった部屋の中、テーブルに紙束。





「……多過ぎやしねェか?」





まともに数えるつもりはなかったが、その全ては一万円札である。
相当な金額になる事が伺えた。

恐らく、これでもう少し京一の気を揺さぶれないかと目論んだのだろう。
仮に男がホテル代を踏み倒しても、これで払って十分過ぎるお釣りが来る。
普通に考えて、採算が合わない。


どうやら、余程気に入られていたらしい。
何故かは知らないが。




その札束の横に、電話番号の書かれた紙切れ。







躊躇わずに、破いた。







灰皿を見ると、最後の煙草がまだ僅かな火を残していた。
其処に千切った紙切れを捨て、煙草の火を押し付ける。
じりじりと焦げた匂いがした。

─────そのまま、紙切れは灰になる。
従業員が片付けてしまえば、その灰さえも残らない。







「……阿呆みてェな世の中だな」







誰にともなく、呟いた。




ニュースでは何処何処で戦争だとか、何処何処で殺人がとか、何万人が被害者でとか言われているのに、この狭い空間の中は酷く平和だ。

雨露が凌げて、十分に美味い食事が出来て、温かい布団があって、金がある。
身体一つを代償に、こんなにも簡単に手に入る、一時の城。
これってエンコーだよなァと思った所で、それを咎める者は此処にはいない。


消えた番号を使えば、今よりもっと楽な暮らしが出来る。
其処に何が付いて来ようと、少なくとも、食うものに困ることはない。

……身体一つを代償に。





誰かが必至で求めるものが、特に求めてもいない自分の手の中に入って来る。
簡単に捨ててしまえる程に、呆気なく。


──────欲しいものは、何も手に入らないのに。













………溶けて消えてしまえば良いのに。

自分も、この街も、世界も。




燃えてしまった番号みたいに、何も残らず、消えてしまえば楽なのに。


















中学時代の荒んでる京ちゃんが大好きなんです。
師匠がいなくなって、荒れに荒れてる時期。妄想の宝庫!(爆)

最初は京一ペースのエロが書きたかった筈なんですが、やっぱり私は京ちゃん泣かせたいようです。