少し心配で、少し嬉しくて

















Please show it only to me

















京子が龍麻の家に泊まるのは、週に一度か二度の事。
それは付き合う以前からの事で、既に京子にとっては勝手知ったる空間となっている。

緊張も気兼ねも今更だ。
冷蔵庫だって勝手に開けるし、入っているジュースは許しを得るより先にタブを開けているし、自分で買ってきたビールを勝手に入れて冷やしている事もある。
夏の間はクーラーを点けて、冬になって炬燵を出した頃には、家に上がるなり家主よりも先に其処に収まっている。
レンジもオーブンもポットも使い方を判っていて、部屋の何処に何があるかも知っていた。


京子が泊まりに来る曜日は決まっていない、基本的に彼女の気紛れである。
なので此方の準備───例えば布団を干していないとか、洗濯物とか、夕飯だとか───が整っていない日も多い。
そして、彼女自身も準備が出来ていない時がある。










「龍麻ァ、パンツ借りたぜ」




風呂を上がって部屋に戻ってくるなり、そんな第一声。
テレビをつけて暇を持て余していた龍麻は、またか……と思いつつ、振り返る。

思った通り、京子は上半身裸に、肩にタオルを引っ掛けて、男物のパンツ一枚の格好。


そのパンツは龍麻の所有物であるのだが、最近は専ら京子のモノと化している。
こうやって下着類の着替えを持ち合わせない時に泊まりに来た時、京子が決まってそれを使うからだ。

大きなパンダ柄のトランクスは、龍麻の母が実家から送ってくれたもので、何故だか京子はそれが気に入ったらしい。
母の気遣いは有り難いも、子供っぽくてどうしようかと迷っていた所だから、彼女がそれを使ってくれることは寧ろ助かる。
優しい母の気遣いを無駄にしないで済んだからだ。



しかし、しかしである。




「……僕、シャツとズボン、置いておいたと思うけど」
「ああ」





コレな、と京子の手には龍麻が用意した寝巻き代わりのTシャツ。
少しくたびれたTシャツではあるが、それ位でないと、意外と大きな京子の胸をカバーし切れないのである。

だが龍麻の気遣いなど、この豪胆な彼女の前では、全くの意味を持たず。





「今暑ィから、後で着る」



言って、京子はタオルでがしがしと乱暴に頭を拭く。
髪の毛先に溜まっていた雫が一先ずなくなったのを確認すると、またタオルを肩に引っ掛けた。
シャツは手に持ったまま、服としての機能を果たされずにいる。


そのままの格好で、京子はテレビに近付くと、チャンネルを変える。
面白い番組がないと確認するや否や、先日吾妻橋に譲って貰ったと言うゲーム機を引っ張り出した。
同じく舎弟から貰ったゲームソフトも取り出して、アダプタを繋げ、電源を入れる。

コントローラーを手に、京子はどっかり胡坐を掻いてテレビの前を陣取った。
シャツは隣に放置のまま。



京子の後ろに座る龍麻から見えるのは、風呂上りのほんのり火照った恋人の背中。
……隠しもしない、剥き出しの。





(…………いつもの事なんだけど)





そう。
これは、よくある風景だった。


気紛れに、準備のない状態で泊まりに来た時、高確率でこのシチュエーションが起こる。
それも、付き合う以前から、ずっと。



京子は風呂の温度は熱めが好きで、大抵、高い温度の湯に入る。
長風呂はしないが、代謝率の上がった体は中々冷えてくれなくて、汗が出る事もあってシャツを着るのを嫌う。
湯冷めしたらいけないと言っても彼女は聞かず、こうして上半身裸のまま、気が向くまで過ごす。

………男の部屋で。


此処に葵や小蒔、遠野がいたら大慌て必至だろう。
特に葵は京子には常々女らしくとか、スカートで胡坐はダメと言っているから、こんな格好でウロウロしていると知ったら、卒倒するのではないだろうか。


最初は龍麻も慌てたものだった(顔には出ていなかったけれども)。

恋仲でもない女の子が、一人暮らしの男の家に泊まるという時点で世間一般的にはどうなんだろうとは思った。
だが京子はその辺りの事を気にする性格ではないし(大体、それを言い出したら、吾妻橋達と一晩一緒で繁華街を歩き回っている事だって大問題になる。あげたらキリがない)、龍麻も何をする訳でもなかったし─────後で葵には怒られたが、彼女が家に泊まりに来る事そのものに龍麻は抵抗を感じなかった。
寧ろ気を許してくれていると思うと嬉しくて、彼女に恋愛感情を持つ以前から、一つの楽しみとなっていた。




しかし、まさかこんな格好を曝されるとは思ってもいなかったし、これはハッキリ言って宜しくないと思った。




「下着を忘れたから借りた」と、それは一向に構わない。
だが、「暑いから服を着たくない」と言うのは、流石に問題があると思う。
恋仲でなかったにせよ、此処は龍麻の────男の家だったのだから。


年頃の筈だ。
普通に考えれば。

異性に裸を見られる事に抵抗はないのだろうか。
全くない訳ではないと思うが、京子の性格ならば有り得ない話ではない。






(……それは困るなあ)





格闘ゲームに夢中になっている背中を見て、小さく溜息を漏らす。



幾らなんでも、誰に見られても平気、とは言わないと思う。
以前、教室からグラウンドに飛び降りた時、下にいた吾妻橋がうっかり下着を見てしまって、それに気付いた京子は問答無用に一撃を喰らわせた。
羞恥心と言う程の感情は沸かなくても、見られた事への怒りはあるらしい。


誰の前でも裸になる訳ではない。
気を許した相手だけだろう。

京子のテリトリーの敷居は以外に高く、壁は厚く、そう簡単に中に入れては貰えない。
中に入れて貰ってからは気安いのだが、それまでが非常に困難である。
龍麻は例外中の例外と言う奴で、最初から───その最初がやはり普通ではないのだが───打ち溶け合えて、京子は春の終わり頃にはこんな調子だった。



だから、こんな姿も曝してくれるのは、京子に信頼されているからと言う証にも思えるのだけれど、






(……………)





複雑なのだ。
色々と。

そう、色々と。




「……京、シャツ」
「後!」




そろそろ着たらと促そうとしたら、一蹴された。

ゲームは苦手な相手にぶつかっている所で、先刻以上に必死になってプレイしている。
先日もこの相手に負けて、散々リベンジを仕掛けて、勝って納得したのは20分も経ってからだ。
一度は勝ったが、やはり苦手は苦手のままらしく、その“後”がいつになるのか、判ったものではない。





「あッ、このヤロッ!! ハメんじゃねーよ、クソ!」





コンピューターに文句を言いながら、京子の手の中でガチャガチャとコントローラーが鳴る。
相手のハメ技から抜け出すと、お返しとばかりにラッシュ。

この相手を倒しても、ゲームは終わらない。
恐らく、エンディングを見るまで京子がコントローラーを手放す事はないだろう。
今日は見たいテレビがなくて良かった、と龍麻は一人ごちる。



窓の外に目を向けると、夕暮れが闇に染まり始めていた。
立ち上がって部屋の電気を点け、窓のカーテンを閉める。

振り返って京子を見れば、その顔は真剣そのもの、視線は完全にテレビに釘付けだ。
その胸部で、たわわな膨らみが揺れて。





「だーッ! ムカつく、コイツ!!」




…………そう。
色々複雑なのだ。

こんな時に、特に。




彼女は女で、自分は男で。
健全な若い男子高校生である訳で。

恋人同士な訳で。


不摂生な生活をしている割に、京子の肌は綺麗だ。
怪我の痕は所々見られるが、『女優』で何かして貰っているのか、その肌はきめ細かく瑞々しい。
剣術を扱うお陰で鍛えられた体は、無駄な部分を削ぎ落として、スッキリと整っている。
そのくせ大きく育った胸を、当人はよく邪魔だ邪魔だと言っているのだけれど──────




「この野郎〜ッ、次は絶対泣かす!!」




画面には『YOU LOSE』の文字。

次のバトルに意気込む京子の隣に座っても、やはり彼女は此方を見ない。
もう火照りは収まっただろう、このままの格好では風邪をひいてしまうだろうに、やはり京子は気に留めない。
ゲームの対戦相手を攻略することで頭の中は一杯だ。



楽しそうにしている所を邪魔するのは、少し気が引ける。
けれども。






「ひゃぅッ!?」





思わず。
そんな感じで、引っ繰り返った声があがった。

肌の赤みは引いたものの、まだ京子の体温は高いままだった。
其処に触れた龍麻の手は少し冷えていたから、その温度差に驚いたのだろう。




「何しやがる、龍麻ッ」
「京が悪い」
「はァ!? ───って、おいコラ!」




背中側から抱き寄せて、膝の上に乗せる。

肩に顔を寄せると、ほんのりと石鹸の香りがした。
苺の香りの石鹸の。




「龍麻、下ろせッ」
「いや」
「あのな……」




腰を抱き寄せれば、二人の距離は更に密着し、ゼロになる。
肩口にかかる吐息を鬱陶しがるように、京子は首を竦めて前のめりの姿勢になった。


テレビ画面に『ARE YOU READY?』の文字。
すぐに開始の声が鳴る。

仕方なく京子はその姿勢───龍麻の膝上に収まったまま、コントローラーを動かす。





「やり辛ェな……」





呟きつつも、京子は龍麻を振り払わない。
抵抗しても無駄だと諦めているのだろう。

事実、龍麻も解放する気はなかった。


腹の上に腕を回して抱き締めると、腕に柔らかい感触が当たる。
それも京子は気にせずに(気付いていない可能性もある)、ゲームに夢中だ。
今回はかなり調子が良いようで、優勢をキープしている。




するり、手を滑らせて、柔らかな膨らみに触れる。





「……龍麻」





低い声で名を呼ばれた。
邪魔をするなと言いたいのだろう。

それに構わず、下から乳房を掬い上げるように支えて、緩く揉んでみる。




「重くない? コレ」
「重てーし鬱陶しいし邪魔。ってか、お前ェも邪魔」
「酷いなぁ」
「んッ」




意趣返しに胸の頂を摘む。
ピクッと京子の肩が跳ねた。


ゴスッと音がして、龍麻は腹に激痛を覚えた。




「イイとこなんだから邪魔すんなッ」
「………怒るところ違うと思うんだけど」




確かに、ゲームはあと数発で京子の勝ちになるまで敵を追い込んでいる。
けれども、この場合、ゲームを邪魔された事よりももっと別に怒る事があるだろうと思う。

龍麻の一言など耳にも入っていないようで、京子はまたゲームに熱中。
そして程無く、苦手なキャラクター筆頭の相手を負かした。




「よっしゃ!!」
「京ー」
「お、次コイツか。コレなら楽勝だな」




龍麻の呼び声もやはり聞こえておらず、思ったとおり、エンディングを見るまで止めるつもりはないようだ。
ついでに、今の格好も。


むぅ、と龍麻は唇を尖らせる。

楽しそうにしているのは良い事だが、あまり放って置かれるのも詰まらない。
別段、構って構ってーなどとは思わないのだけれども、少しはこっちを見て欲しい。



ラッシュ技を叩き込んでいる京子の腰を抱き寄せると、今度は非難も何もなかった。
コマンド入力を絶えず繰り返しているようで、手も目も離せないのだろう。

もう一度、京子の胸に触れる。
今度は両手で。





「邪魔すんなッ」
「うん」
「だから、触るな揉むなッ」





龍麻の行動に声は上がったが、先刻のように肘が出て来る事はなかった。


左右一緒に胸を揉む。

ハリがあるのに、手に触れるのは柔らかい感触で、龍麻は少し不思議だった。
他の箇所は皆締まってしっかりしているのに、此処だけはどうしたって柔らかいままだ。




「た、…つま……ッ」





コントローラーを操る手の動きが鈍る。
ラッシュが止まって、反撃を一発食らった。




「続けてていいよ、ゲーム」
「だったら、ん……放、せ…ッ」




項に唇を寄せて、キスをする。
少し強く吸い上げて放すと、赤い華が其処に咲いた。


膨らみの頂を摘んで、捏ねる。
京子の喉から、押し殺した甘い声が漏れた。




「あ、や……! 龍麻ッ……」
「ゲーム、負けちゃうよ?」
「だか、ら……あッ、ん…!」




手の中には未だコントローラーが握られているものの、指は全く動いていない。
ゲーム展開はとっくに引っ繰り返っていて、プレイヤーキャラの体力は着実に削られて行く。
キャラクターは棒立ちで、先刻と立場逆転の一方的な状況。




「や、ぁ………」




彼女にしては珍しい、しおらしい声。


伸ばしていた背を丸めて、京子は龍麻に背中を預ける格好になっていた。
そんな彼女を腕の中に囲い込む。

見下ろした京子の顔は、耳の先まで真っ赤になっている。
既に何度か体を重ねた仲だけれど、どうにも京子は行為に慣れない。
毎回真っ赤になって、時に暴れる事もあり、所謂イイムードという奴とは無縁だ。

それを思うと、今日は幾らかスムーズに進んでいるような、







「やめろっつってんだろ、このムッツリ野郎ッ!!」






目一杯首を伸ばした京子の後頭部が、龍麻の顎にヒットした。
お互いに痛かったので患部を抑えて静止する。





「……痛い」
「ったりめーだ、痛ェようにやってんだよッ。つか、離せ!」
「それはダメ」





じたばたと暴れ出した京子だったが、龍麻は抱きこむ腕の力を緩めない。





「離せ、このバカ! 負けちまったし、最悪だ!」
「また今度遊べばいいよ」





ゲーム画面には『YOU LOSE』。
今まで負けた事がないキャラクター相手に負けたので、怒りも一入らしい。


睨む瞳に微笑み返して、目尻にキスを落とす。
ゆっくりと移動して、最後には唇に。




「ん……」
「う、ん……ふッ、ぁ……」




滑り込んだ舌に応えるように、京子も覚束無いながらに舌を絡ませる。


カタンと音がして、京子の手からコントローラーが滑り落ちた。
テレビにはコンテニュー画面が映っていたが、カウント数字は既に終わりに近付いている。



唇を離せば、名残のように銀糸が光る。
プツリと切れて唇に落ちたそれを、京子は顔を紅潮させたまま、手の甲で拭った。
勿体無くて手首を捉えると、見下ろす龍麻の視線から逃れようとするように目を泳がせた。

抱き締める腕にほんの少し力を込めると、緊張したように京子の体が硬直した。
肌を滑る龍麻の手の動きを妨げるように、龍麻の腕に手を置いてしっかりと掴む。





「なんでこうなってんだよ……」





蚊の鳴くような声で呟く京子に、龍麻は耳元に顔を寄せ、





「京がそんな格好してるから」
「そんなって、どんな……」
「だから、今の格好」
「…いつもと同じだろうがよ」
「それも問題あると思うよ」





吐息が耳にかかるのがくすぐったいのか、京子が身を捩る。


腕を掴む手の力が緩んで、龍麻は愛撫を再開させる。
すっきりと凹んでいる腹を撫でて、左手を胸に、右手を下肢へと下ろして行く。

その右手の向かう先に気付いて、京子がまた腕を掴んだ。





「……京」
「だっ……て、な、その……」





あー、とか、うー、とか。
意味のない唸る声が延々と続く。


行為そのものに嫌悪感はないけれど、どうしても慣れないらしい京子。
ついさっきまで裸で過ごしていても堂々としていたのに、あの男らしさは何処に行ったのか。

ふとした瞬間に覗くこんな表情が、龍麻は可愛くて仕方がない。
いつだって強気な姿勢を崩さない彼女が、自分の前でだけ、赤くなったり縮こまったり。
怖がっている様子も───言えば本人は否定するだろうけれど───やっぱり可愛くて。



強弱をつけて胸を刺激すると、京子の唇から艶の篭った吐息が漏れる。





「あ………」





右手で京子の太股を撫でる。
手が、指がゆっくりと秘められた場所に近付いて、益々京子は緊張して固まった。

肩口にキスを落として、左手の指先で胸の頂をくすぐる。
綺麗なピンク色をした其処は、ツンと固くなっていた。
親指と人差し指で挟んで転がす。




「あ、や、あッ」
「大丈夫だよ」
「な、何、がッ、ふ、ぁッ」




パンツの上から秘部に触れれば、其処は既に潤い始めていた。
湿った感触に、龍麻はクスリと笑んで、



「濡れてる」
「……っンの、バカ…あッ!」




龍麻の囁きに、文句を言おうとした京子だったが、結局漏れたのは喘ぎだけ。


秘部の入り口に指先を押し付けると、京子の体がひくひくと痙攣した。




「や、龍麻ッ……」





下着の中へと手を侵入させると、京子はいやいやするように首を横に振る。

もう一度、大丈夫だよと耳元で囁くと、京子はぎゅっと固く目を閉じる。
この後に起こる出来事を受け止めようと、精一杯の強がりで。


直接触れた其処は、既に熱を帯びていて。




「あ、ぅんッ……」
「慣らさなきゃね」
「ひぁッ」





つぷり、指先が京子の内部へと侵入する。

緊張していた所為もあったのだろう、内壁は直ぐに龍麻の指を締め付けてきた。
それも、痛い程に。




「京……京、」
「っん、うぅ……あ……ッ」
「京、息吐いて」




言うと、京子は詰めていた息を少しずつ吐き出した。
子供が、息の仕方を教えて貰って反芻するように、深呼吸するように。

僅かに締め付けが緩むと、指を奥へと進ませる。
異物感が強くなる度に再び締め付けられて、また息をしてと囁いた。





「…っは、あッ……はぁッ……!」
「二本目、入れるよ」
「………ふ、ぁッ!」





ゆっくりと、中指を挿入する。
同じく、乳房も揉みしだき、時折爪先で先端を刺激した。

京子の体が震え、与えられる快楽に怯えるように、龍麻の腕にしがみ付く。


風呂から上がった時とは違う火照り。
血色の良い肌が熱に浮かされて、紅潮する。
瞳はとろりと熱に溺れ始めて、漏れる吐息すらも龍麻の男を煽ろうとする。




「……!」
「…気付いちゃった?」
「………気付かずにいられるか、バカ……」




京子の尻の下、布越しにも判る程に大きくなっていく龍麻の自身。
押し上げる程に勃ち上がり始めた熱の塊に、京子は赤い顔で龍麻を睨んだ。



内部で指を曲げると、京子の体が跳ねる。

乳首を弄る指を留めないままで、内部の壁を少しずつ押し広げていく。




「バッ…それ…やめ……ッああ!」





ズルリと指を引き抜いて、また挿れる。
ちゅぷんと水音が鼓膜に届いて、京子は已然肩にかけたままだったタオルを取って、顔を埋める。




「あっ、んッ! や、龍麻、やぁッ…!」
「顔隠さなくても良いのに。可愛いんだから」
「ひぁ、やだ、や…んんッ」





タオルを取り上げようとはしないが、勿体無いと思う。
どうせなら、ずっとずっと顔を見ていたい位なのに。



膝上から京子を床へ下ろすと、くたりと力を失って倒れ込む。
布団などという柔らかいものは用意していないから、顔を打たないように慌てて体を掬った。
京子は顔をタオルに埋めたままだ。


背中をなぞると、ぞくりとしたものが京子の背を走り、体が反り返る。
その背にキスを落として、龍麻は京子のパンツを下ろす。

普段、外気に晒される場所ではない其処は、腕などと比べると幾らか白い。
例に漏れずに締まった形の良い臀部を撫でる。
緩やかな刺激に、京子は無意識だろう、もどかしそうに腰を揺らす。



ズボンのベルトを外して、自身を取り出す。
少し扱くと、直ぐに完勃ちした。




「龍麻……、」
「うん」





言わんとしている事は判っている。
帰ってから放り投げていた鞄の中から、ゴムを取り出し、自身に被せた。

濡れそぼった秘部に自身を宛がい、一気に奥まで挿入する。





「ああぁッ……!!」
「ごめん、我慢できなかった」
「バ、カヤロ……ひ、ぅんッ」




ゆっくり、とか。
気を遣いながら、とか。

今までので精一杯の我慢だったのだ。
直接繋がる熱を感じてしまった今、歯止めは効かない。
せめて無理な負担はかけないように努めたいとは思うけれど──────





「あッ、あッ! ん、や、龍麻ッ!」
「京の中、熱い……」





この熱さは、風呂上りだからとか、そういうものではなく。
繋がり合った興奮と、愛しさと、京子の場合は多分羞恥もあって、それが全部混ざり合って熱に変わるのだ。



若い躯は快楽を貪る。
与えられる側も、与える側も、区別なく。


部屋の壁に映った影は、まるで獣同士が交わっているようだ。
其処に道徳だとか理性だとかは必要なくて、あるのはただ互いの存在と、互いに向け合う感情だけ。
愛しいから、愛しくて仕方がないから、もっと全部を見せたくて、見たくて、知りたくて。




「龍麻ッ、ふぁッ! あん、っひ、そこッ……!」




ビクリと大きく跳ねた京子の躯。
その場所を攻めて突き上げる。

京子は床に頭をこすり付けて、せめてもの頼りとなっているタオルを強く握る。




「だめ、や、やぁッ! 龍麻ッ、たつ、まぁッ…!」
「っん……京…京子……」




京子の腰を掴んで、最奥を抉るように突き上げる。




「ああ、あ、あん、あぅッ…っは、はあんッ」




最初の頃のように、羞恥で声を押し殺すなど、最早出来る筈もなく。
ギリギリまで引き抜かれ、最奥を突き上げられる度、あられもない声が京子の喉から上がる。

同じように、龍麻の喉からも、時折苦しげな声が漏れる。
眉根を寄せる龍麻の限界は近かった。




「京子…僕………」
「んぁッ、は……も、ムリ、だめッ……!」
「う、んッ」




びくんッ、と京子の躯が大きく跳ねて。
同じく、龍麻も自身の熱を解放した。




























───────それから、一週間後。






「………京」


「あ?」


「……もうちょっとでいいから、学習してよ」


「はぁ?」






相変わらず、無防備な格好の恋人に─────自分だけが知ってるんだから、まぁいいかと諦めるのだった。

















ラブってる二人でえっちでしたー。女京で初のえっち話です。
二人の初めて話も考えておりますが、それより先に“現在”の二人で。

……男京でもそうですが、毎回中々えっちまで持っていけませんね、うちの龍京は。
それもこれも、京ちゃんが大人しくしないからです(最終的にはいつも流されてますが)。
スカートの中見られても、自分が裸になるのは平気(でも龍麻以外が見たら剣掌・旋風発動(爆))でも、えっちとなると途端に恥ずかしがる京子です。


ところで、女体化のえっちで何処まで書いて大丈夫なんですか(汗)。