それはまるで、空から大地へ落ちてきた太陽に似て。


















degeneration Sun


















最初の出会いは、いつだったか。
彼がまだ高校二年生の時分だったか。

噂を聞いたのはそれよりもずっと前だ。
多分、話自体は随分古くからあったもので、一番古いもので言えば彼がまだ子供と呼んで良い頃から存在していた。
流石にその頃の事はリアルタイムでは知らないが、とんでもなく強い少年がいる事は、その筋の連中の間では有名だったのだ。


その頃、吾妻橋もまだ若かった────別に今老け込んでいる訳でもないが。
己の実力の天辺を知らず、正に井の中の蛙だったのである。

自らよりも強い男など幾らでもいる事は判っていたが、まさか未だ高校生の子供に負ける事はないと思っていた。
噂なんてものは単なる“噂”で、どんなものにだって尾びれ背びれがついて回るものである。
だから噂の“歌舞伎町の用心棒”もそんなものなのだと。




だが、逢って一番最初に、吾妻橋は息を呑んだ。





都会のビルが乱立するコンクリートジャングル。
汚れた猫がゴミを漁る、埃まみれの狭い路地。

冷たい光が、其処で刃を閃かせていた。





負けた。
呆気なく。


その時、吾妻橋は感じ取った。
彼が全く本気ではない事、閃かせた刃を振り上げてすらいない事。
いや、それ所か、彼は刃を鞘から抜く事さえしなかったのである。

つまりそれ程までに、彼の実力は吾妻橋と天と地ほどの違いがあったと言う事。
純粋に研ぎ澄まされ、熟練された者が持つ日本刀の切れ味は、ボロボロの屑刀など呆気なく両断する程のものなのだと。



悔しかった、血反吐を吐くかと思うほどに悔しかった。
吾妻橋とてプライドがある、それまでに築いてきた力と肩書きがある。
“墨田の四天王”の名は決して伊達ではないのだと。



だから何度も挑んで、何度も負けた。
毎回毎回、呆気なく。

彼はいつも刀を鞘に納めたままで、まるで子供を相手にするように、ひらりひらりと吾妻橋の攻撃を避ける。
人数に物を言わせて奇襲をかけても、まるで背中に目があるように、彼は簡単に避けた上で返り打つ。
どんな大人数を相手にしても怯まない彼は、泰然と冷たいコンクリートの上に存在し、向って来る敵意を片端から払い除けて行った。


その様を目の当たりにしながら、自分の強さは一体なんだったのかと自問自答するようになった。
─────そうして初めて、ただ自己を振りかざす為だけに力を求めていた事を知った。




冷たい光をその目に宿した少年。
誰に媚びることもなく、薄汚れた路地裏で、それでも消えない鋭い光。

一体何度、その光に貫かれただろう。
彼の手の刃に触れられることさえない代わりに、その存在に何度灼かれた事だろう。







光の刺さないコンクリートジャングルの中。


彼はまるで、空から追い出された太陽の欠片のように眩しかった。





























「暇だな」






ぽつりと呟かれた声に顔を上げれば、敬愛する兄貴分(と吾妻橋が勝手に奉っているのだが)がいて。
いつもの古ぼけた廃ビルの中、いつもの一室、いつもと代わり映えのないメンバーの中。
兄貴分────蓬莱寺京一は、勝手に持ち込んだ廃棄物であった机の上にどっかりと足を乗せ、後頭部で手を組んで天井を仰いでいる。


部屋の中で意識を持っているのは京一と吾妻橋だけで、他の三人は床なりガラクタの上なり、寝転がって鼾をかいて寝ている。
半分日課と化していた丁半遊びもとうに飽きて、二人会話もなくダラダラと過ごしていた所だった。

そんな訳で、先の京一の言葉も無理はないのだが、だからと言って吾妻橋にはどうにも出来ない。




「へェ……」
「ンだ、そのリアクション」
「…そう言われましても」




つまらんと言わんばかりに京一の眉根がよって、反射的にすんませんと謝った。

面白いことをしろと言われても、生憎、吾妻橋には一発芸などのネタはない。
他のメンバーが起きていれば何某かあったかも知れないが、爆睡中の三名は起きる様子は皆無。
だから、どうにも出来ない。


先の言葉どおり、退屈そうに椅子を傾けてゆらゆら揺らす京一。
傾いたままで器用に足を組み替えたりするが、それで現状の何が変わる訳でもなく。




「なんかねーのかよ、暇潰せるようなモン」
「……勝負しやすか」
「飽きた。」




籠とサイコロを見せて誘ってみるが、ばっさりと切られた。
これが駄目なら此処で暇を潰せるようなものは何もない。
今度トランプでも探して来た方が良いかも知れない、と思った。


暢気にぐーすか寝ている仲間達が恨めしい。
しかし、殴ろうが蹴ろうが顔に落書きしようが起きないのは前例有なので、彼らを頼る事は出来ない。
吾妻橋一人でこの状況を打破しなければならないのである。

だが一人で出来ることと言ったら限界が簡単に見えてくるものだ。
…と言うか、吾妻橋の頭で考えられる事で言ったら、全く浮かばなかったりする。




やべェ。

その一言が頭を占める。
そうしている間にも、暇を持て余した京一の表情は渋いものになって行く。




「あー…………アニキ」
「あ?」




返ってきた声は低いトーン。
機嫌が悪い時の声だ。

この時、京一は完全に理不尽に吾妻橋へと苛立ちをぶつけていた。
他にどうしようもない現状による怒りを発散させる相手がいなかったのである。
激しい京一シンパの吾妻橋は、そんな不条理さなど気にもせず、ただ只管に京一の暇を潰せるような物を考えていた。


結果。




「ちょいと、そのー……ドライブにでも行きやせん?」
「………………」




すぅと京一の双眸が窄められる。
なんでお前なんかと、明らかにそんな瞳をして。




「いや、あの、此処にいたって何にもねェ訳ですし。此処でボケーッとしてるよりは」
「ボケっとしてんのはお前ェだけだ」
「………へい」




京一の木刀がぐりぐりと吾妻橋の頬を押す。
太刀袋に入ったままとは言え、その中身の先端が刀同然に尖りを帯びているのは変わらないわけで、頬骨が若干痛い。
痛いがその文句を言える訳もなく、大人しく肯定の返事をするしか吾妻橋の選択肢はなかった。


数回吾妻橋の頬を押してから、京一は木刀を下ろし。
傾けていた椅子を元に戻して、机の上に乗せていた足も久しぶりに床へと着けられた。
そして立ち上がると、ドアを失った部屋の出入り口へ。

その時になっても動かぬ吾妻橋へと、京一は肩越しに視線を寄越し、




「何してんだ、ボケっとしてんじゃねーよ」
「へ?」
「行くんだろうが、ドライブ。確かに、此処にいるよりゃマシだろうしな」




言われて数秒。
理解に時間を要してから、吾妻橋は慌てて椅子を立った。
そのまま部屋を出て行こうとして、危うくバイクのキーを忘れた事に気付き、戻ってガラクタの上に転がしていたキーを掴む。

部屋を出た時には京一は既に階下への階段を下りていた所で、吾妻橋は駆け足でそれを追い駆けた。




ビルを出て、既に使われていない駐輪場へと向かう。
其処にはポツンと吾妻橋が私用するバイクが置いてあるだけだ。



キーを入れてエンジンをかけ、出発の準備をする間、京一は何をするでもなく傍らに立っている。


ちらりと、エンジンを暖めながら京一を窺い見る。


京一はビルとビルの隙間に覗く、僅かな空を見上げていた。
瞳に映りこんだその色は、時刻に応じて既に夕暮れの緋色に染まっており、雲も橙色に変化していた。
あと数十分もすれば、この緋色は漆の色に変わる事だろう。

吾妻橋には、京一の瞳に移りこんだその緋色がなんだか酷く綺麗で、ぽかんと数秒、それに魅入っていた。
少し引いて、視界をその瞳から彼の横顔へと広げてみれば、何処か憂いを含んだ面立ちが其処にある。




──────ドクリ、心臓が鐘を打った。




そのまましばし、吾妻橋は時間の経過を忘れていた。
傍らに立つ人の、何処か現実味の欠ける面に意識を吸い込まれたままで。



まるで、空に何かがあるかのように。
其処に何かを求めているかのように。

時折、京一はこんな風に憂いを帯びた顔をする。


出逢った頃に魅せられた冷たい光とは違う。
彼の傍らを取り巻くようになってから見つけた、照れ臭そうに笑う時の、少し幼い光とも違う。
喧嘩の最中に閃く、青い炎のような一瞬の内に燃え上がる光とも違う。

普段は片鱗すら見せない光が、こういう時────無防備にも見える一瞬に、ちらつく。
それを見つけてしまう度、吾妻橋は呼吸も忘れて魅入ってしまう。



遠い何かに思いを馳せているような、遠い何処かにそのまま消えてしまいそうな。
そんな柔でも儚い人でもない筈なのに、この一瞬だけ、切り取られた絵画のように綺麗で。

カメラのシャッターを切った様に、吾妻橋にはこの風景が、鮮やかに記憶に残るのだ。




まるで、忘れられた記録の断片であるかのように──────







「────オイ、暖機もういいんじゃねェか」




聞こえた声に、吾妻橋の意識は現実へと還る。
還って一番最初に見たのは、敬愛するアニキの顔────それもかなりの至近距離。




「うぉぉおおおうッッッ!!!?」
「うおッ!?」




素っ頓狂な声を上げて飛び退いた吾妻橋に、京一も肩を跳ねさせて数歩後退。




「なんでェ、ビビらすな! 妙な声出しやがって!」
「すいやせん!!」




飛び退いた勢いそのままに、吾妻橋は硬いコンクリートに土下座する。
其処までの謝罪を求めていない京一は、顔を引き攣らせ、地面に額を擦り付ける舎弟を見下ろし、




「……いや、いいけどよ。別にムカついた訳でもねーし」
「すんません…!」
「だからいいっつーの」




ごちん、と吾妻橋の頭に硬いものが落ちてきた。
京一の木刀である。

痛みを訴える後頭部を摩りつつ立ち上がり、バイクに跨る。
後ろに京一が乗り、姿勢を安定させたのを確認して、吾妻橋はエンジンを吹かした。


京一が吾妻橋のバイクに乗るのは、初めての事ではない。
夜通し歌舞伎町をぶらついた翌日、学校に遅刻しそうな彼を乗せて近辺まで走った事もある。
それから京一が親友と憚らない緋勇龍麻が行方不明になった時にも、どういった経緯か吾妻橋はその時聞かなかったが、彼を探す際の足として求められ、吾妻橋は躊躇わずにそれに応じた。

その時ヘルメットと言う安全の為の代物は、一度として被った事がない。
二人乗りでノーヘルと言う、危険である事を、気にするものは此処にはいなかった。
ちなみに警察に追われる時もあるのだが、これは無視するに限る。



薄暗い人通りのない道を通り抜け、大通りへ。
車が行き交う道路の端を、風を受けながら走る。




「で、何処まで行くんでェ?」
「あー……そうっスねェ……」




赤信号で止まった所で問われて、吾妻橋は特に決めていなかった事に気付く。




「東京湾でも行きやすかい?」
「行ってどうすんだ。何もねェだろうが」
「今の時間なら夕陽見れますぜ」
「だからンなもん見てどーすんだよ」




背中で文句を言われても、バイクを運転しているのは吾妻橋だ。
そして京一も何処に行きたい訳でもなかったので、結局は「好きにしろよ」と呟く。


誘う文句に夕陽を選んだが、別段、夕陽が好きな訳ではない。
他に今思い着くものがなかっただけだ。

実際、自分も東京湾も港も見たいと思っていない。
けれど何処かに食べに行くでは金がかかり、懐の淋しい自分達には辛いものがある。
同じ理由でゲーセン等も却下で、後残っているのは、ただただ走って何処かに辿り着くのみ。



─────とは言え。
緋色に染まった空には、千切れ千切れた雲が点在するのみで、曇天は欠片もない。
綺麗な夕陽が見れるのは、恐らく間違いないだろう。




「夕陽なんて間に合うのか? 沈んじまうんじゃねーの」
「渋滞でなきゃ間に合いますよ、多分…」
「ま、どっちでもいいけどよ」




とす。

背中に重みがあって、一瞬硬直した。
危ない、事故に繋がる所だった。


赤信号に止まって、ミラーの角度を調整する振りをして、背後の存在を見た。



背中を伸ばしているのに疲れたのか、京一は吾妻橋に寄りかかっていた。
振り落とされないように片腕が吾妻橋の腹に回されており、もう片方はいつものように木刀を肩へ。




何度か京一をバイクに乗せたが、未だに吾妻橋は緊張する。
敬愛する人物が直ぐ後ろに、それもゼロ距離にいて、吾妻橋に身を任せているのだから無理もない。

そんな事を京一は知らないけれど。


京一は親友の龍麻に対してはよくスキンシップをしているが、吾妻橋達にそれはない。
京一と“墨田の四天王”の間のスキンシップと行ったら、木刀で小突かれたり蹴飛ばされたり。
とてもじゃないが穏やかな遣り取りは存在せず、少々バイオレンスなのが日常だ。

だから京一が吾妻橋に触れる事は滅多にない。
吾妻橋自身もそんな事はおこがましいと言う意識があり、自身からもあまり触れない。


その所為だろう、吾妻橋は京一に触れられる事に慣れていないのだ。


けれども、バイクに乗っている時はそうも行かない。
落ちない為にはどうしても京一は吾妻橋に掴まらなければならないし、吾妻橋もそれを受け止めなければならない。
そして緊張なんてしていたら事故を起こしてしまうから、意地でも平静を保たねば。

回数をこなして、どうにか掴まれる事には慣れた吾妻橋だが、無防備に身を委ねられるとまだ緊張する。
……別に、それで何が起こる訳でもないのだけれども。




「寒ィな」
「…そっスね」
「後で上着寄越せよ」
「俺が風邪引きますよ!」
「問題ねェだろ。引いとけ」




とんだジャイアニズム。
背中で笑う気配があるので、勿論冗談だろうが。




「お、デケェ船」




見えた港に停泊している船を見て、京一が呟いた。
その前を横切るように、海岸線に沿ってバイクは走り抜けていく。


先の言葉の通り、寒さを感じたのだろう。
京一の吾妻橋に掴まる腕に力が篭り、ひたりと体が密着する。

頼むから動揺するな、俺。
跳ね上がる心臓に対して胸中で叫んでも、鼓動は一向に休まる気配がない。
かと言って、当然、背中の存在に離れてくれなどと言える訳もなく。



ドライブに行く事を提案した時点で、こういう事になるのは判っていた筈だ。
だと言うのに、今になって何を意識しているのか。




「……おい吾妻橋」
「へい」
「お前ェ今、信号赤だったぞ」
「………マジすか」
「いいけど事故ンなよ。殺すからな」
「……へい」




自分の動揺に気を取られている場合ではなかった。
自分が少しでも運転を謝れば、ノーヘルで二人乗りなんてしている自分達の命は無い。

敬愛する京一の命を握っているのは、今現在、吾妻橋なのである。



海岸線を進むと、東京湾が見えた。
その向こうの西方に、ビルの隙間に沈み行く緋色の太陽。

ビルの隙間で光る陽光は、その閃光を十字に切り、穏やかな波に揺れる水面を照らす。
本来なら深いグリーンの色をしているだろう東京湾の水面は、今だけは夕暮れの空を映し出すように紅い。
きらりきらりと水面で煌く陽光の反射が眩しい。




「へェ」




ボォ、と近くの埠頭からだろう、汽笛の大きな音がする。
それに埋もれることなく、不思議と京一の感嘆の呟きは、吾妻橋の耳に届いた。




「悪かねェな」
「そっスね」




コンクリートを打ちっ放しにした、海に面した駐車場を見付けて、吾妻橋は方向を変えた。
今は誰もいない、停まった車もない其処へ滑り込むと、バイクを停める。

先に京一がバイクを降りて、柵も何もない波打ち際に歩み寄る。




「東京湾なんざ汚ェモンだと思ってたけどなァ。こうして見るとそうでもねェな」




確かに、汚染問題がどうのと騒がれている割に、此処から見える景色は綺麗なものだ。

その汚染問題についても、かなり改善が育まれているのだが、京一はそんな事には興味がない。
今は目の前に広がる景色だけが、彼の意識を占めている。


ビルの隙間に沈んでいく太陽と、京一は向き合っていた。
その後ろで佇む吾妻橋に、彼の表情を見ることは出来ない。

けれど、




「─────そっスね。キレイなモンすよ」




呟いた吾妻橋の言葉の真意を、向けられた少年が知る事はないだろう。

此処から見える景色が、吾妻橋が見る景色が、綺麗だと言う事。
眩しい陽光の中で佇む少年の後姿が、最も美しく映るのだと言う事を。




「…ちょいと前まで、薄汚ェモンばっかだと思ってたのになァ」
「……そっスね」




この海も。
この街も。

ろくでもないものばかりが溢れている。
だけれどその中で、キレイな光が存在しているのは間違いない。
…こうして、束の間綺麗な景色を見る事が出来るように。


目の前の少年が、薄汚れた路地裏で、まるで太陽のように光を失わないように。



普段、汚いものばかりを見るからだろうか。
いやそれよりも、自分自身がこんなに汚いからだろうか。

吾妻橋は、闇の中に置いて光を失わず、凛と立ち尽くす目の前の少年に憧れずにはいられない。
汚泥の中にいながらにして、光の中にも存在することが出来るその強さに。
眩しい光のように行きながら、地の底を這いずる者に不器用ながら手を伸ばす、その優しさに─────手を伸ばさずにはいられないのだ。




「キレイっスよ」
「何度も言うなよ。有り難味薄れて来るじゃねェか」
「でもまぁ、事実っスから」
「まぁな」




そう言って振り返った京一の向こうで、ビルの隙間の太陽が十字に光る。
光に照らされた少年の面影が、また一枚、切り取られて見るものの記憶に刻まれる。



眩しい太陽にも、水面で反射する光にも、劣らない。
霞むことさえ有り得ない、佇む少年が放つ、強烈な光。

時に冷たく、時に温かく、時に激しく。
幾度と無く変化する光の色は、吾妻橋を囚えて離そうとしない。
他に何にも心移りをさせる事なく、雁字搦めにして。




「オーイ、またボケーっとしてんじゃねーぞ」
「へ? へいッ」




また間近に京一の顔があった。
呆れたように細められた双眸に、吾妻橋の顔がそっくりそのまま映り込んでいる。
本日二度目の奇声が上がりかけたが、どうにか飲み込む。

その代わりに気をつけの姿勢になった吾妻橋に、京一はクスリと笑い、




「だからって別に畏まる必要もねェけどな」




木刀を肩に担ぎ直して、片手をポケットに突っ込んで。
立ち尽くす少年の笑った顔は、その向こうで輝く緋色の太陽よりも眩しくて。




─────だから、吾妻橋は何処まででもついて行く。
少年が望もうと望むまいと、彼が向かうと言うのなら、同じ場所に向かうと決めた。
その先に待っているのが、例え異形の者共であろうとも。












其処にあるのは、空から堕ちた太陽の欠片。



地面を這い蹲って生きる者達が、

光の中で生きる事の出来ない者達が、




ただ一つ追い駆けることを赦された、小さな太陽の一欠片。















吾妻橋→京一。
うちの二人はこんな感じ。

当サイトの京一は、鈍い上に変な所で無防備。
吾妻橋の京一シンパは、どうも神がかったフィルターが貼られているようです(笑)。


そして私は何処まで京一に夢見てるんでしょーか(爆)。