全然似ていないと人は言う。

似た者同士だと人は言う。




どっちなんだと問えば、やっぱり似てないねえと笑ったのは、四人の内の誰だったか。




ミステリアスな転校生。
都内有数の不良。

古武術の達人。
剣術の達人。

ちゃんとやれば取れる、トップクラスの成績。
最初からやる気なし、サボタージュなんて当たり前。

いつもふわふわ笑っている。
いつもイライラ仏頂面。

夜のような深い藍を含んだ髪。
くすんだ大地のような赤茶けた髪。


正反対で同じ。
同じで正反対。



喋っているのはいつも片方。
もう片方は聞いているのが殆ど。



彼は言う。
皆を救いたい。

彼は言う。
優しさだけで全部救える世界じゃない。


正反対の思考回路が衝突する事は、不思議と、なかった。
平行線を辿っているから、交わる事もない、ぶつかる事もない。
ただ、向いている方向は、同じ。




全然似ていないと人は言う。

似た者同士だと人は言う。



どっちなんだと問えば、やっぱり似てるかもと言ったのは、四人の内の誰だったか、それとももっと別の人間だったか。








根が似ているんじゃないかと人は言う。


実際の所はどうなのかは──────どうでもいいと、二人は言った。









2011/03/16

なんだこれ第三弾(爆)。

うちの龍麻と京一は、根っこは似た者同士だけど、伸びた枝葉が正反対。多分。
手の平に掴める全部のものを守りたいのが龍麻で、零れ落ちたものは必死で掻き集めて、全部落とさないようにしようとする。
きちんと掴んで離さずにいられるものを守りたいのが京一で、零れ落ちたものはそのまま、代わりに残ったものを全力で守る。