雪花篝
※性器切断の描写有。


 ゆっくりと押し倒されて、地面に横たえられる。
背中に触れたのは剥き出しの土肌ではなく、防塵用にレオンが使っていた外套だった。
街宿のベッドのように柔らかなものではなく、少しごわついた感触があるが、土肌の上よりは遥かにマシだ。

 スコールは外套の端を手繰り寄せて、顔を埋めた。


「…レオンの匂い、する……」


 日中、殆どの時間を身に着けている、レオンの外套。
スコールはこれに包まるのが好きだった。


「なんだ、スコール。俺よりそっちが好きか?」


 スコールの頭の横左右に両腕を突いて、覆い被さる青年の言葉に、スコールは慌てて首を横に振る。


「違う。でも、……落ち着く、から…つい……」


 街に滞在している時、レオンは炎を操る力を使って働きに出ていた。
スコールは中々手に職をつける事が出来なかった為、借家でレオンの帰りを待っているのが常だった。
その間、離れた熱と気配を求めるように、スコールはレオンの衣服を持ち出しては包まって眠っていたのである。
レオンの気配がするものが、スコールには全て大切なものだった。

 だが、今日は外套や衣服などに頼らなくても、求める人が目の前にいる。


「スコール」


 いつまでも外套を手放そうとしないスコールを諌めるように、レオンが名を呼んだ。
埋めていた顔を上げて、覆い被さるレオンを見ると、スコールの世界は青灰色で埋め尽くされる。


「ん、ぅ……」


 息苦しさに抵抗はしなかった。
されるがまま、促されるままに緩く口を開けば、するりと熱の塊が滑り込んでくる。


「んぁ、あ…ふっ……」
「ん……ちゅ…」
「ふ…ぅうん……っ」


 ちゅく、ちゅぷ、と咥内で音が鳴る。
レオンはたっぷりとスコールの舌の味を堪能すると、ゆっくりと、銀糸を引きながらスコールの唇を解放した。


「んあ…ふ…れ、おん……」


 舌足らずに呼ぶスコールに、レオンは小さな子供を褒める様な手付きで、彼の頭を撫でる。
しかし、見下ろす青灰色の瞳には、保護者のような柔らかさよりも、野生の獣を彷彿とさせる獰猛さがあった。

 見下ろすレオンの長く伸ばされた髪が、スコールの頬を、首蘆掠める。
それだけで、ふるり、と体を震わせ、身を捩るスコールの姿に、レオンは満足げに笑みを浮かべた。

 衣服を結び留めている帯はそのままに、レオンはスコールの褄下の隙間から、手を滑り込ませた。
すらりと伸びた足をゆったりと撫でながら、レオンの手はスコールの秘められた場所へと近付いて行く。
その進みが酷く緩慢で、焦らされているようで、スコールの心音が早鐘を打つ。


「…ん……レオン……」


 消えそうな程のか細い声で名を呼べば、直ぐに向けられる蒼の瞳。
レオンは赤らんだスコールの頬に、あやすようにキスを贈った。

 レオンの手がスコールの足の付け根を辿り、秘部に触れる。
其処に、男の象徴である筈の陰茎と判るものはなく、まるで女性の陰核のように小さなものしか存在していない。
ぷくりと膨らんだ部分はあるものの、竿はない。
レオンは膨らみを指先で労わるように撫でて、そのまま手をスコールの後ろ────アナルへと伸ばすと、つぷり、と秘孔へ人差し指を差し入れた。


「んんっ……!」


 びくん、とスコールの体が強張る。
内壁が侵入を拒むようにレオンの指を締め付ける。


「…久しぶりだから、いきなりはやっぱり無理か」
「う、う……」


 レオンの言葉に、スコールは平気、と首を横に振ったが、無理をするなと宥められる。


「街にいる頃みたいに、毎晩は抱いてやれないからな…」


 そう言って、秘部をなぞっていた手が離れて行くのを感じて、スコールの体から余計な力は抜けたものの、蒼の瞳は寂しそうにレオンを見つめている。

 レオンはスコールの上に跨ったまま、右手の指を己の舌で舐めた。
赤い舌が筋張ったレオンの指をなぞるのを見て、スコールはほう、と艶の吐息を零す。
それを見たレオンが、スコールの口元に指を近付けると、スコールはおずおずと口を開き、


「ふぁ…ん、……」


 スコールの淡い色をした舌が、レオンの指をねっとりと辿る。
指に纏わりついていたレオンの唾液を舐め取るように、スコールは丹念に、丹念に、レオンの指を食んだ。

 レオンの指がスコールの舌の先を摘んだ。
くん、と引っ張られる感覚に逆らわず、スコールは口を開いて舌を差し出す。
指が咥内に潜って、歯列の裏をなぞる感覚に襲われて、スコールは甘い声を漏らした。


「あ、ぅ……あ、は…っ」
「…もう良いな。十分だろう」


 ぬろ…と舌の腹を撫でて、指が出て行く。
スコールの舌が名残惜し気にそれを追うと、慰めるようにレオンは己の舌をスコールのそれに宛がった。


「ん、ん…あ…ふ…」
「ん……、」
「ふ……ぅんっ…!」


 濡れた指が、もう一度スコールの下肢へと伸ばされる。
レオンの指が下肢の小さな膨らみに触れた。


「…気分、悪くなったりしてないか?大丈夫だな?」


 口付けを止め、気遣うように問うレオンに、スコールは小さく頷く。

 ────元々は、スコールもきちんと男としての象徴を持って生まれた。
しかし、氷の洞窟で虐待を受けながら暮らしていた頃、狂気に駆られた同族達は、スコールが“男”であるから災いを呼ぶのだと言い、スコールの男としての象徴を取り除いてしまい、人間の医者を拐かして施術をさせ、男の性器としての機能を永遠に奪ってしまった。
幼いスコールがその意味を判る筈もなかったが、雄としての本能か、自分が何をされようとしているのか知った時、いや、と泣いて拒否を示した。
しかし狂気に飲み込まれた同族達が、異端の子とされている子供の懇願など聞いてくれる事はなかった。
最後には、一族と異なる部分───雄の象徴であるペニスや陰嚢───がなくなり、皆と同じようになれば、また姉に逢える、皆に疎まれる事もなくなるのではと考え、施術を受け入れた。

 施術は氷の洞窟内で行われた。
拐かされてきた医者が持っていた最低限の施術道具と、痛みを緩和する為、麻酔代わりの氷───それもシヴァの一族にとっては感覚を鈍らせる効果は殆どないに等しかった───だけを使用した切除手術は、幼いスコールにとって、喉が裂ける程に泣き叫ぶ程の痛みを伴った。
それでも、これを耐えれば自分は赦されるのだと信じて、耐え続けた。
しかし、性器の機能が失われた所で、子宮や卵巣が生まれる訳でもない、男らしく育つはずだった身体が中性的に成長しただけの事で、スコールが本当に女になれる筈もなく、その後も一族への不幸は続き、一族からのスコールの扱いは更に最悪の一途を辿った。

 スコール以外に男が存在しなかった一族の中で、スコールと同じ性器を持った者はいない。
施術をした医者は女であった。
だからスコールは、レオンと出会うまで、雄と言う生き物が須らく嘗ての自分と同じモノを持って生まれているものなのだとは知らなかった。

 レオンと共に旅に出て、様々な見分を広げる内に、自分がされた事の意味と、理不尽な理由を理解した。
その時スコールは、無理やり作り変えられた自分の体を激しく嫌悪した。
男として生まれた事を疎まれ、皆に受け入れて貰いたくて、無理やり作り変えられる事を受け入れたのに、それは全く意味のない行為だったのだ。
自分自身が酷く中途半端な生き物になった事を知ったスコールは、暫くの間、精神的に不安定な日々が続いた。

 それを支えてくれたのは、他でもないレオンだ。
ふとした折に唐突に涙を流す程、自己のコントロールを失っていたスコールを、レオンは見捨てる事はなかった。
スコールが自分の体に嫌悪を感じ、自傷行為に走ろうとすると、レオンは力尽くでそれを止めた。
その時には既に、スコールが嫌悪する躯も何もかも、レオンにとっては愛しいものになっていて、何一つ失えるものではなくなっていたのだ。
────初めてレオンがスコールを抱いたのは、その時だ。

 生まれて間もなく母を失い、異端とされたが為に謂れのない罪を背負わされ、愛してくれた姉とも引き裂かれたスコールの全てを、レオンは受け入れてくれた。
彼に心身の全てを愛されて、スコールは初めて、自分が生きていて良いのだと知った。

 自分の体を嫌悪していた頃のスコールの有様を、レオンははっきりと覚えている。
だから、こうして体を重ねる度、下肢に触れる度に、スコールを気遣うのだ。
もう平気なのに───とスコールは思うけれど、気遣う時に感じられるレオンの優しさが嬉しくて、何も言わずにいつも頷くだけの返事をする。


「ん、う……っ」


 レオンの手がスコールの小さなペニスを抓み、コリコリと捏ねて刺激する。
敏感な場所を、指の唾液がねっとりとまとわりつきながら弄るのを感じて、はっ、はっ、とスコールの息が性急に上がって行く。


「ふぁ…、あっ……!」


 擦られ、淫部から下肢全体にじんじんと伝染して行く熱に、スコールの腰がひくひくと戦慄いた。

 レオンは、スコールの太腿を手で押して開かせると、身を屈めて秘部に顔を近付けた。
感じる視線に、スコールがもどかしげに身を縮こまらせようとする。
そんなスコールの様子を眺めながら、レオンはスコールのペニスから手を放し、秘孔口へと指を辿らせる。


「んっ、んっ…!ふ、ぅん……っ」


 入口で円を描くように擦られる感覚に、スコールは零れそうになる吐息を噛んで堪える。

 つぷ……とレオンの指がアナルの入り口を広げる。
ひくひくと締まる淫肉を指先に感じながら、レオンは小さなペニスに唇を近付けた。
伸ばした舌が膨らみを撫でると、ピクン、とスコールの膝が跳ねる。


「あっ…は、ぅ……」
「ん…ふ……」
「ふああっ…!」


 ちゅく、とレオンの口が膨らみを食むと、ビクン!と細い肢体が弓形に仰け反る。


「や、や…あっ、ああぁっ…!」


 ねっとりと舐る舌から、じわじわと伝わってくる、熱。
スコールは地面に敷かれた外套を握り締めて、悶えるように頭を左右に振った。


「は…ふ…っ……」
「ふぁっ、あっ…!レオン、息…息、やぁっ…!」


 小さな陰茎をなぞる舌の形や熱は勿論の事、呼吸に漏れるレオンの吐息までもが、スコールの性感を刺激する。

 ビクッ、ビクッ、と体を震わせながら、いや、と訴えるスコールの声を、レオンは聞き届けてはくれない。
スコールの淫部から、ぴちゃ、ちゅぷ、と粘着質な水音が聞こえてくる。


「ひんっ…!ひ、う…、ん、あう、あ…っ!」


 陰茎への刺激に意識を浚われていたスコールに、レオンは秘部へ埋めた指の締め付けが緩んだ事を確認する。


「れ、お…はっ、あっ、あああっ…!」
「ん、」
「ふぁ……」


 とろり、と熱に浮かされた表情で空を仰ぐスコール。
そんな恋人の様子に気を良くして、レオンはぢゅううっ、と陰茎を強く啜る。


「ひぁあああんっ!」


 ビクッ、ビクン!とスコールの体が魚のように跳ねる。
そのタイミングに合わせて、レオンはスコールのアナルに指を突き入れた。


「─────っ!」


 声にならない悲鳴を上げるスコールだったが、その表情は苦悶よりも愉悦の色が濃い。
蒼の瞳には涙が滲んでいるが、開いた唇は微かに笑んでいた。

 秘奥に突き入れられた指の熱が、スコールに痛みや苦しみ以上の悦を誘う。
レオンの熱は、スコールにとって媚毒のようなものだ。
平時の体温よりも熱く、激しいそれが、スコールの思考を溶かして行く。


「ひ…は…あっ……!」
「ん、ぷ…」
「んんんんっ!」


 ちゅうう、と再度ペニスを吸われて、スコールは頭を振って身悶えた。
ピンと伸びた足が敷かれた外套の端を蹴って皺を作っている。

 レオンはアナルに突き入れた指で、内壁を広げるように円を描いて動かした。
ぐりゅ、くりゅ、と脾肉を抉られる感覚に、スコールの下肢がビクビクと痙攣するように跳ねる。
更にペニスに舌を這わせれば、スコールは背を反らせて悩ましい声を上げた。


「スコールの、…んっ…小さいの、可愛いな…」
「はひっ、ひぃんっ!や、熱い、熱いぃっ…!レオ、だめ、吸っちゃ…」
「ん……何故だ…?気持ち良いんだろう?」
「やっ、やっ…!喋、らな、…!」


 ペニスを食んだままで喋るレオンに、スコールはいやいやと首を振って訴える。
動く舌と、喉奥から漏れてくる熱い吐息が、敏感なペニス全体を覆う。
まとわりつく唾液までもが熱を持っているような気がしてならない。


「こっちも…もう、大分解れたな」
「あう、くぅんっ!」


 二本目の指がアナルに挿入されて、スコールは圧迫感と、それにも勝る更なる熱量に、腰を震わせた。

 レオンはアナルの口を広げながら、指を抜き差しする。
唾液で濡らされた秘部は、抵抗する事を忘れたように、ぬぷっ、くぷっ、と指の動きに合わせるように口を開いては締め付けてを繰り返す。
同じく、スコールの唇からも甘い声が零れていた。


「あっ、あっ…はっ、ひん…!ふ、う、あぅんっ…!」
「もっと奥…ほら、この辺の────」
「ああっ、あっあっ!や、お尻、の……っ、あ、当たってぇ…っ、あっあっ…!」


 最奥の窄まりを、レオンの指先が掠めると、スコールの体がビクビクと震える。
それだけでもスコールには堪らない快感になるのに、レオンは秘奥の手前にある壁のしこりを爪先で押し上げた。


「んぁあああっ!」


 ビクン、ビクン、とスコールの体が一際大きく跳ねる。
直後、こぽり、と液体がスコールの小さなペニスから吹き出し、レオンの咥内に吐き出された。

 はくはくと虚空を見つめて呼吸を荒げるスコール。
レオンは、そんなスコールの小さなペニスにねっとりと舌を這わせて、ようやっと解放した。


「あ、う……んんっ…」


 呆然と、熱に浮かされているスコールの頬に手を添えて、レオンは唇を重ねる。
無防備に開かれたスコールの口の中へ、含んでいた粘液を与えれば、スコールは抵抗なくそれを受け入れ、こくり、と飲み込んだ。


「スコールの味。判るか?」
「ん、ふ……わ、かんな、い……」


 レオンの言葉に、スコールは顔を赤らめて言った。

 レオンはスコールの味だと言うけれど、スコールはレオンの味だといつも思う。
何故なら、レオンにキスをされる時と同じ味と、熱を感じるからだ。

 もう一度、レオンの唇がスコールのそれと重ねられる。


「ん、ふ…レオ、ン…んんっ!」


 口付けに夢中になって応えていたスコールだったが、秘奥をくりゅ、と指先で擦られて、息を詰める。
そのまま、レオンはスコールの唇を塞いで、アナルの指を動かし始めた。


「んっ、んっ、んんっ!ぷ、ふ…ぁ、ん!」


 ぐちゅっ、くちゅっ、と秘奥を突き上げられて、スコールの腰がビクッ、ビクッ、と戦慄いた。

 レオンがスコールの唇を解放すれば、あられもない声が辺りの岩壁に反響する。


「あっ、はぅっ、あぁんっ!あっ、やぁ…!」
「スコール……」
「あ、やぁ…!耳っ…近いの…、息がっ…!」
「うん…?」
「あぁあっ!」


 聞こえない、と意地の悪い笑みを浮かべて、レオンはスコールに覆い被さった。
重なり合った皮膚から、レオンの体温がスコールに伝わる。

 熱い。
レオンの熱が、その熱に誘発されるように生まれる、体内で燻る感覚が。
熱くて熱くて、仕方がない。
舐られたペニスも、指で掻き回されたアナルも、焼けそうな程に熱い。


「はっ…あっ、レオ、レオン、レオン…!」


 覆い被さるレオンの首に、スコールは腕を回して縋り付いた。
自らレオンに身を寄せて来るスコールの肌は、熱を持ったレオンの身体には酷く冷たく、けれど心地良い。
芯まで冷えた氷のように冷たいスコールの体の内側で、彼にしか判らない熱があるのだと思うと、それをもっと引き出してみたくなる。

 は、とレオンの唇から抑えきれなかった吐息が零れる。
スコールは、頬にかかる熱の吐息に、ぞくぞくとしたものが背中を駆け抜けて行くのを感じた。


「レ、オン……あ、はっ…!」
「スコール……」


 レオンが自身の下肢を緩め、ボトムを下ろせば、反り返ったペニスが露わになる。
レオンはそれをスコールの小さなペニスに擦り付けた。


「あ、あっ…、熱……レオンっ…」
「ス、コール…はっ…」
「レオン…レオンの、おちんちん…熱いの…早く……んんっ…!」


 きゅう、とレオンの指を咥えたアナルが閉じる。
淫肉がレオンの指の形をくっきりとなぞり、それを押し広げるようにレオンが指を動かせば、スコールの唇からは甘い悲鳴が漏れた。

 レオンはスコールのアナルから指を引き抜くと、濡れそぼった手で自身のペニスを扱いた。
張り詰めたそれをスコールのアナルへと宛がえば、秘孔口がヒクヒクと伸縮し、物欲しげにレオンを誘う。


「入れるぞ、スコール」
「う、ん…っ」


 こくり、と頷くスコールに、レオンはゆっくりと腰を押し進める。

 ぐぷ…と体内へと押し入って来るそれは、スコールにとって、比喩ではなく熱の塊同然であった。
脾肉を溶かしてしまいそうな程の熱を持ったレオンのペニスが、奥へ奥へと入ってくる。
圧迫感による苦痛の感覚は殆ど感じられず、与えられるのは、頭の神経細胞まで蕩けさせていく程の強く甘い快感ばかりだった。


「あ、う…あ……っあ…!」
「ん、…くっ……!」


 肉壁がまざまざと纏わりついて来る感覚に、レオンは息を詰めた。
少しでも気を抜けば、きゅうきゅうと締め付ける肉壁に誘われるまま、本能の赴くままに熱を吐き出してしまいそうになる。
それを堪えて、レオンはゆっくりとスコールの肉壁の形が馴染んで行くのを待った。

 スコールは、己の体内で、レオンの熱が徐々に上昇して行くのを感じていた。
触れ合う皮膚から熱を分け与えられるよりも、体内で彼を感じていれば、より一層熱が増していく様がありありと伝えられる。


「は、熱…レオン、熱い…熱いよぉ……」


 ビクッ、ビクッ、と細い肢体を震わせながら、スコールはレオンに縋り付いて訴える。


「レオンの、熱いの…もっと…もっと、来て……」


 肌を重ねるだけでも、抱き合うだけでも、足りない。
体の奥の奥まで、レオンの熱で満たされたくて堪らない。

 レオンの雄を咥えたスコールの腰が、ゆらゆらと揺れる。
もどかしげに、誘うように動く細い腰は、レオンには目の毒だ。
暴走仕掛ける本能を抑える理性が、剥がれ落ちるように失われていくのが判る。


「スコール…」
「あっ、あっ…!レオ、ン…!レオンん…っ!」
「そんなに誘うな……壊しかねない」
「ん、いい…レオン、レオンなら…」
「そう言う事、言うな。壊れたら、勿体ないだろう……?」


 壊れてしまったら、レオンの熱も、スコールの冷たい体の奥の秘熱も判らなくなってしまう。
それじゃ寂しいだろ、と囁くレオンに、スコールも小さく頷いた。


「でも、でもっ……レオンの、欲しいっ…!もっと、一杯…!」


 ぎゅう、と全身で欲しがるようにしがみ付くスコールに、レオンの口端が笑むように歪む。
レオンは耐えるように詰めていた息を吐き出すと、スコールの体を抱き締め、律動を始めた。


「はっ、んんっ!う、んあ、あっ、あっ、」


 ぐぷ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と淫音が響く。
最奥から入口まで、熱の塊が擦り、抉る快感は、スコールには酷く耐え難いものだった。
辛うじて残っていた意識が、突き上げられる度、明滅するように飛びそうになる。


「や、あっ、あっ…!レオ、レオン、っあ、ひんっ…!」


 レオンのペニスの形を確かめるように、脾肉がうねり、ペニスに吸い付くように絡み付く。
太いペニスの先端がごりごりと内壁を抉り、固く張ったカリが内壁を擦りながら前後に動く。


「んあ、あっ、あっ…!ひぃんっ、んっんあ、」
「こっちも…可愛がってやらないと、な…」
「ふぁ…ああっ!」


 きゅ、とスコールの小さなペニスをレオンが摘まんだ。
ビクビクとスコールの体が跳ねて逃げを打つのを、レオンは片腕で抱き締めて捕らえる。

 スコールの背を抱いたまま、レオンは律動を速めて行く。
激しさを増していく突き上げに、スコールの蒼い瞳は熱に酔いしれたように虚ろに揺れ、途切れがちの甘い吐息がレオンの耳元をくすぐる。


「やっ、レオン、レオンっ!は、あっ、あっ…!や、おちんちん、擦っちゃだめぇっ…!」
「でも、気持ち良いんだろう…?ほら、締め付けてる」
「ひ、んんんっ!や、あ…!お尻、お尻もっ…!熱いの、一杯でぇっ……!」


 小さなペニスを指の腹で扱くと、アナルがレオンのペニスを強く締め付ける。
先端を爪先で擦るように刺激すれば、スコールの腰がビクン、ビクン、と激しく戦慄いて、甘い悲鳴が響き渡る。

 きゅうきゅうと、痛いほどに締め付ける脾肉を振り解くように、レオンのペニスはスコールの秘奥を突き上げ、穴口の限界まで引き抜かれ、また最奥を突き上げてを繰り返す。


「はっ、あっ!あっ、んぁ…!れおん、れおっ…!イく、イくぅっ…!レオンの、熱くて…っ、熱いの、イっちゃう…!」
「ん、く…っ、俺も……っ」
「ふあ、あ、…あっ、あっあっ、あっ…!やん、あ、ああ…っ!」


 体内ではち切れんばかりに膨らみ、体積を増したペニスの律動に合わせて、スコールの腰が揺れる。


「あっ、あっ!れおん、イく、もうっ!」
「う…っ…ふ、スコー、ル……」


 耳元で名を呼ぶ低い声。
背中に回された腕の体温。
埋められた熱の塊。
────全てがスコールを満たして止まない。

 レオンの指がスコールの小さなペニスを抓み、ぐりぐりと先端を擦れば、スコールの腰が大きく戦慄く。
それと同時に前立腺を突き上げると、スコールはレオンに縋り付いて絶頂を迎えた。


「んあっあぁっ!ひぁぁあぁあんっ!!」
「んっ、ぐ、うっ…!くぅうっ…!」
「ああっ、あっあっ、あーっ!」


 小さなペニスから蜜を噴き出させ、アナルに咥えたペニスを締め付けて絶頂を迎えたスコールを、レオンは両腕で抱き締めて、激しく攻め立てる。
ぐぽっ、ぬぼっ、と淫部から聞こえたが、スコールが恥ずかしがる事はなかった。


「あぅっ、あっ、あああっ!やっ、あっ、イった、イったばっかり、だめ、だめええっ!」
「く……出す、ぞ…っ!」
「あ、あっ、ああああああっ!!」


 眉根を寄せ、唇を噛みながら、レオンはスコールの体内へと熱の迸りを吐き出した。
どろりとした濃い粘液が秘奥へと叩き付けられて、スコールは体内に注がれた熱量に悶えるように体をくねらせる。


「はっ…あ…熱、い……」


 注ぎ込まれたレオンの熱を確かめるように、スコールはうっとりとした表情を浮かべていた。


「っは…スコール、…ん……」
「んぅ……」


 唇が重ねられ、スコールは薄く口を開いて、レオンの舌を招き入れる。
互いに味わうように舌を絡め合いながら、スコールは体内に埋められたレオンの雄が、未だに熱を失わないのを感じて、ぞくりとしたものが背中を走るのを感じ取る。

 レオンが悪戯に腰を揺らめかせれば、スコールも応えるように腰を揺らす。
自身の感じる場所に誘おうとするかのように、スコールは体内のペニスに肉壁を当て添わせるように腰を動かしていた。
レオンはそんなスコールの姿に、小さく笑みを浮かべ、


「腰、揺れてるぞ。やらしいな……」
「んっ、んっ…だ、ってぇ…あっ、はぅ……お尻、熱い……レオンのおちんちんも…熱くて、あっ、ああっ…!」


 ヒクッ、ヒクッ、とスコールの喉が痙攣するように引き攣り、連動するようにアナルの脾肉がきゅ、きゅ…とレオンのペニスを締め付ける。


「もっと、欲し…レオンのおちんちんっ…、レオンの、熱いの、一杯…!もっと一杯、欲しいよぉ……!」


 常の冴え冴えとした大人びた表情を失い、蕩けた貌で無心に甘えてくるスコール。
レオンはそんなスコールを抱き締めると、再び律動を始めた。
肌をぶつけあう音が響くほどの激しさに、スコールはレオンの腰に足を絡み付かせ、悦び悶える声を上げる。


「んあっ、あっ、あっ!れおん、れおんのおちんちんっ…!熱くて、おっきくて…ああっ!イく、また、またイくぅうっ!」
「っは、…早いなっ……まだ、二回目、始めたばっかりだぞ、」
「だって、きもちぃ…!熱いの、いい、気持ち良い、からぁっ!お尻、びくびくしてっ!イくの、だめ、我慢できなっ、」


 ずりゅぅっ!とレオンのペニスが最奥を貫かれた瞬間、スコールは世界が白熱に襲われるのを感じた。


「ひぁ、ぁぁああああぁんっ!」


 ビクッ、ビクン!と全身を震わせて絶頂したスコールに、レオンはひっそりと笑みを浮かべる。

 己の熱で、スコールがこんなにも乱れる事が、レオンは嬉しくて堪らなかった。
生まれ持った冷気の所為で、普通の人間はスコールに触れる事が出来ない。
だから、こんなにもスコールを愛する事が出来るのは自分だけなのだと思うと、言い知れない程の興奮と快感がレオンを襲う。

 二度の絶頂を迎えて敏感になったスコールを、レオンは更に攻め立てる。
熱量を増していくレオンの体温を、スコールが嫌がる事はない。


「ふあっ、ああっ!んあ、あん、あっ、ひぃん!」
「はっ、スコール、スコール…っ!もっと…もっと…!」
「んあ、あっあっ…!もっと、レオン、もっと…!もっと一杯、熱いの、きて…お腹の中、溶けるくらい…っ!レオンの熱いの、一杯、感じたい、からぁっ…!」


 縋り、甘えるスコールの言葉に、レオンは小さく頷いて、細く頼りない体を強く強く抱き締める。
そうして感じる冷たい肌が、レオンには酷く心地良い。

 レオンが何度抱き締めても、何度貪っても、スコールの肌に熱が宿る事はない。
けれど、ずっとずっと触れていれば、この躯には確かにレオンの熱が伝わるのだ。
だからスコールは、レオンの体温が好きだと言うし、安心できると言うし、もっと欲しいと求めて来る。

 スコールは甘えたがりだと、レオンは思う。
だから自分が傍にいないと、熱を分け与えてやらなければ。
沢山傷付いて来たのだから、もう傷付かなくて良いのだと、温もりに甘えて良いのだと、教えてやらなければいけない。
─────ずっと、ずっと、いつまでも。




イフリートなレオンと、シヴァなスコールの萌えを頂きました。
シヴァスコールは、熱を感じると、ふわふわ気持ち良くなってしまうらしい。そのままえっちくなるらしい。

スコール、一杯傷付けてごめん。可哀想な君が好きなんだ。
レオンに守られて支えられて、不器用に甘えてるスコールが可愛くて堪らんです。