幽冥、流転 6


「な、どうだ。悪い話ではないだろう」


 会食を終えて、客人である市長を外の馬車まで送るレオンに、市長はしつこく同じ言葉を繰り返していた。
レオンはそれに対し、戸惑うように眉尻を下げた表情を浮かべ、曖昧に笑って見せている。


「屋敷の大きさは、此処には負けるがな。私の屋敷には、源泉から引いている温泉がある。温泉には入った事があったかな?」
「いえ。普通の湯殿とは違うものなのですか?」
「違うとも。その湯は私の一族の者にしか使わせてはおらんのだが、特別にお前達兄弟にも使わせてやろう。水道水などよりも湯は柔らかくてな、少々温度は高いのだが、それが良い。そうだ、背中を流してやろう。丹念に洗ってやるぞ、隅々までな」


 ヤニの下がった目が、レオンの体を上から下まで舐めるように眺めている。
品定めするような目付きを、レオンは特に気にしなかった。

 玄関のドアボーイが扉を開ける。
仄明るいガス灯が、敷地の門への庭道を照らしていた。
その先には市長専用の馬車が待機しているのだが、市長は庭道を半分程進んだ所で立ち止まった。


「市長様?」


 何か忘れ物でも、と一拍遅れて立ち止まり、振り返って問うレオンに、丸く太い手が伸ばされる。
脂の目立つ皮膚が、レオンの白い頬を撫でた。


「先の話、どうだ。ん?」
「私には、勿体ない話です。それに、貴方のご厚意は嬉しく思いますが、私はアルティミシア様に拾って頂きました。あの方の許可なく、貴方について行く事は出来ません。弟もいます。私は、あの子を置いては行けない」
「ならば二人まとめて私が面倒を見よう。何も案ずる事はない、お前達の望みは全て叶えてやるぞ」


 だから……と市長は小さく零して、レオンの頬を撫で、首をなぞる。
太い爪先がつつ…と喉仏を辿ると、ピクッ、とレオンの肩が小さく震えたのが判った。

 こく、とレオンは何かを飲み込むように喉を鳴らした。
薄色の唇から、何処か熱を孕んだ吐息を漏らし、


「…それこそ、私の一存では決められません。そのようなお話は、私等よりも、アルティミシア様にお伺い下さい」


 レオンは丁寧な言葉で以て、男の言葉を拒絶した。
男は悔しそうに歯噛みをしていたが、レオンがじっと見つめていると、けろりと機嫌を直して「そうか、そうだな」と頷く。

 じっと見つめる青灰色の瞳は、何処までも深く、澄んでいる。
しかし、その奥底には、隠しきれない艶が孕まれていて、それが見る者を虜にしてしまうのだ。
その瞳で見つめられると、まるで求められているかのように思えてくる。
────実際には、レオンはただ見ているだけで、特に何を意識している訳でもないのだけれど、そんな事は見る者には判らない話であった。

 市長が馬車に乗り込む。
馬を操縦する御者(ぎょしゃ)が手綱を解いている間に、市長がキャリッジの窓から顔を覗かせる。


「今の主を物足りないと思うなら、いつでも言いなさい。私はお前達兄弟を、喜んで迎えに来よう」
「ありがとうございます」


 男の言葉には、含みがあった。
だが、レオンは構わずに頭を下げて礼をする。
そんなレオンの反応が満足行くものであったのか、御者に「出せ」と命じる男の声は、何処か楽しそうなものだった。

 馬の足音が夜の街へ消えるのを見送って、レオンは踵を返した。
真っ直ぐに庭道を通り抜けて、屋敷の玄関を潜る。
すると其処には、スコールが立ち尽くして、兄が戻って来るのを待っていた。


「遅くなった」
「早い方だ」
「そうか。なら、良かった」


 くしゃり、とレオンはスコールの髪を撫でた。
柔らかな毛先の感触を確かめるように、手櫛で梳いていると、スコールは猫がいやいやをするように頭を振った。

 何か嫌な事をしたか、と思ったレオンだったが、それは杞憂だった。
スコールの手がレオンの服の裾を掴む。
ぎゅ、と握られたその手が、微かに震えているのを見付けて、レオンは口元を笑みの形に歪める。


「行こう、スコール」
「……ん」


 レオンは、スコールの眦にキスをしてから、スコールの肩を押した。
先を行くレオンを、直ぐに追い駆けて来る。

 兄弟は、階段を上って二階、三階へと上がった。
厨房や書庫のある一階、使用人の寝所と、客室等が揃えられた二階には、ちらほらと人の気配があったのだが、三階はしんと静まり返っている。
屋敷の三階に出入りが出来る人間は限られている為、此処には平時から殆ど人の気配はしなかった。

 一つ大きな扉の前で立ち止まる。
ノックをすると、「入りなさい」と言う女性の声があった。
この屋敷と街を治める領主であり、レオンとスコールの主のアルティミシアだ。

 レオンが扉を開けようとすると、ぎゅ、と服の裾を掴まれた。
振り向いて見れば、スコールがレオンの服裾を握ったまま、俯いている。
その耳が茹で上がりそうな程に赤くなっているのを見付けて、レオンはくすりと笑みを漏らし、裾を握るスコールの手を取った。
弟の手を引いたまま、レオンは扉を押し開ける。


「遅くなって申し訳ありません、アルティミシア様」
「構いません。あの男の事ですから、この程度なら早い方でしょう」


 アルティミシアの言葉に、レオンはほっと安堵の息を吐く。

 部屋は広く、仄暗い灯りに照らされていた。
アルティミシアは天蓋のあるベッドに腰掛け、組まれた足がドレスのスリットから微かに覗いていた。
男ならばその白さと垣間見せる妖艶さに目の色を変えたのだろうが、レオンとスコールは表情を変えなかった。

 スコールの手を引いて、レオンは部屋に入り、アルティミシアの前に立った。
スコールがレオンと並ぶ。
アルティミシアは、手を繋いで寄り添う兄弟をじっと眺め、


「良いですよ。見せなさい」


 アルティミシアの言葉に促され、レオンは上着を脱いだ。
スコールも、おずおずとした手付きで釦を外し、袖を脱ぐ。
金糸や赤糸で意匠があしらわれた上着が床に落ち、二人はブーツを脱いで、靴下も捨てて裸足になる。
袖や胸飾りに上品なフリルのあるシャツも床に投げられて、その下に来ていた肌着もなくなれば、兄弟は生まれたままの姿になった。

 アルティミシアに拾われてから三ヶ月────未だに慣れない格好から解放されて、ようやくまともな呼吸が赦される。
しかし、その代わり、彼らの全ては主である女に余す所なく曝け出される事となる。


「触れてもいないのに。もう興奮しているのですか?」
「……はい…すみま、せん……」


 レオンとスコールの陰茎は、緩くではあるが、勃起していた。
窮屈さから解放されたペニスは、ぴくん、ぴくん、と切なげに震えている。

 微かに顔を赤らめて、眸に熱を篭らせて謝罪するレオンに、アルティミシアはくすりと笑い、


「構いません。貴方はよく我慢しましたからね。でも────」


 アルティミシアの冷たい金色の瞳が、スコールへと向けられる。

 スコールのペニスも、兄と同様に勃起している。
淡い色のそれには、てらてらと白濁の液体が纏わりついていた。


「これは何かしら?スコール」


 アルティミシアの細く白魚のような脚線美が伸びて、スコールのペニスに触れた。
纏わりついた白濁液がアルティミシアの足指に絡み、糸を引く。
スコールは、叱られた子供のような頼りない表情で俯き、兄に縋るように彼の手を強く握る。

 アルティミシアは艶の篭った笑みを浮かべて、スコールの陰茎の根本から先端まで、指先を這わせる。
ふるり、と先端が震えるのを見ると、アルティミシアは指で爪先でぐりぃ…とペニスを踏みつけた。


「ひんっ…!」


 微かな痛みと、取って代わる快感に、スコールが甘い悲鳴を零す。
アルティミシアはそんなスコールを睨むように見つめ、ペニスの握ると、ぐりぐりと親指で先端の穴を刺激する。


「あっ、ああっ…!ひ、ぃんっ!」
「レオンはきちんと我慢できたのに。貴方はどうして、私の言う事が守れなかったのですか?」
「ん、ん…!ふ、ひぃっ…あ、う…ごめん、な、さ…いぃ…っ」


 問いかける間、延々とペニスを刺激され、スコールは肩を震わせながら快感に耐えようとする。
しかし、その表情は直ぐに蕩けて行き、膝は震え、兄にしがみ付いていなければ立っていられなくなっていた。


「あっ、あっ、ああ…!」


 ビクッ、ビクッ、とスコールの腰が戦慄いて、絶頂が近い事が見て取れる。
しかし、アルティミシアはするりとスコールのペニスから足を離してしまい、スコールはもどかしげに体をくねらせ、レオンに縋る。


「ふぁ、あ…レオン、レオンん……」
「んんっ……!」


 ヒクつく体をレオンに摺り寄せ、スコールは兄の唇を奪う。
ちゅぷ、ちゅぷ、とミルクを欲しがる猫のように夢中で唇をしゃぶるスコールに、レオンの手がそっと彼の細腰へと回される。

 レオンの舌がスコールのそれを絡め取り、割り開いたスコールの咥内へと侵入する。
唾液を交じりあわせ、交換し合うように深く口付け、それだけでは足りないとばかりに、レオンとスコールは肌身を密着させた。
このまま溶け合ってしまえば良いのに、と思うのは、これで何度目だろうか。


「んっ…んぁ…っは……」
「は、あ…んぁ……」


 ゆっくりと、銀糸を光らせながら唇を放す。
てらりと光る糸が、艶めかしい舌肉から垂れて落ちた。

 レオンの手がスコールの胸に触れ、膨らんだ頂きを掠める。
ぴくん、と肩を震わせたスコールに、レオンは蕾を指で挟んで摘まみ、コリコリと転がしてやる。
するとスコールも、レオンを真似るようにして、レオンの胸に手を滑らせ、ツンと尖った膨らみを摘まむ。


「はっ、あっ…レオン…きもち、い…?」
「んっ、ん…ぅん…あっ…」


 スコールの声にレオンは小さく頷いて、スコールの腰を抱いていた手を下へ滑らせていく。
引き締まった臀部をレオンの手が撫でて、そのまま秘孔口へと触れようとした時、


「待ちなさい、二人とも」
「っ……」
「あ…」


 アルティミシアの声に、二人は身を固くした。
甘い疼きを孕んだ体から、それぞれ手を離し、アルティミシアへと向き直る。


「今日は、レオン、貴方がスコールを受け入れなさい。貴方はいつもスコールを甘やかしてしまうから…だからスコールが我慢の出来ない子になってしまったのね。今日は貴方がスコールを受け入れて、我慢を覚えさせるのです。出来ますね?」
「……はい」


 レオンが頷くのを確認し、アルティミシアはベッドに上るように指示する。
レオンはそれに従って、ベッドに上り、仰向けに横になった。
スコールもアルティミシアの促す言葉を待った後、ベッドに上がってレオンの上に馬乗りになる。

 ─────レオンとスコールがセックスをする時、レオンがスコールを抱く事が多いが、スコールがレオンを抱く事もあった。
その際、特別な理由がある事はない。
最初はスコールが「レオンを抱きたい」と言ったから、その後もスコールが「レオンを抱きたい」と言えばレオンは受け入れた。
以来、レオンはセックスの前に「どっちが良い?」とスコールに訊くようになり、スコールが「レオンが欲しい」と言えば彼を抱いた。
「レオンを抱きたい」と言えばスコールがレオンを抱き、時には交互に立場を変えてセックスする事もあった。

 今でもそれは変わっていない。
時折、主の命令で立場を決めるようになった事以外は。

 ベッドに横になり、足を開いて弟を誘うレオンの姿に、スコールは昂る気持ちを抑える事が出来なかった。
反り返った自身の欲望をレオンのアナルに宛がい、腰を揺らせて擦り付ける。


「はっ、あっ…!レオ、ンんっ…!」
「ん、んっ…ふっ…あっ……!」


 秘孔口を掠める熱い塊に、レオンの体が震える。
悶えるようにシーツを握り締めて腰を揺らすレオンに、スコールは喉を鳴らした。

 スコールが傍らで見つめるアルティミシアを伺う。
請うような色を宿した蒼色に、アルティミシアは何も言わず、ただただ、二人の痴態を眺めていた。
薄い笑みを梳いて見詰めるだけの金色に、スコールは焦らされて、レオンのアナルに自身の先端を押し入れる。


「あっ、うぅんっ…!」
「あ……、」


 引き攣った悲鳴を上げたレオンに、スコールは我に返って、アナルからペニスを引き抜いた。
呼気を殺すように肩を揺らしているレオン。
スコールは薄く上下するレオンの胸に顔を寄せ、ツンと尖った乳首を口に含んだ。


「あ…っ!」


 悩ましげな声がレオンの喉から漏れる。
ちゅく、ちゅぅ…と強弱をつけて乳首を啜りながら、スコールはレオンの腹をゆったりと撫でる。
自分のものよりも確りとした腹筋があるのが判った。


「ん、ちゅ…っふ、んっ、んっ…」
「あっ、あっ…!スコール、ぅ…んんっ…!」


 レオンは眉根を寄せて声を押し殺すが、スコールはそんなレオンに焦れたように、ぢゅぅっ…!と強く乳首に吸い付いた。
スコールの手の下で、ヒクッ、ヒクン、とレオンの腹が跳ねる。
それを慰めるように撫でて、スコールの手は更に下へと滑って行く。


「んぁっ、あっ…あ、だめ……スコール…っ」


 スコールの手がレオンのペニスを辿る。
弱々しく、甘味を含んだ制止の声など、スコールに届く訳もなく、レオンは与えられる快感のままに喘ぐしかない。

 スコールはレオンの竿を握り、揉むように刺激を与えた。
緩い力で握る度、ペニスはぴくっ、ぴくっ、と震えて反応を返す。
市長によって快楽に堕ちたスコールが彼を限界まで追い詰めてから、かなりの時間が経っている。
その間、レオンはずっと、此処を張り詰めたままで過ごしていた。
我慢の限界などとうに越えていたレオンの躯は、ようやっと与えられた刺激の再開に喜ぶように、ゆらゆらと淫らに揺れてスコールを誘う。


「スコール、スコール…っんん…!だ、め…もう……っ」


 拒絶ではない言葉が、レオンの唇から零れ落ちる。
スコールはそれを掬い取るように、レオンの唇を己のそれで塞いだ。


「んぁ、ふ…うぅん……」
「んん…、ん、んっ……」


 レオンの舌がスコールの咥内に侵入する。
スコールも自ら唇を開いてそれを招き入れ、己の舌と絡ませた。

 レオンの手がスコールの手を掴み、己の下肢へと導いていく。
スコールの指先が秘孔口に触れて、レオンの閉じられた瞼がふるりと震えた。
促されるまま、スコールは淫靡な疼きでヒクつく秘孔へと指を埋める。


「んんんっ……!」


 ビクッ、ビクッ!とレオンの躯が跳ねて、くぐもった悲鳴が聞こえる。
それに構わず、スコールはレオンの秘孔内の奥へと指を埋めて行った。


「んっ、んぁっ、あっあああっ……!」


 口付けから解放されたレオンは、喉を仰け反らせ、虚空を仰いで甘い悲鳴を上げる。
スコールは自身の荒い呼気を誤魔化すように、レオンの喉へと食い付いた。

 埋めた指は、まるで誘い込まれるようにして、レオンの内壁を広げながら進んで行く。
スコールに口淫し、口淫され、市長のペニスを食んで激しい快感に悶え喘ぐスコールを見つめて、今の今まで、欲しくて欲しくて堪らないままに我慢を強いられていた躯だ。
ようやく与えられた快楽に───それも弟に与えられるものに───悦ばずにいられる訳もなく。


「あっ、ああっ!ん、う…くふっ…ひぅんっ」
「っは…レオンの、凄く…ヒクヒクしてる……」
「は、ひぁ…ああ……っ!」


 内部で折り曲げた指が、レオンの脾肉の壁を押し上げる。
レオンの膝が強張り、ビクン、ビクン、と痙攣するように跳ねた。

 スコールは、レオンの内部で指を掻き回すように回転させた。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いて、レオンの鼓膜と脳を犯し、スコールの下肢に熱を昂らせて行く。


「はっ、あっ!だめっ!すこーる、ぅ、ううんっああっ!」
「レオンの中、凄い……早く、俺も…」
「あ、う……んんっ!」


 ずるり、とレオンの体内からスコールの指が抜ける。

 咥えていたものがなくなると、レオンの躯は再び餓えに見舞われた。
ヒクヒクといやらしく伸縮を繰り返す秘部。
レオンは徐に足を広げると、自らの手で自身の秘孔口を指で広げて見せた。


「スコール、……早く……な…?」


 自ら淫部を曝け出し、差し出す兄の断片的な言葉に、スコールは小さく頷いて、反り返ったペニスを彼のアナルに宛がった。
ヒクついた穴口が、スコールを誘うように、ペニスの先端へと押し付けられる。
宛がわれた熱の高さが感じ取れるのか、レオンはそれだけで気をやってしまいそうな程に蕩けた表情で喘いでいる。


「あ、はっ…はぁん……んんっ…!」


 シーツの波に背中を押し付け、膝を立てて腰を揺らめかせるレオン。
スコールは、今にも破裂せんばかりに大きく膨らんだペニスを穴口に押し付け、じっと見つめる主を見遣り、


「────良いでしょう。でも、簡単に出しては駄目ですよ。貴方はさっき、一人で勝手に射精しているのですから」


 出来ますね────と。
冷たい金色の瞳に、スコールは蕩けた思考のまま、頷いた。

 誘うように揺らめくレオンの腰を捕まえて、スコールは一気に腰を押し進める。


「んくっ、ふぅあぁぁ……っ!」
「はっあっ、あーっ!んぁあああっ!!」
「ひぁっ、あぁあああんっ!」


 挿入の圧迫感にレオンが唇を噛んでいられたのは、ほんの僅かな間だけ。
スコールは、最奥まで一息で飲み込まれたペニスから這い登ってくる熱量を、堪える事が出来なかった。
甘い悲鳴を上げたスコールの後を追うように、甲高い声を上げたレオンに、アルティミシアは眉を潜める。


「どうしたのです?レオン」
「ああっ、ひっ…あっ…で、て…んぁ…!」


 レオンの戦慄く足の狭間から、ぷちゅり、と淫音が弾けて、秘孔口の微かな隙間から蜜液が溢れ出す。


「出て、出てるぅ…っ……!スコール、の…せーえき…ぃ…っ」


 どろりとしたものが体内を満たして行く感覚に、レオンははくはくと唇を震わせて喘いだ。
それでも辛うじて紡いだ言葉を聞いて、アルティミシアが笑みを浮かべ、スコールの肩を抱く。


「あらあら。入れただけで射精してしまったのですか?スコール」
「は…う……あっ、あ…」


 アルティミシアの手がスコールの胸元を撫で、ツンと膨らんだ乳首を摘まむ。
艶の篭った吐息を漏らすスコールの表情は、茫洋と熱に侵されていて、視点が定まっていなかった。
レオンの腰を捕まえた手だけはそのままで、射精の余韻のように腰を震わせている。
脾肉の中では、スコールは未だに射精を続けており、レオンの体内を己の全てで塗り潰そうとしているかのようだ。

 仕様のない子、と囁いたアルティミシアの手がスコールの下肢を撫でる。
ペニスの根本をそろりと愛撫されて、スコールが体を震わせれば、連動するようにレオンの躯も跳ねる。


「射精をしてはいけないと言ったでしょう。本当にスコールは我慢が出来ないのね」
「あ、アルティ、ミシア、様…ぁ…」
「はっ、あっ…だめ、スコー、ル…動、いたら、ぁ…っ」


 虚ろな瞳で、熱の余韻に酔って腰を揺らめかせるスコールに、淫部を押し上げられたレオンが悶える。

 レオンの脾肉を推し広げるペニスは、射精したにも関わらず、まだ大きく膨らんでいる。
肉壁はどろりとした蜜液でしとどに濡れそぼり、侵入者に纏わりつき、ねっとりと絡み付いている。
レオンはスコールに駄目だ、と言ったが、躯は言葉とは裏腹に正直で、もっと、とスコールを求めているのが判る。

 ゆら、ゆら、と緩やかに腰を動かし始めたスコールに、アルティミシアはくつりと笑う。


「スコールは我慢が出来ない悪い子なのですね」
「あっ、あっ…違…んっ、あっ…!」


 主の不興を買ってはいけない。
だから、命令に背いては行けない。
頭では判っているのに、スコールの躯はまるで自身の言う事を聞かず、もっともっとと兄を貪ろうとしている。
その衝動すら、スコールには我慢の出来ないものであった。


「仕方がありませんね。スコール、貴方がきちんと我慢が出来るように、これから私が躾てあげます」
「ふぁ……ん、んっ…」


 アルティミシアの唇が、スコールの唇と重ねられる。
ちゅぷ、と流し込まれる唾液を、スコールは受け入れて喉へと通した。
アルティミシアの舌がスコールの舌を絡め取り、なぞる度、レオンの体内でスコールのペニスがぴくん、ぴくん、と震えている。

 アルティミシアがゆっくりとスコールの唇を解放すると、青灰色の瞳はとろんと蕩け、思考らしい思考は殆ど抜け落ちていた。
夢現の中にまどろんでいるような少年に貌に、“魔女”はうっとりとした表情を浮かべると、そっと少年の下肢に手を伸ばし、────きゅうぅ、と強い締め付けがスコールを襲った。


「ひぐっ、うぅんっ!」
「んあっ!」


 痛み同然の窮屈さで根本を締め付けられて、ビクン!とスコールの躯が跳ねる。
突然のスコールの悲鳴に、レオンの躯も跳ね、はくはくと唇が音なく喘ぐ。


「あ…あ、や……」


 虚ろに喘ぐスコールのペニスには、衣服に使われていたのであろう紐が括られていた。
丁寧な蝶結びで、しっかりと結ばれたそれに、アルティミシアの指が這う。


「さあ、良いですよ。レオンを満足させてあげなさい」


 かり、と耳朶を食まれる感触、スコールはふるりと躯を震わせて、律動を始めた。

 ぐちゅっ、ぐぷっ、ぐぷっ。
一度射精した所為だろう、レオンの秘孔内に注がれた精液を掻き回すようにして、スコールのペニスはレオンの体内を激しく突き上げる。


「あっあっ!ひっ!ん…あぁ…っ!」
「ふ、ん、んんっ!レオ、レオン、レオンっ!」
「や、あ、激しっ…!すこー、る、っ…あっああぁっ!」


 亀頭の先端がレオンの最奥を突き上げる。
スコールは逃げを打つように暴れるレオンの足を捕まえると、肩に乗せて、レオンの躯に覆い被さった。
ぐぷぅうう、と深くなる挿入に、レオンは空を仰いで身悶え、声にならない悲鳴を上げる。


「あ…ぁ……あっ……!」


 がくっ、がくっ、とレオンの躯が強張ったまま痙攣する。
スコールはレオンの鎖骨に舌を這わせながら、壊れたレコーダーのように、繰り返し兄の名前を呼ぶ。


「はっ、あっ…レオン、レオンっ…!」
「あっ、ひぃっ!ひあっ、あ、んぉっ!ん、らめ、奥…っ!そんな、乱暴にしたら、ああっ!」


 無我夢中になって腰を振るスコールの攻めに、レオンは目尻に涙を浮かべる。
ぼやける視界の中で、スコールが自分の目元を舐めたのが判った。


「あっ、はっ…!スコール、んんっ!」
「レオン、の…んっ!レオンの、中、気持ちい、いいよぉ…!」
「はっあっ、あっ!あっ、スコール、イく、出るぅう…っ!」
「は、うん、俺も、俺もっ…あっ、ひっ、ああっあああっ!」


 レオンの躯が一際強く強張り、シーツを蹴る足先が攣ったようにピンと張る。
直ぐ其処まで迫った絶頂を訴える兄に、スコールも己の限界が近い事を感じていた。

 スコールはレオンの行き止まりを突き上げながら、ヒクヒクと震えていたレオンの陰茎に手を添える。
それだけで、ビクン、と兄の体が大きく跳ねた。
自分の手の中で膨らんで行く兄を感じながら、スコールは尚も激しくレオンの内部を攻め立て、手の中に包んだ陰茎を上下に扱く。
敏感な箇所の前後からの攻めに、レオンは頭を振って悶え喘ぐ。


「ひっ、駄目、だめ、え…!んぁっあっ、イく、イくううっ!」
「ふぁっ、あっ、ああっ!ひうぅううんっ!」


 二人の甘い悲鳴が反響し、レオンのペニスから蜜液が吐き出され、二人の腹を汚す。
それと同じ瞬間に、アナルの強い締め付けに促されるようにして、スコールも絶頂を迎えるが、


「あっ…!あ、ひ、ああっ…な、んでぇっ……!」


 スコールはレオンに覆い被さったまま、がくがくと下肢を震わせていた。

 絶頂し、射精にまで導かれた躯は、しかし、熱の解放を叶える事は出来なかった。
ペニスの根本に結ばれた紐は、戒めとなってスコールの射精を赦さず、あろうことか限界まで昂った熱を逆流させ、スコールを苛んだ。

 犬のように舌を伸ばして喘ぐスコールの姿に、レオンは眉根を寄せた。


「スコール……?」
「ふぁ、あ…れ、おん…ぅ…」


 助けを求めるように、スコールは兄の名を呼ぶ。
レオンは、スコールが何を苦しんでいるのか判らないようで、弟を宥めるように頬を撫でるばかり。
それでも苦しげな表情が消えないスコールに、レオンはそっとスコールの顔を誘い寄せて、口付ける。


「ん、んっ…スコール、スコー、ル……」
「ふ、レオン…レオンん……っ」
「ん、あっ、あっ…ああっ…!」


 ゆらゆらとスコールが腰を揺らめかせると、硬いままの肉棒がレオンの脾肉をまた擦り始める。

 ぐりゅっ、ずりゅっ…と脾肉を摩擦される感覚に、レオンの躯がびくっ、びくっ、と震える。
肉壁はスコールのペニスの形をすっかり覚え込んでおり、その形に合わせて淫靡に蠢き、再び熱の塊を奥へ誘うように開く。
スコールはその疼きに誘われるまま、徐々に律動を早めて行った。


「あっ、ひっ、ああっ…!スコー、ルっ、んんっ、あ、はひっ」
「ふあ、あっ、あっ、あっ!レオン、レオ、ンっ」


 ぐちっ、ずちゅっ、ぐぷっ、じゅぷっ。
ずりゅっ、ぐりゅっ、ぐちっぬぢっ。

 絶え間なく響く淫音の世界で、絡み合う少年と青年を見つめる“魔女”は、うっとりとした笑みを浮かべる。


「はっ、あっ…スコール、だめ、あっ、あっ…!イく、またっ…またイっちゃ…!」
「ふえ、あ、俺も、イきたいっ…!イく、イく…っ!イくぅっ!」
「ひはっ、あっ、あぁああっ!」


 ぐちゅうっ!とスコールのペニスがレオンの最奥を貫いた。
ビクン、ビクン、とレオンの躯が跳ね、ペニスから二度目の射精。
しかし、スコールは以前変わらず、射精感が高まるばかりで解放される事がない。


「ふぁ、なんで、ああっ!や、あ、イきたい、のにぃっ!」


 根本を戒める紐の所為で、スコールは一向に射精する気配がない。
絶頂出来ない事がスコールの思考能力を更に奪っているようで、スコールはとにかく射精したくて堪らないのだろう、必死になってレオンの淫部に腰を打ち付けている。


「ひ、あ、あひっ、ひぃんっ!スコー、ル、だめ、だめ、待っ…ああっ!」
「ふあ、あっ、あっ、んんっんああっ!レオ、レオン、レオンの中、出したい、のにぃっ…!」


 ぐぷっぐぷっ、ぐちゅっ!とレオンの淫部で、蜜液があられもない音を立てている。
それはスコールが最初に挿入した時に射精したものだった。
纏わりついて来るその粘液は、挿入を助けてくれるけれど、だからこそ余計にスコールを苛んでしまう。

 一方で、レオンの躯にも異変が起きていた。
市長の策謀によって一度限界まで高められ、そのまま長時間の我慢を強制された所為だろうか。
二度の射精の間にそれ程時間は空いておらず、また二度の射精を行ったにも関わらず、レオンのペニスは未だに固さを失っていなかった。
その上、


「やっ、あっ!イくっ、イっちゃ…!出る、出てるぅうっ!」
「はっ、あっ、やあ!レオン、ばっかり、ずるいぃっ…!」
「ひっいっ!んぁっ、はう…はくぅうん…っ!」


 スコールに秘奥を激しく突き上げられる度に、レオンのペニスからは先走り───と言うには多い、蜜液が噴き出していた。


「あらあら。今度はレオン、貴方も我慢が出来なくなってしまったのかしら?」
「はひっ、ひっ、違…違いま、すぅっ…!あぁあんっ!」


 笑みを浮かべたアルティミシアの言葉に、レオンはゆるゆると首を横に振るが、躯はそれを裏切っている。
ビクッビクッとレオンの躯が跳ねて、また白濁液が降り注ぐ。


「レオンの中、あっあっ、きゅうきゅう締まって…ひぃんっ!も、イっちゃう、イっちゃうのにぃいっ…!」


 レオンが射精すると、アナルが強く窄まり、スコールのペニスを締め付ける。
その度にスコールは絶頂を迎えるのだが、戒めの所為で一向に射精する事は赦されなかった。


「レオン、レオン、出させて、レオンの中っ…!レオンのお尻まんこ、せーえき、出させてぇえっ…!」
「ひっ、あひっあっあーっ!んぁっはっ、スコ、待、激し、いぃんっ!」


 ぐちゅっ!ずちゅっ!ぐぷっ!
ぐりゅっ!ぐぷっ、ぐちゅっ、ずちゅううっ…!


「んあっ、あっ!ひぎっ、んんっ!すこーる、すこ、あ、あっ!飛ぶ、全部、飛んじゃ、んあぁっ!」


 レオンの体内に射精したい一心で、スコールは腰を振る。
しかし、粘つくように悩ましく絡み付いて来る内壁が、どれだけ快感を齎しても、スコールはそれ以上先には行けなかった。

 兄の躯を、骨まで食い尽くすかのように貪るスコールだったが、苦しげに喘いで縋る顔は、レオンの見慣れた甘えたがりの弟のものだった。
レオンの中に出したい、と繰り返すスコールに、レオンは己の腹の中がどくりと熱く脈打ったような気がした。
それが、快楽に侵された脳が起こした錯覚だとしても構わない。
レオンはスコールの頬を両手で包み込むと、スコールの唇を己のそれで塞いだ。


「んぐ、ん…ふっ、うっ…!んっ、んんっ…!」


 ぐちゅっ、ぐりゅっ、と内壁を抉る律動は止まない。
レオンは快楽に流されながら、スコールを苦しみの海から掬い上げるように、深く深く口付けた。


「ん、ふ…レオ、ン…レオン、レオン…んんっ、んっ」
「スコール…ふ、んん……っは、あっ、あっ、あむっ…ん…っ」


 口付けを繰り返すうちに、スコールの苦しげに潜められていた眉が緩んで行く。
一方的だった律動も、少しずつ落ち着いて、息付く暇もなかった攻めも、緩急をつけたものへと変わって行った。

 ちゅく……とレオンはわざと音を立てて、スコールの唇を放す。


「っは…あっ、あっ…んんっ…」
「ふぁ、あ…レオ、あっ、レオン…、イく、イくぅっ…イキたいぃっ……」


 縋りついて強請るスコールを、レオンは抱き締め、笑みを浮かべて此方を見つめる主を見る。


「は…アルティミシア、様……」
「何です?」
「スコール、を…んっ、んっ…!赦して、あっ、下さ、い……ふぁっ、ああっ!」


 主に嘆願する兄を、スコールは攻め続けていた。
ぐりゅぐりゅと最奥を抉る亀頭に、レオンの躯が震え、弓形に仰け反る。


「折角のレオンのお願いですから、聞いてあげたいのは山々ですが……スコールはまだきちんと我慢が出来ていないようですね」
「あっ、あっ、レオン…レオンのお尻まんこ、気持ち、いい、はっ、あひっ、ひぃん…っ!」
「んあ、あっ、だめ、スコールぅっ…!待って、止まって…あっあっ!」


 いつまでも律動を止めようとしないスコールをレオンは咎めるが、スコールは聞かなかった。
蕩けた瞳でレオンに縋りながら、スコールはいつまでも兄の秘奥を攻め続ける。


「はっ、あっ…無理、むりぃっ…止まらな…っ!レオンの、中、気持ち良くてっ…!」
「あっ、あっ、ひうっ…!ああんっ!」
「あっあっ、来るっ!イくの…イくの来るぅうっ!来るのにぃっ!」


 高まる絶頂感に掻き立てられるように、スコールの腰の動きがまた激しくなる。
しかし、このまま絶頂を迎えても、スコールが熱から解放される事はない。
いつまでもこの繰り返しを続けていたら、スコールは壊れてしまうかも知れない────とレオンは思った。


「あっ、あひっ…!お、お願い、します…アルティミシア様、あっ…!スコールを、許し、て、ああっ!」
「ふぁ、ん、んんんっ!」
「んぁっ、あっ、おっき…!スコールの…おっきく、なって…のにぃいいっ…!」


 レオンの体内で、スコールのペニスがはち切れんばかりに膨らんで行く。
これ以上は無理、とレオンが思う程に膨張したペニスは、やはり射精を伴わず、膨脹率もそのままに維持していた。


「や、やぁ…もう、イかせて…イかせて、下さいぃいっ…!」


 スコールは涙と涎で蕩けた顔で、アルティミシアに嘆願した。
アルティミシアはスコールの頬に手を伸ばし、そっと撫でると、濡れた唇を親指の先でなぞって弄ぶ。


「もう勝手な事はしないと誓いますか?」
「はっ、はい……しま、せん…だから、あ…」
「何をしないのです?」


 意地悪く問う主に、スコールは涙を浮かべながら唇を震わせ、


「アルティミシア、様の、ぉ…命令に…ふぁ、従い、ます……勝手に、…あっ、んんっ…!許可、なく、ぅ…セックス、しません、んんっ!お尻まんこ、に、おちんちん、おねだり…しません…っ!」


 熱の篭る吐息を零しながら、スコールは卑猥な言葉を並べながら誓いの言葉を紡ぐ。
体内を支配し、暴れる苦しみから解放されたい一心で誓うスコールに、アルティミシアは尚も笑みを深め、


「きちんと我慢できますか?」
「ふぁっ…するっ…我慢、しますぅっ…!おちんちん、欲しいの…我慢しますぅっ!」
「良いでしょう。ですが、この程度で許してあげるのは、今回限りですよ。次に言い付けを破ったら、もっと厳しく躾けてあげます。判りましたね?───レオン、貴方もですよ」
「あっ、あっ…!はっ、んんっ…はいっ…あっ…!」


 誓いの言葉を立てる間すら、スコールは自身を制御する事が出来ていない。
ぐちゅっ、ぐりゅっ、と絶えず淫部を擦られて、レオンは最早息も絶え絶えとなっていた。


「スコール、少しの間我慢なさい。出来ると言いましたね?」
「はっ、はひ…っ、ぃ……っ」


 アルティミシアの命令に、スコールは疼く躯を堪えながら、律動を止める。
アルティミシアの細い手がスコールの下肢を撫でる。
ふるり、とスコールの細腰が震えたが、スコールは唇を噛んで快感への欲求に耐える。
良い子です、と胸元をくすぐる吐息に、レオンの体内でスコールのペニスがぴくん、と震える。

 アルティミシアの指が紐の蝶にかかり、しゅるり、と余りに持呆気なくそれは解かれた。
戒めから解放された熱が一気に襲い掛かってくるのを感じて、スコールが息を詰める。


「駄目よ、スコール」
「……あ、う……っ!」
「レオンの中に出したいのでしょう?レオンの、一番感じる所に…」


 アルティミシアの囁きに、スコールは熱に浮かされた意識の中で頷いた。

 レオンの中に。
レオンの中に出したい。
レオンの中を、レオンが自分を感じてくれる所を、自分の精液で一杯にしたい。
いつもレオンが、自分にしてくれているように。


「…ス…コー、ル……」


 虚ろな瞳で、レオンが名を呼ぶ。
スコールはもう一度レオンの上に覆い被さり、彼の頬に口付けた。
レオンの手がスコールの顎を捉え、唇へと導かれる。

 絡み合う舌の、何処から何処までが自分のものなのか、もう判らない。
体内で疼く熱と同じように、溶け合って、一つになってしまったのだろうか。
それでも離れてしまえば二つになるから、不満なような、けれど別たれるからこそもう一度重ねる事が出来るから、嬉しいような。
─────良く判らない。

 判らない事は、いつまでも考えていても仕方がない。
それよりも今は、疼く熱の全てを混ぜ合わせてしまいたい。


「レオ、ン…」
「ん……」


 確かめるように名を呼ぶスコールに、レオンは短い返事をした。
それだけで、伝えたい事は全て伝わる。

 ずる……とレオンの秘部に埋められていたペニスが、ゆっくりと引き抜かれていく。
寂しがるように絡み付いて行く内壁を振り切るようにして、スコールは限界までペニスを抜いた。
穴口に亀頭の太い部分が当たって、きゅう、と窄んだ秘孔がペニスを締め付ける。

 レオンは自ら足を大きく開かせ、膝裏に手を添えて支えた。
スコールを最奥まで、受け入れ易いように。
スコールはレオンの頭の横に両手を突いて、荒いでいた呼吸を一頻り落ち着かせ、


「んっ、─────っ!」
「ふっ───んぁあぁあっ!」


 ずちゅぅううっ!と先端から根本まで、一気に挿入させる。
最奥までの道は既に開かれているようなもので、レオンの内壁は抵抗する事なく、スコールのペニスを飲み込んだ。

 大きく膨らんだペニスを戒めるものは既になく、散々スコールを苛んだ熱の行く先を妨げるものもなく。
スコールはあれほど体内で暴れていた欲望が、一気に出口を求めて集まってくるのを感じていた。


「ひっ、あっ、イクっ!出るぅううっ!!」


 ビュクッ、ビュクッ!とレオンの体内でスコールの陰茎が大きく脈打ち、熱い迸りがレオンの秘奥へと叩き付けられる。


「あひっ、ひぃいいんっ!あっ、出て、んぁあああっ!」
「は、あっ、ああっ!あぁあっ!レオ、レオンんっ!」
「はん、あ、濃いぃぃ…!スコールの、スコールのせーえき、いっぱい出てるぅううっ!」


 どぷ、どく、と溢れ注がれる熱に、レオンの躯がビクン、ビクンと跳ねて踊る。
そして熱の放出を待ち焦がれていたのは、レオンも同じことだった。

 待ち焦がれていたものを溢れんばかりに注がれて、レオンの躯が悦楽に火照り、弟を見上げる青灰色の瞳には、浅ましい程の劣情が灯る。


「スコール、スコールぅ…んっ、んんっ!あっ、あっ、」


 射精の余韻が終わらない内に、スコールは腰を突き動かした。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と再び響く淫音。


「はっ、はっ…レオン…レオンの中、ぐちゅぐちゅして、る…」
「んあ、あっ、あっ…!スコール、おっき、まだ、いっぱい…はっ、あっ、んんっ!」
「あっ、ん、ふ、ふぁっ…!あっ、はう…!レオン、締まって…あぅ、あっ…きもちい…いぃよぉ…っ」


 夢中で互いの体を、悦楽を、貪り合う二人の兄弟を、“魔女”は艶の笑みを浮かべてじっと見つめている。
じっとりと熱の篭る閉ざされた空間の中で、“魔女”は手に入れた淫靡な兄弟の様に満足していた。
彼らは己の命令のままに乱れ喘ぎ、時に思う以上に妖艶で淫靡な姿を見せてくれる。

 さあ、明日は何をしましょうか。
何度目か知れない絶頂を迎え、甘い声を上げて熱に溺れて行く兄弟を見つめ、“魔女”は濡れた舌で唇を舐めた。




スコレオに挑戦。でもうちの二人ってどっちがどっちでもこうなので…
アルティミシア様が楽しそうで何よりです。