ソラリゼーション U
※♀リノア×♂スコール。


 仕事人間と言っても差支えのない程、忙殺される日々を送っていたスコールが、最近は定期的に休暇を取っている。
週に一日、或いは午後からの半休のみと言う程度ではあるが、キスティスやサイファーに言われなければ休もうとしなかった事を思えば、段違いだろう。

 休暇を取った日、必ずスコールはリノアと共に何処かへ出かける。
何処へ行っているの、なんて野暮な事を聞く者はいない。
スコールが定期的に休暇を取るようになったのは、彼女と特別な一夜を過ごしてからだった。
幼馴染のメンバーは皆それを知っているので、あれやこれやと掘り返す事なく、嬉しそうなリノアと、そんな彼女に引っ張られながら、心なし重い歩調で、しかし仄かに顔を赤らめるスコールが出かけるのを見送るのだ。

 今日のスコールとリノアは、ティンバーまで足を延ばしていた。
特に何か目当てがあったと言う訳ではなかったが、スコールが明日の午後まで休みが取れた事で、たまには遠出をしようと言う話になったからだった。
ガーデンやバラムの街は、日常を過ごす場所としてすっかり定着しているので、他の刺激が欲しくなった───そんな所だろうか。

 魔女戦争以後も、ティンバーはガルバディアの属領となっており、今でもレジスタンスとガルバディア軍の間で緊張が続いている。
しかし、ガルバディアが魔女戦争の先導をしていた事、嘗ての敵国エスタが友好路線で国際社会に復帰した煽りを受けて、ガルバディア軍による圧政は大分和らいだ。
まだまだ『独立』と言うには足りないが、実質的な自治権が回復しつつあるようで、街には活気が取り戻されつつある。
勿論、リノアがレジスタンス仲間として交流を持っていた人々にも、笑顔が零れていた。
スコールとリノアは、そうした人々に挨拶回りをするように梯子をして、リノアは森のフクロウのメンバーとも再会し、概ね充実した一日を過ごす事が出来た。

 ガルバディアの首都であるデリングシティと違い、ティンバーに大きなホテルは少ない。
街の中心部に据えられたテレビ局の周辺に、ぽつぽつと高層ビルを改装したホテルがある程度だ。
嘗ては、そうしたホテルの大部分はガルバディア軍が滞留する為の貸切状態になっていたようだが、現在はそれも解放されている。
ホテルのオーナーはこぞって改修工事を済ませ、集客活動に躍起になっており、各ホテルで様々なサービスが提供されていた。
最近は、限定された日付で、ビルの高層部分にあるスイートルームに格安で泊まれる所もある。
今日、スコールとリノアが泊まるのも、そのスイートルームであった。

 スイートルームと言っても、デリングシティやドールにあるホテルとは違い、部屋が広くなり、寝具等が少し豪華になっている程度。
それはバラムのホテルでも同じ事なので、スコール達は深く気にしていない。
重要なのは、このフロアはスイートルームとして設けられた部屋が四つ、それぞれ通路を挟んだ形で並んでいるので、壁越しに隣接する部屋がない、と言う事だ。
壁も一通り防音処理が施されているので、扉をしっかりと閉じてしまえば、完全なプライベート空間となる。
だから、何も気兼ねする事がない。

 ホテルの地下一階に誂られたレストランで食事を終えて、スコールとリノアは早々に部屋に戻った。
食事の間に溜まるようにと出して置いた風呂に、スコール、リノアの順で入る。
スコールはリノアに先に入って良いと言ったが、リノアがスコールが先で、と譲らなかった。
結局スコールが先に入浴し、気持ち早目に上がってから、リノアがのんびりと入る事になった。

 一人ベッドの上で、ガーデンから適当に持ち出していた本を開き、スコールは時間を潰す。
しかし、視線こそ文字の羅列を追っているものの、意識は壁越しに聞こえるシャワーの音に向けられていた。

 リノアと初めて体を重ねてから、既に片手で足りない程に抱き合っている。
それでも、事が始まる前の奇妙な緊張感には慣れる事が出来ない。
恐らく、幼年期から長らく続く、温もりへの強い拒否感が未だに拭い切れないからだろう。
相手がリノアである事、そもそもは自分がリノアに対し触れる事を望んだと言う流れもあるし、今更彼女との行為を厭う事はない。
だから、この緊張は、多分、期待も入り交じっているのだろうと思う。
その証拠でも示すように、バスローブに隠れたスコールの下腹部が、ゆるゆると頭を持ち上げようとしていた。


(…盛りにでもなったみたいだ……)


 自分の有様を見下ろして、スコールは溜息を吐いた。

 リノアと初めて体を重ねてから、彼女と共有した熱や、その時に初めて感じた悦が忘れられない。
あれ以来、ふとした折にむらむらとした感覚に襲われて、自己処理を繰り返しているが、それでも躯は満足しなかった。
以前なら機械的な作業で事足りていた処理も、それだけでは物足りなくなり、彼女と寝た時の事を思い出しながら耽るようになった。
年齢的な所を考えれば、ある意味無理もない事なのかも知れないが、以前は自分で判る程に淡泊な方だっただけに、若干の戸惑いは否めない。
リノアに対してそれを臭わせた時、彼女が嫌がる様子を見せず、寧ろ何処か嬉しそうに応えてくれるのが、幸いだった。

 シャワールームのドアが開く音がして、薄ピンク色のバスローブに身を包んだリノアが現れた。
ゆっくりと温まって気持ちが良かったのだろう、白い頬がほっこりと赤く上気している。
しっとりとした黒髪の毛先にタオルを当てて、余分な水分をしっかりと拭いてから、リノアはベッドに座っているスコールの下に向かった。


「待った?」
「……別に」
「そ?」


 本を閉じてサイドチェストに投げたスコールの膝上に、リノアはすとんと座った。
嫋やかな腕がスコールの首に絡み、猫が懐くように頬を寄せる。
さらさらと流れる髪が、バスローブの隙間からスコールの胸元をくすぐった。

 スコールの手がリノアの頭を撫でて、そっと上向かせるように促す。
リノアは素直に上を向いて、膝上に乗っても僅かに高い位置にあるスコールの唇にキスをした。
触れるだけで直ぐに離れた唇を、スコールが追って、ゆっくりと重ねる。
リノアの頭を撫でていた手が、そっと赤らんだ頬に周り、スコールの頭が角度を変えて、口付けが深くなった。


「ん、ん……」
「ふぅ…ん……」


 どちらのものともつかない、甘さを孕んだ吐息が零れる。
舌が絡み合い、くちゅ、くちゅ、と唾液が交じり合う音が鳴った。

 そっと体重をかけるリノアを受け止めるように、スコールはゆっくりと背を倒した。
リノアは、無駄な肉のない胸板に体を預けて、重ね合せた唇を吸った。
その唇が離れると、今度はスコールがリノアの唇を吸い、長い黒髪を節のある手が撫でる。


「ん…ふ……っ」


 リノアはくすぐったさに小さく笑みを零し、スコールの頬に両手を添えた。
重なり合った胸の奥で、二人の鼓動が交じり合うように音を鳴らしている。
其処から皮膚も溶けあって、一つになってしまいそうで、そうなれば嬉しいような、けれど勿体ないような、焦れるような気持ちになった。

 リノアの胸の膨らみに、スコールの手が重なった。
やわやわと揉む手を甘受して、リノアは小さく吐息を漏らす。

 スコールの上に乗ったリノアの太腿に、固いものが当たる。
くす、とリノアが笑うと、察したのだろう、スコールの眉間に皺が寄った。
そんな顔をしてもねえ、とリノアは思いつつ、スコールの胸に手を滑らせる。


「……んっ……」


 白く細い指が胸板の上をくすぐるように滑って、キスの隙間からスコールの吐息が零れる。
リノアの手はゆったりと胸の形を確かめるように撫で回し、固く平らな肉の上で、ぷつりと頭を出した蕾を摘んだ。


「っ……!」
「気持ち良い?」


 ぴくっ、と肩を震わせたスコールに、リノアが静かな声で問う。
スコールは何も答えなかったが、耐えるように唇が引き結ばれるのを見て、リノアは充足感を得た。

 人差し指と中指で乳首を挟み、コリコリと転がすように潰して遊ぶ。
ピクッ、ヒクン、とスコールの躯が震えて、リノアの髪を撫でる手が止まっていた。
リノアはスコールの浮いた鎖骨に唇を寄せてキスをし、ちゅう、と吸う。


「う……っ」
「んー……」


 唇を離すと、其処には薄らと赤い色がついている。
もうちょっとはっきりさせたいな、と思ったが、まだ上手く痕をつける事が出来ない。
スコールは日焼けの出来ない白い肌をしているので、きっと映えると思うのだが、希望通りの色を作るのは、もう少し先になりそうだ。


「ん…リノア……」
「なあに」
「……ん…」


 体を起こしたスコールに背中を抱き寄せられ、額にキスが落ちる。
スコールが案外とキスが好きだとリノアが知ったのは、身体を重ね合せるようになってからだ。
触れる事も、触れられる事も苦手としているスコールだが、その根底にあるのは、甘えたがりの子供である。
言えば本人は絶対に否定するだろうが、リノアはそう思っていた。
だから、肌を重ねるようになってから、枷が外れたように、スコールはリノアに触れたがる。

 リノアはスコールの頬に顔を寄せ、柔らかな唇を当てた。
同じようにスコールも、リノアの頬に唇を当てる。
その傍ら、スコールはリノアの指から与えられる胸への愛撫に、少しずつ呼吸を早めていた。


「ん…あ…っ……ふ、う……っ」
「スコールの乳首、どんどん敏感になってくね」


 きゅっ、と左右の乳首を強く摘むと、背中を抱くスコールの腕が強張った。
嫌がっている訳ではない事を知っているから、リノアは宥めるように乳首の先端を親指の腹で優しく撫でる。
スコールは逃がすように、リノアから胸を離そうとしたが、リノアはぴったりと身体を寄せて、スコールの胸を責める手も止めない。


「寝てて良いよ、スコール」
「…は…あっ……」
「大丈夫。ちゃんと気持ち良くしてあげるから」


 そう言って、リノアは胸を弄っていた手を下へと下ろして行く。
刺激のなくなったスコールの乳首は、ぷくっと膨らんだまま、切なげに震えているように見えた。
リノアは其処に顔を寄せると、赤く色付いた蕾を口に含んで、ちゅうっ、と啜る。


「んん……っ!」
「んちゅ…んっ、ん……」
「はあ…はっ……リノ、ア……っ」


 ちゅう、ちゅう、と乳首を吸い、甘く歯を立てる度、ビクッ、ピクッ、とスコールは反応を示す。
体を重ねる毎に顕著になる反応に、リノアは自分の体も芯から熱を帯びて行くのが判った。

 リノアの手はスコールの腹筋をくすぐった後、引き締まった腰のラインを滑って行く。
足の付け根を指先でなぞって、中心部へと辿り着き、頭を持ち上げた雄を包み込んだ。


「スコール、もう大きくなって来てる」
「……あ、あ……はぁ…っ」
「乳首、やっぱり気持ち良かったんだね」


 リノアはスコールの乳首を甘噛みし、手の中に包んだものを上下に扱き始めた。
しっとりとした掌が、スコールのペニスに吸い付いて、柔らかく握って撫でるように擦る。
スコールの躯にぞくぞくとしたものが拡がって、力が抜けて行く。


「あふ…あっ…あぁ……っ」
「ん、ちゅ、ん……っ」
「あっ、あっ…!ん…くぅ、ん……っ」


 リノアの舌がスコールの胸を這い、乳首をくすぐる。
先端を尖らせた舌でぐりぐりと弄ると、スコールは喉を仰け反らせた。
更にペニスの竿の裏筋に爪を擦り上げると、ビクッ、とリノアを乗せた足が跳ねる。

 ちゅう、と一つ強く乳首を吸って、リノアはスコールの胸から顔を離す。
絡ませた唾液が、リノアの唇とスコールの乳首を繋いでいた。
てらてらと光る乳首を、もう一度舌でツンと突くと、ヒクッ、とスコールの喉が鳴った。
リノアはペニスの竿を右手で、亀頭を左手で握ると、それぞれを揉むように動かして、スコールの反応を眺める。


「は、あ…あっ……ん、ん……っ」
「スコールのおちんちんって、可愛いね。いつも凄く敏感なんだもの」
「リ、リノア……あっ、ふ…んんっ…そ、そこ…あぁ……っ!」


 竿の裏筋を爪先で何度も上下に引っ掻くと、スコールは背を撓らせて喘ぐ。
リノアの背を抱いていた手は、後ろ手にベッドシーツを握って、倒れそうになる体を支えていた。

 リノアの手の中で、スコールのペニスはすっかり膨らみ、彼女の手のひらには収まり切らない大きさになっている。
それを万遍なく愛撫するよう、リノアは手首から大きく動かして、ペニスの根本からカリ首の境目までをしっかりと扱く。
カリ首の裏側の凹みに、左手の指を擦り付けて、コリコリと爪先を当てた。
堪らないとでも言うように、スコールが背を撓らせて仰け反り、シーツを握る手がぶるぶると震える。


「あ、あぁっ、あぁあ……っ!」


 スコールの腰がシーツから浮き、膝上に乗ったリノアがバランスを崩した。
リノアはスコールの膝から降り、スコールの足を開かせて、足の間に体を滑り込ませる。

 リノアはスコールの股間に顔を近付けた。
彼女の両手に包まれたまま、ピクピクと小刻みに脈を打つペニスが、黒々とした瞳の前にそそり立つ。
初めて体を重ねて以来、何度となく見る事となったそれを、リノアは愛おしそうに撫で、唇を寄せる。


「ん……」
「あぁ……っ!」


 ちゅく……と生温かいものに包まれる感覚に、スコールは堪らずに切ない声を上げた。
体を支えていた肘から力が抜けて、スコールの躯がベッドに落ちる。

 リノアはスコールのペニスを口の奥まで招き入れると、舌を絡めながら啜る。
ちゅるっ、ちゅうっ、と音を立てる度、スコールの躯が悶えるように捩られる。
開かれた膝が震え、スコールは後頭部をベッドに押し付けて左右に振る。


「は、リノ…あっ、リノアぁ……っ!」
「ん、はむ、ん……んむぅ、」
「はくうっ……!」


 ねっとりと、リノアの舌が竿を根本から上に向かって舐めて行く。
袋を片手で揉み転がしてやれば、雄の先端がビクッ、ビクッ、と跳ねるように動いた。
それを握って捕まえて、亀頭をもう一度口に含み、ちゅるちゅると唾液を絡めながら啜った。


「リノア、あっ、吸ったら…あっ、あっ…!」
「んん……吸ったら、んっ、出ちゃいそ…?」


 リノアは膨らんだ頭に舌を這わせながら言い、ペニスと陰嚢の間に指を押し付けた。
薄皮膚を摘むと、スコールは悲鳴に似た甘声を上げて身体を震わせる。


「ひっ、あっ…、あぅ、ん…っんん……!」


 つぅー……とリノアの指が竿を下から上になぞり、また上から下へと辿って行く。
敏感になった肉棒には、それだけでも強い刺激だった。
ふぅ、ふぅ、と快感に耐える吐息が零れ、頬を染めて額に汗を滲ませるスコールに、可愛い、とリノアは思った。

 リノアはペニスを両手で包み、真っ直ぐに上を向かせて、口を大きく開けた。
ぱっくりと亀頭を口の中に入れ、頭を上下に動かす。
リノアのピンク色の唇から、にゅぽっ、にゅぽっ、と肉棒が激しく出入りして、スコールは躯中の熱が其処に集まるのを感じていた。

 ぬらぬらとした感触の、生暖かい肉の塊がペニスに絡み付く。
膨らんだペニスは、リノアの口を一杯に広げていたが、リノアの表情に苦しげなものはない。
初めて体を重ねた時には、少しばかり勇気が必要だったこの行為も、彼女は躊躇わずに行うようになっていた。
先端からカリ首の膨らみ、凹みの裏側まで、リノアは丹念に愛撫して行く。
唾液を絡ませ、塗り付けるように動く舌は、何度もスコールの弱い場所を苛めて来る。


「あっ、リノア、あぁ…っ、リノアぁ……っ!」
「ん、んっ、んぷっ…、はふ、んっ」
「熱い…リノア、んんっ…あっ、も、もう……っ」


 常の平静を崩さない顔を忘れ、縋る声で恋人の名前を呼ぶスコール。
その声の通り、スコールの中心部は痛い程に膨らんでおり、先端からはとろとろと蜜液を零していた。

 口の中で、苦く粘ついたものがまとわりつくのを感じて、リノアの唇が笑みを浮かべる。
喉奥まで咥え込もうとするように、リノアは思い切って頭を進め、ペニスを根本まで招き入れる。
息苦しさに一度眉根が寄ったが、構わずに奉仕を続ける。
先端に舌腹を押し当て、粘液を垂らしている穴をぐりぐりと押す。


「あふっ、あっ、ひっ…!リノア、そこ、そこはぁ…っ!」


 M字に開かれた膝ががくがくと震え、スコールは腰を揺らして逃げようとした。
しかし、リノアは筋肉質な太腿に抱き付いて、ぢゅううっ、とペニスを吸引した。
ビクンッ、ビクンッ、と抱えた太腿が跳ね、自由な片足がシーツを蹴って暴れる。


「あぁっひっ、んぁああ……っ!」
「ん、んぢゅ、んちゅ、んんっ!」
「や、リノア、イく…っ!出る、出るから…は、離し…っんぁ!」
「んぷ、ん…いいよ、出して……スコール、んっ」
「ふぅんっ…!」


 口を離して、スコールに絶頂を促すと、リノアはもう一度ペニスを口に含んだ。
唾液と蜜液が混じり合い、ぬちょぬちょと滑る肉棒を唇で扱く。
ちゅぽっ、にゅぽっ、ちゅぽっ、と音を立てるリノアの口端から、泡になった唾液が溢れ出し、竿と球袋を伝い落ちて行った。


「はひっ、あっ、あぁ……っ!リ、リノア…リノアぁ……っ!」


 助けを請うように、スコールは頭を振ってリノアの名前を呼ぶ。
リノアの口の中では、雄がぱんぱんに膨らんで固くなり、後幾らもすれば耐え切れずにはちきれるであろう事が判る。
それを賢明に堪えるスコールだったが、リノアが陰嚢をきゅうっと握った瞬間、


「はあっ、あぁああっ!んぁあああんっ♡」


 ビクンッ、ビクンッ!と四肢を大きく戦慄かせ、甘ったるい悲鳴を上げて絶頂するスコール。
リノアの喉に、びゅるるるっ!と濃い蜜液が吐き出され、むわっと雄の匂いがリノアの鼻腔を突き上げる。

 咽返りそうな匂いを感じながら、リノアは喉を動かして、口の中のものを飲み下す。
粘っこいそれは一度では飲み切れず、こくん、こくん、と数回に分けて飲み切った。
はあっ、と酸素を吐き出したリノアの口から、雄の匂いが漏れて、生暖かい吐息がスコールのペニスにかかった。
ピクピクと震えるスコールのペニスは、まだ頭を持ち上げたまま、萎える事はない。


「んふ……スコールのおちんちん、まだ立ってる…」


 白濁をまとわせたリノアの舌が、スコールのペニスを撫でる。


「あっ…あっ……」
「男の人って、一回イったらしばらく萎えちゃうって聞いてたんだけど、スコールは元気だね」
「は、ふ…あ…リノア…んっ、息が…ぁ、当たって…」
「それとも、まだ物足りない?そうなのかもね。だって───」


 陰嚢をやわやわと揉んでいたリノアの手が、その下へと降りる。
細い指は会陰をくすぐり、更に下でヒクヒクと口を伸縮させている穴に触れた。


「ここ、まだ触ってないもんね」
「あぁ……っ」


 縁の皺を爪先で引っ掻くようにコリコリとくすぐられて、スコールの太腿が震える。
くすくすと笑いながら、リノアは穴口をつんつんと突いた。
固い爪先が窄みに当たる度、ピクッ、ピクンッ、とスコールの腰が跳ねる。


「んっ…、んぁ…っ、あぁ…っ」
「スコールのお尻の穴、ぱくぱくしてる」
「や…あ……」


 まじまじとあらぬ場所を見詰めるリノアの言葉に、スコールは顔を赤くして、嫌がるように頭を振った。
しかし、抑えつけられている訳でもないのに、スコールの躯はベッドから逃げようとはしない。
寧ろ腰を浮かせて尻を差し出している格好になり、先を期待するように躯中の穴から汗が噴き出している。

 リノアは指先に力を入れて、ゆっくりと挿入を始めた。
ヒクヒクと蠢いていた穴は、異物の侵入に驚いたようにビクッと反応した後、きゅうぅ…と指を締め付ける。
噛み付いた肉から逃げるように指が引いて、ちゅぽん、と穴から出て行った。
が、直ぐにもう一度指は挿入され、浅い位置でまた出て行く。


「ん…あ、…んっ…!は…はぁんっ…!」


 入っては出て、入っては出てと、浅い位置で抜き差しを繰り返す指に、スコールの足の爪先が丸まった。
つぷ、と指が挿入されると同時に、ビクッ、と足指が開いて、ちゅぽっ、と指が出て行くと、痒みを堪えるように爪先が縮こまる。


「リ、リノア…あっ、遊ぶ、あっ…、遊ぶな、あ……っ」
「だって可愛いんだもん」


 指先が肉穴を押す度、反応を示すスコールの躯。
リノアはそれを楽しむように、埋めた指先を曲げ、穴の縁の裏側をクニクニと押す。
リノアが指先に肉の感触が吸い付いて来るのを感じると同じタイミングで、スコールの腹筋がぴくっ、ぴくっ、と痙攣していた。


「あっ、んんっ…!あぁ……っ」
「もっと入れるね」
「ん、あぁっあぁあ……っ!」


 指先だけで遊んでいた指が、ゆっくりと奥へと進み始めた。
穴の縁が赤く色づいて膨らみ、中の肉壁がリノアの細い指に絡み付く。
うねる肉ヒダが熱を持ってリノアの指に吸い付いて、進む先の壁が脈を打ち、此処に来て、と誘っているようだった。

 指が中程まで入った所で、リノアはまた指を曲げ、壁の天井に爪を当てた。
コリッ、と引っ掻くように肉の波を擦られ、スコールは悦の声を上げる。


「あぁっ♡」
「可愛い声出ちゃったね」
「はうっ♡んっ、んんっ…!」


 リノアの言葉に、スコールは口を噤んで声を殺した。
今更ながら自分の有様に羞恥が募り、スコールは手の甲を噛んで、快感に蕩けそうになっていた理性を取り戻した。
しかし、頭は冷えても、体の中の熱は燻るばかりで、秘奥を弄る少女の指に、容易く翻弄されてしまう。


「んっ、んっ…、んふぅ……っ♡」
「お尻の穴、気持ち良いんでしょ?スコール」
「んむ……っくうん♡」


 口を噤んで返事を拒否するスコールに、リノアはくりゅっ、と指を回して催促した。
スコールは腰を捩じって快感に悶え、秘孔はきゅうっと悦ぶようにリノアの指を締め付ける。

 埋めた指をぐるぐると回すように動かすと、スコールの塞いだ口から、ふーっ、ふーっ、と耐える息が零れた。
太腿の裏をリノアの手が撫でると、逃げるように足が引いて、秘部がすっかり晒される格好になる。
それでも快感に耐えようとする恥ずかしがり屋な恋人に、リノアは仕様がないなあ、と唇を弧に緩ませる。


「頑固なスコールは、素直にさせてあげなくちゃ。ね?」
「あひぃっ♡」


 ちゅぷっ!と指が一気に奥まで挿入され、スコールは堪らず声を上げた。
慌てて口を噤もうとするスコールだが、奥の天井をぐりぐりと押されて、喉奥から押し出されるようにあられもない声が出てしまう。


「あっ、んぁっ、あぁっ!リノア、そこっ…、ふぅんっ♡」
「此処、気持ち良くって好きでしょ?」


 僅かな膨らみを浮かせた其処は、前立腺だ。
初めて体を重ねた日、執拗に其処を責められて以来、スコールはその快感の虜になってしまった。
ビクビクと全身を跳ね躍らせて悶えるスコールの姿は、リノアを興奮に駆り立て、彼の乱れる姿をもっと見たいと激しく煽る。

 スコールのアナルを撫で解しながら、リノアはアナルとペニスの間の会陰に顔を寄せた。
鼻先がペニスの陰嚢の間に当たり、蒸れた匂いが鼻腔を一杯にする。
とろとろと滴り落ちる精液を舐めながら、リノアはアナルに挿入させた指で上壁を何度も擦った。


「あぁ、あっ、あっ!あんん……、ふぅんっ」
「んぷ、んふっ…はちゅ、んん、」
「リノア、ああっ、中…ひっ、そこばっかり、擦らなっ♡あっ、あっ、舐めるな、汚い…んんっ♡」


 股間に感じる艶めかしい感触と、じゅる、ちゅる、と言う啜る音。
スコールは頭を振って嫌がるが、リノアはそんな恋人を見て、尚も音を立てて液を啜り始めた。

 ちゅう、ぢゅっ、じゅるっ、と鳴る音の隙間に、足の付け根や太腿に吸い付かれて、スコールの足がビクッ、ビクッ、と跳ねる。
同じタイミングで、内肉がリノアの指を噛み、ヒクヒクと動いて熱を伝えた。
リノアはアヌスの中の感触を堪能するように、ゆっくりと指を回転させ、直腸内を丁寧に弄る。


「あああ……っ!は、ひっ、あぁ……っ♡」
「んふ……スコールのおちんちん、また気持ちイイの出てる…」


 反り起ったままのスコールのペニスから、とろとろとしたものが再び溢れ出していた。
リノアは視界の隅に捉えたそれに、嬉しいな、と呟いて、陰嚢の片方を口に食む。
ぱくっと袋を甘噛みされて、スコールが息を飲んだのが伝わった。

 リノアは、秘孔に埋めた指を、手首を使ってクイクイと前後に動かした。
くちゅっくちゅっくちゅっ、とリノアの指が上壁を何度も突き上げて、道筋全体がきゅうっ、きゅうっ、と締め付ける。
ビクビクと跳ねる躯に釣られ、バネのように揺れるペニスをリノアの手が捉え、乳搾りのように掌全体で竿を揉み始める。


「あっ、ああっ…♡だめ、ひっ、んぁ…あふぅう…っ♡」


 リノアの手がペニスの根本を握り、上に向かって指を動かす度、体の奥から熱が絞り出されるような感覚に襲われる。
スコールはベッドシーツを握り締め、ぶるぶると身体中を震わせた。
其処へ前立腺をぐりぐりと押し潰されれば、溜まったものではない。


「あぁっ♡や、んっ、ああぁっ!」
「んん……おちんちん、ビクビクしてる。生きてるみたい……あむっ」
「あぁあ…っ!そ、んな…食べ…あふぅうっ♡」


 リノアはとろとろと蜜を溢れさせているペニスを口に含んだ。
生暖かい口の中の熱と、ねっとりと絡み付いて来る唾液に、スコールの下半身から力が抜けて行く。

 リノアはくちゅくちゅと音を立てて菊穴を掻き回しながら、口の中の一物に舌を絡めた。
先端から溢れ出す愛液を、ちゅうちゅうと啜ると、握った手の中で雄がビクビクと痙攣する。


「はひっ、あっ、んぁあっ♡や、リノア、ああっ、両方は…んひいっ♡」
「んちゅっ、んちゅ、…じゅるっ、んっ、んぢゅう…っ」
「はぁっ、はぁ、はぁあんっ♡吸ったら、あ、出る、イくっ♡イくから、放、あぁあっ!」


 頭を振り乱し、自由にならない躯を捩ってリノアに訴えるスコール。
強過ぎる快感を得始める時、スコールは決まって声を大きくしていく。
はっ、はっ、はっ、はっ、と呼気が早くなって行き、背を弓形に撓らせて強張らせる。
リノアの口の中では、ぴゅっ、ぴゅっ、と蜜が噴き出していて、最早スコールの意思で快感に耐える事は無理なのは明らかだ。

 リノアは、秘孔を掻き回す指を更に激しくさせた。
中指を突き入れると、スコールは「ひきゅうっ♡」と引き攣った喘ぎ声を上げ、新たな侵入を喜ぶように内肉が動いた。
みちっ、にゅちっ、と絡み付く肉を指先で擦り、挟んで、コリコリと捏ね回す。


「んぁああっ♡リノア、だめ、ああ…っ♡中、つまむのっ、あっ♡あっ♡あっ♡引っ掻いたら、あっ、やぁあっ♡」


 リノアが直腸内で摘んだ肉壁を引っ張ると、ビクビクとスコールの躯が震え、どろっ、とペニスから精液が溢れ出した。
リノアが啜る程に濃さを増して行く粘液は、苦いばかりで旨味も何もないが、啜る度にスコールが甘い声を上げるのが堪らなく嬉しくて、下腹部に熱が集まってくる。
とろりと溶けだしたものが自身の秘所を濡らすのを感じながら、リノアはペニスの先端に歯を立てた。


「あぁあああ……っ!」
「ぷはっ……もうちょっと奥、入れてあげる」
「や、ああっ…!は、入って…あっ、あっ、」


 嫌がるように頭を振るスコールだが、力で勝る筈なのに、彼はリノアを突き飛ばそうとはしない。
恍惚とした表情で、更に奥へと潜って行く指を受け入れ、身体を痺れさせる快感に身を委ねている。

 リノアは膝でスコールの太腿を押し開かせると、指を咥え込んだアナルを見下ろした。
ゆっくりと指を引いて行くと、菊口の皺が集まって口を閉じようとして、リノアの指の形に口が歪む。
ぴったりと密着する穴の様子を見詰めながら、リノアは入口ギリギリまで引き抜いた指を、にゅぷぅっ!と一気に根本まで突き入れた。


「はぁっ、あぁあっ!」
「もっと解さないと、キツいかな?」
「あっあっ♡やっ、ああっ♡ひ、引っ掻いてる♡リノアの指っ、ああっ、俺の、俺の中、掻き回して……はぁんっ♡」


 リノアは二本の指を割って、狭い道を開かせると、指の関節を曲げて奥の窄まりを引っ掻き始めた。
虫の足が這うような細かい動きで、肉ヒダの凹凸をカリカリと擦られ、限界まで開かれたスコールの太腿がぶるぶると震える。


「リノ、リノア、リノアぁあ……っ!も、だめ…ああっ、あぁっ♡」
「イきたい?スコール」
「んぁっ、んんっ♡イ、イきた…っ♡リノアぁ……っ♡」


 情けなくも聞こえる、甘ったるい声だった。
指揮官として厳しい表情をしている姿ばかりを見て、格好良いと憧れているガーデンの生徒達は、彼がこんな声を出す事も知らない。
尻穴を穿られる快感に溺れ、蕩け切った表情で先をねだる彼の姿は、リノアだけが知る事の出来るものだ。

 リノアはスコールの雄の根本を握っていた手を竿へと移し、激しく上下に動かした。
しゅこしゅこと扱かれたペニスが、血管を浮き上がらせ、リノアの掌にどくどくと脈を伝える。
早く、早く、と訴えるように、スコールは尻をシーツから浮かせて、ゆらゆらと腰を揺らしていた。


「スコールってば、えっちぃの。男の子なのに、お尻で感じて、女の子みたいな声出して」
「んんっ…♡は、あ…リノ、アぁあ……♡」
「ふふ」


 恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、スコールは既に快感を我慢する事は出来ず、尚も甘える声で恋人を呼んだ。
ぐりぐりと秘孔の奥を指で押せば、肉壁が痙攣したように震えながら、リノアの指を締め付け、ピクピクと先端を震わせるペニスが、決定的な熱を欲しがっている。
リノアはそれに応える為、亀頭を頬張り、ぢゅうううっ!と強く啜り取った。


「んぁっ!イくっ、イっ、あぁああんっ♡」
「んっ、んぢゅっ!んんんっ♡」
「ああっ、あーっ♡出る、出るぅっ!リノア、あっああぁーっっ♡」


 頭の天辺から足の爪先まで、張り詰めたようにピンと強張らせて、スコールの快感は最高潮を迎える。
リノアの口の中に、びゅるるるっ!と二度目の射精が放たれて、リノアはそれを啜りながら、尚もちゅうちゅうとペニスを吸った。
昂った肉棒が強い快感から逃げたがるように口の中で暴れたが、リノアは竿を捕まえて逃がさない。
搾り切らんとするように、何度も何度も音を立てて啜る度、スコールの腹がビクン!ビクン!と脈打つように上下運動をして見せた。