ピーイング・プレイ


「やっぱり濃いな。溜まってたんだろう。こっちもまだ物足りなさそうだ」
「ひんっ♡」


 絶頂した時から強く締め付け、体が力を失った今でも緩まない秘孔。
そこをぐりゅっと抉るように穿られて、スコールの体がまた跳ねた。


「此処もまだ勃ってる」
「あっ!」
「結構固いな。イったばかりなのに」


 クラウドの濡れた手の中で、スコールのペニスはまだ膨らんでいた。
射精した事で幾らか縮みはしたものの、まだ頭は上を向いており、根本を指でぐりぐりと弄ってやれば、竿がひくっひくっと上下に動いて、先端からとろとろと精子が溢れ出して来る。


「や、あ…っ!クラウ、ドぉ……っ」


 もうイったから、と解放を求めるスコールだったが、クラウドの手は離れない。
元気だな、とまで言いながら、蜜を零す先端を人差し指で擦るように苛めて来る。


「はっ、あっ、あっ…!うぅん…っ!」
「ああ、こっちも弄ってやらないと」
「ひぅんんっ♡」


 ぬぷっ、と指が根本までアナルの奥へと挿入され、スコールは背中を丸めて縮こまる。
刺激から体を庇うように丸くなるスコールだが、背中から抱き締めながら下肢を弄る男の手からは逃げようがなく、寝返りを打つように逃げようとするスコールをしっかりと捕えたまま、アナルを執拗に苛めてスコールの快感腺を開かせようとする。


「は、あっ…!あふ、んっ…!や、だぁ……っ!」
「こら、逃げるな。拡げてるんだから」
「んっ、あっ!あっ、あぁあ……っ!」


 咎めるように、きゅうっ、とペニスを握られて、スコールはビクッと体を竦ませた。
その拍子に、ぴゅくっ、と少量の精液が噴き出る。
それを見たクラウドの唇が、くつりと笑う。


「今日は随分だらしないな?」
「あっ、あっ…!やめ…あっ……!」


 きゅ、きゅ、と揉むようにペニスを握っては宥められ、スコールはその度に少ない蜜を噴いてしまう。
そうして内側から競り上がって来る刺激で尿道が擦られる度、スコールの息が上がって行った。

 その傍ら、昂って行く熱とは対照的に冷たい空気で、下腹部が冷える。
じわりとした感覚が腹から下半身へと押し出されて行くのを感じて、スコールはこれは、と眉根を寄せた。
平時はあまり意識をしないが、感じてしまうと嫌でも気になってしまうその感覚は、こんな場面で感じるには余りにも辛いものがある。


「や、クラウド…やめ……っ!」
「ん?」
「ああぁ……っ!」


 柔らかく解れたアナルの中で、締め付ける肉を指先が引っ掻く。
意識してしまった切迫の所為で、スコールの体は余計に敏感になり、甲高い声が上がった。
はっ、はっ、と短い呼気を繰り返し、顔を赤らめて頭を振るスコールだったが、それが二度目の限界を訴えているように見えたのだろう、クラウドの手淫の動きが一層激しくなり、


「あっ、あっ、あっ♡クラ、ウド、やだっ…!や、あ、」
「我慢しなくて良いって言っただろう?」
「駄目、だ…やっ、あっ!んぁああ……っ!」


 クラウドに与えられる快感と、自身の中で起きている症状で、スコールの体は一層追い詰められていく。
力の入らない体でクラウドから逃げようともがき、いつの間にかスコールは地面に転がっていた。
這うように苛める手から離れようとするスコールだったが、クラウドにしてみれば、今日は随分意固地だな、としか映らない。
それも恥ずかしがり屋なスコールが、久々の情事で抵抗し続け、引っ込みがつかなくなっているのだと見えていた。
だからスコールを責めるクラウドの手も止まらない。


「や、あ…!やめ…っ、もう……っ!あ、うんっ!」
「此処だな」
「ひうっ♡ひっ、あっ!だ、め……あぁっ♡」


 弱点を見付けられ、其処をぐりぐりと集中的に弄られて、四つ這いになったスコールの腰がビクッビクッと跳ねる。
股の間で震えるペニスが一層膨らみを増したのを、クラウドは手の中で感じていた。

 頭を地面に擦り付けて、スコールは地面の草を掴む。
引き締まった太腿が強張り、膝を擦り合わせてもじもじとしている姿に、クラウドはむらむらとしたものを感じていた。
指を咥えたアナルはすっかり解れ、奥はきゅうきゅうと指を締め付けながら、入口は物足りなさそうにふくふくと縁を蠢かせている。

 四つ這いになっている所為で、スコールはアナルを差し出す格好になっていた。
それなら、とクラウドはスコールのアナルを穿る指は抜かないまま、逆の手で自身の下半身を緩める。
取り出したペニスはスコールのそれよりも倍はあるであろう大きさまで成長しており、指だけでは物足りなさそうなスコールの秘孔も、簡単に一杯にしてしまう事だろう。
それを、指をゆっくりと引き抜きながら、淡い色を見せるアナルへと押し付ける。


「あっ…!?クラ、それ……っ!」
「もう十分だと思うんだ」
「ちょ、待……いっ、今は……っ!」
「悪いな、そろそろ限界だ」


 目尻に涙を浮かべ、嫌がって見せるスコールだったが、そんな仕草にすらクラウドの興奮は高ぶって行く。
ちゅぽっ、と音を立てて指が引き抜かれ、「ひんっ♡」とスコールが体を仰け反らせている間に、固い亀頭が菊座に宛がわれる。
固い先端が、ぐぷ……と穴を拡げながら入って来るのを感じて、スコールは腰を持ち上げるように浮かせて逃げを打つ。


「やっ、あっ…!入っ、て……んんぅっ…♡」
「…っは……久々だからな…よく締まる……っ」
「あくぅっ♡」


 一番太いカリ首が穴を拡げて納められた瞬間、スコールはビクンッ!と体を震わせた。
そのまま浅い位置でペニスが抜き差しされ、ぬぽっ、ぬぽっ、と入口を裏側から押し擦るような刺激に、スコールの膝が地面を擦る。
そうして責められると、スコールの下半身は快感で力が抜けて行き、快感に従う事を覚えた体は容易くその感覚に堕ちてしまう。


「あっ、あぁっ……!やだ、あ…っ、んぁ…っ♡」
「ほら、来い」
「や、あっ、ああぁっ…!」


 地面に縋っていた腕をクラウドに掴まれ、ぐっと引っ張られて体を起こされる。
抵抗を見せるスコールだったが、クラウドは構わずに細い腰を抱いて、もう一度自分の方へと寄り掛からせた。
同時にぬぷぅうっと太い雄が奥へ進み、一気に根本まで挿入される。


「んぁっ、あっ♡やああぁぁぁっ♡」


 長らく味わっていなかった雄の感触に、スコールの体は喜びに打ち震えた。
太く大きなペニスがスコールの胎内を満たし、亀頭で内肉を撫でられて行く感触に、スコールの体は外も内もビクビクと戦慄いた。
痙攣する媚肉を愛でながら奥へと辿り着いた先端が、ぐちっと奥壁を押した直後、スコールの頭は真っ白に弾けた。


「ああぁぁあーーっ…!」


 電流を浴びたように、細い体がビクンッビクンッ、と跳ねたかと思うと、スコールのペニスから精子が噴いた。
同時に、開いた尿道口を更に潜って行くものが、しょろろろろ、とスコールの股間を濡らして行く。


「ああっ、あああぁ……っ!やあぁ……っ!」
「うん?────ああ、成程」


 涙の混じった声を上げるスコールに、クラウドが抱き込んだその体を見て、理解した。
スコールは浅い絶頂と同時に、放尿をしてしまったのだ。

 ヒクヒクと体を震わせながら、スコールは止まらない尿意に頭を振ってクラウドに縋る。
止めて、と言わんばかりのスコールであったが、クラウドは弛緩した下肢とは裏腹に、きつく締め付けるアナルの感触を楽しんでいた。
ピクピクと震えながら尿を零すスコールのペニスを見ながら、軽くその体を揺すって、絡み付く内肉の締め付けを味わう。


「や、ひぅうっ♡クラ、ウド…やめ、え……っ」
「そう言えば、晩飯のスープも多めに飲んでいたな」
「あっ、あっ…!や、揺らす、なぁ……っ」


 出るものが出たか、終わりつつあった放尿が、クラウドが揺らす所為でまた零れてしまう。
力の入らないスコールは、体の奥から這い上がって来る生理的な反応を我慢する事が出来なかった。

 精液と黄金水でぐっしょりと濡れたスコールの股間に、クラウドの手が伸びる。
ようやく頭を草臥れさせたスコールの肉棒に、クラウドの指が滑った。
それだけで、ピクンッ、とピンク色の頭が震えるのを見て、クラウドはにやりと笑う。


「もうちょっと出るんじゃないか?」
「ふあ、あっ♡や、何、やめっ、ああっ♡」


 クラウドはスコールのペニスを包み込み、しゅこしゅこと激しく手淫を始めた。
再開された奉仕は、放尿も相俟って開放的になったスコールの体にはより刺激的で、下腹部の熱はあっという間に息を吹き返し、スコールを苛んでいく。
同時に、根本から先端に向かって丹念に押し出すように愛撫する手に促され、奥に残っていたものが絞り出される。


「やっ、はっ♡あっ、あぁ…っ!やだあぁ……っ」
「ああ、服が濡れるな。こうした方が良いか」
「あ、んんっ♡」


 クラウドはスコールの膝を掬い上げ、スコールの背を自身の腹に乗せる格好を取らせた。
両足を持ち上げられたスコールは、赤子が用を足すようなポーズにされている。
更に秘部に挿入されたアナルが角度を変えて媚肉をなぞり擦ったものだから、スコールは丸めた背中をビクビクと震わせて快感に喘いだ。


「ひぃんっ、んっ…!あ、うぅ……っ♡」
「よく締まって気持ち良いな……」
「んぅっ……!俺は、あっ、良くな……ひうっ!」


 うっとりとした口ぶりで囁くクラウドに、スコールは赤い貌で頭を振る。
しかし、クラウドの手が濡れたペニスを扱けば、直ぐに息が上がって行く。


「あっ、やっ…!そこ、触るなぁ……っ!」
「溜まっていたようだから、確り絞ってやらないとな」
「バカ、あ、ああっ……!んっ、うぅ…ああぁ……っ」
「少し擦っただけで直ぐに出て来るな……ほら、また」
「んんぅ……っ!や、あ……ああ…っ!」


 クラウドの指が根本を、カリの膨らみを絞るだけで、スコールの鈴口からぴゅっ、ぴゅっ、と漏れる小水。
スコールは腹に力を入れて堪えようとするが、そうするとアナルを締め付けてしまい、クラウドが少し腰を揺らすだけで肉壁を擦られる。

 クラウドは良く見えないな、と呟くと、スコールの膝に絡まっていたズボンを引っ張って脱がせた。
あ、とスコールが抵抗する間もなく、白い肌が夜気にすっかり晒される。
ひんやりとした空気から逃げるように膝を丸めて縮こまるスコールだったが、ずんっ!と後ろから突き上げられて高い声を上げた。


「んあぁっ!」


 行き止まりをピンポイントで突き上げられて、スコールは四肢を強張らせて快感電流に打ち震える。
その間にクラウドは、力の入らなくなったスコールの両膝を捉え、左右に大きく開かせた。
陰部の何もかもを曝け出した格好で、後ろから突き上げられ、スコールは顔を真っ赤にしていやいやと頭を振った。


「はっ、あっ、あっ♡クラ、ウド、や、また…ああぁ…っ!」
「良いから、出せ。もっと激しくした方が楽か?」
「やだ、やっ、あっ♡あっ♡あぁっ♡」


 ずぷっ、ぐぷっ、ずぷっ!と激しさを増して行く律動に、スコールの声が大きくなって行く。
突き上げられる度に体が弾み、揺れて、腹の奥を掻き回されているような気がした。
秘奥の壁を強くノックされる度に、下腹部が熱くなり、精子が出口へ昇るのが判る。
其処からまた、ぐちゅんっ!と突き上げられると、スコールは目の前がスパークした。


「やぁっ、あああぁぁっ♡」


 ビクンッ、ビクンッ!と体を大きく仰け反らせて、スコールは絶頂した。
びゅるるるっ!と勢いよく射精すると、開いた尿道を一緒に登って来た小水も溢れ出す。
外気に比べると温かいものが股間を濡らして行くのを感じ、スコールは涙を浮かべながら放尿し続けた。


「あっああっ…出る…っ!出て、るぅ……っ」


 我慢してたのに、と泣きながら呟くスコール。
クラウドはそんなスコールの耳を食んで、律動を続ける。


「あっ、あっ♡やっ、出るっ、ああっ、止まらな……っ!」
「ずっと我慢するからだぞ、スコール」
「はっ、ひんっ、あっ♡う、動かな…っ♡ああっ、またぁあ…っ!」


 戦慄く内肉を太く固いペニスに擦られ、スコールは快感に打ちのめされていた。
射精と放尿ですっかり力を失った躯は、背後の男に揺さぶられるままに快感を享受し、競り上がって来る生理現象には逆らう術を持たない。
奥を、前立腺を、角度を変えながら何度も突き上げられて、スコールはその度に尿を零し、外気とは違う暖かな水に濡れる下半身を自覚して、顔を真っ赤にする。


「やあっ、もう…クラウドぉ…っ!出る、のっ、やあっ…!」
「そうか?…俺は良いと思うぞ。お前のココがだらしないのも、中々可愛いからな」
「はっ、バカ、あっ、あんぅっ♡はっ、あっ、し、扱いたら…っ、ああっ、あぁああ……っ!」


 クラウドの言葉に真っ赤な顔で睨むスコールだが、クラウドの手がペニスを握ると、またぴゅううっと噴いてしまう。
もう出ているのが精液なのか尿なのか、スコールには判らなくなっていた。
どちらであっても、鈴口が内側から擦られる感覚に快感を得てしまうのだ。

 突き上げる度に跳ねるスコールの体を、クラウドの手が後ろから抱き込むように捕まえて押さえ付ける。
開いた足の内側にクラウドの足が割り込んで、スコールの開いた両足は相変わらず閉じる事は出来なかった。
秘部に潜ったペニスがより一層深い場所まで届くのを感じて、スコールは「んんんっ」とくぐもった嬌声を上げた。
そのままクラウドが円を描くように腰を動かし、胎内を掻き回されたスコールの太腿ががくがくと震え、


「あ、ああっ、クラウドぉ……っ!そこ、あっ、擦るの、やだぁっ…!」


 靴の中で爪先を丸め、いやいやと頭を振るスコール。
放して、と言わんばかりに腰を掴む腕に爪を立てるが、クラウドは逃がすまいと力を籠めて押さえ付け、腰を大きく動かしてスコールの中を暴いていく。


「あふっ、あっ、んぁっ、あっ!」
「お前の嫌、は気持ち良いって事だからな」
「違、う、んんぅっ♡」
「そう恥ずかしがるな。お漏らしもしたんだから、今更だろう?」
「ふうぅうっ♡」


 クラウドの囁きに、スコールの顔に血が昇る。
自分が如何に恥ずかしい所を晒したのかを指摘するように言われて、感じたのは屈辱と、恥辱による甘い痺れ。
ぞくぞくと背中を迸る快感につられて、アナルがきゅうんっと閉じて媚肉がクラウドに絡み付いた。


「ほら、やっぱり気持ち良いんだ」
「あっ、違う、あっ、ああっ…!や、は、激しい…あっ、あぁっ…!」
「全部見せろ、スコール。何も怖くないから」
「はっ、あっ、あっ、あっ……!ク、ラ…ウド……あ、あっ…!」


 スコールの腰がクラウドの手によって持ち上げられて、ぬるぅう、とペニスが肉を擦りながら出て行く。
スコールの下半身には最早全く力が入らず、しかし媚肉は引き留めるようにクラウドのペニスに絡み付いて、奥へと招こうと蠢いている。
ねっとりと艶めかしい内壁の感触を楽しみながら、クラウドはペニスをカリ首だけを残す位置まで引き抜いて、


「はっ、…あっ…♡あぁ……っ♡」


 大きく開かせた足をヒクヒクと痙攣させているスコール。
浅い位置で止まったペニスを、穴口がきゅっ、きゅっ、とマッサージするように締め付けていた。
奥は隙間が出来た所為で、酷く切ない疼きを訴え、スコールの体の熱を煽る。

 ゆら、とスコールの腰が揺れたのは、無意識だった。
求めるような動きを見せたそれに、クラウドは持ち上げ支えていた手を放す。
がくっ、と腰が落ちて、大きく怒張したペニスはずぷぷぷぷっ!と一気に奥まで飲み込まれた。


「あああぁぁぁっ♡」


 甲高い声を上げて、スコールは一気に天国へと駆け上る。
華奢な背中が大きく仰け反り、快感の強さを物語りながら、びゅるううっ!と勢いよく射精した。
同時にアナルも今までに無い程に強く締め付けでクラウドを捉え、クラウドは「ぐぅっ…!」と眉を寄せながら、熱く蠢くスコールの腔内へと射精した。

 絶頂の余韻の中で、ヒクッ、ヒクッ、と体を震わせながら、胎内に注がれる熱いものを感じていた。
弛緩し切った体を、しょろしょろと零れる温かいものが太腿を濡らす。
ああ、と力なく吐息を零すスコールの頬を、クラウドの手がゆったりと撫でた。




 見回りのついでに薪拾いに行ったスコールと、それを追う形で散歩に行ったクラウドが野営地に帰って来た時、二人は全身をズブ濡れにしていた。
何があったんスか、と問うティーダに、スコールは黙ったまま不機嫌なオーラだけを巻き散らし、クラウドは「ちょっとな」と曖昧にしか答えない。
セシルと交代して見張りに当たっていたバッツは、二人が怪我をした様子がない事だけを確認して、ちょっと乾かしてから寝ろよ、と二人を焚火の傍へと促した。

 雨が降った訳でもないのに、どうしてそんなに濡れたのかとしつこく尋ねるティーダに、クラウドは「川に落ちたんだ」と言った。
この寒い夜に、と同情するティーダに、クラウドは苦い表情しか出ない。
濡れながらも持って帰った薪のお陰で、強めに火を焚けるので、凍えずに済んではいるが、服が渇くまでは眠れそうにない。

 冷えた空気のお陰で脱ぐ訳にも行かず、スコールとクラウドは服を着たままで暖に当たっている。
この為、濡れた服で奪われた体温は中々戻らず、スコールが何度目かのくしゃみをした。


「大丈夫か?スコール。俺の服貸そっか?」
「……良い」
「無理しない方が良いっスよ」
「……ああ」


 ティーダの申し出には感謝はしつつも、スコールは端的にそれを断った。
羽織るものだけでも持って来るよ、とテントに向かうティーダを後目に、蒼灰色の瞳は、焚火の反対側にいる男を睨む。

 刺さる視線にクラウドが顔を上げれば、碧眼と蒼灰色が交じった。
不機嫌と言うより、怒りすらも滲むスコールの視線に、クラウドがうっそりと唇に弧を浮かばせてやると、スコールの白い頬が赤くなって視線が逸らされる。
最悪だ、とスコールの唇が音なく呟いたのが見えたが、クラウドは特に気を悪くする事はなかった。

 ────二人がびしょ濡れで野営地に戻ったのは、他でもない、情交の所為である。
久しぶりのセックスと言う事は勿論、性交中に尿意を我慢できずに漏らしてから、恥ずかしがるスコールの姿に雄を燃え上がらせたクラウドの欲望は、中々収まらなかった。
濃厚な情交は長く続き、その間に二人はすっかり精液と尿で濡れてしまったのだ。
服を着たままだったクラウドは勿論、脱がされてはいたが直ぐ傍に脱いだズボンを置いて下敷きにしていたスコールの服も、酷い有様。
とても着ていられる状態ではなく、かと言って裸で戻る訳にも行かず、川がある為洗う事は出来るが、乾くまで戻らないと言う訳にも行かず────濡れ鼠になって戻る羽目になったのである。

 スコールにしてみれば、眠る為に少し散歩をするだけだったのに、とんだ災難と言った所だろう。
はあ、と溜息を吐いて抱えた膝に顔を埋めるスコールの下に、テントから戻って来たティーダが駆け寄る。


「スコール、羽織るもの持ってきた」
「……ん」
「クラウドも」
「ああ、ありがとう」


 スコールに羽織替わりにと外套を渡して、ティーダは同じ物をクラウドにも差し出した。
クラウドはそれを有難く受け取って、まだ乾かない服を脱いで、外套で体を包む。
それを見て、スコールも外套に包まってから、その中でもぞもぞと身動ぎして服を脱ぎ、焚火の熱が届く位置に服を置いた。

 ふあ、と欠伸を漏らすのはティーダだ。
空を見ると、東の方角が薄らと白み、朝が近い事を知らせている。
それを見たバッツがティーダに言った。


「ティーダ、もう寝ろよ。朝飯の時間になったら起こすからさ」
「ん〜……そうする。バッツ、あと宜しくな」
「おう。おやすみー」
「おやすみ、ティーダ」


 バッツとクラウドの挨拶に見送られ、ティーダはテントへ。
その背中を見送りながら、俺も寝たい、と思うのはスコールだ。


(……でも、服……)


 外套の中で、スコールは殆ど裸身になっている。
せめて服が着れる程度に乾くまでは、テントに戻る事は出来まい。
しかし、時間を考えてみると、乾く頃には朝食の準備を始めなければならない時間になっている気がする。

 寝足りない、とスコールが欠伸を噛み殺していると、それを察したバッツが苦笑しながら、


「スコールも寝ろよ。朝飯当番、おれが代わるから」
「……服が」
「乾いたらテントに入れとくよ。火に当たってる方が暖かいなら、其処でも良いけど」
「……」


 疲れ切ったスコールには、バッツの提案は有難かった。
皆で決めた順番を乱すのは些か抵抗があったものの、眠気には勝てない。
スコールは羽織った外套の前が開かないように、内側でそれを手繰り寄せて包まると、その場に横になった。
焚火から離れすぎない位置で、背を向けて丸くなる。

 そのまま動かなくなったスコールを、クラウドとバッツは焚火の向こうから見詰めていた。
程無く寝息を立て始めた背中を眺めていた二人だったが、バッツの瞳がちらりと隣へと向けられ、


「なあ、クラウド」
「なんだ」
「服が汚れるようなのは駄目だって。スコール、風邪引くぞ」
「……次から気を付けよう」


 察しが良い上に、スコールに対しては───本人を前に表には出さないが───保護者のような気持ちを持っているバッツに釘を差され、クラウドは大人しく反省の意を示す。
そうしてくれよ、と言いながらバッツは席を立ち、朝食の準備を始めた。
かちゃかちゃと器具を荷物袋から出して行くバッツを後目に、クラウドは場所を移動し、スコールの傍へと腰を下ろす。
外套の隙間から微かに見える肌色に、懲りずに膨らむ欲望を抑えつつ、しっとりと濡れた濃茶色の髪を撫でた。




書いてみたかったお漏らしネタ。
出ちゃって止まらなくなったり、我慢してたのに出ちゃって恥ずかしくて真っ赤になってるのが好きです。