君へ繋がる心を探して
スコール誕生日記念(2019)


 フロア二つを見た所で、昼の時間になっていたので、エルオーネとジェクトはエレベーターで更に上層のフロアへと上がった。
飲食店が並ぶフロアで適当に店を見繕い、昼食を採ることにした。
注文を済ませて程なくメニューが到着し、近況報告を交えた雑談をしながら食事を済ませる。


「あー、ちっとも決まらない。すみません、ジェクトさん、こんなに付き合わせちゃって」
「構わねえよ。色々見れるのも面白いしな」
「色々あり過ぎて迷っちゃいます。値段もそうなんですけど、物自体が一杯あって、目移りしちゃう」
「ゆっくり絞って良きゃ良いさ。帰りのバスは何時だ?」
「最終で6時のつもりです。その後にもう一本あるけど、それだとガーデンの消灯時間を過ぎちゃうから、その前には帰っておきたいかなと思って」
「じゃあ此処を5時に出りゃ間に合うか。その辺がタイムリミットだな」


 夏休みの最中であるから、明日の授業を気にする必要はないエルオーネだが、出入りしている研究室の当番が待っている。
帰れなければ誰かに連絡をして交代して貰う事は出来るが、エルオーネは余りそれをしたくはなかった。
出来るならきちんと予定通りに、と思っているので、今日は消灯時間前に寮に帰って、明日の準備の確認をして休みたい。

 そうなると、タイムリミットの5時と言うのが、存外と早いのだと気付かされる。
いい加減にどんな物にするか、服かアクセサリーか、将又もっと別のものにするか、絞るだけでも決めたい所だ。
氷の入ったジュースグラスをストローで掻き混ぜながら、エルオーネは頭を捻る。


「服は秋物が多いから、スコールには丁度良さそうなのがありそうだけど、気に入ってくれそうなデザインが中々ないなあ」
「服は流行があるからな。それもザナルカンド ここ の流行だから、バラムとはズレがあると思うぜ」
「アクセサリーは…うーん、デザインと値段……」
「結構良い値してたな。学生向けのモンもあったが、あんまりスコールの奴が好きそうなデザインは見なかったぜ」
「そうなんですよね。幾何学模様みたいなのが多かったけど、あれも此処の流行ですか?」
「そうかもな。元々ザナルカンドには、ああ言う模様を使った物が多くてよ。その時々で使われてる模様のタイプは違ってるが、まあ……此処じゃ定番みたいなもんだ」


 ジェクトの言葉に、ふうん、とエルオーネは相槌を打つ。
ちらりと見た手元のグラスにも、多重線を使った模様があしらわれており、辺りを見回せば窓や調度品にもさり気無く使われている。
ザナルカンドにとっては、普遍的にデザインの一つとして使われていると言う訳だ。


「幾何学模様…スコールも嫌いじゃないと思うけど、ちょっと違う感じがしたかなぁ。服とアクセは置いておいて、今度は本を探してみようかと思ってるんですけど、このビルって本屋さん入ってましたっけ」
「あー……ああ、あるある。確か三階だ」


 じゃあ今度は其処に行こう、とエルオーネが言うと、ジェクトは了解と言ってコーヒーを飲み切った。

 電車賃を出して貰ったのだから、食事は自分が、と思ったエルオーネだったが、伝票をジェクトに浚われてしまった。
せめて自分の分位、と言ったエルオーネだが、ジェクトは気にするなと言うばかり。
こんな時、相手がレオンであるとしても、ジェクトは絶対に譲ってはくれないだろう。
こう言う時は素直に甘えてくれと言うジェクトに、エルオーネも頷くのだった。

 エレベーターで三階に降りて本屋に向かうと、フロアの半分を使った大きな店舗になっていた。
バラムガーデンの図書室と変わらない広さはあるであろう本屋に、エルオーネはこの店の中で迷子になりそうだと思う。
取り敢えず先ずは地図を確認、と店舗内の案内板を見るエルオーネに、ジェクトが訊ねる。


「スコールが好きそうな本ってのは何があるんだ?暇潰しに本を読んでるのはよく見るけど、割と節操なく読んでる気がするんだが」
「好きで見てるのは、月間武器かな。武器雑誌は結構チェックしてるんですよ。最近はガンブレードの特集ページも多いし。小説は、ミステリーとかかな。流行の恋愛小説とかは、読んでるのは見た事ないかも」
「ま、お堅そうな奴の方が好きそうではあるよな」
「後は、料理の本とか。毎日作るから、時々変わった物も作ってみたくなるみたい。最近、私より凝ったものを作るようになってるんですよ」
「凝り性だからな、あいつ。ハマると徹底的にやる奴だろ?」
「そうそう。その内、創作料理とか始めるんじゃないかと思ってますよ、私」


 弟をよく知る姉の言葉に、確かにやりそうだ、とジェクトも笑う。
その傍らでエルオーネは、料理本でも良いのかなあ、と思い始めていた。

 ビルに来る客層を狙っているのもあるだろう、店舗の半分はコミックスが占めていた。
この広い店舗の大部分をそれだけで埋めるとは、エルオーネはそれだけで感心してしまう。
これだと目当ての本を探すだけでも大変だろうと思ったのは間違いではなく、皆店内の端末を使って目当ての本がある戸棚を検索したり、店員に聞いて確認や案内をして貰っている。
店舗の残りの半分も、天井近くまで聳える戸棚を目一杯に使い、専門書や写真集がぎっしりと詰まっていた。

 取り敢えず雑誌コーナーに行ってみよう、と向かっていたエルオーネの足がふと止まる。
その目が見つけたのは、可愛らしいマスコットキャラクターを表紙にした、編みぐるみの本だった。
その他にも、フェルトを使ったもの、端切れを使ったアレンジなど、手芸用の本がずらりと並んでいる。


(わ、懐かしい)


 編みぐるみの本を手に取って開くと、微かに見覚えのある指南工程が絵付きで描かれている。
初めて見た時にはよく判らなかった工程も、今見るとなんとなくではあるが、理解できるような気がした。


(ああ、耳の付け方。難しかったなあ。私もレオンもよく判らなくて、ママ先生にお願いしたっけ)


 エルオーネの脳裏に、遠い日の思い出が蘇る。
まだ弟が幼かった日、エルオーネはレオンと一緒に、スコールの誕生日に向けて手作りのぬいぐるみやストラップキーホルダーを作っていた。
子供の手だけでは難しい所は、育ての母であったイデア・クレイマーを頼りつつ、出来る所は兄妹で協力して、スコールが好きだったライオンのぬいぐるみを作り上げて贈った。
きちんとスコール専用にと名前の入ったぬいぐるみやストラップを、幼い彼はとても喜んで受け取ってくれた。
それから毎日、スコールはぬいぐるみを抱えて歩き、お出かけの時には小さなストラップをつけた鞄を使っていた。

 あのぬいぐるみとストラップは、いつの間にか兄姉の目には触れなくなったけれど、捨てている所も見た事がないので、何処かに仕舞ってあるのではないかと思っている。
ひょっとしたらスコールは既にその存在を忘れているかも知れないが、幼い頃に目一杯大事にして貰えたから、エルオーネは十分満足していた。

 ぱらぱらと手芸の本を立ち読みしているエルオーネの視界に、影が落ちる。
顔を上げると、横からジェクトが本を覗き込んでいた。


「えらく可愛いもんを見てるな」
「ちょっと懐かしくなっちゃって。子供の頃に何度か作ったなあって」
「へえ」
「スコールの誕生日に、こう言うのを作ってプレゼントした事があるんです。あの頃は何かを買ったりする余裕って余りなかったから、プレゼントは大抵、私とレオンの手作りで。その方がスコールが喜ぶものを作ってあげられたし」


 金銭的な余裕は然る事ながら、手作りならスコールが絶対に喜んでくれるものを作る事が出来る、と言うのがレオンとエルオーネにとって魅力的だった。
手作りであればそれは二つとない唯一の物で、誰かと重なる事も先ずない。
これは孤児院と言う環境で育ち、多くの物を他の子供達と共有するのが必然であったからこそ、“自分だけの物”と言う特別性が強く感じられたからだ。
それに、スコールが好きなライオンをモチーフにした商品と言うのは、一般には滅多に見られない。
玩具売り場やぬいぐるみ売り場で、ライオンを探しては見付からない事にしょんぼりと肩を落とす弟を見ていたから、レオンとエルオーネはなんとしても彼を喜ばせようと、ライオンのぬいぐるみ作りに精を出していた。


「猫の編みぐるみ。こう言うのをちょっとアレンジして、耳の形を変えたり、鬣をつけたりしてたんです」
「へえ。お前さんもレオンも、よくやるな。俺は何がどうなるんだか、全然判んねえ」
「私もレオンもそうでしたよ。ママ先生に聞いて教えて貰って、やっと判るようになったんです」
「ママ先生───ああ、イデアさんか」
「はい。ママ先生、私達の服を手作りしてくれたりして、裁縫や編み物も上手だったから」


 孤児院で個人の持ち物と言うのは少なかったが、誰もが一つは自分だけの特別なものを持っていた。
それは孤児院に来て初めての誕生日を迎える子供に、イデアが手ずから編んだ帽子であったり、靴下であったりした。
子供の成長は早いからと、イデアは必ず大きめのサイズでそれを作り、他の人の物と間違えないようにと名前を入れてくれる。
それは2年もすれば使えなくなる事が多かったが、子供達にとっては特別な思い入れが強く、もう使わないからと捨てられないと言う子供は少なくなかった。

 それを聞いたジェクトは、ふぅん、と零した後、


「……あいつも何か貰ったりしてたのかね」
「ティーダですか?手袋、貰ってましたよ。嬉しくてしょうがなかったみたいで、まだ時期でもない頃から着けてました」


 いつかの無邪気なもう一人の弟の姿を思い出してエルオーネが言えば、ジェクトは面映ゆい顔で「……そうかい」と言った。
その時のティーダの姿を見れなかった事に、少しの寂しさを瞳に滲ませながら、けれど息子が喜んでいたのなら良い事だと暖かさも宿した表情を浮かべるジェクト。
それをティーダの前で見せてやれないのが不思議だと、エルオーネはこっそりと首を傾げていた。

 ぱらぱらと捲っていた本のページがなくなり、エルオーネは閉じて棚へと戻した。
編みぐるみの本は懐かしくはあったが、流石に今のスコールに編みぐるみをプレゼントしようとは思わない。
ぬいぐるみなんて抱いて寝る歳ではないし、スコールはストラップの類も滅多に持たなかった。
仮に贈るとしても、もっと違うモチーフを使った方が良いだろう。

 取り敢えず月間武器がある辺りでも探してみよう、と気を取り直したエルオーネであったが、


「手袋、手袋か。良いんじゃねえか、それ」
「え?」


 ジェクトが何かを思いついた顔で、視線を上げる。
考えるように髭のある顎に手を当てながら続けた。


「スコールの誕生日だよ。手作りの手袋。今は夏だが、半年すりゃあ冬になるし、こっち程じゃなくても、バラムもそれなりに寒くなるだろ?」
「ええ、まあ……」
「あいつ、寒いの嫌いだしな。手袋でもマフラーでも、腹巻きでも。……こう言うのって時間かかるのか?」
「えーと……」


 ジェクトの言葉を受けて、エルオーネは本棚を見回し、編み物の本を取った。
初心者向けの簡単な講座を写真付きで載せたその本には、凡その作業時間が描かれている。


「大きさにもよるけど、手袋で一週間から二週間、マフラーで一ヵ月、かな。初めての人だと、それよりもっとかかると思うけど」


 マフラーなんてものは、長くしようとすればする程、時間がかかるものだ。
手袋もマフラーよりも形が複雑になるし、失敗して直そうとすれば尚更。
エルオーネは幼い頃に編みぐるみを作っているので、全くの初心者と言う訳ではないが、長らく触れていない事なので、気持ちは同じ事である。


「スコールの誕生日が23日だから、明日から始めたとして……」


 エルオーネは今日の日付から、作業に費やせる日数を数えて行く。
スコールの誕生日と帰省のタイミングが合わなければ、トラビアガーデンから当日に間に合うように発送する必要があるので、締め切りは尚縮まる。
計算上ではギリギリ出来上がる物もある、と言う位だった。


「ううーん……」
「キツいか?まあ手袋なら手作りじゃなくても、何処かに売ってるとは思うけどな。今は夏だから扱ってる店は少ないが、専門店も探せばある筈だぜ」
「んん……ううん、作ります。折角のスコールの誕生日だもの」


 悩み考えていたエルオーネだったが、自分でそう決めて口に出すと、気持ちは直ぐに固まった。
ザナルカンドで作られたものなら、きっと既製品も質が良いに違いない。
だがエルオーネは、この世でたった一つのものを弟に贈りたい、と思ったのだ。

 そうと決まれば、とエルオーネは編み物の本の内容を確認し、自分のレベルに合いそうなものを選んで購入した。
その後は直ぐに手芸品売り場に向かい、店員に確認して貰いながら、必要なものを揃えて行く。
使う糸の色に悩んだが、深みのある黒にした。
飾り気の少ないシンプルな物の方が、他の服との組み合わせも選び易いだろう。

 必要なものを買い終わって店を出る頃には、午後5時前。
今からバスターミナルへ向かえば、帰りに乗る予定と見ていたバスにも間に合うだろう。
ガーデンへ向かうバス停には、エルオーネと同じようにザナルカンドに買い物に来ていたのだろう、若者達が帰宅の途に着いていた。
その輪から少し外れた場所まで、ジェクトはエルオーネを送ってくれた。


「今日はありがとうございました、ジェクトさん。丸一日付き合って貰っちゃって」
「良いって事よ。俺も色々面白いものが見れたしな。後はバスだけっつっても、気を付けるんだぞ」
「はい。ジェクトさんもお気をつけて。ご飯、あんまり偏ったものばかり食べちゃ駄目ですよ。今朝一杯作り置きしておきましたから、ちゃんとバランス良く食べて下さいね」
「判ってる判ってる。気ィ付けとくよ」


 ひらひらと手を振って返事をするジェクトに、エルオーネも手を振って離れる。
丁度良くバスが到着し、乗り込んで行く人の流れに合わせて、エルオーネもバスへと上がった。
窓際の座席に座って外を見ると、ジェクトが此方に向かって手を振っている。
振り返すとくしゃくしゃとした子供のような笑顔で笑うジェクトに、エルオーネも笑みが零れた。

 自分も帰るべく踵を返したジェクトに、遠目に見ていた若者達が駆け寄って声をかけている。
ブリッツボールのファンだろうか。
きっと今日の道中も、ああしてジェクトに話しかけるタイミングを探していたファンはあちこちにいたのだろう。
そんな人気者を独り占めしていた事に、ちょっとした優越感と申し訳なさを感じるエルオーネを乗せて、バスは発進した。


(取り敢えず、今日は本をちゃんと読んで、手順を確認して。明日から作り始めたいな。上手に出来たら良いんだけど)


 子供の頃に作った編みぐるみは、今思えば、どれも歪さが目立っていた。
けれどレオンと二人で幼い子供が作ったものと思えば味であったし、出来の良し悪しよりも、弟が喜んでくれる事が一番だった。
今もその頃と気持ちは変わらない。
ほんの少しでも良い、スコールが喜んでくれる事を願って、エルオーネは道具の入った鞄を抱き締めた。




 幼馴染と姉からのプレゼントを両手に抱えて、スコールは部屋に入った。
腹には兄が仕事帰りに買ってきてくれたケーキが入っている。
柔らかくて暖かい、今日はそんな誕生日だった。

 手作りの銀細工の獅子を、何処に置こうかと考えて、取り敢えず勉強に使っているデスクに置く。
カードケースの横に並べておけば、此処で勉強をしている時、視界に入る事も多いだろう。
細かい所も多いようで、何かの拍子に壊してしまったらと思うと不安なので、仕舞っておきたい気持ちもあったが、置物は飾り見る為にあるものだ。
当分の間は、此処に置いて眺める事にしよう。

 それから、姉からの誕生日プレゼントの箱を見た。
真っ白で何も印字のない箱は、恐らく姉が包装用にと何処かで買ったのだろう。
この箱が入っていた包装紙はゴミ箱行きにしてしまったが、きっとそれも彼女が自分で選び、ラッピングしてくれたのだ。
わざわざ其処までしなくたって、と思うスコールの顔は、ほんのりと赤い。

 箱の蓋を開けると、黒の手袋が入っていた。
夏の時期に手編みの手袋なんて季節外れだが、バラムも冬になれば寒くなる。
その時に使えば良いと、決して暇ではないだろうに、時間を割いて作ってくれた姉の気持ちがくすぐったい。

 右手に手袋を嵌めてみると、スコールの手の大きさに対して少し余裕があるサイズだった。
しかし手首や指先が余ると言う程の事はなく、洗って縮めば丁度良くなりそうだ。
じっと近くで見詰めてみると、所々に編みの目が詰まっている所がある。
それが既製品には先ず見られないであろう、姉が奮闘した証のようで、スコールの頬が緩む。


(……手作りの誕生日プレゼントなんて、久しぶりだった気がするな)


 子供の頃は、よく手作りのプレゼントを貰っていた。
孤児院にいた時も、兄弟三人で暮らすようになってからも、金銭的に余り余裕がなかったのは理解しているつもりだ。
それでも何とか弟を喜ばせてやりたいと、レオンとエルオーネは頭を捻り、頑張ったのだろう。
それを享受しているばかりの自分は、本当に昔から大事にされていたのだと思う。

 手袋を外し、箱に戻して蓋をする。
これは今年の冬になるまで、きちんと保管して置こう。
クローゼットの上にある棚起きに乗せて、他の冬物の小物と一まとめにしておけば、忘れる事もない。


(そうだ。エルにメールした方が良いか)


 トラビアガーデンからバラムまで荷物を送ると、どうしても日数がかかってしまう。
海の状態によっては輸送が遅れる事も儘ある為、日付指定の荷物でも、稀に到着が遅れてしまう事もあった。
先ずはちゃんとプレゼントが届いた事を知らせなければ。

 携帯電話もメール機能を開いて、スコールは文章を打ち込んだ。
それから二行目の文章を打とうとして、指が止まる。


(……どう返事をしたら良いんだ?ありがとう?それは、そうだよな。それから、後は……?)


 伝えるべきは、祝ってくれた姉の気持ちに感謝する言葉。
と言う理屈は判るのだが、ではそれを何と文章に表せば良いのか。
ティーダとレオンに、面と向かってすらりと出て来ない言葉が、顔の見えない相手に簡単に出て来る筈もなく、スコールはうんうんと唸る。

 悩みに悩んだスコールがメールを送った時には、一時間が経っていた。
文章はごくごくシンプルで、家族以外が見れば素っ気なくも見えるだろう。
だが、スコールにはそれで精一杯であり、目一杯の感謝を込めて書いたのだ。
姉はそんな弟の事をよく知っている。
程なく帰ってきた返事に、プレゼントが無事に届いたことと、改めて誕生日を祝う言葉が綴られて、スコールは益々顔を赤くするのだった。




お姉ちゃんから、世界でたった一つのプレゼント。
今は別々に過ごしているけど、弟を大事にしている気持ちはずっとずっと変わらない。

以前書いたエルオーネからのプレゼントの経緯を書いてみたかったのです。