たった一つの特別を
レオン誕生日記念(2020)


 夕方、いつものようにレオンはアルバイト先のカフェバーへと出勤した。
一日を終えたサラリーマンや、これから仕事に出る夜勤の者など、夕飯時のカフェバーは人入りのピークである。
メニューの注文を受けたその足で、空いたテーブルの片付けをし、マスターが作った料理を配膳したら、また次の注文を取りに行く。
その繰り返しで、レオンは終始、ホールと調理場を行ったり来たりしていた。

 午後8時を過ぎると少し客足も緩やかになり、ピーク時に溜め込んでいた洗い物をする余裕が出て来る。
だが、マスターはこれからの夜営業の為のチェックをしなければならないので、ホール仕事はやはりレオンが要である。
呼び鈴の音をしっかり聞いて、レオンは都度洗い物の手を止めて、客の元へと向かった。

 そして午後10時────夕飯目当ての客も一通り終わって、店内照明をバー仕様にと変える頃に、レオンの仕事は終わる。
今日もよく働いたと、奥の事務所に入って、制服であるエプロンを外していると、マスターから声をかけられた。


「レオン。これを君に」
「はい?」


 なんですか、と振り返ったレオンに、人好きの顔をしたマスターが、その面に柔らかな皺を浮かべて、右手に握ったものを差し出した。
レオンが首を傾げつつ受け取ってみると、シンプル且つ上品な黒のアクセサリーボックスだった。
これは───とレオンが益々首を傾げていれば、


「開けてご覧」


 そう促されて、レオンはそっと箱を開けて見る。
中に入っていたのは、シルバーカラーのネクタイピンだった。


「…あの、これは」
「今日は君の誕生日だろう。だから、プレゼントにと思ってね」


 どうしてと問うレオンに、マスターはにこやかな笑みと共に答えた。
その言葉を聞いてから、そう言えばそうだった、と壁にかけられたカレンダーを見て思い出す。

 自分の誕生日の事なんて、レオンはすっかり忘れていた。
妹弟の誕生日なら毎年欠かさず祝うのに、自分の事はさっぱりなレオンに、マスターは眉尻を下げるしかない。


「今日は仕事を入れてしまってすまなかったね」
「いえ、気にしないで下さい。自分でも完全に忘れてましたし」
「君は毎年そうだねぇ」


 笑うマスターに、レオンも苦笑する。
毎年この日は、家族が祝ってくれるから思い出すけれど、そうでなければきっと普段通りに過ぎて行ったに違いない。
そう確信が持てる位に、レオンは自分の誕生日と言うものに無関心なのだ。

 今年はマスターの言葉で、その誕生日を思い出した。
レオンは切っ掛けとなった手元のネクタイピンを見る。
わざわざアクセサリーボックスに収められていると言う事は、このネクタイピンは決して安価なものではない筈だ。
そう思うと、こんなに良い物を貰うなんて、と思ってしまう。


「あの、これ。ええと……」


 感謝を伝えるべきなのか、勿体ないですと言うべきなのか。
言葉に迷うレオンに、マスターはくすりと口元を緩め、


「返すなんて言わないでおくれよ。それは君の為に選んだものだから」
「あ、ああ、はい。あ、有難う御座います。でも、その───こんなに良い物を貰っても良いのかと思ってしまって。俺はまだ学生だし、こういうものを身に着ける機会もないし」
「でも、君も今日で17になっただろう。バラムガーデンなら、そろそろ卒業試験を視野にいれた勉強を始める子もいるし、普通の学校でも、就職の道を考えたって良い頃だ。それに、今は必要のないものでも、いつかは使う機会が来るかも知れない。こう言う物も持っていて損にはならないと思うんだ」


 マスターの言葉に、そんなに気が早い事を、とレオンは言わなかった。
頭の隅にそんな気持ちはあるが、しかし確かに月日は過ぎて行き、クラスメイトの中には、大学部に進むか、卒業して新たな道を目指すかと言う話をしている者もいる。
レオンも、未だぼんやりとではあるが、家族との生活を守る為に、今後より良い道を選ぶにはどうするべきか、と言う事を意識し始めていた。
それを思えば、マスターの言う通り、ネクタイピンを身につけるような日が来るのも、そう遠くはないのだろう。

 贈られたネクタイピンは、爽やかな銀色にあしらわれている。
光の反射は柔らかなもので、煩い印象はなく、シンプルな雰囲気を醸し出していた。
場面を問わずに利用できそうな風合いに、レオンの好みもしっかりと反映されたチョイス。
一体幾らのものなのか、まだネクタイピンと言うものをよく知らないレオンには想像もつかないが、そんなものを選んでくれたマスターの気持ちを無碍にしてはいけない。
レオンは一つ深呼吸して、改めてマスターの顔を見た。


「有難う御座います。大事にします」
「ああ。そうしてくれると、嬉しいよ。───それから、これはクレイマー夫人からだ」
「イデア先生から?」


 にこやかな笑みを浮かべた後で、マスターはもう一つ何かを取り出した。
可愛らしいラッピング袋に包まれたそれを受け取ると、覚えのある感触に、レオンは直ぐにその中身を把握する。


「クッキーだ」
「ああ。さっき、シドが店に来てね、君がまだいるのなら渡して欲しいと頼まれた。顔を見て渡さないのか聞いたんだが、これから電車に乗らなくちゃいけないとかで、走って行ってしまったよ。明日にでも顔を見て話すと良い。シドはどうか判らないが、ガーデンには夫人もいるんだろう?」
「はい、そうします。シド先生には、後でメールも」


 レオンの言葉に、それが良い、とマスターは頷いた。

 育ての親でもあるイデアが作ったクッキーは、妹弟は勿論、レオンも大好きだった。
皆で分けて食べよう、とクッキーの入った袋を鞄の中に入れて、壊れないように気を付けながら鞄を肩にかける。
お疲れ様でした、と退勤の挨拶をして、レオンはカフェバーを後にした。

 夜の10時となると、バラムの街には殆ど人の影がない。
駅前なら終電が出るまでは人の出入りがあるが、それ以外は殆どの店が閉まっている事もあって、静かなものであった。
並ぶ家々の灯りも、歯分ほどは暗くなっている。
点々と立つ街灯のお陰で、歩く道は明るいものだが、なんとなく潮風が冷たく感じられる。
少し肌寒さを訴える二の腕を摩りながら、レオンはいつも通りの帰路を進んだ。

 カフェバーから徒歩で10分程度で、家の灯りが見えて来る。
リビングとキッチンの灯りがまだついているのは、エルオーネがレオンの夕飯の為に起きて待ってくれているからだ。
弟達はと言うと、スコールは早寝と言う程ではないが途中で眠くなってしまうし、ティーダは昼間に目いっぱい遊ぶので夜まで体力が持たないようで、そこそこの時間には布団に入るようにエルオーネが促しているだろう。
寝る前に彼等の顔だけでも見たいかな、クッキーは明日食べよう、と思いつつ、レオンは玄関の扉に手をかけた。


「ただいま────」
「お帰りなさーい!」
「お兄ちゃん、お誕生日!」
「おめでとうー!」


 いつものように帰宅の挨拶をしたレオンの声は、被さる元気な声に掻き消された。
同時にパン、パン、パン、と重なる破裂音。
打ち放たれた銀紙とテープが飛んで、レオンの頭上からひらひらと舞い落ちて行く。

 思いも寄らない出来事に、レオンは目を丸くした。
ぽかんと口を開いて立ち尽くす兄を、妹と二人の弟は満面の笑みで迎える。
銀紙が引っ掛かった濃茶色の髪を見て、エルオーネがくすくすと笑いながら、


「お疲れ様、レオン。すぐご飯食べる?お風呂先にする?」
「あ、ああ。夕飯にする」
「お兄ちゃん」
「レオンー」
「スコール、ティーダ、起きてたのか」
「うん、今日はお祝いだもん」


 抱き着いてじゃれてくる弟達を受け止めながら、意外な気持ちで言うレオンに、スコールは嬉しそうにくっついて言った。

 髪の毛に引っ掛かったクラッカーの名残を払いながら、お祝い?と首を傾げるレオンに、スコールとティーダがにぃーっと歯を見せて笑う。


「お兄ちゃんの誕生日だもん!」
「お祝いしなきゃ!」


 これは絶対に忘れちゃいけない、と口を揃える二人の弟に、レオンは思わず目頭が熱くなる。
そんなレオンに気付いて、エルオーネはしょうがないなと言わんばかりの表情で、


「今年も忘れてたんでしょ」


 と、いつも自分の事をそっちの気にし勝ちな兄に、呆れ半分で叱るポーズを取ってみる。
レオンは弟達の頭を撫でながら、いや、と首を横には振ったものの、


「帰る前にマスターから誕生日祝いを貰ったんだ。それで思い出してはいた」
「でもお祝いして貰えると思ってなかったんだ」
「まあ、な。スコール達ももう寝ているだろうと思ってたし。お前も忙しいだろう?」
「忙しくない事もないけど。家族の大事な誕生日を忘れたりはしないよ。ね?」
「ねー!」


 姉に声をかけられて、スコールとティーダがまた声を揃える。
レオンは、胸の奥がむず痒くて暖かくなるのを感じていた。

 食事の用意をするから休んでいて、と言うエルオーネに、レオンは頷いた。
スコールとティーダがレオンの手から荷物と上着を取り、部屋に持っていておくねと二階へ駆けていく。
二階から戻ってきた二人は、そのまま姉がいるキッチンへと入って、兄の食事の用意を手伝った。
その傍ら、エルオーネはココアを入れており、食卓に兄の夕飯を並べた弟達へとそれを渡す。


「レオンのご飯が終わったら、ケーキ食べようね」
「うん!」
「ケーキ!ケーキ!」


 弟達へのご褒美とは別に、自分用に淹れたミルクティーを手に、エルオーネも食卓の席へ座る。

 夕飯は香ばしい焼き色のついたチキンソテーと、綺麗な赤色のミニトマトを添えたサラダ、そして野菜の旨味が染み込んだコンソメスープ。
エルオーネが、兄の誕生日を意識して、好きな物を詰め込んでくれたのが判るメニューだ。
きちんと後でケーキを食べる分も計算しているのだろう、チキンはそれ程大きくはなく、腹八分で納まる量だった。

 食事がそろそろ終わると言う頃に、エルオーネが「二人ともそろそろ持っておいで」と言った。
スコールとティーダが二階に上がって、とたとたと弾んだ足音を立てながら戻ってくる。
その手には可愛らしいラッピング袋が握られていた。
ついでエルオーネもキッチンに入り、戻ってくると此方もラッピング袋を持っている。
それを見ただけで、レオンは鼻先がくすぐったくなるのを感じた。

 空になった食器をテーブルの端に退けると、事前に準備を決めていたのだろう、少し緊張した面持ちでティーダがレオンの前に袋を差し出す。


「レオン、誕生日おめでと!これ、プレゼント!」
「ああ、ありがとう。開けても良いか?」


 赤色のリボンが結ばれた袋を受け取るレオン。
開封の確認を求めると、ティーダは早く早くと言わんばかりに何度も首を縦に振った。
期待と少しの緊張とが混じるマリンブルーに、彼に祝われるのは初めてだと、ティーダを預かってから今日が初めての自分の誕生日なのだと言う事を思い出した。
まだ一緒に暮らし始めてから一年と経っていないが、プレゼントを用意してくれる位に、彼がこの生活を───自分の事を好いてくれている事を嬉しく思う。

 妹弟達が持ってきた袋は、どれもそれ程大きなものではない。
ティーダの袋を開けて中身を覗いてみると、円筒の形をしたものが入っていた。
キラキラとした箔のついた装丁で飾られたそれを取り出すと、天辺に小さな穴が開いている。
いつであったか、孤児院にいた頃に見た覚えのあるその形状に、ああこれは、とレオンが気付くとほぼ同時にティーダが言った。


「それね、万華鏡なんだ。オレが作った万華鏡!」
「ティーダが作った?」
「そう!ね、ね、見て見て」


 急かすように強請られて、レオンは小さく笑みを浮かべて、穴の中を覗き込む。
其処はきらきらと輝く色彩豊かな幾何学模様に満たされていた。
くるくると胴体を回してみると、封入された石───細かいものはビーズだろうか───がしゃらしゃらと音を立てて傾き、模様が不規則に形を変えて踊る。
青や碧と言った、バラムの海を思わせる色波の中に、時折光る赤や黄、白と言ったアクセントが際立ち、海で泳ぐ宝石のように輝いて見えた。

 レオンは一度顔を上げた。
目の中に海の光が残っているような気がして、ぱちぱちと瞬きをする。
目の感覚が戻った所で、もう一度万華鏡を覗き込めば、先とはまた違う形の模様世界が広がっていた。


「───凄いな、ティーダ」


 手作りしたと言うティーダに、感嘆の気持ちを込めて言うと、ティーダは照れ臭そうに頭を掻く。
えへへ、と笑う少年の姿に、レオンも頬が緩んだ。


「えっと、じゃ、次。僕ね」
「スコールは何をくれるんだ?」
「んふふ。はい、これ!」


 レオンは万華鏡を立てて置き、次にスコールが差し出した袋を受け取った。
ティーダが渡してくれたものに比べると、大きさは然程違いはなかったが、此方は少し重みがある。
とは言え片手で軽く持てる程度の重量だ。
袋の上から触った感触では、正方形の箱が入っているようだったが、本命はこれの中にあるのだろう。

 袋を開けて中のものを取り出すと、思った通り、それは包装用の箱だった。
箱自体には絵も何もないので、中身を知る事は出来ない。
テープ止めしてあった口を剥がして開けると、形に沿えて切り抜かれた梱包材に固定された、マグカップが入っていた。
梱包から丁寧に外して、マグカップを取り出してみると、


「これは───スコールが描いたのか?」


 『Leon Happy Birthday!』の文字と、共に添えられた人の顔。
それが何年も見てきた、弟の絵だと言うことに、レオンは直ぐに気が付いた。
スコールも兄が気付いてくれた事が嬉しかったようで、ぽこぽこと頬を興奮に赤くしながら頷く。


「うん!お兄ちゃんにね、作ってあげたかったの。お兄ちゃんだけのマグカップだよ」


 その言葉は、レオンとエルオーネがスコールの為に、たった一つのマグカップを贈った時に言ったもの。
孤児院にいた頃は勿論、バラムの街で兄妹弟で生活するようになってからも、大抵のものは皆で共有で使っている。
そんな生活の中で、“自分だけのもの”を貰えるのは、それそのものが特別に感じられて、嬉しいものだったのだ。

 その喜びを、今度は兄に。
嘗ての嬉しい気持ちをお返しにしたプレゼントを、レオンは両手で柔らかく包み込んだ。


「ありがとう、スコール。ティーダも、な」
「……えへ」
「へへへー」


 赤くなった頬に両手を当てて、嬉しそうに恥ずかしそうに笑うスコールと、喜んで貰えた事でにこにこと笑みが止まらないティーダ。

 レオンは手に持ったマグカップをしげしげと眺めてみた。
茶色の頭と、青色の眼をした人の貌。
まず間違いなく、これが自分の顔なのだろう。
その隣には黒髪、もう一つ茶色の髪、それから黄色の髪を持った人の顔が、にこにこと笑って並んでいる。
背景に空と緑と花も添えて、可愛らしくて癒される絵だ。
これは大切に使わないといけないな、とティーダと赤らんだ顔をからかい合う弟を見ながら、レオンは口元を緩めていた。

 そして最後にプレゼントを差し出したのは、エルオーネだ。
青色のリボンで封のされたそれを、レオンは「有難う」と言って受け取り、


「開けても良いか?」
「どうぞ」


 一応と確認を取れば、エルオーネは快く頷いた。

 エルオーネが渡してくれた袋、三人の中では一番小さく、軽いものだった。
封を解いて中身を取り出すと、シンプルなデニム生地のペンケースと、透明なプラスチックケースに入れられたビーズの髪留めと言う二つ。


「ほら、レオン、今使ってる筆箱って、結構長いでしょ」
「ああ、そうだな」
「まだ全然使えるとは思うんだけど、そろそろ新しい物にしても良いんじゃないかなって。ガーデンに持って行くのと、家に置いておくのと、二つあっても別に構わないと思うし」


 確かにエルオーネの言う通り、レオンのペンケースは使い慣らされた古いものだ。
ガーデン入学に際して、勉強をするのですからね、と学生らしく励めるようにと贈られたペンケース。
大事に使っているそれは、確かにまだまだ使える状態ではあるが、それ一つしか持っていてはいけない訳でもない。
家に帰って課題をし、明日の授業にと鞄の中身を整える度、毎回ペンケースを出し入れすると、時折入れ忘れてしまう事故も起こる。

 実用性に重きをおいたプレゼントに、堅実なエルオーネらしいとレオンの笑みが零れる。
と、その目がもう一つ、小さなビニール袋に封入された、髪留めへと向かった。


「これは、エルが作ったのか?」


 尋ねるレオンに、エルオーネは頬をほんのりと赤く染め、うん、と小さく頷いた。

 緑を基調にしたビーズを使い、グラデーションで配置した、ビーズの髪留め。
少し端を引っ張ってみると、太めの黄緑色のゴムが覗いた。

 レオンが袋から出した髪留めを眺めていると、ティーダがぷくっと頬を膨らませて言った。


「エル姉、ずるいんだよ。一人だけプレゼント二つ用意して」
「じ、時間が余っちゃったからね。ビーズも一杯あったし」


 拗ねた顔をするティーダに、エルオーネは眉尻を下げて笑いながら言う。
それをレオンがじっと見詰めていると、エルオーネは赤らんだ頬を掻きながら、


「スコールもティーダも手作りなんだもの。私だけ買ったものって言うのも、なんか、寂しいって言うか……」
「それでこれを作ってくれたのか」
「ティーダの万華鏡の為に、ビーズも買ったし。それに一緒にゴムも入ってたの。折角だしって、まあ、そんな感じで、うん」
「ああ。ありがとう、嬉しいよ。勿論、こっちもな」


 髪留めだけでなく、ペンケースも指して、レオンは言った。
それじゃあ良かったと、エルオーネがくすぐったそうに笑う。

 レオンはいつものように無造作にしていた髪に手をやった。
少しアップにした位置で髪をまとめ、ビーズのゴム紐を通して括る。
これで良いかな、とエルオーネ達に見えるように、体を傾けて括った髪を見せた。


「どうだ?」
「きらきらしてる」
「きれい〜」
「うん、似合ってる。良かった」


 濃茶色の髪とは対照的に、明るく柔らかな色合いの翠色の髪留め。
遠目にすぐ判るような目立つアクセントではないが、さり気無く寄り添う小さな輝きが、エルオーネの目にはとても眩しく見えた。
折角だから今日は風呂に入るまで、とレオンは髪留めをそのままにして置く事にした。

 プレゼントを渡し終えて、次は弟達のお待ちかねのケーキの時間だ。
その準備の前にとエルオーネが空になった食器をキッチンに持って行くと、スコールとティーダが後を追う。
キッチンからは「お願いね」と言う声が聞こえて、水音と食器を洗う音が聞こえてきた。
弟達が片付けをしている間に、エルオーネがケーキの準備をするのだろう。
今日の主役のレオンは、一人食卓に残って、妹弟から贈られたプレゼントをのんびりと眺めるのだった。




レオン誕生日おめでとう!と言う事で、一度はこのシリーズで書きたかったレオンの誕生日祝いです。

妹弟から貰ったプレゼントは、ずっと大事に保管しています。
残念ながらジェクトは不在ですが、話を聞いてはいるので、後日プレゼントが届けられるんだと思います。
ネクタイピンは、結果としてレオンはそう言うものを身に着ける機会の少ない職に就く訳ですが、必要な時には身に着けれるように、此方も大事に持ち続けています。

設定的にはあまり明確に決めていない(スコールと同日だと完全に弟の事を優先するのと、準備をするエルが大変そうで)のですが、夏休みとは被らずガーデンが平常授業をしている頃かな……とぼんやり。