満ち満ちるまで
スコール誕生日記念(2020)


 いつもながら忙しい奴だなあ、と何処かと連絡を取り合っているスコールを見て、ラグナは思う。

 単純に忙しいと言うだけなら、一国の長であるラグナも同じ───執務の種類と量で言うなら、ラグナの方が多いかも知れない───であるのだが、スコールはまた別の忙しさがある。
エスタはラグナが大統領になって以来、そもそもそう言った勉強の類をする機会のなかったラグナに代わり、数多くの執政官が配置された。
お陰でラグナ自身が出張らなければならない場面と言うのは軽減されており、“エスタ大統領”としての看板を見せる必要がないのであれば、代役が配置される事も少なくない。
それは“エスタ大統領”を不穏な手から守る為の手段でもあるから、そう言った配役が回せる者は、それなりに揃えられていた。
替えが難しいのは、ラグナ自身の顔が求められる場面と、“エスタ大統領”としての認可が必要な書類が回ってきた時だ。
口では「適当にやってるよ」と言うラグナだが、まさか本当に適当な気分で政務に当たっている訳でもない。
だからこう行った類は、きちんと大統領として向き合わなければならないと考えており、結果その為にラグナの“エスタ大統領”としての仕事は多くなるのである。

 ではスコールはどうかと言うと、そもそもが彼と言う人物に替えが利かない。
それはバラムガーデン擁するSeeDの指揮官としてでもあり、“魔女戦争の英雄”としてでもあり、優秀なSeeDの実力としてでもある。
指揮官としての仕事は、バラムガーデンの雑事諸々に関する書類仕事の他、規模の大きな依頼を引き受ける際の決定権、作戦の立案等も含まれていた。
“魔女戦争の英雄”としては、傭兵と言う、原則的に何処かの深く国に肩入れする事なく、中立的な立ち位置を保持する為に使われており、各国の要人が集まるようなパーティが行われる際、指揮官としての顔を求められる事も含め、抑止的な目的で利用しているようだった。
そして優秀なSeeDとしては言わずもがな、様々な依頼に対する現場指揮を求められる者として、スコールは沢山の者に支持されている。
“人材”であり“人財”であるスコールは、常に他者からその力を求められているのだ。
本人の望む望まないに関わらず。

 そんなスコールは、今現在、“エスタ大統領の護衛”と言う任務でエスタ入りしている。
今も正にその任務の真っ最中で、大統領官邸で政務に励むラグナの傍で、スコールは警護任務に終始していた。
が、その胸元に入れている携帯端末に連絡が入り、彼は「失礼」と断ってから通信に出た。
その内容は、例え問題がないものであるとしても、部外者が聞くものではないだろうとラグナも判っているつもりだったが、


「……ああ。じゃあ、それをキスティスに伝えてくれ。後の事はこっちでやる。…寄り道?好きにして良いんじゃないか。報告書は遅れるなよ」


 同じ空間にいる訳だから、どうしても会話の端は聞こえている。
流石に通話相手の声は聞こえないが、スコールの声色がそれ程固くはないので、気心の知れた者なのだろう。
恐らく、あの『愛と友情、勇気の大作戦』で共に死地を乗り越えた仲間に違いない。

 通信を切って、端末を胸の内ポケットに戻し、スコールはまた姿勢を正した立ポーズに戻る。
今日は式典や何処かの国の要人が来訪する予定もないので、スコールはラグナも見慣れた黒衣の服に身を包んでいる。
SeeD服ではない分、楽な気分だといつであったか言っていたような気がするが、背筋をまっすぐ伸ばし、腰の後ろに腕を当てて直立不動を維持する様は、じっとしているのが苦手なラグナには到底できない井出達だ。

 と、元の業務に戻ろうとしたスコールから、また携帯端末の着信音が鳴る。
何度もなんだ、と判り易く顔を顰めつつ、スコールが端末を再度取り出し、通信をオンにした。


「なんだ。……は?……ああ…、判った。それはそっちで調整してくれれば良いって伝えておいてくれ。え?……いや、別に。何も。………うるさい、ないものはない」


 端末の向こうから、なんでぇ、と抗議に似た高い声が聞こえた。
あの声は確か、セルフィ・テルミットだったか。
スコールの代わりに護衛任務に派遣されて来る度、ラグナを見ては可愛らしくはしゃいで見せてくれた少女。
ラグナの事をカッコイイと言ってくれる気の良い少女は、なんでもスコールと同期且つ初めての任務で班に組まれた事もあり、また彼女も幼馴染であったと言う間柄もあって、スコールに遠慮なく接する事が出来る数少ない人物だ。
その彼女から、早口の抗議が続くのを、スコールはげんなりとした様子で聞き流し、


「ないと言ったらないんだ。…どうしてもって言うなら、そっちで何か考えてくれ。何でも良い。……いや、待て、それは嫌がらせだろ。判った、判ったから」


 なんでも良いって言うたやん、と言うセルフィの声に、スコールは溜息を吐いて、自分の言葉を撤回した。


「この間、あんたがリノアと食べてた奴。そうだ。一つ貰ったが美味かった。……いや、そんなにいらない。いらないからな。おい」


 判った、と言う弾んだ声の後、端末の通信は切れた。
物言わぬ箱となった手元の小さな機械に、スコールは眉間の皺を三割増しにして、本当に判ってるのか、と呟く。
はあ、と一つ大きな溜息を吐いた後は、諦めた表情で端末を元の場所へと戻した。

 任務のスイッチが入っている時、スコールが表情を崩す事は少ない。
仕事中だからと言う意識が働いている事は勿論だし、任務に一人で従事しているとなれば、その調子を崩す者が傍にいないからだろう。
セルフィは、それを遠慮なく崩して、且つそれをスコールから許されている稀有な人物だ。
焦ったり呆れたり、気心が知れているからこそ覗かせてくれるその顔を、ラグナはまだ自分で引き出す事が出来ない。
その事にはまだ少しの寂しさを感じつつ、それでも顔を覗かせてくれるまでは許された喜びに、ラグナの胸がぽかぽかと温かくなった。

 端末を切ってもう一度仕事用のスイッチが入ったのだろう、スコールはまた直立不動の体勢だ。
ラグナがその顔をじっと見詰めていると、視線に気付いたスコールが此方を見て、


「……何か?」


 用でもあるのか、或いは通信の遣り取りが煩かったか。
確かに賑やかではあったので、頭の固い人間が此処にいたら、要人警護を請け負う者として危機感がないのか、と言う文句くらいは出たかも知れない。
だが、此処にいるのはラグナである。
スコールの気質も、彼の交友関係も知っているから、嫌な気分など在る筈もない。
寧ろスコールの年相応の一面が見れて、ラグナは嬉しい位だった。

 その気分に便乗し、ついで今ならスコールもそれ程機嫌は悪くないだろうと見越して、訊ねてみる。


「さっきの通信、セルフィちゃんか?」
「……ああ」
「賑やかだったな。土産の話か?」
「いや。プレゼントは何が良いって聞かれた」
「プレゼント?」


 何の?とラグナが首を傾げて訊ねると、スコールはまた一つ溜息を吐いて言った。


「俺の誕生日だからって」
「へ?」
「欲しいものはないのかって聞かれたんだ」


 別に何もないけど、と付け足すスコールの言葉は、ラグナの耳には聞こえていない。
ラグナはぱちぱちと瞬きをして、デスクの端に置いている卓上カレンダーを手に取った。
今日は確か、とついさっき書類に記載したばかりの日付を確認すると、8月23日だと思い出す。


「誕生日?お前の?」
「ああ」


 繰り返して尋ねるラグナに、スコールは興味なさげに答えた。

 寝耳に水だと、ラグナは佇む少年に視線を移す。
その視線を、通信の遣り取りの詳細を求めてのものと思ったのか、スコールは続ける。


「誕生日なのに任務を入れて悪かったって、キスティスからの伝言だったんだ。別に気にする必要はない事だけど。何処かに代わりの休みを入れるから、希望があるなら合わせるとか」


 別にいつでも、休めるのなら構わない。
多忙が故にスケジュールが殆ど黒く塗りつぶされているスコールにとって、休みを貰える事そのものが、プレゼントと言えばプレゼントであった。


「…で、セルフィが俺に何か贈りたいとかって。イベントみたいなものが好きだからな、セルフィは」


 呆れた声が混じっているが、その目元は微かに柔らかい。
きらきらと元気の塊のような幼馴染の心遣いは、口では素っ気なく扱いつつも、悪い気にはならないのだろう。

 スコールとしては、特に今欲しいものがある訳ではなかったから、それを正直に伝えた。
するとそれじゃ詰まんないと真っ直ぐな抗議が飛んできて、それなら自分で考えてくれと回答を丸投げした。
が、張り切る程に突飛な発想をしてくれる幼馴染に、急ぎそれを撤回し、どうにか無難なものを頼むに至る。
食べ物なら邪魔にはならないし、独り占めするでも、食べ切れないならシェアするでも、何とでもなる。
頼んだ直後、「お徳用にするね!」と業務用でも頼みそうな勢いだったのが少々不安を誘うが、一応、スコールの誕生日祝いなのだ。
少々多めになる事はありそうだが、無茶な量を持ってくる事はしないだろう。


「……良い友達だな」
「………まあ、な」


 ラグナの言葉に、スコールの言葉はやはり素気がない。
だが、ほんのりと耳が赤くなっているのが、彼の何よりの本音だった。

 ───それにしても、とラグナは思う。
知らなかったとは言え、そんな良い日を仕事に宛てさせてしまって、少し悪い事をしたなあと思う。
スコールの今日と言う日を仕事にさせたのは、期間と人員を指定したラグナである。
ラグナが警護の依頼をしなくとも、スコールなら某かの任務に出ていた可能性はあるが、今現実としてスコールを拘束しているのはラグナなのだ。


(知ってたら、もう少し、なあ)


 知っていたら。
そう思わずにいられない事が、少しラグナの胸には痛い。
自分達の関係を思えば、本来なら知っていて然るべき日の事すら、ラグナは今初めて聞いたのだから。

 ラグナは手に持っていたペンをくるりと回した。
暇を持て余し始めた───仕事に飽きた───時に見せるその癖に、スコールが微かに眉根を寄せる。
だが、その程度なら気を取り直して仕事を再開させる事もあるので、何も言わずに立ち仕事に戻った。




 一日の政務を終えても、デスクの上の書類は中々減らない。
だが、今日明日中に目を通さなければならないものはチェックした。
最後にキロスとウォードに一通りの整頓と確認を手伝って貰って、ラグナの大統領としての一日は終了する。

 職員が回してくれた車に乗り込み、スコールもそれに続く。
ウォードの運転で滑るように走り出した車の中で、ラグナはスコールに声をかける。


「なあ、スコール」
「なんだ」
「晩飯、何か食いたいものってあるか?」


 ラグナの質問が、スコールには唐突なものだったのだろう。
いきなりなんだ、と言う蒼の瞳がラグナへ向けられる。


「ほら。誕生日なんだろ、今日」
「……ああ」


 またその話か、と言う色がスコールの眼に浮かんだ。
本当にお喋りな眼だと思いつつ、ラグナは続ける。


「俺、何も準備してやれそうにないからさ。せめてなんか旨いモンでもどうかと思って。何か欲しいものでもあれば、それでも」
「……別に。なんでも良い」
「うーん、そうかぁ」


 スコールの反応は鈍いものであったが、凡そラグナの想像通りではあった。
彼の年齢を思えば育ち盛りであり、食べ盛りでもある筈だが、スコールは食事にあまり執着を持っていない。
体が資本の傭兵業であるから、必要な栄養を保つ位の事は意識しているようだが、食べる事そのものが喜びとはならないようだった。

 どうしたものかとラグナが首を捻っている間に、車は私宅へと到着した。
車を降りる間際、運転席から此方を見ていたウォードの視線に気付いて、ラグナはへらりと笑ってやる。
まだ何処か親子としてはスムーズには行かない所がある二人の距離感を、旧知の友人は心配しつつも見守ってくれていた。
せめて悪い事にはならないようにするよ、と目で語るラグナに、ウォードは頑張れと言うように頷いた。

 遠ざかる車を見送って、二人は私邸の玄関を開ける。
取り敢えずは遅い夕飯の準備をせねばならない。
スコールはああ言ったが、折角なので少し豪華なものを用意したいとも思う。
そんな気持ちで、先ずはキッチンへと向かおうとしたラグナだったが、


「───スコール?」


 玄関を潜った場所から動かないスコールに気付いて、ラグナは進んだ歩を元の位置へと戻す。
俯いて口を噤んでいるスコールの表情は、長い前髪が目元を隠してしまっている所為で、よく見えない。
ラグナは彼の顔を見たかったが、覗き込まれるのは厭われるだろうと、彼の方から此方を見てくれまいかと声をかけてみる。


「どうした、スコール?」
「……」


 名前を呼ぶと、意外にも直ぐに、スコールは顔を上げた。
その瞬間に見付けた貌に、お、とラグナは目を丸くする。

 スコールは、耳まで赤くなっていた。
蒼の瞳には強い光が宿り、まるで何か重い決断を下したかのよう。
実際、スコールにとっては似たようなものだったのだろう。
彼にとって、これから口にする言葉は、葛藤に葛藤を重ねた末でなければ実行に移せない事だったのだから。

 思いも寄らなかったスコールの表情に、ラグナが少々面喰った顔をしていると、スコールははぁっと詰めていた息を吐いて言った。


「……さっきの話」
「さっき───あ、誕生日の事か?」


 ラグナが確認すると、そうだ、とスコールは頷いた。


「…なんでも良いのか」
「ああ、うん。俺が準備できるものならって事にはなっちまうけど」
「……」
「つっても、今から用意できるものってなると、限られちまうから、ひょっとしたら今日じゃ無理かもだけどさ。お前が何か欲しいなら、頑張っちゃうぜ」


 スコールの方から何かを欲しがってくれるなんて、ラグナにとっては滅多にない事だ。
偶にあってもその内容はビジネスを含んだものである事が多く、ごく個人的な遣り取りをする事も少ない。
二人の間柄が、対外的には雇用関係と言う枠にあるのだから、それは当たり前の事だろう。
その枠から外れた時間になれば、多少なりとも個人としての会話を交えもするが、それでもそもそも物欲がない事、また遠慮やぎこちなさも完全には払えていない事もあり、スコールからラグナに対して個人的な要求が向けられる事はなかった。

 それを思うと、誕生日と言う理由を以て、スコールが何かを求めてくれるのはとても嬉しい事だ。
常日頃、もっとスコールを甘やかしたい、愛したいとも思うラグナにとって、千載一遇のチャンスとも言える。
スコールの事だから、やはり欲しいものと言ったら、シルバーアクセサリーかカードだろうか。
だがスコールはそう言うものは自力で手に入れているようだし、その事に喜びを覚えるタイプでもある。
と言う事は、自分でどうしても手に入れたいと言う程でもないが、あれば良いな、と感じるような類か。
何れにしても、ラグナはなんとしてでもスコールの望みを叶えよう、と心に決めていた。

 だから、ようやくスコールが口にした“望み”は、ラグナにとって少し意外なものだったのだ。


「……ラグナ」
「ん?」
「………」


 名前を呼ばれて、ラグナは返事をした。
立場もあり、柵もあり、元々のコミュニケーションへの苦手意識もあって、スコールは直ぐに口を噤んでしまう癖がある。
それを払拭してやろうと、ラグナは朗らかな笑みを浮かべて、スコールの続きの言葉を待っていた。

 だが、その名を呼ぶ事こそが、スコールの“望み”の形であったのだ。
しかしそうとは判らない様子のラグナに、スコールはまた少し迷うように視線を彷徨わせた後、ふう、と一つ息を吐いて、


「……ラグナ」
「うん」
「……あんたが、欲しい」


 体の横で、両手の拳を緩く握りしめて、スコールは言った。
赤らんだ顔を隠すのを止め、ともすれば逸らしてしまいそうな蒼の瞳を真っ直ぐにラグナに向けて。
それは、相当な覚悟の末に、スコールがその言葉を口にしたと言う証でもある。

 そうまでされれば、鈍いラグナにも判った。
スコールの“望み”が、単純にその言葉の形だけに留まらず、今夜のこれからの時間を指している事も。
数瞬、ぽかんと呆けた後、ふつふつと赤みを増していくスコールの貌を見て、その貌が逃げてしまう前に、ラグナの口元が笑みに緩む。


「お前、なあ」
「……」


 呆れを含んだ声に聞こえたのだろう、ラグナの反応に、スコールは遂に目を逸らす。
ラグナはそんなスコールがこれ以上拗ねてしまう前に、細身の体を抱き寄せて、肩口に鼻先を埋めた。


「欲がないなあ。いや、欲張りなのかな?」
「……」
「結構って言うか、俺はお前に、全部あげてるつもりだったんだけど。まだ欲しいか?」


 問い確かめるラグナの言葉に、スコールの眉間の皺が深くなる。


「……駄目なら、良い」
「ああ、待った待った。そんな事言ってねえって」


 拗ねた口振りを耳元で聞いて、ラグナは待ってくれとスコールの体を抱き締める。
臍を曲げられてしまうとお終いだと、ラグナはスコールのジャケットの隙間から覗く首筋に唇を寄せて、キスをする。
少しかさつく柔らかな感触を覚って、スコールがふるりと肩を震わせるのが判った。


「嬉しいよ。俺がお前の欲しい物の中に入ってるのが」
「……」
「でも、俺はもうお前にあげられるモン持ってないと思ってるからさ。ぜーんぶお前にあげてるから、もう俺はスッカラカンになっちまってるんだけど、それでも良いか?」


 言いながら、まるで試しているようだなとラグナは思う。
自分の気持ちを表現するのが苦手なスコールに、今一度彼の心を確かめようとしている。
ラグナにそんなつもりはなかったのだが、気持ちを言葉にしてみると、そんな風にも見えるだろうなと自嘲した。

 スコールはラグナの腕の中で、じっと佇んでいる。
ラグナの言葉の意味を考えているのかも知れない。
良くも悪くも感受性の強いスコールだから、ラグナが思っている以上の事を、深読みし過ぎて曲解してしまう事もあるだろう。
そうなったら、今度は何と言えば良いかな、と何とかこの少年を、身も心も自分の下へと縛り付けようとする、大人の狡さを自覚する。

 重力に垂れていたスコールの腕が持ち上がって、ラグナのシャツの端を握る。
抱き締め返すにはまだ恥ずかしいのか、控えめなその仕種が、存外と幼い彼の心を晒しているようで、ラグナはひっそりと気に入っていた。
それから、耳朶を擽りながら鼓膜に届く、詰まり勝ちな声も。


「……言っただろ。あんたが欲しいって」
「うん」
「……空っぽのあんたも、全部、欲しいんだ」


 何一つ残さずに、ラグナを構成する全てが欲しい。
そう言ったスコールに、やっぱり欲張りなんだなぁとラグナは小さく微笑んだ。



 赤い顔をしたスコールの手を引いて、ラグナが向かったのは寝室だ。
夕飯の事はまだ頭の隅には残っていたが、それよりスコールの要望に応えなくてはなるまい。
食事はその後───夜半か、ひょっとしたら朝食か───にゆっくり採れば良い。

 ベッドに入る前に、ラグナは手ずからスコールの服を脱がせた。
キスをしながらジャケットを脱がせて、腰のベルトのバックルを外す。
その隙間に狭間に手をやれば、もう彼の其処は主張を始めていた。
布地の上から摩ってやると、敏感なスコールはそれだけで官能を得て、ひくん、と線の細い体を震わせる。
前を緩めてズボンを落とすと、スコールは足元に絡まったそれを脱いで、爪先で蹴った。
下着もシャツも脱がせてしまえば、スコールはすっかり裸身になって、少し恥ずかしそうに、体を隠そうとラグナに身を寄せて来る。
それをキスであやしながらベッドに座らせてから、ラグナも自分の服を脱いだ。

 裸になったラグナがベッドに上がると、スコールは少し緊張した面持ちを浮かべていた。
既に何度となく体を重ねているのに、存外と初心な様子が変わらないスコールに、ラグナはいつも悪い事をしている気分になる。


(まあ、間違っちゃいないんだけどな)


 少し硬い肩のラインを撫でて、猫を懐かせるように、首元を擽りながら、そんな事を考える。

 他人を寄せ付けない雰囲気を振り撒きながら、その実、スコールの内側はとても柔らかい。
仏頂面の下に隠した繊細な心は、大人の狡さを獲得して随分と経ったラグナにとって、絡め取るのはそれ程難しくはなかった。
信頼した相手に対し、スコールは酷く無防備だ。
その信頼を勝ち得るまでが大変だったのだが、それさえ越えてしまえば、スコールはするするとラグナの作った檻の中に入ってきた。
人との触れ合いに碌な耐性を持たないスコールは、ラグナが与える甘い露を順調に吸収して行き、今に至る。
これを、大人が子供に悪い事を教えている訳ではないとは、言えまい。

 ラグナの指に宥められて、スコールは擽ったそうに目を細めている。
もっと、と差し出される喉に、ラグナは唇を寄せた。
喉仏に柔らかく触れると、ピク、とスコールの躰が震える。
ベッドシーツの上に乗っていた手が、布地をそっと握り締めた。


「ん……」
「……あ……っ」


 ちう、と首筋を吸ってやれば、甘い声が零れた。
は、ふ、と上がって行くスコールの呼吸を聞きながら、ラグナはスコールの胸に手を這わす。

 傭兵として教育され、鍛えられているのだから、スコールの体はそれなりに頑強である筈だ。
実際に触れるとよく判るのだが、胸板もちゃんとあるし、腹筋も割れている。
しかし、盛り上がるような筋肉にはどうにも恵まれなかったようで、引き締まった体躯をしていた。
若い時のキロスに似ているかも知れない、とラグナは思うが、スコールはもっと細身だ。
十七歳なのだからまだまだ伸びしろはある筈で、これからしなやかに伸びのある筋肉が更に発達していくのかも知れない。
それでも今は、青さの滲む発展途上の体を愛でる事に、ラグナは喜びを感じている。

 手のひらで摩るように、ゆっくりと胸を撫でていると、ぷくりと膨らんだ感触に当たる。
期待するように育ってしまった其処に指を宛がい、きゅっと摘まんでやると、「あっ…!」と高い声が上がった。
漏れてしまった自分の声が恥ずかしかったのだろう、スコールは手の甲を噛んで声を抑えようとする。


「スコール。声、聴きたいな」
「……っ」


 ラグナが強請ると、スコールは「やだ」とふるふると首を横に振る。
そんなスコールに、ラグナは噛んだ手の甲をそっと退かせた。
一瞬スコールは抵抗するが、ラグナがこつんと額と額を当ててやると、渋々ラグナの誘導に従う。
言う事を聞いてくれたご褒美にと、唇を重ねてやると、そろそろと開いた唇の隙間から舌が覗いて、ラグナのそれと絡み合った。


「ん、ん……ふ……っ」


 スコールの耳の奥で、ちゅぷ、ちゅく、と唾液の絡み合う音が響く。
それは恥ずかしくて堪らないものだったが、ラグナの舌に咥内をゆっくりと弄られ、舌の裏側を擽られる内に、頭の奥がぼんやりとして行く。
ひく、ひく、と戦慄く舌の根を、ラグナの尖った舌先がツンツンと突くのを感じて、スコールは首の後ろにぞくぞくとしたものが奔るのを感じていた。

 胸を撫でる指先は悪戯を増して行き、摘まんだ乳首の先端に爪を当てて、コリコリと引っ掻いている。
ラグナの指で遊ばれる事に慣れてしまった体は、それだけで敏感さを増して行き、じわじわと汗を滲ませていた。


「ふ、は……、あっ、あ……っ」


 ラグナがようやく唇を開放すると、直ぐにスコールは喘ぎ声を上げた。
ラグナはスコールの背中に片腕を回し、胸を仰け反らせるように支えながら、乳首を転がす。


「ん、あ、…っは、ラグ、ナぁ……っ」
「うん」
「あぁ……っ!」


 名を呼ぶ声にラグナが答えると、スコールは甘やかな息を吐いた。
仰け反り、晒すように差し出した乳首に、ラグナが顔を寄せる。
長い黒髪がスコールの白い胸に落ちて、さらさらと流れる感触に、スコールは目を閉じてふるふると躰を戦慄かせた。

 指の刺激で固くなった乳首に、ラグナの舌が這う。
弾力と生暖かい感触に、スコールは眉根を寄せたが、嫌悪感はなかった。
ただ恥ずかしい、とだけ思う。
それも、ちゅう、と吸い付かれ、甘く歯を立てて弄ばれれば、次第に判らなくなってしまうものだ。


「ふ…ん…、あ……っ」
「んん……ちゅ、ん……っ」
「はっ、はぁ……、ああ……っ!」


 スコールの右の乳首を口先で愛でながら、左の乳首を指で摘まむ。
油断していたのか、スコールの躰がビクッと顕著な反応を示して、ラグナはこっそりと笑んだ。
頭を振って、いやいやと子供が駄々を捏ねるような仕草をしながら、体はしっかりとラグナが与える快感を欲している。
その証拠に、すっかり固くなった両の乳首を同時に苛めてやれば、スコールは引き締まった腰を小刻みに震わせて、


「はっ、あっ、あぁあ…っ!やあ、あ……っ!」


 胸からの刺激で与えられる官能が、自身にダイレクトに繋がっているのだろう。
ラグナの腹には、スコールの膨らんだ雄が擦れており、その先端からは蜜が溢れ出していた。

 簡単に上り詰めて行く少年の様子に、ラグナは益々、自分が悪い大人である事を自覚せずにはいられない。
傭兵育成の学校に身を置いているのだから、性的な事もそれなりに経験があるのかと思っていたが、スコールはラグナが全く初めての相手だった。
彼の性格や気質、これまでの経緯を知れば判る話だったが、本当に全く経験がなかったと聞いた時には、驚いたものだ。
同時に、何も知らない真っ新な彼を、自分の色に染められるのだと言う事に、ラグナは言葉に出来ない興奮を感じたのを覚えている。


「スコール」
「は…はぁ…っ…、喋る、な……んっ」
「んん、」
「う、ん……!は、あ……っ!」


 喋るなと言われたので、代わりに乳首を食んでやれば、スコールは眉根を寄せて天井を仰ぐ。
触れた胸の奥で、スコールの心臓が飛び出しそうな程、早い鼓動を打っていた。
それを感じながら、人差し指と中指で乳首を摘まんで、軽く引っ張る。
ビクッ、ビクッ、とスコールの腹筋が跳ねて、ラグナの額にスコールの荒い呼吸が当たった。


「はあ、は、あ……っ」
「ん……こっちも、してやろうな」
「あ、や……っ!」


 胸を摘まんでいた手が離れ、下へと降りる。
しっとりと汗を掻いて勃ち上がった中心部を握られて、スコールは泣き出しそうに顔を歪めた。
ラグナは丸めていた背中を伸ばして、スコールの頬にキスをする。


「大丈夫だって。気持ち良くしてやるだけだから」
「あっ、あっ、あ…っ!」


 言いながら、ラグナはスコールの雄を上下に擦って扱く。
スコールは腰を捩って逃げを打つが、ラグナは握ったものを逃がしはしなかった。


「こらこら。俺が欲しいって言ったろ?」
「ふ、ふぅ……んん……っ」
「ちゃんと全部やるから、な?」


 いつまでも快感に慣れない体が、条件反射のように逃げたがるのを、ラグナはそう言って諫めた。
スコールは涙の滲んだ目でラグナの顔を見詰めた後、そろそろとラグナの首に腕を回した。
ラグナの肩口に口元を埋めて、しっかりとしがみつく少年に、素直だなあとラグナは思う。

 手の中に握った物はもっと正直で、ラグナの少しかさついた手に扱かれている内に、むくむくと成長して行く。
若くて経験の浅い体は、与えられる刺激で直ぐに頭を持ち上げた。
根本に指を宛がい、コリッとした感触のある所を爪先で擦ってやれば、


「やっ、あぁっ…!ラグ、ナ……っ!」


 震える体で精一杯にしがみ付きながら、スコールが名前を呼ぶ。
求めながら助けを呼ぶその声は、ラグナの耳に心地良い。

 涙を流し始めた先端を柔らかく握って、手のひらを押し付けるように揉む。
刺激に合わせて、ラグナの手の中で膨らみが震え、手のひらに溢れ出すものの感触が直に伝わった。
それを全体に塗りたくるように広げてやれば、滑りのある液体がまとわりつく感覚が嫌なのだろう、またスコールが頭を振る。


「や、あ……は、あぁ……っ!」
「イきそう?」
「ふ、ふ…う…ん……っ!」


 耳元に息がかかる距離で囁けば、スコールはひくん、ひくん、と肩を震わせながら、小さく頷いた。


「じゃあ一回イっとくか」
「あ、あ……っ!は、はう…っ、うんん……っ!」


 ラグナがまた胴を上下に扱いてやれば、スコールの引き締まった太腿がぶるりと震える。
スコールの中心部は、既に支えなど要らない程に固くなっていて、触れるラグナの掌にも限界が近い事が判る程になっていた。
それを更に追い詰めてやるべく刺激を与え続ければ、あっという間にスコールの呼気は上がって行き、


「あ、あ…!はっ、はぁ…っ、はぁ…っ!」
「我慢しなくて良いからな」
「あっ、イ…っ、んっ、んんんっ……!!」


 囁くラグナの声に促されるように、スコールの体は極まった。
ビクビクと四肢を震わせ、ラグナの首に縋りしがみつき、強張った足先がシーツの端を噛んで皺を作る。
加減を忘れて抱き着く腕の強さを感じながら、ラグナはスコールの一番太い所をぎゅっと握った。
瞬間、スコールの膝がビクッ、ビクンッ、と跳ねて、


「うっ、んっ!んんぅぅうっ……!」


 競り上がる衝動に対し、耐えようと唇を噛んでしまうのは、慣れない体で覚えてしまった癖なのだろう。
それでも耐え切れない体から熱の証が噴き出して、ラグナの手とスコールの股間をぐっしょりと濡らす。

 強張った体でラグナにしがみ付いたまま、スコールはふぅふぅと荒い呼吸を繰り返している。
そんなスコールの眦に滲む涙を、ラグナは唇を寄せて吸った。
ぴく、と米神が微かに動いて、閉じていた瞼がゆっくりと持ち上がる。
長い睫毛で飾られた蒼の宝石は、潤み緩んで熱を灯し、先を期待する光を帯びてラグナを見詰めた。


「は…あ……、ラグナ……」
「気持ち良かったか?」
「……う、…ん……」


 スコールは小さく頷いて、うっとりとした表情でラグナの唇に吸い付いた。
ちゅ、ちゅう、と下唇に吸い付かれる感触を感じながら、ラグナは蜜液で濡れた手でスコールの股間を撫で回す。


「んっ…、あ……っ」
「まだ勃ってる。若いって凄いよな」
「は、はぁ……あっ、あっ……」


 股の間を撫でられているだけで、スコールは甘い声を漏らしてくれる。
もっと、と求めるようにスコールが自ら足を開けば、其処から熟した果実のような、馨しい匂いが広がったような気がした。
直ぐにその秘園を味わいたい衝動に駆られるが、ラグナはスコールの為にもとぐっと堪え、


「先ず解さなきゃな」
「ん…ぅ……」


 ラグナの言葉に、スコールが不満そうに眉根を寄せる。

 スコールはラグナの唇にキスをすると、舌先で頤を突いてノックした。
ラグナがそれを受け入れ、咥内へと招き入れると、直ぐにスコールはラグナの舌を捕らえに行く。
それに応えてラグナが舌を出しだすと、スコールは絡めた舌でぴちゃぴちゃと音を立てて舐めしゃぶった。


「んっ、は、ちゅ…っ、ん……ぁ……っ」


 だが、それもほんの少しの間だけ。
ラグナが舌を引っ込めて顔を離すと、スコールは遠退いてしまった感触に、泣き出しそうな顔を浮かべる。
眉根を寄せ、目尻を下げて、濡れた舌を差し出して“もっと”と求めるスコールに、ラグナも誘われない訳ではなかったが、


「続き」
「…あ…ふぅ……っ」


 促すと、スコールは名残惜しそうな顔をしながらも、大人しく従った。
ラグナの首に絡めていた腕を解くと、開いた自分の足の膝を抱え、恥部がよく見えるようにと曝け出す。
ラグナの手で塗りたくられた自身の蜜で濡れそぼった股座。
其処にもう一度ラグナの手が滑り込んで、密やかに期待を膨らませていた秘部に触れた。


「あっ……!」
「此処もちゃんと解してやるからな」
「ふ、うう……やっあ……」


 スコールはもう待ち遠しくて仕方がなかったが、ラグナは譲らなかった。
何度抱いてもスコールの中はとても狭くて締まりが強いから、丹念に解しておかないと、ラグナをきちんと咥える事が出来ない。
折角の誕生日だし、痛い思いはさせたくないし───、何より“全部”欲しいとスコールが言ったのだから、その願いは叶えてやらなくては。

 ラグナの指が秘部の縁をゆっくりと辿る。
それだけの刺激で、スコールの内側はじわじわと熟れて行き、咥える物を欲しがってヒクついてしまう。
一頻り愛でた後で、ようやくラグナが指を挿入してやれば、


「あぁ……っ」


 悩ましい声を上げて、スコールの内壁が嬉しそうにラグナに吸い付く。
きゅう、と締め付けて来る感触を味わいながら、ラグナは少しずつ指を奥へと挿入して行った。


「あっ、あ……んん……っ」
「苦しくない?」
「ん、んん……くぅん……っ」


 ラグナが声をかけると、スコールは小さく頷いた。
しかし眉根は寄せられているし、目尻には涙が滲んでいる。
声を出すまいと必死に口を噤んでいるのを見て、やっぱりちょっと苦しいんだろうなあ、とラグナは思った。
実際に指先に伝わる締め付けは聊かきつさが勝っており、指先を少し曲げるだけでも窮屈であった。

 ラグナは指先に絡み付く肉壁を優しく撫でながら、スコールの躰にキスの雨を降らせていく。
唇に、頬に、首筋に、胸に───触れるだけの口付けでも、スコールには感じ入るものがあるのだろう。
キスをする度、ヒクッ、ピクッ、と細身の体が震えて、秘孔に咥え込んだ指が締め付けられた。

 腹にキスをして、其処からまた更にラグナが下りて行く事に気付いて、スコールが頭を上げた。


「ラ、グ……」
「大丈夫。気持ち良くしてやるから」
「は…あぁ……ん……っ!」


 くちっ、と中を擦ってやると、スコールの抱えた膝が跳ねる。

 ラグナの顔が、スコールの股間に近付いていく。
長い髪が足の付け根を擽るのを、スコールは真っ赤になった顔で、じっと見ていた。
恥ずかしそうにいやいやと頭を振る仕草を見せながら、蒼の瞳はこれからされる事に期待を膨らませている。
だからラグナは、わざと大きく口を開けて、スコールに見せつけるように彼の一物を咥えてやった。


「んぁああ……っ!」


 艶めかしい感触に敏感な中心部を覆われて、スコールは堪らず喉を逸らして啼いた。
咥えただけなのになあ、と思いつつ、ラグナは先端をちゅうと啜ってやった。
ビクンッと腰が跳ねて、高い声が上がる。


「あっ、ふぁ……!やぁ、あんっ」
「んん……んちゅっ、んふ、」
「ふ、ふあ……舐め…やぅ……っ!」


 ラグナの長い舌がスコールの雄に絡み付き、ねっとりと唾液を撫でつけて行く。
刺激に正直な若い体は、ラグナの口の中でむくむくと育つ。
一度ラグナの手で射精を済ませている其処が、もう一度同じ位に膨らむまで、そう時間はかからなかった。

 雄を愛でられる快感に意識を攫われているスコール。
そのお陰で秘孔の締め付けは僅かに緩み、ラグナが指を動かす余裕が出来た。
ラグナはスコールの雄を丹念に舐めながら、秘部に埋めた指を前後に動かして中壁を擦ってやる。


「んっ、あっ、あ…っ!ラグナ、あぁ……っ!」
「んっ、んっ、んぁ……んぐ、んっ」
「は、はぁ、はぁ…あぁ……っ!あ、あ……っ!」


 前と後ろを同時に攻められて、スコールは言葉を紡ぐ事も出来ない。
吐息と一緒に漏れる声だけが、スコールが発信できる精一杯だった。

 ラグナの口の中で、スコールの中心部はすっかり勃ち上がり、じわじわと汗を滲ませている。
一度射精した事で濡れていたから、幹は苦い味で一杯になっていたが、ラグナは構わず舐め取った。
膨らんだ雄を啜りながらゆっくりと後退し、唇で竿を撫でてやれば、スコールは「あっあっ……!」と声を上げながらビクビクと腰を震わせる。
先端からとろりと蜜が溢れ出したのを覚ったラグナは、窄めた口で先端に吸い付いて、ぢゅううっ、と強く吸った。


「ふぅうんっ!」


 スコールの抱えた膝がピンと張り詰める。
ラグナが雄を吸う度に、少年の体はビクビクと跳ねて、先端から溢れるものが量を増やしていく。
同時に秘孔がきゅっ、きゅうっ、とラグナの吸い付くリズムに合わせて蠢き、指を締め付けた。
その締め付けが僅かに緩む隙を狙って、ラグナは指先を動かし、スコールの敏感な肉壁を苛めてやる。


「ふっ、ふくっ、うぅん……っ!ラグ、ナ…いや、あ……っ!」
「んちゅ……ん、んぢゅうっ、」
「はっ、ああぁ……っ!う、うんっ、あっ、あっ、」
「んは……っ、二本目、入れるぞ」
「は、ふぅうんっ……!あぁ……っ!」


 予告の通り、ラグナの二本目の指がスコールの秘孔に入って来る。
異物感の増した感覚にスコールの躰は強張ったが、雄を舐めてやれば直ぐに緩んだ。

 二本の指をゆっくりと動かして、狭い道を少しずつ拡げてやる。
敏感なポイントを捉えると、判り易くスコールの躰が強張ったから、雄を吸って気を散らした。
そうやって前と後ろを交互に攻めている内に、スコールは絶えず与えられる快感の波に翻弄され、頑なだったその実を解いて行く。


「はっ、はぁ、あぁん……っ!ん、ん……」
「んぷ…ふ、はぁ……っ、スコール、判るか?指、結構奥まで入ってるの」
「あっ……!やぁ、動かす、なぁ……んんっ」


 ラグナが声をかけながら、内に埋めた指を動かす。
関節を曲げて壁をぐっと押してやると、秘孔はきゅうっとラグナの指を締め付けた。
だが、もう痛いほどの窮屈さはなく、濡れそぼった肉壁は柔らかな動きでラグナの指を包み込んでいた。
二本の指を左右に広げる形で開いてやると、くぱぁ、と中の肉が拡がるのが判る。


「あぁ…ああ……っ!ラグナ…もう……っ」
「良いかな……」
「んっ、んっ……ふぅう……っ」


 ラグナの呟きに、スコールはこくこくと頷いた。
彼にしてみれば、早くラグナが欲しいのに、ずっと焦らされているようなものだ。
もう我慢の限界なんだと、涙を浮かべた眼が請うように訴える。

 ラグナがゆっくりと指を引き抜いて行く間、スコールの其処は我儘に絡み付いて離れようとしなかった。
出て行かないでと縋る正直な少年の姿は、ラグナにとって非常に可愛らしいものであったが、指では満足できないのはどちらも同じだ。
もっと深く繋がらないと、スコールの疼きは勿論、ラグナの昂ぶりだって収まらない。


「あ……ふ……っ」


 指が抜けきる瞬間、スコールの唇からは甘露の音が漏れた。
咥えるものがなくなった途端、喪失感が性に幼い体を襲う。
途端に腹の奥の疼きが増して、スコールはベッドシーツを握りながら、熱に飢えた体を捩った。

 そうして躰を悩ましくくねらせる少年の姿が、益々見下ろす男の雄を煽る。
無自覚なんだろうなあ、と全て自分が教えたから判る事に、ラグナは露骨に興奮を覚えていた。
お陰でラグナの象徴はすっかり固くなり、目の前の未成熟な甘い果実を貪りたいと言う欲が抑えられない。


「スコール」
「は…っ、あ……っ!」


 ラグナはスコールの名前を呼んで、彼の体にまた覆い被さった。
二人の股間をぴったりと密着させると、固くなったラグナのものがスコールにも判ったのだろう、熱に蕩けた顔が赤くなる。
はあはあと喘ぎ息をしていた唇が閉じて、ごくり、と喉を鳴らしたのが見えた。

 ラグナは膝でスコールの太腿を押し開き、ヒクヒクと蠢いている秘孔に、己を宛がった。
ぐ、と押し付けただけで判る存在感に、スコールはもう感じてしまっているようで、


「ラ、グナ…あ……っ、あぁ……っ!」


 ラグナの腹に擦れるスコールの雄から、じわじわと溢れ出す蜜液。
挿入しただけで果ててしまいそうだな、と思いながら、ラグナはゆっくりとスコールの中に自分自身を押し込んで行く。


「あ、う…あぁ……っ!」
「んん……っ、やっぱ、きついなあ……っ、でも……っ」
「は、ふ、ふぅう……っ!うぅん……っ、あぁ……っ!」


 侵入して来るラグナの雄が、どくんどくんと大きく脈を打っているのを、スコールは胎の底に伝わる感覚から感じていた。
具に判るラグナの熱に、受け入れる器としてすっかり拓いたスコールは、夢現の貌でラグナの侵入を喜んでいる。

 ラグナの指で丁寧に解されたお陰で、スコールの中は狭くも暖かく柔らかくなっている。
これなら、とラグナは止まらずに進んで行った。
深くなって行く繋がりがスコールにも判るのだろう、スコールは一所懸命に息を吐いて吸ってと繰り返し、奥を開いてラグナを迎え入れて行く。


「あう…あうぅ……っんん……っ」
「は……、スコール……すっげー、熱い……」
「ラグ…ナぁ……っ!」
「う、ふ……く……、っはぁ……!」


 スコールの中は熱く蕩け、肉が小刻みに震えてうねり、ラグナを絶えず愛撫する。
初めての頃はただただ固く、正直に言えばお互いに気持ち良くなる余裕もなかった筈なのに、今ではすっかり雄の虜だ。
同時にスコールの躰も、雄を、ラグナを夢中にさせる程に熟している。

 最後の一息だけが、少しだけ苦しいものだった。
いつもなら此処でラグナは侵入を止めるのだが、今日はスコールに“全部”捧げなくてはいけない。
ラグナは喘ぐスコールの頬を撫でて、此方を見るように促した。
スコールは、はっ、はっ、と短い呼吸を繰り返しながら、見下ろすラグナに目を向ける。


「は…ふぁ……、ラグナ……」
「ん……もうちょっとなんだ。いけそうか?」
「…う…、ん……、っは……早く…ぅ……」


 確かめようとするその間も惜しいと、スコールはラグナの首に腕を回す。
それだけでなく、太腿がラグナの横腹を摩り、足が腰へと絡み付いて、全身でラグナに抱き着いて来た。
積極的なのは珍しいなあ、と思いつつ、ラグナもスコールの躰を抱き締めて、


「ふ……っ!」
「っあぁあ……!!」


 息をつめて、ラグナはぐぅっと腰を前へと押し進めた。
ぐぷぅ、と最奥へと深くなる侵食に、スコールは背中を仰け反らせて啼いた。
太いものを咥え込んだ秘孔が、その形に添うように限界まで広がって、隠された官能の集点を押し上げる。


「あぁあっ!」
「う、く……っ!」
「は、ぅううんんっ!」


 声を上げたスコールに構わず、ラグナは息子の体に己の猛りを治め切った。
それがスコールの最後の砦を崩したのだろう、スコールは艶めかしい感触の奥壁をビクビクと痙攣させながら、二度目の絶頂へと上り詰めた。

 ビクンッ、ビクンッ、とラグナの腕の中で、細い四肢が跳ねる。
ラグナの腹に向かって、びゅくっびゅくっと勢い良く精が吐き出され、糸を引いて垂れ落ちていく。


「は…っ、スコール……っ」
「あ…あぁ……っ」
「判るか?全部、ちゃんと入ったぞ。俺の全部……」
「あ……ラ、グナ…ぁ……っ」


 囁くラグナに、スコールは名前を呼び返す事しか出来なかった。
胎内に納められた雄の感触が、絶えずスコールの若い体に性の喜びを与え、思考回路が秒速で溶けていく。
受け入れるべく作り替えられた躰の中に、ラグナがいると思うだけで、スコールは天にも昇る心地になってしまう。
そう言う感覚を、スコールは全て目の前の男に教わった。

 ラグナの首に絡められた腕に力が籠る。
持ち上げたスコールの頭が、すり、とラグナの頬に摺り寄せられた。


「ラグ、ナ……動い、て……」
「……うん。じゃ、ちゃんと掴まって」
「ん…んぅ……っ」


 促すと、スコールは腕だけでなく、腰に絡み付かせた足にも力を込めた。
ラグナもスコールの顔の横に肘をついて、二人の肌を密着させる。
どくんどくんと跳ねる心臓の音が互いに聞こえて、次第にそのリズムは一つとなって行き、全く同じ鼓動のリズムを刻むようになった。

 ラグナがゆっくりと腰を上げる。
ぬる、ずるぅ、と中で擦れる感覚があって、スコールが甘い声をあげる。
耳に心地良いその音を聞きながら、ラグナはまた雄を奥へと沈めた。
中の具合を丹念に確かめるように動くラグナに、スコールはあえかな吐息を繰り返して、媚肉を擦る雄の逞しさを確かめる。


「はあ、あぁ…っ、ラグナ…大き、い……っ」
「んっ、は……はぁ……は……っ」
「ああ……っ、奥に…あっ、んん……っ!あっあ……!」


 濡れそぼった秘孔の中を、ラグナの雄が隙間なく撫で上げる。
愛でられる事を覚え込んだ体は、快感を与えてくれる雄にもその悦びを返そうと、柔らかく絡み付いて奉仕をしていた。
ラグナの律動に合わせて、きゅ、きゅ、と肉が締め付けと緩みを繰り返す。
その感覚の中でラグナが奥をぐぅっと押してやれば、媚肉もまたきゅうぅっと強く締まってラグナを喜ばせた。


「は、はあ…うぅ……、あぁ、ん……っ!」
「は…、スコール……ちょっと、激しくするぞ……っ」
「んっ…あぁっ!」


 言ってから、ラグナはスコールの返事を待たず、ずんっ!と奥を強く突き上げた。
それまでの緩慢で丁寧な刺激と違い、奥を強く抉られる感触に、スコールは堪らず声を上げた。

 それを皮切りにして、ラグナの律動が徐々に激しくなって行く。
全体への丁寧な愛撫のお陰で、スコールの躰はすっかり官能のスイッチが入り、何処をどう突き上げられても、快感を得るようになっていた。
そんな状態でラグナが激しく腰を振れば、スコールに押し寄せる快感の波は大きなものが連続するものとなり、


「はっ、はっ、あっ!あぁ…っ!ラグ、ラグナ…んっ、あぁっ、そ、そこ……はうっ!」
「はっ、はっ、く…っ、はあ……っ!」
「あっん、あっ、あっ……!中、擦れ、あっ、そこぉっ……!痺れ、て、あぁっ……!」


 一点を突き上げた瞬間、スコールの躰が大きく仰け反り、ぎゅうぅっ、とラグナの雄を締め付ける。
其処がスコールの一番の弱点だと、そもそもの発見者であるラグナはよく知っていた。

 ラグナはスコールの躰を拘束せんばかりにしっかりと抱き締めて、弱点を何度も突き上げてやる。
固く張り詰めたラグナの雄に奥を突かれる度に、スコールはビクンッビクンッと四肢を大きく震わせた。
二度目の果てを見てから時間の経っていないスコールの雄が、また膨らんで蜜液を滲ませている。


「はっ、ラグ、ラグナっ、だめ…っ!あっ、あっあぁっ!」
「はあ、はっ、スコール……っ!」
「イ、イくっ、んんっ!また、ああ…っ、来て、る、からぁ……っ!」
「ああ、良いぜ、スコール……っ!俺も、もう直ぐ……っ」
「はあ、あっ、あっ、うぅんっ!」


 限界を訴えるスコールに、ラグナの体も同調していく。
自身を更に追い込まんと、ラグナが腰を激しく振れば、スコールも全身を強張らせて、咥え込んだラグナの雄を目一杯締め付けた。


「ラ、グナ、ああっ、あぁあ……っ!」
「スコール…く、全部…んっ!全部、出すぞ……っ!」
「うっ、あっ、あぁっ、あああぁ……!!」


 皮膚と皮膚がぶつかり合う音が響く程、ラグナは激しくスコールを攻め立てる。
スコールはラグナにしがみ付いて、その律動に必死について行こうとしていた。
健気な少年の姿がまた、それを教え込んだ男の興奮を誘い、互いの臨界点へと昇って行く。

 どくん、どくん、どくん、とスコールの胎内の中で、ラグナが大きく脈を打っている。
来る、とスコールは理解した。
同時に、ラグナが一切止まる様子がないのを見て、全部くれるんだと言う事を覚る。
途端にスコールの目尻には涙が滲んで、全身が燃えるように熱くなり、


「はあっ、あぁあっ!イくっ、ラグナぁ……っ!あっ、あっ、ああぁあっ!!」


 ラグナが与える快感を現在進行形に感じ得ながら、スコールの躰は絶頂する。
ビクッビクッ、ビクッ、と全身を戦慄かせながら、ぴったりと密着しているラグナの腹に、大量の蜜が吐き出された。
そうして果てている最中にもラグナは腰を振っていて、


「あん、あん、あっ、あぁっ!あ、ひぅ、うぅうっ!」
「うっ、うっ…!くっ、出、る……っ!スコー、る……っ!!」


 ラグナがスコールの耳元で歯を食いしばり、絞り出すような声でその名を呼んだ瞬間だった。
一際強くスコールの秘孔が雄を切なく甘く締め付けて、臨界点を目の前にしていたラグナをもう一段階押し上げた。
ぐぅっ、とラグナが息を詰めた直後、スコールの胎内で雄が大きく痙攣し、濃い白濁液が吐き出される。


「ああぁぁっ!あっ、あ…!は、うぅ……っ!」
「……っ、っは……うぅ……っ!」


 ラグナはスコールの躰を強く抱き締めながら、若い体の奥へ、己の精を注ぎ込んだ。
スコールもまた、ラグナに目一杯の力でしがみついて、雄の寵愛を受け止める。

 ようやく射精が終わっても、ラグナは動かなかった。
動けなかった、と言うのが半分は正しい。
射精直後の疲労感も勿論、繋がった場所から伝わる熱の体温が、無性に心地良くて堪らない。
縋る腕の力が少しずつ緩んで、ぱたりとベッドに落ちて、それから少しの時間を置いてから、ようやく体を起こす気になる程だった。


「は…はぁ……、ん……」
「んむ…んん……っ」


 ラグナは切らせた息を整えるのを待たず、スコールの唇を奪った。
無防備に解けていた唇の中に舌を入れて、スコールのそれを絡め取り、丹念にしゃぶる。
ぴちゃ、ぷちゃ、ちゅく、と言う音を聞きながら愛してやれば、繋がったままの秘孔の奥で、スコールがまた疼きに震えているのが伝わった。


「んちゅ……っは、はぁ……、スコール……」
「ラ…グ……はぁ……んん……っ」


 ラグナの声に対し、名前を呼び返そうとしたスコールの声は、途中で喘ぎ声に取って代わられた。
胎内で脈打つ雄は、まだ固さを喪ってはいない。
その事に気付いてしまえば、若くて性に貪欲な躰は、どうしても其方を優先してしまう。


「ラ、グナ……はあ……ん……っ、もっと……」


 もっと欲しい、もっと来て。
もっと頂戴。

 熱に溺れた蒼い瞳が、無心に求めて来る事に言い知れない喜びを感じながら、ラグナはまた唇を重ねた。




 日付が変わってからも長いまぐわいが続いた。
スコールはラグナが全部欲しいと言ったし、ラグナも全てを注ごうと思ったら、辞め時なんてものは忘れた。
それだけ繋がったのに、まだ足りないと思う程、お互いを欲しがる心が止まらない。

 だが、体力が限界になれば流石に終わりを迎えた。
何度目かのラグナの精をスコールが受け止めた所で、どちらが先だったのか、意識を飛ばしたのが終わりの合図。
そのまま繋がった状態で寝落ちてしまい、明け方まで二人は一度も起きなかった。
政務の為、迎えに来る手筈であったキロスから、そのお知らせとして目覚ましの電話がなかったら、昼まで眠っていた事だろう。

 各々に朝の準備を済ませながら、ラグナは張り切り過ぎたなあと痛む腰を摩って宥める。
今日はいつもの書類仕事だけではなく、外国向けの会見を兼ねた演説放送があるので、服はきっちりと整えておかなければならない。
楽な姿勢が取れない、休憩も自由に行かない事を思うと、湿布でも貼って置いた方が良いだろうか。

 その横を通り過ぎていくスコールは、きびきびとしていて、昨夜の疲れを感じさせない。
実際には歩く際に少し腰を庇っているので、満足無事と言う訳ではないのだろうが、見栄を張る位には元気なのだ。
やっぱり若さって奴か、と自分の年齢と体年齢の現実を突きつけられる気分になるが、露骨にそれを晒せばきっとスコールは気にするだろう。
そうなれば、今でさえ色々と気にする事が多くて遠慮し勝ちのスコールが、益々遠退いてしまうかも知れない。
昨夜、あんなプレゼントを強請ってくれる程に心を許してくれたのに、それは嫌だな、とラグナはラグナで大人の見栄を張る事を譲れない。


(───あ、そうだ)


 プレゼントと言えば、とラグナはふっと思い出して、ネクタイを締めながら、ケースから取り出した愛剣の具合を確かめているスコールを振り返り、


「なあ、スコール」
「なんだ」
「お前の誕生日のお祝いの事なんだけど」


 ラグナの言葉に、ぴたりとスコールの動きが止まる。
彼の手の中で、ガンブレードのトリガーが、カチリ、と音を立てて、


「……もう貰った」


 微かに耳を赤くして、スコールは小さな声でそう言った。
その言葉に、そう思ってくれるのは嬉しいんだけど、とラグナは眉尻を下げる。


「うん、あげたけど。俺もそのつもりなんだけどさ」
「……じゃあ、もう良いだろ」


 素っ気なくも聞こえるその言葉から、きっと彼は本当にもう十分と思っているのだろうとラグナも思う。
元々、自分の誕生日と言う事に深い思い入れもないようだし、年齢を思えば可惜に喜ぶ頃も過ぎている。
だがそれでも、とラグナは思うのだ。


「そうかも知んないけど、俺がちょっと物足りないって言うかさ。お前がこっちにいる間に、美味いもんでも食いに行こうぜ。お前の誕生日のお祝いって事で」
「……」
「知らなかったからさ。ずっと。その分もお祝いしたいの。俺が」


 スコールの為のお祝いだと口では言っても、その実、彼を祝いたいと思っているのはラグナの気持ちの方だ。
それを明確に口にした上で、ラグナはスコールを振り返った。
柔らかな笑みを湛えた碧眼に見詰められて、スコールは少し居心地が悪そうに、赤い頬の顔を逸らして、


「……好きにしたら良い」
「おう」
「……」


 やはり素っ気ない返事であったが、ラグナはそれで十分だった。
ラグナの気の済むようにさせてくれると言うのだから、これ以上の嬉しい言葉はないだろう。

 愛剣をケースへ戻して、行くぞと促すスコールと共に、ラグナは官邸の外へ向かうべく廊下を歩く。
その途中で、ピアスを嵌めたスコールの耳が未だ赤い事に気付くと、ラグナは徐にスコールの腕を掴んで引き寄せた。
何、と目を丸くしたスコールの耳に、昨日は言い損ねたままだった祝いの言葉を囁いた。




スコール誕生日おめでとう!と言う事でラグナにお祝いして貰いました。

スコールの公的プロフィール的なものが何処まで表に出されているかは謎ですが、ガーデン内では知られていても、外向けには特に開示されていないかも(必要がなさそうなので)。
なので、初めて知ったぞお祝いしなきゃって言うラグナが浮かんだのでした。