変革は突然に


 普段、気にした事もない家の間取りを、今日ほど恨んだ事はない。
キッチンに立ち、背に注がれる視線を感じながら、スコールは心の底からそう思った。

 この家のキッチンは、リビングと一つになったリビングキッチンである。
普段は動線が最低限で済むので、食事の用意を担うスコールには助かる事なのだが、今日だけは違った。
せめて仕切りでもあれば良かったのに、と常ならば考えないであろう事すら頭を過ぎる。

 しかし、そんな状態にスコールを追い込んだのは、他ならぬ自分自身である。
すぅすぅと落ち付かない背中や下肢に、何度も身を捩りながら、数十分前の自分の行動を後悔する。
あの時の自分を力一杯殴って止めたい、とスープを温めながら思う。


(くそ……絶対、どうかしていた…)


 背中に感じる視線がどうにもむず痒く、何度も身を捩っては、無意味に背中に手を回す。
肩に通した紐を何度もかけ直し、裾を引っ張っては後ろを隠そうとする。
が、体の前部を覆う事が基本的な役目であるエプロンは、背中までカバーしてはくれない。

 スコールは、自分が何に置いても積極性に欠ける事を自覚していた。
レオンと愛し合いたい時も、恥ずかしさと、レオンのしている事の邪魔をしたくなくて、言い出すタイミングも判らず、諦めてしまう事が多い。
そんなスコールの気持ちを汲んだように、レオンはスコールに構い付け、キスをして、ベッドへと促す。
スコール自身はそれに不満を感じた事はなかったが、レオンはどうだろう、と思ったのが、全ての始まりだった。
夕方、ティーダ達と過ごしたファーストフード店で聞いた、女子高生達の会話がそのまま反映されてしまったのである。

 レオンに誘われた時、スコールは恥ずかしくもあるが、それ以上に嬉しいと思う。
彼に求められている事が判るからだ。
───ならばレオンも、誘われたら喜んでくれるのだろうか。
その辺りから、スコールのブレーキは壊れ気味となり、現在へと至る。

 紅い顔で、出来るだけ早くこの状況から逃げたいからだろう、急くように夕飯の準備をするスコールを、レオンはじっと見詰めている。
その視線でスコールが更に羞恥心に駆られている事は判っていたが、折角だ、とレオンは見る事を止めなかった。


(そう言えば、結局誰から何を吹き込まれたのか、聞くのを忘れたな)


 腹の虫が鳴ってしまい、スコールが夕飯の支度を始めたので、途中放棄となった詰問タイム。
他にも色々と聞きたい事───何故その格好を選んだのか、何処からこんな発想に行き着いたのか、この格好をレオンが好きかも知れないと言う情報の源等々───があったのだが、一先ずは忘れても良いだろう。
そんな細々とした事よりも、レオンは目の前の恋人の白肌を見て、眼福と言うのはこう言う事かな、と考える。

 手付きはやや乱暴になっているものの、スコールの行動は、普段レオンが目にしているものと変わりない。
しかし、小振りな尻が右へ左へ、忙しなく動くのを見ている内に、レオンはむくむくと欲に駆られて行く。
背中で結んだエプロンの紐が、尻尾のようにひらひらと揺れて、双丘の谷間を隠そうとしているように見えた。
いつもなら自然に開いている筈の足幅は、今日は何度も寄せられて、膝を擦り合わせている。
もじもじと動く太腿の動きが、夜の褥を連想させている事を、スコールは知らない。

 そして、レオンが時折目を引くのは、盛り付けた料理をテーブルに置く瞬間に見えるものだ。
背中を向けていたスコールが、ほんの数秒だけ、レオンの方へと躯を向けるその時、エプロンの下腹部が不自然な盛り上がりを作っている。
スコールもその自覚があるのだろう、出来るだけレオンに正面から向き合わないように努めつつ、時折、もどかしげにエプロンの端を握って太腿を擦り合わせていた。


「ん…う……」


 準備の手を止めたスコールが、小さくくぐもった声を漏らす。


(……いた、い……)


 下腹部がじんじんとして、動くのが辛い。
座り込んでしまいたかったが、この状況でそんな事をすれば、自分の状態を白状しているも同然だ。
そうでなくとも、きっとレオンには何もかも見透かされている───そう思うだけで、スコールは体の中の熱が温度を増すのが判った。

 じわり、じわりと、内側の熱が出口を求めて浸み出して来る。
背中の視線を意識せずにはいられず、それがよりスコールの熱を追い立てる。

 ガタ、と椅子の音がして、スコールの肩が跳ねる。
近付く気配に、スコールは動じないように努め、止めていた食事の用意の手を再開させる。
フライパンの上で温めていた野菜炒めを皿に盛ろうと、おたまを入れた時だった。
するり、と熱を孕んだ手が、スコールの臀部を撫でる。


「ちょ…っ」
「今更だろう」


 振り返って抗議しようとしたスコールを、レオンは抱き締める事で制した。
背中にレオンのワイシャツやネクタイの感触があって、スコールは自分が裸身である事を改めて自覚した。


「レ、レオン……っ」
「ん?」
「…手……!」
「手がどうかしたか?」
「撫でるな…っ!」


 尻たぶの形を確かめるように、ゆっくりと丹念に撫でる掌。
指が双丘の狭間をくすぐり、慎ましく潜められた場所に当たる。
ふるふるとスコールは首を横に振ったが、レオンの指は悪戯さを増して行くばかりで、人差し指と中指で、閉じた場所の皺を伸ばす。


「んっ……!」
「大分前から、期待していただろう?」
「や…期待、なんか……」
「こんなにしておいてか?」
「んぁっ」


 スコールの腰を抱いていた手が下りて、エプロンの上から膨らんだ中心部を握る。
びくん、と逃げるように腰を引かせたスコールだったが、秘部を弄る手に尻が当たって、行き場を失くしてしまう。

 膝を震わせるスコールの耳に顔を寄せて、レオンは耳朶の裏側に舌を這わせた。
スコールの手からおたまが落ちて、かちゃん、とフライパンの上に転がる。
火は既に消してあるので、心配は要らないな、とレオンは握ったエプロンごとスコールの中心部を扱き始めた。


「あっ、あっ…!や、レオ…んんっ」
「しっかり固くなってるじゃないか」
「やっ、んぅっ…!」


 身を捩るスコールの腕がフライパンの持ち手に当たる。


「火はついていなくても、余り動くと危ないぞ」
「あ、あんたが…止めれば……ひぅんっ…!」


 きゅっ、と根本を握られて、スコールは身を固くした。
縮こまらせた肩が震え、撓らせた背中にしっとりとした汗が滲み、背骨のラインを伝い落ちて行く。

 紺色のエプロンの中で、スコールの雄がむくむくと育って行く。
裏地に先端が擦れる度、スコールは体が反応してしまうのを止められなかった。
後ろの穴はくすぐるように縁を何度も突かれて、逃げを打って腰を揺らす度、背後で男の笑う気配がする。


「ねだってるみたいだぞ」
「そんな……あ、あっ…!ひ、んっ……!」
「作っている間も、ずっと尻を振って。誘っていたんだろう?」
「違う……んぁっ」
「じゃあ、なんでこんな格好をして俺を待っていたんだ?誘おうと思って頑張ったって、言っただろ?」
「い、言ってない……っ?」


 レオンの言葉を否定した途端、するりと下肢を弄っていた手が離れた。
え、とスコールが目を丸くして振り返ると、薄く笑みを梳いた蒼色が見下ろしている。


「じゃあ、止めるか?」


 形の良い指がスコールの顎を捉え、くん、と持ち上げる。
間近で見詰める蒼灰色の瞳に、スコールは心臓の音が逸って行く。
キッチン台の端に着いた手が震え、半端に刺激を与えられた下肢にはじりじりとした痺れが拡がっている。

 スコールが赤い顔で俯くと、つぅ、と背筋に指が這った。
「ひぅうっ!」と悲鳴を上げたスコールに、レオンがくつくつと笑う。
遊ばれている、とスコールは眉尻を吊り上げるが、背中を昇った指がエプロンの隙間から胸元へと辿ってくすぐる。
エプロンの中で膨らんだ蕾に近付くそれに、スコールは期待感を持ってしまう自分を感じていた。

 しかし、後少しで届くと言う所で、指はまたしても逃げてしまう。


「あ、う……」
「うん?」


 縋る瞳で見上げる弟に、レオンは笑みを浮かべるばかり。
スコールはキッチン台を掴んでいた手を離して、レオンの方へと向き直った。
首に腕を絡めて身を寄せれば、エプロン越しに勃ち上がった雄がレオンの腰に押し当てられる。


「レ、オン……」
「なんだ?」
「ん、んんっ……」


 身を寄せるスコールの背中に、レオンの片腕が回される。
もう片方の腕の手は、スコールの腰のラインを辿り、爪先立ちになる事で力の入った、きゅっと引き締まった尻を揉んでいる。


「あ、んっ……レオ、レオン……っ」
「腰、揺れてるぞ」
「ふ、あふ…っ、うぅん……っ」


 スコールはレオンの腰に自身を擦り当てるように、ゆらゆらと腰を揺らしている。
エプロンの中で下腹部が蒸しているような気がして、スコールはもどかしげにくぐもった声を漏らしながら、レオンにしがみ付く腕に力を籠めた。

 レオンは首にかかる体重を感じながら、スコールの腰に回していた腕を解き、エプロンの上から膨らんだ中心部を握る。
ビクッ、とスコールの躯が震えたが、逃げる素振りは見られない。
エプロンで雄の形を包んだ状態で、レオンは手を上下に動かして行く。


「あっ、あっ…!は…あぁっ…!」


 筋肉の反射運動で逃げを打つように腰を引くスコールだったが、尻を揉む手は離れておらず、ぴったりと密着した状態は変わらない。
爪先立ちの足先がピクッピクッと痙攣するように震え、エプロンの裏地にじっとりと湿り気が広がって行く。


「レオ、ン、あふぅっ…!んっ、あっ、あぁんっ…!」
「気持ち良いか?」
「ん、ん、あぁっ……ん、い、い…んぁっ、あ…っ!」


 スコールはレオンの胸に顔を寄せ、縋り付いた格好で、悦楽に身を委ねていた。
厚布のごわごわとした感触すら、今のスコールには快感の材料だ。
はっ、はっ、とスコールの呼気が短いリズムで逸って行く。


「あっ、ひっ、んぁっ…!い、イく…レオ、あぁっ、もう…んっ、出るぅ…っ!」
「ああ。いいぞ」
「ひうっ!」


 許す言葉と同時に、つぷっ、とスコールの秘孔に指が埋められた。
ビクンッ、とスコールの躯が跳ね、同時にエプロンに包まれた雄がびゅくっ、びゅくっ、と脈を打ち、


「あぁっ、んぁああっ…!」


 爪先立ちの足を先端まで強張らせて、スコールは絶頂を迎える。
どろりとしたものがエプロンの中で吐き出され、蒸した布地の中でスコールの雄が白濁に汚されて行く。
ぬらぬらとした粘着質なものがまとわりつく感覚に、スコールの腰が戦慄いた。

 ひくっ、ひくっ、と四肢を震わせるスコール。
レオンはスコールの意識が悦楽の波から戻るのを待たず、秘孔に埋めた指を動かし始めた。


「ふ、あっ、あふっ…!んぁ、あっ、あぁっ、あぁんっ…!」
「指、どんどん入って行くぞ」
「ふ、あ……あふっ、あぁっ……!だ、め……うぅんっ…!」


 レオンの指は、既に半分まで埋まっている。
内肉はきゅうきゅうと指を締め付け、挿入を喜ぶように指に絡み付いて離さない。

 レオンはスコールの秘部を指で穿るように弄りながら、じっとりと湿ったエプロンを見下ろした。
雄を包む形で膨らんでいるエプロンに、薄らとした沁みが浮かんでいる。
厚布越しなのでレオンにははっきりとは判らないが、その中がどろどろに汚れているのは想像に難くない。


「エプロンに沁みが出来てる。一杯出したみたいだな」
「んっ、んぁっ…!あっ、ひ、あはぁ……っ!」


 にゅぷぷっ、とレオンの指が根本まで挿入され、スコールはッ背を撓らせた。
奥壁をぐりぐりと指先で押されて、スコールの爪先立ちの足がビクッビクッと痙攣する。

 レオンはスコールの躯を反転させ、もう一度背中を向けさせた。
秘部に埋めたままの指がぐりゅっと全体を掻き混ぜて、スコールは「ひぃんっ!」と甲高い悲鳴を上げる。
くちゅくちゅと中を掻き混ぜながら、レオンは自身の下肢を緩めた。


「あっ、あっ、レオ、あっ、レオンんっ…!や、そこ…あぁっ!」


 汗の雫を浮かせたスコールの背中を、レオンの舌が這う。
スコールは逃げるように背を撓らせたが、レオンはスコールの胸を抱いて引き留めた。
エプロンの下に手が滑り込み、薄い胸板を撫で回し、頂きの蕾を摘む。


「んぁんっ…!」
「乳首も固くなってる。これだけ固いと、エプロンの中で擦れてたんじゃないか?」
「そ、んな……あっ、やっ、あっ、」


 レオンは摘まんだ乳首を引っ張ると、先端をエプロンの裏地に擦り付けた。


「あっ、やだ、やっ…!」
「感じてるじゃないか」
「んんっ……!」
「上も下も、本当にお前は敏感でいやらしいな」
「違、うぅ……っ」
「こんな格好で俺を誘っておいて、説得力がないぞ」
「はぁっ、あんっ、あぁっ、あぅん……っ!」


 くちゅっ、くちゅっ、と音を立てて秘部を抜き差しされ、スコールは腰を戦慄かせながら喘ぎ啼く。
レオンは胸の膨らみに爪を立てて擦りながら、スコールのすらりとした背中に唇を押し当てた。
ちゅう、と強く吸えば、ビクン、とスコールの躯が跳ねて、白の中に赤い華が咲く。
レオンは自身の濡れた唇を舌で舐めると、もう一度白肌に唇を寄せて吸い付いた。


「ん、んぁっ…!あっ、あっ…!」
「ん、ちゅ…んっ……」
「はうっ……!や、レオン…っ!はっ、あっ、あっ…あぁ…っ!」


 スコールの細腰がもどかしげに揺れて、秘部を苛めるレオンの手をエプロンの紐がくすぐる。
紺色のエプロン紐と、仄かに桃色を帯びた尻のラインのコントラストに、レオンは下肢が熱くなるのを感じた。

 ちゅぽっ、と音を立てて秘部から指が引き抜かれ、スコールは甘い声を上げて膝を崩した。
座り込みかけたスコールの躯を、レオンの腕が抱いて支える。
キッチン台の上に置いたままだったまな板やサラダボウルが退けられて、スコールは上半身を其処に乗せられる。
ステンレス加工のひんやりとした台の感触に、スコールの躯が一瞬縮こまるように竦んだが、レオンは構わず、ひくひくと口を開閉させているスコールの秘部に、取り出したばかりの熱の塊を宛がった。
押し付けられたそれが、ぐぅっ、と体内へと潜り込んで行く感覚に、スコールは爪先立ちの足をピンと張って戦慄かせた。


「あっ、うんっ、あぁああぁっ……!」


 ぬぷぷぷ…と深くまで挿入されて行く太いものに、スコールは悦びに満ちた声を上げる。
ビクッ、ビクッ、と四肢が跳ねて、媚肉がレオンの雄にみっちりと絡み付いて行く。

 レオンはスコールの腰を掴んで、律動を始めた。
尻の双丘の隙間から、じゅぽっ、にゅぽっ、と出入りする雄が見える。


「はっ、あっ、あんっ、あぁっ…!レ、レオン…んっ、ひぃんっ!」
「いつもより、締め付けて来るぞ…っ!」
「ひっ、はぁっ…!だ、だって…んっ、こ、こんなぁ…っ!こんな、所で……あぅんっ!」


 天井の膨らみの場所を突き上げられて、スコールは目を瞠った。
ぐりぃっ、と同じ場所を押され、はくはくと濡れた唇が開閉し、端から唾液が零れ伝う。


「あ、あ……っ」
「キッチンで、こんなに興奮して……」
「んひぅっ…!や、動かな…あぁっ、あっ、んぁあ…っ!」


 絡み付き、締め付けて来る媚肉を擦りながら、レオンは律動を速めて行く。
縋るものを求めて彷徨ったスコールの手が、サラダボウルに当たって、くわん、と金属音が鳴る。
途端、きゅぅっ、とスコールの秘孔が締まって、レオンの雄に先端から根本までみっちりと噛み付く。


「う、く……っ!」
「んんっ…!レ、レオン…や、んっんぁっ!あぁっ!」
「用意をしている時から、こんなにして。いやらしいな、本当に」
「そ、そんな…事……あぁんっ!」


 レオンの言葉を否定しようとしても、熱の塊がそれを全て打ち壊してしまう。
第一、スコールはレオンの言う通り、彼を誘うつもりでこんな格好をして、彼の帰宅を待っていたのだ。
死にそうな程の恥ずかしさの中、心の隅で密かに期待を抱いていたのも事実であった。

 スコールはキッチン台のステンレス板に額を押し当てて、下肢を突き上げる快感に翻弄される。
エプロンは汗と蜜液でどろどろに汚れ、皺だらけになっている。
もう着れない、と頭の隅で考えて、その思考も下腹部を襲う熱の塊に奪われた。


「んっ、んぁっ、あぁっ…!はっ、あふっ…!うぅんっ!」
「ん、く……うっ、……!」
「あぁっ、あっ、ひぃっ!レオ、んぁあっ…!」


 秘孔が裏返るのではと思う程、激しくなって行く律動に、スコールは最早言葉を紡ぐ事も出来なかった。


「ふぁっ、あっ、やぁ……はぁんっ!ひっ、んっ、あぁんっ!」
「っは……スコール、うぅ…っ!」
「レオ、レオン、んっ、ひくっう…!いあっ、あっあぁっ…!また、来るぅっ……!」


 キッチン台に額を擦り付けたまま、ふるふると頭を振って訴えるスコール。
瞬間を堪えようと唇を噛んで四肢を強張らせれば、媚肉がきゅうっと閉じて、一層強くレオンを悦ばせた。

 レオンはスコールの前部に手を回し、反り返った一物を握った。
ビクッ、と震えるスコールの背中にキスをして、レオンは手の中のものを扱き始める。
どろどろに濡れそぼった其処は、直ぐに膨らんで勃起し、新しく蜜液を零し始める。


「んぁっ、あっ、やっ、あぁっ…!レオ、やめ、出るっ、んんっ!」


 先のようにエプロン越しではなく、直接触れられる快感に、スコールの躯を甘い痺れが駆け抜ける。
きゅうぅっ、と閉じる秘孔を、レオンは律動を速めて、ずんずんと突き上げた。
突き上げられる度、スコールの裸足の爪先が床から浮いて、キッチン台に俯せになったスコールは尻を突き出す格好になる。


「あぁっ、あは、んぁっ、はぁんっ…!」
「イくか?」
「んっ、イく、イくっ…!あぁっ、はひっ、ひぃんっ!」


 雄の根本をぎゅうっと握られ、体内の熱を絞り出すように、握った手が前後に動く。
体内の熱を奥から押し出され行く感覚に、スコールに逆らう術はなく、スコールは甲高い声を上げながら二度目の絶頂を果たした。


「はぁっ、んぁあああんっ…!!」
「う、う……っ!」


 白濁をレオンの手に掃出し、昂ぶりの最高潮を迎えたスコールの躯は、咥え込んだ男の欲望を大いに悦ばせた。
ビクッ、ビクッ、と絶頂の余韻に戦慄く体に連動するように、媚肉が脈を打ってレオンの雄をマッサージする。
最奥へと誘い込もうとする肉の動きに従い、レオンもスコールの体内へと劣情を注ぎ込んだ。

 どろりとした濃い粘液が体内を満たして行く快感に、スコールの躯が震える。
掴まれた腰に指の痕が付くほどの力がかかったが、その痛みすら今のスコールには嬉しかった。

 劣情を注ぎ込んだ流れが一段落すると、レオンは腰を引いて、埋めていた雄を抜き出した。
ずるり、と引き摺られて行く媚肉にスコールは艶の篭った声を漏らす。
秘孔が咥えるものを失うと、形を覚えたままの孔から、ごぽりと白濁液が溢れ出した。
ヒクヒクと痺れた下肢を痙攣させるスコールの太腿を、自身とレオンの精液が伝い落ち、足下のフローリング床に液溜まりが出来る。
レオンは、エプロンの中でどろどろに汚れた手を、拭い付けるようにスコールの股間に宛てて擦った。


「んぁっ、あっ…あぁ…っ」


 敏感な体が局部を弄られる感覚に震え、甘い声が漏れる。
ぐっしょりと濡れたエプロンの裏地が、レオンの腕に当たっていた。


「良かったな、エプロンしてて。キッチンが汚れなくて済んだ」
「ふ…あ……」
「でも、床はドロドロだ」
「んん……っ」


 股座を撫でていたレオンの手が、後ろへと回って尻を撫でる。
むに、と指で肉を挟むと、ピクッ、とスコールの肩が跳ねた。

 尻を撫でるレオンの手に、茫洋と浮いた熱の再発を促され、スコールは震える腰を捩らせる。
背後から見れば、キッチン台に伏せて差し出した尻をゆらゆらと振っているような格好だ。
レオンは唇に薄く笑みを梳いて、トロトロと肉欲を溢れさせている秘部に指を埋めた。


「ひぃんっ!」


 スコールの喉から悲鳴が上がるが、その声は甘露に満ちている。
撓った背中に珠のような汗が浮かび、貌はすっかり熱に蕩けてしまっていた。

 埋めた指が動いて、雄の熱を覚えたままの媚肉が掻き回されると、スコールは声を抑える事も忘れて喜び喘いだ。


「ふぁっ、あっ、あぁんっ!中…あぁっ、掻き回しちゃ……ひ、あ…だめぇ……っ、あっ、あっ、あっ…!んぁあっ…!」
「まだ欲しそうだな」
「は、はうっ…!あ、あ…レ、オンぅ…っ、あぁっ…!」


 レオンの言葉を、スコールは既に否定する言葉を持たない。
体はレオンによって与えられる快感に従属し、秘部は埋められたものを再び奥へ届かせようと誘っている。
見上げる瞳は、助けを請うように縋っているようにも、先を欲しがるように誘っているようにも見えた。

 淫音が再び響き始めるまで時間はかからず、また快感に踊らされる喘ぎ声ばかりが反響する。
直ぐ傍らの電気コンロで、冷めた野菜炒めが所在なさげに収まっていた。
二人の後ろでも、すっかり冷えてしまった夕餉が並んでいたが、既に彼等の頭からは抜け落ちている。

 レオンはスコールのエプロン下に手を入れると、胸を抱いて上体を起こした。
既にスコールの躯は自重を支える力はないので、レオンに寄り掛かる形で立っている。
埋められた雄が、スコールの呼吸に合わせて脈打つのを感じながら、レオンはスコールの項に歯を立てた。


「……誘ったのはお前だ。俺が満足するまで、離して貰えると思うなよ」
「あ…ん……っ…」


 耳元で囁かれた声に、スコールは体全体が甘い糸に絡め取られるのを感じる。
そんな彼の脳裏には、既に不安と呼べる感情はなく、背中の肌に感じる熱に身を委ねる事だけが幸せだと知っていた。



『レオスコで裸エプロン』のリクを頂きました。

どうやってスコールに着せようか考えた末、スコールが若干暴走しました。そんなスコールが可愛い。
がっつきはしなかったけど、レオンは結構気に入ってるようです。