シャワータイム・ラプソディ


 何度目かになる熱の奔流を受け止めて、スコールは背を大きく撓らせた。
シーツを蹴る足指が強張り、ずり、すり、と布地を滑る小さな音がする。


「んっ、う…んんっ……!」
「く……っ!」


 搾り取るように絡み付く壁の感触に、レオンが眉根を寄せて唇を引き結ぶ。
どくん、どくん、と脈打つ熱に、スコールはぞくぞくとしたものを感じて、しがみついた男の背中に爪を立てた。

 時間にすればほんの数秒足らずのものであったが、繋がり合う二人の体感時間は、もっと長く、濃厚だった。
呼吸すらも忘れて絶頂の余韻に支配される。
その波がゆっくりと引いて行くに従って、スコールの四肢の強張りも解けて行き、レオンも詰めていた息を吐き出した。


「は…はぁ……っ」
「ん、あ……んっ……」


 レオンはスコールの頭の横に自分の頭を落とし、組み敷くスコールを潰さないようにだけ努めて、体の力を抜いた。
きつく締まっていた内壁も次第に緩んで行き、レオンはゆっくりと腰を引いた。
ぬる…と滑る雄の動きに、ピクッ、ピクッ、とスコールの躯が微かに跳ねる。

 栓を失ったスコールの秘孔から、トロリと白いものが溢れ出した。
尻たぶへと伝い落ちて行くそれに、スコールは太腿を擦り合わせる。
同時に、耳元にかかるレオンの吐息に、彼の熱を注ぎ込まれたばかりの腹の中が切なく疼くのを感じた。


「ふ…あ……っ」
「ん……辛いか……?」


 零れたスコールの声に、レオンが柔らかな声で言った。
スコールはこれ以上情けない声が漏れないように、唇を閉じて、ふるふると首を横に振る。
無理をするなよ、と言うように、大きな手が優しく濃茶色の髪を撫でた。

 ぎしり、とスプリングの音が鳴って、レオンが体を起こす。
重なり合っていた肌が離れて行くのを感じて、スコールは物足りなさを感じた。
誤魔化すように重い体に寝返りを打たせ、皺だらけのベッドシーツに頬を押し付ける。
重い躯と、熱の余韻で火照った意識がふわふわと宙に浮いているような気がして、多分これは睡魔なんだろうとスコールは判断した。
それは凡そ間違いではなく、とろとろと瞼が下りて行く。

 ───と、そんな所で、ふわりと体が宙に浮いた。


「……え?」


 何が、とスコールが目を丸くすると、直ぐ近くに兄の顔があった。
自分とよく似たパーツだと、同級生の面々は言うが、スコールにはよく判らない。
八歳の歳の差の所為かも知れない、と言う思考は、現状について行けない思考の現実逃避であった。

 スコールは、横になった姿勢でレオンに抱き上げられていた。
背中と太腿に確りとした腕の感触があり、右の二の腕付近から、胸の奥の鼓動が聞こえる。
お互いに裸身であるから、火照りの冷め切らない体温も伝わっていた。


「な……」
「このまま寝ると風邪を引くぞ」
「だ、だからって、ちょっ、」


 抱き上げる腕から逃れようともがいたスコールだったが、レオンの腕は全く離れる事はない。
寧ろ、落さないようにと確りとした力で抱き抱えられてしまい、スコールは大人しくしている以外に出来る事はなかった。

 夜の冷気で冷えた廊下を通り過ぎ、バスルームへ向かう道程が、スコールには酷く長かった。
三十秒もかからないような距離だが、背中に感じる腕の逞しさや、顔を隠すつもりで寄せた胸の厚さ、耳元をくすぐる髪の毛や吐息など、意識するまいとすればする程、心臓が早鐘を打ってしまう。

 足で洗面所への扉を開けたレオンは、そのまま奥のバスルームのドアも開けた。
ゆっくりと床に下ろされると、夜の冷気に侵食された冷たい感触が尻に当たって、ピクッ、とスコールの躯が震えた。


「大丈夫か?」
「……ん」


 頷くスコールに、レオンがくしゃくしゃと濃茶色の髪を撫でる。

 レオンは暗いバスルームの明かりをつけるべく一端洗面所に引換し、スイッチを入れると、直ぐに戻って来た。
シャワーのコックを捻って温度を調整し、湯が沸き切って水温が安定した頃には、バスルームは湯気に覆われていた。
水圧を緩めたシャワーがスコールの肩に宛てられて、情交を終えて下がり始めていた体温が再び上昇するのを感じ、スコールはほっと息を吐く。


「熱くないか」
「……ん」


 シャワーの温度は適温で、スコールはバスタブの壁に背中を預けて瞼を閉じていた。
寝るなよ、とレオンは言わない。
スコールは気を失っているので覚えていないが、いつもスコールが意識を飛ばしたまま風呂に入れているのは想像に難くないので、このまま彼に身を任せていれば大丈夫だろう。
バスタブに湯を注ぐ様子もないので、恐らく、シャワーのみで事は済まされる筈だ。
それなら、このまま寝落ちても、溺れる心配はない。

 瑞々しい肌の上を、弾かれた水滴が細かく散って、伝い落ちて行く。
その一つ一つを皮膚に馴染ませるように、レオンの手がゆっくりとスコールの躯を撫でていた。
心地良い水温と、触れる掌の体温に、スコールは再び睡魔に攫われつつあった。

 ───が、


「足、開くぞ」
「…………えっ?」


 意識が半分眠りに沈んでいた所為で、スコールの反応は遅れた。
レオンはそんな弟に構わず、スコールの膝を割り開き、太腿にシャワーの湯を当てる。


「ひうっ」
「熱かったか?」
「……っ!」


 シャワーを太腿から離し、心配そうに訊ねるレオンに、スコールはふるふると首を横に振った。
赤らんだ顔を彼に見られないように俯かせ、高い音を漏らしてしまった口を手で隠す。

 レオンはそんなスコールを少しの間見詰めた後、シャワーの温度を僅かに下げて、もう一度スコールの足に当てた。
湯雨は少しずつ位置を登らせて行き、足の付け根に当たった。
其処から更に上って、スコールの薄い腹筋に雨が降り注ぎ、湯の水滴がヘソ周りから下へ下へ。
中心部にまとわりついていた、どろどろとした熱の名残が、温かな水に攫われて流れ落ちて行く。


「…ん……っ」
「どうした?」
「……なん、でも…ない……」


 流れ落ちる湯が際どい場所を滑って行く度に、スコールの背に痺れが奔る。
やっぱりさっさと寝てしまえば良かった、とこの時になってスコールは思った。

 性交の後のスコールは、大体が意識を失くしている。
激しいセックスで疲労しているのだから無理もなく、目覚めた時には朝から昼、と言うのがパターンであった。
それが、今日に限ってどうして意識を飛ばさなかったのか、とスコールは誰に対してでもなく愚痴を零す。

 シャワーの湯が流れて行くラインを追うように、レオンの手がスコールの躯を下りて行く。
ゆっくりと労わるように撫でる手は、悪戯な気配などないが、スコールはどうしてもその手を意識せずにはいられなかった。
特に、足の付け根やその狭間に手指が滑る時、スコールは無意識に体を竦ませていた。
開いた足が、何度も反射的に閉じようとするが、足の間にはレオンの体があって、隠す事も出来ない。
その所為で、何もかもが曝け出されている其処を、レオンの指が掠める度、零れそうになる声をスコールは必死に堪えていた。


「こんなものかな……余り長々すると、風邪をひくし」


 レオンが小さく呟いて、スコールは閉じていた目を薄く開けた。
見下ろした自分の中心部に、レオンの手が触れている。
何度も熱を吐き出した所為で汚れていた其処は、シャワーの湯のお陰ですっかり綺麗になっていた。

 終わった、とスコールがほっと小さく息を吐いた時だった。
レオンの手がするりとスコールの足の間に潜り込んで、ひくん、ひくん、と人知れず入口を蠢かせていた秘部に触れる。


「っレ、レオンっ!?」
「こら、動くな」
「ふ、ふざけるな!ちょっと待……んんっ!」


 慌てて逃げようとするスコールを、レオンはスコールの足を抱え上げる事で逃げ場を封じ、にゅぷっ、と秘部に指を埋める。
異物感に身を固くするスコールだったが、その反応とは逆に、彼の陰部はレオンの指を嬉しそうに咥え込んでいく。


「あっ、あっ…!や…、レ、レオン……っ!」


 くぷ、ぷぷ……と、レオンの指はこれと言った抵抗もなく、スコールの秘孔に埋められて行く。
つい数分前まで、もっと太いものを咥えていたのだから、指一本程度なら簡単なものだ。
更には中を濡らす蜜液が潤滑油になって、侵入を助けて行く。


「ん、ん……うぅんっ……!」
「大分溜まってるな」
「…は、ふ……っ」


 レオンの呟きに、誰の所為だ、とスコールは胸中で言い返した。
言うまでもなく、スコールの体内に残っているそれはレオンが吐き出したものである。
言えば、臆面もなくその事実を、面と向かって言われそうなので、スコールは唇を噤んで漏れる吐息を殺す事に終始した。

 埋められた指が、絡み付く媚肉を掻き回すように、ゆっくりと円を描いで撫でて行く。
肉壁に付着した粘液を拭い取ろうとしているのはスコールにも判ったが、丹念な指の動きが、性交の時を思い起こさせてしまう。
レオンは前戯の時、スコールを傷付ける事のないように、ゆっくりと丁寧に解して行く。
その時からスコールの意識は蕩けて行き、前戯が終わる頃には、すっかり茹で上がっている。
肉壁をゆっくりと浚うように撫でるレオンの指は、その時に感じているものと酷似していた。


「あ…う……っ、んん…っ!」
「スコール。足、抱えていられるか」
「…や……ん、うぅん…っ!」


 レオンの言葉に、スコールはゆるゆると首を横に振った。
自分で足を抱える等、恥ずかしくて死んでしまいそうな行為だ。
しかし、眉尻を下げるレオンの顔が見えて、彼の手をこれ以上煩わせる事に抵抗が沸いた。

 スコールはバスタブの壁に背を預け、両膝の裏に手を入れて抱えた。
足をM字に大きく開かせ、全てを曝け出す格好で、視線だけは背けて目を閉じる。
そんなスコールを宥めるように、褒めるように、スコールの頬にレオンの唇が触れた。
汗と湯の水滴が伝う赤らんだ頬を、レオンの舌がゆっくりと舐めると同時に、秘部に埋められた指が下壁をなぞりながら抜けて行く。


「んっ、んっ…!ふ、あ……っ!」
「シャワー、当てるぞ」
「んん……ひぃんっ…!」


 露わにされた股間にシャワーの湯が当てられ、敏感な個所への刺激にスコールは甘い声を上げた。
水圧が緩められているので、痛みのようなものはないが、細かい水の粒が当たるのが快感になってしまう。

 引き抜かれた指と、広げられた穴口の隙間から、こぷっ、と白濁が零れ出した。
濡れた指がスコールの秘孔縁を拡げ、その周囲にシャワーが宛がわれて、溢れ出した蜜液が洗い流されて行く。


「う、ん…んっ、んっ…ふぅうんっ……!」


 神経が集合している場所に集中して与えられる刺激に、スコールの腰がぶるっ、と戦慄く。
膝を抱える腕に力が篭り、シャワーの水圧が秘部すれすれに近付く度、ビクッ、ビクッ、と引き締まった太腿が跳ねた。

 レオンの指がもう一度挿入され、関節を曲げて指の先端が壁の天井を押した。
スコールは歯を食いしばって声を殺そうとするが、膨らんだ鼻から漏れる息は強く、体の強張りと連動するように、ふーっ、ふーっ、と音を漏らしている。


「んっ、んんっ!レ、オ…そこ…や、あぁ……っ」
「動くと長引くぞ」
「ひんっ、あっ…!しゃ、シャワー…退かして…ふぅっ…!」


 この行為の必要性は、スコールも理解しているつもりだ。
中に出されたものを放って置くと、後で腹の調子が悪くなる事もあるし、どろどろのままで眠るより、清められてからの方が目覚めも気持ちが良い。
けれど、意識のある状態で行われるこの行為は、スコールには恥ずかしくて堪らなかった。


「は、はぁっ…!ん、ひ……あっ、あっ、あっ…!」


 レオンによって何度も昂ぶり、その都度果てた躯である。
その熱を与えてくれる人に弄られて、感じるなと言うのが、土台無理な話なのだ。
それでも、今はそう言う場面じゃないから、とスコールは必死で躯の反応を抑えようとする。

 しかし、その堪える姿もまた、彼の想いとは逆に、目の前の男を煽り立てるものでしかない。


(……不味いな)


 弟の秘奥を弄る手を止めずに、レオンは思った。
くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、と淫音が響く度、スコールの濡れた唇から甘い声が漏れている。
今までに何度となく、性交の後にスコールの躯をその手で清めていたレオンであるが、意識のある彼の反応を見たのはこれが初めてだ。
気を失っている時でさえ、身体が覚えた快感を拾って反応を示していたスコールだが、やはり意識のあるなしでは違いがある。
淫部に埋めた指を、ほんの僅かに動かすだけで、スコールは体を震わせ、零れる声を抑えようとしている。
それを暴きたいと思ってしまえば、レオンは止める手立てを持たなかった。


「…もう少し奥まで入れるぞ」
「待……うぅんっ!」


 スコールの覚悟を待たず、レオンは陰部に挿入した指を根本まで突き入れた。
にゅぷぅっ!と勢いよく挿入された指が、上壁を突き上げて、ビクンッ!とスコールの躯が跳ねる。


「ふ、あ…っ…ああ……っ!」


 挿入された指が、スコールの秘奥をツンツンと突く。
ビクッ、ビクッ、とスコールの躯が跳ねて、すらりとした白い喉が露わになる。
レオンはひくひくと震えるスコールの喉に唇を寄せ、浮き出た喉仏に柔らかく歯を立てる。


「んぁっ…!」
「ん、」
「…レ、オ…ちょっ……んんっ!」


 明らかに事後の処理と言う行為を逸脱するレオンの行動に、スコールは頭を振ってレオンを止めようとするが、秘部に埋められた指をくにゅっと掻き回されて、抗議は喘ぎ声に取って代わられる。

 スコールは足を抱えていた腕を解き、寄り掛かって来るレオンの肩を掴んだ。
押し除けようと腕に力を入れるが、奥壁を爪で引っ掻かれると、容易く抵抗の力は失われてしまう。


「レオ、レオン…っ!や、あ…はひっ、ひぃっ…!」
「…いやらしいな。処理してるだけなのに、感じてるのか」
「んん…っ!これの、何処が……あっ、あっ、あっ…!」


 指を曲げたまま、指が前後に動いて、内壁の奥から入口までを擦られる。
開かれた足が爪先まで強張って、スコールの中心部が段々を頭を持ち上げて行く。
レオンは其処に、泣いているシャワーヘッドを押し当てた。


「ふあっ、あぁあああっ!」


 無数の水滴から与えられる快感に、スコールは甲高い声を上げて仰け反った。


「やっ、あっ、レオンんんっ!ひっひぃっ、んぁああっ…!」
「どうした?」


 遮二無二頭を振り、逃げを求めて腰を捩らせるスコールだったが、シャワーはぴったりとスコールの雄に押し付けられている。
ゼロ距離と言う位置から与えられる水圧は、緩めに設定されているとは言え、過敏な場所に与えられる蒸しできるものではない。
況して、スコールの躯は十数分前まで最高潮まで高められており、その時の熱の名残もまだ抜け切っていない。

 レオンはスコールの中心部に宛てたシャワーを、ゆっくりと上下に動かした。
竿全体を扱くように移動する水滴の圧に、雄はむくむくと膨らんでいく。
天を突いた雄の頂点にシャワーを当てると、スコールは声にならない悲鳴を上げ、レオンの指を咥えた秘部がきゅううっ!と強く締まる。


「あぁっ、あぁっ!レオ、やだ…やっ、離、んんんっ!」
「綺麗にしているだけなのに、こんなにして。ひょっとして、物足りなかったのか?一杯イかせてやったのにな」
「違、あんたが…あっあ、や……うぅんっ、中、掻き回すな……あぁあ……!」


 シャワーの快感に悶えるスコールの秘部奥を、レオンの指が爪を立てて撫でる。
柔らかく解れた内部は、まだどろどろとした粘着液をまとわせていたが、それを処理する必要性について、レオンは既に頭から追い出している。
それよりも、悶え喘ぐスコールの姿に、情事を終えてからも燻っていたものが再燃するのが抑えられない。

 スコールの雄はすっかり立ち上がり、色付いた先端を膨らませ、切なげに震えていた。
シャワーを絶えず当てられている先端からは、先走りの蜜が溢れ出していたが、湯とともに直ぐに流されてしまうので判らない。
レオンは雨の中に指を宛てて、水圧の方向を変え、先端の穴に近付けた。


「あひっ、あっ、やあああっ!レオンっ、だめ、それ…あぁっ、んんっ!そんな所……ひぃんっ!」


 スコールは手で局部を隠して水圧から逃れようとするが、じゅぷっ!と秘奥を突き上げられる。
更にぐりぐりと最奥の壁を押されて、スコールは強張った足をビクビクと痙攣させた。


「や、ひっ、レオン、あっあぁっ!そ、そんな、したら…ああっ、イ、イく……出る、からぁ……っ!」


 前と後ろと、それぞれ敏感な場所に与えられる激しい快感に、スコールは前後不覚の状態に陥っている。
足を限界まで開いた状態で、尻を浮かせてビクンッ、ビクンッ、と前後に揺らめかせる様は、自ら男を誘おうとしているように見える。
勿論、本人にそのつもりはなく、強過ぎる快感から逃げを打っているのだが、その動きは酷く淫らなものだった。

 スコールはレオンの首に縋りつき、肩に爪を立てた。
体の奥から上って来る衝動に引っ張られ、スコールの四肢がピンと強張る。


「や、イっ、あっ、イく…っ!イ、くぅううんっ!!」


 叫ぶスコールの秘孔から、レオンの指が一気に引き抜かれる。
肉を擦られる快感に、スコールは体を弓形に反らして絶頂した。
吐き出された蜜液は、降り注ぐ雨に攫われて行き、湯と混じってスコールの股間を流れ落ちて行く。


「はっ、あっ、あぁっあぁあっ…!や、あ…もう、ああっ、離し、ぃい……っ!」


 スコールは躯中の力を失ったまま、陰部に宛てられる水圧に与えられる快感に悶え、悩ましい声を上げる。
悪戯にレオンが指で水圧の方向を変えてやると、その都度、当たる場所がヒクッヒクッと反応を示す。
何処に当たっても官能を感じてしまうスコールに、レオンの中心部にも熱が集まっていた。

 レオンがシャワーを遠ざけると、スコールは座り込んだまま、くったりと弛緩した。
しかし、スコールの雄はそれまで与えられた快感の波を蓄積したように、頭を反らせたままになっている。
徐にレオンが裏筋に指を這わせれば、ヒクン、とスコールの腰が震えた。


「は…あっ…んぁ……っ」
「……スコール」


 レオンはシャワーを床に転がし、スコールの躯を抱き上げた。
胡坐を掻いた膝の上に乗せると、レオンの中心部がスコールの秘部に当たる。
その熱の塊の堅さを感じ取って、スコールの躯が熱を増す。


「レオ、ン……」


 名を呼ぶ弟の髪を、レオンはゆったりと梳いて、後ろ髪の隙間に覗く項に指を這わせた。
スコールはむず痒さに肩を揺らしたが、レオンの下から逃げる事はなく、快感の名残で震える膝をレオンの腰に絡み付かせた。

 これ以上の行為は、明日のスコールを思うならば、止める方が賢明だ。
レオンよりも格段に身体の負担が重いスコールは、現時点で腰が立たない程に疲弊している。
このまま続行すれば、明日丸一日は動けないであろう事は想像に難くない。
明日のスコールは休日なので何も心配する事はないが、するべき事が皆無と言う訳ではないので、適当な所で休ませるべきだ。
だからレオンも、まだ続きをしたい気持ちを抑えて、スコールを風呂に運んだ筈だった。

 けれども、このまま何もせずに終わりにしろと言うのは、拷問だ。
猛った雄をスコールの陰部に宛がい、レオンは細い腰をしっかりと捕まえて、一気に奥へと挿入させた。


「っんぁああぁああっ…!」


 ぬぷぅうううっ、と入口から最奥へと一息に突き入れられる快感に、スコールは甘い声を上げて、レオンにしがみついた。
スコールの躯は快感に強張っていたが、秘奥は柔らかく蠢き、レオンの雄にねっとりと絡み付いて来る。
処理し切れていなかった粘液も混ざり、レオンが直ぐに律動を初めても、スコールが苦痛を訴える事はなかった。


「あっ、んぁっ、あっ…!あ、ひっあぁっ…!」
「は……スコール、んっ…!スコールの中、凄く熱くなってるぞ…っ!」
「ふあ、あひっ、はぁあん…っ!レオ、ンのも…熱くて、あっ、かたいぃ……っ!」
「お前がいやらしいからだよ、スコール」


 レオンの言葉に、スコールはふるふると首を横に振るが、彼の陰部は悦ぶように雄に食い付いて離れない。
にゅるぅっ、と雄が引いて出て行こうとすれば、入り口がぴちっと閉じて、レオンを捕まえる。
そのまま入口の裏側を、雄の膨らみでぐりぐりと弄ると、スコールはビクッ、ビクッ、と躯を戦慄かせた。


「あっ、あっ、あっ、あっ…!レオ、あっ、レオンん…っ!」
「後で、また…んっ、綺麗に、しないと……」
「ふあ、もう、もういい…あっ、ひぃっ!し、あひっ、しなくて、あっ、いいからあっ、んっ、あぁっ…!」


 腰を抱えて固定され、ずんずんと最奥を突き上げられて、スコールは言葉を紡ぐのもようやくと言った状態だった。
体が大きく揺さぶられる度、首が据わらない子供のように、スコールの頭も揺れる。

 レオンはスコールの後頭部に手を添え、自分の肩へと寄せてやると、スコールの耳元に唇を寄せた。
ちゅる、と舌を這わせると、スコールの躯がピクッと震え、秘孔がレオンの雄を締め付ける。
その締め付けを振り解きながら、レオンはスコールを床に押し倒し、上に覆い被さって律動を続けた。


「あっ、んっ、んんっ…!んぁっ、あっ…!」
「でも、お前は…シャワーでイくような奴だから……、幾ら綺麗にしても、終わらない、な…っ!」
「やぁ……っ!言うな、あ……っ!」


 耳元で囁かれる自身の痴態の有様に、スコールは首を横に振って嫌がるが、そんな仕種すらレオンには興奮してしまう。
体内に埋められた雄が膨らみを増すのを感じて、スコールは背を撓らせた。

 レオンはスコールの片足を持ち上げ、自分の肩に乗せた。
淫部を大きく曝け出し、繋がる場所もレオンから具に見下ろす事が出来る。
スコールは体を揺さぶられながら、秘部に注がれる視線を感じていた。
意識するまいとすればする程、熱を籠めた視線を感じてしまうようで、ぞくぞくとしたものがスコールの躯を欠け上る。


「は、はぁっ、あぅんっ…!ひ、見る、見るな…あっ、あっ、」


 寝室の暗闇の中で肌を重ね合せていた時と違い、今は煌々とした灯りが二人を照らしている。
レオンを咥え、ヒクヒクと蠢く秘孔の形も、全てレオンに見られている───そう思うだけで、スコールの秘孔はレオンを締め付けてしまう。


「見られて興奮しているのか?スコール」
「んっ、して、ない……あっ、やっ!」


 それなら、と言わんばかりに、レオンはスコールの腰を持ち上げる。
スコールは大きく足を開かせ、逆足の膝を床に立て、膝立ちになったレオンに淫部を差し出している格好となっていた。
不安定な自重のバランスを保とうと、腹筋に力が入り、きゅっ、きゅうっ、と秘孔が動いて、咥えた雄をマッサージする。

 レオンはスコールの腰を落とさないように固定して、腰を大きく前後に動かした。
入口から奥までの狭い道を、太いものが何度も出入りする度、ぐちゅっ、にゅちゅっ、と卑猥な音が響く。


「や、ふぁっ、んぁっ、あぁっ…!」
「もうイきそうだな」
「はひっ、んんっ…!あ、あう…や、あ…あぁ…っ!」


 レオンの律動に合わせ、反り返ったスコールの雄が揺れている。
竿には薄らと血管が浮いており、レオンが奥壁を突く度、ぴゅくっ、と堪え切れなかった汁が噴き出した。
それを堪えようとスコールが腹に力を入れれば、内道がみっちりとレオンに絡み付いて、その形をまざまざと伝えて来る。


「あっ、あっ、あぁ…っ!やあ、ん…レオン…っ、レオンぅっ……!」


 床についたスコールの片膝が震え、蒼い眦から大粒の涙が溢れ出す。
泣き出したスコールに苛めすぎたかと思ったレオンだったが、スコールの表情は恍惚とし、頬は火照りで赤らんでいる。
突き入れた雄で、天井の膨らみを押し潰せば、ビクッビクッとスコールの足が痙攣する。


「んぉっ、ひぃっ…!レ、オ……そこ、んっ、いぃ…っ!」
「う、く……っ!」
「レオンの、奥、当たるっ…!は、あっ、ああっ、抜けて、んんっ…!ふぁああっ!」


 一端引いた肉棒が、ずんっ!と最奥を突き上げた。
その瞬間の快感に、スコールの躯は一気に熱を吹き上げさせ、高い声を上げて今日何度目になるか判らない絶頂を迎えた。

 スコールから吐き出された蜜液が、シャワーの湯で流されて消えて行く。
その傍らで、レオンは歯を食いしばり、もっと、もっとと締め付けるスコールの中に自身の欲望を吐き出した。
注ぎ込まれるどろどろの熱に、スコールは腰全体が甘い痺れに襲われるのを感じ取る。


「んぁっ、あっ…熱いの…んっ、出て、え……っ!」
「っは……ふふ…」
「んん……っ」


 頽れるスコールの躯を支えながら、レオンはゆっくりと埋めた雄を引き抜いた。
秘孔からどろりとした白濁が溢れ出し、尻たぶを伝い落ちて行く。

 レオンは肩に乗せていた足を下ろし、俯せになっていたスコールの躯を仰向けにさせると、両膝を左右に開かせた。
M字に足を開かされたスコールの局部は、ほんの少し前に綺麗にした筈だと言うのに、それ以前と変わらない有様になっている。
紅く色付いた秘孔が、トロトロと蜜を溢れさせる度、その感触にすら官能を示すように、ヒクッ、ヒクッ…と伸縮を繰り返していた。
レオンの指がその縁に触れると、「んぁ……っ」と甘露を含んだ声が零れる。


「また、綺麗にしないとな……」


 通りの良い声で呟かれた言葉は、広くはないバスルームの壁に反響して、スコールの鼓膜を揺らした。
その振動はスコールの脳まで届いて、甘い甘い毒のように、思考能力を溶かして行く。

 抱き上げられて膝上に乗せられ、落ちて来た唇を、スコールは己のそれで受け止める。
湯冷めだけは気を付けよう、と思いながら、きっとそんな考えも直に消えてしまうのだ。




『レオスコの甘め』でリクエストを頂きました!
甘め……の筈なのにレオンがちょっと意地悪なのは何故。でもスコールも嫌がってません。

設定的にはオフ本の『籠ノ中ノ鳥ノ夢』ですが、現代パラレルの兄弟モノと思って頂ければ大丈夫です。