Dependence









やけに依存している自分に気付く


そんな自分が嫌じゃない

そう思ってる自分に気付く





無邪気に笑う子供を前に………

















傍らで折り紙に夢中になっている子供。

今までは重要書類を勝手に使ってやっていた折り紙。
しかし今は、天蓬の持ってきた色紙で。
捲簾が教えていた何かを作っているらしい。




「金蝉、見て見て」




仕事中で書類に向っていた金蝉。
その金蝉の足を、悟空はぐいぐいと引っ張った。




「これ見て! オレが作ったの」




最初は書類に眼を通していた金蝉。
しかしあまりにも悟空が引っ張るから。
仕方無に視線を下へと落とした。

そして子供が手に持ったものを見る。
其処には、三角を主流に折られた代物。




「これ紙ヒコーキって言うんだって!」




言って悟空が紙飛行機を手放す。
それは少し宙に浮いて。
カサリと音がして、床に落ちた。




「ケン兄ちゃんに教えてもらったの!」
「捲簾に……か?」




そう言うとうん、と悟空は頷いて。


あいつもいい大人だろうに。
この子供とまるでレベルは一緒のように思う。

むしろ同じなのだと。



ふと部屋の中を見回した。
そして眼前の光景に頭を痛める。

色とりどり紙飛行機が部屋中に散乱していた。
一つ作って飛ばし、また作ってまた飛ばす。
それを繰り返していた結果なのだろう。

傍らではまた、床に座って折り始めている。
その表情は実に楽しそうだった。

悟空は紙飛行機に夢中になっていた。

作っては飛ばし、飛ばしてはまた作る。
それをずっと繰り返している。

その度に紙の擦れる音が耳に届く。
だが子供の表情はずっと嬉しそうにしていて。
折角大人しいのだから、とそのままにしていた。




──それからどれだけ時間が経ったか。
気付けば、紙の擦れる音は途絶えていた。




「……悟空?」




不思議に思って、視線を落とした。
すると足元では、小さく寝息を立てている子供の姿。

折り紙作りに疲れてしまったのか。
何時の間にか、悟空は夢の世界だった。


その手には作りかけの、黄色い紙飛行機。


起こさないように、どうにか抱き上げる。
膝の上に乗せると、穏やかな寝顔が覗いた。
意外と枷の重みは感じられなかった。

ただ鎖のぶつかり合う音が邪魔だった。




「ん〜ぅ……」




悟空が腕の中で身動ぎする。
起こしたかと思って視線を落とす。
しかし悟空は、未だ夢の中だった。




「……バカ面だな…」




大地色の髪を撫でながら呟いた。


けれど、自分はこの表情が嫌いじゃなくて。
夜眠っている悟空の傍らで、何度となく見た。

時折「怖い夢を見た」と泣いて起きる。
けれどそれ以外は、ずっと穏やかな表情のままで。

悟空がうっすらと目蓋を上げる。




「こんぜぇ……」




名前を覚えたばかりの子供のように。
舌足らずな口調で呼んで、手を伸ばす。
小さな掌は、金蝉の髪に絡まった。

緩い力で握られた。
悟空の顔が、羽根が舞うように笑顔になる。



少しだけ開いていた小さな唇に。
優しく、自分の唇を押し付けた。






……天蓬の言葉を思い出す。





『僕らは望んでしまっているのかも知れませんね……』



───あの子の、笑顔を……───









永かったと思う。
小さな子供に口付けていた、その時間は。

時間の流れはほんの一瞬かも知れない。
けれど、金蝉にとっては永い時間で。



後悔は、少しだけあった。
幼い子供に、こんな感情を抱えて。
悟空が怯えなかった事に甘えて、感情はまだ収まらなくて。


悟空が少しでも、拒否してくれたら。
適当に誤魔化せたかもしれないと思った。

それが大人のずるさだとしても。




「なにしてるの……?」




子供の問いに答えなかった。
もう一度、深く口付ける。
息苦しいのか、悟空は少し顔を赤くした。


本当に、大人はずるいと思った。



解放すると、潤んだ金瞳が見えた。
不足していた酸素を取り込む悟空。




「ね、なにしてんの…?」
「………さぁな」




金蝉の掌が、悟空の服をたくし上げて。
悟空は意味が判らなくて、きょとんとして。



本当に、ずるいと思った。
この子供は、何も知らないのだ。

だからこそ……自分のものに出来ると。


あの、笑顔も。




「怖くないから、俺に全部任せていろ」




安心させるように言えば。
素直な悟空は、金蝉を見上げて「うん」と言って。




「ふゃっ…!」




曝された胸の果実を舐め取った。


悟空の小さな身体がふるりと震えるのが判る。
けれど抵抗なんてしてこない。

任せていろと言ったから。



幼い子供には、強すぎるだろう快楽。
けれど今更、止める事も出来ずにいて。

ただ怖がらせないようにと。
脅えさせないようにと。




「んっ…やぁ……なんか…ヘン……」
「変じゃねぇよ……」
「だぁって……やっあ……」




漏れ出でる小さく艶を含む声。
悟空は確実に快楽を拾い上げていて。



このまま行けば、染めていける。

自分だけのものに。




悟空に優しく口付ける。

そうすると、悟空の身体の震えが止まって。
だから、尚の事止める事が出来ない。



左手で、膝上の小さな身体を抱き締めて。
右手で胸の果実を弄る。




「んっ…ん……ぁ……」




コリコリと爪を当てると、顔を赤くした。




「や…っは……ぁんっ……!」
「顔真っ赤だぞ。恥ずかしいか?」
「…わ…わかんな……けどぉ……っ」




右手を外して、今度は下肢へと滑らせる。
ズボンの上からでも判るほど、其処は既に立っていた。

触れると、悟空の身体が一瞬震えた。


縋り付いてくる身体を強く抱きしめる。
そのまま右手で、秘部を扱く。




「あっ、あっ…! やっ、こんぜ……っ!!」




ズボンも下着も剥ぎ取れば。
小さな剣が、存在を主張していて。
悟空は先刻以上に顔を真っ赤にする。

秘部に一本、指を差し入れる。
悟空の身体が震えて、一層強く抱きついてきた。
その反動で指が奥に当たる。




「や…やだ……こわい……っ」
「慣らさねぇと後でつらいのはお前なんだよ」
「だって…こわいぃ……っ…」




狭いナカが金蝉の指を締め付けて。




「あっ…あぅ…ん、やっ…は……」




少しずつ指を動かして。
悟空の身体の震えは未だに残ったままだけど。


大丈夫だから、と優しく囁いた。


零れ落ちる愛液。
悟空もいつしか「怖い」と言わなくなって。




「んぁ…あ……っは…」




ぐちゅ、と卑猥な音が聞こえてくる。
快楽に身を委ねる小さな子供。


最初に拒まれていたら、と何度も思う。
けれどもう、後戻りできる事はなくて。


金蝉が指を引き抜く。
細く長い指に、白濁の液が絡まって。

それを視界の端に捕らえたのだろう。
悟空が脅えたように身をよじった。




「逃げなくていい」
「だっ……やだぁ……」
「怖くなんかない。だから泣くな」




秘所はすっかり濡れきっていて。
欲しがるようにひくつく悟空のナカ。

金蝉自身を、子供の中にゆっくりと埋めていく。

圧迫感が恐怖へと摩り替わるのだろうか。
悟空は金蝉に縋りついて。


繰り返される互いの呼吸には熱が篭る。

全てが埋め込まれて。
狭い肉壁が金蝉を離すまいと絡みつく。




「……怖い…か……?」




震える悟空に、小さく問い掛ける。
悟空は答える事は無く、縋りつくまま。


繋がったままで、小さな身体を抱き締める。




「怖くないから。俺がいるから……」




悟空が落ち着くまで、ずっと宥めて。
強く閉じられていた瞳が、ゆっくり開いて。

少し潤んだ金瞳が見えた。

流石にこれ以上、脅えた瞳は見たくなくて。
ゆっくりと身体を離そうとする。

しかしそれは出来なかった。
しがみつく目の前の子供の所為で。




「……悟空」




もうしないから、と続けようとして。




「……こわ…く、な……い…………」




悟空の小さな声が聞こえた。




「こんぜん…だ……たら………こわく…ない……」




やせ我慢にも見える言葉で。
震える手は、一体何に対してなのか。

けれどその言葉は、きっと本心でもあって。
真っ直ぐ見詰めてくる瞳に、先刻までの脅えは無い。


抜きかけていた高ぶりを、打ち付けた。




「っあ……!」




締め付けてくる内壁。

金蝉の表情が少しだけ、苦痛に歪む。
小さな子供の内側は、どうしても狭くて。
けれど熱くて、離す事など出来なくて。


少しずつ律動を早めていく。
悟空の身体も、それに必至について行くように。




「はっ、あぅっ、ひ…あ……!」
「もう…出そう、だな……」




絶頂を迎える幼い子供を。
金蝉は強く抱き締める。




「あ……あぅっ………!!」
「……く……っ……」




机の下に落ちていた、黄色い紙飛行機。
飛ばしてみると、少しだけ前に進んで。
音を立てず、静かに床に落ちた。

腕の中で小さな子供が寝息を立てている。



………ずるいと思っていた。

悟空は金蝉のことを信頼しているから。
だから何も知らなくても、抵抗しなかった。
そしてそのまま、甘んじて。


ただ、「ずるい」と思う中で。
拒否されなかった事に、嬉々している自分もいて。


このまま、自分だけのものに染めていける。
この身体も、心も、全て。



あの笑顔さえも。






















やけに依存している自分に気付く



そして己のものにしたいと望んでしまう

頭も、声も、身体も、心も





俺たちの望む笑顔さえ











FIN.

後書
エロくねぇ。(爆)


うーん、これでいいのかなぁ……
書いてから疑問に思うってどうなんだ…



本編(外伝の)が痛い状態なんで……
ちょっと甘くしてみたんですが…甘くないし!

悟空がチビちゃんですから。
金蝉も無理させたくなかったという訳で。
ここで言い訳するなよ。


タイトル訳は【依存】です。