Punishment







他の誰かが、ほんの一瞬でも

この存在に触れる事は許さない








この金瞳に映し出される事さえも

























宿屋のベッドに躯を縫いとめられながら。
悟空は「なんでこーなったんだっけ」と思っていた。

真っ直ぐに金色の瞳を向けてみれば。
強い紫闇が、不機嫌な色を剥き出しにしていた。
怒り心頭なのだと、鈍い悟空にも判る程に。




「………三蔵、なんで怒ってんの…?」
「てめぇで考えろ」
「…紅孩児のこと怒ってんのか?」




出てきた名に、三蔵の眉間に皺が寄る。




「あれはさぁ…あっちが勝手に……」
「お前が無防備だからだろうが」
「だって行き成りだったし」
「俺以外の人間許してんじゃねーよ」




噛み付くように、口付けられる。




話は数時間前に遡る。


街に着くには、あと半日という距離。
やってきた刺客を、いとも簡単に蹴散らして。
全てが片付いた後にやってきた人物。

牛魔王の息子・紅孩児。
傍らに八百鼡、独角、そして李厘がいた。


彼が現れた事に、嬉々としたのは悟空だ。
如意棒を片手に、すぐさま飛び掛った。


いつも闘う相手は決まっていた。

八戒と八百鼡。
悟浄と独角。
三蔵と李厘。

三蔵としては甚だ不本意だが。


そして悟空の相手は、紅孩児。
彼に適う力を持っているのが悟空だけという理由もある。
だがそれより、悟空が彼を気に入っているのだ。



戦闘に夢中になりすぎた所為だろうか。
それとも単に、闘っていた場所が悪かったのか。

切り立った崖の際まで、二人は移動していた。


悟空は戦闘となると周りが見えなくなる。
派手な大立ち回りをしてしまうのだ。
紅孩児も、それにつられてしまったのだろうか。

よりによって、二人揃って崖下に転落。
下が深い河だったお陰で、どうにか助かった。




「お前の所為だぞ、紅孩児!!」
「……落ちたことには関係ないだろう!!」




子供の喧嘩のような言い合いをしながら、岸に上がって。
全身ズブ濡れの上、水面に叩きつけられた身体が痛かった。

落ちて無事だった事だけでも、感謝すべき事だ。

しかし水面に身体を打ちつけた所為だったのだろう。
悟空が足を痛めてしまったのだ。
紅孩児はなんともない顔をしていたが。




「……いって…うわ、赤くなってら」
「…ドジな奴だな」
「煩いな! いてぇ……」
「仕方ない……ほら、見せてみろ」




敵同士がお互いの傷の手当てをするなど。
はっきり言って可笑しな光景ではあるだろう。

しかし自分たちは、あまり相手を敵と認識しない。
倒すべき相手だとしても。
相手が万全な体制の時のみ、全力で。


悟空は大人しく、紅孩児の介抱を受けた。
紅孩児も真面目な顔をして応急処置をして。

無闇に動かさない方がいいと判断して。
応急処置を終えると、じっとしていろと告げて。
そのまま、自分は戻ろうとしたら。

急に服を引っ張られて、引き止められて。




「一人でいるのはヤだ」




真髄な瞳を向けて。
真っ直ぐに、そう言って。

その姿が、妹と重なってしまったのか。
それとも別の感情の所為なのかは判らない。
紅孩児は緩く息を吐いて、悟空の座る隣に腰を下ろして。




「……奴らが来たら、すぐに帰るぞ」
「…うん、それでいい」
「ちょっと待て、何故引っ付く!?」
「だって寒いんだもん」




ずぶ濡れのままで。
このままだと、確実に風邪を引くからと。

水温で随分下がっただろう、互いの体温。
だが紅孩児には、悟空の温もりは暖かくて。
気付けば、嫌悪感などは無かった。




「……お前…子供なんだな……」
「いきなりなんだよ?」
「…李厘の奴が、体温高くてな……お前と同じ位で」




ガキ体温なんだ、と呟いて。
その言葉に、悟空は頬を膨らませた。




「な…なんだ?」
「オレはガキじゃない!」
「…十分子供だと思うんだが」
「李厘はガキでも、オレはガキじゃない!」




癇癪を起こした悟空だったが。
足が痛いのが気になるのか、暴れる事はない。

しかしそうやって拗ねる表情は。
紅孩児の良く知る、妹と同じ顔。

幾分もしないうちに、互いの連れが来て。
悟空が嬉々として三蔵を呼ぶが、紅孩児は何も言わないで。
駆け寄ってきた妹の頭を撫でていた。

悟浄が悟空を揶揄して、八戒が心配して。
三蔵はと言えば、何も言わずにハリセン。


黙って紅孩児が李厘を連れ、八百鼡らの元に行こうとして。
悟空が慌てて、紅孩児を呼び止めて。




「足、ありがとな!」




笑顔でそう言った直後に。
掠める程度だったけど、唇を塞がれて。




「礼は貰ったからな」




───それが、三蔵の怒りの原因。








そしてこの宿に着いて、部屋割りを決めていたら。
行き成り三蔵に襟元を掴まれ、引き摺られてきて。
しかも八戒と悟浄から「ご愁傷様」と言われた。

そしてベッドに押さえつけられて、今に至る。



悟空は今、シャツ一枚を羽織っているだけ。
下肢は何一つ纏っていなくて。




「だからぁ…あれは……」
「お前の不注意だろうが。仕置きだ」
「ちょっ…や、やだっ!!」




シャツの下に手を滑り込ませて。
胸の果実を弄ると、躯が跳ねた。




「やっ…あ……!」




下肢を膝の皿で刺激されて。
それさえも悟空には快楽に繋がる訳で。
ふるふると悟空の躯が震える。

秘部に与えられる刺激に、既に蜜が零れ初めて。
早いな、と悟空の耳元で囁いた。
幼い表情が、羞恥で真っ赤に染まる。




「はっあ、さんぞ……やんっ、ふぁ…!」
「まだヤり始めたばっかだろうが」
「ンな事…言われ……あっ! や、ひぁ…ん!」
「イくには早すぎるぞ」




シャツをたくし上げて、胸の突起に舌を這わす。




「やっ…だめぇ……はぁっ…!」
「それとも、一回いくか? 指も挿れてねぇけどな」
「ひぁ、やぁんっ! あん、あっ…はぁんっ!!」




ぐいぐいと膝を押し付けられて。
早い絶頂に、白濁の液が零れる。
悟空の顔が赤く染まった。

生理的に浮かんでいた涙の雫を、ゆっくりと舐め取った。


力無く投げ出された四肢。

悟空の両足を押し上げると、秘部が曝け出されて。
蜜液がトロトロと其処から流れ出していて。
其処に三蔵は舌を這わした。




「あっ……や…さんぞぉ……」
「今日は幾らでもイっていい。それだけヤってやる」
「っあ…! はぁん…ひっぅ……! だめ、…っやぁん!!」




卑猥な音が部屋の中に響いて。
確実に悟空の性感帯をついて来て。
震える躯は、快楽に忠実になっていて。

増して相手が、三蔵だと言うこともあれば。
悟空の躯は、抵抗と言う言葉すら忘れていて。


零れる白濁の蜜液をそっと舐め取れば。
口の中に僅かな苦味が広がってくる。




「っはあ、やぁあ……っ! だめぇ……っ!!」




悟空の言葉も聞かずに、秘部に舌を捻じ込んで。

揺れる細い腰。
大きな快楽の波に、従順で。

悟空自身のナカで、舌を動かすと。
卑猥な音を聞いて、悟空は顔を赤くして。
それでも快楽を必至に拾って。




「さんぞォ…や…ああっ! ふぁンっ、ひあぁっ…!」




焦らすような抱き方をするくせに。
悟空の弱い部分には、しっかりと当てて。




「はっ…ぁ…! やぅっ、あぁっ……!」




一度既にイかされてしまった所為か。
迎える絶頂はやけに早かった。

三蔵の口内に、白濁の液が飛び散り、余す事無く飲み下す。


三蔵が自分の出したものを飲んだ事を知った悟空は。
真っ赤な顔をして、三蔵を見上げてきた。

そんな悟空の身体を、三蔵は軽々と抱き上げて。
今度は自分が寝転んで、悟空を身体の上に座らせる。
きょとんとした金瞳が其処にあった。


しかし、三蔵の台詞にそれは豹変する。




「自分で挿れてみろ」
「ふ……っ、ふざけんなぁっ!!」




三蔵の発言に必至になって反論する悟空。




「絶対やだ! そんなの………ひゃっ!!」




三蔵の手が悟空の尻の割れ目を撫でて。
悟空の反応を、満足げな顔をして見ていた。
彼の右手は、まだ悟空の小さな尻に置かれたままだ。

逆らう事は許されなくて。
悟空は顔を赤くしながら、身を起こした。

三蔵の身体を跨いで、足を開く。
濡れた秘部を三蔵の膨張した肉剣に宛がう。
それだけで小さな躯が震え上がって。




「……っふ…ぅ……!」




そのままゆっくりと、躯を下へ落として。
その都度、深く入っていく三蔵の雄。




「ん……ぅ…っは……!」
「息止めんな、キツくなるだけだ」
「だって……っあ…!」




言葉をまともに話す事さえ、余裕が無くて。

ただ悟空の小さな躯を支配していく快楽と。
じっと自分を見つめる紫闇に縛られて。

行為を止めるという事は、既に頭に無かった。



最奥を三蔵の剣が掠めた。
汗ばんだ悟空の髪が、ぱさりと揺れた。




「……そのまま自分で動け」
「さ……んぞが…っあ…!」
「もう自分で動いてるのにか? それとも無意識か?」
「あっ、あ…さんぞぉ……っ」




もともとこれは仕置きなのだ。
気付けば二人の頭から、それは抜け落ちていたけど。


悟空の腰が妖しく揺らめいて。
その度に三蔵の剣を、肉壁が締め付ける。
ぐちゅ、くちゅ、と卑猥な音が部屋に響く。

いつもはそれは、悟空の羞恥心を煽るけど。
今だけは、悟空に快楽を誘うもので。




「はぁっ……は、ひぁんっ! あふ、ふぅ…んんっ!!」




絶えず零れ続ける喘ぎ声。




「ほら……もっと奥まで欲しいんだろ?」
「っあ…! あぅ、ん……もうっ…さんぞぉ……!!」
「……なんだ? 喋る余裕がまだあるみてぇだな」
「だって……足んなっ……さんぞぉがいぃ……!!」




腰を振ったままで三蔵に縋るように。
既にその瞳に、理性はなくなっていて。

三蔵が腰を浮かせて最奥を貫いた。




「っやぁあん!!」




同時に白濁の液が飛び散った。
それでも絶えず、三蔵は禊を打ち付ける。
悟空もそれの律動に合わせて動いていて。




「は、あう、やぁあん! っあ! いやぁっ…! ふぅんっ……!!」




喘ぐ悟空の躯を抱き寄せて。
全てを奪うほどに激しく口付けてやる。

間近にある、逆上せた瞳がやけに煽情的で。
普段は子供でしかないくせに。




「んっ…は……ぅうんっ…!!」




淫乱な躯。
それでも、そう言う風に育てたのは自分で。




「あっあっ、あんっ! も……だめ…ひぁあん!!」




奥へ奥へと誘い込んで。
深くきつく咥え込んだまま、離さないで。
三蔵に縋りついたまま、繋がったままで。

小さな躯から、力が抜ける。
その躯を抱いて、三蔵は小さく呟いた。




「………他の奴に触らせてんじゃねーよ……」




他の誰かが触れる事

この躯に、ほんの一瞬でも触れる事









俺以外の人間は見なくていい

俺以外の人間は知らなくていい










────それが、汚い独占欲だといわれても











FIN.

後書
裏1000HITキリリクでした!

『39で、紅ちゃんの関わってる話』という事で。
……ギャグチックになってしまいましたが…
紅孩児と悟空の会話は、そこそこ楽しく書いてました(笑)。
どさくさ紛れに何やってんだ紅孩児。

そして三蔵の方も独占欲全開。


後日紅孩児は李厘や独角に揶揄われまくる訳です。
三蔵は悟空から色々文句言われたりとか。
……終わった後に云々つけるの好きだな、私……


2003/03/05