remind of 前編






同じままなら、いっそ逢わない方が良かった

違うと言うなら、いっそ知らないままが良かった





それでも何も知らないあの頃は、ただ幸せで────………
























目覚めた途端に感じた、重み。
起き上がってみれば、幼い子供が其処にいる。

目覚めたばかりの、金蝉の腹の上に………




「……またか……」




呟きながら、金蝉はベッド下に視線を落とした。
その先には、子供サイズの布団があった。
使った形跡をそのまま残している。

その布団で寝るのは、今自分に乗っかっている子供で。
けれどこの子供は、いつも潜り込んでくるのだ。
疲労困憊のまま眠りについた、保護者の傍に。




「……ったく、いい気になりやがって」




言いながらも、叩き起こす事はせず。
大地色のふわふわとした髪を撫ぜてやった。


初めの頃こそ、叱り付けた。
仕事が進まず、苛立っていた事も理由だ。
後から「大人気ない」と天蓬に散々言われた。

けれど、最早いつもの事となっていて。
一回一回怒鳴りつけるのも疲れるもので。




「…にしても、やっぱ重てぇな……」




子供自身の重みは、たかが知れたものだ。
けれど、この子供はそれだけではない。
両手両足の枷が、余計な負荷を与えている。

ただ異端の者だと言うだけで………




「……ん、ぅ……むぅ〜…」




もぞもぞと悟空が身動ぎする。
閉じたままの目元を、小さな手が擦った。

そしてようやく、零れんばかりの大きな金瞳が輝いた。

悟空が顔を上げる。
見下ろしていた金蝉と、目があった。

まだ眠気の抜けきらない顔で、笑う。




「金蝉、おはよ」
「ああ」




子猫のように、悟空は金蝉に擦り寄った。
金蝉も頭を撫で、甘えさせてやる。

悟空が金蝉の腹の上から身を退かす。
そしてようやく、金蝉は起き上がる事が出来た。




「また入り込んできやがって」
「こっちの方が気持ちいいんだもん」
「こっちで寝るのはもう構わん。だが、俺に乗るな」
「乗る気はないんだけどなー」




悟空の寝相の悪さは十分理解している。
密着したがるという癖も。
だが腹の上で丸まって寝られるのは、少々辛い。


眠っている間の行動を諌めさせても、無駄と言うもの。
無意識のうちの行動だから、制御は難しい。
しかも相手は、バカ正直な子供なのだ。

そして、「やめろ」と口では言うものの。
金蝉自身、嫌いではないのだ。

重みはともかく、悟空の高い体温が。




「金蝉、今日仕事ないの?」
「ある。……が、どうせ誰にでも出来る雑務だからな」




放って置いて構わないだろう、と。

悟空の頭を撫でながら、告げてやれば。
みるみるうちに、悟空の表情が明るくなる。




「じゃ、今日一緒にいられるよな!」




大好きな保護者に抱きついて、嬉々として言った。


見上げてくる金瞳は、爛々と期待に輝いて。
金蝉の服を掴む幼い手は、強い力で。

早く、と答えを急かすように。
悟空は金蝉の服をぐいぐいと引っ張った。




「ここんとこ、放し飼いにしてたからな」
「オレ動物じゃないよ」




金蝉の言葉に、悟空が頬を膨らませた。



しばらくの間、仕事ばかりしていた金蝉。
悟空はと言えば、金蝉の邪魔はしたくないと。
天蓬や倦廉の元へと遊びに行っていた。

けれど、やっぱり金蝉と一緒にいたくて。
我慢はしていたけれど、思いはそれと別物で。


仕事が終わったら、一日だけでもずっと一緒にいたかった。



口付けて、抱き寄せて。
深いキスに、次第に悟空の顔が赤くなり。
恥ずかしさからか、小さな躯が震え始める。

ゆっくりと解放していくと。
悟空がその躯を、金蝉にそのまま委ねる。


向き合ったままの体勢から、悟空の躯を後ろ向きにさせて。
悟空は大人しく、金蝉に背を寄せた。

悟空の服をたくし上げ、其処に手を置いた。




「…っふ………」




子供の体温に比べれば、金蝉の手は冷たい。
敏感に感じ取った悟空は、小さな喘ぎを漏らす。




「ん、ぅん……ふぁ…」




首筋にキスを落す。
金蝉の長い髪が、悟空の首筋をくすぐる。




「あっ、あう、っは…んぁ…」




胸の飾りを指先で弄ぶ。
幼い躯は、素直すぎる程に反応を示す。

そうしたのは、金蝉で。


縋るように手を伸ばし、空を切る手も。
熱を抱く、小さな肢体も。

全部、金蝉が教え込んだもの。




「ふぁっ、ひゃっぁ……ん…っは……」




悟空の背筋を、ゆっくりと舌でなぞる。
生暖かい感触に、ビクッと肩が揺れた。




「あっ、あ……んぅ…こんぜ……」




乱れる呼吸の中で、悟空が名前を呼べば。
金蝉は、悟空の顎を取り、後ろから口付けた。
拙いながらも、その口付けに応えようとする。

くい、と悟空が金糸を掴んだ。
見下ろせば、涙を浮かべた幼子がいて。




「……こっち向き、やだぁ…」




金蝉に背を預けている悟空からは。
どうしても、金蝉の顔が見えなくて。

それは別に、怖い訳ではなかった。
背中に触れる温もりが、存在を教えてくれるから。
だがそれでも、金蝉の顔が見えないのは、嫌で。

……それに。




「ぎゅって…できない……」




行為の合間、縋り付いてくる悟空。
金蝉にしがみ付いて、躯を震わせて。
そして、大好きな温もりに抱き締められたいから。

金蝉が心なしか笑い、悟空にまた口付けた。
それから小さな躯を反転させる。


向き合った姿勢で、悟空が胡座をかいた金蝉の膝上に座る。
金蝉の広い胸に、ぽん、と頭を押し付けた。




「一休みしてる暇はねぇぞ」
「ん………っあ!!」




狭い秘部へと埋め込まれた、長い指。
それだけで、幼い性は過敏に反応し。
愛液を零しながら、自己主張を示す。

くちゅ、という音が聞こえて。
悟空が真っ赤になって、金蝉にしがみ付く。




「おい、動かせねぇだろうが」
「だ、って……んっ! ふ、ぁんっ」
「……ったく……」




悟空が縋りついたままの体勢で。
金蝉は、秘部に埋め込んだ指を動かした。

甘い声が、室内に響き渡る。




「あ、っん! やっあ……ひぁんっ!」




一点を突いた時に、一際高く上がった声。
其処ばかりを攻め始めると、悟空の躯が快楽に震える。




「や、ぁっ! こんぜ…んっ、いや、だめぇっ…」
「今更、何が駄目って訳でもねぇだろうが」
「んっ……ひ、あんっ!」




悟空の小さな手が、金蝉の肩を掴んで。
その手は、思いの外強い力を持っていた。

求めるように見上げてらる金瞳。
誘われたように、深く口付ける。




「ん……っ…ふ…っは………ぁっ!」




愛液が止めどなく零れていく。
悟空の細い腰が、強請るように押し付けられた。

悟空の腰を引き寄せて、膝裏に手を入れた。
己の雄は、既に大きく怒張していた。

初めの頃こそ、痛がってばかりだった悟空。
挿入時の痛みは、未だに変わりないが。
その後は、既に快楽を覚えていた。




「…こ…ん、ぜぇ……」
「ああ、急かすな」




乱れた呼吸の中、名を呼ぶ悟空。

脚を開かせ、秘所を曝け出させて。
幼くして、自己主張を止めない悟空の性。

金蝉は幼い秘所へ、己の雄を宛がった。




「………っあ……!」




悟空の呼吸が詰まる。

小さな躯が、圧迫感で硬くなり。
勿論の事、入り口もきつく締め付ける。




「悟空……息しろ……」




金蝉の言葉に、悟空は素直に息を吐き出した。

背中を軽く叩いて、促していれば。
少しずつ、悟空の躯の緊張が解けて。




「………続けるぞ」
「……ん………」




悟空が小さく頷いて。
ゆっくりと、金蝉の雄が、悟空の中へ侵入していく。




「…っは……ぁ………ん…」




先刻零した愛液が、少なからず潤滑剤となり。
痛みらしい痛みは、感じないようで。
時折小さく、喘ぎ声が漏れる。

全てが埋め込まれると、今度は。
悟空の小さな躯を、緩く揺さぶった。




「んっ、あっ……あ、ふっ……こ、んぜん…っ」




其処まで来れば、後はされるがままで。
揺さぶられ、深くまで貫かれ。
開きっ放しの口から、唾液が零れた。




「こ、んぜ……だめっ……も、でるぅ…っ……!」




限界を訴える悟空は、既に昂ぶりを示し。
幼い性は、はちきれんばかりに膨れ上がり。
決定的な熱があれば、それは確実に放出される。

縋りつく幼子に、深く深く口付けて。
解放しないまま、貫いた。




「──────っっ!!」




声をあげる事も無いままで。
幼い性は、その蜜を吐き出した。













こつん、と。
金蝉の肩に、悟空の頭が当たる。
大地色の髪が、金蝉の首筋に触れた。

見下ろすと、嬉しそうに笑う悟空がいて。
此処しばらく構ってやらなかったから、尚の事。




「オレ、今日、ずーっと金蝉一人占めしてた」
「それの何が嬉しいんだ」
「だって嬉しいもん。金蝉、オレのだもん」




ぎゅ、と悟空が金蝉に抱きついて。
金蝉は大地色の髪を、優しく撫ぜる。




「…そういう台詞を、他人に言うなよ」
「言わないもん、金蝉だけだよ」
「当たり前だ。言ったら殺す」
「言わないもん」




頭を撫でられて、気を良くしたのか。
悟空は仔犬のように、じゃれ付いて来た。




「金蝉、オレのだからね。勝手にどっか行っちゃダメだよ」




無邪気に言う、その言葉の中に。
幼いながらに自覚の無い、不安を見せて。

金蝉は、言葉の無いまま、口付けた。




「てめぇの面倒、俺以外が見れる訳ねぇだろ」
「金蝉のメンドー見れるのもオレだけだよ!」
「………クソババアか? その台詞は…」
「うん。なんで判ったの?」




正直に頷く悟空に、溜息を吐きながら。
あながち違っていない事に、金蝉は何も言えなかった。



















……ただ、幸せだった

それがずっと、永く続くと思っていた






傍にいろと言ったのは、あなたの方で

だからどんなに離れても、忘れ切れなくて


いつかは逢えると、信じていたから







…………『あなた』に……………











後編


後書。
1500HIT・綾さんからのリクですv
『金空+三空←焔』という事になっております。
長くなりますので、前後編に分けてます。


金空…この話だけで独立してます(笑)。
詩だけが一人歩きしてるみたいですが……後編に続くので。
この話を踏んだ上で、三空←焔です。

ホントに…遅くてすいません……(汗)