Alcoholism











理性の箍は、意外と外れ易いものだった

己の感情を自制するのは、不得意ではなかったのに










見上げる瞳に、簡単にそれは崩れ去る

























これは、どうしましょうかねぇ。

八戒はいつもの笑みを称えたまま。
目の前に広がる状況に、胸中で呟いた。




「おねーちゃん、ジョッキ追加ねー」
「悟浄、その辺にした方がいいですよ」
「………………」
「三蔵、あなたもかなりキてるんじゃないですか?」
「う〜〜〜〜……」
「悟空…だからあなたは飲んじゃ駄目だと…」




赤い顔で追加を頼む悟浄。
無言で煽り続ける三蔵。
テーブルに突っ伏している悟空。

一人で彼らに声をかけながら。
八戒はどうやって部屋に戻ろうか考えていた。


……この酔っ払い三人から、どうやって逃げようかと。










辿り着いた街、宿屋。
食堂の料理も、悟空を満足させるには十分な味。
部屋もそれぞれ、個室が取れた。

食堂には酒も何種か揃えられており。
三蔵・悟浄・八戒の舌も満足させ。
就寝前に少し飲もうと悟浄が言い出した。


悟空がそれに割り込んだのは、いつだったか。
ハイペースで飲んでいた悟浄が酔ってきた頃だ。

食事後、自室で一眠りしていた悟空。
目覚めて早速お腹が空いたのだろう。
寝惚け眼を擦りながら、食堂に来た。

本当は八戒に料理を作って欲しくて。
本人が部屋にいなかった為、探していたらしい。


そして三人が酒を飲んでいるところを見つけ。
「オレも混ぜろ!」と言ったのだった。


勿論、三蔵がそれを許可しなかった。
八戒も同じく、未成年だから、と。

しかし悟空は部屋に戻らず。
悟浄が注文していた摘みを食べて。
毎度の事、そこで悟浄とケンカをする。

そのケンカは、三蔵のハリセンで幕を閉じた。


だが幾分か時間が経てば。
悟浄は悟空を揶揄い出して。

確か、こう言っていた。


『お前にゃ麦酒も早ぇよ、まだお子様だもんなぁ?』


悟空が八戒に、酒を強請っていた時だ。
酔った赤い顔で、悟浄は悟空にそう言った。

沸点が低い悟空は、当然キレて。
悟浄が持っていたジョッキを奪い取り。
半分以上あったそれを、一気飲みしてしまった。


空になったジョッキ瓶を悟浄に突きつけ。
「ガキじゃねーよ!」と叫んだ直後。
悟空はその場で、即ダウンしてしまった。

それを見て笑った悟浄を、八戒は睨み。
三蔵は小さく「ガキ」と呟いた。

二人の反応が、さらに悟空の怒りを煽り。
悟空は意地になって、部屋に戻らないと言い。
三人の飲む酒を、一緒に飲み始めてしまった。


それが小一時間ほど続いて。

やはり、悟空は気分を悪くしてしまい。
テーブルに突っ伏し、口元を抑えていた。




「悟空、大丈夫ですか?」




もう何度かかけた声に、音を伴う返事はなく。
やせ我慢を示すように、悟空はこくこくと頷く。




「やっぱダウンかぁ? お子様〜」
「く……ソ、河童ぁ…っ!」




悟浄の揶揄の台詞を、八戒が諌めようとして。
悟空が動く方が、それより早かった。

悟空は悟浄のジョッキを奪い取り。
ほとんど満杯に入っている麦酒。
それを一気に飲み干そうとする。




「悟空、よしなさい!」
「へへ、ガキはすぐムキになるな〜」
「……三蔵も、保護者なら止めて下さい!」
「いーだろ別に。無駄だしな」




煽る悟浄と、無関心な三蔵。
悟空はそんな声を聞かず、麦酒を飲む。

ドン! という音がして。
八戒が視線を向けると、空のジョッキ瓶。
そして、再びテーブルに突っ伏した悟空。




「ああもう…悟空、大丈夫ですか?」




悟空の肩を叩き、呼びかける。

反応はない。
動く様子がない所を見ると、潰れてしまったらしい。
これ以上飲まないなら、その方が都合がいい。




「なに〜? 小猿ちゃんリタイア〜?」
「あなたもそろそろ潰れて下さい」
「なーに言ってんの、これからだろぉ?」




アルコールで赤くなった悟浄の顔。
何を言っても無駄だ。

八戒は三蔵へと視線を向けた。
こちらは何も言わずにただ飲んでいる。
多分、とっくに酔ってしまっている。


こういう時は、酔ったもの勝ちだ。
その場合、必然的に八戒の負けである。



八戒はまた、悟空に視線を戻し。
突っ伏したまま動かない悟空を見て、溜息を吐く。

このまま、ここにいさせる訳にはいかない。
悟浄が起こしてしまいそうな気がする。
そうすると、悟空はまた飲み始めるだろう。




「……僕、悟空を部屋に運んできます」
「なーんで、いいじゃん別にぃ」
「酔っ払いは勝手に飲んでて下さいね」
「………………」




三蔵からの反応はなく。
ただ悟浄だけが、色々文句を言っている。

八戒はそれら全てを無視し。
突っ伏している悟空を、起こし、抱き上げる。
意識はないものの、重みはあまり感じられなかった。

いつも食べているものは、一体何処に消えるんだか…









部屋に戻る間に、悟空が目覚める様子はなく。
悟空は八戒に抱えられ、すっかりお休み。

時折、歩く揺れが伝わるのだろうか。
身動ぎはするものの、瞼は上がらない。
八戒の胸に頭を擦り付け、また眠る。




「全くもう……駄目じゃないですか、悟空」




聞こえる筈もないけれど、言っておく。
まだ悟空自身が未成年であると言う事を。




「……もう飲んじゃ駄目ですよ」




悟浄に揶揄されても、挑発されても。

けれど、言ってから苦笑する。
それが出来れば、こんな事になっていないのだと。


言い訳でもしようとするように、悟空が身動ぎした。


悟空の部屋は、宿の南側。
戸を開けると、月光が部屋を照らしていた。
窓も南側についていて、電気がなくともよく見える。

視力の弱い八戒には、少し足りない灯り。
だが、電気をつけないまま、ゆっくりとベッドに歩み寄り。




「……よいしょ、と」




悟空をベッドに降ろし、寝かせ。
ベッド隅に寄せられていたシーツを被せる。

窓から差し込む月光が、幼い顔を照らす。
穏やかに眠る表情は、酔い潰れたとは思えない。
それでも、明日は確実に二日酔いだろうが…




「おやすみなさい、悟空」




優しい手付きで頭を撫ぜてやり。
自分はまた食堂に戻る事にした。

しかし。
離れようとして、阻まれてしまう。




「……おやおや」




八戒は少し困ったように笑い。
服裾を握る手を見下ろした。

無意識ながら、しっかりと握る手。
無理に離そうとしても、離れないだろう。




「やっぱり、まだ子供ですねぇ」




服裾を握る手に、八戒が手を添えると。
ふっとその手から力が抜け落ちて。
今度は、八戒の手を握った。




「あの人たちに付き合うより、悟空と一緒が良いですね」




脳裏を過ぎった、酔っ払い二人。
あの二人と一緒より、悟空と一緒がいい。

八戒は悟空の手を、そっと握り返した。


すると突然、引っ張られて。
ぽすん、と背中からベッドに落ちて。

掴まれたままの手。
擦り寄ってくる小さな体。
八戒は苦笑して、悟空の頭を撫でた。




「んーぅ………ゅ……」




ふにゃっと寝顔が緩んだ。

もともと穏やかに眠っていたのだが。
今度は、幸せそうな顔をしている。

八戒はまた、悟空の頭を撫でた。




「ん………ん〜……」




もぞもぞと悟空は身動ぎして。
寒いのか、八戒へと体を密着させる。


(あんまり密着されると、困るんですけどねぇ…)


無意識下の行動だし、どうしたものか。


目の前で無防備を曝している愛し子。
アルコールの所為だろう、顔が少し赤い。
火照った体はいつもの事だけど。

すぐ近くにある悟空の顔。
少し近づければ、触れてしまいそうだったから。


八戒はそっと、その唇を自分のそれと重ねた。




「ふゅ……」




起きる気配は、ない。

息苦しいのか、悟空は僅かに身を捩る。
だが八戒は離そうとはしなかった。


(まずいなぁ……)


このまま行ったら、止まらなくなる。

頭ではそう、判っている筈なのに。
このまま進めようとしている自分がいる。
それを、本気で留めようとしていない自分も。


空の声音が、少し揺れて。
八戒はなんとか、唇を解放する。

蜜色の瞳がゆっくりと開かれて。
アルコールの所為か、睡魔の所為か。
悟空はぼんやりとした表情をしていた。

やがて、見下ろす八戒を確認し。




「…はっかぁい…?」




表情と同じく、ぼんやりとした声で。
悟空は、八戒の名を確認するように呼び。




「はっかいだぁ〜」
「え……ちょっ、悟空っ!」




悟空は腕を伸ばし、八戒の首に回す。

一瞬どうしようかと、八戒は照準する。

間近にある、金瞳。
熱を持って見えるのは、アルコールの所為。
火照った体は、いつもの事で。


なのに。
もう一度、口付けて。

今度は角度を変えながら、深く。
小さく唇が開かれれば、舌を差しみ。
息苦しさに逃げを打つ腰を抱き寄せ。




「あなたが誘うから……」
「ふぇ……?」




勿論、悟空にそんなつもりはないだろう。

だが、熱を含んだ金瞳はどうだ。
まるで男の情欲をそのまま煽っているようで。




「はっかぃ……?」
「怖くないですからね」




別に、怖いなんて言っていないけれど。
八戒は先にそう言って、首筋に顔を埋め。
ほんの少し強く、そこを吸い上げた。

悟空の体がピクンと跳ね。
吸い上げた場所に、紅が残った。


悟空の肌を隠す衣服をたくし上げ。
露になったのは、均等の取れた躯。
けれど、まだまだ線の細い印象を受ける。

その肌に手を置くと、やはり熱くて。
触れた手が冷たかったのか、悟空が小さく声を漏らした。




「ああ、ごめんなさい」
「………はっか……ぃ…?」




何をされるのか判っていないのだろう。
悟空は、熱の篭った瞳で見上げてきて。




「大丈夫ですよ、怖くありませんからね」




先刻も告げた言葉を、もう一度。
繰り返し言うのは、逃がしたくないからだ。

邪魔者はいない。
愛し子と、今は二人きり。
悟浄じゃないが、据え膳を食わぬつもりはない。


ゆっくりと愛撫を与えていくと。
くすぐったいのか、悟空はクスクス笑い出す。

まだ何も知らない、無邪気な子供。
この表情が、どんな風に変わるのか。
やはり、泣き出すかも知れないけれど。




「これから、イイ事しましょうね」
「…いーこと?」
「気持ちいい事ですよ」
「ふぅん……」




八戒の言葉に、悟空は少し興味を煽られて。
“イイ事”をじっと待っている。

こんな事を言うあたり、自分も酔っているのかも。
自分で誘い込んでおきながら、八戒は思う。

けれど、どうせ止まらないのだから。




「ひゃっ」




悟空の胸に、八戒は手を置いた。

胸の果実を摘んで、刺激する。
悟空の躯が、ぴくぴくと反応を返した。




「あっあっ…あっ……」




右手で、悟空の左胸を弄び。
左手で、悟空の腰を引き寄せる。

八戒は悟空の右胸の果実に、唇を寄せた。
悟空の意識は、左側の刺激に集中されている。
右側は全く無防備に曝されていて。




「ひゃんっ!」




右側の果実を、八戒が口に含むと。
生暖かい感触に、悟空が声を上げる。

八戒は左側を摘み、指腹で抑え。
右側は舌を転がし、吸い上げた。
どの刺激にも、悟空は素直に反応する。




「あっ、ひゃっ! ん、ふぁっ、あんっ!」




八戒はきゅ、と左胸の果実を抓り。
同時に、右胸の果実に歯を立てた。

それから、果実の先端を舌先で擦り続けると。
緩い刺激が、悟空の躯を駆け巡り。
悟空は全身をフルフルと震わせた。




「あっ…あぁ……あぁあ…」




微かな刺激に、悟空は身を捩るが。
八戒の左手が、しっかりと腰を掴んでいる。

悟空の瞳に、涙が浮かび上がり。
泣かれることは、まず覚悟していたが。
八戒は、その表情にさえ欲情した。




「もっと……乱れて下さい」
「あっあっ……あぁあん…はぁあっ……」




返事らしい返事はなくても。
八戒はそのまま、行為を続けた。




八戒は、悟空の衣服を全て取り去った。
アルコールが若干残っているのだろうか。
恥ずかしいよりも、寒がっている。

そんな悟空に、「すぐ熱くなる」と囁き。
形のいい尻をゆっくりと撫でる。




「はっかぁい………」
「どうしました? 悟空」
「んーん……かねぇ…へんなかんじ……」




名を呼ばれ、返事を返してやれば。
悟空は、赤い顔でそんな事を言ってきて。




「それが、気持ちいいって事ですよ」
「そーなの…?」
「そうなんですよ」
「ふーん………」




ゆっくりと足を開かせて。
八戒は、そこに自分の躯を割り込ませた。


曝されている秘所。
先刻の緩やかな愛撫を受けたからだろう。
そこは既に、自己主張を始めていた。

あらぬ箇所を見られていると思ったのだろう。
悟空は足を閉じようとしている。




「ダメですよ、全部見せて下さい」
「…はっかぁ……ぃ…」




限界まで、また足を開かせて。
露になる秘所に、八戒は顔を寄せた。

ちら、と視線を上へ向けると。
悟空が赤い顔をして、こちらを見ていた。
何をされるのか、気になっているらしい。

そんな悟空に見せつけるように、秘所に舌を這わせる。




「ひゃっあ!? や、はっかぁあいっ!」




悲鳴に近い喘ぎ声が室内に響く。




「あっあ、あんっ、はぁんっ!」




濡れた音が響き。
引っ切り無しに零れる嬌声。

初めての快楽の波に流されているらしく。
悟空の目尻から、涙が零れ落ち。
開きっぱなしの口から、唾液が漏れた。




「あぁんっ! あん、あはぁっ!」
「……素質…あるかも知れませんね……」




乱れる悟空を見ながら、八戒は呟く。

男を誘い込む躯、声、表情。
勿論、本人にその気はないだろうが。
こうやって乱れている所を見てしまっては。




「はっかい…やぁ……はっかぁい……!」




舌先で秘部を突付いてやる。
トロトロと先走りの液が溢れ出す。


溢れ零れる白濁の液を、舌で掬い取る。
飲み込んでみると、甘美な味がして。
やはり甘いんだと八戒は思う。




「あぁあ……いやぁ…んぅ……」




自身の体液と、八戒の唾液でベトベトになった悟空の下肢。
ベッドシーツを汚し、染みを作る。

八戒は、悟空の片足を掴み。
肩に担ぐと、秘部に指を宛がい。
躊躇う事無く、そこに埋め込んだ。




「あぁあっ! あっ、はっかいぃ……!」




ゆっくりと指を動かして。
悟空は確実に、快楽を拾い集める。




「あんっ、はっかい、やぁあんっ!」




何度も名を呼ばれる。
それが、八戒の歓喜を誘う。


ぐちゅぐちゅと卑猥な音が鳴る。
溢れ出した白濁の液は、留まらず。
八戒の指も、余すところなく汚した。

秘部から指を引き抜く。




「気持ちいいですか? 悟空……」
「あ……は……っ…は……」




荒い呼吸を繰り返す悟空。
八戒の問いへの、返事はない。

だが、その姿が物語っているようだった。
初めての快楽に、恐怖は持っていない。
それどころか、もう何も考えられない。




「これ、なんだか判りますか?」




八戒は白濁液に濡れた指を見せた。

悟空は焦点の合わない目でそれを見て。
判らない、と首を横に振った。




「あなたが、此処から出したものですよ」




もう一度、八戒は指を下肢に触れさせ。
悟空の秘所に指を埋め込み、指し示した。

埋め込んだ瞬間、悟空は躯を仰け反らせ。
すらりとした喉が、八戒の前に曝される。




「やっ……はっか……」
「こんなに濡れて……」
「あっん…!」




秘部に押し入れた指で、中を抉る。




「はっかぃ……はっかいぃ……っ…」




悟空の躯が震えて。
伸ばされた腕が、八戒の髪に絡まる。

八戒はまた、秘部から指を抜き去り。
髪に絡まる悟空の手を取り。
そっと、手の甲に口付けを落とす。




「はっかい…ねぇ、はっかい…」




悟空が繰り返し、八戒を呼ぶ。




「なんか……ヘンだよぅ……」
「何処がどう、変なんですか?」
「ぜんぶっ……なんか…あついよぉ…」




もともと高かった悟空の体温。

数十分前まで飲んでいたアルコール。
そして、行為に興奮した躯。




「それにっ……」
「それに?」
「おかしーの…ここんとこ…っ」




言って、悟空が指し示した箇所は。
白濁液に汚れた、下肢。

八戒に触れられる度、可笑しくなるんだと。
それは八戒が熱を煽る事もあるのだろうが。
そう言ってくれる事が、嬉しくて。




「なんか…くるいそ……」
「いいですよ」
「でも………」
「僕しか見ていませんから」




優しく囁くその裏で。
快楽に狂う悟空が見てみたくて。

優しい口付けを、悟空の金錮の上に落とし。
それから、瞼にもそっと落として。
そして唇へと口付ける。




「はっかぁい……」




八戒の声音に、安心したのか。
悟空は、甘えるように八戒に手を伸ばす。

そんな子供のような仕草に、八戒は笑い。
首に絡められた腕が愛しくて。




「愛してますよ……悟空」




八戒の言葉に、悟空は頷いて。
小さく「大好き」と言った。


繋がった箇所が、熱い。
悟空はずっと艶を含んだ呼吸をして。

アルコールに酔っているのは、悟空じゃなくて。
自分なんじゃないかと、八戒は思う。
だって、今も悟空に酔っているから。




「あん…あ……はぁあ……」




絶え間なく漏れる喘ぎ声。

足を大きく広げ、あられもない格好をして。
悟空は、八戒に奥深くまで貫かれている。




「気持ちいいですか? 悟空」




貫く時も、貫いてからも。
八戒は何度も、その言葉を投げかけた。
返答は、首を縦に振るだけで。

けれど、それで十分なものだった。
悟空が自分のものだと思えるから。


ゆっくりと律動を始める。
悟空の口から、甘い声が漏れる。




「あん、あん、はっかい…あぁ……っ」




少しずつ律動を早めていけば。
無意識に、悟空の腰が浮き始め。

その腰を、八戒が掴み。
自分の動きに合わせて、腰を揺さぶる。




「やぁ、はっかいっ! あん、あっあっあっ!」
「痛くはないですか?」
「ふぁっあぁん、あぁあぅ!」




喘ぎ続ける悟空に、「大丈夫そうですね」と。
勝手に解釈をして、また貫いた。

すると、悟空の躯が一際跳ねて。
どうやら弱い箇所に当たったらしい。
悟空はベッドシーツを力一杯握った。




「はっかい…ぬぃて……そこ…いや……」
「嫌なんじゃなくて、いいんでしょう?」
「ひゃぁん! あんぅ、やぁだぁ…!」




弱いと確認した箇所を集中して攻める。
悟空は訳も判らずもがき始める。

しかし、八戒が悟空を離すことはなく。
更に情交は激しさを増して行き。
悟空の躯を苛む快感も、全身に届き。




「ほら……こうするだけで」
「っあ……だめっ……!」




八戒は、悟空の喉に舌を這わした。
ヒクン、と悟空は喉を鳴らす。

投げ出された悟空の手に、八戒は自分の手を重ねた。
力の抜けきった腕は、まだ細くて。
八戒はその腕を、自分の首に回した。


すると、悟空も八戒にしがみ付き。
八戒はそんな悟空に、キスを落とす。

悟空の秘所から溢れ出す白濁の蜜。
そろそろ、限界だと訴えていた。
悟空も瞳に涙を浮かべ、八戒を見ている。




「はっかぃ……もう…だめ………」




ふるふると震える悟空の小さな躯。




「じゃあ……一回、イキましょうね」




言って、八戒はギリギリまで自身を引き抜いて。
悟空の呼吸が落ち着くのを待たず、貫いた。




「あぁあああっ!!」




嬌声と共に、悟空は果てた。

















翌朝、歩くのも辛い悟空を支えながら。
八戒は、食堂へと歩を進めていた。



朝一番、悟空は八戒を見て驚いた。
次に、自分自身の格好を見て。

お互い、裸のままで寝ていたからだ。


悟空は、昨夜の事を覚えていなかった。
アルコールの所為だろう……少し寂しい気がしたが、変に混ぜっ返して、他の二人にちょっかいを出されるのは避けたかった。


しかし、悟空の腰はしっかり痛みを訴えて。
「なんで?」と問う悟空に、ベッドから落ちたんだと。
陳腐な理由だったが、悟空は納得していた。

裸で寝ていることも追求されたが。
そこは、食事をしようと言って誤魔化したのだった。


覚えていない事は、少し残念だったが。
嫌われるよりはずっといいと思う。

支えられながら、隣を歩く悟空。
時折見上げる視線に、微笑むと。
しばしきょとんとして、いつもの笑みを見せて。




「八戒、オレ昨日どーなったの?」
「何がです?」
「酒飲んだ後だよ。全然覚えてないもん」




覚えてない、と繰り返す悟空。
それがやはり、寂しさを煽るけれど。




「酔い潰れちゃったんですよ、悟空は」
「え〜、じゃまた悟浄にバカにされる」
「あの時は悟浄もとっくに酔ってましたから」




どうせ覚えてないでしょう、と。
八戒の言葉に、悟空は少し安堵したらしい。



食堂には、既に二人の姿があって。
あからさまに不機嫌な三蔵と。
青い顔をしている悟浄。

八戒が悟空を伴って席につくと。
悟空は悟浄の顔を覗き込んだ。




「……なぁ、お前いつまで飲んでたの?」
「るっせーなー…黙ってろ、ガキ」
「ガキじゃねーよ!」




顔の青い悟浄に、少し心配げな悟空だったが。
悟浄の一言に、その表情は消し飛んだ。

悟空は拗ねた表情で、席に落ち着き。
正面に座る三蔵の様子も伺い見たが。
無言でハリセンを振り下ろされる。




「いってぇ、何すんだよ!」
「煩ぇ」




どうやら、二人とも二日酔いらしい。
抱える頭痛に、悟空の高い声は少し響くのだろう。

本当に、いつまで飲んでいたんだか。
三蔵は適当に切り上げても良さそうだったが。
酔っ払いになっていた悟浄は、どうか。




「ほらほら、早くご飯食べましょうね」




まだ拗ねている悟空の頭を撫でる。
悟空は少し不満げな顔をして見せたが。
メニューを渡されると、意識をそちらに向けた。

よほどお腹が空いていたらしい、無理もないが。
悟空はあれもこれもと指し示す。




「あとな、それから……」
「野菜も食べましょうね。これ美味しそうですよ」




二人でメニューを覗き込んでいると。
いぶかしげな視線が二つ、向けられた。

その視線に、八戒が顔を上げると。
悟浄は悟空の方へと視線を向けて。




「なんでそいつ、二日酔いになってねぇの?」




なりそうなのに、と。
三蔵もそれは同じだったらしい。

八戒はともかく、悟空は酒に弱い。
覚えてなくても、煽った酒は大量。
それなのに悟空は、平然としていて。




「スッキリしたからですよ」
「……なんでテメェが答える」
「さぁ、何故でしょう」




数秒後、八つ当たりの銃声と叫び声が上がり。
悟空と八戒は、のんびりとメニューを選んでいた。





















人間の理性なんて、案外脆いものだ

いとも簡単に箍は外れてしまう


自分自身の制御には、自身があった方なのに










目の前に曝されている獲物一つに


簡単に本能は、理性をぶち壊しにしていくのだ











FIN.


後書。
久々に八空〜♪と思ったら裏です(苦笑)。
しかもやけに長いです。
前編またもエロなしかい!!


八戒が鬼畜なのか甘いのか、はっきり言って判りません(爆)
取り合えず、私の中で黒いのは確かです……
悟空の前では、それを微塵も見せないのです。

悟空がちょっと(かなり?(汗))淫乱に…ι
酔ってますから、お酒飲んでますから!(脱兎逃)


騒ぎ宴会の席は酔ったモン勝ち。
素面の人が片付けとかやらされそうです……
誰もやらないから。



2003/11/04