WHITE OUT








溶けて消えていけるのは
キミと繋がるほんの刹那の間だけ



ずっと繋がっていられたら

溶けて一つになれるのかな?






























寒い、と言って擦り寄ってくるのを。
今だけは好きにささておこうと思った。

寒いのは自分も同じなのだ。
薪を拾ってくる暇もなかった為、洞窟内は酷く冷たい。
互いの触れ合った場所から伝わる温もりが、唯一の頼り。



体が小さい分だけ、温度保持が出来ないのか。
いつもは熱いくらいの体温が逃げて行く。

それでも、伝わる温もりは確かに在った。


悟浄に荷物を全部持たせていたのは失敗だった。
毛布も無い為、逃げる体温を捕まえられない。
悟空の唇が、うっすらと青くなっている。

それを言えば、きっとやせ我慢の台詞を吐くだろう。
自分の体が寒さに凍えているのを押し隠して。

隠し切れないくせに、隠そうとするのだ。
こういう時だけ、悟空は変に見せまいとする。
誰もその程度の事で怒りはしないのに。






温もりを求めてすがりつく子供を、抱き締めた。



















一刻ほど前から、天候が荒れた。


ジープで西へと向かっている最中。
天候の変わりやすい山中に、一行はいた。

寒波が襲って来ていた為、麓の村で雪が降ると聞き。
それでも、大したものじゃないだろうと言われ。
それならばと、その村を後にした。

確かに降り始めは、牡丹雪が舞う程度だった。


ジープの上で、悟空はそれを見てはしゃいだ。
3年前まで、あれほど雪を怖がっていたのに。
今では子犬のように喜ぶのである。

そんな悟空に大人三人は苦笑するばかり。
この調子なら足止めを食らう事もないだろうと思った。


だが山頂に差し掛かった所で。
和やかな牡丹雪は形を潜めてしまった。

変わりに姿を見せたのは、猛吹雪。


甘く見ていた。
ジープが進めなくなるほどの吹雪。

結局徒歩で山越えとなった。
愚痴る悟浄や三蔵に対して、悟空はやはり楽しそうで。
積もった雪に足跡をつけたりして遊んでいた。


足元は一体何メートル積もっているのか、深い雪。
河さえも埋もれてしまいそうなほどで。

次第に悟空は、足元が疎かになっていた。


悟空が何気なく踏んだ場所が崩れた。
雪が積もった所為で、地面が突出したように見えた崖。
そんな不安な足場が、悟空の体重を支えきれなかった。

大人たちが慌てて悟空を追おうとしたが。
幾らなんでも、崖か飛び降りるのは自殺行為。
下が深い雪に覆われているとしても、だ。


獣道を掻き分けながら、崖下へと降りた。

見通しが悪い上、気温はどんどん下がり。
早めに見つけようと、三人は分かれて悟空を探した。


三蔵があわや雪に埋もれかけていた悟空を見つけたのは、探し始めて30分程した頃だった。

落ちた時に、木々に体を引っ掛けたのだろう。
所々に擦り傷等があったが、酷い外傷はなかった。
しかし体温は酷く下がり、顔色は悪くなっていた。


二人と合流する前に、このままでは死んでしまいそうで。
三蔵は適当に休めそうな場所を探す事にした。

冷え切った悟空を抱き締めながら。
三蔵が一つの洞窟を見つけるのに、時間はかからなかった。
恐らく、野生動物の住処の後だろう。
幸いな事に、現在は使われていないようだった。


火を起こそうにも、薪を拾って来れないまま。
一先ず、悟空の塗れた服を脱がせて。
生まれたままの姿になった悟空を、強く抱き締めた。

触れた温もりからか、悟空はすぐに目覚めた。
朦朧とした意識ではあったけれど。


肌を曝したまま、悟空は三蔵に縋り付く。
三蔵が小さな体を、己の腕に抱いてやれば。
冷えた肌は、法衣によって包まれる。

時折、ぼんやりと見上げてくる金瞳。
裸でいるという事が、何度も三蔵の雄を煽り。




「さんぞ………」




熱が出たのか、悟空は艶っぽい呼吸をして。
暖を求めて縋る様は、まるで情事を誘うようで。




「……寒いか?」
「う……まだ…平気……」




その言葉に「何処が」と思いながら。
三蔵は薄く笑むと、大地色の髪に口付ける。

それから額、瞼、頬に口付けて。
薄らと赤くなった耳に唇を寄せる。
吐息のかかる距離に、悟空が小さく声を漏らす。




「……手っ取り早く、熱くなる方法を教えてやるよ」




低い声音の囁きに、悟空の体が違う意味で震えた。





















法衣を脱いで、地面に敷く。
そこに細い悟空の躯を横たえた。

僅かに離れてしまった温もりに、悟空が手を伸ばし。
それを掴むと、三蔵は手の甲に口付けた。
ほんのりと悟空の頬に朱色が走る。


悟空の滑らかな肌に唇を寄せ。
首の付け根に吸い付くと、赤い華が咲く。
ピクッと小さな躯が震え、声が漏れる。

薄い胸板にそっと手を這わす。
胸の果実に指を掠めると、僅かに悟空の躯が跳ねた。




「……っは…ぁ……」




きゅっと胸の果実を指でつまむ。
両方の胸を弄ると、悟空の躯が素直に反応を返す。




「ん…ぁ、さん…ぞ…あっ……」
「……これならすぐに熱くなるだろ?」




行為の先をよく知っているから。

三蔵の言葉だけで、悟空は性感を刺激されるらしい。
悟空は恥ずかしそうに地面に敷かれた法衣を握る。




「…っは…だめ、さんぞ……やっぱり……」
「却下」
「あんっ! あ、あ、はっ…!」




悟空の右胸を、三蔵は吸い上げる。
左胸の方は、指で弄っているままだ。




「あん、だ、めぇ……ひぁんっ!」




カリ、と胸の果実に歯を立てられて。
悟空の背が、緩やかに弓形にしなった。

悟空の腰に手を回し、抱き寄せる。




「んぅ…だめ…あ……」
「駄目って言う割には……」




抱き寄せ、三蔵の腹部に当たっているのは。
露になっている、悟空の肉剣で。
其処は既に勃起しており、膨らんでいた。

抱き寄せているとは反対の手で、それに触れる。
幼い悟空自身は、ぴくぴくと反応する。




「こんなになってるのは、どういう訳だ?」




紫闇に見詰められ、金瞳が揺れる。
熱に浮かされたような、そんな色を浮かべて。




「だ…って……」
「だって?」




悟空は三蔵から目を逸らすが。
顎を捉えられ、正面から見据えられる。

吐息が当たりそうな程に顔を近づけて。
答えを促し、目尻に薄らと浮かんだ雫を舐め取る。
耳まで真っ赤になった悟空に、三蔵はこっそり笑う。




「三蔵…が……触るから………」




小さな小さな声で紡がれた言葉。

それは、三蔵の雄を煽るには十分なもの。




「あ、さ…んぞっ…!?」
「お前が悪い」




悟空の両足を大きく広げ、肩に担ぐ。
三蔵の目の前に曝された秘所。
女のものと違い、其処はまだ濡れていない。

正直、このまま挿れようかとも思ったが。
悟空が痛いだろうと思い、耐える事にする。




「やぁんっ……!」




三蔵が悟空の秘部に舌を這わす。
ぴちゃ、と卑猥な音が悟空の鼓膜を震わせ。
びくん、と悟空の躯が仰け反った。

抱え上げられた足を動かそうとするが。
三蔵にしっかりと掴まれ、それも叶わない。


舌を這わし、形の良い尻をゆったりと撫でる。
それに誘発されながら、悟空の秘所から蜜が零れた。

狭い洞窟内では、声と音がよく響く。
悟空自身の喘ぎ声と、秘部を濡らす水音。
それから、二人の交わる吐息。




「あっ、あ…だめ…あぁ……っ!」
「今更恥ずかしがる事じゃねぇだろ」




顔を真っ赤に染めたままで。
悟空は、力の無い腕で三蔵の顔を押しのけようとする。

その手を取ると、三蔵は指先に舌を這わす。
引っ込めようとする手を掴んだままで。
三蔵は悟空の手を、悟空自身の下肢に導く。




「でかくなってんの、判るだろ?」
「…んぅ……あ……」
「つっても……足んねぇのも判るよな?」




未だ吐き出すに至っていない快楽に。
悟空は身悶え、三蔵の雄は煽られるばかり。




「欲しいんだろ……ここに」
「んっ……」




三蔵の長い指が、悟空の秘所に埋め込まれる。
第一関節を曲げただけで、悟空の躯が跳ねた。


悟空は躯の震えを隠すように、自分の身を抱き締める。
目尻に浮かんでいる涙は、羞恥と快楽の所為。
それから、三蔵が触れている所為で。

何度抱いても、行為になれない幼子の躯。
それでも、確実に三蔵の愛撫に応えて来る。


秘部を掻き混ぜながら、深く口付ける。
呼吸を奪われた悟空は、苦しげに唸る。

舌を絡めればゆっくりとそれに応じ。
細い腕が、三蔵の首に絡まれる。
いつも爛漫とした金晴眼は、艶を含んで三蔵を誘う。




「まだ寒いか?」




唇を離してそう問えば。
悟空は赤い顔をして、小さく頷く。

どうして欲しいかなど、言われなくても判る。
判っていながら、言わせてやろうかとも思ったが。
悟空からの珍しい口付けに、意地悪は止めた。




「もうそんなに痛くねぇだろ……」




既に何度と無く抱いた躯だが。
未だに処女のように、悟空のナカは狭くて。
いつも食い千切らんとばかりに絡み付いてくる。

最初の頃は二人とも呼吸が止まって、死ぬかと思った。
悟空は痛いと言って泣き出すし、三蔵のほうも痛いしで。


でも。




「きゃあぁああんっ!!」
「あっ、そこ、ああっ……!」




最初こそ、あれ程の痛みを伴った行為。
それも今では、快楽を貪るばかりで。




「ったく…がっつくんじゃねぇよ、猿……」
「だって…あん、ん、っは、ぁあん…!」
「ま、いいけどな……」




惜し気もなく曝される肢体を見下ろし。
三蔵は薄く笑うと、悟空の首筋に口付けて。
赤く咲いた華は、これで幾つ目だろうか。

悟空の秘部から流れ落ちる蜜。
地面に敷かれた法衣を汚すが、気にする暇もない。




「もう…や…あ……もっとぉ……」




貫かれて、腰を抱き上げられている時に。
三蔵の髪に触れるのは、悟空の癖だ。

最初の頃は痛いと訴えるものだったのだが。
今では、強請るように緩く引っ張るばかりで。
無意識の甘え上手はここでも、発揮されるらしい。


三蔵の律動に合わせて、悟空の細い腰が揺れる。
触れ合った場所からは、溶けそうな程の熱が伝わる。




「っあ…あ、ああ…! ひっん…はぅ…」




外は未だに吹雪いていると言うのに。
この洞窟の中だけが。

二人の中だけが、溶けそうな程に熱い。


喘ぎっ放しの悟空の口から、唾液が漏れる。
それを舐め取り、口付けて。
舌を絡めて開放すると、名残惜しげに銀糸が光る。

卑猥な音と、艶の声が響き渡る狭い空間。
どろどろに溶けて行きそうな程の熱。




「ナカに、出すぞ……」
「んっ…でも……後で…処理……」
「俺が全部やってやるから気にすんな」




大地色の髪をくしゃりと撫でて囁けば。
悟空は仄かに頬を染め、小さく頷く。

既に悟空の方は臨界点を切っている。
奥を掠めると、悟空の躯は面白いように跳ねて。
我慢できないかのように、蜜液が散る。




「まだ寒いか?」




耳元で囁かれた三蔵の言葉に。
悟空はゆるゆると首を横に振った。

返答に三蔵は薄く笑む。
一度悟空のナカに埋め込まれている雄を引き抜くと。
悟空の呼吸が整うのも待たず、最奥を突いた。




「あっ…あぁん! ん、あっ、は、ああ……!」
「く………!」




未だに二人は肌を曝したままで。
悟空は三蔵の腕に抱かれていた。

密着している為、互いの躯がまだ熱い事が判る。
思わずもう一度仕掛けそうになる三蔵だったが、自重した。
悟空は悟空で、耳まで赤くなっている。




「……二人が来たら…どうしよう……」
「テメェは見せねぇから安心しろ」




悟空の服はまだ乾いていない。
三蔵の法衣は、二人の愛液で汚れてしまった。




「三蔵が…法衣なんか下に敷くから……」
「地面に直でやったら、お前痛いって煩いだろ」
「う………」




ぶつぶつと文句を言っている悟空だが。
口で三蔵に勝てる筈もない。
次第に言葉数は減って行く。

黙った後は三蔵の腕の中に納まっていて。
時折与えられるささやかな口付けに、酔っていた。





連れの二人が呼ぶ声は、さて聞こえているのか、いないのか。

























ずっと繋がっていられたら
一つになれるのかも知れない

けれど、そうなりたいとは思わない







だって一つになったりしたら


キミの顔が見えない















FIN.


後書。
とにかくエロ書きたかっただけなんです(爆死)。
砂吐く程に甘いのが書きたかったんです。

一回やってみたかったシチュエーションです。
洞窟の中で二人っきりで×××……
素っ裸の悟空を前に、三蔵様が何もしない訳ないじゃん(滅)!!


しかし、本当に見付かった時どうするんだ…
服乾いてないし、三蔵の法衣はああ(笑)だし。
取り敢えず、八戒の気功は悟浄行きで(何故だ)。

雪山遭難は結構萌えですな〜vv
雪ネタ、此処で一つ解消です。


バカップルばんじゃい!
(スペース最後の小説の締めがそれか!)



2005/04/27