beast crazy




「あっひ…あぁああ……っ!」



続けざま、前から弄っていた手も後ろに回され、指が埋め込まれた。
指を濡らしていた唾液が潤滑油になって、然程の痛みは無い。



「はぁ、んっ!あぁっ…だめ、そこ……ひ、ひろげな……ぁあっ!」
「こうしねぇと後で痛い思いすんのはお前なんだよ。それとも、痛い方が好きだったか?」



ゆらゆらと無意識に腰を揺らす悟空を見下ろす紫闇は、冷たくて熱い。
それに見つめられるだけでまともな思考回路なんて簡単に捨て去ることが出来る。

辱めの言葉を浴びせられながら、それでも悟空の理性が帰ってくることはない。
穴を広げられて、悟空は腰を揺らし、格子に自身の中心を押し付けて擦っていた。



「もう、もうだめぇ…!出ちゃう、よぉ……っ!」
「ったく…相変わらず、堪え性のねえガキだな……」
「ひゃうっ!?」



びくん、と悟空の躯が一度大きく跳ね上がった。
秘孔を弄っていた片方の手が抜かれたと思ったら、悟空の雄を根元から握り締めたのである。

迎えた絶頂を吐き出す直前で阻まれて、熱が悟空の体内で暴れる。
吐き出されなかった情欲は悟空の躯を苛み、目の前のケモノを煽り立てた。



「は、はなし、てぇ…も…だめ…ぇ……」
「一人でイく気か?まだ突っ込んでもいねぇのに」
「だって…あっ!あ、んはっ、…くる、し、よぉ……っ」
「すぐ意識飛ばす癖に、一度イったらイキっぱなしになるんだからな。一週間ぶりなんだ、楽しませろ」
「…あぁんっ、そ、んぁっ!ふ、むぅ……あぁ…あ…!!」



悟空の雄を戒めたままで、ケモノは膝を折った。
それに伴い、悟空もその場に尻を突くと、二本の格子を間に挟んで足を開かされる。
格子の向こう側でしっかりと太股を抱えられて、悟空は逃れることが出来ない。


小さな蝋燭の灯火に照らされた悟空の躯が暗闇の中でぼんやりと浮かび上がる。
同じく金糸のケモノの姿も闇の中に映し出され、二人の世界は互いだけで一杯になった。

至福だと、悟空は思う。
こんなにキレイなケモノを独り占めすることが出来て。
ばれたら父や兄にどんな目を向けられると思っても、この存在さえ傍にいてくれれば不幸な事など何もないと思う。


同じようにケモノもまた、己の性格に不似合いと思いながらも、至福だった。

数ヶ月前に此処にやってきた子供に手を出して、そして知った甘美な少年の躯。
貪る度に飽きる事はなく、無邪気な笑みが悦楽に溺れていく様を見るのが面白い。
見上げてくる金瞳があるだけで、きっと自分は全てを壊す事が出来ると思った。



「あ…は……ん、あぁ………」



悟空の秘孔はピクピクと収縮し、刺激を欲していた。

こんな場所でこんな格好を他人の前に晒して、羞恥心がない訳がない。
けれどそれよりも、此処から先の快楽が欲しくて欲しくて堪らなかった。


ケモノが自身の雄を取り出すと、それはまるで狂気のように膨らんでいた。
鉄格子の間で誘っている穴へと宛がえば、熱い塊に悟空の躯がぶるっと震えた。



「なんだ……」
「ん…ぁ…ぅ……」
「これからの事、想像して興奮してんのか」
「っはっは…あ……」



言い当てられた悟空は頬を染め、それでも上半身を起こしてケモノに縋った。



「ほ…しぃ……よぉ………ねぇ………」



まるで娼婦のように強請ってくるのを、ケモノは決して嫌いではなかった。
これが本当に娼婦であるならば鬱陶しいとしか思えないのだが、この少年だけは別。

少しだけ腰を動かして押し付けると、ちゅぷんと音を立てて先端が潜り込んだ。



「……っは…あ……あぁ……っ!」
「先っぽだけだぞ。それで、そんなに気持ち良いのか?」
「い…いぃっ……だ、って…あんたの、だも……はぅんっ!」



ぐちゅ、と更に雄が深くなる。
一番太い亀頭部分が穴を潜って、悟空の躯が跳ねた。



「そういう事を言うんじゃねえよ……なんだ、激しくされたいのか……?」



悟空の顎を指で捕らえ、上向かせてケモノは静かに囁いた。
背筋を駆け抜けていく感覚に、悟空は拒否など出来ずに、意味も理解せぬままに頷いた。

直後、最奥まで一気に貫かれる。







「あぁ──────っ!!!」







突然の衝撃に悲鳴に近い声が上がるが、ケモノは構わず、そのまま性急に突き上げを始めた。



「あっあっ!は、はや、ぃぃんっ!」
「激しくされたいって言っただろうが」
「はぅ、あっ、イ、く、イっちゃうぅっ!だめぇえぇえ……!!」



格子越しに抱え上げられ、悟空は鉄格子に縋りついた。
ケモノは悟空の小さな躯を揺さぶり、自分の突き上げに合わせて悟空を落とす。


どぴゅ、と悟空の蜜が飛び出るように溢れ出した。
突き上げられる度にそれは出てきて、二人の狭間の鉄格子に飛び散る。
ケモノと悟空の腹にもそれは付着し、絶える事はない。

先ほど一度阻まれた反動もあるのか、濃い蜜液が二人の腹にかかる。
次第に悟空も自分で腰を動かし始め、ケモノを絶頂に追い上げようとしていた。



「と、とまんなっ…あっ!あう、はひっ、ひ、ひぁあっ!」
「世の中そういう奴もいるとは聞いてたが、お前には似合いかもな…」
「はぅんっ、ふ、あっ!やっ、あんっ、あぁっ!」



じゅぷ、ずぷ、ずくっ、どぴゅぅっ
じゅぷん、ずっつぷん、どぷんっ



「は、はやく、イって、よぉぉ……!」
「あぁ?」
「だ、して、だしてぇえ…!」



自分ばかりが出すのが恥ずかしくなって、悟空はそんな事を口走る。
ケモノの頭に縋り付いて、腰を前後に振り、ケモノの射精を促そうとしている。

ケモノはシニカルな笑みを浮かべた。



「そんなに俺のが欲しいか……」



すっかり自身の蜜で汚れた悟空を見下ろせば、悟空はこくこくと頷いた。


早くナカに欲しかった。
このキレイなケモノが出した蜜で、体内を一杯にしたい。
いっその事、体内を構成する水の代わりに、彼の蜜が欲しいぐらいだった。

恥も外聞も何もかもかなぐり捨てて哀願する悟空に、ケモノは満足そうに笑う。



「誰も知らねぇだろうし、想像もつかんだろうな」



パンパンと音がする程に激しく打ち付けると、悟空の喉からは最早喘ぎ声しか出て来ない。
飲み込めなかった唾液が唇の端から零れて、快楽に酔った涙が零れ落ちる。

こんな痴態を捕らえられたケモノに晒す少年が、この国の要となっているなど、誰も知らないだろう。


自分だけがこの顔を知っているのだと、ケモノは優越に浸る。
誰も触れられなかった躯に触れ、何も知らなかった躯を開き、快楽に溺れさせた。
国の要となる筈の少年は、もう肉欲に溺れた一人の愚かな人間でしかない。

けれど、誰もそれを知らない。
外で悟空がどうやって過ごしているかなどケモノは知らないけれど、それでも判った。



────……この躯の甘さを知っているのは、自分だけだと。




「はぅ、あぁんっ!あ、あ、あ、あっ!そ、そこっ!あっ!あうっん!」



弱い部分を刺激されて、悟空の内壁がぎゅうぎゅうとケモノの雄を締め付ける。



「ああ……ほら、もうすぐ出してやるぜ」
「んっ、う…!あぁっ…!」
「全部、俺で満たしてやるよ……」



引き抜かれる直前まで悟空の腰を浮かせると、嫌々するように悟空が首を横に振った。
誰も此処で止められる訳がないのに、そんな反応をするから虐めたくなる。

一気に最奥まで貫けば、悟空の雄から一層濃い蜜液が飛び出した。
同時に、体内に潜り込んだケモノの雄を締め付けて。




「く……っ」


「あっ…あぁああああぁっ!!!」





一週間の我慢を強いられ、ようやく吐き出された精液は止まらない。
そのまま放尿しているかのように体内に流し込まれて、悟空は歓喜の声を上げる。



「あっあっ!あんっ!は、うぅんっ……!」



ようやく射精が終わって雄を引き抜けば、溢れた精液が穴から零れ落ちる。
その様にケモノは薄く笑い、また貫けば、隙間から白濁の液が溢れていった。

一週間ぶりだ。
早々簡単に手放せる筈もなく、悟空もまた終わりたくはなかった。
この地下から出たら、また聖誕祭の準備に追われる現実に戻らなければならない。
まるで現実から逃げるように、悟空はまた奥へ奥へとケモノを誘い込んでいく。



「どうだ…一杯か……?」
「あっあっ、あふれ、あっ…!お、なか…くるし…よぉ……あぁっ…!」



注ぎ込まれたケモノの雄で一杯になった悟空の腹。
苦しい、と訴える悟空の表情は、快楽に溺れ、もっともっとと誘い込む。
それに誘われるまま、ケモノは何度となく幼い躯を貫いた。

行為は、いつも悟空の意識が飛ぶまで続けられる。
けれど今回ばかりは、それでも終わらないかも知れない。










………閉ざされた空間で、二人は繋がり、貪り続ける。



























真っ暗な部屋の中で



お前だけが酷く鮮やかで









……穢れを知らないお前を汚して、俺だけのものにしたいんだ


















FIN.




後書き