眠る
悟空







眠る。
眠る。

目覚めを待って、眠る。









三蔵が仕事で遠方に出て、一人で布団の中で蹲る。

自分の布団ではなんだか寒かったから、後で怒られるのを承知で三蔵の布団に潜り込んだ。
ほんのり香る煙草の残り香が、柔らかくて大好きで、同時に物足りなくて淋しくなる。


三蔵が出たのが一週間前、明日には帰って来る筈だった。
だからもう一日、あとほんの数時間の辛抱だ。
布団の中に蹲って、あと少しだと自分自身に言い聞かせる。

あんなに長い間一人きりで、知らない誰かを待っていたのに、今は一晩だって淋しくって仕方がない。
だってしょうがない、三蔵と出逢ってからの方がずっとずっと一杯の時間ばっかりなのだから。







眠る。
眠る。

目覚めを待って、ただ眠る。









夢で逢えたら、嬉しかった。
目が覚めて、其処にいなくて、淋しかった。

だから、早く帰ってきたら良いと思う。


夢は、最初は嬉しくて。
日を追うごとに物足りなくなって、寂しくなる。

あの匂いが、声が、光が、温もりが、早く欲しくて仕方がない。
足りない部分を早く補給してしまわないと、なんだか干乾びてしまいそうだった。
夢なんかじゃ追い付かない。







眠る。
眠る。

目覚めを待って、眠る。



目覚めた時の、眩しい光を願って、眠る。









出来る事なら、一緒に行きたかったけど、それは駄目だと言われてしまった。
出来る事なら、追い駆けて行きたかったけど、それは駄目だと知っている。

だからこうして待っている。


一人の夜を過ごして、ただずっと待っている。

眠って夢を見て、目が覚めて淋しくなって、また眠って。
繰り返して、ずっとずっと待っている。










眠る。
眠る。

目覚めを待って、眠る。



目覚めた時の、眩しい光を願って、眠る。






大好きな光の朝が来る事を、願い続けて、眠っている。















(一日で10のお題 / 10.眠る)


三蔵、早く帰って!!



お題元 Cosmos