寒空の下



 前を歩いていくヤツのコートからはみ出した
 剥き出しの脚や首や指先が気になって


[寒空の下]


 マフラーをぐるぐると、口元が埋まるのも無視してめいっぱい巻いてやったら、息苦しいのか驚いたのか目を白黒させた。
 「いきなりなにすんだー」とモゴモゴしつつマフラーを弛めようとする右手を、捕らえて手袋にねじ込んでやる。
 そして左手を捕らえて、おれのコートの右ポケットに。

 ・・・脚が、どうもできねェんだよなァ。

「これでコートが『59』柄だったら、おれサンジでくるまれてるみてぇに見えるんだろな」
 と、おれの手袋に違和感があるのかしきりに右手をわきわき動かしながらルフィが呟いた。

 ああ、そのテがあった。

 コートの前を開いてルフィを抱えあげ、コートに納めてしまう。
 ボタンまではさすがに留められないが、かなりマシになった。

「・・・抱っこ? これじゃおれが赤ん坊みてぇじゃねーか」
「でもこの方があったけェだろ。おまえがおれの首に腕回してくれりゃ、マフラー代わりにもなるし?」
「おおっそうか、おれもぬくぬくでサンジもぬくぬくになるのか。一挙両得ってやつだな!」
「・・・あぶねェ、一瞬ツッコミそうになったぜ」

 おれもぬくぬくになって満足のいく結果が得られたと、寒空の下、軽い足取りで進んで数分後。

「「あ」」

「左手が冷てぇな。てことはサンジの右手も冷てぇのか」
「・・ああ。そういやそうだな」

 欠陥を発見。

「カンペキだと思ったのにな〜」
「・・・」

 手袋はともかく耳あてはなかったな
 赤くなったルフィの耳を横目に思い出しながら考える。


 さて、このうえ左の手袋まで渡したらさすがに突っ返されちまうだろうか



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過保護サンジで抱っこなサンル。