潤ったままの花芯 後編

<登場人物/父 稔・娘 あずさ>

 稔は再び時計を見た。十一時十七分、門限は当の昔に過ぎている。稔はすで に、あずさの女友だちの家に連絡を取っていた。
「うちのあずさがそちらに伺っていないでしょうか?」

 と。しかし返って来る返事はただ一つ、

「うちには来ていません。きっと岸田くんの家でしょう」

 ……。   
 岸田くん。そんな名前は聞いたことがなかった。男だ、明らかに男だ。電話番号も聞いたが、なぜか電話する気になれなかった。あずさの態度から、その相手にかなり入れ込んでいることが分かる。それを確かめるのが稔には怖かったのだ。信じたい、しかし……。稔はイライラを募らせながら、娘の帰宅をただひたすら待っていた。   
 そして、あずさは帰って来た。時間は十二時ちょうど。稔は急いで玄関に飛び出す。  

「あっ……」   

 あずさは父の姿をみて驚いた。なるべく顔を合わせたくない、という気持ちがその表情から感じられる。  

「……どこに、行ってたんだ?」   

 重い口調で稔が言った。しかしあずさは答えようとせず、黙々と靴を脱いでいる。ちゃんとした答えなど、用意してるはずもない。  

「どこに行ってたかって聞いてるんだ!」   

 あまりの激しい口調に、あずさの手が止まった。父の怒声など、生まれて初めて聞いた。   
 しばしの沈黙のあと、稔が口を開いた。  

「……ちょっとリビングに来い」   

 抑えた声だったが、その口調にそこはかとない怒りが感じられる。あずさは靴を脱ぎ終わると、その言葉に従った。   
 稔はソファに腰掛けていた。あずさはその対面の椅子に座る。  

「……もう一度だけ聞く、今までどこに行っていたんだ?」  
「……」  
「答えられないような場所か?」  
「あ……リカの家に行っていたの。ほら、パパも知ってるでしょ?あの髪の長い……」  
「香山里佳さんか?」  
「そ、そう!あの里佳!」   

 稔は黙ってしまう。  

「……おまえが、パパに嘘をつくようになるとは思わなかったよ」  
「えっ……」  
「香山さんの家には真っ先に電話をした。思い当たる友だちの所は全て、な……」   

 今度はあずさが沈黙する番だった。あずさ自身も、父親に嘘をついたのはこれが初めてだったからだ。その罪悪感と、岸田との秘密の関係が、心の中で激しく葛藤していた。  

「……岸田っていうのは?」   

 あずさはドキッとする。まさか父親からその名前が出て来るとは思わなかったからだ。  

「答えられるか?今度は嘘をつかずに……」  
「……」  
「どうなんだ!?」  
「あっ、あの、岸田さんっていうのは学校の生徒会長で、それで、あのっ……」   

 落ち着いて答えれば何の問題もないのだが、やはり罪悪感が先に立って口ごもってしまう。  

「……パパが聞きたいのは、なぜおまえがその岸田っていう男の家にこんな遅くまで居なければならないのか、ということだ。わざわざ嘘をついたりしてな……」  
「それは……」   

 あずさはそう言って完全に口ごもってしまった。嘘をつき慣れていないあずさには、それ以上の言葉は浮かばなかったのだ。   
 無言の娘を見ながら、稔の胸中には様々な思いが去来していた。つい三日前まで全くの無垢であったはずの愛娘が、岸田という男によってこんなにも変わってしまった。思考の全てが、ある結論に向かっていた。
『あずさは、岸田という男に汚されたのだ』と。体の奥の方から、言い様のない怒りが湧いてくる。自分の教育すべてが今この瞬間もろくも崩れ去ったのだ。喉が乾く。亡くした妻に、なんと詫びればいいのだ……。   
 次の瞬間、怒りが頂点に達した稔は、信じられない行動に出た。勢いよく立ち上がると、目の前でうなだれる娘に突然襲いかかったのだ。  

「き、きゃあーっ!」   

 あずさが叫ぶ。  

「うるさい、黙れ!おまえが本当に汚れてしまったのかパパが確かめてやる!」   

 体中の力で、あずさのセーラー服を引き破る。目の前に真っ白のブラジャーが現れたが、稔はそれさえも怒りに任せて弾き取ってしまった。   

「……!」

 奇妙な感覚が襲い来た。まろびでたあずさの双胸に、稔は思わず息を飲む。一緒に風呂に入ることをやめた高一の時より、さらに美しく発達した胸が現れたからだ。この時初めて、稔は自分のやった行動に後悔をした。   

 しかし、また再び稔は激しい怒りを覚えた。その真っ白くなんの曇りのないはずのバストに、あろうことかはっきりとキスマークがあったからだ。  

「クソっ……!!」   

 もう戻ることはできなかった。稔は怒りをあらわに、あずさの躰を押さえつけると、今度はグレーのスカートに手をかけ、力の限り引き下ろした。   
 純白のパンティーが現れた。しかし稔の動きは止まらず、そのパンティーにさえも躊躇なく手をかけ、その薄布を弾き飛ばした。そして、目前に、娘 あずさの成熟した、そして素晴らしく魅力的な下半身が出現した。限りなく白い肌、肉感的な脚肢、そして……ニ年前にはかすかにしか存在していなかった、黒く輝いているアンダーヘア。稔は頭、そして下半身に急激に血が流れ込むのを感じていた。  
 理性と本能が必死で戦っていた。そして、この時点では父親としての理性がまだ勝っていた。   

稔の腕力に押さえつけられて、あずさは小さな鳴咽を洩らして抵抗をやめていた。稔は娘の様子を見て、一つ大きなため息をついた。そして、父親としての威厳を取り戻しつつ、そのあまりに魅惑的な三角地帯を凝視した。  

「……」   

 稔とていくつもの会社を切盛りしてる頃、様々な女と関係していた。そんな中で出会ったのが、あずさの母だった。あずさの母親も出会った頃から魅力的で、初めてのセックスの時は美しい肢体に感動したものだった。しかし、いま目の前に  ある十八歳の娘の肢体は母親と同等、いやそれ以上の美しさに感じられる。   

 まだシャワーを浴びていないはずなのに、かすかに石鹸の匂いがする。やはり、岸田という男の家で……?稔は疑念にかられながら、まだ娘の無罪をどこかで信じようとしていた。   
 今の稔には、それを確かめるしかなかった。さっきまで勢いよくあずさの服を取り去っていた右手をかすかに震わせて、息を呑みながら実娘の股間に伸ばしていった。  

「……っ!」  
「……!!」   

 結果は、最悪だった。予想していたことではあったが、それを認めたくはなかった。しかし、それは完璧に裏切られたのだ。あずさの股間はしっかりと、男女の行為の後のように濡れていた。   
 指をあずさの淫裂からゆっくりと引き抜き、その先を眺めて見る。間違いなく愛液だった。しかもそれはかすかに白濁しているように感じられた。また怒りがふつふつと沸き上がってくる。匂うはずのない相手の男の体臭が漂って来る気さえする。  


「……ああ……っ」   

 絶望の声が稔の口から洩れた。今まであらゆる力を傾けてきたはずのあずさへの教育が、何もならなかったことを理解したからだ。しかしその汚れてしまった娘を見て、自分が欲情してしまったのも事実だ。あらゆることが稔を打ちのめしていた。稔は無言で立ち上がり、ゆっくりと娘から離れようとした。

 このままで終わったならば、この父娘はどうなっていただろうか。運命は、二人を獣のような関係へと誘って行く。   

 あずさは、稔が離れる瞬間、確かに見た。父のズボンの前の部分が、はっきりと盛り上がっているのを。あずさは直感か、あるいは本能がなせる技か、離れようとする父の腰にすがりついた。  

「待って、パパ」   

 その娘の行動に、稔は不覚にも振り返ってしまった。あずさは目の前に来た  あの膨らみを確認すると、すぐにズボンのジッパーを下ろした。  

「お、おい、あずさ、何を……!」   

 そう稔が言うのが早いか、あずさはその間から、まるで手慣れた娼婦のようにペニスを取り出すと、いきなりその勃起した父のモノをくわえこんだ。  

「うわ……っ!」   

 つい何時間か前、岸田によって教え込まれたフェラチオのテクニックを、今怒りに震えている父に駆使した。やがて、稔の脚に宿っていた緊張が少しづつ解けて行くのを感じ、あずさはさらに舌や唇を蠢かせた。  

「お……あ、あずさ、やめるんだ……!」   

 父の言葉には、さっきまでの怒りはあまり感じられない。必死に戸惑いから逃げているようだった。あずさは、その父の変化に『君のフェラチオなら、どんな男でもコロッと参ってしまう』という言葉を思い出していた。   

 しかし、あずさに思いがけないことが起こる。口の中の父のペニスが、どんどん体積をましていくのだ。口に含んだ時は、岸田と同じくらいだったモノが、今はその1.5倍ほどに膨張している。岸田のペニスしか知らないあずさにとって、その大きさは驚異でもあった。稔も、妻が死んだあと初めて経験するフェラチオで、そのためペニスの充実度はかなりのものであった。  

「う、うおおっ……ああっ!」   

 突然、あずさの口内に稔の溶岩が注がれた。十八年ぶりのそれは熱く、またこの上なく濃かった。すごい勢いのその放出にあずさは思わず口を離した。稔は顔を真っ赤にしながら、娘の口唇によってもたらされた絶頂に酔いしれていた。   

 あずさは父の赤黒い巨大なペニスから、残りのほとばしりが出終わるのを眺めていた。だらしなく肩にかかったブラウスや剥き出しのバスト、腰にぶら下がっているだけのスカートに大量のほとばしりが浴びせられる。  

「パパ、すごい……」   

 思わず言葉が出た。それはあずさの偽らざる本心だった。今放出を続けている時の大きささえ、岸田の勃起時の大きさをはるかに上回っている。つい最近までセックスを知らなかった無垢な少女の、真実の言葉だったのだ。   

 荒い息をつきながら、稔はその場に座り込んでしまった。よほど感激しているのか、まだあずさは父の肉茎を無垢な瞳で眺めている。
  
 それからは、二人とも無言だった。稔は再び立ち上がると、潤んだ目のままのあずさに近づいた。そしてまた、たった今放出を終えたばかりのペニスを、娘の顔の前に近づけた。あずさは、父の気持ちを察知して、何も言わず再び口に含む。  

「ああっ………あずさ、イイよ」   

 父の感嘆の言葉に、あずさは気を良くして口や舌を駆使して父のペニスを念入りに舐めしゃぶる。一所懸命に首を振りながら……。口淫によって性感をピッタリと同調させた父と娘は、完全に牡と雌になって、本能的に快感を求めようとしていた。  

「あずさ……」  
「うっ、うぐっ……ふむうっ」   

 再び凄い膨張を始めた父の、稔の怒張にあずさは歓喜して舌を使った。口の中のモノは、今の自分にとってかけがえのない大切なモノのように、あずさには感じられていた。   
 稔が突然、娘の口の中から自分の剛直を抜き取った。ポン、と音がして口から離れた稔のペニスを、あずさは名残惜しそうに、潤んだ瞳で見つめていた。  

「パパ……?」   

 どうして続けさせてくれないの?と言おうとしたあずさは、直後に父の瞳に浮かんだ意図 を察して喜んだ。稔は娘の肩に手をかけると、優しくソファーに押し倒し、その紅い唇にキスをした。父は、あずさと躰をつなげることを決意したのだ。  

「パパ、嬉しい……」  
「あずさ、きれいだよ……」   

 二度目の優しいキスの後、稔は右手をあずさの濡れそぼった下腹部にあてがい、その地帯に隠された美しい陰唇に指を刺し込んだ。

「は、はうんっ……!」   

 あずさが白い喉を反らせて感じ入る。長い髪を背に垂らし、閉じた目にはきっと悦びが漂っているはずだ。   
 父の指が巧みに内部を凌辱する。しかし、そこから湧き出て来るのは、岸田とのつながりではとても味わえなかった、腰が砕けそうになるほどの甘美な感覚だった。  
(指だけでこんなに気持ちイイなら、アレを入れられたら……)躰中が浮き上がるような快感の中で、あずさは思っていた。   
 やがて、当然のようにその瞬間がやってきた。稔は、娘の陰部にあてがっていた手を引っ込めると、あずさの腰に両手をまわして腰を起こさせた。  

「パパ……」   

 ひときわ潤んだ瞳で、娘は実の父親に哀願する。  

「あずさ……」   

 問いかける言葉も、承諾の言葉もないまま、父は娘の美しい裸体に相対し、牡としての本懐を遂げようとしていた。自分自身のペニスは、きっとあずさを満足させるに違いない。稔には、その自信があったのだ。  

「いくぞ」   

 じっと稔の顔を見つめたまま、あずさはうなずく。稔は、まるで長年連れ添った夫婦のように、娘の快楽器官を探り当てた。ぐっと、力を込めて肉茎を押し進める。  

「は、はあ……んっ!」   

 歓喜、としか言いようのない声があずさの口から洩れる。自分の体内に侵入してくる父のモノは期待通り、いや期待をはるかに上回る満足感を与えていた。  
 稔にとっても、若くみずみずしい肉の内部はこの上ない感動だった。自分のモノをしっかりと喰い締めてくる熱い粘膜は、長い人生にも経験できなかった感動的な感触だった。なにより、娘の成熟をこの身をもって経験できる喜びが、今の稔を支配していた。   
 稔は娘の素晴らしい肉体を確認した後、やがてゆっくりと躰の躍動を開始した。  

「ふうん、ふ……はあっ!」   

 あずさが狂ったように叫び始める。それほど父のペニスの躍動が素晴らしいのだ。  
 稔は実娘の狂態に自信をつけ、さらに早く腰を繰り出す。  

「ふうんっ、ふうんっ、ふう……んはあっ!」   

 稔の腰のグラインドに合わせて、あずさは張りのある声で喘ぎ続ける。広いリビング全体に響くその淫らな響きは、父 稔そしてあずさ自身の性感を高ぶらせていった。   

 稔は華奢なあずさの躰を、しっかりとつながったまま抱き起こした。座位によっての交歓を娘に求めたのだ。  

「うんっ!はああっ……!」   

 期待以上の反応が、稔に返ってきた。あずさは父の腰の上で、その白く輝くような裸体を反らせて、自分から腰を動かし始めた。  

「ああっ……イイっ、イイのパパ!」  
「ああっ、パパもイイよ……っ!」   

 稔はそのあまりに甘美な感覚に、娘の淫らな動きへの非難など完全に忘れていた。  

「気持ちイイか?ほんとにパパのは気持ちイイか?」  
「イイわ!ほんとにオ○ンコが気持ちイイの!は、ああんっ……!」   

 あまりに乱れた言葉だった。しかし、確かに本心の言葉だった。あずさはもう、岸田のことなどすっかり忘れていた。父のペニス、腰の動き、セックスに関する全てのものが、あずさの五感を完全に支配していた。岸田とのセックスなど、子供の遊びにように感じられた。  

「はああ、ふうんっ……はあ、パパ、パパぁ!」  
「あずさ、あずさ……くうっ!」   

 二人の鳴咽が、同調しつつ高くなっていった。腰と腰はしっかりと打ち合わされ、そのぶつかり合う間からは、クチュクチュといやらしい音が洩れ出ている。  

「パパ、もう私イクわ……はあん!」  
「ああっ、パパも……イクぞっ!」   

 まったく同時だった。父 稔は実娘の体内におびただしい量の樹液を噴出させ、娘 あずさはこれ以上ないほどの愛液を、父のペニスに歓喜の証として浴びせかけた。

「パパ……」
「あずさ……」

 二人はしっかりと抱き合ったまま、互いの唇をいつまでも愛おしげに吸い合った。   

 翌朝、あずさはここ何日かの習慣であった岸田家訪問を行った。チャイムを押すと玄関から、昨日までは至上のものに思えていた、にやけた笑顔で岸田が現れた。  

「やあ、相馬さん。おはよう」  
「おはようございます」   

 あずさは一定の感情を込めながら冷静に返事した。岸田は、あずさが昨日と様子が違うのに気が付かないらしい。  

「さ、行こうか」   

 岸田は、あずさをいつものように自動車へ誘った。しかし、あずさはそれをはっきりと拒否した。  

「いいえ、岸田さん。今日からは遠慮させていただきます。今朝はお別れを言いにやってきたんです」   

 あずさは毅然として言う。  

「何だって!」  
「もう、いいんです」   

 あずさはそう言って、呆然とする岸田を置いて、通りへと向かっていった。そこには、父の運転する真っ白な高級車が停車している。

「パパ、終わったわ」
「そうか、よかった……」

 父親は、そのまま愛娘に口吻する。仲のいい親子のスキンシップとは到底思えない、熱く濃厚なディープ・キスだ。

「……あずさが帰ってきたら、またたくさん愛してあげよう、な?」
「帰ってから、なの?」
「……え?」
「まだ始業までには時間があるわ。だから……ね?」

 実娘の淫らな瞳に、父は苦笑する。こんな可愛い女に請われれば、承諾するしかないではないか。

「ああ、分かった。今からでも、たくさん……」
「嬉しい……っ!」

 狂おしいくらい愛している父の唇を、娘は再び奪った。あずさには、昨日までとはまるで違う生活が始まったのだ。最愛の父との、素晴らしい性活が……。



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