母姉相姦 第4話
「母と姉 〜禁忌の終宴」

 夏美が目覚めた時、すでに十時をまわっていた。すでに短大を休み始めて六日目、母の礼子は再び会社に復帰して、夏美はただ一人家にいた。夏美はゆっくりベッドから起き上がり階下のキッチンに向かった。テーブルの上に、母礼子が朝食を用意してあった。けだるくそれをほおばったあと、完全に目覚めていない頭を覚まそうと、洗面所へ向かおうとした。

 その時、玄関のベルが鳴り、来客を告げていた。

「どちらさまでしょうか?」

 夏美はインターホンで応答する。

「……結城悠一くんのことでお話があるんです。お姉さんですね?」

 来客は若い女性らしい。少し警戒して夏美はさらに聞いた。

「悠一のこと、ですか?」

「はい、私は悠一くんの学校の関係者です。けっして怪しい者ではありません」

 学校関係と聞き、夏美は安心してドアへと走った。

「どうぞ、お入りください」

 夏美はドアを開けた。立っていたのは、美人の女性であった。その客をリビングに通して、すばやく身支度した夏美はコーヒーを作って持っていった。

「よかったら、どうぞ。……あの、それで悠一がなにか?今母は勤めに出ていて留守なんですが、大事な用でしたら今すぐ電話をかけますけど……」

「いえ、おかあさまは逆にいらっしゃらないほうが好都合ですわ。これは、ぜひともお姉さんに聞いてもらいたいことなんです……」

 女がそう言った。

「私に……?いったいなんです?」

「お姉さん、これを見ていただけますか?」

 女は持っていたハンドバッグから封筒を取り出した。

「この中に、悠一くんに関する、重要な物が入っているんです。さあ、中を見てください」

 そう言って女は夏美に封筒を渡した。夏美はそれを受け取り、中を覗いてみた。中には、写真らしきものの束が入っている。

「写真、ですか……?」

「ええ」

 夏美はそれを取り出してみた。

「……!」

 夏美は絶句した。その写真は、悠一と女とのセックスの現場を写した写真なのだ。女の方の顔は見えないが、バスルームのような所で悠一の腰に座っている。

「これは……どういうことですか!?」

 夏美は叫んだ。

「……その場所に、見覚えはありませんか?」

 そう言われて夏美は再び写真を見直す。そこは、確かにこの家のバスルームだった。(家のバスルームで、悠一と誰かが……)夏美は激しい嫉妬を覚え、女に聞いた。

「……この女はいったい誰なんです!まさか、あなたじゃないでしょうね?」

「一枚目の写真じゃお分かりになりませんか?それじゃあ二枚目を見れば分かるでしょう」

 女にそう言われて、夏美は二枚目の写真を見てみた。そこに写っていたのは、母親である礼子の顔であった。あまりのショックに、夏美は気を失いそうになる。

「もう分かったでしょう?悠一くんは、実の母親である結城礼子さんと肉体関係を持っているんです」

 女は言った。夏美は乱れた息を深呼吸で落ち着かせ、聞いた。

「あなたは、これをどこで手にいれたんですか……?」

「今は、あるルートから、としか言えません。……でもお姉さん、勘違いなさらないでください。私は平和な家庭の幸せを壊そうとか、この写真で恐喝しようとか考えてるんじゃないんです。私は先日、教師として悠一くんに性の相談を受けて、それを調べているうちにこの写真に行き着きました。だからこのような異常な関係を、身内の方にぜひ矯正してもらおうと思ったのです」

 女はまくしたてた。夏美はまだショックから立ち直れないでいた。この写真から受けた衝撃は、あまりに大きかったのだ。自分だけのものだと思っていた弟が、まさか母親と関係していたとは夢にも思わなかった。

「……分かりました。私からははや悠一に聞いてみます」

 必死に声を出しながら、礼子は言った。

「そうですか。それじゃあ、私はこれで……」

 女はソファから立ち上がって礼をして、玄関へ向かった。夏美は見送る気も起きないほど憔悴していた。やがてドアが閉まって再び一人になっても、しばらく夏美は何もできなかった。

(ママと悠一が、セックスしていた……ママと悠一が、セックスしていた……)何度嘘だと思い込もうとしても、目の前の何枚もの写真にははっきりと母と弟の交わりが写し出されている。今の夏美には、弟の裏切りに対する怒りと、実の母親に対する激しい嫉妬しかなかった。

 

 

「ただいまぁ!」

 四時を少し過ぎて、学校から悠一が帰宅した。

 姉がいるはずなのに、家の中は誰もいないように静かだ。

(ねえさん、寝てるのかな?)悠一はそう思って二階へと上がり、姉の部屋を覗いてみた。

「ねえさん、ただいま」

 ベッドの上に、すっぽりと布団をかぶって夏美は寝ていた。悠一は姉を起こさないようにそっと近づいた。悠一はあれから毎晩のように母親と交わっていたが、夏美とセックスした夜を忘れたことはなかった。だから今、愛する姉の寝顔にキスでもしようかと思ったのだ。

 ふと、姉の机の上に何枚も写真が散らばっているのが目に止まった。悠一は姉へのキスをやめて、机へと向かった。

「……!!」

 悠一は思わず声を上げそうになった。机の上の写真には、すべてあのバスルームでの実母とのセックス・シーンが写されていたのだ。

(いったい誰がこんな写真を……そして、こんな写真をなんでねえさんが……?)悠一の頭はこれ以上ないくらい混乱していた。

「どうして持ってるか、教えようか……?」

 突然背後から、姉の声が聞こえた。悠一は飛び上がるほど驚いた。

「……ねえさん、起きてたの?」

 弱々しい声で悠一が尋ねる。

「そんなことより、その写真はどういうことなのか、はっきり説明してちょうだい」

 姉の冷たい声に、悠一はあたふたと狼狽した。はずみで写真を何枚か落としてしまう。

「そこに写ってるのは間違いなくあなたとママ。家のバスルームで、汚らしくつながっているのよ……さあ、説明して。ねえさんに分かるように!」

「……ねえさんが、どうしてこんな写真をもってるの……?」

 かろうじて絞りだした声で悠一が聞く。悠一の心は揺れ動いていた。秘めやかでなければならないはずの母親とのセックスが今こうして写真となり、そして自分をこの上なく愛してくれている姉の夏美に見られてしまっている。少しでも真相を聞かなければ、悠一は気を落ち着けることができないのだ。

「それを話さなきゃ私の質問には答えないってわけね……いいわ、教えてあげる。この写真は今朝ある女の人が家に尋ねてきて、置いていったものよ」

「それは、どんな人……?」

「そんなこと聞いてどうするつもり?この写真は事実存在しているし、いまさら出所を知ったってあなたとママの罪は消えないのよ!」

 悠一は混乱していた。なにかいい手を考えようにも、頭の中が知的運動を止めたかのように思考が沈黙している。ただ全身がカッと熱くなり、震えているだけであった。

「ほら、なにも言えないんだ。あなたは私を裏切って、ママと畜生のようなセックスをしてたんだわ!」

 姉のその言葉に、悠一の中で何かが弾けた。悠一は姉の方を振り向くと、いきなり飛びかかっていった。

「きゃあ!なにするの!!」

 突然の弟の攻撃に夏美は叫ぶ。

「……そんなに汚らしいと思うんなら、ねえさんにもやってやるよ……」

 さっきの弱々しく慌てていた弟とは思えないほど、悠一は変貌していた。その瞳には、獣のような冷たい光が宿っていた。夏美は、その瞳があの大垣と全く同じ目であることを知り、恐怖を感じた。

「やめて!あなた、私まで同罪にする気!」

 夏美が必死にあらがう。

「なにさ、ねえさんだってあの夜、僕に突かれてよがってたくせに……ねえさんは僕とママが真剣に愛し合っているのが悔しいんだ。そうだろ?」

 悠一はそう言うといきなり夏美のパジャマを力いっぱい引き裂いた。その時悠一の目にに思いもよらぬ光景が飛び込んできた。姉は、ノーブラだったのだ。

夏美は寝るとき、汗をかくことを嫌ってブラジャーを脱いでいたのだが、今の時点でその現象は襲っている悠一のほうに大いに味方した。

 悠一はそのむき出しの乳房に襲いかかった。乳首にあらん限りの勢いで吸いついたのだ。

「はうっ!」

 夏美が叫ぶ。不意の攻撃に、夏美は苦痛と快感の声を上げたのだ。しかし悠一は気にせず胸の凌辱を続けた。乳首に吸いついたまま、今度は手を使って姉の豊かなバストを激しく揉みしだく。

 男の愛撫に、女の胸の先端は哀しくしこってくる。姉の口が沈黙したのを見て、悠一が言う。

「どうだい、ねえさん。もう気持ちよくなってきただろ?口では僕のことを薄汚く罵ったけど、ねえさんだってママに負けないくらい淫乱じゃないか……」

 弟のその言葉は、限りなく冷たかった。その口調は間違いなく、大垣のしゃべりかたと一致していた。夏美は、あの時と同じように凌辱されても感じてしまう自分の躰に激しい嫌悪を感じた。

「やっぱり感じてるんだ……そうだろ?スケベなねえさん……」

 そう言って悠一は、片手を姉の下腹部に下ろし、巧みにパジャマを脱がせた。その動きはとても自然で、夏美は知らないうちにパジャマのズボンを脱がされてしまっていた。悠一はそのテクニックを、礼子との毎夜のセックスで完璧にマスターしていたのだ。

「ここはどうかな……?」

 悠一がいやらしげにささやき、手を夏美のパンティーに忍びこませた。指先に濡れた感触があった。

「はううっ……んっ!」

 夏美が喘ぐ。

「こんなに濡れてる……ねえさん、ママよりずっとインランだ!」

 悠一がその濡れた指先を夏美の目の前に見せる。あまりの羞恥に、夏美は顔を両手で覆った。

「なにいまさら恥ずかしがってるのさ……まあいいや、ねえさんにもっと恥ずかしい思いをせてやる!」

 悠一はそう言って、頭を姉の股間に移動させた。そして湿った姉の亀裂に自分の舌を這わせた。

「は、はあああーっ!」

 その甘美さに、夏美は思わず声を上げた。頭では弟の無法行為を拒否しているのに、夏美の両手はさらなる快感を求めて無意識のうちに弟の後頭部を押さえている。悠一はその姉の協力に気をよくして、舌をさらに激しく動かす。そのたびに夏美の股間からピチャピチャという音がいやらしく響いてくる。

「はああっ……やめて悠一、ねえさんが悪かったわ。だからもうやめて!ああっ、変になっちゃう……!」

 夏美は懇願するが、言葉に反して夏美の腰は左右に妖しく揺れて、弟の舌の愛撫を受け入れている。

「はう……はああっ!」

 夏美は悠一の頭部を両手で思い切り自分の股間にこすりつける。また自ら腰を浮かせて舌の感触をさらに深めようとする。いつの間にか、弟と母親の罪の追求など、すっかり忘れていた。

 ふっと、悠一の動きが止まった。空虚な感覚が夏美の躰を包む。

「ああっ、やめないでぇ……!」

 夏美が悩ましい声で本音を吐いた。悠一は愛液でテラテラに濡れた顔を上げて言った。

「インランねえさん。してほしかったらお願いしなよ、『お願いします、ねえさんのいやらしい躰にあなたのおちんちんをぶちこんでください』ってね……」

 悠一は姉から体を離した。いきり立ったペニスをユラユラと揺らしながら、潤んだ瞳の姉に言った。

「さあ、言いなよ。そのままじゃイケないよ……」

 あいかわらずの冷たい声だ。しかし夏美の躰は悠一の言う通りもはや挿入の快感でしか鎮まらない所まで昂ぶっていた。

「さあ、言って!」

 悠一が叫ぶ。

「お願いします……」

「うん!」

「ねえさんの……」

「うん!」

「いやらしい躰に……」

「躰に!」

「あなたの……」

「あなたの!?」

「あなたの……」

「あなたの何!」

「おちんちんを……」

「うん!」

「ぶちこんでください!!」

 悠一は姉の淫らな叫びに満足して、笑った。

「ゾクゾクするな、ねえさんがそんなこと言うなんて……」

 悠一がゆっくり立ち上がった。

「それなら、お望み通りにしてあげるよ……」

 そして虚ろな目でこちらを見ている姉の裸体に再びのしかかっていった。

「さあ、入れるからね……」

「ああ……っ」

 悠一は自分の怒張に手を添えて姉の濡れそぼった淫裂にあてがった。そして力を入れると、ズッと姉の体内に押し込んだ。

「はああうっ!」

 強烈な挿入感覚に夏美は喘ぐ。美しい顔は快感に歪み、その感覚がいかに素晴らしいかを物語っていた。

 悠一はペニスの進入を完了したあと、しばらく動きを止めた。自分を罵倒した姉を、ただ楽しませるだけでは物足りないという気持ちが湧いていたのだ。

 夏美は弟のじらしの作戦に、見事にひっかかってしまった。すでに際限まで興奮しきっていた女の躰は、体内に収まっているペニスを速く動かして欲しい、という気持ちでいっぱいだった。

「ねえ……」

 組み敷かれた姉が悩ましげな声でささやく。

「なに、ねえさん?」

 悠一がわざとらしく聞きかえす。

「ねえ、お願いよ……」

「だから、なに?」

「……意地悪、分かってるはずよ……」

「分からないなぁ……なにをどうして欲しいの?」

 姉のささやきに嬉しくなって、悠一がさらに聞く。

「動かして……」

「なにを……?」

「悠一の、おちんちん……っ!」

 姉の叫びに悠一はこの上ない喜びを感じた。悠一はさらに意地悪になる。

「なんだ、そんなことか。それならねえさん、自分から動かしなよ……」

「え……?」

「だから、ねえさん自分で動かしなよ」

「それは……」

 拒否しそうな雰囲気を察して、悠一は一度だけ腰を使う。

「はうっ!」

「ほら、気持ちいいだろ?だから自分で動かせばいいじゃない」

 夏美は無言になった。悠一は自分の作戦が成功したと悟っていた。

「……ふっ、あああっ!」

 ついに夏美は自分から腰を動かし始めた。正常位の行為で、女にとってはつらい体勢であったが、夏美はとにかく快感を得たかったのである。あいかわらず悠一はなにもしない。下から腰を必死に動かしている姉の乱れようを見て満足していた。

「ははっ、本気で動かしているよ……ほんとにねえさんは淫乱だな」

 悠一がいやらしげに言うが、夏美には聞こえていなかった。じらしにじらされた躰を満足させるためには、自分からでも腰を動かしていたほうがよかったのだ。

「あれあれ、そんなに熱中しているんだ。じゃあ、満足させない訳にはいかないな……」

 そう言って悠一は、腰を使い始めた。姉の動きに合わせるように的確に、である。

「はあ、はああっ!」

 すでにかなり高ぶっていた夏美の躰は、さらに深い結合を得ようと必死に動く。両手はしっかりと悠一の首筋に回され、両脚はガッチリと腰を抱え込んでいる。

「はあっ、ふうん、ふうんっ。悠一、悠一!」

 悠一はすでに母礼子と十数回、夏美や涼子と一度ずつセックスを経験しているが、相手の女がこんなに乱れているケースははじめてだった。その喘ぎ声を聞いていると、こっちがおかしくなってしまうような気分になる。

「ひ、はあっ、はああーっ!おかしい、おかしいのぉーっ!」

 だめだ、激しすぎる……。悠一の偽らざる本音だった。このままでは、自分が先にイッてしまうのは確実で、それでは行為が本末転倒になってしまう。悠一は少し考えた。

「ねえさん、あの時と同じように上に乗ってよ……」

 悠一が言った。

「……イイわ。なんでも、悠一の好きなようにねえさんを犯って!」

 姉が了承した。悠一は夏美の躰を抱えて後ろに寝ころぶ。夏美の初体験の体位である騎乗位が完成した。

「さあ、もう一度いくよ!」

 悠一がそう言って再び腰を突き上げ始める。夏美も必死に腰をグラインドさせる。

「ふうっ、はあっ、はうんっ!ああっ、イイ!」

 夏美は自分の豊かなバストを掴んで揉みしだく。母親の遺伝か、その途端夏美の喘ぎが一段と高く悩ましくなる。

「ふうん、ひ、はああっ……!悠一、もっと激しく突いて、突いて!」

 ピチャピチャと、ぶつかり合う性器同士が淫美な音を立てる。

「……ほら、もっと動いてよ、ねえさん!」

「いいわ……もっともっと動いてあげる……はああうっ、はああっ!」

 夏美はさらに腰のグラインドを強める。姉の積極的な動きに悠一も断続的に切なげな喘ぎを上げる。

「ふうっ……ねえさん、最高に気持ちイイよぉ!」

「あああっ悠一、ねえさんもイイわ……あああっ、イイっ!」

 夏美はもうなにも考えられないほどの快感に溺れていた。母と悠一の汚らしいつながりのことなど、全く思い出せなかった。この弟との魅惑的なセックスは、完全に夏美を忘我の境地にいざなっていた。

「はっ、はっ、はうんっ!はああっ……イイの、イイのォ!」

 悠一は乱れる姉の揺れ動く腰をしっかりと掴んで引きつける。腰がぶつかるたびにぱちんぱちんと心地よい音が発生する。

「ねえ……イクわ、ねえさんイキたいの……ねえ、イカせて!」

 夏美が叫ぶ。その時も必死に腰を揺らめかせる。

「イイよ……僕もそろそろ……イキそうだ……!」

 悠一も大腰中腰を使いながら、姉の叫びに応える。そしてフィニッシュに向かって姉への突きを激しく行う。

「はうっ、はああっ……ああっ!」

「ううあっ……はあっ」

 二人の喘ぎは最高潮に高まっていた。午後の傾いた日差しの差し込む夏美の部屋で、姉と実の弟が性をむさぼるだけの、獣のような交歓の頂点を目指して登りつめようとしていた。

「イクっ、イクっ、あああっ……イクうっ!」

「ああああっ……僕も、イク!」

 その瞬間、悠一は夏美の高まりきった躰の中に熱い男のエキスをたっぷり注ぎ込んだ。

 

 

 ぐったりとしている夏美を残して、悠一は姉の部屋を出た。

(これでねえさんもママも、僕だけのものだ……)悠一はほくそ笑みながらドアを閉めた。

 ベッドの上で荒い息をしている夏美は、落ち着いてゆくにつれ自分が情けなくなっていた。

(ママと悠一のこと、私には何も言えないわ……ママと同じように、悠一に抱かれて自分で意識しないうちに感じてしまう……)夏美の頬を、知らず知らずのうちに苦悩の涙が伝っていた。

 

 

 涼子が午前の結城家を訪れ、悠一と母親のセックス写真を夏美に渡してから、結城家の内部は不思議な混乱に包まれていた。あの日から悠一は、帰宅してすぐに姉の部屋に行き夏美を抱いて、また夜の二時になると母親の部屋を訪れて礼子の熟れた躰を味わった。礼子は欲求不満の火照った躰を悠一に癒してもらい、夏美は悠一の強引なやり方に仕方なく躰を提供し、なかばそれが習慣となっている。

 夏美はすでに母と弟の関係を知っており、また礼子も悠一に女の影があることを薄々気が付いていた。しかしまさか夏美と悠一がセックスしているとは夢にも思っていない。それとは別に、自分に対する夏美の態度が大きく変わったことに気が付いていた。もちろん悪い方にである。

 そのため結城家の中には常に異様な雰囲気になっていた。つまり涼子が悠一と礼子の関係を壊そうとした計画は、逆に悠一を礼子と夏美にしっかり結びつける結果となった。

 

 

 母と姉の肉体をしっかりと手にいれた悠一にも、ひとつの疑問があった。あの写真の出所である。姉はその後、写真のとどけ主が若い女で、金や他の物も要求しなかったことを聞き出した。話を総合して少し自分で考え、導きだした結論は『その女は涼子先生だ』というものであった。悠一はそのことを今日学校で確かめようとしていた。

 その日の午後四時、童貞を失ったあの日と同じように悠一は保健室を訪れた。

「あら、悠一クン!どうしたの、ずいぶんひさしぶりじゃない?」

  なんだかとても嬉しそうに、涼子が椅子から立ち上がった。

「ええ、涼子先生に相談したいことがあって……」

 悠一は心の中を見せないように落ち着いて言った。

「どんな悩みかしら……?」

「涼子先生に頼むことって言ったら、アノことですよ」

「フフフ、そうなの。じゃあ部屋の鍵を閉めなくちゃね……」

 涼子は嬉しそうな表情を隠そうともせず、扉にいって鍵を閉めた。そして診療ベッドに座って悠一に向かって微笑む。

「すいません。いろいろあってこっちのほうになかなか来れなくって……」

「いいのよ……結局私の所に戻って来てくれたんだから」

 涼子が言う。そしてやはりあの日のようにゆっくりと白衣を脱ぎ始めた。しかし、母との秘め事を姉にバラしたのが涼子だと確信している悠一にとっては、目の前のあらわになっていく裸身もなんら興奮するものでもなかった。悠一は自分も服を脱ぎ始めた。

「さあ、あの時のようにどんなことでもしていいのよ……」

 全裸になった涼子はそう言って涼子は診療ベッドの上に横たわった。気持ちとしては冷めているのだが、午後の陽光に浮かぶ涼子のたおやかな躰を見ると、悠一はさすがに分身に力が漲ってくる。

(しょうがないな、男ってものは……)悠一は哀しき生理現象を自嘲していた。そしてゆっくりと手をのばして、涼子の躰へと触れた。

「そう、もっと触って……」

 涼子が喘ぐ。悠一は涼子にのしかかって念入りな愛撫を始めた。左手を豊かなバストにあてがい、右手の指は熱く熟れた秘裂に慎重に動かす。

「いいわ……悠一クン、もっと触って」

 感じやすい躰を悩ましくくねらせてささやく。悠一は黙って指の愛撫を続ける。股間の部分以外は、かなり冷静だった。

「ふうん……あああっ、いいわっ!」

 しだいに涼子の声が激しくなる。悠一の右手に濡れた感触があり、涼子の躰がさらに高まっていることを知らせている。

「ふああっ!悠一クン、ちょっとやめて……ねえ、もうやってよ……」

 下から涼子が潤んだ視線を投げかけて懇願する。悠一は両手を離して自分の分身に手を添え、しなやかな涼子の裸身に埋めていった。

「はっ、はうううっ……」

 涼子が膣内に収まった悠一の肉茎の感覚を楽しんでいる。はやく悠一に腰の動きを開始して欲しい涼子に対して、悠一はまったく動こうとしない。

「ねえ悠一クン、動いてよ……動いてェ!」

 悩ましげな女校医の願いにも、悠一は動かなかった。

「ねえ、動いて!なんで動いてくれないの……?」

 涼子の言葉に、悠一が反応した。

「じゃあ聞くけど、なぜ涼子先生は僕の家にやってきて、あんな写真をねえさんに渡したりしたの?」

 突然の悠一の冷たい声に、涼子は驚いた。

「ねえ、どうしてさ。どうしてあんな写真をねえさんに見せたりしたのさ。あんなことしたら、家の中がメチャメチャになっちゃうかも知れなかったんだよ」

 悠一は相変わらず冷たい声で続ける。

「もしかして、涼子先生は僕の家をメチャクチャにするためにあんなことしたの?」

「ちょっと待って、悠一クン……私はただ、あなたとおかあさまの普通じゃない関係を普通に戻してあげようとしただけなの。誤解しないで、だから……!」

 涼子が必死に言う。全身がたまらなく、切ない。

「ふーん、そうなんだ……」

「え、ええそうよ。だからお願い、私を早くやって!」

「……ダメだね、本当のこと言ってくれないと動かせないよ」

「本当のことって……私はちゃんと本当のことを言ったわ。だから……」

「いや、言ってないね。涼子先生の本心は別にあるはずだよ。ほら、早く言わないと僕は動かないよ……」

 悠一はそう言って少し腰を動かしてみせた。礼子との交わりに使ったテクニックだ。涼子はその手にすっかりかかってしまった。

「……分かった、言うわ!悠一クンがおかあさまとセックスしていることを知って、また私の所にあなたを取り戻したかったの!だから……だから早くやってぇ!」

 涼子がそう叫んだ。悠一は女校医の告白を聞き、冷たく言い放った。

「残念だったね、涼子先生。あの写真のおかげで、僕の家族は壊れるどころか、またさらに深く結ばれたんだよ。ママとも、ねえさんとも……」

「ね、ねえさん……!?」

「そうさ。本当は写真を見る前からねえさんとセックスしてたよ。でも先生のおかげでさらに深い関係になったんだ。その点涼子先生には感謝してるよ……というわけで、もう涼子先生の躰は僕には必要ないんだ。今日が最後ってわけさ」

「そんな……嘘でしょ、悠一クン!」

 涼子が悲しげな声を上げる。

「残念だったね、恨むなら自分を恨みなよ。さあ、最後ぐらい楽しくしようじゃないですか」

 そう言った悠一は、ついに腰の躍動を開始した。涼子は悠一の口から出たすべての事実に絶望した。自然に涙が頬を伝う。

「なに泣いてるのさ。せっかく最後なんだから、ちゃんと感じたほうがいいよ」

 笑って言う悠一の声は、涼子にとってさらに冷たく響いた。悠一は腰のグラインドを強める。屈辱と後悔の中の涼子でも、熟れた躰に宿った官能の火を抑えることはできなかった。自然に自分の口から喘ぎが洩れてくる。

「ふう……くああっ!」

「そうそう。もっと素直に、ね……?」

 悠一のささやきが涼子の耳もとに響く。腰はさらにいやらしく動き続ける。

「ふうっ、はああ……くうっ」

「そう……いいよ、涼子先生も恥ずかしがらずに腰を動かしなよ。ママもねえさんも、自分から進んで腰を振ってくれるよ……」

 その悠一の言葉に、涼子の心は大きく揺れた。しかし悠一の言った通り、涼子の腰は揺らぎ始めた。この行為が悠一との最後のものであることは分かっていたが、なぜか逆に礼子や夏美に対しての嫉妬心が湧き、涼子の躰は本能的な女の動きを開始したのだ。

「はあっ、ふううあっ!」

 悠一にとっても、自分の童貞を破り『女の躰』を教えてくれた涼子に、最後の恩返しをするつもりで涼子の躰を抱いていた。母や姉との交歓によって修得したテクニックを駆使し、美しい女校医の体内に深く、巧みにペニスを繰り出す。

「はあ、はあ、はああっ……イイ、イイわぁ!」

 午後の保健室に、涼子の哀しく艶やかな喘ぎが響く。

(悠一クンは悪魔のような男になってしまった。それは私のせい……?でも、いいわ……今この瞬間に、悠一クンと乱れていられるなら……)涼子はそう思いながら、本格的に腰をグラインドさせ始めた。

「ふう、ふ、ふあああっ!悠一クン、イイわ……何もかも忘れさせて……はあうっ、はああっ!」

 涼子は初めて悠一と交わったあの日のように、少年の華奢な背中に手をまわして腰を突き上げた。

「イイ……涼子先生、気持ちイイよ!」

 今までの口調とうって変わって、悠一が甘えた声を発した。涼子のテクニックに、若い肉体の限界が近づいてきたのだ。

(ああっ……その声はあの日とまったく同じ。イイ、もっと感じて、悠一クン!)涼子はさらなる快感の中に自らを導いていった。

「ふう、は、はああっ……イイ、イイっ!」

「涼子先生……イイ、僕もイイよ!」

 二人の喘ぎはまったく異なっていた心と裏腹に、完全に一致しようとしていた。躰の中に染み込んだ男と女の本能がそうさせているのだ。

「ふう、はあ、はああっ!悠一クン、先生イクわ……早くイカせて!」

「イイよ……僕もイキそうだ、ああああっ……イク、イクっ!」

 悠一は最後のひと突きを涼子の躰にねじ込んだ。その瞬間、女校医の膣内に牡の熱いエキスが注ぎ込まれた。

「はああうっ……!」

 涼子もその感覚に酔いながら、最高の絶頂を迎えた。

 

 

 悠一はなにも言わず保健室を出ていった。ただ一人ベッドに残された涼子は、あまりの悲しみに涙を流していた。すべてが終わった今、涼子にはなにもする気が起きてこなかった。

 すでに保健室を夜の闇が包み始め、涼子の裸身はその闇に沈んでいくように見えた。用務員が保健室を見まわり、涼子のその尋常ならざる姿を見つけたのはさらにあとのことだった。涼子は駆けつけた遅番の教師たちに無言で、学校を立ち去った。

 

 

 涼子が学校を辞職したのは、最後の日から一週間の後だった。悠一が涼子に別れを告げた翌日、校内に涼子の噂が広まっていた。その噂は先の噂と比べものにならないほどの早さで広まっていった。『三崎涼子が昨夜何者かにレイプされた』と言う噂は、悠一以外の生徒にとって単なる話題のひとつでしかなかったが、当の本人である悠一には、その噂は大きなショックだった。

(まさか、涼子先生が僕のことを恨んで誰かにしゃべったんじゃ……?)気が気でなかった悠一にとって、涼子が学校を辞めると聞いた時には大いに安堵した。

 人知れず涼子が学校を辞めていくと、悠一は我が世の春を謳歌していた。毎日毎日、母 礼子と姉 夏美の美しい躰をもて遊び、性の欲求を満たしていたのだ。その夜も帰宅してすぐに夏美の若々しい肉体と交わったあと、深夜の母の寝室に忍んで熟れに熟れきった礼子と交歓した。

「ねえ、悠一……?」

 二度の行為を終えた後、汗だくの礼子がおさまりきれない声で悠一に言った。

「なに、ママ?」

「あなたが、なっちゃんと毎日セックスしているのは知ってるわ……だからお願い、お願いだから避妊だけはちゃんとして!」

 母が強い語威で言う。

「……なっちゃんはまだ若くて、いつかは私たちの手を離れて誰かのお嫁さんになるわ。そんな時にもし子供ができたりなんかしていたら……ねえお願い、これだけはママのいうことを聞いて!」

 静かな口調ながら、その裏に秘められた心情は厳しいものであった。

「まさかママがねえさんと僕のことに気づいてたなんて……」

「……女には分かるものなのよ。それより、いい?約束して!」

 礼子の声がさらに激しくなる。その勢いに、悠一は折れた。

「……分かった。でもやっぱり、それって恥ずかしいな、その……いろいろあるんでしょ?コンドームとか……」

「それは心配ないわ。ちゃんとママが買ってきてあげるし、ママからなっちゃんに言っておくから」

 礼子は毅然と、母親の威厳をもって言った。

「それなら、安心だな……ねえママ、そのかわりもっとママとのセックスを多くしてよ。いいでしょ?」

 いつもの甘えた声で悠一がささやく。

「ああ……いいわ、もっともっと愛し合いましょう……」

 そう言って礼子は、息子の萎えたペニスにしゃぶりついた。悠一が低く喘ぐ。だんだん力が漲ってくるモノを口に感じながら、礼子は母親として、また女としての悦びに酔っていった。

 

 

 翌朝、悠一は学校にいき、夏美はふたたび通い始めたスイミングスクールに向かった。礼子は午前中に事務所の仕事を済ませて正午に帰宅した。

 夏の日差しに汗ばんだ躰をシャワーで潤していた時、玄関のチャイムが鳴った。礼子は急いで体を拭いてバスローブを巻き、インターホンに向かった。

「どちらさまでしょうか?」

「あ、あのう、夏美さんの知り合いの者ですが……夏美さんご在宅でしょうか……?」

 インターホンの向こうにいる男は、若い声だった。しかしその声はなにかに慌てているようであった。

 礼子は少し考えて男に聞いた。

「夏美になんの御用でしょうか……?」

「え、いや……その……」

 男の受け答えがさらに怪しくなる。礼子は確信した。この男は、夏美のレイプ事件に関係している男だ、と。

「分かりました……ちょっと待ってください」

 礼子は玄関に向い、ロックをはずした。開いたドアに現れたのは、体格のいいハンサムな男だった。

「夏美のこと、ですよね?」

「え、ええ……」

「どうぞ、お入りになってください……」

「あ、えーっと、夏美さんのお姉さんですか……?」

 その男は礼子を見て言った。

「いえ……夏美の母です。さあ、どうぞ」

 礼子は冷静に男を居間に通した。ソファーに座った男は、落ち着かない様子で周りを見回している。

「それで、えーっと……夏美さんは?」

「夏美は、家にいません」

「えっ……?」

 男は驚いて言った。礼子は男の向いのソファーに座って言った。

「……まずあなたと夏美の関係を伺いましょうか。あなたの名前、そして夏美にどんな用があるのか」

 突然の質問に男が慌てる。

「答えてください。名前は!?」

 礼子の厳しい声に男が答える。

「……僕の名前は大垣と言います。夏美さんとはあるコンパで知り合って……今日はその、夏美さんが短大を長く休んでるって友だちに聞いてお見舞いに来ただけで……」

 大垣と名乗る男は、ちらちらと礼子の方を見ながらうつむきがちに喋った。

「……どうして夏美が長く休学しているかご存じなんですか?」

「え、あ、いや……」

「夏美は、誰かに強姦されたんです。誰かにね……」

 強い口調で礼子が言う。大垣を問いつめるつもりだ。

「なぜ口ごもるんです?……やっぱりあなたが犯人なんですね……!?」

 大垣は沈黙してしまった。相変わらずうつむいたままだ。礼子は目の前の男が娘を犯した犯人である確信を深めていった。

「卑劣だわ!なにも知らない夏美をたぶらかしてその躰を奪うなんて!あなた良心と言うものはないの!?」

 怒りにまかせて礼子が叫ぶ。大垣はなにも言わない。

 その時、礼子は冷静になって気づくべきだった。自分がバスローブ一枚で、娘を強姦した男と一緒にいることを。

「……すべて、知っていらっしゃるんですね。それなら話は簡単だ……」

 大垣はそう言ってやおら立ち上がると、目の前の女、つまり礼子にいきなり襲いかかった。

「きゃあーっ!なにを、なにをするの!?」

「言ったでしょ?話は簡単って……夏美のことがあなたにバレた今、今度はあなたの口を封じるしかないでしょう……?」

 大垣は強い力で礼子を床に押し倒した。礼子は今さらながら自分の軽率な行動に後悔していた。

「やめて!あなた、これ以上罪を重ねるつもりなの!?」

「残念ながら良心なんてものは夏美を強姦する前に捨ててたよ……」

 礼子を組み敷いたまま、大垣は冷たく言い放った。そのままただ一枚礼子を包んでいるバスローブを、怪力にまかせてむしり取った。途端、礼子の豊かでふくよかなバストが弾けるようにまろび出た。大垣がそれを見て小さく口笛を吹いた。

「へへへっ、すごいね。夏美のお母さまは完璧なスタイルでいらっしゃる……」

 大垣はそう言うと、今度はバスローブの帯をゆっくりほどき始めた。

「やめて……お願い、やめてぇーっ!」

 礼子の悲しい叫びも虚しく、大垣の手はするすると帯をほどいていく。そしてベルトを解き終わると、大垣はバスローブを左右に開き始めた。

「さて、どんなオ○ンコしてるのかな……」

「……!]

 礼子はあまりの羞恥に顔を紅潮させた。大垣はその様子を見てニヤニヤと笑っていた。

 ついに大垣は勢いをつけて、バスローブを完全に脱がした。

「……いいじゃん、すごいキレイなオ○ンコだよ……」

 大垣が感嘆の声を上げる。偽りではなく、事実大垣の豊富な女遍歴でも見たことのない素晴らしい女性器だったのだ。

「ほんと、すごいよ……お母さんはいくつなの?」

 大垣が素朴な疑問に本気で尋ねる。礼子は答えない。

「……まあいいや。俺にして見りゃ、こんないいオ○ンコの中に入れられるんだから……」

 大垣は感じいったように言うと、重い体を礼子に乗せたまま右手をその美しい熟女の陰部に持っていった。

 凌辱者の指が礼子の淫裂に這う。礼子はその感覚に恐怖を感じていた。

「やめて……お願い」

 礼子の弱々しい声がリビングに響く。大垣はかまわず自分の行為に没頭した。指が動くたびに、礼子の躰に恐怖とは違う感覚が湧き始めている。その感覚が快感、であると分かると礼子は、必死に声を押し殺した。

「はは、お母さん。濡れてきたね……感じてくれたんだ、うれしいな」

 大垣はわざと楽しげな声を出して言う。礼子は自分の躰の変化に羞恥した。 男の指が豊富な経験に裏打ちされたテクニックを駆使して、礼子の潤んだ秘唇をまさぐる。いやらしい音を立て始めた女性器は、礼子の意志とは関係なくさらに濡れていった。

「すごいな……こんなに濡れたの見たことないよ。夏美のお母さんて、すげえインランなんだ……」

 大垣は礼子の耳もとにささやくように言った。礼子はその声から顔をそむける。そのしぐさに大垣は満足した。

(感じてるのに、無理して強がる。いい傾向だな……さあ、これからが本番だ!)うれしそうに微笑むと、大垣は指をさらに巧みに動かした。

「ふ……ふうっ」

 突然礼子が小さく喘いだ。大垣はそれを聞き逃さず、今度は礼子の体を押えていた左手を、喘ぎにあわせて力なく揺れる豊かな胸にあてがった。押えがなくなっても、礼子は大垣を押しのけようとはしない。すでに礼子の意識は、凌辱に耐える気持ちから、快感を求めるためのものに切り替わっていたのだ。

「ふうっ、はあっ……」

「いいね、どんどん感じてくださいよ。そうすればチ○ポを入れた時に気持ちよくなりますからね……」

 礼子の大きくなる喘ぎに、大垣の手の動きは股間の右手、バストの左手ともさらに巧みになる。

「はあっ……ふ、ふううあっ!」

 大垣の手が動くたび、礼子の喘ぎはさらに激しくなる。湧き出る愛液に濡れた股間からは、クチュクチュといやらしく音が発生してくる。

「はああっ、うんっ、ふああっ!」

「いい声だ……さあ、そろそろ準備OKかな……?」

 大垣はそう言って、淫裂にあてがっていた右手を抜いて礼子の目の前に見せた。

「ほら、テラテラ光ってるよ……見なよ、ほら」

 大垣の手は確かに自分の愛液に濡れていた。礼子は恥ずかしくなって、目を閉じた。

「おい、見ろよ!自分が感じてるんだろ?」

 突然大垣の声が大きくなった。その迫力に、礼子は仕方なく目を開けた。

「そうだ。おい、どうだ……やっぱり濡れてるだろ?」

 礼子はうなずく。大垣は怒った顔を再びほころばせた。

「そう、それでいいんだ……さあ、いいかな。今から夏美のお母さんのアソコの中に入れるからね……」

 大垣はそう言うと、ゆっくりと体を起こした。その時、礼子はまったく抵抗しようとしなかった。もう礼子は、この大垣という凌辱者に犯されることにまったく疑問を持てなかった。それほど大垣の愛撫が的確だったのだ。

 自分のいきり立ったペニスに手を添えると、大垣は再び礼子の熟れた躰にのしかかっていった。男のモノが自分の淫裂に触れた時、礼子は場違いな期待を感じていた。

 ゆっくりと大垣のペニスが体内に侵入してくる。夫とも、そして悠一とも違うそれは、礼子の躰を自然に昴ぶらせていった。

「ふうっ……」

 ペニスが完全に収まりきると、礼子の全身に快感の電流が走り抜けた。悠一のペニスほど大きくはないが、少し長く、そして硬い。膣を埋め尽くすその『充実感』は、今までのどんな男のモノにも勝っていた。

「どうですか……俺のチンチンは?旦那さんのモノよりいいでしょ……?」

 大垣がささやく。魔術にかかったかのように、礼子はそのささやきに何度もうなずく。大垣も熟女の変貌に感じ入り、ついに腰の躍動を開始した。

「ふっ、はあっ、はああーっ!」

 大垣の巧みな腰使いに、礼子が本格的に喘ぎ始めた。

「な、イイだろう?俺のテクニックは、どんな男のモノとも違うはずだ……」

 そう言いながら、大垣は腰の動きを続ける。礼子はその動きにいつのまにか我を忘れて声を上げていた。

「はああっ、ふああっ……ふ、はああっ!」

 力なくカーペットを掴んでいた礼子の手が、妖しくうごめく。そしてその手はするすると大垣の首筋に巻きついた。大垣は女のその行為にニヤリと笑い、礼子の腰を抱え込んで、自分にしっかりと引きつけた。そのたびに、パチンパチンと心地よい音がリビングに響く。

「ほら、イイだろ?イイんだろ?」

「あああっ……イイわっ、イイのォーっ!」

 狂ったように礼子が叫ぶ。悠一とのセックスもかなり感動的であったが、今この強姦魔とのまさに秘めたる行為は、礼子にとって最高の官能感覚であった。

「ひ、はああっ!もっと、もっとォ!」

(ほんとにすげえな……今日は何とか夏美に会ってまた犯ってやろうと思ってたが、うまく行くと夏美とこの母親二人をモノにできるかも……)女のあまりの狂いように、大垣は心の中でほくそ笑んだ。

 

 

 夏美はスイミングスクールでさわやかな汗をかき、心地よい疲労のまま帰宅しようとしていた。家の近くにさしかかると、下校した悠一が夏美に声をかけた。

「ねえさん、今スイミングから帰ったの?」

 嬉しそうな悠一の声に、つられて夏美も言う。

「そうよ。何、そんなにしたいの?」

 悠一は姉の傍らに来て、耳もとにささやいた。

「って言うことは、ねえさんもしたいってわけ?」

 弟の言葉に、頬を赤らめながらもしばらくして小さくうなずいた。

「でも最近、ママもよく早く帰って来るから気をつけなきゃ……」

 夏美が心配そうに言う。

「その時はその時さ。ママはもう気が付いてるし……」

  悠一はそう言って、鞄の中から小さな包み紙をとり出した。

「ママは買ってくれるって言ってたけど、やっぱりこういう事は自分達でしっかりしないとね」

「なに、それ?」

「コンドームさ。ママに言われたんだ、避妊はしっかりしろって」

 夏美は驚いて言った。

「悠一、それ自分一人で買ってきたの?恥ずかしくなかった?」

「しょうがないさ。それに今の時代、学生服で買いにいっても何も言われないさ」

 悠一は再び包みを鞄に直した。夏美はゆっくり歩き出して言った。

「そうか、ママは全部知っていたんだ……」

「そうだよ。だから僕としては、いつか三人でセックスできないかなって思ってるんだ……」

 ポツリと悠一が漏らす。夏美はあきれた。

「あんたってほんとにスケベね……」

「なに言ってんの、僕はただ三人全員で楽しみたいだけさ」

 弟のあっけらかんとした言い方に夏美は呆れて何も言わなくなった。

 そして家の前にたどり着くと、夏美の楽しげな気分は吹き飛んでしまった。自宅の前に、あの男の赤いスポーツカーが止まっていたのだ。

 姉の表情に不審なものを感じた悠一は、凍りついたままの夏美に聞いた。

「どうしたの、ねえさん。あの車に見覚えがあるの?」

 しかし夏美の表情は硬くなったままだ。夏美はしばらくなにも言わず赤い車を凝視していたが、やがてゆっくり弟の方を振り返って言った。

「……悠一、ねえさんの言うことよく聞いてね。あなたは今から裏から庭にまわって、なにか武器になる物を探してきて。声を上げたら飛び込んでくるのよ……」

 真剣な顔の姉に、悠一は無言でうなずいて走って裏の方に走っていった。

(なんであの男が家に……?)夏美はいろいろ考えてみたが、まったく考えつかなかった。とにかく、あの大垣と言う男が自分の家にいる事は事実である。

 夏美はゆっくり足音を忍ばせてテラスの階段を登っていった。家はいつものように静まりかえっている。玄関の前まできたが、大垣の姿はなかった。待ち伏せではないらしい。玄関ドアまで来た夏美は、大野の姿がないのに逆に不審がった。(まさか、家の中に……でも、どうして?)今の時間、家には誰もいないはずだ。しかし大垣の姿は見えない。忍び込んだか、もしくは……。夏美は思い浮かんだ憶測にゾッとした。帰宅しているとすれば、母の礼子だけだ。母を騙して家に上がり込んでいるとしたら……。夏美は恐ろしくなって、玄関ドアをゆっくり、慎重に開けた。

 途端飛び込んできた声に、夏美は耳を疑った。それは確かに、母礼子の激しい喘ぎ声だった。

「ママ、ママ……?」

 小さな声で呼びかけてみたが、礼子の声に変化はない。母が、誰と交わっているのか、容易に想像できた。家の前に止まっている赤い車の、あの持ち主である。夏美はドアを静かに閉めて、ゆっくりとリビングに近づいていった。

「……!」

 想像していたものの、やはりその光景は夏美に激しい衝撃を与えた。夏美が憎んでも憎みきれないあの男に、母親である礼子が全裸で組み敷かれている。しかも母の手は、凌辱者の首にしっかり巻き付けられている。母の性格からしてあの男を望んで受け入れるはずがない。おそらくあの日の自分のように、大垣の性のテクニックによって忘我の境地に連れ去られたに違いない。夏美はあの日の屈辱がふつふつと燃え上がっていった。

 

 

「はあっ、ふうっ、イイわ……はあああっ!」

 組み敷いた熟女の声が、自分の腰に合わせてさらに大きくなる。性経験が豊富な大垣でさえ、夏美の母親であるこの美女の反応に歓喜していた。おそらく四十歳を過ぎたこの女の肉体が、こんなにも若々しく官能的であることに大垣自身感動していたのだ。

「さあ、もうイキたくなっただろ?もう少し感じさせてやるよ……」

 大垣は礼子のスラリと伸びた白く美しい両脚を持つと、自分の肩に乗せた。

「はああっ……ふああっ!」

 礼子は美しい顔を歪ませて感じ入る。大垣がさらに礼子の腰を引きつけるともっと大きな声を上げて快感に昴ぶる。

「ふうっ……はあ、は、ふああああっ!」

(夏美のバッグの中から学生証を盗んでおいてよかった……これで夏美の躰も、この母親の躰も、完全に俺のモノだ。俺が望めば、この女たちは喜んで躰をさし出すだろう……)悩ましく喘ぐ女の恥態を眺め、大垣は思った。

 

 

「はう、はう、はううっ……ひああっ、イク、イクうっ!」

 礼子の喘ぎが最高に高まっていた。その声は、礼子が絶頂寸前まで昴ぶっていることを夏美に知らせていた。上で腰を振る大垣も、額に汗している。夏美はただ、大垣に母の体内で射精させてはいけないと思い、忍び足でもつれ合う二人に近づいていった。

 行為に熱中する二人の真後ろで夏美は立ち止まり、大きな声で庭にいる悠一を呼ぼうと息を吸って窓を見、そして息を呑んだ。そこには、この世のものとは思えぬくらい怒りに震えた悠一の姿があった。次の瞬間、悠一は窓ガラスをぶち割り、愛する母の裸身に乗った男の頭に、金属バットを迷う事なく振り下ろす。その後には、礼子と夏美の恐ろしい悲鳴だけが響いた。

 

 

 結城秀康がドイツの研修旅行から帰国したのは、それから一ヶ月を過ぎてからだった。久しぶりのわが家では、美しい妻と可愛い娘と息子が迎えてくれた。

 風呂で長旅の疲れを癒したあとの夕食は、秀康にとって最高の幸せだった。団らんの堰で、テレビのニュースがしきりに奥多摩山中で発見された男の変死体の事を報道していても、秀康の耳にはまったく入ってこなかった。


「母姉相姦 〜ぼしそうかん〜」 完

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