『露わ・露わ・露わ』第2弾
となりのうち
<第3話>
「うふふ……ああ、楽しみ。わたしが、明良くんの初めての人になれるんだ……っ」
その、千奈都のただ一言が、甘く濃い霧の中を彷徨っていた明良の思考を、少しだけ現実に引き戻した。
初めての、人……?
明良は、ずっと閉じていた瞳を開いた。目の前には、真っ白な肌の千奈都がいる。しかし、明良の視線はそこに留まらなかった。その少し後ろにいるみゆき。いや、その後ろでこっちを見ている、潤んだ瞳の女性を見たのだ。
じっとこっちを見ている。躰を小刻みに震わせて、じっと、じっとこっちを見ている、ひと。
「さあ、入れちゃうからね。明良くん……」
天を衝いたペニスの数センチ上に、とろとろに蕩けた千奈都の淫裂が迫っていた。童貞のペニスが、巧みなヴァギナに今まさに呑みこまれようとしていた。
「だ……だ……っ」
固く締められていた明良の唇から小さな、しかし強い語感の呟きが洩れる。
「え、なに……?」
首をかしげた千奈都の胸元に、明良の両腕が伸びてきた。
「ダメ……ですっ!」
千奈都のたわわな胸を、少年の腕が強く押した。突然の抵抗に、千奈都は戸惑う。
「どうしたの、明良くん……『セックス』って、とっても気持ちいいんだよ……?」
「でも……でも……っ」
まるで懇願するような瞳で、明良は千奈都を見つめている。そして続いて出てきた言葉が、明良の気持ちをはっきりと表していた。
「僕、あのっ……な、なつきねえちゃんと、したい……っ!」
キューンと、夏希の心が熱くなった。
昔みたいに、『なつきねえちゃん』と呼んでくれた。
目の前の千奈都やみゆきではなく、自分と『したい』と言ってくれた。
わたしと、したいって……。
「あれ〜?ヒドイんだ、明良くん……ねえ、もうこのままわたしと『セックス』しちゃおうよ、ね……?」
自分の愛液が溢れるのをしっかり感じながら、千奈都が甘く誘う。明良が観念すればすぐにその火照った泉に幼くも猛々しい肉幹を呑み込んでしまうだろう。
「ダメ……っ、なつきねえちゃんと、せっくす、し、たい……ですっ!」
しかし、明良は頑なだった。なすがままになっていた今までとは別人のような勢いで、千奈都の躰を押し続ける。
「……」
千奈都は、ゆっくりうしろを振り返った。みゆきは、千奈都を見て微笑んでいた。そして、夏希は、長く付き合ってきて見たこともないような切なげな表情で千奈都を、いや明良を見ていた。千奈都は、一つ小さなためいきをついた。
「……もおっ!」
裸の千奈都が、明良から離れる。そしてかたわらに座り込むと、いきなり明良のペニスを強い力でつかんだ。
「あ、ううっ!」
「……ほら、夏希!王子さまが、夏希を待ってるわよ……こんなに想われてるんだから、応えてあげないと」
くにくにと明良の幹をしごき上げながら、千奈都は夏希に囁きかける。
「あ……っ」
唇から洩れる、小さな吐息。
心臓が張り裂けそうなほど、夏希は興奮していた。
あきクンが、わたしを待ってる……。
おちんちんをあんなふうにして、わたしを。
わたしを。
わたしで、いいの……?
両脚に少し、力がこもった。自分は今、たしかに愛しい少年に近づこうとしている。
腰が床から浮いた瞬間、熱を持った躰のバランスが崩れた。再び床に落ちようとした夏希を抱いたのは、裸のままのみゆきだった。
「ほら、しっかりしないと夏希。お姫さまの格好してあげないと……手伝って、あげるね」
「……あっ」
みゆきの日焼けした細い腕が、夏希の水色のサマーセーターを掴んだ。夏希が振りかえる間もなく、そのセーターをするりと上に抜き上げてしまった。
「ふふっ、わたしね……脱がすの得意わざなの」
オジサン相手に駆使してきた技術で、同性の親友の躰を露わにしていくみゆき。それがなんだか、とてもいやらしく気分にさせる。
夏希ったら、脱がしてる時もずっと明良くんのほうを見てる……見つめあっちゃって、二人の世界つくっちゃって……うふふっ。
まさしく、明良との二人の世界に没頭しようとしていた夏希は、みゆきの手によっていつのまにかブラとショーツだけにされていることにさえ気づかなかった。
「……ほらっ!」
みゆきに素肌の背中を押され、夏希の躰は千奈都が玩んでいる明良の下半身のすぐそばに近づいた。エラのところを細指でしっかりと締められているペニスは、間近で見れば見るほど、大きい。そして、愛しい。
「はあ……っ」
その吐息は、感激以外の何ものでもなかった。千奈都が握っているおちんちんは、鼓動に合わせてピクピク震えながら、どこかに収まろうと待っている。
どこか……?
本当に、本当に、わたしで、いいの……?
「……さあ、お姫さまのほうも準備ができたみたいね」
千奈都が夏希のほうを見て言った。
「明良くん……夏希が、待ってるわよ。もう一度ちゃんと、自分の気持ちを夏希に伝えるのよ、ほら……」
「は、はい……」
荒い息が、やはり少女を連想させて悩ましい。
「ぼ、ぼく……っ」
夏希が、息を呑み込んだ。
「なつきねえちゃんと、せっくす、したいっ!」
「ああ……っ!」
心にいっぱい、熱いなにかが流れこんで来る。
「……妬けちゃうんだ。ほら、夏希!」
千奈都が、さっきからずっと掴んで離さなかった明良の怒張を手放した。そして今度は、感激で身動きが取れないままの夏希の手のひらを握る。
「ふふふーん。まずは、触ってみようよ」
「あっ」
その手のひらが、そのまま明良の股間に移動した。
「あ、んんっ!」
「あ……っ」
熱い。熱い。熱い。
触れているだけで、股間のざわめきがさらに大きくなる。下着だけの躰が、たまらなく熱い。
「あき、クン……」
震える躰がやっとのことで小さな声を吐き出した。右手の先に感じる少年の滾る血流が、これから始まる行為の淫靡さを強調していた。
二人に言われるまで意識しなかった、隣の可愛いあきクン。
少し背が高くなったけど、まだまだ幼い感じのあきクン。
今まで付き合った男たちと違って、明らかに純粋なあきクン……。
「なつき、ねえちゃん……っ」
「ああ……あき、クンっ」
お互いの瞳は、しっかりと相手の瞳を捉えていた。今はほんの少ししか触れていない肌と肌も、どんどん体温を増して、本当の接触を求めている。
「ホントに……わたしで、いいの……?」
熱い吐息と共に洩れた、囁きのようなその言葉。知らず知らずのうちに、明良のモノを握っていた指先はゆるゆるとしなやかに上下している。
「……うん、なつきねえちゃんと、したい……」
まるで濁っていない瞳で、明良は夏希を見た。また熱い何かが、夏希の心に流れこんで来る。そしてそれは、素直な気持ちを告白した明良も同じだった。
「さあ、じゃあ王子さまとお姫さま。すごく気持ちイイこと、始めましょうか……?」
千奈都が二人の間で厳かに宣言した。夏希はその声に誘われて、躰を明良の方に近づける。
「あん……っ」
夏希のショーツのみのヒップが、明良の華奢な両脚に乗った。さらに触れ合う部分が多くなって、明良の体温がはっきりと感じられる。少女のような顔に似合わない、しかし女の躰を惑わせてやまない逞しいペニスも、夏希の中心のすぐ前に迫っていた。
「ねえ、夏希……」
千奈都が、そんな夏希の耳元に囁きかける。
「……?」
「……ホントは、わたしがもらうはずだったんだからね。明良くんの『はじめて』」
「……っ」
「だから……ちゃんとしてあげないと、ダメよ。フフフっ」
「……うん」
千奈都は夏希の表情を見て、二人から離れた。まるで、恋に夢見る乙女のような瞳。
「あきクン……」
「なつき、ねえちゃん……」
お互いの名前を呼び合い、瞳もまた互いの裸を捕らえたまま固定する。
「ほら夏希、そのままじゃできないでしょ?」
みゆきの両手が、ふいに夏希の腰肉に伸びて来た。優しい触れかたで、夏希のライトブルーのショーツを掴んだ。
「これを脱がないと。明良くんもきっと、見たいよね……?」
明良の返答も聞かず、みゆきは巧みにそのショーツを脱がし始めていた。その行為は余りに自然で、夏希も熱く潤んだ思考の中で特に拒否するわけでもなく、腰を浮かせてみゆきの動きに同調した。なにより、夏希も、したかったのだ。純真無垢な瞳で自分を熱く見続ける、お隣の可愛いあきクンと。
「これも取っちゃおうね、夏希♪」
先程から明良の動揺を誘っていた夏希の胸が、みゆきの手によって今、露わにされた。ブラは空中を高く舞い、そして明良の顔の側に落ちた。
室内を照らす夏の強い日差しが、明良に夏希の美しい裸身を教えていた。キラキラと輝くセミロングの黒髪。たわわに実った果実のような乳房。流れるような腰のライン。自分の躰に乗っている事でさらにふくよかさを増したヒップ。目を閉じたくなるほど眩しい股間の茂り。
「さ、準備OKだよ」
「ほら、夏希も明良くんも……ほら!」
千奈都とみゆきが、まるで自分たちの事のように興奮気味に急かす。
そして、ついに夏希の柔らかい腰が、浮いた。ほんの数センチ移動するだけで、夏希の熱い泉は明良の熱い杭に相対する。
「あき、クン……」
「なつき、ねえ、ちゃん……っ」
互いの名を、吐息混じりに呼び合う。
もう、行為を乞うたり願望を口にしたりする必要はなかった。女がヒップを少しだけ落としたら、少年の先端は当たり前のようにその場所に触れた。
「あ、あう……っ」
まだ誰の淫液も浴びせられていない明良の敏感な先端が、夏希の草叢に触れ、わずかな痛みを感じた。しかし、それも長い時間ではなかった。わずかな経験しかない夏希のヴァギナも、愛しくてたまらない少年の逞しいペニスを受け入れるため、見事な収縮を開始する。
「んっ、ん、くうっ……!」
そして、それは入ってきた。わずか数センチ、いやわずか数ミリ進行しただけで、夏希は自分の体温が急激に上がったような錯覚にとらわれた。もしかしたら、それは事実だったかも知れない。
「あっあっ……あんっ」
自分のものが、どんどん大好きな人の躰の中に入っていく。そのたびに、得体の知れないものに柔らかく包まれ、得体の知れないものにざわざわと締め付けられる。もちろんそれは、どうしようもなく心地よい。生まれて一度も感じたことのない、気持ちよさ。
明良は、ずっと捉え続けていた上に乗る夏希の姿を、その気持ちよさから思わず目を閉じてかき消してしまうほどだった。
「んうんっ……あ、き、クンっ!」
華奢な体をした少年の存在感が、躰の中心でどんどん増して行く。明良と違って、夏希は先程よりさらに熱い視線で明良の姿を捉え始めていた。相変わらず、困った女の子のような表情を浮かべている少年。その姿が、夏希にとってたまらなく愛しい。
わたしの躰で、こんなに、感じてくれているんだ……。
じゃあ、
じゃあ、もっと気持ちよくしてあげなきゃ……。
「う、ん……っ、く、うっ」
腰が、ゆっくりと下降していく。その瞬間瞬間、夏希の形のいい唇から切なげな喘ぎが洩れる。この逞しいものが自分の奥まで入りきった時、どんな気持ちになれるのだろう……?
「……見て。夏希、本気で感じようとしてるよ」
「うん……かなりうらやましい、かな」
少し離れて、親友と少年の熱い交わりを眺めている全裸のままの千奈都とみゆき。
「ねえ……千奈都?」
「……ん?」
千奈都の顔が隣のみゆきのほうを向くより早く、みゆきの指先が、おあずけを食らったままのあの熱い場所に這った。
「あんっ……ちょ、ちょっとなによ」
「ふふん、千奈都のココ、淋しいんでしょ……?」
「そ、それはそうだけど……わたし、そんなシュミ、ないってば」
「ふふふっ……わたしもそうだよ。だけど……ガマン、できる?」
みゆきは妖しい表情で千奈都の首筋に口づけた。そのまま唇が千奈都の白い首筋に残る。小刻みに震える舌先に誘われるように、千奈都も顔を傾け、その唇に、口づけた。
「ん、んふっ」
「ん……ちゅ、ふ、うんっ」
絡み合う唾液の音が、淫らに響く。二人は裸の躰を互いに抱きながら、潤んだ秘所を指先で愛撫し始める。
「……今は、夏希に素直にゆずっちゃお。なんだか入り込むスキがないもの」
「……うん」
「だから、今は、二人で……ね?」
「了解……あんっ!」
何人もの男たちを蕩かせてきたテクニックを、二人は親友相手に駆使する。指先は花弁へ、肉豆へ、そして肉洞へ。しかし、二人の視線は女同士の初めての快感に潤みながらも、夏希と明良の感動的なセックスから離れることはなかった。
いけない、とは思いながらも夏希は、少年のペニスが収まりきった瞬間、これまで経験してきた二人の男のことを思い出していた。
バージンを捧げた中学の先輩は、確かにあの時「好きだ」って囁きながらわたしを抱きしめてくれた。でも、2度目からはまるで抱かれるのが当たり前のようにわたしを扱った。
高校の時抱かれた先生も、「夏希は、世界で一番キレイだよ」って何度も言ってくれた。でも先生、転勤した後わたしがどうしても会いたくて電話したら「もう連絡しないでくれ」って言ったよね?
あきクンも、そうなの?
あきクンも、わたしから離れていっちゃうの?
「な、なつき姉ちゃん……っ!」
ネガティブな妄想は、明良の切なげな呻きでかき消された。
「どうしたの、あきクン……?」
「どうしたら、あの……」
「……?」
「……どうしたら、なつきねえちゃんを、気持ちよく、できるのっ……?」
「……え」
「今、僕っ……すごく、気持ちイイ……だ、だから、なつき、ねえちゃんも、気持ちよく……気持ちよく、させたいんだ。でも……僕、やりかた、わかんない、からっ」
息も絶え絶えに、一所懸命叫ぶ明良。その姿は、夏希の心をまたきゅんっ、と響かせた。
「いいの、あきクン……わたしが、動くから……ん、んくっ!」
くいっ、とほんの少しだけ腰に力を込めれば、頭にたゆたっていた後ろ向きの思考もすぐにはじけ消えていく。そしてそのかわりに、じわじわとまるで躰を溶かしていくような甘美な感覚が湧き上がって来る。
してもらうセックスじゃなくて、してあげるセックス。
奪われるだけのセックスじゃなくて、与えるセックス。
夏希はずっと、それを求めていたのかも知れない。そして、それを、手に入れることがきっと、出来るような予感がした。
それが、セックスの喜びかもしれないと信じながら。
「あ、なつ……なつき、ねえ……あううっ!」
何もかも初めての明良には、夏希のような複雑な感情はなかった。ただ、気持ちよかった。簡単に言えば、股間にあるあの部分が、溶けそうだった。自分を包み込んで満たしている熱い液体が、まるで強い酸かなにかのように感じられる。しかし、もちろんそれは痛いわけではない。これがセックスというものだとは、おぼろげに分かった。そして、それがたまらなく気持ちいいことも、今知った。
「ふ、あ……っ、あく、うんっ!」
普段からハスキーな夏希の声が、真夏の室内に響き渡る。よく考えれば、友だちの前でセックスするなど、普段の夏希ならば到底できないことだろう。しかし、今の夏希には「よく考える」ことなど出来るはずがなかった。それくらい、幼なじみの少年とのつながりは感動的なものだった。
「んくっ……ね、ねえ、あき、クン……っ?」
艶やかな夏希の問いかけに、組み敷かれている明良は返事することは出来なかったが、その代わりしっかりと、その少女のように潤んだ瞳で夏希の顔を凝視した。
「どう……?気持ちよく、うんっ……な、なって、くれた?」
「ん……う、んっ!すご、く、気持ちいい……よっ!」
ノドの奥から絞り出すように、やっと明良が叫んだ。それもまた女の子のような高めの声だったが、夏希には、それはひどく心地よいものに聞える。
「そう、じゃあ……」
額に汗し、優しく微笑みかけながら夏希は、そのままそっと明良の右手を取った。
「ねえ、あきクン……、あんっ!」
「……っ?」
「わたし、のっ、おっぱい……触って」
少年の同意を得ないまま、夏希は取った手を自分の裸のバストに導いた。
「ふあっ、んんっ!」
「う、わあ……!」
夏希は触れられる快感に感激し、明良はその物体の柔らかさに感激する。自分と同じ肌や肉のはずなのに、まったく感触が違う。少し前、悪友に無理矢理見せられたエッチなマンガに書かれていた「マシュマロみたい」とかいう形容詞が嘘に感じられない。
「うんっ!い、いい……んっ!ねえ、あきクンっ……わたしのおっぱい、どう……?」
「あうっ……おおきく、て、やわらかくって……す、すごいっ!」
「あんっ、うれしい……っ!」
いつのまにか、明良は残る左手さえも夏希の形よい乳房に宛がっていた。両手で揉みこめば揉みこむほど、その素晴らしさが実感できる。
「あんっ、あふ……うんっ!あきクン、いいわ……もっと、もっと強く、おっぱい……あんんっ!」
力を込めてその柔らかな双肉を揉めば、目の前で激しく腰を揺らめかす憧れの女性が、さらに高く喘ぎ出す。明良にはそれが単純に、感動的だった。
「いいわ、あきクン……っ、もっと、もっと強くうっ!」
そして、その乳房への愛撫は、明良の予想を裏切ってさらに大きな変化を起こした。夏希の体内に埋没した自分自身を、先程よりさらに強く、熱い締め付けが襲ってきたのだ。その上、躰を昂ぶらせた夏希は、その艶やかな腰をさらに大きく躍動させ始めている。明良の放出感は、急激に高まっていた。
「あ、ひい……っ!」
それは、本能の動きだった。明良の腰が、躰の上で揺れ動く夏希の体に向かって突き上げられたのだ。強烈な肉のぶつかり合いによって、夏希は小さなオーガズムを迎える。
「くう……っ!なつき、ねえちゃん……ああっ!」
少年の攻撃は、一突きだけでは終わらなかった。美しい乳房を力強く揉みしだきながら、激しい勢いの突き上げを何度も何度も繰り返す。明良には、放出を我慢する必要などない。とにかく今は大好きな夏希と、一緒に気持ちよくなりたいだけだった。
「やん、あんっ!あき、くうん……くうっ!す、すご、いい……っ!」
少年の攻撃によって、かすかに残っていた余裕さえ失った夏希も、やはり明良と同じようにただ素晴らしい絶頂を求めて加速し始めた。胸にある少年の手のひらを自分でしっかりと掴み、同調させるように激しく揉む。どうしようもなく破廉恥な腰の動きで、少年のペニスを思う存分締め上げる。
「あんっ、スゴイ……二人、本気よ。あむ、うふ……っ!」
「ん、ちゅ……ホント、二人ともあんなにいやらしく、腰を振ってる……あんんっ!」
夏希と明良のいやらしいつながりを眺める千奈都とみゆきもまた、他人から見れば恐ろしく淫猥な体位で躰をくねらせ合っていた。激しく互いの唇を吸いながら、乳房、腰を最大限に密着させる。もちろん、その場所よりもさらに強く、股間の花園を擦り合わせている。黒い繊毛は痛いくらいに絡み合い、その奥の肉襞や肉芽が交じり合った愛液に溶けていく。挿入の悦びはないが、代わりにじんじんと痺れるような鈍い快感の波が何度も何度も寄せてくる。女同士でなければ味わえない、未体験の快感。
「ダメ、みゆき……わたし、またイキそう、ああんっ!」
「いいわ千奈都、いっしょに、イこ……ふあ、あ、あうっ!」
粘った叫びが同調して、千奈都とみゆきはまた同時にイッた。擦り合わされた二人の間に、幾度目かの熱い淫汁が溢れかえった。
クライマックスが、近づいていた。夏の熱気に煽られ、夏希と明良は幾筋もの汗を滴らせている。互いの性器はこれ以上ないほどぶつけ合い、声は抑えようがないほど激しく上げられていた。
「なつき、ねえちゃんっ!ああ、すごいよっ……あ、あうう!」
「あきクン……わたしも、気持ちイイよっ……だから、あんっ、もっと……ね?」
淫靡な微笑に対しての明良の返答は、遠慮がなかった。華奢な躰の奥底に眠っていた力強さ全てを勃起したペニスに込め、夏希の内部を強く突き上げている。
「あん、そうっ!あきクン、あきクうン……っ!」
迫り来る絶頂の予感にわななきながら、夏希はほんの少し、セックスの本当の意味が分かったような気がした。
与えたりとか、奪われたりとか、そんな些細なことじゃなく、感じ合い幸せを感じ、そしてどうしようもなく気持ちイイもの。
「もうダメ、なつき、ねえちゃん……っ!僕、あうう、いきそ、うっ!」
「いいのあきクン……ねえ、イって……わたしの中で、あきクンっ!」
女は、少年を食い締めた。
少年は、女を突き上げた。
そのエネルギーは、ついに同じ場所にたどり着こうとしていた。
「ああ、あきクン……あん、あふっ……あ、い、イク、う……っ!」
「あ、あ……なつき、ねえ、ちゃん……っ、うああーっ!」
瞬間、つながれた両手はギュッと力強く握られた。熱い肉壁はペニスを最大限に締め上げ、固く張った先端は子宮の入り口まで届きそうな場所で、滾った樹液を大量に噴出させた。
「あ……あんっ、ふう……っ」
躰の中心から発生する電流のような感覚を味わう。全身の力が抜け、夏希の上半身は少年の上に臥した。荒い息と息が溶け合い、それは自然に、甘い口づけのきっかけとなった。
「ん、ふ……っ」
「うんっ、ん、ちゅ、ん……」
舌が絡み合い、相手の唾液の味さえ悦びだった。その熱のこもったディープキスは、永遠に続くように思えた。
「な・つ・き、ダ〜メ!」
すぐ耳元の声が、夏希を少しだけ現実に引き戻した。声のした方に潤んだ瞳を向けると、そこには同じように瞳を淫らに潤ませた千奈都がいた。
「順番、譲ってあげたんだから、ひとり占めはダメ。ね、いいでしょ?」
かすかに、未練は残った。でも、夏希は明良の唇から離れる。体内から、自分の愛液でぬめ光っている明良のペニスが、ゆっくりと抜け落ちた。
少し、離れて実感しようと思った。
力なく横たわる明良に、裸の千奈都が寄り添う。
「あ、明良くんスゴイんだ。たった今出したばかりなのに、まだ元気だよ」
千奈都の感嘆の声に、すぐみゆきの声が被さる。
「うわあ、ホントだ♪ねえ明良くん、わたしたちと、またすぐできるよね?」
「え、わたしたちってなによ!順番からいったら次はわたしでしょ〜!」
「何いってんの。さっき気持ちイイことしてあげたじゃない。あれでお・あ・い・こ」
「……もうっ!」
当事者の明良の返事も聞かずに、千奈都とみゆきは明良の華奢な裸体に全身を密着させ始めた。
別に、嫉妬や怒りなどは湧いてこない。夏希は、自分でも不思議なくらい冷静で、そして幸せだった。静かな全身にたった二つ、いつもより少しだけ早く打つ鼓動と、少年のほとばしりを受けたあの場所だけが、熱を持ち続けていた。
みゆきが少年のペニスに舌を絡めはじめる。千奈都はその豊かな胸で少年をまた窒息させようとしている。力が抜けたままで抵抗できない明良。それでも、時折切なそうな瞳をまっすぐ投げかけて来てくれるだけで、夏希はよかった。
真夏の太陽は、だいぶ斜めに角度を変えていた。
「あ〜!パソコン、つけっぱなしだね!」
夏希の声が、部屋に響く。夢のような時間は過ぎ、千奈都もみゆきも満足しきった表情で夏希の家を後にしていた。
「あ、ホントだ……」
疲れきった声。でも、一所懸命に笑顔を作って、明良は微笑む。夏希の心が、その健気さに今日何度目かの鐘を鳴らす。
パソコンのモニターは、まだあの『セックス体験告白ページ』を表示していた。
「……ねえ、あきクン?」
「?」
「このページにさ、わたしたちのこと、書いてみない……?」
「え……!?」
慌て顔の明良の唇を、夏希は微笑みながら奪う。
「……また、しよ。ね?」
夏希の甘い囁きに、明良は顔を真っ赤にして、無言で小さく、うなずいた。