『露わ・露わ・露わ』第1弾

魔法の靴
<第4話>


「さて、皇后陛下……」

「ひ、い……っ!」

 突然耳元に感じた男の囁きは、ベリーチェの心を底から震えさせた。

「……我々もリューズ様やボーザのように、心ゆくまで性を貪りあおうではありませんか……」

「だ、誰がそんな……っ」

 男の返事はなく、その代わりに耳元でパチンッ、と指が鳴る音が聞こえた。その音が終わった時、ベリーチェの視界は一変した。急に両脚の力を失い、冷たい床に膝をついてしまったのだ。

「ああっ!」

 相変わらず身体には力がこもらない。しかしそれ以上に、視界に入って来たあの男の姿に恐怖した。膝をつくベリーチェの目前に男の、不気味に嘶き続けるペニスが差し出されたのだ。

「どうです皇后陛下。王様や、昔あなたが抱かれてきた男たちと比べ、見事なものでしょう……?」

「ぶ、無礼な……!」

 強い口調で反論しても、動かぬ首は男のペニスを直視し続けなければならない。

 ベリーチェもまた、幼い頃からの花嫁修業や貴族趣味的なお遊びにより、幾人かの男の情を味わっていた。そしてこの国の最大権力者である国王と婚儀を交わし、それからは皇后としての職務を全うし、息子シャプタル皇太子、娘リューズ姫を立派に育て上げた。しかし悲しきかな、男の言う通り目の前のモノは今までベリーチェが見たこともないほどの存在感だった。

「ほう……見惚れて下さっているようですね」

「ち、違うっ!」

 必死に首を振ろうとする。しかし、躰全体を支配する枷のような力は、その些細な動きすら許さなかった。

「さあ。お気に召したのでしたら、どうぞご遠慮なく味わい下さいませ。あなたの可愛いリューズ様の淫液が付着しておりますが、それを舐めとるのもまた、親としての喜びでございましょう……」

「何をっ!」

 気丈な声を上げるベリーチェの耳に、また指の音が聞こえた。そしてベリーチェが気づいていない、マジノが部屋中に撒いたあの魔薬の効果もしっかりと躰に染み渡り始めていた。頬と顎のあたりに鈍い痺れが染み、やがて自分の意志と関係なくゆっくりと唇が開いていく。

「あ、あ、あ……」

「これはこれは……お美しい唇を陛下自らお開けになられるとは。身に余る光栄、まさか拒否などできませんな」

 マジノはそう言いながら、ベリーチェの開いた口に遠慮なく兇器を突き入れた。

「う、うぐう……っ」

 むせ返りそうなその肉柱を、否応なく呑み込まなければならなくなったベリーチェの耳に、さらに悲劇的な音が飛び込んで来る。

「うお、おおうっ」

「んふっ、ん……」

 獣のようなボーザの嗚咽と、か細いながら粘つくようなリューズの喘ぎ。自分の大事な娘が、従順であったはずの男に貫かれた瞬間の声だった。

「皇后陛下……リューズ様はいい声で泣きますな。人生で2度目の男に入れられて、もうあのように艶やかな声で……いや、素晴らしい逸材ですな」

 ペニスを侵入させ、ベリーチェの熱い口内粘膜を味わいながら言う。その捩じ込まれたペニスのせいで声を出すことさえ出来ないベリーチェは、横目で娘の悲しい姿を眺めるしかなかった。

「ん、ふ……ん、んっ」

 ボーザの分身が狭い蜜洞をゆっくりと進むたび、まだ霞みの中にいるリューズの唇からあらぬ声が洩れ出していた。母親であり、女であるベリーチェには、その声のトーンがどんな意味を持っているのか悟る事が出来た。

「んっ、ふっ、ん、あ……」

先程まで間違いなく処女であったはずのリューズが、肉の悦びを含んだ声を上げる。全ては、自分の躰の自由さえ自在に操るこの男の仕業に違いないのだ。しかし、憎むべき相手が目の前にいて、しかもその無防備な男性器を口に含んでいても、それを噛み切ることさえ叶わない現実。

「ベリーチェ様。本来でしたらあなたのこの唇も進んで動かさせるも出来るのですが、無理矢理されたというほうが、のちの言い訳も立つというものでしょう?まあ、果たして言い訳が必要かどうかは、分かりませぬが……クククっ」

 その憎むべき侵入者は、ベリーチェの頭を乱暴に揺さぶって肉柱を出し入れする。口内を満たすおぞましきペニス。おぞましくも、今までの誰よりも大きく逞しく、躰の中心を心ならずもざわめかしてしまうペニス。部屋に撒かれた魔液を知っていれば、そのせいに出来たであろう。しかし、ベリーチェはそれを知らず、心に沸き起こった乱れに大いに戸惑っていた。

「うぐ、うっ……ん、む、ぐうっ」

「おお、いいですよベリーチェ様……いずれあなたの熱くて熟れきった肉壺へと入るモノ、しっかりと唾液をまぶしておいて下さいませ」

 頭の中がさらに霞みがかっていく。秘調合された媚薬と、それに誘発され発露していく女の本能。ベリーチェは気付いていないが、口内で暴れ回る兇器を圧し返して然るべき紅い舌は、その兇器に添ってべろべろと蠢き続けている。

「ほら、御覧なさい。陛下の清純な娘君は、あの醜い男に組み敷かれて艶やかな声を上げておられる……」

 肉棒を含まされたままぐっ、と顔を捻じ曲げられ、屈辱に潤んだ瞳で娘の恥態を否応なく眺めさせられる。

 ボーザは至福の極みにいた。この国の王族に仕え、リューズを見初めた日から幾星霜。本来好色で変態質のボーザが、その卑しい思考を総動員して作り上げた妄想。しかしその妄想よりも、今おのれのモノが徐々に侵入していく熱い粘膜の感触は素晴らしいものだった。決して叶えられぬと思っていたこの淫業を、あの靴職人の怪しい術によって為すことが出来たのだ。一銭の得にもならぬ恩義など、目の前の美しい姫君のか細い肉体に比べればあまりに他愛もない物だ。

「ぐ、ぐ、ぐうっ」

 たった今処女を散らされたばかりのリューズの肉洞は、ボーザの股間に現れたおぞましき肉の塊によってゆっくりと割り裂かれて行く。

「ん、ふっ、ん……んんっ」

 その先端が蜜壺の粘膜を強く擦る時、魔薬によって痛みさえ奪われたリューズはただ性の快感のみを感じさせられていた。

溢れる粘液は、つい先ほどまで従順な下僕だったはずの男が侵入するのを容易にし、不用意にざわめき続ける熱い膣粘膜は、その躍動につられやんわりと締め上げる。獣じみた呻きを上げ続けるボーザには、少女の内部はまさに至福だった。

「んふん……ん、ふう、んっ、んっ」

 二度目の淫らな夢から、リューズは少しずつ目を醒まし始めた。先ほどあの靴職人に貫かれた時のように躰ががくがくっ、と不自然に揺り動かされている。しかし、先ほどの時にかすかに感じた痛みさえ今はもう消え失せ、まるで甘い蜜を溶かした霧に全身を包まれているような甘美な感覚しか感じられなくなっている。唇は美貌に不釣合いなくらいだらしなく開き、その隙間から情けない声が洩れるのを、リューズの耳は拾っていた。しかしそれを抑えることさえ、肉体を支配する性の快感に溺れ始めた少女にはできないことだった。

「ん……っ」

 宝石のような瞳を隠した瞼が、暗闇の部屋の中で少しだけ開いた。先ほど目を開いた時と全く同じ視界。しかし、自分の上にのしかかるシルエットには見覚えがあった。幼い頃からずっと、自分のすぐ後ろに従っていた、影。

「ふう、ん……っ、ボー、ザ……」

 醜い陵辱者は、その少女の甘い囁きをはっきりと聞き取った。さすがにすぐには信じられず、次の瞬間には侮蔑の言葉を投げられながら抵抗されるのでは、と思った。少女の躰奥深くまで貫いているこの今でさえ、麗しき姫君が進んで自らを受け入れるなど期待してはいなかった。

「ボーザ、ボーザ……っ」

 リューズの唇が、確かにそう二度動いた。ボーザは、欲望のままに顔を近づけた。そして、その欲望は叶えられた。接近してきた汚らしい唇に、リューズの唇が接触する。触れただけでなく、リューズのものとは到底思えぬ紅く乱れた舌が、ボーザの口内に侵入して来たのだ。

「……ボーザ、何を戸惑っている。リューズ様は、お前を喜んで迎えて入れているのだ。その期待に、存分に応えてやるがいい……」

 この国でいちばん美しいとされる高貴な女にペニスをしゃぶらせているマジノが、ボーザに冷たい声で言った。

 ボーザは、言われなくてもそうするつもりだ。

「……あ、ううっ!」

 国民の前では宝石をちりばめたネックレスを輝かせるはずの真白い首が、強烈な間隔に大きく反った。ボーザはもう迷うことなく股間に現れた兇器を突き入れ始めた。瑞々しい腰をしっかりと腕で掴み、これ以上ないくらい自分の方に引きつける。

「ふ、あ、あん……っ!ん、んんっ!」

 幼くも艶やかな喘ぎ声が、塔の隠し部屋に響き渡った。屈辱の口淫を続けさせられているベリーチェにも当然、その娘のあらぬ声が、届く。

「……いい声だ。心の底から性の悦びを感じているのがはっきりと分かる……さあ皇后陛下、我らもその悦びに浸ろうではありませんか……」

 その言葉が耳に届いた瞬間、ベリーチェの躰はマジノによって突き飛ばされた。突然のこと、ベリーチェはぶざまに冷たい石の床に尻餅をつく。しかし、当然沸いて来るべきはずの、怒りや強制口淫から逃れられた安堵などは感じてはいなかった。

ベリーチェは気付いていた。無理矢理させられた口淫の中、自分のいやらしい部分が、まるで魔法をかけられたようにだらしなく潤っていくのを。

(魔、法……?)その考えが正しいか誤りか、ベリーチェは確かめる術なく、戸惑いに満ちた瞳を賊の男に向けた。男の股間には、自らの唾液でべちょべちょのペニスがしっかりと嘶いている。そして、男は右手に硝子の小瓶を持っていた。中には、粘った透明の液体……。

「皇后陛下……あなたもリューズ様のように、肉体の奥底から打ち震えるような悦びに身を任せるのです。そのためには……今あなたの心にかけられている厚いカーテンを開かねばなりません。本能に素直になることが、本当の悦びを手に入れる手段だからです……」

 男は小瓶の封を開け、中に満たされた液体を依然勃起し続けているペニスにタラタラと垂らした。

「さあ、話すのです……あなたが求めてやまぬ躰の愛され方は……?心の奥に宿している欲望を解き放つのです、さあ……誰に、どうやって愛されたいのです……?」

 月明かりに照らされぼんやりと見えていたはずの男の体が、闇の中に沈んで行く。ランランと光る妖しい瞳と、あのおぞましいほど逞しいペニスを除いては。

「……ボーザの股間にペニスを与えたのを、陛下もご覧になったでしょう?わたしには、奇跡を起こす力があるのです。その力を使いあなたが望む、淫らで素晴らしい肉交を実現させようというのです……」

 リューズを眠らせ、ボーザやベリーチェの身体の自由を奪ったあの囁きが、低いトーンのまま、『王国の紅玉』の肉体へと迫って来ていた。この部屋に響き渡っているはずの、リューズの乱れ声さえ聞こえなくなってしまった。

「あ……あ……い、や……っ」

 自分を支配しようとしている邪まな気配を振り払おうと、ベリーチェは必死に首を振る。しかし、マジノの囁きを聞き続けるうち、その動きさえ緩慢になっていく。

 目の前の気配に、ベリーチェは顔を上げた。目の前に、男の影がある。そして、やはりペニスだけがはっきりとした存在感を持って迫っていた。しかし、もはやベリーチェには、その目の前の影を押しのけるほどの力は残っていなかった。

「ベリーチェ、さま……」

 影はそれまでの呼び方をやめ、名で呼んだ。

「ああ……っ」

 力なく首を一度だけ振り、ベリーチェは吐息をつく。鼻腔に、あの液体の匂いがツンと流れ込み、次第に力が抜け冷たい床に躰が横たわっていく。幾重にも着込まれた衣を誰かの腕が激しく剥き、その奥にあるペチコート、ドロワースを乱暴に剥がれても、ベリーチェは力のこもらぬ躰のまま、影とペニスにぼんやりとした視線を投げ掛けるだけだった。

(べりーちぇ……べりーちぇ……)

 そして、影の声が声にすら聞こえなくなってきた時、ベリーチェの脳裏にいくつかの澱んだ光が爆ぜ始めた。それは何かの像を結びそうで、すぐに消え行く。その、繰り返しだ。

「あ……、あ……、あ……っ」

 露わにされた股間に、塔内の冷たい空気と何者かの邪悪な気配が感じられた。それがはっきりとした実感となって、淫汁溢れる紅玉の亀裂に触れた瞬間、ベリーチェの瞳の奥は誰かの姿を結んだ。

 月さえ消え行きそうな深夜、ブリソ城に向かう二つの馬があった。

一つは首都より精鋭の近衛騎士団を率い、完全武装して城へと向かう軍勢だった。

「陛下、陛下っ!」

 先頭を行く豪装な騎馬に駆け寄る早馬があった。

「何事か!」

「はっ、都郊外にて炎上したバレッタ様居館の焼け跡を調査した結果、バレッタ様の焼死体の他に、その……申し上げにくいことなのですが……」

「何じゃ、申せ」

 馬上の主君の強い声に、早馬の兵士は弱々しく語り始めた。

「では申し上げますが……館から逃れて来た裸の若い男が、その、おりまして……その男の言う通り調査しますと、焼け跡から……何体もの男の死体が……」

「……」

「その男が申します事には……バレッタ様は最近、近隣の町や村より若い男をさらって来ては、その……淫らな行為に耽っていた、と……」

「……続けよ」

「は……火災当夜も、若い男たちを裸に剥き、縛り、淫らな行為を続けながら、蝋燭などで男たちをいたぶっていた、などと……」

 陛下と呼ばれた男は馬を止め、しばし何事が考えていた。

「……バレッタに関する乱れた風評は知っておった。あの聡明で美しかったわが妹バレッタが、なにゆえ淫業に耽るようになってしまったか……」

 主の言葉に、それまで傍で一言も発していなかった騎士団長が、その重い口をあえて開いた。

「……それにつきましては、わたくしが。古くよりバレッタ様に仕えて来た男が、先月より暇を出され、わたくしの屋敷へ参ったのです。その男もまた、バレッタ様の淫業について証言しておりました。そして……バレッタ様が変わられたのは、ある男がバレッタ様を尋ねて来てから、と……」

「……靴職人であろう」

「……ご存知でいらっしゃいましたか」

「バレッタの館に、隣国女王の紹介状を持った靴職人が現れたことは、このわしの耳にも届いておった。そして……その靴職人が、ブリソ城にも現れたとの知らせも、な」

「そ、それでは……」

 王の周囲がざわめき出す。

「ブリソ城には、皇后陛下や姫君、それに……」

「言うな……!だからこそ、急いでブリソ城に向かわねばならんのだ……行くぞ!」

 王の馬が駆け出したのを見、軍勢はまた一斉に進軍を始めた。

 そして、それよりもさらにブリソ城に近い道を、一頭の馬が駆けていた。リューズと誘拐犯である靴職人の行方を探す捜索隊から思うところあって離れ、その馬は城を目指している。リューズの身を、ベリーチェと共に案じていた、あの少年だ。

「あんっ……あ、あん……ん、く、うんっ!」

 ベッドの上で、この国で一番美しい十五歳が、醜い男に刺し貫かれ激しく喘いでいた。本来なら生まれて二度目のセックスに、これほどの悦びが感じられるはずがない。全ては、マジノのしわざだった。あの秘調合した媚薬、催眠術のような緩い文言。しかし何より、マジノ自身が纏っている雰囲気こそが、この部屋で重なり合う男女たちに淫らな魔術をかけていた。そう、淫らな魔術を……。

「ぐお、ぐお……ぐお、おうっ!」

 無論、ボーザも同じだった。失われたはずのペニスをあの男によって手に入れることができた。そして、昔より望み望み抜いたリューズの肉体を、その得た禍々しき肉の兇器によって隅から隅まで味わい尽くしている。

今も少女の美しい両脚を腕に抱え、その少女の腰肉が醜く歪むほど激しく、媚肉に兇器を打ち据えている。少女はこちらが想像するよりさらに淫らに喘いでくれている。信じてもいない神に感謝してしまいたくなるような、素晴らしい肉の悦びだった。

「ん、あっ……あんっ……く、あっ……ボ、ボー……ザっ」

 ボーザは、リューズの唇から洩れた喘ぎに、さらに狂喜した。あろうことか、この乱れきった肉の交歓の最中に、気高きリューズ様が自分の名を呼んだのだ。これが悦ばずにいられようか?

「ぐ、ぐう……っ!」

 ボーザは刹那、躊躇することなく分身を泉より抜き出した。

「あ、ふ……っ」

 ヴァギナを満たしていたモノが体内から急に抜け落ち、リューズの濡れた声が後引いた。しかし、その戸惑いも一瞬だった。ボーザの逞しい腕がリューズの腰をがっしりと掴み、その怪力で裏返しにしたのだ。少女の華奢な躰は美しい髪を翻させてすぐに半回転し、闇に背中や尻の白い美しさを浮き上がらせていた。

 ボーザの動きはそれで終わらない。滾る花園を隠し、こちらに向けられている淫らな尻肉を掴み、無理矢理に差し上げさせた。ベッドの上に膝をついているボーザのペニスと、尻谷の下に息づく秘裂が相対する。王族であるリューズが、醜い下男に尻を差し上げるという、あまりに惨めな光景だった。

「ぐ……ぐ、ぐ、う」

 醜き男の喉奥から、声が洩れる。それは今までのトーンとは違う声。もしかしたら、ボーザは笑ったのかも知れない。

「あんっ、ん、ふ……っ」

 しかし、リューズはそれを拒否しなかった。その白い尻を小刻みに震わせて、先ほどまで自分を埋め尽くしていたモノの再侵入を、恥辱と愉悦の交錯した心情で待ち構えていた。それもまた、マジノの魔力に影響されてであったが。

 支え持ったペニスがリューズの泉に触れた時、ボーザはある感慨を抱いた。一昔前の森の中、自慰では発散しきれぬ性欲を満たすため、厩から発情した牝ロバを引き出し、その性器にペニスを押し込んだ日のことを。あの時放出寸前に、厩より飛び出してきた番の雄ロバに男性自身を根元より食いちぎられた。それ以来、性を売る村娘の裸踊りを見ても、リューズの無邪気で健康的なエロチシズムを眺めても、放出に至る歓びを得ることはできなかった。

しかし今夜は、邪魔する雄ロバなどいない。それどころか、あの時の牝ロバと同じように淫らな格好をして、憧れ続けた高貴な美少女が股の間から淫液を滴らせて自分を待っているのだ。

「ひ、あうう……っ!」

 リューズのそれはそれは美しい喉が、微痛と凄まじい挿入感に大きく反った。ボーザの猥褻な回想がそう影響させたのか、再び侵入して来た熱いペニスはさきほどの時よりさらにみっちりと、熱く狭い柔洞を犯し進んでいく。

「はあ、はあっ……ボー、ザぁ」

 男の分身の全貌が体内に収まりきった時も、少女は濡れた吐息と共に男の名を呼んだ。その声に、ボーザは思考の片隅にわずかに残っていた良心を喚起させた。初めてリューズの姿を見た日、二人だけの遊びを許された日、雷を怖がりその身を震わせて自分にしがみついてきた日……。

その美しき日々を自分は全て、淫らな瞳で眺めていただろうか。いや違う。時には父親のような優しい瞳でこの少女を見つめていたはずではないか。

(ボーザ、何を今さら躊躇するか……お前が突っ込んでいる女は、今までの高貴なリューズではない。現に、今お前のモノを奥深く呑み込んで、うれしそうに食い締めているだろう……?)

 誰かの声が、ボーザに呼びかける。いや、それは本当の声ではなかった。ボーザは一度、振り返る。そこには、あの男がいた。国王の妻 ベリーチェの熟れた両脚を高く掲げ、その中心に今まさに兇器を打ち込もうとしているあの男が、こちらを向いて笑っている。

(ボーザ、その女は畜生だ。身分も、羞恥心も棄て切って、お前からの情けを待ち望んでいる淫乱な獣に過ぎない。そう、あの日お前に穴を差し出した牝ロバのようなものなのだ。そして……そのふしだらな獣が欲しがっているのは、お前の子種だ。逞しい生命力に満ち溢れた、お前の子種だ。さあ、くだらぬ迷いなど断ち切って、その牝の奥底に熱い子種をぶちまけてやるがいい。そうすればその牝獣も、よがり涙を流しながら悦ぶだろうよ……)

 男の口は動いていない。しかし、ボーザの心に直接語りかけてくるその声は、実際の声より強く作用した。男の顔と同じ冷ややかで淫猥な微笑を浮かべ、ボーザは頭の中の清らかな想い出を駆逐した。

「ぐ、おお……っ!」

尻肉を掴む両手に力を込め、ボーザは分身を抜け落ちる寸前まで引いた。そのモノが、少女の淫汁に濡れ光っているのを見て、もうボーザは躊躇しなかった。

「ひ、いいいいっ……!」

 それは、あまりに激しい衝撃だった。ただでさえ長大なペニスが、入り口から子宮口まで一気に突き入れられたのだ。リューズにとっては、脚先から口まで突き破られたように錯覚されたほどだった。

「ひ、いんっ、はあ、あんっ!」

 しかし、突きはそれからも同じように続く。その逞しいペニスが打ち込まれるたびに、固く張った先端に膣粘膜は擦り上げられ、さらなる愛液を発生させている。躰中から溢れ来る圧倒的な快感に、リューズはあらぬ喘ぎを上げ続けるしかなかった。

 ボーザとリューズの激しい交わりから目を離し、マジノは組み敷いているこの国の皇后を眺めた。先程までとは明らかに違う、熱に浮かされたような潤んだ瞳で、ベリーチェはマジノを見つめていた。マジノはほくそ笑む。この女もついに、心の奥底に宿る相手にたどり着いたのだ、と。

「ベリーチェ……」

 マジノはそう囁きかけながら、禍々しきペニスを熟した果実のような淫裂に押し込んでいく。

「ああっ……そ、そんなふうに……っ」

 挿入感に浸っているはずのベリーチェが、小さな声でマジノに何ごとか訴えようとしていた。

「……どうしたんだい、ベリーチェ……?」

「そんなふうに……呼ばないで、ああっ」

「……?」

「昔みたいに、むかし、みたいに……あふ、ん……『ママ』って、呼んで……」

 マジノの口端が少し上がる。

「『母上』なんて、いやっ……昔みたいに、『ママ、ママ』って、呼んで……甘えて……ああっ、あんっ!」

 これはマジノも予想外だった。なるほど、この女が想う相手を隠し通していた訳は、こういうことだったのだ。人間界のあらゆる堕落を眺めてきたマジノにも、それは滑稽なことに思える。

「……いいよ、『ママ』。このきれいな躰で、僕をいっぱい甘えさせて……」

「ああっ、シャプタル……いいわ、ママの中で、いっぱいいっぱい、愛してあげる……っ」

 ベリーチェはその濡れた瞳を開ききった。無論、その目は憎むべき陵辱者マジノの姿など捉えてはいない。ベリーチェが見ているのは、自らの躰から生まれ出で、あらん限りの愛情を注ぎ育ててきた息子 シャプタルの姿だった。

「じゃあ『ママ』……もっと奥まで入れて、いいかい?」

 マジノはまた口の端で笑った。今しばらく、この滑稽な三文舞台を演じるのも悪くない。

「いいわ。もっと奥まで……ママの一番奥まで、入れてっ」

 男が突くのを待てないのか、ベリーチェはその腰を自ら突き出し、肉柱の侵入を助ける。

「……ああっ、いいよ『ママ』。じゃあ僕も、いっぱい『ママ』を愛してあげよう……」

 ベリーチェの愛する息子、そして国の皇太子であり未来の国王となるはずのシャプタル。そのシャプタルを演じながら、甘ったるく気障な台詞を吐きつつ、マジノは腰を躍動させ始める。

「ひいんっ……いいわシャプタル、もっとママを激しく、愛してっ!」

『息子』であるはずの男からの激しい突きに、ベリーチェは美しい顎をがくがく揺らしながら喘ぎたてる。その淫らな文句を発し続ける唇は、婚儀の時国民たちが称えた『王国の紅玉』そのものだった。そしてそれが、さらに紅く輝いていく。

「あ、ひいっ!ママ、すごくいいのっ……シャプタル、シャプタルぅっ!」

 陵辱者に無理矢理こじ開けられようとしていた先程までの記憶は、どこか彼方に消え去ってしまっていた。その代わりにベリーチェは、押し隠してきた深い欲望を露わにしたことで、躰を存分にくねらせて体内の逞しいペニスを絞り上げている。

「す、すごいぃ!シャプタル、もっと、もっとぉ……あふうっ!」

「いいよ『ママ』……ほら、こうかい?」

「……ああっ、そうよシャプタル。そんなふうに激しく、やって……っ!」

 マジノの分身は、熱く滾った愛液にどっぷりと満たされている。少女のようにきつくなく、しかしやんわりと締め上げてくるその陰洞。老いを見せ始めた国王と久しく躰を交わしていない熟れた肉体が、マジノの淫らな魔術によって、女としての本性を剥き出しにしていたのだ。

「ひい、いいんっ!あふ、シャプタルぅーっ!」

 息子と信じる男の逞しい腰と、ベリーチェのたわわな肉付きの腰が激しくぶつかり合う。ぶつかり合うその間から、滴った体液の衝撃音が洩れ出でる。石で作られた狭い空間に、その音は徐々に大きく響き、ベリーチェの昂ぶりをはっきりと表していた。

「シャプタル……っ、だめ、ママもうイクわ……あなたの熱いの、ママの中にいっぱいちょうだいっ!」

 王国の皇后、美貌と魅力的な肉体によって『王国の紅玉』と称えられてきた女の、余りに乱れた絶頂の宣言。しかしそれを受けたマジノの耳は、その声とは別のある小さな音を拾っていた。それは、リューズ捜索のために兵士たちが出払い、ほぼ無人となったブリソ城の前での、一匹の馬の嘶き。その馬より降りた、一人の少年……。

「ああ『ママ』……僕ももうすぐイキそうだよ……でも」

 少年のような声とは裏腹の冷たい笑みを浮かべながら、マジノは突然ベリーチェの膣内からペニスを抜きさった。

「あああっ!シャプタル、どうしてっ……?」

 全身を震わせて、抜かれたペニスの喪失感を訴えるベリーチェ。淫液を溢れさせてぬめ輝くヴァギナを眺めながら、マジノは囁き始める。

「……大丈夫だよ、『ママ』。僕はすぐに戻ってくるよ。それまで、一緒にリューズの絶頂を見ようよ、ね?」

 マジノはベリーチェの横顔に口づけ、そのままその顔をベッドの方へと向けさせた。ベリーチェはそのキスに感じながら頷き、自分の淫裂を指先で弄びながら、自らの娘の猥褻なオーガズムを眺めることとなった。

「ああ……んっ、ボーザぁ!わたし、わたしもうっ……ああ、ヘンなのぉ!」

「ぐ、ぐ、おおおうっ!」

 ボーザは至福の中にいた。美しい姫様を粗末なベッドに這わせ、尻を抱え激しく突きつづける。それだけでも最高なのに、今尻を掲げているその姫様は、あろうことか後ろから突く自分に向かって、その白い尻をもどかしそうに突き出しているではないか。

「あう、あううっ!きて、ボーザ……ああ、もうっ……ダメ、ダメぇーっ!」

 少女の濡れた嬌声。ボーザも、少女と同じように頂上を悟っていた。

「ぐおお、お、おおう……おおおっ!」

 あの男が言っていた。リューズ様は、俺の子種が欲しいのだと。目の前で尻を振る様子を見れば、それも真実と信じられる。ならば食らわせてやろう。ペニスを失ってから数十年、暗い欲望と淫らな妄想によって濃くなった、俺の精液を……っ!

「ひいっ、ボーザ……っ!わたし、イク、イクっ……ああん、イクうっ!」

「ご、おおおお……っ!」

 先にたどり着いたのはリューズのほうだった。媚薬と魔法に犯され二度目の肉交でたどり着いたのは、卑しい下男のペニスを食い締めながら感じた大波だった。

 ボーザもまた、リューズの粘膜が万力のように締め上げるのを受け、その狭洞にあらん限りの爛れた溶岩を迸らせた。その精液は、少女を孕ませるのに充分の量と濃度を兼ね備えている。

「あ、あ、あふっ……ん」

 長く重いオーガズムに浸りながら、リューズはベッドに崩れ落ちた。その勢いで、ボーザのペニスが体内から抜けてしまう。しかしリューズは、まだ夢の中にいた。

 その様子をうっとりとした瞳で眺め続けているベリーチェからゆっくりと離れ、マジノは耳を澄ます。あの少年の足音は、すぐそこまで迫っていた。

 脚がもつれそうになるのを必死に絶えながら、少年、いや王国皇太子シャプタルは城の階段を駆け上っていた。

「リューズ、母上……っ」

 捜索隊と共に城を出てしばらくして、シャプタルは戦慄した。たかが一刻ほどの間に、リューズを連れこんなに遠くまで逃げられるわけがない。もしやあの靴職人はまだブリソ城にいるのではないか、と。その時、あの城に残してきた母親のことに気がついたのだ。幼き頃の想い出にかすかに残るあの風景と共に。

今リューズが使っている部屋は、昔母上の部屋だった。そして、その部屋の上には秘密の部屋があり、幼い自分やリューズを母上はそこで優しく育ててくれたことを。

「無事でいてくれリューズ、そして母上!」

 息を切らせながら、シャプタルは必死になって走った。

「はあっ、はあっ……」

 やがて、シャプタルはリューズの部屋の前にたどり着く。息を整え、一度腰に差したサーベルに気を向けながら、シャプタルは扉を開ける。

「……」

 部屋は城を出たときと同じように、誰もいなかった。しかし、少年はその部屋の中央に歩み出て、ゆっくりと目を閉じた。幼い頃の想い出の中にある、あの秘密の部屋への入り口を思い出すためだ。

 しばらくして、シャプタルは瞳を開いた。そのまま歩を進め、壁にかけられたなにげないカーテンの目の前に立つ。それを剥げば、天井から下がる紐がある、はずだ。

「……!」

 それはあった。やはり、この上に秘密の部屋はあるのだ。シャプタルはさらに緊張を漲らせて、その紐をゆっくりと引いた。

 梯子を上り、警戒しながら頭を部屋の中に出してみる。月も消え果た深夜、その闇はなんの風景も映し出してはいなかった。

 シャプタルはすぐに全身をその部屋に滑り込ませた。その時、ツンッと鼻につく匂いを感じたが、その時はそれを重大だと認識できなかった。

「母上、リューズ!」

 漆黒の向こうに声をかけても、誰も応えない。いまだ慣れぬ目を凝らしながら、シャプタルは何度も呼びかけつづけた。

「……!?」

 シャプタルは声を出すのを止め、すぐに腰のサーベルに手をかけた。すぐそばで、何かの物音が聞こえたからだ。

 ゆっくりと慣れてきた目に、それは見えた。真っ白な肌、それが小刻みに揺れている。その揺れの先が、浅黒く毛むくじゃらの肌に接触している。

「貴様……っ!」

 その白い肌はリューズであり、浅黒い肌はボーザであった。シャプタルが見たもの、それはボーザの股間に張りつき、そのボーザの粘液に濡れたペニスに舌を這わせつづけているリューズの姿。

「ボーザ、リューズから離れろ!今ここで、その醜き躰切り裂いてくれるっ!」

 ついにサーベルを抜き、シャプタルはボーザの方へと切っ先を向けた。しかし、同時に戸惑いも感じた。怒りは最高潮のはずなのに、サーベルを握っている両手に、思うほど力がこもらない。本人が知らないうちに、マジノが部屋中に撒き散らしたあの魔薬に犯されつつあったのだ。

「……てぇ」

 シャプタルは、背後からの声を聞いた。その声の方に振り返ってみるが、その動きさえ緩慢になりつつあった。

「誰だ……?」

「……来てぇ……」

「っ……?」

 声のする方へと足を進める。頭の中に発生した霧は、シャプタルの思考をどんどん惑わせていく。

「……ああ、シャプタル。早く、来て……またママを、熱いモノで貫いて……」

「は、母上……っ!?」

 思わず、手からサーベルを取り落としてしまった。頭がクラクラしてしまうような光景だ。いつも高貴な美しさを纏っている母親が、その躰に何も身につけていない。それどころか両脚をだらしなく開き、その股間にそよぐ草叢や淫汁にぬめ光る秘裂を晒しながら、こちらを、自分を猥褻な瞳で見つめているのだ。

「……見て、ママったらあんなに綺麗。お兄様も、ママを悦ばせてあげるべきだわ……」

「……っ!」

 すぐ背後に、リューズがいた。裸の前半身を兄に押し付けながら、まるで経験豊富な娼婦のように、手馴れた様子でシャプタルの衣服を一枚ずつ脱がしていく。その間シャプタルは、抵抗の言葉さえ出すことが出来なかった。そしてたまに洩らす濡れた喘ぎから、リューズの後ろにさらにボーザがいることが分かった。しかし、それを確かめることすら、シャプタルは出来ないでいた。

「ああ、すごい……それがまた、ママの中に入るのね……っ」

 シャプタルのペニスは、勃起していた。目前に熟れた肉香、すぐ後ろに若々しい色香。血のつながった二人の女にはさまれ、シャプタルは牡の本能に支配され始めたのだ。

「さあ来て……ママのあそこを、シャプタルのモノで愛し尽くして……」

「ああ……」

「そして……あなたの熱い液体で、ママの中をいっぱいに満たして……っ!」

 ベリーチェの手が、愛するシャプタルの怒張に伸びた。そのまま、潤み切った自分の淫裂に優しく導いていく。

「は、母上……っ」

「……ママって、呼んで……」

「……マ、ママっ」

 母親の熱い場所に触れた瞬間、すぐ背後でもリューズの大きな喘ぎが聞こえた。またボーザが、リューズを強く貫いたらしい。二組の男女が、狭く暗い塔の部屋で絡み合い始めた。

「急げ、直ちに城内をくまなく捜索せよ!」

 城の前でざわめく馬群。すぐに大勢の近衛兵たちが城内になだれ込んでいく。その中で威厳ある態度を保ちながらも、やはり時折不安げな表情を浮かべる人物。

その人物を眺める男。場所は、城の尖塔の上。とても人間の立てる場所ではない。

「……さあ、この国の王族たちの魂は堕落しきったようだ。彼らが死ぬ時、その魂をしっかりと頂くとしよう。高貴な身分の堕落した魂。バレッタと含めて四つ。数が揃えば、価値があるものだからな……さてそれまで、故郷に帰って体を休めるとしよう……」

 男の姿は、まるで煙のように、塔の先から夜の闇へ掻き消えた。

「その国は、王宮の混乱が続き、すぐに隣の国の軍隊に攻め滅ぼされたとさ……」

「ふうん……ねえ、ママ。どうしてその国の王さまたちはおかしくなっちゃったの?」

「さあ……ママが小さい頃に読んだお話では、『悪い魔法使いが魔法をかけたから』って書いていたけど」

「……『悪い魔法使い』かあ。もしかしたら、ほんとうにいるのかな、ママ」

 母親と少女の他愛ない会話。あの王国の崩壊から、幾百年。悲劇もすでに、ただのおとぎ話となっていた。この裕福な家庭の親子にも、その話は単なる昔話のひとつに過ぎなかった。

「さあジュディ、もうお休みの時間よ。今夜はまだパパも帰っていないけど、心配をかけないために早く眠らないと、ね」

「うん、ママ」

 少女は母親に微笑みを向け、すぐに瞳を閉じた。幼い少女は、すぐに眠りに落ちるはずだった。

「邪魔させてもらうぞ」

「……え」

 母親は顔を上げた。部屋の中に、知らない男たちが3人音もなく侵入していた。

「誰です、あなたたちは!?」

「簡単なこと。一言で言えば『借金取り』さ」

「借金取り?うちの家は、借金なんて……っ」

「残念だな奥さん。あんたの旦那さんはある商売に多額の投資をして、それに失敗。そこで俺たちに借金したってわけだ。俺たちだって本人から取立てたいところだが、その本人である旦那さんが愛人連れて行方不明じゃ、こちらも手の打ちようがない。というわけで、この屋敷にお邪魔したわけだ」

「そ、そんな……」

 男がベッドそばの母親に近づく。幼い少女はただ、母親の不安げな表情を向けるだけだった。

「……なあ奥さん。残念だが、この屋敷を売り払っても、返せるような額じゃない。そこで……あんたはまだ若い。それに美人だ。この可愛い娘さんに危害を加えられたくなかったら、我々についてくることだな。分かるだろう?」

「……っ」

 母親の頭が崩れ落ちるのを、少女は泣きそうな顔で見つめている。悲劇がまたひとつ、始まろうとしていた。

 屋敷の屋根の上に、一人の男。

「ここにもまた、純粋な魂が一つ。これを堕落させいずれ獲得すれば、いい儲けとなるな……」

『魔法の靴』 完

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