◇ 神双とイオソと+α、日々のドタバタ・その6。 ◇(↑new old↓)


◇ 日本と魔界とフランス料理編 ◇

ある日の夜。
『ニホンザリガニとアメリカザリガニ・外来種の脅威と絶滅危惧種』的な番組を見ていたソードが、傍らの双魔(魂)にふと問うた。
「なぁ、よォ、あれって食えるのか?」
「んー、フランスとかの外国では食べるらしいけど、日本では食べないね」
「エビとかカニとかの仲間じゃねーのか? 何で食わないんだ」
「ニホンザリガニは絶滅危惧種だから、そんじょそこらにはいないんだよ」
「あっちのでっかい奴はウジャウジャいるんだろ?」
「アメリカザリガニの方? あれはちょっと、日本で獲れるのはいまいち不味いっていうか‥‥」
「でも食えるんだな?」
「でも全っ然美味しくはないよ? 養殖してるようなのは解らないけど、 そこらにいるような野生のやつはそもそも棲んでる水が汚いから、生臭いっていうか泥臭いっていうか―――」
そのやりとりを傍らで聞いていた神無が、そこで一言。
「‥‥待て。そのやたらと具体的な情報はどこからだ?‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「あ? 何だ、食ったことあんのかよ双魔」
「‥‥あるんだな‥‥」
「‥‥子供の頃、オタク的好奇心と探究心に負けて、つい‥‥」
「何でそんな妙なところだけ、無謀な勇気を発揮するんだお前は‥‥」
「ていうか、だったら何でサイクロプス食わねーで残したんだよ! もったいねーだろ!」
「いやあのソードさん、ザリガニとサイクロプスを同列で語るのはちょっと‥‥」
(この後は、「だって似てるじゃねーか」「ザリガニは人間を襲ってこないよ!」という話題でしばし紛糾します)
(2014/10/09日記)06-10

◇ 子供の頃の夢は何ですか編 ◇

・神無の場合
「あー‥‥バイク屋だな」
「普通だね」
「普通ですね」
「普通すぎるだろ! テメーのこった、もっと邪悪で大それた野望とか抱いてたんじゃねーのかよ!」
「‥‥お前ら俺のこと何だと思ってるんだ」

・双魔の場合
「もちろん魔導士だよ!」
「やっぱ普通だな」
「ある意味普通ですね‥‥」
「えへへー、でもほら僕のは神無と違って、微妙に現実になりつつあるし!」
「‥‥待て、それを普通だと思うお前らの感覚は普通じゃないぞ‥‥(そもそも裏暗黒魔闘術は魔法じゃないだろう‥‥)」

・ソードの場合
「やっぱ魔王だな! サタンを倒して魔界をオレ様のものに!って思ってたぜ」
「それもまあ普通というか‥‥」
「まあ想像の範囲内だよね」
「それこそ大それた野望だろうが‥‥」
「そのテキトーな反応は何だ! オレ様は実際にサタン倒したじゃねーかよ!!」

・イオスの場合
「あー‥‥すみません、子供時代というものが天使にはありませんから‥‥」
「え、そうなのか?!」
「うわ、珍しくイオスさんが一番普通じゃない!」
「まあ、子供時代があったにしても、こいつに夢とか希望とかがありそうには思えないしな‥‥」
「‥‥いやあの、神無さんこそ私を何だと思ってるんですか‥‥」


◇番外・他の人にも訊いてみました編

・コウモリネコの場合
「あちしは大活躍して上級悪魔の名前をもらうのが夢ニャ~。今もそのために頑張っているニャ!」
「えっれえ小せえ夢だなおい!」
「フツーの下級悪魔はみんな目指すところニャ! はぐれ悪魔のソードには解らないニャー!!」
「あー、でもそれは普通にいつか叶いそうではあるね!」
「しかしそれにはまず、シバが復活しないといけないのでは?」
「だな。ソードにそんな権限ないだろうしな‥‥」
「まずソードさんが頑張って上級悪魔になればあるいは?」
「なんでオレ様がコイツのために頑張らなきゃならねーんだよ!」

・シェキルの場合
「(子供時代というものは存在しないので)‥‥今は‥‥天界の隠された叡智と資料を隅々まで網羅することが夢でしょうか‥‥」
「まだ堕天チキンレース中なのか‥‥」
「ある意味シェキルさんのが一番大それた野望のような気がするんだけど‥‥」
「きっと新世界の神とか目指しているのニャ‥‥!」
「目指していない! というかケダモノの分際で話に加わるな!」
「つーか何だ新世界の神って」
「さあ‥‥ミカエル様引退後の実権を握ろうという意味では?」
「ち、違いますイオス様! 私はそのような大それたことは‥‥!」
(混乱のまま終わる)
(乱封・みずの・ガーベラにも訊こうとしたけど捕まりませんでした。<多分、三人でどっかに出掛けてる)
(2014/09/09日記)06-09

◇ 愛と悪意とアイスの実編 ◇

ある暑い日の昼下がり、神無はアイスの実を摘まみながら、革ジャケットの手入れをしていた。
そこにソードがふらふらとやってきて、
「お、美味そうなもん食ってるじゃねーか。ひとつよこせよ」
「やらん」
「いーじゃねーか一個くらい!」
「食いたきゃ自分で冷凍庫を探せ。お前と双魔の分が入ってる」
「解ったよ! もう頼まねーよ!」
と、一旦台所に向かおうとしたものの、ふと脳内で閃いたらしく。
「おい双魔、ちょっと代われ!」
「――え?」
突然ポンと表に出され、目を白黒させる双魔の前に浮き、魂ソードがズビシと言った。
「よし、行け! 行ってあのアイス全部食え!」
「な、ナニ突然?!」
「いーから行け!」
「ええー?」
何が何やら解らぬままにソードにぐいぐいと背中を押され、神無の傍らに歩み寄った双魔は、
「あー‥‥それ、一個ちょうだい?」
ソードの言い分をある程度立てつつも、さすがに控えめに言ってみた。
すると。
「‥‥ほら」
ソードの時とは裏腹に、神無は至極あっさりと、アイスを袋ごと差し出した。
「ただし一個だけな。‥‥後は自分の分出してきて食えよ」
「うん、ありがと。後で一個返す」

――という展開を、傍らで見ていた魂イオスとソードは。
「‥‥愛ですねえ(双魔くんに対する)」
「いや、悪意だろ!(オレに対する)」
(2014/06/29日記)06-08

◇ 七福神の内訳は編 ◇

(ひとつ下の「マイ七福神~」から続きます)

先ほどまでのイオソ神双四人に、何故かコウモリネコが加わって、話は続く。
「ガーベラさんは女性枠だから、文句なしに弁財天だね」
「あちしを忘れるニャーー!」
「お前はこの魚抱えてるヤツ一択だろ」
「あー、恵比寿様?」
「ニャ?!(何故このオジサンニャ!)」
「ああ‥‥猫ですしね」
「あちしはアクマニャーーー!」
「ソードさんは鎧が似合いそうだから毘沙門天で」
「それっぽいな‥‥」
「福禄寿と寿老人は同じ人って説もあるから、神無とイオスさんでいいんじゃない」
「? それならお前と神無でもいいじゃねーか」
「だって神無もイオスさんもアタマ長いし」
「長いのは頭じゃなく髪だ(ぺし)」
「あう」
そしてむむーと膨れていたネコが、七福神絵図を指差して訊いた。
「ところでコレ(大黒)とコレ(布袋)はどうなるニャ?」
「あー‥‥僕もシェキルさんも、どっちも死ぬほどそれっぽくないから、そこら辺は保留で‥‥」
「それでいいのかよ!」
「だったらシェキル抜いてシバでも入れればいいだろ‥‥大黒ってあれが由来だとか言ってただろう」
「や、あっちのマハーカーラと七福神の大黒様は別物っぽいよ? そもそも七福神の方は大国主命との混同からー」
「‥‥神無さん、解ってるんだからスイッチ入れないで下さいよ‥‥」
「‥‥悪い」
(榊はさほど詳しくないので突っ込まないで下さい@シヴァ大黒マハーカーラ大国主命)
(2014/05/18日記)06-07

◇ 僕の考えたマイ七福神編 ◇

1、イオスさん
2、ソードさん
3、僕
4、神無
5、ガーベラさん
6、ナナちゃん
7、シェキルさん

「‥‥で、このリストは何ですか?」
 唐突に謎のリストを見せられたイオスは、怪訝な顔で双魔(と魂ソード)を見た。
「んー、『僕らの考えた個人的七福神』みたいな?」
「え、ソードも考えたんですか?」
「まー何となくな!」
「(意味が解りません‥‥)」
「いやほら、僕にとってはソードさんって福の神的な存在だから! 体力ついたし、神無とも仲直りできたし、リアル悪魔と一心同体とか、オカルトマニアとしてこれほどの幸せはー」
「うーん‥‥(やっぱり訳が解りません‥‥)」
「まーオレ様も、あの時こいつが倒れてなかったら危なかった訳だしよ」
「イオスさんだって神無に助けられたり、その逆だってあったでしょ?」
「そう言われてみるとそうかも知れませんが‥‥」
「何で不満気なんだよ」
「それにしても禍々しい七福神だなと思って」
「何だと!」
「だって悪魔率が高すぎじゃないですか。七人中3・5人とか」
「‥‥待ってイオスさん、その0・5人ってもしかして僕のことなの?‥‥」
(オチない)
(神無にとっても、多分イオスは福の神)
(しかし後でシェキルに「何故私の位階が猫より下なんだ!」とあさってな方向から突っ込まれます)
(2014/05/14日記)06-06

◇ 朝、目が覚めたら怖かった編 ◇

・ソードの場合
「あー‥‥目が覚めたらあちこち痛くて腫れ上がってて、腕とか曲げられなかったことがあったな」
「それは‥‥怪我ですか?」
「ああ。前の日の戦闘のダメージが意外と大きかったらしくてな。シバに見せたら骨が折れてるとか言われて驚いたぜ」
「いやあのソードさん、骨折に気付かないで寝ちゃったってどういうこと‥‥」
「‥‥‥‥(鈍い奴だな‥‥)」
「テメエ今なんかムカつくこと考えただろ!!」

・イオスの場合
「ああ、でも似たようなことは私もありましたね」
「お前も怪我関係か?」
「ええ。ソードと決闘するとさすがに無傷では済まないので、天界に戻った後、治癒のために睡眠を取らないといけないんですが―――」
「え、天使って睡眠必要なんだ?」
「全く不要な個体もいますけどね。私の場合、睡眠を取った方が治癒魔法の効果が高いんです」
「へえーーー!」
「‥‥だからメモ取るな(これだからオカルトオタクは‥‥)」
「(目が普通じゃねーよ双魔‥‥)‥‥で、その何が怖い話なんだよ」
「いえ、それ自体はいいんですけど、目が覚めると大体シェキルのお説教が待っていて」
「あー‥‥」
「だから言ったのにとか、もうソードとの決闘はやめて下さいとか、毎回大体38分くらいは叱られましたね‥‥」
「何その半端な数字」
「それは怖いとかじゃなくうんざりしてるだけじゃねーのか?」
「というかヒエラルキーガチガチの天界で、上司に38分も説教する部下は確かに怖いかもな‥‥」

・双魔の場合
「うーん‥‥僕はあんまりそんな激しい話はないなー。何か気持ち悪くて吐いたらゲロじゃなく血だったとか、朝起きたら鼻血で枕が血まみれだったとか、そのくらい?」
「いやそれ十分怖いだろ! 何が原因なんだよ?!」
「さあ‥‥前の日に殴られた影響とか、そんなのじゃないかと思うけど―――」
「‥‥いやお前、時々変な魔法薬作って飲んでは、具合悪くして吐いてただろう‥‥」
「あーそういうこともあったっけ? 何かよく覚えてないなあ」
「あの‥‥そんな目に遭っていながら、原因を『よく覚えていない』という双魔くんが怖いんですが‥‥」

・神無の場合
「人外のお前らに比べたら、俺も大した話はないな‥‥」
「テメーまだ自分が普通の人間だと思ってんのか」
「ねー。色々ありすぎて麻痺してるだけだよ、絶対」
「神無さんの場合は、意味が解ったら怖い話が沢山ありそうですね‥‥」
「お前ら俺のこと何だと思ってるんだ。‥‥あ」
「何か思い出した?」
「あー‥‥中学の時、夜遊びして仲間と飲んで、翌朝目が覚めたら、強面の先輩の彼女の部屋にいたことが―――」
「あああ、そっち方面の話はあんまり聞きたくなかった‥‥!!」
「その先輩が色々やらかして年少送りになるまでは、バレないかどうかさすがに肝が冷えたな‥‥」
「つまりはその女寝取っちまったってことか!」
「‥‥(全く似てない双子なのに、訳の解らないそら恐ろしさだけがやたらと似ているなんて‥‥神よ‥‥)」
(多分全員が麻痺しているだけで、掘り返せば怖い話がもっと出てくると思われます)
(2014/05/03日記)06-05

◇ 双子の魂百まで編 ◇

※神無の身長は175cm、双魔は170cmです。<公式設定

・双魔の場合
「うーん‥‥神無の身長に追いつきたいっていう気持ちはあるんだけど‥‥」
「追いつかないまでも、もうちょっとくらいは伸びるだろ、二十歳までには」
「でも、あんまり伸びてもね‥‥余計目立って絡まれやすくなっても怖いし」
「‥‥待て、大人になってもまだ絡まれる想定なのか‥‥?」

・一方、神無の場合は
「お前に追いつかれてもムカつくし、俺ももう少し伸びてもいいんだが――」
「何故そこでムカつくかなー(双子なんだから本来的には平等でいいはずなのになー‥‥)」
「ただ、あんまりでかくても立ち回りの時に動きが鈍るような気もするし、的がでかくなるって問題がな‥‥」
「いやあの、神無こそ、一体いくつまで喧嘩してるつもりなのさ‥‥」

(まあこの二人がフツーに二十歳になる未来はないのがマイ設定なのですが。<つっても別に死ぬ訳じゃないですよ)
(2014/04/07日記)06-04

◇ 同人誌妄想編 ◇

例の如く、影サタン様が双魔の部屋に遊びに来たある日。
双魔+様子を伺う神無&魂ソードとイオスが、階下からお茶を持って戻ってきたらば、山と積まれた本の上にあった「はたらく魔王さま!」の原作本+同人誌の表紙を、影様がじっと見詰めていた。
それを目にしたイオソ神双は、
「何考えてアレを見てるんだろうな‥‥」
「魔王サタンの同人誌があるなんて‥‥とかでしょうか」
「貞夫さんが受か攻か考えてるとか」
「待てあれはそういう本なのか?‥‥」
「そういうってどんなだ?」
「えーと、同人誌にはまず男性向けと女性向けがあってー」
「やめろバカにこれ以上余計な知識を与えるな」
「バカとはなんだ!」
‥‥とか何とか、何となく部屋に入りづらいまま戸口でぼそぼそと密談していた四人に、影様がくるりと振り返り、
「はたらく、という言葉からして、これは魔王の職務を解説する教育資料とかなのかい?」
「あー‥‥昔あったNHKの『働くおじさん』的な?」
「それは知らないが、人間界にそんな資料があるとしたら驚きだね。‥‥もしや魔界の他の職能についても研究されていたりするのかい?」
「えーと、その‥‥」
「‥‥」
「‥‥」
「‥‥」
「‥‥何故黙るんだい」
影サタン様の一言に、神無とイオスとソードの視線が一斉にくるりと双魔を向き、
「主にお前が悪い」
「だな」
「すみません、弁護のしようがありません‥‥」
「ええー」
「‥‥一体何の本なんだい、これは」
‥‥そして沈黙が広がってしまった。
(さすがのサタン様も、同人誌の存在まではご存じない模様です)
(教育番組の「はたらくおじさん」はデビキャラの歳だと知らないはずなんだけど、双魔はオタだから年齢の範囲を越える知識を多々持っています、ということで)
(そもそもデビデビの年代に「はたらく魔王さま!」はまだ存在してないので、これは例の如く「デビ時空(しかも新世界編)だから」ということで)
(2014/02/05日記)06-03

◇ 鞄にまつわるエトセトラ編 ◇

神無と双魔は鞄のことでまた何ごとか言い争っていた。
どうやら双魔が目的外の鞄(ショルダーバッグ)を衝動買いし、必要経費を使い込んでしまったらしい。
「そんなに好きな鞄なら自分が入ってろ!」
神無は怒りの勢いのあまり、双魔を頭から鞄に押し込もうとし始めた。
「伊東さんじゃないんだから無理だってばー!」
「泣き言は試してから言え!」
「絶対無理だって! そんなの入らないよ! やめてー!」
「BLみたいな台詞を吐くな!」
「ていうか何でBLとか知ってるんだよー!」
「お前が俺のバイク誌の山に妙な本を混入させておくからだろうが!」
「読まなきゃいいじゃーん!!」
‥‥などという、毎度の兄弟喧嘩の混沌の果てに、
「じゃあまず神無が試せば!」
と、逆ギレした双魔が鞄を奪い取り、神無の頭にがぼりと被せた。
「!!‥‥‥‥」
どうしてか、神無がピタリと動きを止めた。
「‥‥か、神無?」
「‥‥‥‥」
鞄をかぶったまま、神無は無言。
その隙に逃げようと目論んでいた双魔は、しかし、予想外の沈黙が醸し出す不安感に、逆に身動きかなわなくなってしまった。
「‥‥な、なんか言ってよ、ねえ」
「‥‥‥‥」
「ぼ、僕も被るから勘弁してよ‥‥!」
双魔は混乱の勢いで、傍らにあった神無の鞄(ワンショルダーのディパック)をすぽりとかぶった。
しかし、神無の反応はやはりなく。
‥‥そのまま、しばしの沈黙が過ぎ去った頃。
「ただいま~、息子達よ、今帰ったよ~」
いつもの能天気な声と共に、父が帰宅。
リビングに入るなり目にした光景に、父はぎょっとしたように足を止めた。
そしてしばらく考えた後、
「‥‥ち、父もかぶればいいのかな?」
「やめろ!」
「やめてよ!」
 ガサガサとエコバッグを広げる音に、二人は思わず同時に叫んだ。
(オチない)
(2014/01/08日記)06-02

◇ 天野家恒例のお正月ギャグ編 ◇

大晦日。
年越し蕎麦を食べ終わり、テレビ中継の除夜の鐘を聞きつつ、日付が新年に変わる頃。
キッチンでお茶を入れてきた父が、
「去年の水で入れたお茶だよ~」
と、双子にお茶を差し出した。
年明けの深夜限定の、父の恒例ギャグである。
子供の頃は神無も双魔も一瞬本気で驚いたものだが、さすがに高校生にもなると、いい加減慣れがきて飽きている。
淡々と茶を受け取りながら、
「ありがと。‥‥そういえば僕、去年からお風呂入ってない」と双魔が、
「俺は去年から寝てない」と神無が、
(それ言ったらあちしは去年からゴハン食べてないニャ~)と、ついでにネコが心の中で返し、
「ああー子供達が子供っぽくなくなってる! 父は、父はー!」
と涙ぐんで父が右往左往する中、
「じゃあお休みー」
「俺も寝る。朝の雑煮は餅三つで頼む」
父の嘆きをスルーして、双子は自室へ引き上げた。

それを中から見ていたらしいイオスとソード(手乗りサイズ魂)が、二階に戻るなり顔を出して言った。
「えーとだな‥‥オレ様去年からずっと悪魔に戻れてねーな」
「それを言ったら私もですよ。そのせいか、去年から未だにルシファーを使いこなせていませんし‥‥」
二人としては、何とはなしに人間界の風習(?)を真似てみたつもりだったのだが、しかし。
「あー‥‥ごめんソードさん、まだその辺の情報、全然探し出せてなくて‥‥」
「いや、ルシファーはな‥‥一朝一夕で使いこなせるような、ぬるい代物じゃないだろう‥‥」
予想外深刻な双子の返事に、イオスとソードは顔を見合わせた。
「‥‥オレ様なんか間違ってたか?」
「うーん‥‥人間界の慣習って難しいですね‥‥」
(多分イオスとソードは、これをエイプリルフール的なものだと勘違いしています)
(※2015.01.06追記‥‥この小ネタ、後になって2014.12.29発行の「FOUR SEASONS」のワンシーンだと判明しました‥‥色々展開しましたのでそちらの本の方もよろしく)
(2014/01/05日記)06-01