◇ 残暑見舞い・夏の思い出編 ◇
何やら不穏な気配を感じて、神無が居間に赴いてみると。
1.水槽
2.流木
3.食べ終わったスイカの皮
4.カブトムシ
5.虫の餌ゼリー
6.手乗りサイズのソード(魂)
‥‥を、観葉植物の前に配置して、カメラを構えている双魔がいた。
「じゃ、ソードさんカブトムシの上に立って」
「おお」
言われてカブトムシの背に乗るソードは、ミニチュアの捕虫網を手にしていた。
多分「狩りの獲物」的な演出をしたいのだろうが、いかんせん網よりカブトムシが大きい。
‥‥いや問題はそんなことではなく。
「‥‥ムシキングか」
「あ、神無」
「そんなもん撮ってどうするんだ」
「残暑見舞いに使おうと思って。タイトルは『夏の思い出』」
「‥‥‥‥(どこから突っ込んでいいのか解らねえ)」
「大丈夫、普通の人はCGだと思ってくれるから」
「(普通の知り合いにまで出す気かよ‥‥)だったらソードじゃなく自分で撮ればいいだろうが」
「あー、うん‥‥初めはそのつもりだったんだけど‥‥」
「? 何だ」
「‥‥ソードさんが、デジカメのシャッターの二段押しがどうしても上手く出来ないって言うから」
「‥‥(不器用悪魔め)」
「テメー今なんかムカつくこと考えただろ!」
カブトムシの上でボンボンと跳ね、怒りもあらわにソードが怒鳴る。
そんなに暴れると潰れるぞ、カブトムシ―――と言おうとしかけて、ふと気付く。
「‥‥よく見たらグミックス(※)じゃねえか。本物のカブトムシじゃなく」
「だってリアル昆虫は世話が大変だし、乗ってるうちにどこかに運搬されちゃいそうだし、魂サイズで見るとちょっとキモいし‥‥」
「‥‥ゴミ部屋でゴキブリ飼ってるお前が言うな!」
(2011/08/24日記)
※後出しな前提:GUMMIXとは。
(リアル昆虫ではなくグミですが、見た目だけでも駄目!って方は画像注意)
(リアル昆虫ではなくグミですが、見た目だけでも駄目!って方は画像注意)