◇ 大天使シェキルのいたたまれない日々 ◇
シェキルが天野家を訪問した場合の、最近(原作最終回以降)のパターン。
玄関でチャイムを鳴らして、イオスが出てきた場合。
「おや、いらっしゃい、シェキル。‥‥神無さんと変わりましょうか?」
「いえ、あの、本日はミカエル様からイオス様への届け物が‥‥」
「あ、そうですか‥‥」
「‥‥‥‥」
(妙な方面で気を遣われてしまっていたたまれない)
(しかも本来の存在意義をすっかり忘れられているようで、それもいたたまれない)
神無が出てきた場合。
「‥‥へえ‥‥」
「何だその邪悪な笑みは?!」
「わざわざ俺に会いに、人間界までノコノコ出掛けてきた訳か」
「ば、馬鹿を言うな!」
「まあ上がれ。幸い双魔は出掛けてるからな」
と、部屋どころかどんどんベッドにまで連れ込まれてしまい、
「ま、待て! ちょっと待て!」
とジタバタ抵抗していると、
「‥‥冗談だ。イオスと代わってやるよ」
「え」
そして入れ替わって出てきたイオスが、茫然としているシェキルの様子を見て、
「あの‥‥もしかして、今日は本当に神無さんに会いに来たんじゃ‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
(実はその通りです。‥‥と言う訳にもいかず、いたたまれない)
(そして神無が本気で「イオスに用がある」と思っていたのか、それともこの展開までもが嫌がらせなのか、判断がつかずにいたたまれない)
双魔が出てきた場合。
「あー‥‥いらっしゃい。上がってってよ。アイス何が好き?」
「いや、あの‥‥」
「僕とソードさんに用がある訳はないよね。でもイオスさんは昨日から休眠中だし、神無はさっきファミマにファミチキ買いに行きました」
「ファミチキ‥‥(何だそれは)」
「僕が食べたいって言ったから。もうじき帰ってくると思うから、アイスでも食べて待っててよ。そしたらチキン半分こしよ(ニコリ)」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
(本妻に歓待されてしまう愛人の気分でいたたまれない)
(しかも、ねだって買い物に行かせたらしい、好物とおぼしき食べ物を半分こされてしまう、という心苦しさに一層いたたまれない)
ソードが出てきた場合。
「てめえかよ。‥‥イオスに何か用か?」
「貴様には関係ない」
「何だ、やんのか!」
牙を剥いてソードが構えた。手の甲の悪魔の卵の上で、バチバチと青白い魔力が弾ける。
「‥‥‥‥(不本意だが、この反応が一番落ち着くような気がする‥‥)」
チャキリと剣を抜きながら、何だか微妙な気持ちになってしまうシェキルであった。
(2011/09/11日記)
(何だかうちの天野兄弟がどんどんと極悪ブラザーズになっていくのでいたたまれない)