◇ イオソ神双・鞄でバトル編 ◇
神無と双魔はいつもの如く、鞄の趣味のことで口論していた。
「ポケットだらけのリュック兼用3wayショルダーとか、オッサンアイテムだろうが!」
「メッセンジャーは安定性が足りないの! 両手使えるのが便利だし、何よりオタクは荷物が多いんだよ! ていうかそもそも荷物持たない神無はバッグとか要らないじゃん!」
「要る時は要るんだ! それでもあのオタ仕様リュックだけは有り得ねえよ」
神無はポーター(吉田カバン)のメッセンジャー派、双魔はWISE-WALKER(ノーマディック)のショルダーバッグ(3wayでリュックにもなる)派なのだが、正直天使と悪魔にとっては果てしなくどうでもいい話である。
「あー‥‥でも神無さんはワンショルダーのリュックは持ってるじゃないですか?」
「あれはリュックじゃなくボディバッグと言うんだ」
「細けーな‥‥物が入ればどっちでもいいだろそんなもん」
「でもあのワンショルダーは意外と物が入らないんだよね。財布を尻ポケットに入れておきたくない人くらいじゃないの、あれで足りる人って」
「そもそもオタク仕様じゃないと何度言えば解るんだ‥‥」
「だからそれでいいじゃん! オタクは大容量のリュックで! 財布の紛失を恐れるヤンキーはボディバッグで! 棲み分けは大事だよ!」
「待て、お前のボディバッグに対するイメージは明らかに間違ってるぞ‥‥」
「どっちみち僕はああいうの使わないから関係ないよ! だから僕の愛するオタリュックもほっといて下さい!」
「(何故丁寧語‥‥)お前はもう少し身なりに気を遣え! 無駄に大荷物持ち歩くな!」
「そもそも僕は脱オタしたくないの! 見栄えより実用を取りたいの!‥‥ねえ、イオスさんとソードさんもどっちかって言うと実用派だよね?」
「えっ(いきなり矛先が‥‥)えーと‥‥私個人としては、ワンショルダーのボディバッグが好きですね」
「ええー、イオスさんそっち派なの?!」
「はい‥‥あの形状の鞄は、天界で剣を背負っていた時の感じに似てるので、何となく落ち着くというか動きやすいというか‥‥」
「‥‥そんな理由なんだ‥‥(イオスさんって‥‥)」
「‥‥(まあこいつが天界で鞄に物入れて持ち歩く機会なんかなさそうだしな‥‥)」
などという、それぞれ異なる方向性で双子が絶句していると。
「そうなのか? オレ様は剣とかしょったことねーからピンと来ねーなあ」
「あー‥‥魔剣は呼べば飛んで来るもんね‥‥」
「おう、便利でいいぜ! そんなもんまでいちいち持ち歩かなきゃならねーとか、天使ってのは不自由だよな」
「そ、そう言われてみればそうかも知れませんね‥‥」
「‥‥(そういう問題じゃねえ‥‥これだから天使と悪魔は‥‥)」
(2015/08/15夏コミペーパーSSに加筆修正)
(「人間界の常識に感覚が近いかどうか」という観点では、実はソードよりイオスの方がややおかしい、という疑惑。
<天使の人達は多分、人間的な、というか生き物っぽい「生活」をしていない可能性大)