◇ 『人間が古文みたいのを読み上げて呼び掛けてくるんだが誰か翻訳頼む』 ◇
みずのから借りてきた魔導書(魔界製)を、双魔がわくわくと読んでいると。
「なぁ、よォ。人間は何でこんな古い本を大事にとっといてんだ? 読めもしないのによ」
と、唐突にソードが言った。
「これを入手した人は悪魔文字が読めたんじゃないの? 僕みたいに」
「その頃は人間界の言葉も古かったってことか?」
「? どういうこと? 言葉が古いって何?」
などと双魔が追求したところ、ソード曰く。
「人間界にある魔導書の悪魔言語は、なんでか大概古いんだよな。ニホンゴで言うと古典とか旧字体ってヤツか」
「え‥‥ていうことは」
「うんと年食ってる奴か、ある程度の知識がないと読めねえだろうな。オレくらいの歳だと読めねえ奴の方が多いんじゃねーか」
「ソードさんは読めるんだ?」
「こういうのはシバの所でさんざん鍛えられたからな」
そういえばそんなこと前にも聞いたなあ、と双魔はおぼろげに思い出した。
「あ、もしかして、召喚ってそれもあって成功率低いとか? 召喚に応じそうなフットワークの軽い若い悪魔ほど、古文読み上げてるみたいで逆に意味通じてない可能性が―――」
などとブツブツ呟いている双魔に、ソードが言った。
「お前はオレの読める文字全部解るんだから、自分で新訳魔導書とか作ればいいだろ」
「え。でもそれ需要あるのかなあ‥‥」
「薬味総次郎辺りは泣いて喜ぶんじゃねーか?」
「うーん‥‥でもそれって当の悪魔から見たら『枕草子・ギャル語版』みたいな扱いなんじゃ‥‥そして人間界のオカルトマニアには『レメゲトンと違う、何この妄想同人誌‥‥』と思われそうな予感が‥‥!」
「知るか」
(2016/01/25日記)
(古い魔導書に則った召喚は、きっと魔物のヒト達から見たら「人間が古文みたいのを読み上げて呼び掛けてくるんだが誰か翻訳頼む」みたいな状態なんじゃ?とよく思います。<何かラノベのタイトルみたいになった)
(人間が妙に古い言語体系を使って召喚しようとしてくる! しかし若い悪魔達には古文が解らない! 何故なら彼らも人間達と同じ、魔界のゆとり世代というやつだったのだ! ありったけの知識と教養・人脈を駆使して古語を解析し、人間とコミュニケーションを取ろうとする悪魔達! 果たして彼らが人間の召喚に応えられる日は来るのか?!―――人間と悪魔の召喚ドタバタコメディ、ここに開幕!‥‥みたいな謎のあらすじを受信した)
(というか中世の魔導書とか研究書自体、全て当時の創作同人誌→その二次創作、三次創作、 って流れで出来上がった代物なんじゃね?という気がしなくもない)
(人間が妙に古い言語体系を使って召喚しようとしてくる! しかし若い悪魔達には古文が解らない! 何故なら彼らも人間達と同じ、魔界のゆとり世代というやつだったのだ! ありったけの知識と教養・人脈を駆使して古語を解析し、人間とコミュニケーションを取ろうとする悪魔達! 果たして彼らが人間の召喚に応えられる日は来るのか?!―――人間と悪魔の召喚ドタバタコメディ、ここに開幕!‥‥みたいな謎のあらすじを受信した)
(というか中世の魔導書とか研究書自体、全て当時の創作同人誌→その二次創作、三次創作、 って流れで出来上がった代物なんじゃね?という気がしなくもない)