◇ デビ的武術と体型メモ ◇
2巻辺りまでは、まだ本体の持ち主である双魔の非力オタク生活のせいで、ただただ痩せてるだけなのだが、 魔剣を振り回したりしてソードなりに鍛えたためか、4巻ではかなり筋肉がついている。 その描き方が、どうもブルース・リーをさらに削いだ感じの体つきで。
作者が意識してたかどうかは不明だが、元々沖縄古流空手ネタの「秘拳伝キラ」や、格闘ゲーム「サムライスピリッツ」の漫画版などを描いてた人なので、 キャラの戦闘スタイルによって体型を書き分けてた可能性はあるのではないかと。
そう思って見返すと、悪魔版ソード(特に、初期に出てくる回想シーン。 のちの一時復活バージョンではない方)の肉付きは、空手でもプロレスでも中国拳法でもない、何でもありの総合格闘技系/打撃寄りの筋肉のように見える。
(あまり詳しい訳ではないので、あくまで漠然としたイメージですが)
ある程度の打撃ダメージに備えて、少ーしだけ体脂肪を残してある感じ。 筋肉自体もまあまあ太くしてあるが、それをさらに絞り込んではいなさそうなので、それほどスピードを重視して作った(鍛えた)身体ではなさそう。
その「半端に太めの筋肉」を見ると、剣技の方も極めているという訳ではなく、「一通り程度は使えます」なレベルの雰囲気。
(太くしすぎると動きが遅くなるとかで、剣技や速度が必要な闘技の場合、筋肉は一旦つけたのを絞り込まないと駄目らしい)
一方シバの場合。
ソードと同じ暗黒魔闘術の使い手(しかも師匠)とは言っても、身体の作り方の方向性は結構異なっている。
6巻の、ソードに鎧を割られて上半身裸になるシーン等を見ると、どうもシバの体型はボクサー系を思わせる。
肩幅やその周辺の筋肉はあるが、肋骨から下の胴回りは、肉も脂肪も極限まで削ぎ落とすところや、腕や肩廻りも、速度重視のため、 つけた筋肉を極力太くしないところがそれっぽい。
あと、ボクサーは構えがやや前傾姿勢で、身体の内側に拳を作って構える。すると、胸筋は丸々と盛り上がらないでやや平たくつく。 そのため平常時の立ち姿も、バンッと胸を張って突き出す感じにはならない。猫背ではないのに印象として前屈みっぽく、肩が胸を囲む感じというか。 シバの胸板は、正にその体型に見える。
しかもシバの場合、体脂肪の削り具合をソードと比べると、さらに速度重視で絞り込んだ感じで、 打たれた場合のダメージ軽減を全く考えてない身体になっている。 実際、作中での戦い方はほぼ一撃必殺で、長期戦で殴り合っていたのはソード相手の時だけだった。
(しかもその時は神無戦・双魔戦を経て三戦目、死の刻印も発動していてかなりダメージを受けた後なので、
やはり本来の戦闘スタイルではないと思われる)
体型だけでなく、シバとソードは戦闘スタイルも、魔闘術の同門でありながらかなり違っている。
シバはあまりフットワークを駆使しないし、予備動作もほぼ無い。最初から間合いを詰めて至近距離で打ち込む。 突っ込んでくるタイプの相手なら、弾き返すか、受け手に崩しを入れてカウンターを当てる。
ソードは間合いを計ることなく、相手の立ち位置に突っ込んでいく。予備動作を隠す様子がない上に大ぶりなので、 シバ戦の場合当てても毎度カウンターを食らっている。
(魔闘術が通じないという点では同じだが、ソドム相手には力負けしていて、シバには格闘センスで負けているように見える)
悪魔ソードがシバに暗黒魔闘術を習うことになったエピソードは、どう見ても「知り合ってすぐ」ではなさそうだ。 ということは、ソードの戦闘スタイル・体型は、魔闘術の習得以前に既に出来上がっていたということになる。 そしてあまりのスタイルの違いからして、シバがソードの古い癖を直そうとしたとは思えない。
ということは魔闘術は「圧縮魔力を攻撃力に転化する」ことのみが肝であり、 使う者の種族や武術的要素はまちまちであっても構わない、という代物なのではないか。
要するに「圧縮魔力」を使いこなせさえすれば、それを乗せる体術はボクシングでも空手でも中国拳法でも剣術でもいい。 そう考えると、シバとソードの体術の根幹・体型が全く違ってもおかしくない。恐らくそこは変える必要が無いのだ。
(ソードの無駄だらけ隙だらけの大ぶりな動き/武術的要素が、暗黒魔闘術を極めたらシバっぽい動きになるか?と言ったら、
多分ならない、ということでもある)
しかしソードが人間界に来て、全く未分化の双魔ボディを一から鍛え上げた時には、比較的シバに近い、速度重視の体型になっている。 これは双魔の体系的要因というより、元の悪魔ボディとは設計思想自体が変わっているからではないだろうか。
ブルース・リーは元々、詠春拳をメインにいくつかの中国拳法を修めていて、それからシークンドーという格闘技を作り上げた訳だが、 これがまた、受け身をあんまり想定しない流派らしい。
打撃を重くするとか、身軽に素早く動けるよう身体を鍛えるとかは当然としても、決まった型というのが特にない。相手の動きを察知して、 打たれる前に攻撃する。長期戦になって消耗しないように、目指すのは秒殺。
実際、以前ジークンドーの動画を見たら、マジでパンチの動きが見えなかった。 その早さは、十分早いと思っていたボクシングどころではなかった(‥‥と書くと、今更ながら大変シバっぽい)。
魔界時代のソードがある程度の打たれ強さを意識していたにしても、双魔の身体でそれを再現するのは困難である。 そもそも魔族が相手の場合、人間の身体では大した耐久性は期待出来ない。ゆえにクッション用のパンプアップは諦めて、速度重視の身体を目指した結果があの体型、というのはありそうだと思うのだ。
ただしソードは剣も使うので、下半身との連動性のためには、シバほどは胴回りを削ぎ落としきれない+前面の胸筋も厚くなる。 それに加えて、遠い間合いから相手に飛びかかるヒット&アウェイのためには、やはり体操選手的な胴回りの筋肉が必要になってくる。あの身長差にしてシバと変わらぬ胴回りなのは、シバの方が削りすぎ/その筋肉を必要としていないから、なのだろう。
(何だかソードの体型を検証するというより、シバの不自然な細さを立証する話になってしまった)
(二次創作的には、そうした鍛え方・戦闘スタイルの違いという理由の他に、 魔族は種族毎に骨格や内臓が違う=シバは人間型とは臓器の構成が違っている、というマイ設定をこじつけています)
(二次創作的には、そうした鍛え方・戦闘スタイルの違いという理由の他に、 魔族は種族毎に骨格や内臓が違う=シバは人間型とは臓器の構成が違っている、というマイ設定をこじつけています)
余談だが、身体を使ってる主体が双魔の時は、ソードの時より明らかに筋肉を減らして描かれている。 それがソードと入れ替わると、突然筋肉が湧いて出るという(笑)
勿論これは、単にキャラの描き分けの都合上のデフォルメだとは思う。
が、それで済ましては面白くないのでこじつけてみると。
魔界での対シバ戦の際、前述のようにソードが表出すると突然明らかに筋肉が増えると同時に、口元でビキッと牙が伸びるという描写がある。 その後には、ソードの魔力が全開すると、その具現化とおぼしきコウモリ羽が現れ、岩に叩きつけられてダメージを受けると消えてしまう。
ということはソードは、器が借り物の人間体であっても、魔力に対する耐性さえあれば、ある程度はその身体をコントロール出来るということで ―――牙も翼も出せるなら、もしかしたら筋肉も増量出来るのではないかと推測する訳だ。
初期、ソードの戦闘能力に、双魔ボディの性能が追いつかないとか、体力が続かないというエピソードがいくつかあった。 それは双魔のポテンシャルが低すぎるというのと同時に、ソードの出力する魔力に人間の身体が耐えられないから、というのも理由のひとつだった。
それが悪魔の卵を入手後、魔力から双魔ボディを守ることが出来るようになったので、魔力を使っての戦闘が可能になった、と作中では説明されていた。
とはいえ、魔力耐性がついたといっても、一緒に双魔ボディの戦闘能力が上がった訳ではなかったはず。 鍛えるにしても限界があるし、そもそも双魔は悪魔の塔では修行途中でへたばっていて、リルルに呆れられていた。 戦闘力自体が鍛えられたかどうかは疑わしい。
では力以外に上がった双魔の能力は何かというと、裏暗黒魔闘術だ。 あれは「術」を習い覚えたと言うより、ソードの魂=魔力の扱いを身につけたと言えなくもない。 それは単純な「耐性」よりも上に位置する力だと思う。そしてその相互作用により、 ソードは逆に双魔の身体を魔力でコントロールすることが可能になったのではあるまいか。
そんな訳で、人間ボディソードの体型は、「双魔のなまくらボディを一から鍛え上げた」のと同時に「魔力による補正込み」である可能性もある、 という説を提唱する次第であります。
他方、天使バージョンのイオスについては、原作では鎧姿のみで、素の身体が描かれなかったので、考察する材料がなく‥‥
人間界に来てからの神無ボディも、やっぱり考察材料がないので、元からああいう体型なのか、 イオスが後から鍛えた準天使バージョンなのか判別出来ず。
ただ、神無の身体としてのみ見ると、やっぱり我流で鍛えた感じで、何かのスポーツや格闘技で作り上げた体型ではない感じがする。 そこに来て剣を使うようになったので、その辺りの筋肉が増量中ではある。しかも、まだそれを絞っていくようなレベルではなさそう、という。
そしてソードに比べると動きに無駄が少ないが、それは(人間同士の喧嘩レベルでも)そこそこ達人だから―――と言うよりは、 単に性格的に「チャカチャカ動くの面倒くせえ」という理由のような気がしなくもない。
(2012/05/26)