「ゾウガメハリー物語」後書き
本来「住人紹介」に掲載するはずだった「ゾウガメハリー物語」ですが、
その内容と微妙な長さのために、変則的にこちらへの掲載になりました。
(おかげで後書きも長くなりました。ゴメン。)
そして色々と問題も‥‥何かというと文体なんですが、「紹介」と「物語」は本来、
使う文体が違うんですわ。自分的に。
当初は普通に「紹介」のつもりで書いていたのですが、途中、
「ハリーはガラパゴスでジョージと知り合いだった」という設定が出てきて、
そのエピソードが伸びるわ伸びるわ、カメの人生って長いなあ、みたいなことに。
おかげで文体が「ドキュメント的説明文」と「小説文」が微妙にミックスされた読みづらさになってしまいました。
すみません、もっと修行を重ねます‥‥
で、ここからはモデルにした実話の解説ですが。
「ジョージ」というのは勿論、ガラパゴスのサンタクルズ島にある
「チャールズ・ダーウィン研究所」に保護されている、ピンタ島唯一の生き残りのゾウガメ
「ロンサム・ジョージ」のことです。
彼は「この島のゾウガメは絶滅した」と判断されて60年後の1971年、偶然見つかって保護されました。
そして絶滅を阻止するべく、賞金をかけて同じ種類の他のカメ(特にメス)を世界中探したのですが、
未だに見つかっていない上、一番近い亜種のメスをあてがっても一向に興味を示さず、繁殖にも成功していないとのこと。
ジョージは推定70〜80歳、まだまだカメとしては若い方だそうで、繁殖不可能な歳ではないのだとか。
だから「ジョージは実はゲイなんじゃないか」というのは、実際に研究所で囁かれているジョークだそうです。
あと、「気付いたらゾウガメが島に12匹しかいなかった」というのは、同じくガラパゴスのエスパニョーラ島での話です。
そのうちわけはオス二匹、メス十匹。
幸いここのカメたちは、他にアメリカの動物園にいた同種のオスも一匹見つかって、研究所内で繁殖が成功し、絶滅を免れました。
今では島中に、彼らの子孫のゾウガメがいるそうです。
で、ここまで実話をネタにしておきながら、その辺関連でいっこだけ、フィクションの部分があります。
何かというと、ゾウガメの甲羅の形です。「ゾウガメ」と聞いて普通イメージする半円ドーム状の甲羅というのは、
サンタクルズ島やイザベラ島のゾウガメの特徴です。しかし、今回モデルにした話のエスパニョーラ島のゾウガメは、
「鞍型」と呼ばれる、ちょっとでこぼこ?のある甲羅を持っています。
その元ネタから見れば、ハリーの甲羅は鞍型でないといかんのですが、いかんせん色々と事情がありまして、
ハリーの甲羅はドーム型ということになっております。
別に作中では描写していないので、どうでもいいと言えばいいんですが、今後のネタにもちょい絡んでくる話だし、
何より小心者なので、突っ込まれる前に一応説明しておこうと。
ともあれ、ガラパゴスの話は色々と面白いので、どこかで機会があったらお読みになることをお勧めいたします。
(05.02.26up)