01:07AM/05


何度も啄むような触れるだけのキスをして、手のひらで優しく皮膚を撫でていく。
そうして丁寧に全身に触れていくと、イギリスは抵抗することもなくすっかりフランス自身を受け入れて、無意識に固くなっていた身体も徐々に弛緩していった。
しかし背に回した腕は余計にきつく巻き付いてきたので、ようやくほんの少しだけ腰を引いて動かすと、その僅かな刺激にさえイギリスは喉を反らせて甘い吐息のような喘ぎを漏らした。
それがあまりにも可愛くて、フランスはこれ以上蓄積した身体の熱を制御出来ず、イギリスを貫いている自らの熱が勢いを増すのを感じて、緩く中を突き上げ始める。
するとすぐに強請るように腰が揺れ、フランスのものを咥え込んだ後孔がきゅう、と絞られた。
見上げてくる潤んだ瞳は劣情に濡れていて、彼が快感に身も心も溶かしていることは明らかだった。

「…いつもより熱いな、…イギリスのここ、俺と繋がってるのが嬉しいって言ってるみたいに締め付けてるの、わかる?」

「ち、違うっ、これは、…そんなんじゃねえよばかぁ…!」

イギリスの口から出てきたのは否定する言葉だったが、それとは逆に身体は勝手に反応してますますフランス自身を締め上げ、離そうとしない。
この反応を見ると、きっと囁いた科白は図星だったのだろう。
逆上せたように頬を真っ赤にして、瞼を伏せた彼に口付ける。

「んっ…、ぁ、あぅ…っ」

軽く唇を重ね合わせながら深くまで突き入れ、抽挿を繰り返すと身を震わせながら、快感にとろけた甘い色の声を上げた。
一定のリズムを保ってゆっくりと中を開き、熱い肉塊で敏感な内壁の粘膜を擦り上げてやると、イギリスの性感は際限なく昂められていった。
もう後ろからの刺激だけで達してしまうくらい、行為を重ねた彼の身体は快感を拾う術を知っている。
けれどもっと激しく奥まで突いて欲しいのに、そんな浅ましい願望を口に出してねだることは出来ないらしく、代わりに吐息混じりの声で フランス、 と小さく名を呼び身を捩った。
イギリスがこうして無防備なまでに身を委ねるのは自分だけなのだと思うと、フランスの胸も熱くなる。
彼の本心を聞いて、今日からは本当に恋人同士になったのだ。
今まで以上に優しく可愛がって、いつも通りにくだらないことでケンカして、ベッドではたまには意地悪なことをしたりしながら、めいっぱい甘やかしてやりたいと思った。
とりあえずは今イギリスが望むことから叶えてやろうと、腰を支えてより結合を深めるとフランスを受け入れている肉襞がうねり、さらに奥へと誘うようにきつく締め上げてくる。

「イギリス、ちょっとだけ力抜いて、…息吸ってみな、…ほら」

掠れた低い声で耳元の皮膚を擽ると、イギリスは言われるままに大きく息を吸ってゆっくりと吐き出しながら、身体から力を抜いていく。
それによって少しだけ内部の締め付けが弛み、そのタイミングを見逃さなかったフランスは、腰を大きく使い体内の奥深くまで穿ち何度も貫いた。

「ぁっ、ひぁッ、あっ、ぁ、やだ…そこ、…!」

急激に襲った快感の嵐に身体も意識もついていけないのか、ただ切れ切れの喘ぎだけが後から後から零れ落ちる。
イギリスはフランスの背に回した腕に力を込めて、がくがくと全身を揺さぶられる衝撃に耐えていた。
ぬるぬると滑る彼の中は蕩けるように熱くて柔らかいが、フランス自身を包む内壁は痛いくらいに締め付けられ、気を抜いたら意識など簡単に持って行かれそうだった。
イギリスも荒い呼吸を吐いてフランスの胸に顔を埋め、必死でしがみついてくる。
何度抱いても初めてのような反応を返すけれど、小さく膨らんだ乳首を捏ね回しながら後孔を広げ、そこに捻るようにして自身を挿し込み肉壁を擦り上げ、腰を回して奥まで突き入れてやると、震える唇からは感じきった甘い喘ぎを零すのだ。
フランスはイギリスの腰を両手で掴んでしっかり固定させると、さらに勢いをつけて締まる入口を割り開き、咥え込ませた自らの熱でぐずぐずに蕩けた肉壁を掻き回す。
繋がったところが熔けるように熱い。
もう意識を飛ばしかけているイギリスの表情に煽られ、飲み込めなかった唾液で濡れた唇に掠めるようなキスをして、お互いを絶頂に導くべく抽送を繰り返す。

「っ、ん、ァあっ、…ふらんす、…っ!」

身体の中の一番深いところにフランスのものが当たった瞬間、イギリスの全身がぶるぶると痙攣するように震えて、最奥から迫り上がる快感に堪えきれずあっけなく果てた。
その直後、フランスも息を詰めてイギリスの中に熱い白濁を放つと、どろどろになった内部が残った精まで搾り取るように蠢く。
あまり刺激されるとそこはまた反応してしまいそうで、フランスは達した後の余韻を楽しむ間もなく、彼の体内を満たしていた熱を引き抜いた。

「ふぁ…、あ…、ぅ…なんで、…」

フランスのものが抜き取られるのを惜しむような、まだ足りないとでも言いたげな声が漏れたことに驚いて、思わず動きを止めてイギリスを見下ろす。
無意識に出てしまったものだったのか、上気した頬は余計に朱を帯び、彼は慌てて目線を逸らした。
そういえばさっき 「たまには俺だってお前とそーいうことしたいって思うときもあるんだよ」、 とかなんとか言っていたような気がする。
イギリスが寝惚けたふりをしてフランスの布団に潜り込んでくるくらいだ、よほどしたかったのだろうし、それなら一度で足りないのも当たり前かもしれない。
きっとそんなことは恥ずかしくて言えないに違いないので、こちらから言ってやった。

「なぁ、今日は俺のしたいようにしていいんだろ? お兄さんまだ足りないなぁ……もう一回…いい?」

そう言って抱き締めてキスをすると、汗と涙でべたべたになったイギリスの表情には満足そうな笑みが浮かび、 「お前がしたいなら、仕方ないから付き合ってやるっ」、 とかわいいことを言って未だ熱の引かない身体を擦り寄せてくる。
中に吐き出されたばかりの精液を零す後孔に再びフランス自身の先端を擦り付けると、彼の望むままに二度目のセックスになだれ込んだのだった。

……そのあとはもう歯止めがきかず、終わったときには寝返りを打つことすら億劫になっていた。
初めて言葉にして互いの気持ちを伝え合ったせいか、なんだかえらく盛り上がってしまった気がする。
暖房にしていたエアコンの設定を少しの間冷房に切り替え、二人は狭いベッドでぴったりとくっついて横になっていた。

「ところでさー、エアコン壊れたって言ってたけど、直るまでしばらく使えないんじゃないの? もしかしてその間ずっと俺の部屋で寝るつもりか?」

「そうだけど、…なんか文句あんのかよ」

「まさか。いっそのことこのままルームメイトになる?」

「ふざけんなバカ、誰がお前なんかと!! …俺明日からは床で寝るからな」

半分くらいは本気だったが、案の定イギリスには即却下されてしまった。

「えーなんで? ベッドで一緒に寝よーよ、何もしないから」

「暑苦しいこと言ってんじゃねーよ、それにお前の何もしないはあてにならねえ」

「信用ねえなぁ…。確かにこうやってくっついてたら、何もしないって言い切れる自信ないけどさ」

「お前…五秒で言うこと変えんなよ。だから信用ないんだバカめ」

イギリスの言葉は相変わらずかわいげがないものばかりだったが、自分に対する彼の恋情は確かなものだと知った今は、そんな素っ気ない言葉もただの照れ隠しなのだと理解している。
一見冷たく思える科白にも、もう寂しさや虚しさなんか感じなかった。

「この際エアコン直らなくていいのになー」

イギリスの身体を緩く抱き寄せてそう囁くと、彼は眠そうな声で答える。

「…あした、日本に修理……頼む」

「え? なんで日本?」

「そーいうの、得意だって……」

話の途中でイギリスの言葉は寝息に変わった。
身体は疲れきっているだろうし、明け方も近いので無理もない。
それにしてもとっくに彼を手に入れていたのに、今の今まで、それも本人に言われるまで気が付かなかったなんて、この半年の間自分は一体イギリスの何を見てきたのだろう。
腕の中の酷く優しくて温かなぬくもりを感じながら、半年分の埋め合わせをどうしようかと考えているうちに、フランスは幸せな気持ちで眠りについた。


**********


それから四日が経ち、その間イギリスは毎晩深夜にフランスの部屋を訪ねてきた。
床で寝ると言っていたけれど ベッドで一緒に寝よ、 と誘えば最初は必ず拒否するけれど、そこで引かずにもう一度誘えば 「そこまで言うなら仕方ねえな」 としぶしぶ了承するふうを装って、嬉しそうにもぞもぞとベッドに潜り込んでくる。
どうもイギリスは恥ずかしかったり照れたりすると、最初に拒否して 「俺が望んだことじゃないからな!!」 ということを主張しないと気が済まないたちらしい。
でも結局は一緒のベッドに寝て、フランスと抱き合うことも受け入れるのだから、言葉にしないだけでイギリスの本音は態度にすべて表れていて、実にわかりやすかったのだ。
そんな単純で簡単なことにも気が付かなかったのだから、俺もまだまだ青いなぁ、とフランスは苦笑する。

(それにしてももう四日か。修理するのに結構かかってるよなぁ。まぁ日本もマンガのクラブ活動とか新聞作ったりとか、アメリカに絡まれたりとかいろいろ忙しいんだろうけど…)

修理状況の確認も兼ねて、ついでに修理はゆっくりでいいよ、と伝えておこうと思い、フランスは昼休みに日本のいるアジアクラスに出向いた。
日本なら中庭にいるあるよ、と中国に教えられ、言われたとおりに中庭に向かうと、日陰のベンチでやたら大きい重箱の弁当箱をつついている日本の姿を見つけた。
その隣にはアメリカもいる。

「よう二人とも、なんだ一緒に昼飯か?」

アメリカと反対側の日本の隣に腰掛けると、彼はほんの少し引き攣った笑顔で答えた。

「えぇ…、というかアメリカさんが自分のハンバーガーを食べ尽くして、私の弁当を強奪…いえ、つまみ食いしに来てるだけですけど…」

それを見越して多めに作ってきていますけど、と日本はぶつぶつ言っているが、余分に作ってくるところが彼らしい。
そういうことをするからアメリカが調子に乗るのだと思うが、日本といいイギリスといい、なんだかんだでこの年下の青年がかわいいのだろう。
少し生意気でKYで、なんでも自分中心に物事を考える、まだまだ子どもっぽいところが抜けないアメリカだが、どこか憎めないと思うのはフランスも同感だった。

「なんだいフランス、君も俺に弁当くれるのかい?」

「なんでだよ。ていうか人の弁当まで食うなよ、本当に食い意地張ってんなぁ…。そんなだからイギリスにメタボって言われるんだぜ」

「君には言われたくないんだぞ。それに日本の作るご飯はヘルシーだからね! 少しくらい食べ過ぎても平気なんだぞ」

「…いくらヘルシーでも食べ過ぎれば太りますよ」

少し呆れたように日本が突っ込むと、アメリカは拗ねたように頬を膨らませてフランスに顔を向けた。

「ところでフランス、何の用だい?」

「あ、うん。アメリカじゃなく日本にね。イギリスの部屋のエアコンのことなんだけど」

「え? エアコン……ですか?」

「そう、この前あいつに修理頼まれただろ?」

フランスの言葉に、日本は心当たりがないのかしきりに首を傾げている。

「いえ、…そういったお話は伺っていませんが…」

「あれ? 変だなー…」

今度はフランスが首を傾げる番だった。
最初の夜、彼が眠る前に確かに日本に修理を頼むと言っていたのを聞いた。
ひょっとして日本の負担になることを気にして、業者に依頼したのかな、と考えていると、アメリカが横から口を挟む。

「イギリスの部屋、エアコン壊れたのかい? いつから?」

「えっと……四日くらい前からだな」

フランスの答えに、アメリカは大袈裟に肩を竦めて言った。

「そんなはずないよ、昨日イギリスの部屋に行ったけどエアコンついてたぞ」

「私も三日ほど前に忘れ物を届けに伺いましたが、異常はなかったと思います」

「え? あ…、あー…そうなんだ。うーん、なんか俺勘違いしてたみたい。悪いな、今の忘れて。じゃーな」

フランスはベンチから腰を上げ、日本とアメリカに手を振って中庭を後にすると、彼らに聞いた話を頭の中で整理しながら校舎に戻る。
三日前にすでに異常がなかったということは、日本たちの言うとおりきっとイギリスの部屋のエアコンは初めから壊れてなんかいなかったのだろう。
彼がそんな嘘を吐いたのは、フランスと一緒のベッドで眠ることが出来て、そうなったらそのまま抱き合うことになるのは今までの経験でわかっていたから、言い訳としては都合が良かったからだ。
それならそう言えばいいのに、とフランスは思うが、イギリスは昔からそうなのだ。
特に用件などなくても会いに行くフランスと違い、彼はなにかと理由や用件をつけないと会いに来てくれない。
顔を見に来たとか、声を聞きたかったとか、抱き合いたいとか、そんなことをさらっと口に出来る性格でもないのはわかっている。
付き合っているんだと思ってた、と自分でそう言ったくせに、変なところで変な遠慮をする男だ。
なんにせよどうして嘘を吐いたのかなんて、そんな些細なことを問いただすつもりはない。
どうせ理由はわかっているし、余計なことを聞いて嘘がばれたと知ったら、イギリスのことだからもう本当に用件があるときでないと来てくれなくなる。
嘘の口実を作ってまで来てくれていたのに、聞くまでもないことをいちいち聞いて、ただでさえ少ない彼からの訪問頻度を減らす必要もないのだ。
むしろエアコンが直ったと言われたら、今度はフランスがエアコンが壊れたと言って、彼の部屋に押しかけるのもいいかもしれない。
最初は 「てめえを寝かせるスペースはねえ」 とかつれないことを言うのだろうけれど、もう一度お願いすればきっと 「しょうがねえな、トイレでいいなら寝かせてやる」 とかなんとか、可愛くない悪態を吐きながらも、なんだかんだでベッドに入れてくれるに違いない。
そのときはそのままイギリスの部屋に居着いちゃおうかなぁ、などと考えながら、フランスは小さく微笑って彼がいるであろう生徒会室へと足を向けた。





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にいちゃんが好きでしょうがないイギリスに萌える。
ツンツンしながらもそうやって懐いてくるイギリスをかわいがる兄ちゃんにも萌える。