愛・おぼえていますか/06
フランスは腰を動かしてイギリスのいいところを探ると、そこばかりに当たるように突き入れて、集中的に攻め立てた。
イギリスの中は内壁を擦られるたびに激しく収縮して、フランス自身を押し出そうと締め上げるが、閉じる穴をこじ開けるように強く打ち付けられる。
「は…、相変わらずイイ反応…」
吐息混じりに囁く声音は普段よりほんの少しだけトーンが高い。
けれど薄く微笑む表情は子供のものとは思えないほど艶があり、中性的で美しい顔立ちがそんなふうに熱を帯びる様を見ているだけで、イギリスの身体は芯まで蕩けてしまう。
「なんか、いつもよりエロいんだけど、…どうしたの?」
「あッ、…んぁ、そ、んなの、お前だってそうだろっ…!」
背に回した腕に力を込めてぎゅ、としがみつき、より互いの身体が密着すると、奥まで突き挿れられてがくがくと揺さ振られるたび、勃ち上がったイギリスの性器がフランスの腹に当たって擦れる。
彼に与えられる全ての感覚が快感に結び付いて、このままだとあと数回も中を深く抉られたら、すぐにでもいってしまうと思った。
しかしフランスはふいに動きを止め、イギリスの中をいっぱいに埋めていた自分自身をすべて引き抜く。
達する寸前まで追い詰められていた身体は酷く疼いて、彼の熱を受け入れていた箇所は物欲しそうにひくひくと収縮し、熱くてたまらなかった。
散々昂められた身体を突然放り出されて、あと少しだったのに、とイギリスは不安げに瞳を揺らしてフランスを見上げる。
「…、…フラン、ス……?」
「ん……、ちょっと待って」
彼はベッドの端に脱ぎ捨てたジャケットを引き寄せ、ポケットの中を片手でごそごそと探ると、そこから小さな包みを取り出す。
それがゴムだと気付くと、イギリスは思い切り顔を顰めた。
「今さらどーすんだ、それ…」
「使うに決まってんだろ?」
「っ…お前バカだろ? …もう入れてんじゃねーか…」
「入れたけどまだ出してないでしょ」
そんなことを言いながら、フランスは手慣れた動作でそれを自分のものに被せる。
それから汗で額に張りついていたイギリスの前髪を手のひらで掻き上げてやると、そこに軽く唇を押し当てて脱力した身体を抱き上げた。
「イギリス、後ろ向いて」
「やだ、…お前の顔…、見たい」
甘えた口調で言って、とろりと蕩けた瞳を向けると、フランスは困ったように眉根を寄せ、俺はあんまり見られたくないんだけどなぁ、余裕なさすぎて格好悪いもん、とめずらしく照れたように呟く。
俺はその顔が見たいんだよ、と目線を合わせて言ってやると、彼は恥ずかしそうに苦笑いを浮かべ しょうがねえなぁ、 と零してイギリスが望む通りに正面から腰を抱え直し、綻んだ入口に再び尖端を擦り付けられた。
一度フランスの熱を咥え込んだ後孔は、待ち侘びるように口を開いていて、宛われたものを容易に受け入れた。
さっきとは反対にやけに時間をかけて入ってくるのがもどかしく、早く奥まで来て欲しくてイギリスが自ら腰を上げると、それに応えるように間を置かずに根元まで沈められ緩やかな抽送が始まる。
ずっと触れられていなかった乳首も硬く尖って、指先で押し潰すように転がされるとそこから直に伝わる快感に、フランスのものに絡みついている肉襞がきゅうっと締まった。
「ふぁっ、ァッ、あぅ…!」
ゴムについていたジェルでさらに滑りが良くなって、体内を蹂躙する肉塊の動きは勢いを増した。
明るい室内には激しく揺すられ肉壁を擦る湿った音と、互いの乱れた呼吸音だけが響いている。
先端の張った部分で引っ掻くように擦られ、身体が細かく跳ねて反応し少しも速度を落とさない律動に、ベッドのスプリングが悲鳴を上げるように軋む音が聞こえた。
イギリスはフランスの肩口に顔を埋めて縋り付き、与えられる快感を余さず受け止めながら、彼の耳元でずっと心の内に秘めていた気持ちを打ち明けた。
「あ、ぁっ、ん…フランス、…好きだ、…すき…」
「…、…うん、…知ってる」
イギリスの科白にフランスは嬉しそうに柔らかく微笑んで、唇を触れ合わせて深く重ねると何度もキスをした。
そして後孔から抜けそうになるほど腰を引いて、勢いをつけて最奥まで突き入れられる。
その瞬間頭から爪先まで電気が走ったように甘い痺れが駆け巡り、直後に限界まで張り詰めていたイギリス自身の尖端から大量の精液が噴き出して、腹の上に飛び散らせた。
同時にイギリスの中が忙しなく収縮を繰り返し、波打つようにきつく締め上げる。
それを受けてフランスも堪えきれずにイギリスの中で達し、ゴム越しでも熱い精が思い切り吐き出されたのがわかった。
フランスが自分の中でいくと、いつも言葉では言い表せない温かな安堵感のようなもので心が満たされる。
それは彼のことを好きだからなのだと、今は素直に認めることが出来た。
「ふ……、はっ…、はぁ…」
イギリスは満足げな甘い吐息を吐いて、ベッドマットに身を沈ませるとフランスに背を向けるようにして寝転がる。
腹に散らした自分の白濁がシーツについて少し気持ち悪かったが、身体をずらそうにも思うように動けない。
動けないのはいったばかりで身体が怠いせいもあるが、一番の原因はフランスが背中にずっしりと乗っかっているからだ。
彼はイギリスの背にのし掛かったまま、髪の毛を撫でて耳元に唇を寄せ耳朶を舐め上げる。
耳をぱくりと口に含まれて優しく噛み付かれると、背筋にぞくっとした震えが走って身を捩った。
「やめろっ……、くすぐってえ」
肘を後ろに突き出してフランスを押しのけようとするが、やめるどころか耳の裏に口付け、痕が付くんじゃないかと思うほど強く吸い付かれて、ひくり、と背が反った。
「っ、早くどけ、重いんだよ!」
フランスの身体の下で藻掻くと意外にも彼はすぐに身を起こしたが、フランス自身はまだイギリスの体内に収まったままだ。
その感覚に違和感を感じて身動ぐと、自分の意志とは関係なく後孔が収縮する。
そのせいなのか知らないが、次第に中のフランスの熱が勢いを取り戻していくのを感じて、イギリスは慌てて後ろに振り返った。
「おいっ…、何でまた勃ってんだよ、てめえは! さっさと抜、け…?!」
首を捩って背後のフランスを睨み付けると、彼は相変わらずの意地悪そうな笑みを浮かべている。
しかしその表情はついさっきまでの幼く可愛らしい美少年のものではなく、イギリスがよく知る大人の男の顔だった。
つるつるだった顎には髭も生えている。
わけがわからず咄嗟にフランスの頬を両手で挟んで、何故か元に戻っている彼の顔をまじまじと見つめた。
「ええぇえぇ……ちょ、おま…! なん、なんで、…?!」
「だってイギリスがかわいいから。お前だって足りないでしょ?」
焦った様子のイギリスの反応を、フランスは違う方に勘違いしたらしい。
自分が元の姿に戻ったことに気が付いていないのか、彼は少し腰を引いて中に収めたものが抜けないように気を付けながら、イギリスの身体を仰向けにさせる。
そうじゃねえだろこのばかぁぁぁ!!! と叫ぼうとした途端、唇を塞がれて発するはずの言葉は声になる前に消えた。
両足を持ち上げられ、膝がシーツにつくくらい上から押さえ付けられると、自然とイギリスの背中が丸まって腰が浮いてしまい、フランスの眼前に繋がったままの箇所を晒す格好になった。
彼の熱を咥え込んで小さく蠢くそこを見て、 やらしい格好、 とニヤリと笑ったフランスは太腿の裏を手のひらで押さえ、体重を掛けて上から突き入れる。
「ッ、…はっ…、ぁっ、フランス、や…!」
ぐずぐずに蕩けた柔肉を一気に奥まで貫かれて、その衝撃に悲鳴に似た喘ぎを漏らした。
休む間もなくフランス自身が体内で律動を始めると、イギリスの性器がまたもぴくんと反応を示し僅かに芯が通る。
そんな些細な反応も見逃さず、フランスはそれを根元からぎゅっと握ると、少しばかり乱暴とも思える手つきで扱き始めた。
フランスの手の中で包まれるように擦られて、あっけなく勃ち上がったそこはみるみるうちに硬く育っていく。
身体を折り曲げられて苦しい上に、この体勢だとフランス自身が自分の中に出入りするのが全部見えてしまう。
さっきも見えてはいたが、今度のは結合部まで丸見えだ。
あまりに恥ずかしい体勢にイギリスは身を起こそうとしたが、上から両足を押さえつけられていて上手く身動きが取れない。
その間も思う様中を掻き回され、肉襞を抉られる感覚はどうしようもなく気持ち良くて、口から出てくるのは拒絶の言葉ではなく、甘ったるい響きの喘ぎばかりだった。
フランスはその声すら楽しみ、自分自身の形に合わせるように蠢動する内部を貫き腰を打ち付けると、肌がぶつかるたびに尻の肉が震えて反り返っているイギリス自身もふるりと揺れた。
肉壁をめちゃくちゃに擦られて、過敏になっていた身体中の神経が限界を訴える。
深くまで捻り込むように突き入れられ、フランスの熱が前立腺を掠めて刺激されると皮膚の表面がざわざわと粟立ち、押し寄せる大きな快感に耐えようとシーツを握り締めた。
彼自身を咥え込んだ後孔は激しい抽送を受けて、最奥へと浸蝕していく肉塊を緩急をつけてきつく締め付ける。
「ひ、ァあ、だめ、…そこ、きもち、いい…っ」
「ここ、いい? 俺もすごく、いいよ…。ね…、もう一回好きって言って?」
「あ…、っん、…言う、か、ばかぁっ!」
イギリスの蕩けきった肉襞は、フランス自身に吸い付くように絡みついて離そうとしない。
しかも今しがた達した後も抜かずに二度目の行為に傾れ込んだせいで、汗と一度出した精液でゴムの中がぬるぬると滑り、律動を繰り返すたびに少しずつ捲れて外れていた。
構わずにその状態で抽挿を繰り返すとイギリスの中が激しく収縮し、捲れたゴムはフランスの性器の先端に引っ掛かっている程度になっている。
そのまま奥深くまで自身を沈めながら、とろとろと蜜を溢れさせていたイギリス自身の尖端の溝をなぞるように爪で軽く引っ掻いた。
「フランス、っ…、ぁう、ん、…あぁッ!」
奥まで突き入れられたその瞬間、身体を大きく震わせてイギリスが達すると、腰を高く上げていたため放った白濁が胸の辺りまで飛び散る。
すぐあとで小さく息を詰めたフランスが中で弾けたのを感じて、イギリスは濡れた睫毛を静かに伏せると、快感の余韻に震える吐息を漏らした。
お互い達した後も繋がったまま、しばらく荒い呼吸を吐いていたが、次第に熱が引いていくとイギリスは不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、自分の上に乗っているフランスの胸を押す。
「いつまで入れてんだっ、もう抜け、痛えんだよ! つーか、なんでお前元に戻ってんだ?!」
「え?」
両手を見て、それから顎の辺りに手を当てているフランスに、 先に抜け、 とイギリスが力の入らない足で蹴りを入れると、ようやく体内から彼のものが引き抜かれた。
……そのとき。
「あ」
フランスの声に反応したイギリスが少しだけ上半身を起こすと、抜くのと同時に外れかかっていたゴムが完全に取れてしまう様が視界に入る。
イギリスの中に外れたゴムだけが残って、何とも言えない情けなさに頬が熱くなった。
「お前がちゃんと替えないから…!」
「そんな怖い顔すんなよ、取れば済むことだろー?」
言うなり、フランスはイギリスの体内に残っていたゴムを摘んで引きずり出した。
「…ん、…」
「ははっ、…いっぱい出たな」
白濁の溜まった袋を引き抜き、それを見せつけるように目の前にぶら下げる。
いつもなら自慢(らしい)の顔に数発は拳をめり込ませるところだが、短時間で三度もいかされた身体は酷く怠くてまともに動いてくれない。
それをわかっているからなのか、フランスはイギリスが不快そうに歪めた顔をじっくり堪能してから、ゴムの口を結んで屑かごに放り投げ、不可解そうに言った。
「それにしてもなんで呪い解けたのかな。なんか準備とかいるんじゃなかったの?」
「…知らねーよ…、俺だってこんなの想定外だ…」
とはいえこの流れなら、なんらかの性行為が呪いを解く鍵だったのだろうと察しはつく。
こんな恥ずかしいことを妖精に聞かなくて済んで良かった、とそのことには心底ほっとして、安心したら急に瞼が重くなった。
まぁ元に戻れたしもうどうでもいいか、とのんきに言った彼の声を背で聞いて、イギリスはうとうとと微睡み、そのまま眠りについた。
**********
あの変態野郎あとで絶対殺す。
イギリスはベッドの中で鈍痛を訴える腰をさすりながら、朝食の用意をしているであろうフランスに心の中で恨み言を吐いた。
あのあと目が覚めてから、 もう一回だけしていい? とねだられ、まぁ一回だけなら、と了承したが、当然一回で済むわけもなく、終わった頃にはベッドから起き上がれなくなっていた。
とりあえず呪いが解けたのは良かったが、見た目の幼いフランスに身体中をまさぐられ、いつもと同じように全身を蕩かされて気持ちいいことをされるのは、何とも奇妙な感じだった。
その異常な状況に酷く興奮してしまったのも事実で、昨夜のことを思い出すと顔が熱くて仕方がない。
けれどあの時代のフランスにはどうあっても好きだという気持ちすら伝えることも、肌を重ねることも出来なかったし、それが今になって叶ってしまったものだから、ずっと言いたくても言えなかった言葉も自然と口から零れていた。
無意識でも本音が出てしまったことを思い出すと恥ずかしくなり、イギリスはベッドの上で膝を抱えて小さくなる。
ここにフランスがいなくて良かった、と思ったのもつかの間、ノックもなしにいきなり扉が開いて、出来たばかりの朝食を乗せたトレイを手に、フランスが部屋に入ってきた。
「お、やっと起きたか。ちょうど朝飯出来たぜ」
トレイをベッドサイドのテーブルに置き、フランスはベッドの端に腰掛ける。
「先着替えたら?」
昨夜あのまま寝てしまったので、毛布の下は裸だった。
どうせこの後風呂に入るのだし、着替えは後にして先に朝食を摂ることにした。
シャツだけ羽織ろうとベッドの下に落ちていた服を拾い上げると、フランスがぽつりと問う。
「なぁ、一つ聞いていい?」
「……なんだよ」
「なんであんな呪いかけたんだよ。自分でやっといてなんかお前様子が変だったし。ってか、何がしたかったんだよ」
「…うるせえよ…あれは失敗したんだ」
「えっ失敗だったのかよ! もー勘弁してくれよお前…」
呪い自体は成功したのだけれど、それによって生じた影響は想定外もいいところで、あれは紛れもなく失敗だ。
昔のフランスの姿にまさかあんなに心を乱されるとは思いもしなかった。
あげく散々恥ずかしい言動をしてしまって、改めてフランスを好きなのだと思い知り、いろいろな意味で自分自身になんだか軽く絶望してしまった。
「ていうか…、イギリスに好きだって言われたの初めてなんだけど、そんなに昔のお兄さんが良かったの?」
「そっ、そうじゃねえよ! 昔は、そーいう……好きとか嫌いとか言ってる場合でもなかったし」
「いや言ってたよね、ガキの頃から嫌いって死ぬほど聞いたんですけど!」
「…それは、………本当のことなんか言えるかよ……ばか」
「…………。あー……そっか。そうだよな」
そんな昔から好きだったのだと言ったも同然だが、今さら隠しても仕方がない。
きっとフランスにはすっかりばれているのに違いないのだ。
「今度はお前が小さくなれば? 俺も若い頃のお前にいろいろ出来なかったのは心残りなんだよな。あ、でも全然変わんないか、お前は。今も昔もちんちくりんだもんな」
「殺すぞこの変態が!!!」
また何か呪いをかけてやろうかと思ったけれど、今回のように逆効果になっては困るのでやめておく。
今回のことも失敗だと思うけれど、昔から抱え続けた想いを伝えられたような気がして、心の隅に引っかかっていたものが取れた気がする。
それ自体は悪いものではなかったので結果としては害ばかりではなかったと思うし、絶対に手に入らないと思っていたあの頃のフランスと抱き合うことが出来たのも単純に嬉しかった。
もしイギリスが昔の姿になったら、フランスも自分と同じように少しは動揺したり、いつもと違う顔を見せてくれるのだろうか。
そんな新たな一面が見られるのなら、自分が小さくなって試してみてもいいかもしれないな、とイギリスは密かに笑って彼が用意してくれた朝食のトレイを手に取った。
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