2011/07/14/05
昨夜は長生きをしているといいこともあるもんだ、としみじみ実感した夜だった。
まさかイギリスがあんな、……それこそ日本のとこで読んだ同人誌みたいなことをしてくれるなんて、さすがに俺も想像もしてなかったな。
嬉しくてつい調子に乗って、昨日はお兄さん頑張りすぎちゃったよ!
まぁおかげで身体がだるくてベッドから起き上がれない、ってイギリスが言うから、出来上がった朝食を寝室まで運んで食べさせてやった。
初めは子ども扱いすんなとかなんとか言って恥ずかしがってたけど、よほど身体が辛かったのか結局しぶしぶ口を開けて俺の手からパンを囓っている。
いつもより時間をかけて食事が済むと、イギリスは俺をじっとりした目つきで睨み付けてきた。
「……この変態野郎……昨日はむちゃくちゃしやがって……。あとで覚えてろよっ!」
「ごめんなー、だってお前があんまりかわいいからさ、我慢できなかったんだもん」
「もん、じゃねえ、このっ、ばか!」
イギリスは声を荒げて拳を振り上げたが、腰に響いたのかすぐにへなへなとベッドに身を沈めた。
大人しく寝てればいいのに、相変わらず血の気が多いんだから。
俺はベッドの端に腰掛けてイギリスのぼさぼさの髪を優しく撫でながら声をかける。
「……なぁ、なんで今年はプレゼントくれたの? いつも俺の誕生日なんてスルーしてたのにさ」
「それは……お前が来いって言ったからだろ。いくら俺だってなぁ、……付き合ってる奴の誕生日になにも用意しないで行くほど気が利かないわけじゃねえぞ」
「えー、じゃ俺が呼ばなきゃやっぱり今年も来なかったってこと? 仕事があるならしょうがないけどさ、会えないならメールくれるだけでも嬉しいのに」
これは俺の本心だ。
できれば会えたら嬉しいけど、スルーされるよりはメールだけでももらえるならその方がずっといい。
メールさえ送るのが手間だなんて言われたら…………ちょっと泣いちゃうかも。
隣に座っているイギリスの横顔を見つめて答えを待っていると、奴は小さく溜息を吐いてらしくなく弱々しい口調で言った。
「そうはいくかよ。俺は、……もらってばっかりだ。こういうときくらい返したいけど、お前が喜ぶプレゼントなんて思いつかねえし……」
イギリスの言葉を聞いて、俺は長年の疑問がようやく晴れた気がした。
今までこいつが俺の誕生日をスルーしてる理由がはっきりとわからなくて寂しいと思ったこともあったけど、今イギリスが口にしたことがその答えなんだろう。
別に恋人だからってプレゼントをやりとりしなきゃいけないなんて決まりはないし、気にしなくていいのに……まぁ、そうは言ってもこいつが気にしないでいられるような性分じゃないこともよく知ってる。
……うーん、でもだからって頑なにスルーし続けなくてもいいのになぁ。
プレゼントを用意しないことより無視の方が酷いような気がするんだけど、その辺のイギリスの感覚はほんと昔からよくわかんないよ。
ともかくつまんないこと気にしなくていいんだって、ちゃんと伝えてやらないといけない。
「なんだ、そんなことで毎年悩んでたのかよ? プレゼントなんて別に期待してねーよ。そんなのより、時間が空いてるなら昨日みたいに会いに来て欲しいな。それだけで本当に満足なんだよ、俺は」
言いながら前髪を掻き分けて額にキスをしてやると、イギリスは顔を赤くして頭まですっぽりと毛布の中に隠れてしまった。
子ども扱いするな、とか言うわりに子どもっぽい態度をする奴だ、と笑みが零れるのを抑えきれずに、俺は毛布の上からイギリスの頭の辺りを撫でる。
「おーい、聞いてんの? 忙しくて会いに来れないなら、電話でもメールでも一言くれるだけでいいんだぜ?」
「……………………………………かっ、考えておく」
長い沈黙の末、やっと返った言葉は相変わらず素直じゃない返事だったけど、今はそれでもいい。
「もー、素直じゃねーなぁ。そういうとこが好きなんだけど」
俺がそう言って笑うと、イギリスはますます恥ずかしがって毛布の塊になった。
それにしてもイギリスがあんなプレゼントを自分で考えつくとは思えないし、どう考えても日本あたりの入れ知恵だよなぁ。
あまりイギリスに妙なことを教えないでやって欲しいと思うけど、おかげでいい思いをさせてもらったしあとで日本にはお礼の品でも送っとこう。
幸せな誕生日を過ごせたことに頬をゆるめ、俺も毛布の中にもぐり込んでイギリスの隣に横たわった。
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ベタすぎてすいません