Bunny's Cafe(p-type)/05


フランシスはもう片方の手のひらで頬を撫で、顎に指を添えて持ち上げられ彼の方に向けられた。
こちらを見つめる青い瞳は波打つ海面みたいにとろりと潤んでいて、アーサーは見入ったように目を逸らせない。

「……キス、したい。いい?」

そんなふうに聞かれたときにはもう触れ合う寸前まで互いの唇が近づいて、彼の吐息で皮膚をくすぐられるのを感じる。
したいと言われても、アーサーはキスをするのなんて初めてだ。
いやではないけれど、どうすればいいのだろう。
口は閉じていればいいのか開いていた方がいいのか、勝手が何もわからない。
とりあえずぎゅっと固く目を瞑ると、フランシスは抵抗がないことを了承の意と取ったのか、すぐに柔らかくて温かな感触が唇に触れた。
そのまま深く唇を塞がれて、やんわりと吸い上げられる感覚にぞくりと身体の芯が震える。
何度も食むようについばまれ、初めてのキスに呼吸するタイミングが上手く掴めない。

「……ん、っふぁ…ぁっ」

飲み込めなかった唾液がとろりと零れて、カウンターテーブルに滴る。
苦しげな声を漏らすと彼はアーサーが息継ぎができないことに気が付いたのか、呼吸する間を与えながら唇を擦り合わせ、開いた口内にぬるりと舌が差し込まれた。
フランシスの舌があちこち舐め回し、奥で縮こまっていたアーサーのそれを絡め取る。
口腔の粘膜をくすぐられることがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。
頭の中がぼんやりしてきて全身から力が抜けていき、それを見計らったかのように彼の手がアーサーの下肢に伸ばされて、エプロンの上からゆるく性器を包むように撫でられますます身体は熱を帯びる。
フランシスの指や手のひら、唇が触れたところが発熱したように熱い。
唇を解放されて息つく間もなくゆっくりと手のひら全体を使って揉んで擦られると、快感の芽を引きずり出されるかのように、そこはあっけなく硬く張り詰めていってしまう。
自分以外の手でそんなところを触られたのは初めてで、触れているのがフランシスだと思うとどうしようもなく興奮してしまって、もう我慢できなかった。

「あっ、ぁ、ふ、フランシス…」

「うん、……すごくかわいいよ、アーサー。……ここ、自分でしてないの?」

あまりに簡単に反応してしまったからか、彼は少し遠慮がちに問う。
ほんの二、三日前にも自慰はしたし、別に溜まっているわけでもないのにこんなふうに感じてしまうのは、フランシスが触っているからだ。
密着した彼の髪や肌から香る甘い匂いと睦言に、頭の芯が痺れたようにとろけてしまう。

「ばかっ、お前が触ってるからだろっ…」

上擦った声でそれだけ言うと、耳元で色っぽく呼吸を乱して小さく笑う気配がした。
そして「もっといいことしてやるよ」と囁く声が聞こえた直後、勃ち上がりかけていたアーサーの性器がエプロン越しにぎゅっと握られて、そのままきつく擦り上げ始めた。

「あ! んっ、……あ、ぁっ」

「俺に触られるの、きもちいい?」

「ん、…うん、……」

布越しのもどかしい刺激でも、アーサーのものはすっかり硬く張り詰めてエプロンを押し上げ、次々に溢れてくる先走りでその厚い布地を濡らしてしまっている。
エプロンが汚れてしまう、と思ったけれど、尻に当たっているフランシスの熱もさっきより硬くなっていて、お互いこんな状態では今さら引けない。
けれどもこのあとどうすればいいのか、こういう行為に経験も免疫もないアーサーにはよくわからなかった。
女の子じゃあるまいし、ただフランシスにされるまま任せておくのはちょっと格好悪い気がして、俺も触った方がいいのかな、とドキドキしながら彼に振り返ると、キスをねだったと思われたのか再び唇を塞がれた。
舌と舌を擦り合わせ、どちらのものともつかない甘ったるい呼気が漏れる。
下肢に触れているフランシスの手指の動きは酷く優しくて、もどかしい快感にアーサーの理性は完全に溶けて消えた。
ちゅ、と軽く音を立てて唇を吸い上げられたあと、フランシスは身を起こす。
彼が離れてしまったことで唇が物足りなさを訴えているのか、もっとキスをして欲しくて仕方がないと言わんばかりに疼いていた。
上体を起こしたフランシスはエプロンの上から握った性器をますます強く扱いて、先端の辺りを指の腹で擦り付ける。
そうして刺激されるとまた先走りの蜜が溢れてしまうのが自分でもわかって、恥ずかしかった。

「アーサーのここ、ぬるぬるだな。エプロンも濡れてる。……こんなふうに感じてくれて嬉しいよ」

熱のこもった嬉しそうな声音で言いながらアーサーのエプロンをまくり上げ、フランシスに突き出すような格好になっていた尻が剥き出しにされる。
そこに彼の視線を感じて、身体の熱は上がるばかりだ。

「わ、……み、見るなよ!」

見られていることに羞恥心が一気に膨れ上がり、アーサーは慌ててめくられたエプロンを引っ張って元に戻そうとするが、フランシスの手で止められてしまう。
もうすっかり硬く張り詰めた性器は解放を求めてぴくぴくと震えていて、羞恥心よりも早く触って欲しいという欲望の方が勝った。
それに彼に好きと言われたことも、こんなふうに求められることも嬉しい。
我慢できずにねだるように腰を揺らすと、フランシスは両手でアーサーの尻肉を掴み、感触を確かめるように揉みしだく。
強弱を付けてむにゅむにゅと揉まれて柔らかな尻肉は彼の指の形に合わせて歪み、指で割れ目を左右に広げられて奥まった後孔が晒された。
ひんやりした外気が触れたことで、少し理性の戻ったアーサーの羞恥心がまた大きく膨らんだ。

「あっ、な、なにしてんだよっ、ばかっ!」

「……ここを触られるのは……初めて、だよな?」

自分でも見たことのない場所を開かれ、答えるまでもないことを訊かれて恥ずかしくて死にそうだった。
そんなところを誰かに見られたのも触られたのも初めてに決まっている。
それなのに指先でゆっくりとそこをなぞられ、敏感な皮膚を擦られるのは変な感じがした。
恥ずかしいけれどフランシスになら見られても触られてもいいという気持ちもあって、どうしたいのか自分でもよくわからない。
フランシスは手で広げたアーサーの尻の割れ目に屹立した自らの性器を挟むようにあてがい、そのままゆるやかに腰を動かし始めると、めくり上げたエプロンに付いていたふわふわのうさぎの丸いしっぽも律動に合わせて揺れた。
彼の熱塊が浅い割れ目にぐいぐいと押し付けられて、フランシスのものが自分の中に入ってくるんじゃないかと、胸が期待しているかのように震える。
初めてなのにこんなところでいれられてしまったらどうしよう、と彼の熱を感じながらアーサーが湿った吐息を漏らすと、フランシスも荒い呼吸を吐きながら掠れた声音で耳に口付けながら呟いた。

「…ほんとはアーサーにいれたいんだけど、……それはお前が俺と付き合ってくれるまで待つことにするよ」

「え、…」

それだけ言ってフランシスはアーサーの尻に硬い熱を擦り付けながら、空いた手で太ももを撫で上げながら前に回す。
エプロンを全部めくり上げられたせいで露出し、腹につきそうなほど反り返った性器を今度は直に握られて、先端を潤ませていた蜜を全体に塗りつけるようにして湿った音を立てて扱かれた。
フランシスの手のひらでやわやわと揉むように擦り上げられるのと同時に、彼の熱が後孔の皮膚を擦る感覚にどうしようもなく感じてしまう。
その刺激でいれて欲しいと言わんばかりにひくひくと後孔が口を開けて収縮しているのがわかって、アーサーの身体は抑えようもなく熱くなっていった。
フランシスは先走りで濡れた自身の性器を尻の狭間で強く擦り、アーサーのものを手のひらで包んで根元から先端まで搾るように扱き上げる。

「ぁん、ぁっあっ、……フランシス、でる、もぅ…っ」

快感に飲まれて床についた足ががくがくと震え、上体を預けているカウンターテーブルがぎしぎし揺れる。
なんて恥ずかしいことをされているんだろうと羞恥心でいっぱいになるが、これだけ身近にフランシスの体温を感じたらもっと触って欲しくてたまらなくなった。
フランシスに触れられて彼の熱を感じていると、気持ち良すぎてもう何も考えられない。
どこから出てくるのかと思うような甘ったるい声でフランシスの名前を呼んで、自分からも尻を揺らして擦り付ける。

「ん、んっ……フランシスっ…」

「アーサー、いいよいって……このまま、全部俺の手に出していいからな」

そう耳元で優しく囁かれ、彼の指で先端をくにくにと揉み潰しながら窪みを引っ掻くように爪で軽く擦られたとたん、アーサーは下肢から沸き上がる大きな快感を堪えきれずに熱をはぜさせた。

「ぁん、…っふ、……はぁっ」

達したあとは一気に脱力して、熱にとろけた呼吸を漏らす。
勢いよく放たれた白濁はすべてフランシスの手のひらに受け止められ、彼はその精で濡れた手でアーサーの震える尻を掴むと、尻肉で自らの性器を挟むようにしてますます動きを速めた。
後孔の辺りをフランシスの熱いものが滑り、敏感な皮膚を刺激されるのが気持ち良くて、達したばかりなのにまた身体が火照ってしまう。
それからほどなくして彼が息を詰めるのが聞こえて、直後にアーサーの尻にフランシスの放った熱い精がたっぷりと吐き出され、二人分の白濁でどろどろに濡れてしまった。
それにしても、この店に防犯カメラがついていなくて良かった。
店でこんなことをしていたのがオーナーにばれたら二人そろってクビに違いない。
はぁはぁと乱れた息を吐いてぐったりとテーブルに突っ伏していると、フランシスが背中から覆い被さってきてぴったりと互いの身体が密着する。
背にのし掛かるフランシスの体温は熱くて、汗ばんだ肌が触れる感触さえ心地良い。
アーサーはこんなふうに他人の手で触れられて達したのは初めてで、一人でするよりずっと気持ち良かったし、している間も何度も甘い声音で彼に名前を呼ばれることに酷く満たされた気持ちを覚えていた。
アーサーはうっとりと緑色の瞳を快感にとろけさせ、後ろに振り向いてフランシスをじっと見つめる。
すると彼は見つめられていることに少し照れたように笑って、汗の滲む額にキスをして頭に付けたままのうさみみごとアーサーのぼさぼさの髪を撫でて言った。

「…なぁ、アーサー……恋人も好きな人もいないなら、お兄さんと付き合ってみない? 絶対後悔させないから」

「……付き合うって、……恋人になるってことか?」

問い返すと、フランシスはもう冗談なんかにする気はないのか真剣な顔つきで、瞳の奥を覗き込もうとするように顔を近づけてくる。

「うん、そう。……だめ?」

初めての恋人はかわいい女の子がいい。
今日フランシスに会うほんの数時間前まではそう思っていたけれど、今は彼と付き合うことに大きく気持ちが傾いている。
いつ現れるか知れない、好みのタイプの女の子を待つよりも、元ヤンだった頃も含めて好きだと言ってくれるフランシスを選びたいと思うし、アーサーも彼のことが気になって、もう好きになりかけている。
それになにより、こんないやらしいことをした責任をきちんと取ってもらわなくては気が済まない。
アーサーはフランシスを見返して、めずらしく素直に自分の気持ちを口にした。

「……お前、さっき言ってたよな。決まった相手と付き合うときはそいつだけを大事にするって。それが嘘じゃねえなら、……つ、付き合ってやる!」

「え! ほんとに?!」

フランシスは嬉しそうにぱっと顔を上げ、表情を輝かせた。
あまりに幸せそうに笑うから、なんだかこっちも恥ずかしくなってしまう。
彼はアーサーの痩せた身体をぎゅうぎゅうときつく抱き締め、顔中にキスをしながらねっとりと甘い声音で囁いた。

「じゃあ早く仕事終わらせて、さっきの続きをベッドでしよっか? 今日俺んち来る?」

「そんないきなりするかばかっ! てっ、てめえは…、いやらしいことが目的で俺と付き合いたいとか言ってんじゃねえだろうな!」

恋人になって最初の台詞がそれかよ、と呆れて声を上げると、フランシスは悪びれもせずに答える。

「そりゃあ…いやらしいこともしたいけど、それはアーサーが好きだからだろ。まぁそんなふうに変に疑われるのはいやだし、すぐがダメならちゃんとお前がその気になるまで気長に待つから心配すんなよ」

待つと言いながら彼の手はアーサーの尻を鷲掴みにしていて、こいつはやっぱり変態だ、と溜息を吐きつつ、好きだからと言われたことには頬が熱くなった。
尻に触れている彼の手の甲を思いきりつねって上体を預けていたカウンターから身を起こすと、二人分の白濁で汚れたエプロンに顔をしかめる。
早く洗濯をしなければならないが、……でももう少しだけ、こうしてフランシスの体温を傍に感じていたい。
もう一度キスをねだるように目を閉じるとアーサーの望みはすぐに叶えられ、今はただ彼のぬくもりを感じることだけに夢中になった。





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スパコミで発行予定だったコピー本をWEBに上げました。
これに加筆修正+恋人になったあとの話を書き足したものを、次回参加イベントにて発行予定です。