1125前夜
夕焼けから夜に染まりゆく空を、駅から出てきた豪炎寺は見上げる。
息を吐いても白くは染まらないが手が悴む。冬の寒い日だった。ここは稲妻町とは違う、木戸川の地。愛おしい人・二階堂に会いにやってきたのだ。二階堂に会える、そう思うだけで身体の内側からぽかぽかと温まってくる。監督と元生徒という関係を超えた二人の想いは、寒空の下でも暖かい。
二階堂の住むマンションに着き、部屋のインターホンを鳴らせば、すぐに二階堂が出てきてくれた。
「やあ豪炎寺、寒かったろう。中温まっているから、早く入りなさい」
「はい」
薄く笑い、玄関に上がる豪炎寺。うっかり床に足を滑らせそうになるものの、二階堂がすぐに支えてくれる。
「危ない危ない」
はにかむ豪炎寺の背を、二階堂はにこにことした笑みで撫でてくれる。
居間へ入ると、豪炎寺はまずテレビ近くにある、こたつに目が留まった。
「寒いだろ、出したんだよ」
「俺の家はまだ出していないから、今年の初こたつです」
「じゃあ、しっかり温まれよ。さて、今日の夕食なににしようか」
二階堂が言えば、豪炎寺は手に提げていたビニール袋を鳴らす。
「もう、買ってきましたよ。ここへ来る時に」
「えっ、そうなのか。気が利くなあ」
「違います、慣れたんです」
豪炎寺は袋の中身を二階堂に見せた。
「おでんにしませんか」
「そうだな、丁度食べたいって思ってた。凄いな、豪炎寺は」
「しょうがないですね、二階堂監督は」
困った顔をする豪炎寺に二階堂はばつが悪そうにすれば、彼は踵を浮かせ、それが合図のように二人は口付けを交わした。
そして台所へ入ると、雑談を交わしながら具材を切り分け、おでんの準備を整える。具を入れた鍋に火を点ければ、一段落したように二人は笑みを交わす。
ぐつぐつと煮立つ鍋の中はおでんが美味しそうに温まり、汁を吸っていた。
「よし、そろそろいいだろう。持って行くぞ」
火を切って二階堂が鍋をテーブルへ持って行き、豪炎寺が置きやすいように周りを整える。
「美味しそうですね」
「なんだかお酒が飲みたくなるよ」
「飲めばいいじゃないですか」
くすりと微笑む豪炎寺。二階堂は迷う素振りを見せるが、結局折れてしまう。
「うん……そうだな。豪炎寺、お前もジュースでも飲めよ」
「おでんにジュースは合わない気もしますが……いえ、お願いします」
二階堂は冷蔵庫からビールとジュースの缶を取り出して、こたつに足を入れる。豪炎寺は向かい側に座ろうと屈むが、なにかを思いついたように立ち上がり、二階堂の横に立った。
「どうした?」
「……………………………」
豪炎寺はじっと二階堂を見下ろす。口よりも目で訴える眼力に、二階堂は察してこたつから腰を引いて空間を作る。すると、豪炎寺はそこに座った。二階堂が豪炎寺を抱き込むような形になる。
「……………………………」
そっと背を後ろへ傾け、二階堂の胸に後ろ頭を置く。なにも言い出さないのは、彼なりの二階堂の反応を伺う仕草だ。
「豪炎寺」
二階堂が優しく呼んで、豪炎寺に身体をくっつける。二階堂が包み込めてしまう程の少年の小さな身体は、自らが入り込んできたのに緊張で強張っていた。
「こうしたかったのか?」
こくん、と頷く豪炎寺。
「どうしてお前はこう、二人きりになると甘えん坊になるんだ?」
「いけませんか……?」
「なわけないだろ。遠慮しなくていいんだ」
腰に腕を回し、ぎゅうと抱き締めた。豪炎寺の緊張が、ふにゃりと解ける。
「かんとく」
豪炎寺が肩口から顔を出した二階堂の頬に己の頬を摺り寄せ、愛情を示してくる。
「さあ、食べようか」
「はいっ」
二階堂と豪炎寺は二人でいただきます、と食前の挨拶をした。鍋の蓋を開ければ、食べ頃のおでんが顔を出す。
「二階堂監督、俺が装いますので食べたい具材を言ってください」
「どれも美味しそうだから、一通りのものを軽く入れてくれないか」
「はい」
豪炎寺は取り皿に丁寧におでんを盛り付けた。けれどもどうにもこの体勢では二階堂が食べ辛い。
「二階堂監督」
取った大根を食べやすいように箸で切り分け、豪炎寺が二階堂に一口大の具材を寄せた。彼が小さく口を開ける仕草をすれば、二階堂も同じように口を開ける。
「あー……」
少々、いやかなり照れるが、豪炎寺に食べさせてもらう。
「うん、美味しいな。よく染みているし温まる。お前も食べなさい」
「はい」
豪炎寺は残りの大根を口の中に入れ、はふはふとさせて食べる。
「いきなり食べたら火傷するぞ」
「そう、ですね」
二階堂がジュースを開けてやり、飲ませてやった。熱くなった口内を潤し、豪炎寺が美味しいです、と呟く。
豪炎寺の嬉しそうな顔に、二階堂も気分が良くなり、ビールの缶を開けた。テレビもつければ二人きりの甘い空間に明るさが加わった。
テレビを眺めながら、美味しいおでんを食べ、傍には豪炎寺がいてくれる。二階堂は気持ちが緩み、一本だけと決めたビールの缶は二本、三本と増えた。酔いが回った頭は理性のたがが外れてくる。
「え…………っ、かんと、く?」
ぴくん、と豪炎寺が反応し、振り向く。二階堂は彼の様子を気にもせず、髪に鼻を寄せ、すんすんと匂いを嗅ぐ。
「いきなり、どうしたんですか?」
「うん」
豪炎寺の腰に回した手が、腹をさすった。衣服の中に入り込もうとするのを、豪炎寺がやんわりと止めようとする。
「いけませんよ、まだ食事中です」
「食事が終われば、いいの?」
「……それは……」
言葉を詰まらせる豪炎寺。理性よりも本能が上回った方が、子供の豪炎寺の言い分を容赦なく言い返せる。酔ってしまった二階堂は本能的に豪炎寺を欲した。愛おしくて、愛おしくて、止まらなくなる。
「ご飯はもうほとんど食べ終わっただろ」
二階堂の指摘にぎくりとする豪炎寺。おでんの鍋はほとんど汁ぐらいしか残っていない。この密着させた体勢では、少しの動揺でも感じ取る事ができる。
「豪炎寺のいけない、駄目、はもっとって意味だろ」
上着の下から手を滑り込ませ、直接地肌に触れて、腹を撫でた。豪炎寺がぶるりと身を震わせる。
「かんとく、お酒臭い。すけべ」
二階堂の顔はすっかり赤くなって、目をとろんとさせた典型的な酔っ払いになっていた。だが、対する豪炎寺の顔も上気しており、頭の中をくらくらとさせている。恐らく惚れた弱みなのか、ぼんやりとしていた。二階堂に肌をまさぐられる度に筋肉はひくひくと震え、喜んでいた。彼の言う通り、もっとして欲しいと身体は望んでいるが、口からは言い出せない。
「豪炎寺はよく知っているだろう?俺がすけべだって」
カチッ。ズボンの金具を外され、チャックを下ろされる。二階堂の太くて長い指が侵入し、足の付け根に触れた。こたつの中のせいか、晒された箇所から熱が入り込んでくる。つつ…………と、なぞられれば、豪炎寺は吐息を漏らす。
「んぅ…………」
「あったかいし、気持ちいいな」
指の先が性器に近付こうとするが、引き抜かれた。
「触ると思った?」
からかうように喉で笑う二階堂。豪炎寺にもたれるように重心をかけ、抱き締めてきた。豪炎寺はテーブルに突っ伏し、半眼になって二階堂に身を任せる。抵抗を見せず、大人しくする彼に、二階堂はご褒美とばかりに耳を甘噛みして愛撫を施した。
「……あ……あっ」
弄ばれる耳から、甘い刺激と水音が鼓膜をくすぐる。豪炎寺は声を出さないように耐えようとするが、微かな反応でもテーブルの上の食器が音を立てる。
豪炎寺の身体を抱きこんだ二階堂の手は、豪炎寺の素肌を味わう。摩り、撫でて、指を這わせる。
「ふぅ………ふぅ……」
小さく震え、細く鳴きながら豪炎寺は愛撫を受けた。普段の彼は、明るい場所での秘められた行為を嫌がるのに、今夜はしてこない。二階堂は酔った勢いでその隙を狙い、調子に乗ろうとしてしまう。
――――ここじゃ嫌、じゃないのか?
理性は豪炎寺が言うであろう言葉を思い浮かべ、本能は豪炎寺の胸の突起をきゅうと摘まむ。
「うあ」
びくんと顔を上げ、身じろぎさせる豪炎寺。二階堂は逃さずに指の腹で突起を擦りつける。
「んんっ」
目を瞑り、開くと目が潤む。さらにくにくにと強弱を加えてやれば、甘い声で鳴く。
「くぅ……ん……っ!」
テーブルを掴み、腰をもどかしそうに揺らした。口をぱくぱくと開閉させ、端から唾液が零れそうになり、反射的に閉じて生唾を呑む。
「……豪炎寺?」
やはりいつもの豪炎寺とは違う。二階堂は手を止めて問いかけた。
「どうした?今日は随分と……お前もすけべじゃないか」
豪炎寺を振り向かせて表情を伺おうとすると、二階堂は目を丸くさせる。彼の顔は、二階堂と同じように真っ赤で、目が虚ろだった。まるで、豪炎寺に二階堂のアルコールが移ってしまったかのように。
「かんとく」
豪炎寺は腰を浮かせ、二階堂に向き合う体勢になり、彼の胸にもたれかかった。
「…………かんと、く」
甘えたような、二階堂だけに聞こえる音で、もう一度呼ぶ。
二階堂は豪炎寺の背を優しく撫でながら、テーブルの上を見回す。やがて閃き、豪炎寺の飲んでいたジュースを手に取った。
「まさか」
ジュースは一見ジュースであるが、よくよく見ればジュースに似せたデザインの酒である。二階堂はあまりにも似ている造りに面白半分で購入したのを思い出す。
「豪炎寺」
豪炎寺の顔を上げさせ、二階堂は謝った。
「すまない。俺、間違えてお前に酒を飲ませてしまった」
「お酒……?ああ……どうりで……」
ふわふわとした喋りで返事をする豪炎寺。ジュースは半分近く残っていたが、豪炎寺を酔わせるには十分な量だった。
「大丈夫か?具合、悪くないか?」
二階堂は事態に酔いが醒め、心配そうに豪炎寺の額に手をあてる。
「らいじょうぶです。それより」
豪炎寺は上着を捲くり、胸を自ら曝け出した。胸の突起がぷっくりと勃ちあがっている。
「もっと、すけべな事、しましょう」
にっこりと微笑む。酒が入っていると意識したせいで、酔いが加速したのだ。
「豪炎寺。落ち着きなさい。休んだ方が……」
「かんとく、好き」
諭す二階堂を遮り、好意を口にする豪炎寺。
「だいすき、です」
ぎゅうと二階堂に抱きつく。満面の笑みで、それは嬉しそうに二階堂にくっつくのだ。
二階堂の胸がどくん、と高鳴る。愛おしさが溢れ出す。けれども自らの失態で豪炎寺に酒を飲ませてしまった罪悪感は重く、疼くやましい気持ちを覆う。早くベッドに寝かせた方がいいと判断した。
「俺も好きだよ。だから、ベッドで休もうな」
「もっと、言ってください」
上目遣いで強請られ、二階堂も自然と笑みが浮かぶ。
「好きだよ」
「じゃあ……」
唇を尖らせ、ぼそぼそとした聞き取り辛い声になった。
「ん?なんだ?聞こえないぞ」
「修也って呼んでください」
不安そうに瞳を揺らす豪炎寺に、二階堂は髪を撫でながら答える。
「いいよ、修也」
「じゃあ、俺も修吾さんって呼んでいいですか」
「いいよ」
豪炎寺の顔がふわーっと輝く。
「で、では。修吾、しゃん」
あっ。豪炎寺は自らの口を手で覆う。舌を噛んでしまったらしい。
「すみません……修吾、さん」
照れながら言い直す豪炎寺の身体を、二階堂は抱き上げ、寝室へ連れて行く。
「修吾、さん」
二階堂の首に腕を回し、落ちないようにしがみついた。
寝室へ入ると、二階堂は豪炎寺をベッドに仰向けに寝かせ、自分は横に座る。
「大丈夫か?」
愛撫で乱れた衣服を整えてやり、様子を伺う二階堂。
「さっきも大丈夫って言いましたよ。監督……いえ、修吾さんは心配性です……」
「当たり前だろ。俺が間違えて飲ませてしまったのもあるけれど、大事なお前になにかあったら大変だからな」
ぱちくりと目を瞬かせる豪炎寺の耳が染まった。
「今日の監督、優しい」
「それを言うなら、今日の豪炎寺は素直だな」
「いつも、素直ですけど」
「なら俺も優しいじゃないか」
「……………………………」
「……………………………」
ふっ。二人で息を吐き、笑い出す。
「かんとく……」
「修吾、じゃなかったのか?修也?」
薄く開き、息衝く豪炎寺の唇を、二階堂は背を屈ませて口付けを落とし、塞いだ。
「う…………んっ………」
布を擦らせる豪炎寺の腕を二階堂は捉え、深い口付けに酔う。赤い舌を絡ませれば、くちゅくちゅと淫らな音が立ち、熱い息が顔にかかった。
「しゅうご、さん」
息のかかる間近な位置で、豪炎寺は二階堂の衣服を掴んで引き寄せ、哀願する。
「欲しい、です。ください」
「修也……」
二階堂は自分の状態を振り返る。愛撫を施し、本能は豪炎寺を欲するが脳は冷えており、下半身も――――。意識は冴えているが酒のせいで思うようにならない。要するに、勃たないのだ。
「あー……豪炎寺。ちょっと、今夜は……すまん」
「駄目……なんですか……?」
残念そうな声を上げる豪炎寺の下肢は反応を布越しから示している。
「あげられないけれど、抜いてはやるから、今回は許してくれよ」
「……………………………」
「修也」
「……………………………」
豪炎寺がこくん、と頷くと二階堂は口元を綻ばせ、彼のチャックの下ろされたズボンから下着に手を伸ばし、性器を取り出す。既に勃ちあがっているそれを捉えれば豪炎寺が敏感に目尻をひくつかせた。
「元気がいいなぁ」
軽く上下させて扱けば豪炎寺の膝が立ち、揉んでやれば踵が浮く。
「は、……うっ……」
「気持ちいいか?」
豪炎寺は頷き、ひくんひくんと悦びに震える。
直接言ったが、今夜の豪炎寺は本当に素直だった。いつもなら声を耐えようとするのに、思うままを口にして甘く喘ぐ。心地良さそうな反応に、二階堂も嬉しくなり、通じ合うように気持ち良くなる。
「……あ………ふぁっ、……う、修吾、さん…………!」
性器の先端から蜜を滲ませ、さらなる淫らな姿をありのままに二階堂に見せる豪炎寺。腰を揺らし、自らの衣服を捲し上げて咥えて唾液を染みこませて、ふうふうと熱く乱れた息を吐く。
「……くだ、さい……」
膝の震えを抑え込みながら腰を浮かす。だが、ぺたんとつけてしまい、今度は膝裏を上げて訴える。ひくつく窄みが二階堂を求めていた。
求められたら嬉しいはずなのに、二階堂の胸にはどろりと悪戯が疼く。愛おしく思うあまりの独占欲が、焦らせてさらに欲しがらせたい欲求を抱かせた。
「今回は指だけだぞ」
指を咥え、唾液で濡らしてから豪炎寺の窄みの周りをなぞり、直接ひくつきを確かめる。見ずとも感じる豪炎寺の視線は、二階堂の指が挿入されるのを今か今かと待つようだった。
くに。指の腹が窄みの中心に触れ、ゆっくりと入り込んでくる。
「ん、あ」
鼻の抜けたような声を出し、力を抜く豪炎寺。表情は恍惚にとろけて、薄く開かれた唇からは、はしたなく唾液を垂らしていた。
ゆっくり、ゆっくりと、焦らすように侵入する高揚感に、豪炎寺は第一関節が入った所で達してしまう。
「はぁ……、うああ……!」
びゅ、びゅ、と精をはじけさせ、内をきゅうきゅと締め付ける。二階堂が強引に指を押し入れれば、満足したように身体全体の力をくったりと抜いて眠ってしまう。出すものを出したら尽きてしまったのだろう。
衣服は乱れ、下肢は汚れているのに寝顔はとても安らかで、可愛いやら、いやらしいやらで二階堂は苦い笑みを浮かべながら、豪炎寺の髪を撫でてやる。
「まったく……そこで寝るかな」
衣服を脱がし、付着した体液を拭ってやって布団をかけて休ませた。
「ん、うん?」
辺りが薄っすらと明るくなる頃、豪炎寺は目が覚める。身を起こせば全裸で、時計を見ればまだ起きる時間よりかなり早い。そして隣を見やれば、二階堂が眠っていた。しかもちゃっかり寝巻きを着て。
「?」
豪炎寺は昨夜の事を思い出そうとする。
二階堂とおでんを食べたのは覚えていて、やたらと身体をべたべた触られたのは覚えているが、それから先は記憶がない。
豪炎寺が身を起こした事により入り込んだ風に、二階堂が欠伸をして目覚める。
「ふああ……。まだ早いんじゃないのか、修也」
「しゅう…………?」
二階堂に名前を呼ばれ、動揺と悦びに身を焦がす豪炎寺。
「二日酔いとかは大丈夫か?」
「っ」
二階堂の腕が伸び、豪炎寺を後ろから抱き締めて額の熱を確認される。
「にかいどう……かん……とく……」
どぎまぎさせる豪炎寺の胸に、昨夜に残った物足りなさが蘇った。
「二階堂監督っ」
「な、なんだよ」
豪炎寺が身体を向け、二階堂に詰め寄る。
「……………………………」
愛おしさをこめて熱い視線で見上げながら、その下で布越しに二階堂の性器に触れた。今なら大丈夫と言わんばかりに、二階堂は一瞬顔を強張らせる。
「修……いや、豪炎寺。お前はまだ酔いが醒めてないみたいだな」
「よくわかりませんが、そうみたいです」
二階堂が豪炎寺の手を握りこみ、彼の意識を自分の声に向けさせ、言い聞かせた。
くすりと微笑み、挑発的な態度を見せる豪炎寺に唇を寄せ、二人は口付ける。ベッドを軋ませて横になり、絡み合いながら啄ばむような口付けを何度もかわす中で、二階堂が問う。
「今日、何日だっけ」
「二十五日、です……よ」
ぷつ、ぷつぷつ。二階堂の衣服のボタンを外しながら豪炎寺は答え、次に修也、と呼べば修吾さん、と答えた。
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