ユフィの家の隣には、ネコ屋敷と呼ばれるたくさんの猫が住む家がある。どこから集まってきたのかはわからないが、部屋中猫だらけであった。
クラウド一行の乗るハイウインドがウータイへ到着すると、ユフィは真っ先にそこへ入って行った。乗り物酔いで足元をふらつかせながら、だが。ユフィの後に続いて、クラウド達も飛空挺から降りていく。
猫のいる生活
「みんなぁ、元気にしていたかー」
ユフィは畳の上を歩いていた猫を抱き抱え、背を撫でてやる。
「……………………………」
「相変わらず、たくさんおりますなぁ」
クラウドとケット・シーも屋敷の中へ入ってきた。クラウドはぽかんと口を開けて、辺りを見回している。足元を注意しないと尻尾を踏んでしまいそうだ。
「これは、ユフィの猫か?」
「違うよ。皆ここへ集まって来るんだよ」
「へえ」
言葉を交わす彼らの横に立っていたケット・シーは、何を思ったのかデブモーグリの上から降り出した。
「よっこらせ」
「どうしたケット・シー」
「どうしたもこうも」
長靴が畳の上に付く。
「可愛ぇやないですか」
そう言って、猫を抱き抱える。
だが小柄なケット・シーが抱くとなると、どうも危なっかしい。
「おい」
「落としたら承知しないよ」
「大丈夫です。扱いは慣れてるんやから」
猫は心地良さそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
「まぁ、それなら良いんだけど」
「ああ」
肯定はするものの、どうも煮え切らない。視線はケット・シーに向いたままだ。
猫が猫を抱き抱えるという、おかしな光景だからだろう。
「ねえ、アンタ猫好きなの?」
抱いていた猫を下ろし、他の猫と遊んでやりながら、ユフィが問う。
「大好きですわ」
人形でも、その奥からは操る人間の柔らかさを感じたような気がした。
「飼っているのか?」
クラウドも質問をする。不思議な光を放つ魔晄の瞳は、ぎこちなくも猫を追い、興味を示していた。
「ええ、一匹おりますよ」
「「どんな猫?」」
ユフィとクラウドの声が揃う。
「ボクみたいな猫です」
「「……………………………」」
4つの瞳はケット・シーの顔を見据えて、頭の中にイメージを浮かべる。
「つれなさそー」
「そこがええんとちゃいますか」
「そうかもな」
ユフィとクラウドはクスクスと笑い出す。本体であるリーブがケット・シーを可愛がる姿を想像してしまったからだ。似合わないのか、それとも似合っているのか、どちらにしても笑いがこみあげてくるのだ。
「今度見せてよ。写真とか」
「今度、ですか」
「そ、今度」
今度という名の明るい未来。ケット・シーにも笑みが浮かんだ。
猫の鳴き声に囲まれた、ひとときの穏やかな時がゆっくりと流れていった。
ユフィとリーブはネコ好き仲間だと思う。
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