#046.三角関係
僕は今、不本意ながら手錠で繋がれている。といっても別に悪いことをした訳ではない。
大量殺人鬼の容疑者だというだけ。
手錠で繋がってる相手は竜崎と言う。
甘党で目付きの悪い猫背の男だ。
彼は便宜上の名前をたくさん持っているけど、どれも偽名なので竜崎で統一する。
竜崎は友達だ。
同じ大学で一緒に入学式の壇上に上がった。
一緒にテニスをして、喫茶店で話をして
とても楽しく有意義な時間だった。
全力で勝負できる。同じ高さで話が出来る相手が出来たことがとても嬉しかった。
でも僕はずっと知っていた。
竜崎は僕の事を友達だなんて思っていないと。
分かってたことだ。
だって僕は大量殺人鬼の容疑者だから。
でもそれでも、僕は彼を友達だと思ってた。
でも竜崎は僕の事をキラとしか見て無かった。
竜崎はキラばかり。
キラをずっと追いかけている。
そして僕は竜崎の事を追いかけている。
これも一種の三角関係だろうか?
竜崎はキラが好きだけど、キラは竜崎が好きだろうか?
僕個人の見解を言わせてもらえば、キラは竜崎を好きじゃ無いと思う。
だってキラは夢を追っているから。
追いかけている物以外見えていないんだ。竜崎と同じで。
ねぇ、竜崎。
キラは君を振り向かないけど、僕はずっと君を好きだったよ。
君がキラだと言っている出会った頃から好きなんだ。
ねぇ、だから一度で良いから。
振り返って、僕の方を見てくれないかな?