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二人の子供




 捜査本部に乱入した挙句に、散々暴れた二人の子供達を連れて月と竜崎は最上階にある自室へと向かった。あのまま捜査をするあの部屋に置いておく事が出来ないくらい元気すぎる子供だと解ったので、とりあえず一番手綱が取れそうな月と竜崎で話し合う事となったのだ。
「そこ座って」
 部屋に入るとメロ達にソファを示す。テーブルを取り囲んだ大人数での談笑用のそれが初めて役立った。今までは二人しか使う人間が居なかったからだ。
 メロ達と同じく座ろうとする竜崎を引っ張って月はキッチンに向かう。
冷蔵庫の中を物色してからふぅと溜め息を付いた。
「やっぱりジュースとかはないよな……」
「あるわけないでしょう」
 専らコーヒー紅茶しか飲まない二人の部屋にはせいぜいミネラルウォーターくらいしか入っていない。
「子供にはこれで十分ですよ」
竜崎が取り出した牛乳はミルクティー用に使っている物だった。妥協した月は頷いてコップにそれを注ぐ。
飲み物を持って戻るとソファにはふんぞり返って座るメロと片膝を立てて座るニアがいた。行儀の悪さに顔をしかめても子供二人は気にしない。隣の男もどうせ行儀悪く座るのだからと月は無理矢理気にしない事にした。改めて席について、口を開く。
「とりあえずちゃんと自己紹介でもしようか?」
 月の穏やかな言葉にも目の前の子供達はなんら無反応だった。
頷きもせず明後日の方を向いたり置いてあったミルクを飲んだりしている。月はその悪すぎる態度に辟易して竜崎に助けを求めるように覗き込んだ。竜崎は珍しいとしか言いようの無い上目使いの月に内心照れながら、表情だけはしっかり引き締めた物を作って言った。
「改めて言いますが私はLです。ここでは竜崎と呼ぶように。彼は夜神月くんです……お前達も名乗りなさい」
そこまで言われてようやく二人の顔があがる。やはりLの言う事は少なからず聞くらしい。
「メロ」
「ニアです」
 それぞれが気怠るそうに名前をぼそりと呟いた。しかしそれ以上は言わない。ぎゃあぎゃあ騒いでいた時よりは静かでマシかも知れないが酷い変わりようだった。むらっ気がある。安定しない。自己中心的。そんな否定的な言葉が浮かんだ。
「まったくこんなガキとは……」
 それは竜崎も同じだったらしい。呟かれた言葉には苛ついた感情が見えた。
「竜崎は初対面か?」
「えぇ。顔写真と優秀だというデータは得ていましたが……こんな性格とは予想外です」
 自分で呼び寄せたくせに勝手な言い分だった。しかし竜崎が自分の身内に翻弄される様は皮肉が利いていて悪くない。
「メロ君とニア君の荷物はどこにあるの?荷解きはしなくて大丈夫?」
間を持たせるための他愛ない会話に答えたのは子供達ではなくて竜崎だった。
「このすぐ下の階に置いてありますよ」
「下の階?そこに住むの?」
「はい」
 竜崎の言葉に手をあごに添えながら月は黙り込んだ。そして信じられないものを見るような視線を竜崎に向ける。
「こんな小さな子を二人だけで?危なくないか?」
「セキュリティーは万全ですよ?」
 自信満々に竜崎は答えているがもちろんセキュリティの話ではない。
まだ幼い二人だけで疑似的とは言え二人だけの生活が可能なのだろうか?
そういうことを心配していた。
竜崎はどうして月がそんな事を言い出すのかと逆に不思議そうにしていた。
「何馬鹿なことを言ってるんです。平気ですよ」
「しかしまだ小さいだろう?大人がついているべきじゃないのか?」
「ついているべきって……誰がです?」
 竜崎の反論ももっともな事だった。メロとニアをちゃんと見れるような人間は正直なところ月達だけっだった。
メロ達の癖のある性格もそうだが、他の者達は度々家に帰ったり外での仕事があったりと本部に居ない時もある。
「私達が面倒を見るべきだと?」
 嫌そうな表情で月の説得に掛かる竜崎に月は押し黙った。
月は面倒見の良い性格をしていたが、それでもずっと子供達の面倒を見るのは回避したいと思う。ただの子どもではない。Lになろうとしている子供だ。しかも暫くしたら殺す(レムに殺してもらう)予定だ。
 月が葛藤しているとそれを邪魔するようにニアが呟いた。
「別に放って置いてくれて構いません。ひとりで生活した事なんてありませんが、なんとかなるでしょう」
 無表情でぼそぼそとした喋りだったが、逆にそれが子供の健気さを漂わせている。
もともと世話好きの月はすっかりニアに同情めいた物を感じていた。こんな小さな子が頑張ろうとしているのに、面倒くさいという理由で放置するのもどうだろうか。
「竜崎、やはり僕らで面倒を見よう」
「断言するんですね」
 竜崎は月が頑固者である事をしっかり把握している。これはもしかしなくてもメロとニアをここで預からないといけないだろう。
しかし竜崎的にそれは激しく面倒くさい。
呼び寄せたのは自分だがそれは後々のため、月への牽制も含めての事。しかもこんな面倒くさい性格の持ち主と知ったら一緒に住もうという気はまったく無くなっている。
「月くん、私は……」
「本当ですか?」
 竜崎の言葉を遮ってニアが嬉しそうに言った。さっきまでの無表情から若干さわやか風味の可愛らしい笑みを浮かべる。
月はそれにすっかり絆されていてニアの表情に答える様にふわっと笑った。
竜崎でもあまり見た事がない穏やかで可愛らしい笑みだった。
(月くんっ!初対面の男にそんな表情を!!)
 月に心の声を聴く能力があれば男じゃなくて子供だろうと突っ込んでいただろう。
月は子供らしい振る舞いのニアをすっかり気に入っていた。もともと子供は嫌いでないし、竜崎というひねくれものとずっと一緒に居ればニアの様な素直さはとても新鮮だった。
「ニア君、荷物取りに行こうか」
 月が立ち上がってそう言う。あの独特な座り方で紅茶を飲んでいたLは手錠で繋がった相手がいきなり立ち上がったことに危うくソファの上で転んでしまうところだった。月に促されてニアも飲んでいたミルクをテーブルに置いて立ち上がる。
「ありがとうございます。私のことはニアと呼び捨てにしてくれて構いません」
「そう?よろしくニア」
 また柔らかな笑みを見せる。竜崎はそれを見て(まるで聖母のようです)などと月に知れたら鼻で笑われるようなことを真剣に思った。もっとも竜崎としてはすぐ近くの白髪(銀髪)のガキは聖母に邪魔だったが。
「メロ君も……」
「呼び捨てで良い」
 月の呼びかけに素っ気無く答えてメロは立ち上がった。そして月のすぐ近くに寄っていたニアの手を取って強く引っ張る。
「ちょっとメロ…」
「荷物の整理くらい自分達で出来る」
 言うとそのままニアを引っ張ってメロはさっさと部屋から出ようとした。戸惑う月にニアが「大丈夫です。構わず仕事をしていてください」と笑い少し月を安心させた。
気遣いまでする良い子だ。ニアは。
「月くん」
 メロ達が部屋を出るのを見計らって竜崎が月に呼びかける。振り向いた月に竜崎は無表情ながら少し情けなそうな声音で言った。
「月くん、ニアに甘くないですか。差別を感じます」
「甘いね。竜崎よりも可愛いから」
 素気無く答えて月は飲み物を片付けようとテーブルに向かった。
テーブルの上のミルクはメロのものはまったく手が付けられていない。ミルクは嫌いだったかな、とコップに手を伸ばす。
「月くんっ!」
「何するんだ!竜崎!」
 後から唐突に抱きつかれて月は危うくミルクが並々入ったコップを取り落とすところだった。それでも少しは零れてしまってテーブルの上に転々と白い小さな水溜りが出来る。
「私への愛って子供が出来てたくらいで薄れる物だったんですね」
「何馬鹿なこと言ってるんだお前は!退いてくれ!」
「嫌です」
「お仕置きしていいですか?」
「何いってんだこの馬鹿!」
 月の得意技であるパンチも後から抱き付かれては放てない。竜崎は器用に自分と月をつなぐ手錠の鎖で月の手を拘束した。月の手にあったコップからミルクが勢い良く飛び出る。
「あぁ零しましたね」
「零したのはお前だろ!」
「いえ、持ってた月くんでしょう?」
 明らかに責任転嫁だと月は背後の竜崎を睨んだ。竜崎は鋭い瞳が乗っかった小さな頭を掴むと牛乳まみれのテーブルに押し付けた。
「とりあえずミルクを拭いてもらいましょうか?」
 もちろん舌でね、と笑う阿呆な婚約者に月は心の中で絶対殺してやるとヒステリックに喚き立てた。







 月と竜崎が部屋でどたばたと暴れながら変なプレイに発展しそうになってるその時、メロとニアは1つ下の階で己の荷物を運び出そうとしていた。荷物はとても少ない。施設で育ってきた二人は私物をほとんど持っていなかった。
「ニア」
「何でしょうか?メロ」
 荷物のつめられたバッグを持ってニアが答えた。その量は少なくて本当に月が手伝う必要もないくらいのものだ。
「気色悪いくらい猫かぶって……何あいつに媚売ってるんだ?」
 メロがあいつと呼ぶのは月のことだ。
ニアはまるで小さな子供のように―――実際ニアは小さな子供と呼ばれる年齢だが、頭の回転も速く早熟なので精神年齢ならば同年代の子供たちよりはるかに高い―――振舞って月に媚を売っている。
案の定月は絆されてにこにことニアを甘やかし始めている。
「メロは子供ですね」
「なんだとっ!」
 自分より幼いニアに鼻で笑われてメロは殴ろうと拳を上げた。それを見てにやりとニアはさらに笑みを見せる。
「ほらね、子供ですよ」
 すぐに暴力に訴えるメロを揶揄する様な口調にイラつきながらも、ここで殴れば本当にそのとおりかと必死で我慢する。ニアは荷物を持ち直して上の階に戻ろうと歩き始めた。
「実際メロはあの二人に比べれば子供でしょう?何を反発してるんですか」
 なんでもないことの様にニアは言った。
確かにニアから見ればLもあの月とか言う男も年上だろう。それはメロにとっても同じだが、月はせいぜい五つ程度しか違わないのだ。普通の子供だったらいざ知らず、すでに大抵の大人達よりも高い知識と能力を有しているメロにはたいした差じゃない。
「ガキでいられるニアには分からないだろうな」
「ガキでいられないメロのことは良くわかりませんね」
 エレベーターの上昇ボタンを押しながらニアは答えた。すぐにやってきたエレベーターに乗り込んで1つ上の階のボタンを押そうとする。だが最上階でもあるそのボタンにはニアではぎりぎり届かない。それを見てメロが軽々とボタンを押した。身長はやはり年上であるメロ方が当然高い。
「月とかいうやつにまたミルクでも用意してもらえば?」
 身長の低さを揶揄して笑うメロにニアは一瞬黙った。イラついた様に表情を歪める。こんな顔騙し中の月には見せられないなぁとメロはさらに笑う。
「メロもミルクを飲んだ方がいいですね。あなた同年代の中では背が低いじゃないですか」
 ニアの反撃の言葉にメロはさっと表情を赤くさせた。実際ニアは同年代の中では背が高く、メロは低い。成長期が終わった頃には逆転されている可能性も高かった。
「ニア!お前な!」
 怒鳴った瞬間エレベーターの扉が開く。それと同時にドンッと言う大きな音が響いた。
「へ?」
「何ですか?」
 唐突に響いた音に驚くメロとニアが見たのは床の上で無様に倒れる世界の名探偵Lとその近くに座り込む月の姿だった。
「月くん、そんなに思いっきり殴らないでください」
「子供がいるのにあんな真似できるか」
 ぎゃあぎゃあと言い合う二人を呆然と見つめる。メロは月が口端におそらく牛乳であろう白い液体をくっつけてるのを見つけた。というか良く見たら顔とか髪とか全体的に濡れている。恐らくこれも牛乳だろう。どんなやり方をすればこんなに牛乳が顔につくのかと思いながら、からかいのネタが出来たとメロはにんまりと笑った。。
「何ガキみたいに牛乳つけてんの?良い大人の癖に」
 メロの指摘されて月は大急ぎで口をぬぐう。その様子を見て喉奥で笑うメロを見ながら竜崎はぼそりと呟いた。
「子供ですね、メロ」
「は!?」
 竜崎の言葉にわけが分からないと声を上げるメロにニアが(恐らく月の前だから)にっこりと可愛らしく笑った。
「お墨付きですね、メロ」
 ニアにもいけ好かない笑みで言われてメロは激昂しそうになる。
そんな中月が多少コップに残っていた牛乳を一気に呷っていた。ぜぇぜぇと荒い息を落ち着かせるようにしている。
「月くん……」
「口直しだ!」
 大きな音をたてて月はコップをテーブルに置いた。テーブルの上からは今にもこぼれた牛乳が滴って床に落ちそうになっていた。
「何?牛乳こぼしたの?」
 問いかけに月がうなずくとメロは嬉しそうに笑っていた。人の心配を無邪気に笑う。子供って残酷だと月は改めて思った。
 床に牛乳がこぼれないようにテーブルの上を急いで片付けて、月自身も顔を洗って身支度を整えると改めて二人の荷物を見た。
思った以上に少ないそれに荷解きは簡単に終わりそうだと安堵する。
「竜崎、二人にはどこの部屋を使ってもらおうか?」
 二人で生活するには広すぎるこのフロアには空き部屋も多い。
「どこでも良いでしょうけどベッドないですよ。二人は下に置いておくつもりでしたから」
「え、あぁ…そうなのか」
「搬入できるとしたら明日以降です」
 取り合えず今日の内はいつも使っているベッドしかこのフロアには置いていないらしい。
そうなると困ったのが今日どこで寝るかだ。
「とりあえずメロとニアには僕らが使ってるベッドで寝てもらって、僕と竜崎はソファにでも行くか」「ソファですか。狭いですがそれもまた一興ですね」
 何が一興なんだよと月が嫌そうに答えているとメロがだんっと大きな音を立てながらテーブルを叩いた。いきなりの行動に当然月は戸惑う。もっとも戸惑っているのも月だけだったが。
「月とか言ったっけ?あんた何歳!?」
「えっと……18だよ」
「聞いたかニア!4歳差だ!」
 ということはメロは14歳なんだと暢気に考えているとメロはこっちをぎろりと見つめた。まだ幼さの残る顔だがこうしている時の表情はなかなかに鋭い。
「たった4歳しか違わないのにいちいち子ども扱いするな!」
 メロの激昂に月は少し呆気に取られて、そしてくすりと笑った。その笑みは竜崎が聖母みたい〜などと思ったニアに向けたのと同じ穏やかな物。
「おい!またあんた!」
「あぁごめんよ、メロ」
 月はすっと笑みを隠した。
月が笑ってしまったのは仕方ない。そうして背伸びしている姿こそ月には子供っぽく見えたからだ。そう考えればとても素直で可愛いかもしれない。
 子供っぽくは思ったが少なくとも子供扱いはやめようと月は思った。月はちらりと竜崎を盗み見る。竜崎の年齢は知らないが、おそらく月より年上だろう。自分が年下だからといって子ども扱いされるのは嫌だ。メロの気持ちも分かる。
「じゃあメロは僕達と平等ってことだね」
「私は違うんですか?」
 ニアが少し淋しそうな口調で声をかけてくる。一見すると無表情なところは竜崎に似てるが、竜崎よりも表情が子供っぽい。
「ニアも一緒がいい?」
「メロが一緒なら」
「仲が良いんだね」
 月が笑うとメロはケッと唾を吐くような仕草をした。照れているのかと月は考えているが実際には猫かぶりめと可愛さ演出をしているニアに嫌気が差したに過ぎない。
「じゃあ皆で一緒にベッドに行こうか?」
「は?何を言ってるんですか?月くん」
 月の提案に反論したのは当然竜崎だ。もう竜崎の中では今日は月と一緒にソファで寝るという予定が立っていた。
「あのベッドなら全員寝れるだろ?今日だけだし」
 確かに特注の広いあのベッドなら大人二人と子供二人も大丈夫だろう広さがある。
「僕達とは慣れてないからふたりが嫌かと思ったんだけど、別にいいかな?平等だし」
「あぁ、平等だからな」
 メロがきっぱりと言ってニアもこくんと頷いた。ニアはとりあえず4人でソファじゃなければどうでも良かった。メロが何も言い出さなければ広いベッドだったのにと残念には感じていたが。
「竜崎もそれでいいよな。これから一緒に暮らすんだし」
 言いながら月はカラカラと手首を振って手錠を示す。
手錠ある限り二人は離れられない。そして竜崎は月に弱かった。愛していたから。
月も愛しているけど最終的に殺しても良いと思ってる月と絶対に捕まえて世界を丸め込んででもお嫁さんにと考えている竜崎では、立場的に若干竜崎の方が弱かった。
「分かりましたよ」
 了承の言葉をかけると月がにっこりと笑った。
嬉しそうな穏やかで柔らかい、竜崎言うところの聖母の微笑だった。










 メロとニアは荷解きをして、月と竜崎はとりあえず部屋で出来る範囲の仕事をしてその日は終わった。ルームサービスでの食事を取って風呂に入って後はもう寝てしまえば今日は終わってしまう。
 というわけで4人で寝室に入ると「げっ」という声をメロは漏らした。
「なんでベッドひとつなんだよ。でかいけど」
「手錠してるからね」
 何でもないことの様に言っているが半分くらいは月と竜崎がお付き合い状態である事に起因する。
別に二つのベッドを使っても何とか大丈夫くらいの長さの鎖ではあるからだ。
「ここで4人で寝るのか」
「嫌なんですか?」
 竜崎の言葉にメロは当然反論する。
「嫌じゃねぇよ!まさに平等だしな」
「そうだね」
 月は答えてもう異論は無いねとごそごそとベッドに入りだす。
左端から竜崎、メロ、ニア、月という順の川の字だ。メロとニアの上では月と竜崎を繋ぐ鎖が倒れていた。
「鎖邪魔かな?」
「平気ですよ」
 ニアが月のすぐ横で答える。さすがに4人も居るとあの広いベッドでも狭く感じるものだ。
メロがどうして僕達が真ん中なんだと愚痴った。おそらく落ちないように配慮でもされたと思っているのだろう。それは事実で月と竜崎が端に寄ったのだが、それを言うわけにはいかない。月は笑って「たまには竜崎と離れて寝たいから」と答えた。月の答えに竜崎は少し泣きそうだった。
 4人で寝っ転がって暫くたった時に竜崎がぼそりと呟いた。
「月くん。なんか満更でもなくなって来ました。メロとニア子供みたいです」
「おい、誰が子供だって」
 月が答えるよりも前に子供だという言葉にメロが反応した。竜崎は気にせず「貴方達ですよ」と言う。メロは「はぁ!」と驚いて怒りだした。あれだけ嫌がっていると意思表示しても竜崎にはなかなか通じないのだ。それを身をもって月は知っていた。
「静かにしなよ。ニアが……」
「起きてますよ」
 月の横でニアが呟く。月は五月蝿くてごめんと申し訳なさそうに笑った。
「メロは子ども扱いが嫌ですから」
「うるさい、ニア」
 言い争う二人の少年を見て月も思わず呟いてしまった。
「本当に子供みたいだ」
「ライト!」
 言葉を敏感に聞き取ったメロが怒り出す。月はごめんごめんと謝った。
これは本心からだ。まさか14歳の、たった4つしか違わない相手を自分の子供という意味での子供に思ったなどと言える訳が無い。
(僕、精神的に老けたのか?)
 まだ弱い18の月はこの年で親心は早いだろうと内心焦る。
それでもやはりこうして川の字で寝ている事に親子と言うフレーズが踊る。反対側で寝転がっている、あの家族を知らない男ですらそうなのだから仕方ないだろう。
メロは見事勘違いしていたけれど。
「おやすみ。メロ、ニア、竜崎」
 月の言葉に竜崎が反応して答える。
「おやすみなさい、月くん。メロとニアも」
「はい、おやすみなさい」
 ニアも言って残るはメロのみとなった。ここまでくると流れ的に逆らえないのか、メロも不機嫌そうにだがぼそりと答えた。
「おやすみ」
 こうして4人は一緒のベッドで眠りに落ちた。
セキュリティ用のカメラに写った4人はまさしく家族そのものだったらしいとは防犯ビデオを管理するワタリのコメントだった。
タイトル二人の子供は一応ダブルネーミングです。
子供なメロニアとL月の子供という意味で。

メロはストレートお子様で、
ニアは子供ですが鬼畜様なので若干黒仕様。
でもフェ○には気付いてません。
なんとなく会話あわせただけです。 10歳だし

竜崎の性格がなんか団地妻と違う気がする;
既に出来上がってるのでハイテンションってことにしといてください。



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