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 僕は基本的に超常現象は信じる人間だった。
もともとは神も幽霊も超能力も信じないという典型的な現実主義の人間だったが、死神とデスノートという非現実的な代物を手にしてしまっては価値観は丸変わりだ。
 以来、僕は神も幽霊も超能力も信じる。
ただし目の前で起きていたらだ。盲目的に信じる愚か者ではない。
 しかし今月は目の前に起きている現実を信じることが出来なかった。
いや、盲目的に信じたくなかった。




(何故……僕の胸に胸が付いてる?)




 胸に胸ってなんだよ。
と脳内の台詞につっこみを入れた僕は己の体を写しだす忌わしい鏡から離れた。
ベッドに腰掛けて溜め息をつくと昨日までとは違う脂肪まる出しな足が目に入った。
実に不愉快だ。
 事の経緯はこうだ。
朝起きたら女になってた。以上。
実にシンプルな話だ。シンプルすぎて頭が痛くなる。
 死神を見てからもうこれ以上に驚く事はないだろうなんて思っていたが、18年間慣れ親しんだ体の唐突な変化は死神なんか屁に思える。
 手も足も自分の見知っていたものとは違うもだ。
体は丸みを帯びてひとまわり小さく、ウェストはくびれていて胸は膨らんでいる。
身体のあらゆる場所に感じる違和感。
身長が変わったせいでいつもより視界が低い。気持ち悪い。
「で?リューク。これはお前の仕業か?」
 声を出すといつもよりそれが高くてぞっとした。
僕がこの異常事態の原因をリュークと言う超常現象の固まりに求めたのは当然だと思う。
それ意外に思いつけ無かったし、何より原因がリュークならすぐに戻れるだろうという逃避から。
しかし死神は大きく顔を振って否定した。
『そんなリンゴくれなくなりそうな事しない!』
 そんな理由かよ。
しかしあまりに即物的なぶん真実味がある。
確かにこれがリュークの仕業なら僕は確実にリュークをリンゴ一ヶ月抜きの刑に処す。
「じゃあなんなんだ、コレ」
 死神の仕業じゃないとすると新種の病気とかなのだろうか?
考えれば考えるほど不安は募る。
僕は切実にリューク以外の相談相手が欲しかった。
だがこんな馬鹿げた事態を冷静に受け止められる奴なんているだろうか?



一人いた。



 原因不明の連続死を殺人と見抜き、しかもあっさりと超能力殺人だと認めて行動した男が。
あの男ならこのおかしな状態にもすぐに対処出来そうな気がする。
問題は頼りたい相手では無いと言う事だけ。
 僕は諦めの溜め息をついた。
このままここで燻ってても仕方ない。その男に連絡するべく携帯を取り出す。
「Lに電話か?」
 リュークが携帯に映し出された名前を見て言った。
本当はあの男を頼るなんて絶対に嫌だったが他に人がいないのも事実だった。
父や母に素直に相談すると言う選択肢もあるのだろうが、こんな僕の姿を見たら2人とも倒れてしまう事間違いなしだ。
 数回のコール音の後に電話が通じて、携帯の向こうから「はい。私です」というLの声が聞こえた。いつもの事だけど変な電話の受け方だ。
 僕は話そうとして口を開いた。が、今は声が変わってしまっている。
一つせき払いをしてから声を低めに調整して竜崎に応えた。
 何故声を隠したかは自分でも分からない。
多分、いつもと違う事を悟られたく無かったのだろう。これから相談しにいくのに。
「僕だけど、ちょっと大事な話があるんだ。今から会えない?」
「今ですか?
今は一応私も仕事中なのでホテルから離れるのはちょっと……その話がキラ関係なら別ですが」
「キラ関係じゃない。だけど大事な話だ」
「では捜査本部に来ていただけますか?」
 Lの提案に了承の言葉を返そうとした瞬間、昨日父さんが帰って来なかったことを思い出した。
つまり父さんはまだ捜査本部に篭っている。
 それが僕の了承の言葉を思い留めた。
あの真面目を絵に描いた様な父が息子のこんな姿を見たら、また心臓麻痺にでもなって倒れてしまうに決まっている。
「いや、2人が良い。2人っきりで会えないか」
 僕は殊更2人を強調して言う。
考えてみれば父に知られたく無いとかそう言う以前の問題で、こんな姿を晒して人のたくさんいるところになんて絶対に行きたくなかった。
「2人……ですか。じゃあ捜査本部の下に部屋を取りますが、それで?」
「あぁ構わない」
「本当に?」
 Lはやけにしつこく確認してくる。
しかし僕にとってホテルの部屋という誰にも知られない密室の空間ほど好条件なものはない。
「良いって言ってるだろう?あと出来れば車を寄越してくれないか」
「はぁ……」
 僕の要求に竜崎は意外そうな声で応えた。
いつも捜査本部へは自分1人で来ていたので、いきなりそんな事を言い出せば当然だろう。
 だがこの格好で電車に乗りたくはなかったのだ。
下手をすれば知り合いに見られてしまうかも知れない。
「駄目か?」
「いえ。ですが正直、多大な期待を貴方に寄せています」
「は?」
「昨日の件を考え直してくれたのかと……楽しみにしてますね。すぐに車を回しますから」
 その言葉を最後にLからの電話は切れた。
最後の方の会話がさっぱり分からないのは何故だろうか?
「リューク。昨日僕は竜崎と何を話したっけ?」
 この突然の女性化という事態の混乱に当然頭から昨日の出来事など吹き飛んでしまっている。
さっぱり思い付けない僕にリュークはあっさりと答えを示してくれた。
『告白されてたな。Lに』


 そうだった!


 リュークの言葉に漸く思い出せた昨日の恐ろしい出来事。
僕は何故か同性である竜崎から『愛の告白』を受けるというとんでもない事態に遭遇していた。
 あまりに今朝の衝撃が強く昨日の衝撃の事などすっかり忘れていた。
Lからの告白だ。僕は当然断った。
 敵同士だから駄目だとか情報を探るのにいい手段じゃないのか?とかそんな事も思ったが、それ以上に同性という壁が僕の前に高く固く重く立ちふさがっていたのだ。
 そういえば昨日リュークと「僕が女だったら(飽くまでLを探る為に)受けてたかもね」なんて冗談を言っていた。
まさかこれが原因か?
あり得ないだろう不毛な事を考えながら、僕は心底Lの元にいきたく無い!と感じていた。
告白してきた男の元に女の姿でいくなんて……!
 しかし時間と約束は残酷なもので頼んだ車は着々とここに近付いて来ているだろう。
後戻りはとても出来なかった。





 僕はそっと玄関から自分の靴を履いて外に出た。
自宅の植え込みの影に潜んでLが寄越した車を待つ。
 服は自分の服の中でもっともサイズの小さいものをベルトで強引に止めて着ていた。
かなり不格好だったが本当は僕だってこんな格好で外に出たくは無かった。
 始めは粧裕や母の物をこっそり拝借しようと考えていたのだが、如何せんサイズが合わなかったのだ。
 どうやら僕は女性になっても高身長であるようで、女子中学生の身長しか持たない粧裕や平均的な身長である母の服は小さかったのだ。
大きいのならともかく小さくては入りようも無い。
「リューク、車来た?」
 いい加減こんな状態は嫌だとリュークに問いかけると、死神はふわりと浮いて植え込みの向こうを覗き込んでくれた。
 身長が低くなったせいで様々なものが違う角度で見えて違和感は尽きなかったのだが、いつも自在に中を浮き元々月より大柄だったリュークはあまり変わらないように見えない。
それに何となく安心した。
『おっ!来たぞ。いつもの車だ』
 リュークの声に立ち上がってさっさと車に乗り込んでしまおうと考えたが、そこではっと忘れていた事実に思い至った。
 あの車を運転するのは竜崎ではなくてワタリという初老のLの使用人だ。
直接話した事はなかったがそれでも何度もLを通して会ってはいるので、確実に月がいつもとは違う……女性と化していると気付くだろう。
 Lならこんな荒唐無稽の事態にも余裕で耐えられそうだが、他の人間、それも思考が柔軟とはいえない老人相手ではいささか不安だ。
 しかし僕の心配を他所に家の前に車を止めたワタリは物陰に隠れていた僕を瞬時に見つけた。
優雅な仕種でバックドアを開けて車に乗るように指し示す。
 もう逃れられない。
僕はもう自棄だと覚悟を決めて植え込みから姿を現した。
 僕の異様な姿にワタリさんは細い目を一瞬だけ見開いてから、吟味するように沈黙していた。
居心地の悪さに僕の心臓が悪い意味で高鳴る。
「どうぞ、お乗り下さい」
 しばらくの沈黙の後に出されたその言葉はごく普通の物だった。
呆気に取られながらも僕は言葉通りにリュークとともに車に乗り込む。
 運転席に座ったワタリさんは穏やかな声で月に言った。
「その格好でホテルに入るのは何ですし、先に服を調達しに参りましょう」
 さすがあのLに仕えているだけはある。
あっさりとこの異常事態を受け入れて、しかも気遣ってくれているその姿に少し嬉し涙が出そうだった。良い人だ。
 車は順調に進み、服を買う為の寄り道をしながらも高級ホテルの駐車場まで入って行った。
本来ならホテルの前で降りてしまう所だが、地下駐車場の見え難い場所に車を停めてこっそり着替えてしまう事になっていた。
 ワタリさんから渡されたのはシンプルなブラウスとズボンであまり女物といった印象の無いものだった。
そういったさり気ない気遣いが女性になると言う異常事態に混乱する僕の心に染みいった。
本当に良い人だ。
 ワタリさんが外で見張る中、僕は車の後部座席でなるべく見えないように気を使いながら服を着替えた。
 服を脱ぐとあらわれる明らかに女性のものである自分の体に少し目眩を覚えながら、渡された下着を手に取る。
 パンツは別に良かった。パンツはちょっとデザインが違うブリーフだと自分に暗示をかければ。
問題は上半身。というかブラジャーだった。
こればっかりはシャツだと暗示をかけるのも無理だった。付けたくない。
 なかなか手が進まない僕にこつんと窓を叩く音が響いた。
外側からワタリさんが後ろ手にノックをしたのだ。
僕は窓をほんの少しだけ開けて声が通るようにする。
「どうかしましたか?」
 問いかける声。体は反対方向を見つめていて僕の体を見ないようにしていた。
完全に女性扱い。でも気遣いには違い無い。
「ブラジャーはちょっと……」
 僕が渋るとワタリさんは困ったように呟いた。
「気持ちは分かりますが、付けないと上から分かってしまいますよ」
 分かるって何がだろう?と思った僕は自分の胸を見て理由が分かった。
確かにこのままでは乳首とか諸々が分かってしまう……
そんな自分で自分に抱いた感想に狼狽えてしまった。妙に気恥ずかしい。
 それは確かに歓迎し難い状況だった。はしたないと思う。
はしたないと思うからには自分はそんな人間には成りたくなかった。
 意を決して僕はブラジャーを胸に付けた。
気持ちが悪くて仕方がなかったが仕方がない。
耐えろ耐えろと念じて頑張ってつけるが、自分の胸に付けられている様は見たくなかったので急いでブラウスを着る。
 なんとか一息ついた時にぼそりとリュークが僕に囁いた。
『なぁライト。どうして服が全部ぴったりなんだ?』
 リュークの言葉に自分の着ている服を見回す。
たしかにブラウスはともかくズボンは裾の長さまできっちりあっているのは少し無気味だった。
あと瞬時には分からなそうな靴のサイズも。
服に隠されて見えなかったはずの僕ですら知らない胸のサイズも。
「どうしたのですか?」
 着替え終わっても動く気配のない僕を不思議そうに見るワタリさんを見て、僕はこの人はやはりLの元で働いている人間なのだと強く認識した。
 そんな僕の心情を見すかすようにワタリさんはにっこりと笑った。




 着替え終わった僕はワタリさんに連れられてホテルの部屋に入った。
ロビーからここに来るまでに何故かたくさんの人がやけに見てくるのでとても気疲れした。
やはり今日女になった人間は普通の女性とはどこか違うのだろうか。
 誰もいない部屋に入ってやっと僕は人心地がついた。
竜崎が来ていないのは、おそらく上の捜査本部に詰めているからだろう。
「では竜崎をお呼びしますのでしばらくお待ち下さい」
「はい。あのありがとうございます……服とか」
 改めて感謝の言葉を伝える僕にワタリさんは優しげに微笑した。
「いえいえ、貴方は竜崎の未来の妻となる方ですから」
 さりげなくなされた爆弾発言に動きが止まった。
この老人は何を言っているのか?
「ここに来る迄も随分と人の注目を集めておいでで、そのような女性を竜崎が射止めたのはやはり嬉しいですね」
 その姿は孫の成功を喜ぶおじいちゃんそのもの……!
ワタリさんは僕が男であった事を知っているはずなのに、どうしてそんな事を言えるのか。
だいたい僕は竜崎に射止められて無いっ!
「安心して身をお任せ下さい。竜崎は上手いですよ」
 上手いってナニが!?
僕が声にならない叫びをあげても聞こえないものは存在しない。
ワタリさんはにっこりと笑って一礼すると静かに扉を閉めた。
「リューク!リューク!リューク!僕はどうすれば良いんだ!」
『落ち着けライト!きっとあの爺さんの冗談だ!』
 2人っきりになった途端に僕は取り乱してリュークにすがりついた。
しかしリュークの方が僕を離そうと必死になってくる。どうして!
「ライト……そんなに引っ付かれるのは……」
 ふっと腕の中の感覚がなくなる。リュークが身体を透過させたのだ。
支えを失った僕の身体はぼすっとソファに落ちる。
『今のお前女の格好。俺、照れる』
 そのままリュークはふわりと宙に浮き天井を通り抜けて上の階まで逃げていった。
「リュークッ!」
 捕まえようと手を伸ばして飛び上がった僕に後ろから声がかかる。
「それは何の遊びですか?」
「竜崎!」
 僕の呼ぶ声にLは怪訝そうな顔をした。
声だ。僕の声がいつもと違うことに気が付いたのだ。
 Lの目が僕の身体のあちこちに向かっているのが分かる。
どうやら僕の身体に起きた以上事態にLも気付いたらしい。
「り、竜崎……」
「月くん。ちょっとここに立って下さい」
 いつも通りの無表情でLは己の目の前の床を指先で示した。
そんな仕種にむかつかない訳も無いがここは素直にLの目の前に立っておく。
 向かい合った僕の頭をLがぽんぽんと柔らかく叩いた。
「私より明らかに背が低い……」
 五月蝿いな。言わないでもお前を見上げている子の状況で痛いほど分かっているよ。
すっとLの両手が降りてきて今度は僕の肩を抱くように触った。
「肩幅が足りない」
 あぁ、それも分かってるって。
それにしてもいつもなら見上げられているのに、こうして見下ろされるのに酷く違和感がある。
リュークとは違い、こいつは今の僕と違う性別の生き物なのだと実感する。
 肩を抱くLの視線が胸のあたりで止まった。
観察する様な視線は居心地が悪い。
おもむろに肩から外されたLの手が月の胸の膨らみを鷲掴みにした。
痛っ!
こいつ強く掴み過ぎだ!
「これ偽乳じゃないですよね」
 良いながら今度は胸を揉んでくる。
なんだこいつは!確認するにしても揉む必要なんてあるのか!?
「僕が胸パットつけてどうするんだよ」
 僕も信じたくはないが恐ろしいがこれは正真正銘の生乳だ。
Lが触れる感覚を確かに胸に感じるのがなによりの証明。
「ていうか揉むな!気持ち悪い」
 音を立ててLの手を払うと、何故かLは笑った。
なんとなく『にやり』といった表現が似合いそうなちょっと質の悪い笑み。
「気持ち良いの間違いでは。私は気持ち良かったです」
 なんだこのセクハラ男は!
「下品だ。最低だな」
「私も吃驚しているので多少の事は多めに見て下さい」
 どこが驚いてる態度なのか。
釈然としない僕に竜崎はしみじみと言う。
「しかし事実は小説より奇なりとは言いますが、こんな事があるとは」
「朝突然こうなっていたんだ。何かこういう奇病とかの症例は聞かないか?」
 世界のあらゆる場所にコネクションを持つ男だ。
そんな不思議な話をどこかで聞いた事があるかも知れない。
逆にこいつが知らないとすれば、病という選択肢は失われたようなものだ。
 Lはしばらく思考のために黙り込む。
だが口に出された答えは、高鳴る鼓動を抑えながら待つ僕の心を裏切るものだった。
「すみません。人より多くの知識を持っているとは自負していますが、聞いたことありませんね」
「そうか……」
「しかし事実は受け入れなければ……原因は何でしょう?神の奇跡でしょうか?」
「はぁ?」
 神なんて毛ほども信じていなそうな竜崎から放たれた『神の奇跡』というフレーズに月は思わず変な声で応えてしまった。
 真面目そうな声色から決して冗談じゃ無い事が伺い知れる。
それにしたって『神の奇跡』はないだろう。
神も奇跡もこの状態を良いこととして肯定している様な言葉だ。
「月くんは昨日私からの告白を男同士という理由で断りましたよね。確かに同性というのは人によっては嫌悪を起こすでしょう」
 何をいきなり話しはじめるのか。
唐突なそれに驚きながらも僕は頷いた。
実際僕が竜崎からの告白を断ったのもそれが理由だからだ。
「ですから、もしかしたら男同士であるが故に結ばれぬ私達を哀れんだ神が奇跡を起こし、貴方を女性にしたのかも知れません」
 切々ととんでもない理論を展開するLに僕は呆れた声を出してしまった。
「そんな訳あるか。第一精神がそのままなんだから意味ないだろう。君が女性になるならともかく」
「そこはやはり見目美しい方を女性にしておこうと言う気遣いで。しかし月くんは私が女性であればお付き合いしてくれるんですか?だったら性転換手術をするのもやぶさかではないですが」
 でもそうなると女性同士になってしまいますね。と呟く姿に軽く目眩がした。
告白された時も性別なんて気にしないと言っていたがそれは真実らしい。
Lにとっては自分の身体の方も関係ない。重要なのは脳みそだけの様だ。
「外見は女同士、中身は男同士なんて倒錯にも程があるよ」
 不快を示す僕にLは仕方が無いといった顔で溜め息をついた。
溜め息をつくなんておこがましい。
「とにかく君が女性となったのは事実ですからこれからの事を考えましょう」
「あぁ……」
 漸くまともな話が展開されそうなので僕は自然と安堵した表情になる。
「私が思うに月くんが現状するべき事を一つ知っています」
「なんだ?」
「月くん、私と子作りをしましょう」
 どすっという景気の良い打撃音が響いた。
僕の渾身の右ストレートがLの顔に決まったからだ。
思いきり殴られたLが痛みに頬を抑えている。当然だ。
「女になった途端にそれか!最低だ!」
 ていうかセクハラだ!
僕はLから無意識に距離を取った。
身の危険を感じての行動だったそれを見てLは不満げに顔を歪ませた。
「そんなケダモノ見るみたいに見ないで下さい」
「はっ!ケダモノ以外の何だって言うんだ!?」
 昨日告白しておいて今日いきなりやろうだなんてケダモノ以外の何だというのか?
「これは貴方が好きだからという理由からの性的欲求ではありません!」
 心外だという顔をするLは言った。
優秀な遺伝子は残す必要があると。
「私と月くんの遺伝子を受け継ぐ子供を世界は望んでいます!」
 強く主張しながら迫ってくるLにもう一度僕は右ストレートをお見舞いした。
Lが殴られた頬を抑えて立ち止まる。
思いっきり殴ったのでこちらの手までひりひりしてくる。
「そんなふざけた理由聞けるか」
 結局馬鹿な言い訳でしかない。
息をきらしながら心底呆れる僕の手を殴られて顔を赤くした竜崎の手が包み込んだ。
いきなりの行動に驚いているとLが僕をまっすぐに見つめながら言った。
「ふざけないで愛しているからと言えば許しますか?」
 直球の反論に僕は思わず言葉に詰まってしまった。
許せないとも言いにくい。
「即答されなかったので脈ありと見ます」
 心情を見透かされたような言葉に僕の頬に血が昇る。
Lは僕の手を気遣うように優しく撫でていた。自分で殴って出来た自業自得の痛みなのに。
それも殴った対象はは目の前の男だ。
「殴り返しもしないでこんな事するなんて、どうしたんだ?」
「セクハラしたの私ですし。ふざけすぎましたから甘んじて受けます」
 こんな事を許容するくらいなら真面目に取り合えよと思わないでもないが、Lの手が優しく心地良かったので許すことにした。
「お前手大きいんだな」
 僕の手を完全に包み込んでしまっているLの手。
細身だからか少し骨ばっている。ごつごつして痛そうなのに柔らかい。
男の、手だ。
「月くんの手が小さくなったんですよ」
 さらりと言うな!気にしているのに!
外見の変化は思った以上に僕の心にダメージを与えていたらしい。
そうやって改めて事実を突きつけられると胸が痛んだ。
「でも変わってないところも沢山あります」
「は?」
 Lの言葉に耳を疑う。何から何まで元の姿とは似ても似つかないと思うのだが……
訳が分からないといった顔の僕にLは指折り数えて言った。
「例えば私を見る目とか、背筋をピンと伸ばして歩くところとか。普段は澄ましてる癖に本当は怒りっぽいところや私を睨んでるときの目とか」
「外見の話じゃないな」
「はい。外見しか変わってません。他はみんな私の知る私の好きな月くんです」
 慰める言葉のはずなのになんかもの凄い告白を受けたように恥ずかしかった。
その僕の感情を読みとったらしいLは「可愛いです」なんて呟いて僕の手に口付ける。
 僕は恥ずかしさに顔を赤くしたがLの方は表情がまったく変わらない。
何故変わらないのか。
少しは自分の言動に照れたりして欲しい。
僕ばっかり赤くなるのは恥ずかしいじゃないか。
「混乱する気持ちも分かりますが月くんはちゃんと月くん以外の何者でもありません。大丈夫です。私が保証します」
 断言する力強い言葉に不覚にも僕の胸が高鳴った。
なんか格好良い。この男はこんにも頼りになる奴だったろうか?
 何故か早くなる鼓動を抑える僕の耳に控えめなノックの音が聞こえてきた。
入ってきたのはワタリさん。
「ワタリ、用意ができたのか?」
 Lの言葉に神妙に頷いたワタリさんはさっと大小様々な箱を取り出した。
「用意って何のだ?」
「婚約の交渉です」
「誰の」
「私と君の」
 とぼけた顔で言うLに僕はこめかみがぴくりと動いた。
ふざけたことを言う奴だ。婚約って、まだ付き合うことすら認めてないのに!
「まだふざけてるのか!お前は!」
「さっき迄はおふざけ。今からは真剣な話です」
 どこが真剣だ!さっき迄と大して変わらない馬鹿馬鹿しさだ。
「月くん。私は君を好きで愛しているので絶対に手放したくなんて無いんです」
 話す言葉は真摯な告白に聞こえるのに、その表情が裏切っている。
口端を歪めた様な質の悪そうな笑みを浮かべたLが僕の耳もとで囁いた。
「女性になって手っ取り早いです。結婚と言う縛り付ける鎖が簡単に手に入りますから。
男のままだったらもっと搦手で行かなければならなかった」
 囁かれて耳にLの呼吸を感じてぞくりと肌が粟立った。
Lにとっては僕が女性と化すという異常事態も自分の目的の為の手段にしかならないのか?
なんて神経の図太い男だ。
あぁ、でもデスノートという超常的な存在を利用する僕と大して違いは無いのかも。
 ふと肌に空気が触れる感触に僕は現実に引き戻された。
何ごとかと確認すればワタリさんが僕の服を脱がしている。
「何してるんですか!」
「着替えさせております」
「婚約と言う重大な用件ですからね。きちんとした格好をしないと」
 年中同じ格好のお前がそれを言うか!?
ワタリさんの答えに補足するように言うLを僕はそう罵ろうとした。
しかし声を発する事は出来なかった。
ワタリさんの出して来た服がそれはそれは可愛らしいスカートだったから。
女の子が履いてたら可愛いだろう。でも僕が履いてどうするんだ!スカートを!
「せっかく女性なのですからスカートを履いて頂かないと」
 Lが満足げにスカートを見ながら言う。
「ワタリさん!さっき普通の服を用意してくれたじゃ無いですか!」
「あれは私めの好意です。今は仕事です」
 あっさりと答えるワタリさんは着々と僕の服を剥ぎ取って行く。
なんて手際の良さだ!
暴れれば邪魔はできるのだろうけど相手は老人。お年寄りに暴力なんて振るえない!
「くそっ!この僕が女装するだなんて」
「女性がスカートはいても女装とは言いませんよ」
 あれよと言う間に僕はワタリさんの手で着替えさせられていた。
僕が動くたびにスカートがひらひらと風を受けて舞う。
「さて上の夜神さんの元へ行きましょう」
「嫌だ!」
 僕はまた思いっきり右手を振り上げてLに殴り掛かった。
しかしLはあっさりと僕の手を掴み動きを停めてしまう。
「なっ!」
「実は月くんに殴られても反撃しなかったのはあんまり痛く無かったと言う理由もあります。
どうやら女性になって筋力が落ちてしまった様ですね」
 指摘された事実に悔しさが溢れた。
実際僕の筋肉は男であった時より落ちている。でもそれで手加減されるなんて!
「うるさいっ」
 僕は今度はLに向かって蹴りを入れた。
しかしそれもあっさり足首を掴まれて止められてしまう。
「良い眺めですね」
「変態」
 大股開きになって足を振り上げているのでスカートの中身が丸見えになっていた。
それを隠すように衝動的に片手でスカートを押さえたのだが、バランスを崩して倒れそうになってしまった。
 床にぶつかる痛みを想像したがそれはなく、逆にふわり途中に浮く様な変な感覚に襲われる。
「月くん大丈夫ですか?」
 僕は身体を横抱き、いわゆる『お姫さまだっこ』にされてLに抱えられていた。
こんな屈辱的な助け方は無い。僕は身体をむちゃくちゃに動かして逃れようとしたが「落としますよ」の一言でそれを止めざるを得なかった。
 Lは優々と僕を運んで上の階へと向かって行く。こんな細身の癖に意外と力がある。
しかしだんだんと力が抜けて行っているようで、僕は落ちる恐怖からLにしがみついた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。落としません」
「お前の貧弱な腕じゃいつ落ちるかも分からないよ」
「言いますねぇ。でもそうやって強気でいられるのも今の内です」
 物語の三流悪役の様な台詞をLは言った。
目の前には捜査本部に使われている部屋のドア。この向こうには父がいる。
「私にとって夜神さんを丸め込むなんて簡単な事。すぐに婚約出来ますよ」
 ワタリさんがドアを開けて道を作る。
中を見ればいつも資料まみれの捜査本部はいくぶんか片付けられていて、中央のテーブルとソファには改まったように父と捜査員の人達が座っていた。
『ライト!なんかすごい事になってるな!』
 どこかへ消えていた死神はどうやらずっとここにいたらしい。
『婚約?の準備ってやつ全部出来てるらしいぞ』
 リュークは僕にしきりに話し掛けていたが、僕はこの姿で父を正視する事なんて出来なくてLの肩に顔を埋めていた。
「竜崎、私に話とはなんだ?それにその女性は?」
「竜崎の恋人ですか?無関係の人を捜査本部に入れちゃ駄目ですよ」
 父さんと松田さんの勘違いな発言に気が遠くなる。いや、しかし今の僕はスカートを履いてLに横抱きになんてされてるんだから、そう言う印象をもたれても仕方ないんだ。
仕方ないんだから仕方ない。
「ちゃんと関係者ですよ。
ちなみに夜神さんへの話とは娘さんとの婚約を認めて頂きたいと思いまして」
「娘?いつ竜崎は粧裕と……」
「粧裕さんじゃありませんよ。こちらの娘さんです」
 そう言うとLは誰も座っていなかったソファに僕を下ろした。
完全に顔が周囲に知れた。皆の唖然とした表情と視線が痛い。
「月……?」
 父さんの戸惑う声が聞こえる。
あぁ、もう駄目だ。
「異常事態とでも言いましょうか。こんな事に」
 Lは平然として言うが、他の皆は混乱絶好調だ。
Lだって最初の内は混乱していたらしいのだから仕方ない。
 ワタリさんが全員分のお茶を入れてそれを全員が飲み干すまで。
たっぷり20分くらいその混乱状態は続いていた。漸く落ち着いたであろう頃合を見計らってLが神妙に言った。
「みなさん超能力で人を殺すキラを捜査しているのです。これくらいは受け入れましょう」
「これくらいって話じゃ無いですよ」
 すかさず松田さんの突っ込みが入った。僕もそう思う。
「とにかくこの様になってしまっては月くんはこれから先まともに生活出来ません」
「なんでそう言う話になるんだよ」
「だって今までの大学生活もそうですが、戸籍とか保険とかそういうのまでどうするんですか?」
 指摘に初めて気付く。
確かにこの状態で過ごす事になったらそれら諸々雑事をどうすれば良いのか?
「私の庇護下に入れば全て対処出来ますよ」
 Lはにやりと笑った。確かにこの男ならそれらを全て何とかできるだろう。
そして父はそういった搦手で行けば了承する。自分の子供がまともな生活を送るのにそれしか道が無いと考えれば!
 なんとか混乱から脱した程度の頭では僕を普通に生活させる為の妙案など思いつきもしない。
それに加えて父とLにはしっかりと信頼関係が結ばれているのだ。
やばい!僕が思うと同時に父さんが口を開いてしまった。
「それでまともな生活がおくれるのなら仕方ないだろう。
月には人並みの幸せを手に入れて欲しいんだ。結婚して子供を産んで孫が……」
 すでに認識が『娘』の結婚になっている。
どうすれば良いのか悩む僕を救ったのは意外にも外野の人だったはずの相原さんだった。
「でも局長、結婚に大切なのはまともな生活じゃ無くて月くんの意志だと思いますよ」
 常識人って大切だ。
どうやら女性への変化とかの超常現象への理解はきつかった様だが、生活の為の婚約というどう考えても『幸せな恋愛結婚』から外れた話になってなんとか付いていけるようになったらしい。
「月くんは竜崎と婚約する気があるのかい?」
 相原さんの問いかけに盛大に首を横に振る。
大袈裟な否定に納得したように松田さんが頷いた。
「確かに仲が良くても結婚が考えられない友達っているよね」
「第一、男同士だしな」
 相原さんの補足の言葉にそれだよっ!と僕は頷いた。
そこの方が問題なのに誰もつっこんでくれないから僕の方がおかしい気分だったのだ。
ありがとう、常識の体現者。
 そうやって全身で婚約を否定する僕にLが悲しそうに目を伏せて言った。
「月くん、私と結婚するの嫌ですか?こんなに愛してるのに」
 愛してるんだって事は痛いほどよく分かっている。
でも男同士だから嫌なんだ、と言おうとして僕の口は止まった。
 Lの方は僕が男だろうが女だろうが全く気にしないのに、それを理由に断るのはなんだか悪い様な気がしてしまったのだ。
 それに外見……というか肉体的な理由で断るのはそれだけ僕が狭量な気がして面白く無い。Lはそれを許容している訳だし、僕の負けみたいだ。
 じゃあそれ以外に何があるだろう?考えてみて弱った。
特に無い。
 僕と同じくらい頭も良くて、運動も出来て。
性格は強引で目的の為に手段を選ばない。
でもキラという重大事件を前に手段を選んでいるようじゃ逆に嫌だ。
 僕はじっとLを見た。視線の先にはLの手。
以前より体重が軽くなったとはいえ僕を軽々と持ち上げて運べる。
意外と力強くてごつごつしてるのに柔らかい優しい手だ。
ふざけて僕をからかうしセクハラもするけど、ここにいる誰よりも頼りになるんだ。
 あぁもしかして、僕そんなに嫌いじゃ無いのかも。
結構好き?
「どこが駄目なんですか!?貴方の為でしたら直しますよ」
 鼻息荒く主張しなくてもそんな事分かってるって。
僕の為なら性転換だって余裕でするってもう宣言しちゃってるじゃ無いか。
「……別に直さなくて良いよ」
 思わず口を付いて出た一言。
あぁ、言ってしまった。もう僕の口は後戻り出来ない。
「今のままで結構好きだよ。『生活の為』にお付き合いしても良いと思えるくらいにはね」
 半分以上は照れ隠しの言葉だったがそれに気付かないらしいLは、珍しくこちらからも吃驚した顔だと分かる様な顔で問いかけて来た。
「えっと……月くん……?それって婚約してくれるって返事ですか」
「それ以外のなんだろうね」
「月くんっ!」
 Lが感激してますって顔で僕を覗き込んでくる。
相原さんと松田さんはあまりの展開に吃驚してた。さっきまで婚約を否定してたから当然か。
でも気付いてしまったのだから仕方ない。
 父さんはもう混乱した頭とLの説得に絆されてたせいで普通に喜んでいる。
といっても結婚を喜ぶというよりは、僕がこんな身体でも普通の生活をおくれるようLが保証することに喜んでいる方が正解といえるのだろうが。
 そんなふうにLを無視して周囲の人を観察していると、Lは僕の肩を掴んで自分の方を強制的に向かせた。見つめあう形になると付き合うという変な事実からか少しどきどきした。
「月くんっ!好きです」
 捜査本部と言う仕事場なのに大声でLは言った。
そんなLに呆れていると、奴はぐっと身を乗り出して僕の唇に自分の口を押し付けてくる。
衝動的な噛み付くようなキス。
 何するんだと叫ぼうとして僕は止めてしまった。
だってこれから付き合うんだから、これくらいは受け入れるべきかと思ったんだ。
 被い被さるようにキスしてくるLを甘んじて受け入れていると、何故か身体がむずむずした。
身体が熱くなる。なんだろう?これは……
「気持ち悪い!」
 上に乗ったLを思いっきり突き飛ばしながら僕は言った。そして気付く。
あれ?なんか声が低くなってる?
 僕は身体を見回した。胸が無い。スカートから出てる足はさっきまでと明らかに違う。
「「「「戻った!?」」」」
 僕も含め全員が同時にそう叫んだ。
確かに戻ってる。元通りの男の身体だ。
 皆口々に「いったいどうして」とか「とにかく良かった」とか口々に言い合ってる。その会話を端で聞きながら僕は喜びを噛みしめていた。本当に良かった。
「良かったですね」
 身体の埃を払いながらLは僕に言った。男に戻った瞬間突き飛ばしたから、力はちゃんと戻っていて吹っ飛んでしまったらしい。
「良かったよ。でもお前は残念なんじゃ無い?」
「何故?」
「僕が女になって喜んでたから」
 楽しそうにセクハラしてたし、婚約すると意気込んでいたし。
「私は別に女でも男でも月くんが好きですから。月くんが嬉しそうなので喜んでいるのです」
 きっぱりと言う姿に不覚にも思う。嬉しい。
結局僕がLの事を好きだって思った事は男でも女でも関係ない。今も、好きだと思う。
「でも惜しいですね」
「なにが?」
「せっかく月くんからお付き合いの返事を貰えたので」
 あ、こいつ僕が女になって生活に困るから了承したと思ってるな。
確かにそう言ったけど照れ隠しみたいなものだし。
「竜崎は僕が打算だけで付き合うことを決めたと思ってるんだ?」
 僕は笑ってLの唇にキスをした。
只でさえ大きいLの目がさらに開いていて、吃驚しているのが良く分かる。
 Lはぎゅっと僕を力強く抱き締めた。ようやく手に入れた大切なものを決して離さないとするような強さ。
「月くん。それって付き合ってくれるって事ですか?」
「それ以外のなんだろうね」
 そう答えてやるとLは僕に口付けて来た。
今度は突き飛ばさなかった。付き合うしね。











『お前らまたリュークの飼い主見てんの?』
 人間界を覗く穴にいた2人の死神に1人の死神が声をかけた。
『んー、ちょっと呪いかけてみたんだよ』
 こともなげに穴を覗いていた1人の死神が言った。
『はぁ?』
『いや、リュークの飼い主がLってやつに告白されててさ。女だったら受けるって言ってたから』
『女にしたのか?』
『あー、でも失敗だったな』
『ジジィに怒られるからか?』
 死神大王は人間界に混乱をもたらす事を望んでいない。いきなり男だった人間を女にしたら、人間界も少しは混乱するかも知れない。
『そうじゃなくてさ、心はそのまんまだからいつもと同じな訳よ』
『まぁ、そりゃあな』
『だからさっさと解いた』
『身勝手だな−』
 けらけらと笑っていて本気でそう思っていないのは明らかだった。神は気紛れなのだ。
『あっ!男に戻った』
 談笑する2人の死神を他所に人間界を見てた死神がそう実況した。
これで騒動も終わりか、また賭博でもするかと話し始めた2人にもう1人の死神の声が響いた。
『嘘っ!マジで!?』
 少し気になる叫び方だったので振り返って聞いてみる。
『どうした?』
『あいつら男同士になってもチュ−してる!』
『はぁ?』
『なんか付き合うみたいだ』
『ええっ!マジで』
 2人の死神の声がこだまする。
確かに穴を覗けばいちゃついてる男2人。
3人の死神の頭の中に人間界のことわざが浮かんだ。






事実は小説より奇なり








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リクエスト下さった方お待たせいたしました。
なんか異様に長ったらしくなってしまいました『女の子になった月』のドタバタ劇です。
女の子である必要性が低めの話になって申し訳ないです。
でも楽しかったです〜。
リクエストありがとうございましたvv



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