第六回絵チャログ
左から井上潤也、卓球さん、彩桐れんさん
花月梨依:井上潤也
思えば、いつから彼の面影を追っているのだろうか。
吐き出した息は白く、まるでしこりのように心に降り積もっていく気がする。
あの日、あの時。
どうしてあんなことをしてしまったのだろう。
過去の自分を変えることは出来ない事実に、吐き気がする。
もっと優しくしてあげれば良かった。
もっと慈しんであげれば良かった。
押し倒した時の、彼の顔が今でも脳裏に焼きついて離れない。
「や、めて…っ」
微かに漏れた彼の声に、欲情したのは自分だ。
キスだけ、と思って、最後まで奪ってしまった。
「さい、あく…っ」
泣きながら、彼が言った言葉が、心の奥に突き刺さって今も抜けない。
愛したかった。
ただ、それだけだったのに。
こんな風に、するつもりはなかったのに。
あの、熱い肌の感触。
まだ消えはしない。
花月梨依:彩桐れんさん
「今日さ、俺ん家寄ってく?」
「なんだよ、突然」
「今日寒いしさ…暖めてやるからさ」
「なっ」
「俺のこと、暖めてくれよ。な?」
左から井上潤也、卓球さん、彩桐れんさん
花月梨依:井上潤也
連れて行かれたのは、狭くて暗い牢獄だった。
男を拒否した相応の待遇になるであろうとは思ったものの、まさかここまで予想通りとは。
呆れてものが言えないというのは、こういうことを言うのだろう。
男の慰み者になるのなら、いっそここで餓死もいいか、と思った矢先だった。
「へぇ、あんたも主人のご好意を拒否したんだ」
暗闇から投げ掛けられた言葉に目を凝らすと、そこには美しい男がいた。
暗がりでよく分からないが、きっと綺麗な色をしているのだろう長髪に、切れ長の瞳はくっきりとした二重を刻んでいる。
「あんたもそっちの趣味はないんだね」
くすっと笑う声が、牢獄に響く。
そのトーンが、どこか卑下しているようで癪に障った。
「お前も同じだろう」
言うなり、男がゲラゲラと笑い出す。
「確かにな。お前と同じだ。でも少しだけ違うぜ?」
「何がだ」
「主人は愛玩具を希望している。でも俺は玩具にはなれない、玩具にならさせてやれるけどな」
くすくすと笑いながら、男は続ける。
「ま、でもあんな汚い親父とだけは寝たくないけどな」
男の首には太く重そうな首輪が付けられている。
男が何か話すたび、それが揺れて小さな金属音を発していた。
反響して大きく聞こえる男の声が、暗闇で、まるで俺自身を包んでいる気さえしてくる。
どくん、と胸が高鳴る。
そっと男がいる方向に近付いてみた。
すると男も気が付いたのか、こちらに擦り寄るようにしてやって来る。
「あんた、結構男前だな」
近付くなり、男はそう言って形の良い唇を歪ませた。
「あんたとなら、してもいいな」
言うなり男の腕が首に絡み付く。
瞬間、ふわりと男の香りがして、胸が高鳴った。
先程、主人に抱きつかれた時とは違う感触に、同じ男だというのに、興奮している自分がいた。
「男は初めてか?」
「あぁ」
自分でも信じられない程、落ち着いた声で答えていた。
「自信は?」
くすり、と男が笑い、そのままその唇が重ねられる。
答えるべく彼の口腔に侵入し、その熱い内部を嬲ってやると、男は小さく呻き声を上げた。
「いいねぇ、あんたのキス、嫌いじゃないぜ?」
「それはどうも」
言ってもう一度、今度は彼の顎を掴み、激しく舌先を擦り合わせた。
「…っ…ん…」
「…っ…」
どちらともなく行為が激しさを増し、互いの身体を熱くしていく。
「いいね、その目…犯したくなるよ」
男はそう言い、もう一度軽く唇を触れさせると、肌蹴た胸をこちらへと向けた。
「さぁ、お楽しみの時間の始まりだ」
笑い声と共に彼の声が反響する。
狂ったように彼に覆い被さると、さもおかしいとばかり、彼は声を上げて笑った。
それが酷く憎らしくて、更に行為はエスカレートしていく。
「いいね。あんたのすべて、喰らい尽くしてやるよ」
男の声が脳内に響き渡って、気が触れたように彼だけしか見えなくなる。
まるで猛毒に触れたみたいだ。
思いながらも、その罠に落ちざるを得なかった。
花月梨依:彩桐れんさん
「こんなことをして、どうするつもりだい?」
しんと静まり返った講堂に響く声は、ぞっとする程冷静だった。
「こんなモノで僕をお前の物にしたつもりか」
首には太いベルトを付けさせられ、手首は頭の後ろで一括りにされているというのに、彼の高圧的な態度は一向に変わる気配もない。
「ふふ…今更怖がっているの?」
首輪を嵌め、手首を縛り上げた本人、彼の目の前に立ち尽くすしか出来ない男は小さく息を飲んだ。
今まで夢に見た彼の裸体が、今目の前に晒されている。
それは酷く艶かしく、男を心底から擽っていく。
「ほら、どうしたんだい?」
くすっと声がして、彼が笑う。
襲っているのは自分のはずなのに、汚されようとしているのは彼なのに。
「怖くないのか」
「怖い?怖いものか」
問いかけにさらりと答えた口が、綺麗に弓を描いた。
「たかがセックスだろう?怖くなんてない。快感さえ与えてくれるならね」
その、恐ろしくも簡潔な物言いに、襲っている当人が困惑してしまう。
けれど、それに勝る彼の色香に、そっと手を伸ばさずにはいられなかった。
「っ、痛いよ」
力が篭りすぎたのか、彼は小さく呟き、眉を潜めた。
「もっと優しくしてくれないと、感じることなんて出来ない」
言うなり、ほら、と差し出されるように彼の胸板がこちらに突き出される。
促されるまま、彼の飾りを優しく摘み上げると、その唇から甘い吐息が漏れ出した。
人差し指と親指で、捏ねるように甚振れば、そこは赤みを増して固く立ち上がる。
「綺麗だな」
呟いた言葉に、彼が失笑する。
「お前は誰を相手にしているんだ。僕が綺麗じゃないはずがないだろう?」
「…そうだったな」
そう、相手にしているのは、この男なのだ。
いつも人を見下すような視線でもって踏み拉き、大勢の上に君臨する彼。
「この僕が、誰かに負けるとでも思うの?」
「ないな」
今度はこちらが失笑する番だった。
彼が誰かに負けるはずなどないのだ。
絶対君主の彼が。
それが今、自分の手中にあるのだ。
「…今すぐ俺のものにしてやる」
興奮に、彼のズボンのファスナーを下ろし、そのまま無理矢理に彼自身に触れる。
小さく息を飲む音がし、すぐに小さな笑い声が聞こえた。
「お前のものになんてならない。僕は僕のものだ。お前に犯されても、それは変わらない」
「…そうか、そうだな」
彼らしい台詞に、思わず笑みが零れる。
そう、自分が相手にしているのは、まぎれもない彼なのだ。
「それじゃあ遠慮なく」
「お前の好きにしてみればいい」
くすくすと笑う声に誘われるまま、彼のものを扱き始める。
それは、媚薬のような時間の始まりだった。
左から井上潤也、卓球さん、彩桐れんさん
花月梨依:彩桐れんさん
「どうしたの、もう終わり?」
男たちの中央、鎖に繋がれた彼は、至極冷静な声でそう言った。
「まだ二度ずつしかしてないじゃない、なのにもう終わりなの?」
周囲の男たちを見回すよう視線を動かすと、彼は唇を小さく歪めた。
「僕だってまだ、三回しかいかせてもらってないよ?」
それに中も、と彼は呟いた。
「まだまだ熱くて、物足りないよ。ねぇ、どうしてくれるの?」
その色香と視線でもって男を虜にする彼は、ちろりと赤い舌先でもって、顔にかけられた白濁の液体を舐め取った。
「まだまだ濃いじゃない、ほら…まだいけるでしょう?」
言って彼は閉じられていたその秘所を曝け出すように足を左右に大きく開いた。
そこは先程まで男が出入りしていたとは思えない程綺麗な、小さな蕾が鎮座している。
「次は誰が僕をいかせてくれるの?」
言葉に、男の一人が彼の正面へと向かう。
「なんだ、まだ元気じゃない」
男のそこを揶揄して笑いながら、彼は更に足を開いた。
「奥まで、いっぱいにしてよ」
男が小さく息を飲む。
その姿に、彼はもう一度、その舌先でもって口端を舐めると、おかしいとばかりに声を上げた。
「さぁ、これからが本番だよ?」