1/1
「キヨとタカってさー、すっげー仲良いよな」
突然の一言。
友達と、他愛ない会話で盛り上がっていた最中。
友達の一人が言った言葉に、オレは傍らに立つをキヨを見上げた。
キヨは、傍らに座るオレを不思議そうに見下ろしてくる。
なんとなく、目が合ったことにドキリとしながら、不自然にならないように視線を逸らし、首を傾げた。
「そう、かな?」
すると、ソイツは得意顔で頷く。
見渡せば、輪を囲んでいた他の友達も納得したように頷いている。
「そうそう。俺らとは一線引いてるッつーかさァ」
「あー、わかるわかる」
「何ソレ? わけわかんねぇ」
頷く彼らに、キヨは不機嫌に眉を寄せて言い放つ。
「なんか、普通のダチとは違うって感じ?」
普通の友達とは違う。
その一言に、オレはドキリとする。
言ってない……キヨには言えない、隠れた本心を暴かれたようで落ち着かない。
それを、キヨが知っているとは思えないけれど。
「たとえば、何だってんだ?」
動揺に言葉を失うオレの頭上から、キヨの怒った声が飛ぶ。
静かだけれど、とても怒っている。何故だろう?
目の前の、ネタを出した友達は慌てたように手を前で振った。
「そう怒んなよ。コエーって」
「お前がヘンな事言うからだろ?」
険悪なムードに、オレは慌てて笑顔を作ってキヨを見上げた。
こんなことで喧嘩したら、オレとキヨの間に変な噂が立つかもしれないから。
キヨが困るのは目に見えているし、それでキヨがオレを避けるのは嫌だ。
「キヨはカッコイイから、睨むと怖いんだよ」
出来るだけ茶化すように明るく言うと、キヨは憮然とした、けれど幾分穏やかになった顔でそっぽを向いてしまった。
それがちょっと子どもっぽくて、自然と 笑顔が深くなる。
「お前、気にならないのかよ」
「なんで? ホントの事だし」
問いかけに、オレはそう返す。
だって、友達とキヨは違う。
キヨは特別。
誰よりも、大好きな人だから。
だから、オレは笑って言う。
「親友だもん。他と違って当たり前じゃない?」
「あぁ、親友。そんな感じ、そんな感じ」
オレの言葉に、さっきキヨに睨まれた友達が激しく頷いて同意する。
まるで、『渡りに船』、といった感じで。
ちょっと意外そうな顔をして見下ろすキヨに、オレは笑顔で首をかしげた。
「親友だよね?」
自分に問いかけるように。言い聞かせるように。
すると、キヨは恥かしいのか、眉を寄せたまま、そっぽを向いてしまった。
「さーな」
そう、一言呟いて。
戻る